特許第6374496号(P6374496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374496
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】電気設備のための封止体
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20180806BHJP
   H02B 1/38 20060101ALN20180806BHJP
【FI】
   H05K5/03 A
   H05K5/03 C
   H05K5/03 D
   !H02B1/38 A
   !H02B1/38 B
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-522682(P2016-522682)
(86)(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公表番号】特表2016-529697(P2016-529697A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】FI2014050533
(87)【国際公開番号】WO2014207318
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年5月25日
(31)【優先権主張番号】20135702
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】516000538
【氏名又は名称】フィボックス・オサケユキテュア・アクチボラゲット
【氏名又は名称原語表記】Fibox Oy Ab
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100138874
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】ケンネト・ウェベル
【審査官】 佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−039978(JP,U)
【文献】 特開2008−277713(JP,A)
【文献】 特表2000−512355(JP,A)
【文献】 特開2002−211610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00− 5/06
H02B 1/00− 1/38
H02B 1/46− 7/08
E06B 3/04− 3/46
E06B 3/50− 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気設備のための封止体であって、
当該封止体は、矩形の底部(1)と、当該底部上に配置され当該底部にヒンジ手段(7)でヒンジ結合されるカバー(6)とを備え、
底部(1)は、底壁(21)と、当該底壁から上方へ延在する側壁(22−25)と、各側壁に関連する対向する第1、第2の上端(2、3)と、対向する第3、第4の上端(4、5)とを備え
第1上端(2)は、少なくとも1つの第1ファスナ(10a)を備え、当該第1ファスナ(10a)は、第1凹部(8a)と、当該第1凹部(8a)に隣接する第1プラットフォーム(9a)とを備えていて、封止体のヒンジ手段(7)を形状ロックの態様で受け入れ、その結果、ヒンジ手段(7)の突出部(11)が第1凹部(8a)内に入り、ヒンジ手段(7)の凹部(13)が第1プラットフォーム(9a)に当接し、
第1ファスナ(10a)はさらに第1固定手段(12a)を備えており、当該第1固定手段(12a)は、ヒンジ手段(7)を第1ファスナ(10a)に脱着可能に固定する目的で、ヒンジ手段(7)の固定エレメント(14)を受け入れるものであり、
第2上端(3)は、少なくとも1つの第2ファスナ(10b)を備え、当該第2ファスナ(10b)は、第2凹部(8b)と、当該第2凹部(8b)に隣接する第2プラットフォーム(9b)とを備えるとともに、形状ロックの態様でヒンジ手段(7)を受け入れるよう構成されており、その結果、ヒンジ手段(7)の突出部(11)が第2凹部(8b)内に入り、ヒンジ手段(7)の凹部(13)が第2プラットフォーム(9b)に当接し、
第2ファスナ(10b)はさらに第2固定手段(12b)を備えており、当該第2固定手段(12b)は、ヒンジ手段(7)が第2ファスナ(10b)に脱着可能に固定されることを許容すべく、ヒンジ手段(7)の固定エレメント(14)の受入れを許容するよう形成されており、
第1ファスナ(10a)および第2ファスナ(10b)は、封止体の各上端(2、3)上に互いに直径方向に対向して配置されており、その結果、封止体の底部の底壁(21)の中央ポイント(P)を同底壁(21)で規定される面に直交して通過する仮想ダイレクト線が、第1ファスナ(10a)から第2ファスナ(10b)へ延びる仮想ダイレクト線と交差しており、
以下のことを特徴とする、すなわち、
第1プラットフォーム(9a)は、封止体の底部(1)の第1内壁(15)に、底部(1)の内部側に開口する第1キャビティ(19a)を形成し、
第2プラットフォーム(9b)は、封止体の底部(1)の第2内壁(16)に、底部(1)の内部側に開口する第2キャビティ(19b)を形成し、
封止体のカバー(6)は、当該カバーを封止体の底部(1)にロックする少なくとも1つのロック手段を備え、当該ロック手段は、第1位置または第2位置へと任意に回転可能に配置されたラッチ(36)を備えていて、
第1位置では、ラッチが第1キャビティ(19a)または第2キャビティ(19b)内にあって、カバー(6)を封止体の底部(1)にロックし、第2位置では、封止体の底部(1)の内部において、ラッチが第1キャビティ(19a)または第2キャビティ(19b)から外れていることを特徴とする、封止体。
【請求項2】
封止体の底部(1)の上記第1上端(2)は2つのファスナ(10a)を備え、上記第2上端(3)は2つのファスナ(10b)を備え、それらは直径方向に互いに対向して配置されており、その結果、ファスナ(10a)および(10b)で形成される仮想矩形(E−F−G−H)の中央ポイント(M1)が、封止体の底部(1)の底壁(21)に直交し同底壁(21)の中央ポイント(P)を通過する仮想ダイレクト線の上に位置している、ことを特徴とする請求項1記載の封止体。
【請求項3】
上記底部の第3上端(4)は、少なくとも1つの第3ファスナ(10c)を備え、当該第3ファスナ(10c)は、第3凹部(8c)と、当該第3凹部(8c)に隣接する第3プラットフォーム(9c)とを備えるとともに、形状ロックの態様でヒンジ手段(7)を受け入れるよう構成されており、その結果、ヒンジ手段(7)の突出部(11)が第3凹部(8c)内に入り、ヒンジ手段(7)の凹部(13)が第3プラットフォーム(9c)に当接し、
第3ファスナ(10c)はさらに第3固定手段(12c)を備えており、当該第3固定手段(12c)は、ヒンジ手段(7)を第3ファスナ(10c)に脱着可能に固定する目的で、ヒンジ手段(7)の固定エレメント(14)を受け入れるものであり、
第3プラットフォーム(9c)は、封止体の底部(1)の第3内壁(17)に、底部(1)の内部側に開口する第3キャビティ(19c)を形成し、
上記底部の第4上端(5)は、少なくとも1つの第4ファスナ(10d)を備え、当該第4ファスナ(10d)は、第4凹部(8d)と、当該第4凹部(8d)に隣接する第4プラットフォーム(9d)とを備えるとともに、形状ロックの態様でヒンジ手段(7)を受け入れるよう構成されており、その結果、ヒンジ手段(7)の突出部(11)が第4凹部(8d)内に入り、ヒンジ手段(7)の凹部(13)が第4プラットフォーム(9d)に当接し、
第4ファスナ(10d)はさらに第4固定手段(12d)を備えており、当該第4固定手段(12d)は、ヒンジ手段(7)を第4ファスナ(10d)に脱着可能に固定する目的で、ヒンジ手段(7)の固定エレメント(14)を受け入れるものであり、
第4プラットフォーム(9d)は、封止体の底部(1)の第4内壁(18)に、底部(1)の内部側に開口する第4キャビティ(19d)を形成し、
第3ファスナ(10c)および第4ファスナ(10d)は、封止体の各上端(4、5)上に互いに直径方向に対向して配置されており、その結果、封止体の底部の底壁(21)の中央ポイント(P)を同底壁(21)で規定される面に直交して通過する仮想ダイレクト線が、第3ファスナ(10c)から第4ファスナ(10d)へ延びる仮想ダイレクト線と交差していることを特徴とする、請求項1または2記載の封止体。
【請求項4】
封止体の底部(1)の上記第3上端(4)は2つのファスナ(10c)を備え、上記第4上端(5)は2つのファスナ(10d)を備え、それらは直径方向に互いに対向して配置されており、その結果、ファスナ(10c)および(10d)で形成される仮想矩形(I−J−K−L)の中央ポイント(M2)が、封止体の底部(1)の底壁(21)に直交し同底壁(21)の中央ポイント(P)を通過する仮想ダイレクト線の上に位置している、ことを特徴とする請求項3記載の封止体。
【請求項5】
上記ファスナ(10a−10d)は、封止体の底部(1)とワンピースのものとして構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の封止体。
【請求項6】
上記ファスナ(10a−10d)のうちの少なくとも幾つかは、ヒンジ手段(7)ではなくガイドピース(31)を、形状ロックの態様で脱着可能に受け入れるように構成されていて、
ガイドピース(31)は、カバー(6)を底部(1)に当接するよう案内するものであって、ファスナの上記凹部(8a−8d)内にセットされる突出部(32)と、ファスナの上記プラットフォーム(9a−9d)と当接する凹部(33)とを備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の封止体。
【請求項7】
上記ファスナ(10a−10d)のすべてが同様のものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の封止体。
【請求項8】
上記ファスナ(10a−10d)の固定手段(12a−12d)は孔であって、ヒンジ手段(7)の固定エレメント(14)はネジであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の封止体。
【請求項9】
上記ファスナ(10a−10d)のそれぞれは、ファスナの凹部(8a−8d)内に配置された孔を2つ有していることを特徴とする、請求項8記載の封止体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、電気設備のための封止体に関する。本発明の封止体は、矩形の底部と、当該底部上に配置され当該底部にヒンジ手段でヒンジ結合されるカバーとを備える。底部は、底壁と、当該底壁から上方へ延在する側壁と、各側壁に関連する対向する第1、第2の上端と、対向する第3、第4の上端とを備える。さらに詳しくは、本発明は、請求項1の前段(preamble)に記載された封止体に関する。
【0002】
電気的な封止体の用途において、どちらがわにカバー(ドア)を開けるのかに応じて、左手側のヒンジ結合または右手側のヒンジ結合が要求される場合がある。さらに、カバーは、ロック可能であることが要求される場合が多い。これらの要求を満たすため、既知の封止体において、底部の対向する側壁は、その細部が互いに異なるものとなっている。したがって、1つのタイプおよびサイズの封止体のために、細部が異なる少なくとも2つの底部が製造される。2またはそれ以上の異なる底部を製造することは、設備コストの増大を招く。何故なら、それら底部を製造するのに、少なくとも2つのプラスチックモールドが必要となるからである。加えて、2またはそれ以上の異なる底部が必要であれば、物流時の封止体の保管に関する問題も生じる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、所望の方向(左あるいは右)に開くような態様で、かつ、回転ラッチを備えるロック手段を用いてカバーを底部にロックするための新しいソリューションを提供するような態様で、カバーを底部に取り付けることが可能な封止体を提供することである。
【0004】
本発明の目的は、請求項1に記載の封止体によって達成することができる。
【0005】
本発明の本質的なアイデアは、封止体の対向する2つの上端に、互いに直径方向に対向させて、同様のファスナを形成することである。そこでは、封止体の底部の所望の側壁にカバーをヒンジ結合させることを目的として、ヒンジ手段を形状ロックの態様で脱着可能に取り付けることができる。それにより、形状ロックの実施物に属するプラットフォームが、カバーのロック手段のロック舌部を受け入れるキャビティを、封止体の底部の対向する内壁に形成する。ロック舌部がキャビティ内にあるとき、カバーは底部に対してロックされる。このファスナは、マルチ・ファンクショナル・ファスナと呼んでもよい。
【0006】
底部のすべての上端が上記タイプのファスナを有することが好ましい。それによって、底部のすべての側壁に対して、カバーをヒンジ固定することが可能となる。そして、これと対応して、カバーのロックを、すべての側壁に対して行うことが可能となる。このことは、要求の厳しい状況での使用が意図されている場合、ヒンジ側の側壁に対してでもロックが可能となる。
【0007】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載している。
【0008】
本発明の封止体による大きな利点は、底部の左側にも右側にも選択的に、カバーをヒンジ固定することができ、さらには、カバーのロック手段のロック舌部を受け入れることができることにある。そのような事実のおかげで、ファスナのプラットフォームが、封止体の内部に向けて開口するキャビティをも形成する。プラスチックモールド内でのファスナの製造は問題ではない。何故なら、プラットフォームが底部に厚い部分(封止体の底部の他の部分よりも、プラスチックモールド内での冷却が遅い)を作ることがないからである。プラスチック製品の製造において、冷却が不十分であると、残留応力、歪み、クラックが生じる危険のあることが知られている。
底部のファスナは、射出成形によって、底部とワンピースのものとして作ることができる。本発明の封止体の底部上のファスナは、さらに、そこにガイドピースを固定することが可能であり、それによって、底部の上端上で、カバーを正しい位置にセットすることが容易になる。このことは、特に、そのカバーが湾曲(可撓)し易い大きな封止体において重要である。カバーが湾曲すると、底部の上端に対して、当該カバーを正しい位置にセットすることができない。カバーを正しい位置にセットできることは、例えば、底部とカバーの間に設けたシール部によってカバーがシールされる状況において、重要である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の封止体の概略図。
図2図1の封止体の底部を真上から見た図。
図3図2の底部の左コーナ部を斜め上方から見た図。
図4】封止体のヒンジ手段を示す図。
図5】封止体のカバーに設けるロック手段を示す図。
図6】本発明の封止体において使用するガイド手段を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示した電気設備用の封止体は、底部1と、この底部1上に位置するカバー6とを備える。カバー6は、封止体の底部1の左側壁(図2中の側壁22)の上端(図2中の上端2)に設けたファスナ(図2中のファスナ10a)に対して、2つのヒンジ手段(図2に示していないが、図4中に参照数字7で示している)によってヒンジ結合されている。カバー6が備えるロック手段20は、封止体の底部1の右側壁(図2中の側壁23)の上端3に設けた2つのファスナ10bに対して当該カバー6をロック可能とする。
【0011】
図2から分かるように、ファスナ10aおよび10bは、構造が類似していて、底部1の上端2、3に直径方向反対側で向かい合って配置されている。そして、封止体底壁21の中央ポイントPを当該底壁21に対して直角に通過する仮想ダイレクト線が、ファスナ10aから直径方向反対側のファスナ10bまで延在する仮想ダイレクト線(破線で示している)と交差している。
これと対応して、封止体の底部1の側壁24、25の上端4、5は、同様のファスナ10c、10dを有している。ファスナ10a、10b、10c、10dを、第1、第2、第3、第4のファスナと呼ぶ。各ファスナ10a−10dは、凹部(凹部8a−8d)およびプラットフォーム(プラットフォーム9a−9d)を有する。プラットフォームは、ファスナの高くなっている部分である。凹部8a−8dは、プラットフォーム9a−9dに隣接して存在する。凹部8a、8b、8c、8dを、第1、第2、第3、第4の凹部と呼ぶ。プラットフォーム9a、9b、9c、9dを、第1、第2、第3、第4のプラットフォームと呼ぶ。
ヒンジ手段7は、ファスナ10aの凹部8a内に入り込む突出部11と、ファスナ10aのプラットフォーム9aに当接する凹部13と、を備えている。ヒンジ手段7は、現実には複数の突出部11を有するが、それらが全体として1つの突出部を構成すると理解できる。ヒンジ手段7がファスナ10a内に配置されたときに、上記の凹部8a、13、プラットフォーム9a、突出部11が、一種の形状ロック(form-lock)を構成する。さらに、ファスナ10aは2つの固定手段(固定手段12a)を備えていて、その中に、ヒンジ手段7の固定エレメント14(図4参照)を固定することができ、それによって、ヒンジ手段をファスナ10aに脱着可能に取り付ける。固定手段12aは孔で、固定エレメント14はネジであることが好ましい。
ファスナ10a−10dは同様の構造であるため、ヒンジ手段7は、固定エレメント14によって、全てのファスナ10a−10dの固定手段12a−12dに対して選択的に固定されることができる。固定手段12a、12b、12c、12dを、第1、第2、第3、第4の固定手段と呼ぶ。図4において、ヒンジ手段7のヒンジ軸30を破線で示している。
【0012】
上述の構成によって、底部1の側壁22−25の上端2−5のいずれに配置されたファスナ10a−10dに対しても、カバー6を固定することができる。それによって、カバーは、あらゆる方向(左、右、下、または上)に開けることができる。
【0013】
図3において、参照数字19aは、図2に示したファスナ10aのプラットフォーム9aによって形成されたキャビティを示している。このキャビティ19aは、封止体の底部1の内部に向かって開口している。これに対応する構成をファスナ10b−10dにも適用できる。すなわち、ファスナ10b−10dのプラットフォーム9b−9dが、封止体の底部1の内壁16−18上にキャビティ19b−19dを形成する。キャビティ19a、19b、19c、19dを、第1、第2、第3、第4のキャビティと呼ぶ。
カバー6に設けたロック手段20のラッチ(図5中に参照数字36で示している)は、これを回転させることで、ファスナ10bのプラットフォーム9bによって底部1の内壁16に形成されたキャビティ19b内に侵入することができる。ラッチ36がキャビティ19b内に入ると、カバー6は底部1にロックされる。封止体のカバー6を右方向(すなわち、図1とは反対の方向)へ開こうとする意図があるとき、ヒンジ手段7がファスナ10bに固定され、カバー6は、ロック手段20が側壁22の側に来るように回転させられる。こうして、カバーに設けたロック手段のラッチ36は、側壁22の内壁15上に形成されたキャビティ19aに侵入可能となる。
【0014】
図1、2に示した封止体において、ファスナ10aおよび10bで形成される仮想矩形E−F−G−Hの中央ポイントM1は、封止体の底部1の底壁21に直交し同底壁21の中央ポイントPを通過する仮想ダイレクト線の上に位置する。さらに、図1、2に示した封止体において、ファスナ10cおよび10dで形成される仮想矩形I−J−K−Lの中央ポイントM2は、封止体の底部1の底壁21に直交し同底壁21の中央ポイントPを通過する仮想ダイレクト線の上に位置する。したがって、ポイントM1およびM2は、同じ位置にある。
【0015】
図6に示したガイドピース31は、ヒンジ手段7と同様に、突出部32と凹部33を有している。したがって、ガイドピース31は、形状ロック(form-lock)の態様で、封止体底部1の上端5に配置されたファスナ(例えばファスナ10d)にセットし、固定エレメント34(好ましくはスクリュー)を用いてそこに固定することができる。ガイドピース31が備えるガイド面35は、カバー6の底端27が底部1の上端に当接するよう案内する。これによって、カバーの底端27は、底部1の上端に対して正確な位置に位置することができる。
2またはそれ以上のガイドピース31を使用することで、カバー6の底端を、底部1の上端2−5に対して正確な位置にセットすることができる。底部1の上端4、5に配置されたガイドピース31のおかげで、カバー6上のシール部(簡単のため、図示は省略)を、当該シール部の幅が狭い場合であっても、底部1の上端2−5に関連する畝部28に対して正確にフィットさせることができる。それは、あたかも、ガイドピース31がカバー6(ドア)を持ち上げて、底部1の畝部28がシール部の中央に位置するようカバーのシール部を案内しているかのようである。別例として、シール部は、カバーの底端27に代えて底部1の上端2−5に、配置してもよい。
ガイドピース31のガイド面35は、鉛直軸に対して小さな角度α(例えば、10°−20°)を有する楔状とされている。ガイド面35は、僅かに湾曲していてもよい。カバー6が側壁23の上端3にヒンジ固定される場合、ガイドピース31は、ファスナ10a、10c、10dに固定される。畝部28をシール部に当接させた状態でカバー6が底部1の上に位置するとき、当該カバーが底部1に対してロックされたとしても、カバー6の底端27と底部1の上端2−5との間に小さな隙間29が生じる。この隙間29のサイズは、例えば2−5mmである。
隙間29によって、隣接する2つの底部1を、接続ピース(図示せず)を用いて互いに接続することが可能となる。それは、たとえ両方の底部がそれぞれカバーで閉じられている場合であっても可能である。接続ピースは2つの固定部を備えていて、これら2つの固定部は、隣接する底部のファスナに対して、形状ロック(form-lock)によってロックすることが可能である(それは、上述したヒンジ手段7とガイドピース31の場合と同様である)。接続ピースの固定部同士は、隙間29内に入り込んだブリッジ部(図示せず)によって接続される。このように、隙間29は、接続ピースのブリッジ部のためのスペースを提供している。ブリッジ部の厚みは、最大でも隙間29のサイズと同じである。
ファスナ10a−10d、隙間29、および接続ピースによって、異なるサイズの封止体を現実に構成することが可能となる。
【0016】
以上において、本発明を単なる1つの例示として説明した。つまり、本発明の詳細は、添付の特許請求の範囲内において、多くの態様において実施可能である。したがって、封止体の底部の上端に設けたファスナの詳細な設計、ヒンジ手段の突出部の設計、凹部の設計は、図示したものに対して変更を加えることが可能である。封止体の底部の上端に設けたファスナの数は、変更が可能である。図2に示したように、2組の対向する上端のすべてが、少なくとも2つ(好ましくは4つ)のファスナを備える。ファスナが4つの場合、固定が強固になる。当然ながら、上端は、3またはそれ以上のファスナを備えることも可能である。しかし、ファスナがあまりに多過ぎると、製造および設置を考慮したとき、構造が複雑に過ぎる。封止体の底部の各側壁の上端にファスナを設けることは必須ではないが推奨される。何故なら、カバーをどの上端に対してもヒンジ結合することが可能となるからである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6