(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374468
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】含炭塊成鉱、含炭塊成鉱の製造方法及びその製造装置
(51)【国際特許分類】
C22B 1/245 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
C22B1/245
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-223186(P2016-223186)
(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公開番号】特開2017-101323(P2017-101323A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2016年11月16日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0170752
(32)【優先日】2015年12月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 相 漢
(72)【発明者】
【氏名】郭 城 大
【審査官】
祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0115508(US,A1)
【文献】
特開昭61−140782(JP,A)
【文献】
特開昭52−075602(JP,A)
【文献】
特開平10−168508(JP,A)
【文献】
米国特許第05421859(US,A)
【文献】
特開昭52−065501(JP,A)
【文献】
特開2002−167622(JP,A)
【文献】
特開2012−153949(JP,A)
【文献】
特開2007−211296(JP,A)
【文献】
特開2011−236472(JP,A)
【文献】
特開2001−123212(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2012−0071080(KR,A)
【文献】
特開平11−092833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄原料及び炭材が混合された混合物で成形炭を製造する過程と、
前記成形炭を台車に装入して原料層を形成する過程と、
前記台車を焼成炉の内部に移動させて熱処理する過程と、
を含み、
前記熱処理する過程は、
前記焼成炉の内部において発生する排ガスのうちの一部を燃焼炉において収集する過程と、
前記燃焼炉において収集された前記排ガスを燃焼させて熱風を生成する過程と、
熱風炉において前記熱風の温度を調節する過程と、
温度の調節された前記熱風を前記焼成炉の少なくとも一部の領域に供給する過程と、
を含むことを特徴とする含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項2】
前記焼成炉は、乾燥領域、石炭ガス化領域、焼成領域及び冷却領域に画成され、
前記排ガスのうちの一部を収集する過程において、前記焼成炉の石炭ガス化領域において揮発ガスを収集することを特徴とする請求項1に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項3】
前記熱風を生成する過程は、前記揮発ガスを燃焼させて800乃至900℃の熱風を生成させることを特徴とする請求項2に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項4】
前記熱風を前記焼成炉の少なくとも一部の領域に供給する過程において、前記熱風は、温度を500乃至600℃に調節されて供給されることを特徴とする請求項3に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項5】
前記熱風は、温度が500℃よりも低い場合、前記焼成炉に熱風を供給する前に前記熱風炉において前記熱風を加熱した後に供給されることを特徴とする請求項4に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項6】
前記熱風炉において前記熱風を加熱する過程において、前記熱風炉に外気を供給することを特徴とする請求項5に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項7】
前記熱風の温度が600℃よりも高い場合、前記熱風は、前記熱風炉において外気を混合されて冷却されることを特徴とする請求項5に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項8】
前記焼成炉に供給される熱風は、1乃至5%の酸素の濃度を有することを特徴とする請求項4に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項9】
前記熱風は、前記焼成炉の焼成領域に供給されることを特徴とする請求項8に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項10】
前記焼成領域の温度は、300乃至700℃の範囲に制御されることを特徴とする請求項9に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項11】
前記焼成領域において、前記成形炭の昇温速度は、50乃至60℃/分に調節されることを特徴とする請求項10に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項12】
前記焼成領域において、前記炭材を軟化溶融させることを特徴とする請求項11に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項13】
鉄原料及び炭材が収容される複数のホッパーと、
前記ホッパーと連結され、前記鉄原料及び炭材の供給を受けて混合する混合器と、
前記混合器から混合物の供給を受けて成形炭を圧縮する圧縮部材を有する成形器と、
前記成形炭の装入された台車が移動する経路を形成する焼成炉と、
前記焼成炉において発生する排ガスのうちの少なくとも一部を燃焼させて熱風を生成する燃焼炉と、
前記燃焼炉と前記焼成炉とを連通させ、前記熱風のうちの少なくとも一部を前記焼成炉に供給するガス供給配管と、
を備え、
前記ガス供給配管と前記焼成炉との間に熱風炉が配設されることを特徴とする含炭塊成鉱の製造装置。
【請求項14】
前記焼成炉は、乾燥領域、石炭ガス化領域、焼成領域及び冷却領域を有し、
前記燃焼炉は、前記石炭ガス化領域と連通されることを特徴とする請求項13に記載の含炭塊成鉱の製造装置。
【請求項15】
前記ガス供給配管には、前記熱風を前記焼成炉に導く送風器が配設されることを特徴とする請求項14に記載の含炭塊成鉱の製造装置。
【請求項16】
前記ガス供給配管には、前記熱風を外部に排出するための分岐管が連結され、
前記分岐管には、前記分岐管を選択的に開閉する弁及び脱硫装置が配設されることを特徴とする請求項15に記載の含炭塊成鉱の製造装置。
【請求項17】
前記ガス供給配管は、前記焼成領域と連通されることを特徴とする請求項16に記載の含炭塊成鉱の製造装置。
【請求項18】
前記熱風炉には、外気を流入させるための取込口及びバーナーが配設されることを特徴とする請求項13に記載の含炭塊成鉱の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含炭塊成鉱、含炭塊成鉱の製造方法及びその製造装置に係り、より詳しくは、炭材が燃焼することを抑えながら強度を向上させた含炭塊成鉱、含炭塊成鉱の製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全世界の鉄生産量の約60%が14世紀に開発された高炉法により生産されている。高炉法は、焼結過程を経た鉄鉱石及びコークスなどを一緒に高炉に入れ、高温の空気を吹き込んで鉄鉱石を鉄に還元して溶鉄を製造する方法である。
高炉法は、その反応特性からみて、所定のレベル以上の強度を有し、炉内通気性の確保が保証可能な粒度を有する原料を要求するため、粉末状鉄鉱石を塊状にした焼結鉱及び粉末状石炭を乾溜して塊状にしたコークスを用いている。
【0003】
ところが、塊状状態である焼結鉱は、粉末状鉄鉱石の場合に比べて単位体積当たりのガスの接触面積が非常に小さく、高炉内において還元され終わった後にも炭素との接触面積が小さいため、還元された鉄の内部に炭素が浸透し難い。このため、焼結鉱は、溶融温度が高いために溶融させるのに多大なエネルギーを消耗し、鎔銑の生産速度が遅いという根本的な問題を抱えている。
【0004】
この理由から、極微細粉末状鉄鉱石及び炭材を混合してブリケットやペレットなどの含炭塊成鉱(以下、「成形炭」と称する。)を製造した後、回転炉床式加熱炉(RHF:Rotary Hearth Furnace)において還元することにより、直接的に還元鉄を製造する工程が開発された。
【0005】
還元鉄を製造するに当たって、高炉において使用可能な温度、熱間強度を確保することが非常に重要である。従来は、セメントなどの無機バインダーを用いて養生により強度を確保したが、高炉内において求められる熱間強度を確保し難いという問題があった。
【0006】
これを克服するために、部分還元鉄を製造するときに用いられる炭材をバインダーとして用いる技術が開発された。この技術は、石炭が約300〜500℃の温度において軟化溶融され、それ以上の温度においては固化するという特性を用いて、炭材入り成形炭を軟化溶融温度において焼成することにより炭材の軟化溶融及び固化を誘導して、成形炭内のバインダーとして活用して常温強度を確保する技術である。
【0007】
炭材の軟化溶融現象は、炭材の加熱速度が速ければ速いほどその効果が大きいことが知られているので、焼成炉内の成形炭の加熱速度をできる限り高めることが成形炭の常温強度の向上には一層効果的である。しかしながら、キルンのように密閉された焼成炉は、バーナーによる直火方式を用いて成形炭を昇温させる場合には成形炭の温度を管理するのが困難で、キルンの外部から熱を供給する間接加熱方式の場合には塊成鉱の昇温速度が遅いという問題がある。更に、焼成炉内において成形炭内の石炭揮発分の揮発が起こるが、揮発分を処理し難いという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第1448083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、強度を向上させた含炭塊成鉱、含炭塊成鉱の製造方法、及びその製造装置を提供する。
本発明は、環境汚染を低減させる含炭塊成鉱、含炭塊成鉱の製造方法及びその製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法は、鉄原料及び炭材が混合された混合物で成形炭を製造する過程と、前記成形炭を台車に装入して原料層を形成する過程と、前記台車を焼成炉の内部に移動させて熱処理する過程と、を含み、前記熱処理する過程は、前記焼成炉の内部において発生する排ガスのうちの一部を
燃焼炉において収集する過程と、
前記燃焼炉において収集された前記排ガスを燃焼させて熱風を生成する過程と、
熱風炉において前記熱風の温度を調節する過程と、温度の調節された前記熱風を前記焼成炉の少なくとも一部の領域に供給する過程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法において、前記焼成炉は、乾燥領域、石炭ガス化領域、焼成領域及び冷却領域に画成され、前記排ガスのうちの一部を収集する過程において、前記焼成炉の石炭ガス化領域において揮発ガスを収集してもよい。
【0012】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法における前記熱風を生成する過程において、前記揮発ガスを燃焼させて800〜900℃の熱風を生成してもよい。
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法における前記熱風を前記焼成炉の少なくとも一部の領域に供給する過程において、前記熱風は、500〜600℃に温度を調節されて供給されてもよい。
【0013】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法において、前記熱風は、温度が500℃よりも低い場合、前記焼成炉に熱風を供給する前に熱風炉において前記熱風を加熱された後に供給されてもよい。
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法における前記熱風炉において、前記熱風を加熱する過程において、前記熱風炉に外気を供給してもよい。
【0014】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法において、前記熱風の温度が600℃よりも高い場合に、前記熱風は、前記熱風炉において外気を混合して冷却されてもよい。
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法において、前記焼成炉に供給される熱風は、1〜5%の酸素の濃度を有していてもよい。
【0015】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法において、前記熱風は、前記焼成炉の焼成領域に供給されてもよい。
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法において、前記焼成領域の温度は、300〜700℃の範囲に制御されてもよい。
【0016】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法は、前記焼成領域において前記成形炭の昇温速度を50〜60℃
/分に調節してもよい。
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法は、前記焼成領域において前記炭材を軟化溶融させてもよい。
【0017】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法により製造された含炭塊成鉱は、140〜160kgf/pの常温強度を有していてもよい。
【0018】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造装置は、鉄原料及び炭材が収容される複数のホッパーと、前記ホッパーと連結され、前記鉄原料及び炭材の供給を受けて混合する混合器と、前記混合器から混合物の供給を受けて成形炭を圧縮する圧縮部材を有する成形器と、成形炭の装入された台車が移動する経路を形成する焼成炉と、前記焼成炉において発生する排ガスのうちの少なくとも一部を燃焼させて熱風を生成する燃焼炉と、前記燃焼炉と前記焼成炉を連通させ、前記熱風のうちの少なくとも一部を前記焼成炉に供給するガス供給配管と、を備え
、前記ガス供給配管と前記焼成炉との間に熱風炉が配設されることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造装置において、前記焼成炉は、乾燥領域、石炭ガス化領域、焼成領域及び冷却領域を有し、前記燃焼炉は、前記石炭ガス化領域と連通されてもよい。
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造装置において、前記ガス供給配管には、前記熱風を前記焼成炉に導く送風器が配設されてもよい。
【0020】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造装置において、前記ガス供給配管には、前記熱風を外部に排出するための分岐管が連結され、前記分岐管には、前記分岐管を選択的に開閉する弁及び脱硫装置が配設されてもよい。
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造装置において、前記ガス供給配管は、前記焼成領域と連通されてもよい。
【0021】
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造装置において、前記ガス供給配管と前記焼成炉との間に熱風炉が配設されてもよい
本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造装置において、前記熱風炉には、外気を流入させるための取込口及びバーナーが配設されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によれば、極微粉末状鉄鉱石及び炭材を用いて製造された成形炭を焼成する過程は、発生する排ガスのうちの一部を活用して焼成炉内の温度及び酸素の濃度を制御することができ、これにより、炭材が燃焼することを抑えながら成形炭を焼成することができると共に、成形炭の強度を増大させることができる。
【0023】
即ち、本発明は、焼成過程において発生する排ガスのうちの一部、例えば、揮発ガスを燃焼させて熱風を生産し、このようにして生産された熱風を焼成炉に循環させることによって焼成炉内の温度及び酸素の濃度を制御することができる。
【0024】
従って本発明は、焼成過程において成形炭を急速加熱して成形炭内の炭材の燃焼を抑えるとともに、軟化溶融させて成形炭内の気孔の発生を抑えることにより成形炭の強度を向上させることができる。
また本発明は、焼成過程において発生する排ガスを焼成炉内に循環させることにより排ガスによる環境汚染を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法を示す手順図である。
【
図2】本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法を用いて含炭塊成鉱を製造する過程において排ガスを処理する過程を示す手順図である。
【
図3】本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法を概念的に示す図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態による「含炭塊成鉱、含炭塊成鉱の製造方法及びその製造装置」について詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全であるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らしめるために提供されるものである。
図中、各種の構成要素を明確に表現するために大きさを誇張あるいは拡大して表現し、同じ符号は同じ構成要素を示す。
【0027】
図1は、本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法を示す手順図であり、
図2は、本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法を用いて含炭塊成鉱を製造する過程において排ガスを処理する過程を示す手順図であり、
図3は、本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法は、鉄原料及び炭材を用意する過程(S100、S200)と、鉄原料及び炭材を混合する過程(S300)と、鉄原料及び炭材が混合された混合物を成形して成形炭を製造する過程(S400)と、台車に成形炭を装入して原料層を形成する過程(S500)と、台車を焼成炉の内部に移動させながら成形炭を熱処理して含炭塊成鉱を製造する過程(S600)と、を含む。
【0029】
また、
図2に示すように、成形炭を熱処理する過程は、成形炭が熱処理、即ち、焼成されながら発生する排ガスのうちの一部を燃焼させて熱風を製造し、この熱風を焼成炉の内部に循環させる過程を更に含んでいてもよい。この過程は、排ガスを収集する過程(S610)と、排ガスを加熱して熱風を製造する過程(S620)と、熱風を焼成炉400に供給する過程(S640)と、を含んでいてもよい。なお、必要に応じて、熱風を焼成炉400に供給する前に熱風を再び加熱する過程(S630)を含んでいてもよい。
【0030】
ここで、鉄原料は鉄成分を含有する物質であり、被還元剤として鉄鉱石、鉄酸化物、製鋼工程中に発生した含鉄含鉄ダスト及び汚泥のうちの少なくともいずれか一種を用いてもよい。また、炭材は、鉄原料を還元させる還元剤であり、石炭及び製鋼工程において発生する含炭ダストのうちの少なくともいずれか一種を用いてもよい。
【0031】
このような過程を用いて含炭塊成鉱を製造するための含炭塊成鉱の製造装置は、
図3に示すように、鉄原料及び炭材がそれぞれ収容される複数のホッパー100、110と、各ホッパー100、110と連結され、鉄原料及び炭材の供給を受けて混合する混合器200と、混合器200において混合された混合物を圧縮する圧縮部材を有する成形器300と、成形器300において製造された含炭塊成鉱、即ち、成形炭を内部に装入させるように形成され、加熱部材を有し、成形炭を熱処理して含炭塊成鉱を製造する焼成炉400と、焼成炉400において製造された成形炭を粒度分離する選別器700と、を備えていてもよい。
【0032】
このとき混合器200は、ホッパー100、110から鉄原料及び炭材のそれぞれの供給を受けて破砕する破砕器(図示せず)を更に備えて、破砕器を用いて鉄原料及び炭材をそれぞれ破砕した後に破砕物が注入されてもよい。
また、成形器300は、図示しない圧縮部材を備える。圧縮部材は、例えば、向かい合うように設けられた一対のロールを有する成形器、即ち、双ロール式成形器を用いてもよい。このため、一対のロールの間に混合物が装入されると、前記一対のロールの回転による押出により成形炭が製造されてもよい。
【0033】
焼成炉400は、成形器300において製造された成形炭を熱処理するためのものであり、内部空間を有し、焼成炉400を加熱する加熱手段(図示せず)を備える。加熱手段は、バーナーであってもよく、加熱のための燃料として液化石油ガス(LPG)及び空気を用いる。また、バーナーにより発生された加熱ガスは、焼成炉400の内部を加熱し、これにより、焼成炉400内に装入された成形炭の熱処理が行われる。
【0034】
もちろん、焼成炉400を加熱するための手段としては、バーナーに加えて種々の手段が使用可能であり、燃料としても、液化天然ガス(LPG)及び空気に加えて種々の材料の原料が使用可能である。
また、焼成炉は、内部に成形炭を貯蔵した台車が移動可能な経路を有していてもよく、経路上の各領域別に温度を制御してもよい。
【0035】
例えば、
図4に示すように、焼成炉400は、乾燥領域401と、石炭ガス化領域402と、焼成領域403と、冷却領域404と、を備えていてもよく、もちろん、これらに熱風を供給するためのバーナー(図示せず)を更に備えていてもよい。
これにより、焼成炉400の内部には、台車が投入され、台車が焼成炉の各領域を連続的に移動しながら乾燥、石炭ガス化(または、予熱)、焼成、冷却などの過程が行われる。成形炭は、成形された後に多量の水分を含有しているが、これらは、ブリケット状若しくはペレット状物であるため、熱が供給されると、熱衝撃による破裂が起こる虞がある。
【0036】
このため、成形炭が貯蔵された台車は、焼成前に乾燥領域401を通過するようにして成形炭を乾燥させ、乾燥領域401を通過した後、焼成への一助とするために、石炭ガス化領域402を通過し、次いで、焼成領域403において成形炭の熱処理、即ち、焼成が行われた後、冷却領域404に到達して冷却される。
【0037】
従来は、成形炭は、焼成炉において1000℃以上に熱処理されて還元反応を起されて還元鉄を製造した。しかしながら、このような高温において還元鉄を製造すると、成形炭内の炭材は、燃焼されながら成形炭内に気孔に発生させて、製造される還元鉄の強度が低下してしまうという問題があった。これに対して本願発明の製造方法は、従来よりも比較的に低い300〜700℃において成形炭を熱処理して成形炭内の炭材の燃焼を抑え、炭材を軟化溶融させることにより、製造される含炭塊成鉱の強度を向上させることができる。
【0038】
このようにして製造された含炭塊成鉱は、焼成炉において還元されるか、或いは、含炭塊成鉱が必要な他の操業に用いられる。このとき、焼成炉において成形炭を用いて還元する場合は、炭材が軟化溶融して含炭塊成鉱内の密度が高くなり、製造される還元鉄内の気孔率を低減させて還元鉄の強度が低下することを抑制又は防止することができる。
【0039】
このために、本願発明においては、バーナーにより発生させた加熱ガスが焼成炉400の内部を加熱すると共に、焼成過程において発生する排ガス、例えば、石炭ガス化領域402において発生する揮発ガスを収集(S610)し、収集した揮発ガスを燃焼させて熱風を製造(S620)した後、熱風を焼成炉に供給(S640)して成形炭の焼成に必要な熱源として用いた。このとき、熱風を再加熱する過程(S630)を更に含んでいてもよい。このようにして製造される含炭塊成鉱内には、炭材が含まれていてもよく、140〜160kgf/pの常温強度を有していてもよい。
【0040】
図3に示すように、含炭塊成鉱の製造装置は、焼成炉400において発生する排ガスを収集するための第1のガス供給配管20と、該第1のガス供給配管20を介して収集された排ガスを内部に収容して燃焼させて熱風を製造するための燃焼炉500と、燃焼炉500及び焼成炉400を連通させる第2のガス供給配管22と、を備えていてもよい。このとき、第1のガス供給配管20には、焼成炉400内の排ガスを燃焼炉500に導くための第1の送風器10が配設されていてもよく、燃焼炉500には、排ガスに点火するための第1のバーナー510が配設されていてもよい。
【0041】
第1のガス供給配管20は、焼成炉400の一部の領域、例えば、石炭ガス化領域402において発生する排ガスである揮発ガスを収集する。このため、第1のガス供給配管20は、石炭ガス化領域402から揮発ガスを収集できるように、石炭ガス化領域402をカバーできるダクト状に形成されてもよい。通常、焼成炉400は成形炭を焼成するためのガスが焼成炉400の上部側から下部側、例えば、台車の上部から下部に移動するため、第1のガス供給配管20は、焼成炉400の下部側に連結されてもよい。
【0042】
第2のガス供給配管22は、熱風が移動する経路として用いられ、燃焼炉500及び焼成炉400を互いに連通させてもよい。このとき、第2のガス供給配管22の一方は、燃焼炉500に連結され、他方は、焼成炉400の焼成領域403に連結されてもよい。第2のガス供給配管22には、熱風を焼成炉400側に導くための第2の送風器12が配設されてもよく、熱風の温度を測定するための温度測定器30が配設されてもよい。
【0043】
また、第2のガス供給配管22には、スタック900と連結される分岐管24が連結されてもよく、分岐管24には、必要に応じて熱風をスタック900に排出できるように、分岐管24の内部流路を開閉する弁26が配設されてもよい。更に、分岐管24には、熱風内に含有される不純物、例えば、硫黄成分を除去するための脱硫装置800が配設されてもよい。このため、熱風がスタック900を介して外部に排出されるときには、熱風は硫黄成分が除去された状態で排出されて、環境汚染を低減させることができる。
【0044】
また、第2のガス供給配管22に沿って移動する熱風が冷却された場合は、これを目標とする温度に加熱するための熱風炉600を更に備えていてもよい。熱風炉600は、再び加熱された熱風の温度が低下することを抑えるために焼成炉400に隣り合うように配設されてもよい。熱風炉600には、外気を内部に流入させるための取込口602が形成されてもよく、必要に応じて、熱風を再び加熱するための第2のバーナー610が配設されてもよい。
【0045】
更に、含炭塊成鉱の製造装置は、上述した構成及び構造に何ら限定されるものではなく、種々に変更可能である。
このような構成を通じて、本発明の焼成炉400は、発生する排ガスのうちの一部、例えば、揮発ガスを燃焼させて製造される熱風を焼成炉400の内部に供給し、この熱風を含炭塊成鉱、即ち、成形炭を熱処理する熱源として用いることができ、またこのように、熱風を用いて成形炭を熱処理する場合、成形炭の急速加熱を誘導することができるとともに、比較的低い温度において熱処理が行えることから、炭材を軟化溶融させるとともに燃焼を抑えることができ、その結果、製造される含炭塊成鉱の強度を向上させることができる。
【0046】
以下、
図1から
図5を参照して、含炭塊成鉱を製造する方法についてより具体的に説明する。
まず、鉄原料を設け(S100)、還元剤として用いられる炭材を設け(S200)、これらを別設されたそれぞれのホッパー100、110に貯留する。また、それぞれのホッパー100、110に貯留された鉄原料及び炭材を破砕器(図示せず)に装入して破砕するが、鉄原料の粒度は0.1mm以下になるように破砕し、炭材の粒度は1mm以下になるように破砕してもよい。
【0047】
破砕器における鉄原料及び炭材のそれぞれの破砕が終わると、前記鉄原料及び炭材を混合器200に装入して混合する(S300)。このとき、鉄原料及び炭材が混合された混合物は、全体を基準として、炭材が全重量に対して15重量%以上含有されるように混合することが好ましい。このとき、鉄原料及び炭材に加えてバインダーを更に混合してもよい。本願発明においては、焼成過程中に炭材を軟化溶融させることにより、炭剤を鉄原料、例えば、極微細粉末状鉄鉱石を互いに結合するバインダーとして用いることができる。炭材が軟化溶融されると、粘度及び粘着性が増加して鉄原料を容易に結合させることができる。もちろん、混合物には、鉄原料、炭材、バインダーに加えて、不可避的な成分が混合されてもよい。
【0048】
次いで、上記混合物は、成形器300に装入されて成形され(S400)る。成形炭は、例えば炭材を内蔵するブリケット(briquette)であってもよい。
成形炭が製造されると、成形炭を台車に投入(S500)し、成形炭が装入された台車を焼成炉400内に移動させる。台車は、焼成炉400の乾燥領域401、石炭ガス化領域402、焼成領域403及び冷却領域404をこの順に移動し、これにより、台車に投入された成形炭の熱処理が行われる(S600)。
【0049】
焼成炉400成形炭の焼成、即ち、熱処理においては、成形炭に含有される炭材の燃焼を抑えるために焼成炉400の内部雰囲気を制御してもよい。焼成炉400の内部の酸素の濃度が高ければ、炭材が燃焼可能になるので、焼成炉400内の酸素の濃度を制御することができる。例えば、焼成炉400内の酸素の濃度が15%以下になるように調節して炭材の燃焼を抑えることができる。酸素の濃度の調節のために、焼成炉400の内部に不活性ガス、例えば、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)などを供給してもよい。
【0050】
このように熱処理が行われながら、焼成炉400の内部においては排ガスが発生する。排ガスは、焼成炉400の全域に亘って発生するが、特に、石炭ガス化領域402においては、炭材内のタール、ピッチなどの揮発成分が揮発しながら揮発ガスが発生する。
このようにして発生した揮発ガスは、第1の送風器による吸引力により第1のガス供給配管20を介して収集されて燃焼炉500に供給されてもよい。このとき、石炭ガス化領域402の温度は約300〜800℃に制御され、ここで発生する揮発ガスの温度は約300〜500℃である。
【0051】
燃焼炉500においては、第1のバーナー510を用いて燃焼炉500内に供給された揮発ガスを点火させて燃焼させる。これにより、燃焼炉500において、揮発ガスが燃焼して熱風が発生する。このとき、燃焼炉500に外気を流入させて熱風量や温度を調節してもよい。燃焼炉500においては、揮発ガスを燃焼させて約800〜900℃の熱風を製造してもよい。 熱風が製造されると、熱風を第2のガス供給配管22に搬送して焼成炉400に供給する。熱風は、第2のガス供給配管22に配設される第2の送風器12により焼成炉400側に導かれて焼成炉400の焼成領域403に供給される。このとき、熱風は、約500〜600℃の温度を有するように調節された後に焼成炉400に供給されてもよい。
【0052】
図4は、本発明の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法を概念的に示す図である
図4に示すように、燃焼炉500において製造された熱風は、温度が焼成炉400まで達するときに約500〜600℃を維持している場合には、焼成炉400の焼成領域403にそのまま供給してもよい。
【0053】
図5は、本発明の他の実施形態による含炭塊成鉱の製造方法を概念的に示す図である。
しかしながら、
図5に示すように、燃焼炉500において製造された熱風の温度が約500〜600℃に達しない場合には、熱風炉600において熱風を再び加熱して約500〜600℃に調節した後に焼成炉400の焼成領域403に供給してもよい。
このように、第2のガス供給配管22を介して熱風を搬送する過程において、温度測定器30を用いて熱風の温度を測定し、その測定結果に基づいて熱風を冷却または加熱して熱風の温度を調節してもよい。温度測定器30は、第2の送風器12の前段に配設されて熱風が第2の送風器12を通過する前にその温度を測定してもよい。
【0054】
温度測定器30により測定された熱風の温度が約600℃以上である場合には、第2のガス供給配管22に外気を流入させて熱風の温度を低下させてもよい。あるいは、熱風炉600の取込口602を介して外気を流入させて熱風の温度を低下させてもよい。
また、温度測定器30により測定された熱風の温度が500℃以下である場合には、熱風炉600において第2のバーナー610を用いて熱風を加熱して約500〜600℃に昇温させた後に焼成炉400に供給してもよい。このとき、熱風炉600において熱風を加熱する過程において、熱風炉600の取込口602を介して熱風炉600内に外気を流入させてもよい。
【0055】
このように、焼成炉400に供給される熱風の流量が十分ではないか、或いは、熱風炉600において加熱された熱風の温度が高過ぎる場合、例えば、600℃よりも高い場合には、外気を混合して熱風の温度を約500〜600℃に調節してもよい。
このように、焼成炉400に供給される熱風の温度を約500〜600℃に調節する理由は、成形炭内の炭材が約300〜500℃において軟化溶融されるためであり、このような過程は約5〜10分間行ってもよい。
【0056】
従来は、成形炭を1000℃以上の温度にして直接的に還元させたが、この温度は非常な高温であり、成形炭に含有された炭材が燃焼可能な温度である。成形炭の還元をこのように高い温度において行うと、成形炭内の炭材が燃焼しながら気孔を形成するため、焼成後に製造された還元鉄は、強度が低下してしまうという問題がある。このため、成形炭を従来の還元温度よりも比較的に低温、例えば、300〜700℃で予熱処理して炭材の粘性及び粘着性を増大させて鉄鉱石と炭材間の結合力が向上した含炭塊成鉱を製造し、次いで、必要に応じて、還元工程を行うことにより還元鉄の強度の低下を防ぐことができる。
【0057】
焼成炉400の焼成領域403に熱風が供給されると、成形炭は、約50〜60℃/分の速度で昇温される。成形炭の昇温速度は、コークスを製造するときの昇温速度(約4℃/分)よりもはるかに高速であり、このような昇温速度は、炭材の軟化溶融を促進することができる。
【0058】
また、焼成炉400に熱風を供給するに際して、熱風中の酸素の濃度は、5%以下にすることが好ましく、約1〜5%に調節することがより好ましい。熱風中の酸素の濃度が低ければ低いほど好ましいが、焼成炉400が完全に閉鎖された状態ではないため、酸素の濃度は、上記の範囲よりも低く調節することはできない。また、熱風中の酸素の濃度が上記の範囲よりも高い場合には、還元反応中に炭材が燃焼してしまうという問題がある。
【0059】
一方、焼成炉400に問題が発生するか、或いは、熱風炉600に問題が発生した場合は、搬送された熱風を、第2のガス供給配管22と第2のガス供給配管22に連結された分岐管24を介してスタック900から外部に排出してもよい。このとき、分岐管24に配設された弁26を用いて分岐管24の内部流路を開放して熱風を分岐管24側に流入させ、脱硫装置800において熱風中の硫黄成分を除去した後、スタック900を介して外部に排出してもよい。
【0060】
このように、製造される成形炭の強度は、焼成炉400において発生する排ガスのうちの一部、例えば、揮発ガスを燃焼させて熱風を製造し焼成炉400に循環させて、成形炭を熱処理するのに必要な熱源として用いることにより向上させることができる。なお、エネルギーコストを節減することができるというメリットもある。
【0061】
本発明の技術的思想について前記実施形態により具体的に記述したが、前記実施形態は本発明の説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者は、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が採用可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0062】
100、110 ホッパー
200 混合器
300 成形器
400 焼成炉
500 燃焼炉
600 熱風炉
700 選別器
800 脱硫装置
900 スタック