(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサ部は、前記本体又は前記ドアに結露が生じた場合に変化する誘電率に基づいて結露及び結露量を検知することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫の結露検知及び除去装置。
前記本体の前面部及び前記ドアに取り付けられたピラーの前面部の少なくとも一方の内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫の結露検知及び除去装置。
前記センサ部は、前記ピラーの前面部の内部に設けられ、前記ピラーの前面部から空間的に分離されて配置されることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫の結露検知及び除去装置。
前記センサ部は、前記本体を構成するアウトケースの内部に設けられ、前記本体の前面部から空間的に分離されて配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫の結露検知及び除去装置。
前記センサ部による誘電率の測定値が設定値以上になると前記ヒータの動作のために電気的信号を供給する制御部をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫の結露検知及び除去装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ドア周辺の温度や湿度により算出された値に基づいて間接的に結露を判断してヒータの運転を制御する場合は、冷蔵庫の結露が生じる地点で直接的に結露を検知するわけではないので、結露の正確な測定が困難であり、不要なヒータの動作を生じさせるという問題があった。また、結露による抵抗の測定を用いる場合は、異物による誤測定の恐れがあった。
【0007】
よって、冷蔵庫の結露の正確な測定のために、ドア周辺の温度や湿度により結露の有無を間接的に判断するのではなく、冷蔵庫の結露が生じる地点で直接的に結露を検知し、その後ヒータを駆動することにより、不要な電力消費を防ぐ必要がある。また、冷蔵庫本体の前面部の内部やピラーの内部で冷蔵庫の前面に生じる結露を検知するようにすることにより、センサが外部に露出しないので異物がつくことがない結露検知及び除去装置が必要となっている。
【0008】
本発明の目的は、冷蔵庫の前面に結露が生じる現象を防止できる装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、冷蔵庫に生じる結露を直接検知し、隣接して配置されるヒータの駆動により結露を除去することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、結露が生じた場合にのみセンサ部により結露が検知されるようにすることにより、検知の正確度を向上させてヒータの動作を最小限に抑えることにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、結露を検知するセンサ部が外部に露出しないようにしながらも、冷蔵庫の前面(冷蔵庫本体の前面部やピラー)に生じる結露を検知及び除去できる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態による冷蔵庫の結露検知及び除去装置は、冷蔵庫の本体及びドアの少なくとも一方における金属からなる表面の内側に配置されるヒータと、前記ヒータに隣接して配置され、前記本体又は前記ドアに生じる結露を結露が生じる部分から分離された区域で非接触式で検知するセンサ部とを含み、前記センサ部により検知される結露を前記ヒータの駆動により除去するようにしてもよい。
【0013】
本発明の一態様によれば、前記センサ部は、前記本体又は前記ドアに結露が生じた場合に変化する誘電率に基づいて結露及び結露量を検知するようにしてもよい。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記ヒータ及び前記センサ部は、結露が生じる部分から離隔して分離された隔壁の内部に配置されるようにしてもよい。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記冷蔵庫の結露検知及び除去装置は、前記本体の前面部及び前記ドアに取り付けられたピラーの前面部の少なくとも一方の内側に配置されるようにしてもよい。
【0016】
本発明の一態様によれば、前記センサ部は、CMC(Carbon-Micro-Coil)を備え、予め設定された距離内に生じる結露に反応して物理的な変化を発生するCMCセンサと、前記CMCセンサに接続され、前記CMCセンサの物理的な変化による誘電率の測定値を送る電極を備える基板とを含むようにしてもよい。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記センサ部は、前記ピラーの前面部の内部に設けられ、前記ピラーの前面部から空間的に分離されて配置されるようにしてもよい。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記本体の前面部及び前記ピラーの前面部は、金属材料からなるようにしてもよい。
【0019】
本発明の一態様によれば、前記センサ部は、前記本体を構成するアウトケースの内部に設けられ、前記本体の前面部から空間的に分離されて配置されるようにしてもよい。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記ピラーは、上下方向に延設される板状の第1部材と、前記第1部材と結合して内部に空間を形成する第2部材とからなり、前記センサ部は、前記第1部材の背面の複数箇所に設けられるようにしてもよい。
【0021】
本発明の一態様によれば、前記冷蔵庫の結露検知及び除去装置は、前記センサ部による誘電率の測定値が設定値以上になると前記ヒータの動作のために電気的信号を供給する制御部をさらに含むようにしてもよい。
【0022】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態による冷蔵庫の結露検知及び除去装置の制御方法は、冷蔵庫における本体の前面部及びピラーに生じる結露により変化する誘電率をセンサ部により測定する第1段階と、前記第1段階で測定された誘電率値と第1基準値とを比較し、前記測定された誘電率値が前記第1基準値より大きい場合、前記本体の前面部及び前記ピラーの前面部の少なくとも一方の内側に配置されたヒータを動作させる第2段階と、前記第2段階による前記ヒータの動作中に、前記センサ部により誘電率を測定する第3段階と、前記第3段階で測定された誘電率値と第2基準値とを比較し、前記測定された誘電率値が前記第2基準値より小さい場合、前記ヒータの動作を中止する第4段階とを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
このような構成の本発明によれば、冷蔵庫の前面につく露を検知してヒータを駆動することにより、結露が生じる現象を防止することができる。
【0024】
また、このような構成の本発明によれば、CMCを備えるセンサ部により誘電率の変化に基づいて冷蔵庫本体の前面部及びピラーの前面部に生じる結露を検知することができる。
【0025】
さらに、このような構成の本発明によれば、冷蔵庫本体の前面部やピラーに生じる結露を、温度センサや湿度センサにより間接的に検知するのではなく、センサ部により直接的に検知することにより、結露検知の正確度を高めることができるので、結露除去のためのヒータの駆動を最小限に抑えることができる。
【0026】
さらに、このような構成の本発明によれば、結露検知のためのセンサを冷蔵庫本体の前面部の内部及びピラーの内部に配置し、結露を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態による冷蔵庫の結露検知及び除去装置とその制御方法について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
本明細書においては、異なる実施形態であっても同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号を付し、重複する説明は省略する。本明細書において用いられる単数の表現は、特に断らない限り、複数の表現を含む。
【0030】
図1は本発明による冷蔵庫を示す正面図である。
本発明による冷蔵庫100は、圧縮、凝縮、膨張及び蒸発の過程からなる冷凍サイクルにより生成された冷気を用いて冷蔵庫本体110の内部に貯蔵された食品を低温に維持する装置である。
【0031】
図1においては、上部に冷蔵室が設けられて下部に冷凍室が設けられるボトムフリーザタイプの冷蔵庫を示す。ただし、本発明は、ボトムフリーザタイプの冷蔵庫に限定されるものではなく、冷凍室が冷蔵室の上方に配置されるトップマウントタイプの冷蔵庫にも適用可能である。
【0032】
冷蔵庫100の前面部にはドア120、121、123が配置され、ドア120、121、123は冷蔵庫100の前面を形成する。ボトムフリーザタイプの冷蔵庫100においては、冷蔵室ドア120、121が冷凍室ドア123の上方に設けられ、冷凍室ドア123が冷蔵室ドア120、121の下方に設けられる。
【0033】
冷蔵室ドア120、121及び冷凍室ドア123は、それぞれ冷蔵庫本体110の左右に設けられ、左側のドア120、123と右側のドア121、123とは、それぞれ逆方向に回動して冷蔵庫100の内部を開閉するようにしてもよい。
【0034】
冷蔵庫100の下部には、冷蔵庫100の高さ調整のための高さ調整ネジ115が設けられてもよい。高さ調整ネジ115は、冷蔵庫本体110から引き出されるか、又は冷蔵庫本体110に挿入されるように構成される。高さ調整ネジ115は、冷蔵庫100を設置する場所に応じて冷蔵庫100を水平に配置する役割を果たす。
【0035】
本実施形態においては、フレンチドア冷蔵庫を例に説明しているが、本発明による冷蔵庫の結露検知及び除去装置101は、ドアの数に関係なく適用可能である。
【0036】
図2は冷蔵室ドアが開放された状態の冷蔵庫を示す斜視図であり、ドアと冷蔵室の内部を示す。
【0037】
冷蔵室ドア120、121は、食品を貯蔵するための冷蔵庫100の内部空間を開閉するように回動可能になっている。冷蔵室ドア120、121は冷蔵室を開閉し、冷凍室ドア123は冷凍室を開閉する。冷蔵室ドア120、121及び冷凍室ドア123は冷蔵庫本体110に回動可能に設けられる。各ドア120、121、123の回動はヒンジにより実現することができる。冷蔵庫100は、各ドア120、121、123の回動を実現するために複数のヒンジ116を含む。各ヒンジ116は、設置位置によって上部ヒンジ、下部ヒンジ及び中間ヒンジに分けられる。
【0038】
図5に示すように、冷蔵庫100の内部空間には、効率的な空間活用のための収納ユニットが少なくとも1つ備えられる。前記収納ユニットの一部は各ドア120、121、123に備えられてもよい。前記収納ユニットは、棚117、トレー、バスケット118を含む概念である。棚117は、冷蔵庫本体110の貯蔵空間119に食品を配置するためのものである。トレーは、摺動可能になっており、トレーを引き出したときに露出する空間に食品を貯蔵することができる。バスケット118は、ドア120、121、123の内側に設けられる。冷蔵庫本体110の上面には上部ヒンジ116が設けられる。ドア120、121、123は、外部プレート(図示せず)、ドアライナー124及びガスケット125を含んでもよい。
【0039】
ドア120、121、123は回動型、引出型など多様に構成できるが、本発明による冷蔵庫100は、ドアの開閉動作によってピラー130が回動する構成を有するものであるので、ドア120、121、123を回動型にすることが好ましい。冷蔵庫本体110は、内部に貯蔵空間119を形成し、冷蔵庫本体110の左右側に設けられて異なる方向に回動することで冷蔵庫本体110の貯蔵空間119を開閉する冷蔵室ドア120、121及び冷凍室ドア123を含む。以下、説明の便宜上、冷蔵室ドア120、121を、冷蔵庫本体110の左側に設けられて貯蔵空間119の前面に配置されたドアである第1ドア120と、冷蔵庫本体110の右側に設けられて貯蔵空間119の前面に配置されたドアである第2ドア121に区分して説明する。
【0040】
図3は冷蔵庫本体の前面部を示す斜視図であり、冷蔵庫本体の前面部の内側に配置されたセンサ部やヒータなどを示す。
【0041】
本発明において、冷蔵庫本体110の前面部111とは、冷蔵庫本体110を構成するフレームの前面部を意味し、冷蔵庫本体110の貯蔵空間119と周辺の温度差により結露が生じ得る部分である。すなわち、冷蔵庫本体110の前面部111とは、冷蔵庫本体110のフレームの前面部を意味する。ヒータ150及びセンサ部140が配置される空間を有する冷蔵庫本体110の前面部111及びその構造については後述する。
【0042】
冷蔵庫本体110の貯蔵空間119は、食品の貯蔵のために低温に維持されるので、冷蔵庫本体110において貯蔵空間119の前面に位置する前面部111には周辺との温度差により結露が生じる。
【0043】
冷蔵庫本体110の前面部111についた結露は前面部111に沿って下方に流れて冷蔵庫100が載置された床面に溜まることがあるが、見た目によくない。
【0044】
本発明は、冷蔵庫100の前面につく結露を検知してヒータ150を駆動することにより、結露が生じる現象を防止することを目的とするものであって、冷蔵庫本体110の前面部111の内部及びピラー130の内部にそれぞれ配置されるヒータ150と、ヒータ150に隣接して配置されて冷蔵庫100の内部と外部の温度差により冷蔵庫本体110又はピラー130に生じる結露を非接触式で検知するセンサ部140とを含む、冷蔵庫の結露検知及び除去装置101に関する。冷蔵庫の結露検知及び除去装置101は、センサ部140により検知される結露をヒータ150の駆動により除去することにより、冷蔵庫本体110の前面部111及びピラー130に結露が生じることを防止することができる。
【0045】
図4は本発明による冷蔵庫を示す側面図であり、前面部を拡大して前面部の構造とその内部に配置されたセンサ部及びヒータを示す。
【0046】
冷蔵庫本体110は、アウトケース112とインナーケース113とが噛み合って固定される構造を有する。
【0047】
図4の拡大部分を参照すると、冷蔵庫本体110の前面部111は、上部が外部に露出するアウトケース112と、アウトケース112の下方に配置されて冷蔵庫本体110の貯蔵空間119に沿って延びるインナーケース113とが噛み合うことにより支持される構造を有する。アウトケース112及びインナーケース113は金属からなる。アウトケース112とインナーケース113との噛合構造により形成される内部空間には断熱材114が配置される。断熱材114は、冷蔵庫100の内部と外部の温度差による結露現象を防止するためのものであり、ウレタンからなる。
【0048】
本発明は、冷蔵庫本体110の前面部111において隣接して配置されるセンサ部140及びヒータ150を用いて、センサ部140により結露を検知し、その後ヒータ150の駆動により結露を除去することができる。本発明は、センサ部140とヒータ150が隣接して配置されるという特徴を有するものであり、センサ部140により結露が検知されるとヒータ150を駆動してその結露が検知された部分を加熱することにより結露を除去することができる。
【0049】
センサ部140は、結露により変化する誘電率を検知する役割を果たすものであり、ヒータ150に隣接して配置され、冷蔵庫本体110又はドア120、121、123に生じる結露を結露が生じる部分から分離された区域で非接触式で検知する。例えば、センサ部140は、
図4に示すように、冷蔵庫本体110の前面部111から空間的に分離されるように金属製のアウトケース112の背面に設けられ、冷蔵庫本体110の前面部111に生じる結露を検知する。つまり、本発明による冷蔵庫の結露検知及び除去装置101は、冷蔵庫本体110の前面部111に沿ってその内部に配置されるヒータ150及びセンサ部140からなる。
【0050】
ヒータ150及びセンサ部140は、結露が生じる部分から離隔して分離された隔壁の内部に配置されるが、冷蔵庫本体110の前面部111を構成するアウトケース112の内側の何処に配置されてもよい。また、ヒータ150及びセンサ部140は、ピラー130の内部に配置されてもよい。
【0051】
ヒータ150は、アウトケース112の背面に沿って延びるが、アウトケース112の背面に配置されてもよく、アウトケース112の背面から所定距離離隔して配置されてもよい。センサ部140は、アウトケース112の内部においてヒータ150に隣接して配置されてもよい。なお、センサ部140は、アウトケース112の複数箇所に配置されてもよい。
【0052】
センサ部140は、金属の前面に生じる結露の量に応じて変化する誘電率を測定する役割を果たすものであり、アウトケース112の前面部に生じる結露により変化する誘電率を測定して結露を検知する。
【0053】
センサ部140は、CMCセンサ及び基板を含む。CMCセンサは、CMCを備え、ピラー130の前面部に生じる結露により変化する誘電率を測定する。CMCは、マイスナー小体に類似した構造を有する磁性材料ベースのコイルであって、直線ではなく、豚のしっぽのようならせん構造を有する。CMCは、非晶質の炭素繊維からなっていて優れた弾力性を有するが、元のコイル長の10倍以上に伸びる超弾力性を有する。CMCは、電気回路の中核部品であるインダクタとして活用することができる。また、CMCは、電気・化学的な特性により、電磁波吸収材、水素吸蔵材、マイクロ波発熱材、触覚近接センサ、生物活性化剤など、幅広い分野に活用することができる。特に、従来の炭素素材は低い周波数で電磁波を遮断することしかできなかったが、CMCは数十GHz以上の高周波領域で電磁波を99%以上吸収できるという利点がある。
【0054】
ピラー130の前面部に生じる結露の量に応じて誘電率が変化し、金属製のアウトケース112の前面部に生じる結露の量に応じて誘電率が変化する。CMCは、変化する誘電率に反応して物理的な変化を発生し、それによりインピーダンスが変化する。ここで、物理的な変化とは、CMCを構成する各コイルの間隔が増加又は減少する現象をいう。CMCセンサは、直接接触する結露だけではなく、所定距離内に存在する結露も非接触式で検知することができる。
【0055】
CMCセンサは、CMCセンサに接触し、CMCセンサの物理的な変化による磁性変化に応じた誘電率を測定して外部に送る電極が形成される基板上に配置される。基板は、電源部に接続され、外部からCMCセンサの動作のための電源の供給を受ける。すなわち、センサ部140は、CMCセンサにより検知されるアウトケース112の前面部に生じる結露の量に応じた誘電率の変化により結露の有無を検知することができる。
【0056】
ヒータ150は、アウトケース112の内部において、冷蔵庫本体110の前面部111に沿って延びるように配置される。ヒータ150は、電源が供給されると発熱する構造を有するものであり、抵抗値の大きい物質からなる。一般的には銅からなるが、これに限定されるものではない。センサ部140は、冷蔵庫本体110の前面部111に生じる結露により変化する誘電率を検知してその誘電率値に関するデータを制御部(図示せず)に送り、前記制御部は、その誘電率値が基準値以上の場合、結露が生じたと判断し、ヒータ150の駆動のための信号を送信し、ヒータ150は、電源の供給により発熱し、アウトケース112の前面部に生じる結露を蒸発させて除去する。
【0057】
アウトケース112の前面部に生じる結露が除去されると、センサ部140により検知される誘電率も変化する。センサ部140により検知される誘電率値が基準値以下となると、前記制御部は、ヒータ150の駆動中止のための信号を送信する。
【0058】
本発明は、センサ部140が結露を検知した場合にのみ前記制御部がヒータ150を駆動するようにすることにより、ヒータ150の駆動を最小限に抑えることができ、不要なヒータ150の駆動を抑えて冷蔵庫100の温度が不要に上昇することを防止することができるので、冷蔵庫100の本来の目的である食品の低温貯蔵にさらに忠実なものとなり、冷蔵庫100の消費電力を低減することができる。
【0059】
図5は冷蔵室ドアが開放された状態の冷蔵庫を示す部分斜視図であり、冷蔵庫本体の前面部及び内部空間を示す。
【0060】
図5を参照すると、ピラー130は、左側のドア120、123と右側のドア121、123のいずれか一方のドアの一側に設けられる。ここで、一方のドアの一側とは、左右両方のドアが閉じている場合に一方のドアにおいて他方のドアに対向する部分をいう。ピラー130は、第1ドア120又は第2ドア121のいずれの一側に設けられてもよい。また、ピラー130は、左側の冷凍室ドア123と右側の冷凍室ドア123のいずれの一側に設けられてもよい。
【0061】
図5は冷蔵室ドア120、121がどちらも開いている状態を示すが、冷蔵室ドア120、121がどちらも閉じている状態では、左側の冷蔵室ドア120に設けられたピラー130は右側の冷蔵室ドア121に対向する。すなわち、左右両方の冷蔵室ドア120、121が閉じている状態では、ピラー130が左側の冷蔵室ドア120と右側の冷蔵室ドア121との間に位置する。
【0062】
使用者が冷蔵庫100の内部に貯蔵された食品を取り出したりする過程でドアの開閉動作が繰り返されるので、左側の冷蔵室ドア120と右側の冷蔵室ドア121とが当接配置された場合や、左側の冷凍室ドア123と右側の冷凍室ドア123とが当接配置された場合は、開閉動作の繰り返しによりドアの破損が発生することがある。よって、開閉動作の繰り返しによるドアの破損を防止するために、左側のドア120、123と右側のドア121、123とは離隔配置される。すなわち、
図1及び
図2に示すように、左側のドア120、123と右側のドア121、123が閉じている場合、冷蔵室ドア120、121間及び冷凍室ドア123、123間には縦方向に延びる間隙があるが、ピラー130は、左側のドア120、123と右側のドア121、123のいずれか一方のドアの一側に設けられて当該間隙を閉塞する。
【0063】
図6は一方の冷蔵室ドアが閉鎖された状態の冷蔵庫を示す部分斜視図であり、閉鎖された冷蔵室ドア及びドア間に配置されたピラーを示す。
【0064】
図5及び
図6を参照すると、ピラー130はドア120、121のいずれか一方のドアの一側に設けられるが、ピラー130は、ドアに設けられる構成にするのではなく、冷蔵庫本体110に設けられる構成にしてもよい。ただし、ピラー130が冷蔵庫本体110に設けられた場合、ピラー130は、冷蔵庫本体110の前面部111に固定されるので、冷蔵庫本体110の貯蔵空間119を縦方向に遮ることになる。このようにピラー130が冷蔵庫本体110に設けられる構造は、冷蔵庫100の内部空間に食品を出し入れする使用者の動作に干渉するという問題があるので好ましくない。
図5及び
図6に示すように、ピラー130がドアの一側に設けられた場合は、ドアが開くときにピラー130がドアに取り付けられた状態でドアの回動により共に移動するので、ピラー130は、冷蔵庫本体110の貯蔵空間119を遮らず、冷蔵庫100の内部空間に食品を出し入れする使用者の動作に干渉することがない。
図5及び
図6に示すように、ピラー130の上端部に突出部135が形成され、突出部135が冷蔵庫本体110に設けられた収容部136の曲面を移動するようにすることにより、ドアの回動による開閉動作を実現することができる。
【0065】
ピラー130は、冷蔵庫100のドアが閉じている場合、冷蔵庫100のドア間に位置し、冷蔵庫本体110の貯蔵空間119の前面に位置する。ピラー130の前面部には冷蔵庫本体110の貯蔵空間119と周辺の温度差により結露が生じる。
【0066】
図7はピラーを示す正面図である。
ピラー130は、冷蔵庫100のドアの一側に回動可能に設けられ、冷蔵庫100のドア間の間隙を閉塞することにより冷気の漏れを防止する役割を果たす。ピラー130は、第1ドア120と第2ドア121が冷蔵庫本体110に密着したときに第1ドア120と第2ドア121間の間隙を閉塞するように上下方向に延設される。
【0067】
ピラー130は、第1部材132及び第2部材133を含む。
【0068】
第1部材132は、上下方向に延設される板状部材であり、第2部材133と結合される。第1部材132は、ピラー130の前面部を構成し、結露により誘電率が変化するように金属からなる。これは、センサ部140が第1部材132の背面部132aで第1部材132の前面部に生じる結露により変化する誘電率を測定するようにするためである。ピラー130の前面部、すなわち第1部材132の前面部に結露が生じると、センサ部140により検知される誘電率が変化する。
【0069】
第1部材132と第2部材133とは結合されて内部空間137を形成する。具体的には、第2部材133は、第1部材132の背面部132aにネジや接着材などを用いて固定してもよい。センサ部140は、ピラー130の前面部に生じる結露により変化する誘電率を測定する。誘電率は結露量が多くなるほど増加する。
【0070】
第2部材133に生じる結露ではなく、第1部材132の前面部、すなわちピラー130の前面部に生じる結露を検知するために、第2部材133は、金属からなる第1部材132とは異なり、プラスチックや合成樹脂などからなる。
【0071】
センサ部140は、ピラー130の内部に設けられてもよい。具体的には、センサ部140は、第1部材132と第2部材133との結合により形成される内部空間137のいずれか一側に配置されてもよく、第1部材132の背面部132aのいずれか一側に配置されてもよい。ただし、センサ部140は、外部に露出して配置されてはならない。また、センサ部140は、ピラー130の内部空間137又は第1部材132の背面部132aの複数箇所にそれぞれ設けられてもよい。この場合、各センサ部140は所定範囲内における第1部材132の前面部に生じる結露により変化する誘電率をそれぞれ測定するので、結露検知の正確性及び感度がさらに高くなる。
【0072】
センサ部140は、CMCセンサ及び基板からなり、冷蔵庫本体110の前面部に配置されるセンサ部140と構成が同一である。センサ部140は、前述したように、CMCを備え、ピラー130の内部空間137又は第1部材132の背面部132aに配置され、第1部材132の前面部に生じる結露を非接触式で検知する。CMCセンサの構造及びCMCについての説明は前述した通りである。
【0073】
ピラー130の前面部に結露が生じると、センサ部140により検知される誘電率が変化し、CMCセンサは、変化する誘電率に反応して物理的な変化を発生し、それによりインピーダンスが変化する。CMCは、直接接触する結露だけではなく、所定距離内に存在する結露も非接触式で検知する役割を果たす。
【0074】
ヒータ150は、ピラー130の内部空間137又は第1部材132の背面部132aに設けられ、センサ部140により測定された誘電率値が所定の基準値(設定値)以上の場合、ピラー130の前面に生じる結露を蒸発させるように発熱する。ヒータ150の駆動は、前記制御部の判断及び信号送信により行われる。ヒータ150についての説明は前述した通りである。
【0075】
ピラー130は、第1部材132と第2部材133間の熱交換を遮断するために、第1部材132と第2部材133との間の内部空間137に断熱材が配置されるようにしてもよい。前記断熱材は、熱遮断性の高い発泡スチロールからなるようにしてもよい。ただし、ピラー130には断熱材を十分に充填できないという限界がある。これは、ドアの開閉動作によって回動するピラー130の動作構造及び大きさの制限に起因する。ピラー130の動作構造及び大きさの制限により、ピラー130の表面は露点以下の温度に下がり、ピラー130の表面には結露が生じる。そこで、本発明は、ピラー130に結露が生じることを防止するために、ピラー130の内部に設けられたヒータ150から発生する熱により結露を蒸発させる。
【0076】
前記制御部は、センサ部140により測定された誘電率値が所定の基準値以上の場合、ヒータ150を動作させるためにヒータ150に電気的信号を供給する。前記制御部は、センサ部140により測定された誘電率値が所定の基準値以上であるか否かを判断し、基準値以上の場合、ヒータ150の動作のための信号をヒータ150に送信する。
【0077】
このように、本実施形態においては、ピラー130の表面に結露が生じることを防止するためにピラー130の内部にヒータ150を設け、ヒータ150の加熱によりピラー130の温度を上昇させることでピラー130に生じる結露を除去する。ただし、ヒータ150を駆動すると、さらなる電力消費が発生し、ヒータ150の駆動により発生する熱が冷蔵庫100の内部に流入するので、食品の低温貯蔵という冷蔵庫100の本来の目的を損なうことになり、消費電力が高くなる原因となる。よって、結露を防止するためにヒータ150を駆動する際には、そのヒータ150の駆動時点を正確に判断しなければならない。本実施形態においては、ヒータ150に隣接して配置されるセンサ部140により結露を直接検知して制御部に信号を送信し、結露によるヒータ150の駆動時点を判断するようにする。
【0078】
図8は
図7のピラーのA−A’線断面図である。
【0079】
前述したように、ピラー130は、第1部材132及び第2部材133を含む。
【0080】
図8を参照すると、センサ部140は、第1部材132の背面部132aに配置される。ここで、第1部材132の背面部132aとは、第1部材132の前面部の裏面をいい、第2部材133に対向して配置される第1部材132の一面を意味する。センサ部140は、第1部材132の前面部に生じる結露を検知する役割を果たし、センサ部140により結露が検知されると、第1部材132と第2部材133との間に配置されたヒータ150を駆動して第1部材132の前面部に生じる結露を蒸発させる。第1部材132に生じる結露が除去されると、センサ部140により測定される誘電率値は元の値に戻る。
【0081】
図9は
図8のピラーの変形例を示す断面図である。
図9の変形例においては、
図8の例とは異なり、センサ部140が第1部材132と第2部材133との間の内部空間137、とりわけ第2部材133の前面部133aに設けられた場合を示す。第2部材133は、プラスチックなどの絶縁部材からなる。センサ部140は、第1部材132の前面部に生じる結露を検知するためのものである。第1部材132と第2部材133との間の内部空間137には断熱材が配置されており、内部空間137に結露が生じることを防止する。よって、センサ部140は、第1部材132の前面部に生じる結露により変化する誘電率を測定することができる。センサ部140の構成は前述した通りである。
【0082】
以上、本発明による冷蔵庫の結露検知及び除去装置について詳細に説明した。以下では、前記結露検知及び除去装置の制御方法について説明する。
【0083】
図10は本発明による冷蔵庫の結露検知及び除去装置の制御方法を示すフローチャートである。
【0084】
本発明による冷蔵庫の結露検知及び除去装置の制御方法は、第1段階〜第4段階からなる。
【0085】
第1段階は、冷蔵庫本体110の前面部111及びピラー130に生じる結露により変化する誘電率をセンサ部140により測定する段階である。センサ部140は、前述したようにCMCセンサを含むので、冷蔵庫本体110の前面部111の内部及びピラー130の内部で冷蔵庫本体110の前面部111及びピラー130に生じる結露の量に応じて変化する誘電率を測定する役割を果たす。
【0086】
第2段階は、前記第1段階で測定された誘電率値と第1基準値とを比較し、前記測定された誘電率値が前記第1基準値より大きい場合、冷蔵庫本体110の前面部111の内部及びピラー130の内部に配置されたヒータ150を動作させる段階である。ヒータ150は、電源の供給により発熱し、冷蔵庫本体110の前面部111及びピラー130の前面に生じる結露を蒸発させて除去する役割を果たす。ヒータ150を駆動するための信号は、制御部から送信されるが、前記制御部は、前記第1段階で測定された誘電率値と第1基準値とを比較し、前記測定された誘電率値が前記第1基準値より大きくなると、ヒータ150を駆動するための電源供給のための信号を送信する。前記第1基準値は、結露の量に応じた誘電率値により決定され、実験的に決定される値である。例えば、所定量の結露が生じるとそれを検知してヒータ150を駆動する場合、水の誘電率が80であるので、それを考慮して第1基準値を決定する。また、ヒータ150は、所定の電源が供給されることにより、所定の温度に加熱される。
【0087】
第3段階は、前記第2段階によるヒータ150の動作中に、センサ部140により誘電率を測定する段階である。前記第2段階でヒータ150が動作すると、温度が上昇し、冷蔵庫本体110の前面部111及びピラー130の前面部に生じる結露が蒸発して除去されるので、誘電率値は変化する。
【0088】
第4段階は、前記第3段階で測定された誘電率値と第2基準値とを比較し、前記測定された誘電率値が前記第2基準値より小さい場合、ヒータ150の動作を中止する段階である。センサ部140により測定された誘電率値が第2基準値より小さくなると、前記制御部は、ヒータ150の動作を中止するために、ヒータ150への電源供給の中止のための信号を送信する。前記第2基準値とは、ヒータ150の駆動により結露が除去されたときにセンサ部140により測定される誘電率の基準となる値を意味し、前記第1基準値とは異なる誘電率値を有する。前記第2基準値は、実験的に決定される値であり、前記第1基準値よりは小さい値であることが好ましい。すなわち、センサ部140により測定された誘電率値が前記第1基準値より大きい場合、ヒータ150を駆動し、センサ部140により測定された誘電率値がヒータ150の駆動により前記第2基準値より小さくなると、ヒータ150の駆動を中止するように冷蔵庫を制御することにより、結露を検知して除去することができる。
【0089】
前述した冷蔵庫の結露検知及び除去装置とその制御方法は、上記実施形態の構成や方法に限定されるものではなく、各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせて構成することで様々に変形することができる。