特許第6374498号(P6374498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374498
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】眼用組成物及びそのキット
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/155 20060101AFI20180806BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20180806BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20180806BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   A61K31/155
   A61K47/14
   A61K47/20
   A61K47/18
   A61K47/12
   A61K47/02
   A61K47/10
   A61K9/08
   A61K9/107
   A61K9/10
   A61K9/12
   A61K9/06
   A61K31/047
   A61P27/04
   A61P43/00 121
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-525424(P2016-525424)
(86)(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公表番号】特表2016-523967(P2016-523967A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】US2014045738
(87)【国際公開番号】WO2015006318
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年6月28日
(31)【優先権主張番号】13/941,010
(32)【優先日】2013年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516011671
【氏名又は名称】オキュソフト インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】OCuSOFT,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アドキンス、ジュニア ナット
(72)【発明者】
【氏名】バラット、シンシア
【審査官】 新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0137533(US,A1)
【文献】 特表2007−531767(JP,A)
【文献】 特開2013−056903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 27/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製水、
ラウリン酸PEG−80ソルビタン、
トリデセス硫酸ナトリウム、
ジステアリン酸PEG−150、
ラウロアンホ酢酸ナトリウム、
コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、
ラウレス−13カルボン酸ナトリウム、
塩化ナトリウム、
PEG−15ココポリアミン、
ポリヘキサメチレンビグアニド、
ソルビン酸カリウム、
1,2ヘキサンジオール、及び
カプリリルグリコールからなる眼用組成物。
【請求項2】
眼瞼治療キットであって、前記眼瞼治療キットが請求項1に記載の眼用組成物を含眼瞼治療キット。
【請求項3】
前記眼用組成物が、乳剤、懸濁剤、分散剤、泡剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、ペースト、ゲル剤、又は噴霧剤から選択される形態である、請求項2に記載の眼瞼治療キット。
【請求項4】
ポンプディスペンサーを更に含み、前記ポンプディスペンサーが、前記眼用組成物を含有する、請求項2に記載の眼瞼治療キット。
【請求項5】
前記眼用組成物が、前記ポンプディスペンサーから供給されると、泡を形成することが可能である、請求項4に記載の眼瞼治療キット。
【請求項6】
前記眼用組成物用の容器を更に含む、請求項3に記載の眼瞼治療キット。
【請求項7】
前記眼用組成物を適用するための1つ又は複数のアプリケータを更に含む、請求項6に記載の眼瞼治療キット。
【請求項8】
前記アプリケータが、スワブ、布パッド、及び綿ボールからなる群から選択される、請求項7に記載の眼瞼治療キット。
【請求項9】
前記布パッドが、有効量の前記眼用組成物を受容するような寸法の表面積を有する、請求項8に記載の眼瞼治療キット。
【請求項10】
布パッドが、前記眼用組成物で予め湿潤されている、請求項8に記載の眼瞼治療キット。
【請求項11】
前記布パッドが、レーヨン及びポリプロピレンの混紡織物を含む、請求項8に記載の眼瞼治療キット。
【請求項12】
前記容器が、30ml〜480mlのサイズを有するボトルである、請求項に記載の眼瞼治療キット。
【請求項13】
前記布パッドを封入する密封可能な容器を更に含む、請求項9に記載の眼瞼治療キット。
【請求項14】
前記布パッドを封入するための不浸透性包装材料を更に含む、請求項9に記載の眼瞼治療キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
眼瞼の洗浄及び眼瞼衛生の維持に有用な組成物、方法、及びキットが開示される。
【背景技術】
【0002】
眼瞼炎は、眼瞼縁の鱗屑を特徴とする一般的な眼瞼の慢性炎症である。眼瞼炎は、細菌性感染により引き起こされる場合があるか、或いはアレルギーが起源であるか、又は顔面及び頭皮の脂漏症と関連している場合がある。眼瞼炎は、定期的に眼瞼を洗浄し、適切な眼の衛生を維持することにより治療及び予防することができる。
【0003】
眼瞼炎に付随するか又は続発することが多いのが、外麦粒腫として知られている、眼瞼端部の皮膚表面の細菌感染症、又はこれも一般的に麦粒腫と呼ばれる、マイボーム腺表面の細菌感染症である。そのような状態には、眼瞼縁の痛み、発赤、及び圧痛も伴う。麦粒腫は再発することが多いが、そのような状態は、眼瞼縁の定期的な洗浄により最小限に抑えることができる。
【0004】
眼瞼縁の腺及び眼瞼縁周囲の腺は油分を分泌し、人によっては、まつ毛及び眼瞼に蓄積する場合がある。この油分の蓄積には、通常、細胞残屑及び塵等が伴う。言うまでもなく、この蓄積が度を超えると、細菌感染症の可能性が増加することになる。
【0005】
歴史的に見て、眼瞼炎の症状は、希釈したベビーシャンプーの「自家製」溶液を使用することにより治療されてきた。これには、患者がベビーシャンプーを水道水で希釈した後、先端に綿が付いているアプリケーターパッド等を使用して希薄溶液で眼瞼を洗浄することが必要である。多くの場合、単純な皮膚用洗浄剤は、眼瞼に対する使用には適さない。眼瞼用洗浄剤は、抗菌効果を有すると共に、眼周囲の敏感な皮膚及び眼組織自体の両方に対して非刺激性でなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の組成物は、眼用洗浄剤として効果的である。同組成物は、精製水、ラウリン酸PEG−80ソルビタン、トリデセス硫酸ナトリウム、ジステアリン酸PEG−150、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウレス−13カルボン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、PEG−15ココポリアミン、ポリヘキサメチレンビグアニド、ソルビン酸カリウム、1,2ヘキサンジオール、及びカプリリルグリコールから本質的になる。抗菌有益性を更に示す非刺激性成分を眼用組成物に使用すると、その洗浄能力が増加する。本発明は、全体的な眼瞼衛生を向上させ、付随的な眼瞼療法を更に提供するための、便利な併用療法を提供する。
【0007】
1つの実施形態では、眼用組成物は、毎日の眼瞼衛生療法に適している。同眼用組成物は、乳剤、懸濁剤、分散剤、泡剤(foam)、クリーム剤、ローション剤、液剤、ペースト、ゲル剤、又は噴霧剤として製剤化することができる。
【0008】
1つの実施形態では、ラウリン酸PEG−80ソルビタン、トリデセス硫酸ナトリウム、ジステアリン酸PEG−150、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウレス−13カルボン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、PEG−15ココポリアミン、ポリヘキサメチレンビグアニド、ソルビン酸カリウム、1,2ヘキサンジオール、及びカプリリルグリコールから本質的になる眼用組成物を含むキットが提供される。本発明のキットの種々の実施形態は、感染した眼瞼の治療及び眼瞼の適切な洗浄の両方を容易にし、感染の再発を予防する。キットは、溶液形態の眼用組成物を含む1つ又は複数の容器を含む。キットは、溶液を適用するための1つ又は複数のアプリケータを更に含む。アプリケータは、眼瞼パッド、使い捨てのスワブ、又は綿ボール(cotton ball)を含む。
【0009】
別の実施形態では、キットは、適切なポンプディスペンサーを含む。ポンプディスペンサーは、眼用組成物を含むことができ、眼用組成物を泡として供給するために使用することができる。別の実施形態では、キットは、眼用組成物のための容器を含む。
【0010】
更に別の実施形態では、キットは、眼用組成物を予め湿潤させた1つ又は複数のパッドを含む。予め湿潤させたパッドは、それを眼瞼に当てて治療又は洗浄し、使用後に廃棄することができ、便利である。予め浸潤させたパッドは、不浸透性の容器又は包装材料(wrapper)内に、個々に密封及び封入されていてもよい。
【0011】
眼用組成物は、有効量の組成物を眼瞼に塗布する(applying)ことにより、眼瞼に適用することができる。随意に、眼用組成物を眼瞼上でこすって、起泡を誘導してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の組成物には、抗菌効果があるため、眼瞼用洗浄剤又はスクラブ(scrub)として効果的である一方で、眼に対して実質的に依然として非刺激性である。同組成物は、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)及びシムジオール(Symdiol)の組み合わせであるため、これらの有益な特徴を有する。シムジオールは、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールの組み合わせである。PHMB−シムジオールの組み合わせは、相乗効果的な抗菌効果を有する。加えて、本発明の組成物では、pH安定化界面活性剤(pH stabilizing surfactant)溶液を使用することにより、従来のpH調整剤を回避できる。従来のpH調整剤を排除することにより、従来の眼瞼洗浄剤と比較して、組成物により引き起こされる刺激の量が低減される。
【0013】
眼用組成物の1つの実施形態は、毎日の眼瞼衛生療法に適しており、水、ラウリン酸PEG−80ソルビタン、トリデセス硫酸ナトリウム、ジステアリン酸PEG−150、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウレス−13カルボン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、PEG−15ココポリアミン、ポリヘキサメチレンビグアニド、ソルビン酸カリウム、1,2ヘキサンジオール、及びカプリリルグリコールから本質的になる。
【0014】
本発明の目的では、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)は、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、及びポリアミノプロピルビグアニドの別名である。1,2−オクタンジオールは、カプリリルグリコールとしても知られている。1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールをPHMBと組み合わせると、相乗効果的な抗菌効果がある。
【0015】
従来のpH調整剤の刺激の影響を回避するために、pH安定化界面活性剤溶液を調製して、pH安定化組成物を提供する。また、界面活性剤は、組成物の洗浄能力を増加させ、起泡能力を有する。PHMBは、5.5〜7.5のpH領域で抗菌剤として最も効果的である。したがって、界面活性剤の混合物を使用することにより、組成物のpHレベルを、この範囲内に制御することが望ましい。また、本発明の眼用組成物は、起泡能力を有し、物理的な眼瞼洗浄を容易にすることが望ましい。したがって、組成物のpHをPHMBの有効範囲内に制御し、且つ眼瞼を物理的に洗浄にするのに必要な起泡能力を提供することになる界面活性剤を選択しなければならない。
【0016】
従来のpH調整剤は多くが眼に対して刺激性であるため、従来のpH調整剤ではなく界面活性剤溶液を用いて組成物のpHを制御することには、安全有益性を有するという利点がある。一般的に、界面活性剤は、従来のpH調整剤ほど眼に刺激性がない。従来のpH調整剤の例には、以下のものが含まれる:アンモニア、モノ−、ジ−、及びトリ−アルキルアミン、モノ−、ジ−、及びトリ−アルカノールアミン、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属水酸化物等の塩基性pH調整剤(例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、モノエタノールアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン)、並びに鉱酸及びポリカルボン酸等の酸性pH調整剤(例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、クエン酸、グリコール酸、及び乳酸)。
【0017】
本発明の実施形態では、微生物保存剤が含まれている。好ましい保存剤は、ソルビン酸カリウム、ポリアミノプロピルビグアニド、又はカプリリルグリコールである。
多くの界面活性剤は、刺激の低減に加えて、組成物の洗浄能力を支援する泡を生成する追加的能力を有する。pH安定化界面活性剤溶液を形成するには、まず、1つ又は複数の泡生成界面活性剤を選択して、組成物の起泡能力を提供する。適切な界面活性剤には、陰イオン性、非イオン性、及び両性界面活性剤が含まれる。
【0018】
眼用組成物に含める各界面活性剤の正確な量を決定するには、組成物全体のpH、組成物の起泡能力、及び組成物の洗浄能力を試験する。組成物のpHレベルをpH計で測定し、組成物のpHを所望のpH範囲内に制御するように、個々の界面活性剤の量を調整する。
【0019】
組成物の起泡能力は、ロスマイルス法(Ross Miles method)に従って測定される。この測定法は、組成物から泡を生成し、泡の高さ及び安定性を経時的に測定することを含む。組成物を所定の高さからそれ自体に5分間注ぐことにより泡を生成する。或いは、組成物の起泡能力が低い場合、組成物を、所定の時間、タービン型撹拌機で撹拌して泡を生成する。泡の厚さを、時間的間隔をおいて測定する。組成物中の泡生成界面活性剤の量は、所望の起泡能力が達成されるように変更される。
【0020】
組成物の洗浄能力は、ランダムサンプリングの(anecdotal)ヒト試験で試験する。被験者は、組成物を眼瞼に塗布し、眼瞼を洗浄する。被験者は、組成物により引き起こされた、刺激のレベル、皮膚の突っ張り感、及び全体的な清浄感を報告する。使用される界面活性剤の量及び種類は、報告に応じて調整される。
【0021】
pHレベル、起泡能力、及び洗浄能力の試験結果に応じて、pH安定化界面活性剤溶液に使用される界面活性剤の量及び種類を調整することにより、使用されるpH安定化界面活性剤組成物の有効量を決定する。pH安定化界面活性剤溶液を、PHMB、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールと組み合わせることにより、本発明の組成物が形成される。
【0022】
第1の実施形態では、本発明の組成物は、pH安定化界面活性剤溶液と組み合わせて、PHMB、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールを含む。pH安定化界面活性剤溶液に使用される適切な界面活性剤には、両性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0023】
1つの実施形態では、pH安定化界面活性剤溶液は、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン80ソルビタンモノラウレート、デシルポリグルコシド、及び改変リンゲル液を含む。ラウロアンホ酢酸ナトリウムは、両性界面活性剤である。ポリオキシエチレン80ソルビタンモノラウレート及びデシルポリグルコシドは両方とも、非イオン性界面活性剤である。
【0024】
更に別の実施形態では、本発明の組成物は、1つ又は複数の保湿剤(moisturizer)を更に含むことができる。保湿剤は、経表皮水分喪失を防止する化学薬品である。保湿剤は、皮膚に膜を形成して、皮膚からの水分蒸発を防止することにより、水分喪失を防止することができる。或いは、保湿剤は、空気中の水分を皮膚内に引き込む吸湿分子を含む。
【0025】
更なる実施形態では、組成物は、泡安定剤を更に含む。泡安定剤は、泡の寿命を増加させる化学薬品である。泡安定剤は、メチルグルコース及び脂肪酸のポリエチレングリコールジエステルであってもよい。適切な脂肪酸には、オレイン酸、ステリック酸(steric acid)、ラウリン酸、カプリル酸、及びカプリン酸が含まれる。適切には、泡安定剤は、ジステアリン酸PEG−150である。
【0026】
組成物の1つの特定の実施形態は、ポリヘキサメチレンビグアニド、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、D−パンテノール、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−80ソルビタンモノラウレート、デシルポリグルコシド、メチルグルセス−20、及びPEG−120メチルグルコースジオレアートからなる。
【0027】
1つの実施形態では、付随的な眼瞼療法及び衛生維持の両方に適切な眼瞼治療キットが提供される。眼瞼治療キットは、上記に記載の眼用組成物を更に含む。眼用組成物は、眼への刺激を引き起こす場合がある油分、残屑、及び落屑した皮膚を除去するために使用することができる。また、眼用組成物は、中程度から重度の眼瞼状態を治療するための広範な抗菌特性を提供することができる。
【0028】
眼用組成物は、乳剤、懸濁剤、分散剤、泡剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、ペースト、ゲル剤、又は噴霧剤から選択される形態であってもよい。1つの実施形態では、眼瞼治療キットは、眼用組成物を供給するためのポンプディスペンサーを含んでいてもよい。ポンプディスペンサーは、そのコントロール−チップポンプ(control−tip pump)を押すと直ちに、既に起泡した泡を生成する即時起泡液を供給する(dispense)。これは、日常的な眼瞼衛生又は長期眼瞼維持用の即時起泡処方である。利便性及び経済性を考慮すると、ポンプディスペンスのサイズは、約59ml(2オンス)のボトルから473ml(16オンス)のボトルまでの範囲であってもよい。ユーザは、所望量の眼用組成物の泡を、清潔でリントフリー(lint−free)の洗面布の上に又は指先の上にポンプし、横方向に左右に擦って眼瞼を優しく洗浄することができ、その後、眼瞼を完全にすすぐ。起泡眼用組成物は、眼瞼衛生療法(regiment)を受けている患者に更なる利便性を提供する。
【0029】
別の実施形態では、眼瞼治療キットは、眼用組成物を含む容器を含んでいてもよい。容器は、ガラスボトル、プラスチックボトル、又は当技術分野で知られている他の適切な材料から選択することができる。利便性及び経済性を考慮すると、ボトルは、サイズが約30mlから480mlまでの範囲であってもよい。キットは、容器中の眼用組成物を塗布するための1つ又は複数のアプリケータを更に含んでいてもよい。アプリケータは、スワブ、布パッド、又は綿ボールからなる群から選択されてもよい。組成物は、所望量の眼用組成物をアプリケータに装填し、横方向に左右に擦って眼瞼を洗浄することにより眼に適用してもよい。本発明の別の態様では、ペーパータオル、綿ボール、又は更には指先を使用して、眼用組成物を塗布することができる。
【0030】
眼瞼治療キットは、眼用組成物を予め湿潤させた1つ又は複数の眼瞼パッドを更に含むことができる。予め湿潤させた眼瞼パッドは、約1.0グラム〜約2.0グラムの範囲の量の眼用組成物を受容するような寸法である。1つの態様では、予め湿潤させた眼瞼パッドは、リントフリーの非研磨性のレーヨン及びポリプロピレンの混紡織物を含む。別の態様では、布パッドは、眼用組成物を吸収及び保持するためのテクスチャ(textured)表面を含む。しかしながら、布パッドは、ユーザの皮膚を傷つけないように十分な柔軟性を保持していなければならない。好ましくは、布パッドは、非乾燥性及び非刺激性である保湿剤混合物を更に含む。
【0031】
布パッドは、布が、布の織りの間隙に眼用組成物を含有することが可能であるように選択されなければならない。1つの態様では、布パッドは、2枚の布、第1の布及び第2の布を含む。この2つは、側面を一緒に縫い合わせることにより一緒に保持されていてもよい。布パッドは、有効量の眼用組成物を受容するような寸法の、ある表面積を有していてもよい。
【0032】
また、予め湿潤させた布パッドは、予め湿潤させたパッドを封入する密封可能な容器に密封されていてもよい。1つの態様では、密封可能な容器は、箱、タブ、又はパッケージを含んでいてもよい。密封可能な容器は、プラスチック又は金属箔材料を含む、任意の適切な材料で作製されていてもよい。予め湿潤させたパッドは、使用のための個別のパッケージであってもよい。1つの態様では、密封可能な容器は、眼用組成物を有する布パッドが汚染物と接触せず、長期間にわたって湿潤性を保持するように、不浸透性の包装材料であってもよい。予め湿潤させた布パッドは、洗浄又は治療する必要のある眼瞼及び眼周囲領域を横方向に左右に擦って塗布又は摩擦する。眼瞼を水ですすぎ、使用した布パッドは廃棄される。
【0033】
別の実施形態では、キット内には、眼瞼治療の種々の成分の使用のための説明書が含まれている。説明書は、キット内に含まれるマニュアルの指示シートに印刷されていてもよく、又は筺体に直接印刷されていてもよい。説明書が筺体に印刷されている場合、説明書は、筺体の外部、又はユーザがキットを開くまで眼瞼治療キットのユーザに見えない筺体の内部、に印刷されていてもよい。代替的に、説明書は、眼瞼治療キットの個々の成分の容器又はパッケージングに印刷されていてもよい。
【0034】
キットの成分は、適切な筺体に封入されていてもよい。筺体は、眼瞼治療キットの成分を保全するための任意の種類の容器又は手段であってもよい。筺体の好ましい実施形態は、キットの成分が、筺体内にぴったりと固定され、それにより種々の成分の不必要な動き又は移動を防止するサイズであってもよい。また、筺体及び筺体内の成分は、経済性及び/又は利便性を考慮した大きさであってもよい。
【0035】
本発明の組成物は、眼瞼を洗浄するために使用することができる。眼瞼を洗浄するために、有効量の眼用組成物を眼瞼に適用することができる。眼用組成物は、眼瞼上で擦って起泡を誘導することができ、それにより眼瞼の洗浄が容易になる。本発明の組成物を使用するための方法の別の態様では、眼用組成物は、布パッドから眼瞼に適用される。眼用組成物は、布パッドを用いて眼瞼上で擦って起泡を誘導することができ、それにより眼瞼スクラブの洗浄能力が支援される。
【0036】
1つ又は複数の実施形態によると、上記に記載の眼用組成物は、相安定性、凍結解凍安定性、及び非刺激性であることが見い出されている。したがって、患者は、希釈又は更なる混合等をせずに眼用組成物を使用することができ、そのため、組成物は患者に非常に好評となるだろう。したがって、定期的に使用すると、ひいては刺激、眼瞼炎、及び麦粒腫等を引き起こす場合がある細菌を眼瞼に宿す場合がある油分又は塵等の蓄積が防止されることになる。眼用組成物は、一実施形態によると、透明であり、水と同様の粘性及び0.987の比重を有する。
【0037】
本発明は、種々の実施形態に参照して記載されているが、本発明は、所与の特定の例に制限されず、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、他の実施形態及び改変をなすことができる。また、組成物は、眼瞼洗浄剤として有用であると記載されている。本発明の組成物は、他の応用に使用することができることが、容易に理解されるべきである。
【0038】
更に、組成物、キット、及び方法は、種々の成分又はステップを「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、又は「含む(including)」という用語で記載されているが、組成物、キット、及び方法は、種々の成分及びステップ「から本質的になる(consist essentially of)」又は「からなる(consist of)」場合もある。また、開示されている下限及び上限を有する任意の数値範囲は、特に、前述の範囲以内に入る任意の数及び両端の数値を含む任意の範囲(any included range)を開示する。特許請求の範囲の用語は、特許権所有者により別様に及び明確に定義されていない限り、それらの平易な通常の意味を有する。不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、それが導入する要素の1つ又は複数を意味すると本明細書では定義される。本明細書に記載の単語又は用語の使用と、参照により本明細書に組み込まれている場合がある1つ又は複数の特許又は他の文献との間にいかなる矛盾が存在する場合でも、本明細書と一致する定義が採用されるべきである。