(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記環状部材の中心に対して対称な位置にある二つの前記突起部の外側の面の間隔が前記一対の押圧部位における前記環状部材の外側の間隔と略同じであることを特徴とする請求項2又は3記載の送風装置。
前記環状部材の高さは全周にわたり均一であり、前記第二嵌合手段はその上面及び下面に嵌合壁を有し、前記環状部材の上端面と前記第二嵌合手段の上面の嵌合壁との高さ方向の間隔と、前記環状部材の下端面と前記第二嵌合手段の下面の嵌合壁との高さ方向の間隔とが異なることを特徴とする請求項7又は8記載の送風装置。
前記一対の第一部位及び前記一対の第二部位のうち前記突起が設けられていない方の一対の部位に、前記ファン本体に前記環状部材を差し込む際に前記突起を誘導するためのガイド傾斜部を形成したことを特徴とする請求項7から9のいずれか一項記載の送風装置。
前記第一嵌合手段は、前記一対の第一部位において前記筒状部の下方に延長された部位の外側に設けられた突起であり、前記第二嵌合手段は、前記一対の第二部位における前記環状部材の下端面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の送風装置。
前記第一嵌合手段は、前記一対の第一部位における前記筒状部の下端部の外側に設けられた、上面に嵌合壁を有する突起であり、前記第二嵌合手段は、前記一対の第二部位における前記環状部材の下端部に設けられた切り欠き部であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の送風装置。
前記筒状部をその中心軸に垂直な平面で切ったときの断面は円形状で、前記環状部材をその中心軸に垂直な平面で切ったときの断面は楕円形状であることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項記載の送風装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1(a)は本発明の第一実施形態である送風装置を用いた椅子用の空気流通式マットの使用状態における概略斜視図、
図1(b)はその空気流通式マットの使用状態における概略断面図である。
【
図2】
図2(a)は第一実施形態の送風装置の概略正面図、
図2(b)はその送風装置の概略側面図である。
【
図3】
図3(a)はシート状部材に形成された開口部を説明するための図、
図3(b)はシート状部材に送風装置を取り付けた状態を説明するための概略側面図である。
【
図4】
図4(a)は第一実施形態の送風装置における本体ケースの概略側面図、
図4(b)はその本体ケースのうち、本発明の主要部分であるフランジ付き筒状部の概略側面図、
図4(c)は
図4(b)に示すフランジ付き筒状部をその中心軸の回りに90度回転させたときのフランジ付き筒状部の概略側面図、
図4(d)はそのフランジ付き筒状部のA−A矢視方向概略断面図である。
【
図5】
図5(a)は第一実施形態の送風装置における取付けリングの概略正面図、
図5(b)はその取付けリングの概略側面図、
図5(c)はその取付けリングのB−B矢視方向概略断面図、
図5(d)はその取付けリングのC−C矢視方向概略断面図である。
【
図6】
図6(a)は第一実施形態の送風装置におけるフランジ付き筒状部の概略斜視図、
図6(b)はそのフランジ付き筒状部のD−D矢視方向概略断面図である。
【
図7】
図7(a)はフランジ付き筒状部と取付けリングとの嵌合状態を説明するための概略部分断面図、
図7(b)は取付けリングを上下逆にしたときのフランジ付き筒状部と取付けリングとの嵌合状態を説明するための概略部分断面である。
【
図8】
図8(a)はファン本体をシート状部材の開口部に差し入れたときの様子を説明するための概略側面図、
図8(b)はシート状部材の開口部に送風装置を取り付けたときの様子を説明するための概略側面図である。
【
図9】
図9(a)は取付けリングが取り付けられたファン本体の概略裏面図、
図9(b)はそのファン本体において取付けリングの一対の押圧部位を中心に向かって押圧したときの状態を説明するための概略裏面図である。
【
図10】
図10は折れ曲がったシート状部材200から取付けリング50が受ける力を示す図である。
【
図11】
図11(a)は面取りが施された取付けリングの概略平面図、
図11(b)はその面取りが施された取付けリングを用いてシート状部材に送風装置を取り付けた状態を説明するための図である。
【
図12】
図12(a)は第二実施形態の送風装置におけるファン本体の概略裏面図、
図12(b)は第二実施形態の送風装置における取付けリングの概略正面図である。
【
図13】
図13(a)は第三実施形態の送風装置におけるフランジ付き筒状部の概略斜視図、
図13(b)はそのフランジ付き筒状部のE−E矢視方向概略断面図、
図13(c)は第三実施形態の送風装置における取付けリングの概略正面図、
図13(d)はその取付けリングのF−F矢視方向概略断面図である。
【
図14】
図14(a)は第四実施形態の送風装置におけるフランジ付き筒状部の概略側面図、
図14(b)はそのフランジ付き筒状部のG−G矢視方向概略断面図、
図14(c)は第四実施形態の送風装置における取付けリングの概略斜視図、
図14(d)はその取付けリングのH−H矢視方向概略断面図である。
【
図15】
図15(a)は第五実施形態の送風装置における取付けリングの概略平面図、
図15(b)はその取付けリングの概略側面図、
図15(c)は第五実施形態の送風装置の概略裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための形態について説明する。尚、以下では、本発明の送風装置を椅子用の空気流通式マットに適用した場合について説明する。
【0014】
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明の第一実施形態である送風装置を用いた椅子用の空気流通式マットの使用状態における概略斜視図、
図1(b)はその空気流通式マットの使用状態における概略断面図である。
【0015】
椅子用の空気流通式マット100は、椅子の座部に敷いて使用するものであり、
図1(a)及び(b)に示すように、袋状のシート状部材200と、スペーサ102と、空気排出部103と、本発明の送風装置1と、この送風装置1に電力を供給するバッテリ等の電源供給部(図示せず)とを備える。
【0016】
袋状のシート状部材200はスペーサ102を覆うものである。このシート状部材200としては、例えば布が用いられる。スペーサ102は、シート状部材200内に空間を確保するためのものである。このシート状部材200内の空間は、空気が流通する空気流通路となる。空気流通式マット100の所定の端部には空気排出部103が設けられ、空気流通路を流通してきた空気はこの空気排出部103から外部に放出される。送風装置1は空気排出部103と離れたところに位置するシート状部材200の所定部位に取り付けられている。詳しくは後述するが、送風装置1は、シート状部材200に形成された開口部に配置され、その開口部の周囲におけるシート状部材200の縁部に取り付けられる。この送風装置1は、シート状部材200の一方の側から他方の側へ向かう空気の流れを発生させるためのものである。
【0017】
送風装置1によりシート状部材200内に取り込まれた外気は、スペーサ102で確保された空間を流通する。これにより、空気流通式マット100を敷いて座っている使用者の体から出た汗をすばやく蒸発させ、臀部の蒸れを解消することができる。かかる空気流通式マット100の原理や構造についての詳しい説明は、例えば国際公開第2004/012564号パンフレット等の特許文献に記載されている。
【0018】
尚、スペーサ102として、日本国特許第4067034号公報等の特許文献に記載されているような、空気抵抗のきわめて小さい構造のスペーサを使用することにより、第一実施形態の送風装置1として、送風圧力の低いプロペラ式のものを用いることができる。また、第一実施形態では、上述のように、外部の空気を送風装置1からシート状部材200内に取り込んで空気排出部103から排出するように、送風装置1のプロペラを回転させる場合を考えることにするが、外部の空気を空気排出部103から取り込んで送風装置1から排出するように、送風装置1のプロペラを回転させるようにしてもよい。
【0019】
次に、第一実施形態の送風装置1について詳しく説明する。
図2(a)は第一実施形態の送風装置1の概略正面図、
図2(b)はその送風装置1の概略側面図である。
図3(a)はシート状部材200に形成された開口部を説明するための図、
図3(b)はシート状部材200に送風装置1を取り付けた状態を説明するための概略側面図である。
図4(a)は第一実施形態の送風装置1における本体ケースの概略側面図、
図4(b)はその本体ケースのうち、本発明の主要部分であるフランジ付き筒状部の概略側面図、
図4(c)は
図4(b)に示すフランジ付き筒状部をその中心軸の回りに90度回転させたときのフランジ付き筒状部の概略側面図、
図4(d)はそのフランジ付き筒状部のA−A矢視方向概略断面図である。
図5(a)は第一実施形態の送風装置1における取付けリングの概略正面図、
図5(b)はその取付けリングの概略側面図、
図5(c)はその取付けリングのB−B矢視方向概略断面図、
図5(d)はその取付けリングのC−C矢視方向概略断面図である。
図6(a)は第一実施形態の送風装置1におけるフランジ付き筒状部の概略斜視図、
図6(b)はそのフランジ付き筒状部のD−D矢視方向概略断面図である。
【0020】
第一実施形態の送風装置1は、
図2に示すように、ファン本体10と、取付けリング(環状部材)50とを備えている。ファン本体10は、送風装置1の本来の機能である送風機能を実現するものであり、一方、取付けリング50は、ファン本体10をシート状部材200に取り付けるための専用具としての役割を果たす。
【0021】
ファン本体10は、本体ケース14と、本体ケースに内蔵されたモータ(図示せず)と、モータの回転軸に装着されたプロペラ(羽根)12と、モータに電源を供給するためのコネクタ(図示せず)とにより構成されている。詳しい説明は省略するが、
図4(a)に示す本体ケース14は、上下二つの部分から構成され、これらの部分を組み合わせて合体させることにより形成される。尚、本発明は送風装置1をシート状部材200に取り付ける技術に関するものであるので、モータやプロペラ12についての詳細な説明は省略して、本体ケース14と取付けリング50との関係を中心に説明する。
【0022】
次に、本体ケース14について説明する。ここで、本体ケース14を説明するに当たり、本体ケース14を、便宜上、
図4(a)に示すように、上から、第一流通部15、フランジ付き筒状部20、第二流通部16と称する3つの部分に分けて考えることにする。尚、本明細書において参照する図面のうち、
図4(b),(c),(d)、
図6、
図7、
図11(a),(b)、
図12(a),(b)においては、本体ケース14全体を図示するのではなく、第一流通部15及び第二流通部16を省略して、フランジ付き円筒部20だけを図示している。
【0023】
第一流通部15は、
図2及び
図4(a)に示すように、円形状の中央基部151と、その中央基部151から放射状に伸びる複数の棒状部152と、その中央基部151を中心とする輪状部153とから構成されている。このように構成されているため、第一流通部15は十分な通気性を有し、プロペラ12が回転すると外気を内部に取り込むことができる。また、この第一流通部15は、外部から指などが入らないようにして回転中のプロペラ12から指を守るフィンガーガードの役目も果たす。第一流通部15の下にはフランジ付き筒状部20が連なっている。
【0024】
フランジ付き筒状部20は、
図2及び
図4に示すように、第一流通部15の棒状部152に連なって形成されたフランジ部22と、中空状の筒状部21とからなる。筒状部21をその中心軸に垂直な平面で切ったときの断面は円形状である。筒状部21の所定部位には凹み(第一嵌合手段)25が形成されている。フランジ付き筒状部20の下には第二流通部16が連なっている。
【0025】
第二流通部16は、
図2(b)及び
図4(a)に示すように、複数の棒状部162及び輪状部163と、モータを固定するためのモータ固定部164と、モータ固定部164の下側に取り付けられたモータ蓋165とからなる。複数の棒状部162及び輪状部163からなる部分は十分な通気性を有しており、また、当該部分により、外部から指などが入らないようにして回転中のプロペラ12から指を守ることができる。
【0026】
このように本体ケース14が構成されているため、モータ固定部164に固定されたモータが回転し、モータによりプロペラ12が回転すると、第一流通部15から外気を取り込み、第二流通部16から排出することができる。
【0027】
上述のように、本発明はシート状部材200に開口された開口部に送風装置1を取り付ける技術に関するものであり、かかる技術に関連するのは、本体ケース14の一部を構成するフランジ付き筒状部20と、取付けリング50とである。このため、フランジ付き筒状部20についてもう少し詳しく説明する。
【0028】
第一本実施形態では、
図4(b)に示すように、フランジ付き筒状部20における筒状部21の外径(外側の間隔)tは90mmである。この場合、
図3(a)に示すように、シート状部材200に形成する開口部201の内径cは90〜91mmであり、筒状部21の外径tと同一若しくはそれよりもわずかに大きくなっている。また、
図2(a)及び
図4(b),(c)に示すように、フランジ部22は、円環状に形成され、筒状部21の上端から筒状部21の外面と略垂直な方向に突出している。このフランジ部22の外径fはシート状部材200に形成する開口部201の内径cに比べ十分に大きく、例えば97mmである。また、第二流通部16の外径は、筒状部21に連なる部分において90mmであり、下方に行くほど小さくなっている。
【0029】
ファン本体10の各寸法とシート状部材200に形成された開口部201の寸法との関係が上述のようになっているので、シート状部材200に形成された開口部201の上方からファン本体10を容易に差し入れることができ、このとき、フランジ部22の裏面が開口部201の縁部202の上面に接触する(
図8(a)参照)。
【0030】
また、
図4(c),(d)及び
図6に示すように、筒状部21の中心軸に対して対称な二つの所定部位、すなわち筒状部21の互いに対向する二つの所定部位(一対の第一嵌合部位(第一部位)23)の外側にはそれぞれ、第一嵌合手段である凹み25が設けられている。かかる凹み25はファン本体10に取付けリング50を固定するためのものである。凹み25は、正面から見ると略四角形状であり、筒状部21の高さ方向に対して略中央に形成されている。また、凹み25は、その下面に嵌合壁255を有する。ここでは、凹み25の下面そのものが嵌合壁255に相当する。このため、嵌合壁255は筒状部21の外面と略垂直に形成されている。更に、第一嵌合部位23における筒状部21の外側であって凹み25の下方の部位には、ガイド傾斜部28が形成されている。ガイド傾斜部28は、
図4(d),
図6(b)に示すように、下方に行くにしたがって筒状部21の厚さが薄くなるように形成されている。また、
図4(c)に示すように、ガイド傾斜部28の横幅は上方では凹み25の横幅と同程度であるが、下方に行くほど幅広になっている。
【0031】
次に、取付けリング50について説明する。
図5(a)に示すように、取付けリング50を上から見たときの形状(取付けリング50をその中心軸に垂直な平面で切ったときの断面形状)は、楕円形状である。この取付けリング50の短軸方向における互いに対向する二つの所定部位(一対の第二嵌合部位(第二部位)53)の内側にはそれぞれ、第二嵌合手段である突起52が設けられている。ここで、二つの突起52を備える取付けリング50は、プラスチック成型により一体的に形成されている。これにより、取付けリング50は可撓性を有している。尚、取付けリング50の高さは全周にわたり均一である。
【0032】
突起52は、
図5(c),(d)に示すように、取付けリング50の高さ方向に対して中央からやや下方に形成されている。二つの突起52はそれぞれ、ファン本体10の凹み25と嵌合して、取付けリング50を筒状部21の外側に固定するためのものである。このため、二つの突起52の位置関係は二つの凹み25の位置関係と同じになっている。各突起52は、
図5(a),(c),(d)に示すように、略四角柱形状をしており、取付けリング50の内側に向かって突出している。このように、突起52の形状は凹み25の形状に対応しているが、突起52が凹み25に嵌合することができるように、突起52のサイズは凹み25のサイズよりも若干小さくなっている。また、突起52は、その下面に嵌合壁522を有する。ここでは、突起52の下面そのものが嵌合壁522に相当する。このため、嵌合壁522は取付けリング50の内面と略垂直に形成されている。突起52の嵌合壁522と筒状部21における凹み25の嵌合壁255とが当接することにより、ファン本体10と取付けリング50との嵌合状態が実現される。尚、後述するように、取付けリング50を上下逆にして使用する場合には、突起52の上面が嵌合壁522としての役割を果たす。すなわち、突起52はその上面及び下面に嵌合壁522を有する。このため、突起52の上面は取付けリング50の内面と略垂直に形成されている。
【0033】
図5(a),(b)に示すように、取付けリング50の長軸方向における互いに対向する二つの部位、すなわち、一対の第二嵌合部位53と略90度異なる二つの部位(一対の押圧部位)54の外面において、その上端部には「A」という文字が、下端部には「B」という文字が記されている。第一実施形態では、後述するように、送風装置1が厚みの異なるシート状部材200にも対応することができるように、取付けリング50を、A側を上にして使用したり、B側を上にして使用したりすることができる。「A」「B」という文字は、取付けリング50の向きを示す目印である。以下では、特に断らない限り、取付けリング50を、A側を上にしてファン本体10に取り付けるものとする。
【0034】
また、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の内側の間隔k1は筒状部21の外径tより小さく、一対の押圧部位54における取付けリング50の内側の間隔k2は筒状部21の外径tより大きくなっている。ここで、筒状部21は円筒状に形成されているので、一対の第一嵌合部位23における筒状部21の外側の間隔も一対の第一嵌合部位と略90度異なる二つの部位における筒状部21の外側の間隔も同じtである。具体的に、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の内側の間隔k1は88mm、一対の押圧部位54における取付けリング50の内側の間隔k2は95mmである。この結果として、取付けリング50の内周の長さは筒状部21の外周の長さよりも大きく形成されている。取付けリング50の内周の長さは、突起52の高さ等により左右されるが、筒状部21の外周の長さよりも、その筒状部21の外周の長さの1.0%〜3.5%大きいことが望ましい。実際、第一実施形態では、取付けリング50の内周の長さは、筒状部21の外周の長さよりもその筒状部21の外周の長さの約2%程度大きくなっている。
【0035】
また、取付けリング50の厚みは2mmであり、その高さは筒状部21の高さより少し低い。取付けリング50は可撓性を有するので、例えば親指と人差し指で「A」「B」と記された二つの部位(一対の押圧部位)54をつまんで、押圧すると、取付けリング50の短軸方向の部位が外側に膨らみ、上から見ると、取付けリング50を略円形状に変形することができる。そして、その後、押圧する力を解放すると、取付けリング50は元の楕円形状に戻ることになる。
【0036】
取付けリング50は、
図2(b)に示すように、ファン本体10の筒状部21の外面を覆うように取り付けられる。このとき、取付けリング50の上端面はフランジ部22の裏面と相対することになる。
【0037】
次に、送風装置1をシート状部材200に取り付ける手順を説明する。
図7(a)はフランジ付き筒状部20と取付けリング50との嵌合状態を説明するための概略部分断面図、
図7(b)は取付けリング50を上下逆にしたときのフランジ付き筒状部20と取付けリング50との嵌合状態を説明するための概略部分断面である。
図8(a)はファン本体10をシート状部材200の開口部に差し入れたときの様子を説明するための概略側面図、
図8(b)はシート状部材200の開口部に送風装置1を取り付けたときの様子を説明するための概略側面図である。
【0038】
図3(a)に示すように、シート状部材200には、送風装置1を取り付けるための開口部201が形成されている。この開口部201の形状は円形状であり、開口部201の内径cは円筒状の筒状部21の外径tと同一であるか、それよりもわずかに大きくなっている。送風装置1をシート状部材200に取り付けるには、
図8(a)に示すように、まず、ファン本体10を、シート状部材200の開口部201に挿入して、フランジ部22の裏面が開口部201の周囲に位置するシート状部材200のリング状の縁部202と接するように配置する。
【0039】
次に、例えば親指と人差し指とで取付けリング50の一対の押圧部位54をつまんで、
図8(a)における矢印で示す方向に押圧し、取付けリング50を撓ませて略円形状に変形させる。そして、取付けリング50の変形状態に保ったまま、取付けリング50の突起52と筒状部21の下部に設けたガイド傾斜部28との位置が一致するようにして、取付けリング50をファン本体10の下方から筒状部21の外側に差し込み、取付けリング50の二つの突起52をそれぞれ、ガイド傾斜部28に沿って移動させる。このように、ガイド傾斜部28はファン本体10に取付けリング50を差し込む際に突起52を誘導する役割を果たす。その後、取付けリング50の変形状態を解除し、さらに取付けリング50を上方に移動させると、取付けリング50の突起52がファン本体10の凹み25に入り込んで、突起52と凹み25とが嵌合する。このとき、取付けリング50の可撓性により、第二嵌合部位53付近では取付けリング50の内面が筒状部21の外面に強く接している。このため、
図7(a)に示すように凹み25の嵌合壁255とそれに対応する突起52の嵌合壁522が接するので、たとえファン本体10とシート状部材200との間に強い力が加わっても、突起52と凹み25との嵌合状態が解除されることはない。また、取付けリング50の突起52がファン本体10の凹み25に嵌合しているため、取付けリング50がファン本体10に対し回転することはない。
【0040】
尚、
図7(a)において、凹み25の嵌合壁255と筒状部21の外面とのなす角度、及び、突起52の嵌合壁522と取付けリング50の内面とのなす角度がともに鋭角となるように、嵌合壁255,522を形成することも可能である。この場合、嵌合壁255と嵌合壁522とを互いに食い込ませて、突起52と凹み25との嵌合状態をより強固にすることができる。
【0041】
こうして、取付けリング50がファン本体10にしっかりと固定され、取付けリング50とファン本体10とが一体化することにより、
図8(b)に示すように、開口部201の周囲におけるシート状部材200のリング状の縁部202がフランジ部22の裏面と取付けリング50の上端面とによって挟み込まれるので、送風装置1をシート状部材200に簡単に且つ確実に取り付けることができる。尚、送風装置1をシート状部材200に取り付けたとき、シート状部材200のリング状の縁部202の上面はフランジ部22の裏面に接し、シート状部材200のリング状の縁部202の裏面は取付けリング50の上端面に接するので、フランジ部22と取付けリング50との間から空気が漏れることはない。
【0042】
ところで、空気流通式マットや空調服等では、使用目的に応じた厚さのシート状部材200が用いられる。第一実施形態の送風装置1は、厚みの異なるシート状部材200に対応することができるように設計されている。具体的に、この設計では、取付けリング50の内面に設けられた突起52は、
図5(c),(d)に示すように、取付けリング50の高さ方向に対して中央から少し下に偏った位置に設けられている。このため、取付けリング50の上端面と突起52の上面の嵌合壁522との高さ方向の間隔と、取付けリング50の下端面と突起52の下面の嵌合壁522との高さ方向の間隔とは異なる。
図5(b)に示すように押圧部位54には「A」「B」の表示がある。取付けリング50の高さは全周にわたって均一であるので、取付けリング50は、「A」「B」の何れを上にしても使用することができる。
図7(a)は取付けリング50を「A」を上にして使用した場合のフランジ付き筒状部20と取付けリング50との嵌合状態を示し、
図7(b)は取付けリング50を「B」を上にして使用した場合のフランジ付き筒状部20と取付けリング50との嵌合状態を示している。取付けリング50を「A」を上にして使用すると、
図7(a)に示すように、突起52と凹み25とを嵌合させたときのフランジ部22の裏面と取付けリング50の上端面との間隔s1は小さく、したがって、このような取付けリング50の使用方法は、シート状部材200が薄手のものである場合に適している。一方、取付けリング50を「B」を上にして使用すると、
図7(b)に示すように、突起52と凹み25とを嵌合させたときのフランジ部22の裏面と取付けリング50の上端面との間隔s2は大きく、したがって、このような取付けリング50の使用方法は、シート状部材200が厚手のものである場合に適している。このように、第一実施形態の送風装置1は、厚みの異なるシート状部材200に対応することができる。
【0043】
尚、第一実施形態では、上記のように、第一嵌合手段である凹み25を筒状部21の高さ方向に対して中央に、第二嵌合手段である突起52を取付けリング50の高さ方向に対して中央から少し下に偏った位置に設けることにより、厚さの異なるシート状部材200に対する対応を実現している。一般に、厚さの異なるシート状部材200に対する対応を実現するためには、取付けリング50をその上下を変えてファン本体10に取り付けたときに、その上下に応じてフランジ部22の裏面と取付けリング50の上端面との間隔が異なればよく、筒状部21の高さ方向に対する第一嵌合手段の位置及び取付けリング50の高さ方向に対する第二嵌合手段の位置をそれぞれ、いろいろな位置に設計することが可能である。
【0044】
次に、送風装置1をシート状部材200から取り外す手順を説明する。
図9(a)は取付けリング50が取り付けられたファン本体10の概略裏面図、
図9(b)はそのファン本体10において取付けリング50の一対の押圧部位54を中心に向かって押圧したときの状態を説明するための概略裏面図である。
【0045】
取付けリング50は、上から見ると(
図5(a)参照)、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の内側の間隔k1がファン本体10の筒状部21の外径tよりも小さく、一対の押圧部位54における取付けリング50の内側の間隔k2がファン本体10の筒状部21の外径tよりも大きく、且つ、取付けリング50の内周の長さが筒状部21の外周よりもその筒状部21の外周の長さの約2%程度大きくなるような楕円形状に形成されている。このため、ファン本体10に取付けリング50が取り付けられた状態では、
図9(a)に示すように、一対の第二嵌合部位53の付近では取付けリング50の内面は筒状部21の外面に接している。一方、一対の押圧部位54の付近では取付けリング50の内面は筒状部21の外面と接しておらず、取付けリング50の内面と筒状部21の外面との間には隙間80が生じている。
【0046】
送風装置1をシート状部材200から取り外すには、まず、二つの押圧部位54を、
図9(b)における矢印で示す方向に押圧する。具体的には、例えば親指と人差し指とで取付けリング50の一対の押圧部位54をつまみ、当該部位の内面がファン本体10の筒状部21の外面に接するように押圧する。すると、取付けリング50の可撓性により、取付けリング50における一対の第二嵌合部位53の付近が膨らみ、突起52と凹み25との嵌合状態が解除される。次に、突起52と凹み25との嵌合状態を解除したまま、取付けリング50をファン本体10から下方に引き出す。こうして、取付けリング50をファン本体10から容易に取り外すことができる。
【0047】
また、送風装置1をシート状部材200から取り外す場合、取付けリング50の一対の押圧部位54を押圧して、同時に二箇所の嵌合状態を解除するのではなく、まず、一方の嵌合状態を解除した後に、他方の嵌合状態を解除するようにしてもよい。このような方法で取付けリング50を取り外すのであれば、取付けリング50の内周は筒状部21の外周よりあまり大きくする必要はない。
【0048】
第一実施形態の送風装置では、シート状部材のリング状の縁部にファン本体のフランジ部の裏面が接するように、ファン本体を配置し、ファン本体の凹みの位置と取付けリングの突起の位置とを合わせて、取付けリングの可撓性を利用してファン本体の下方から取付けリングをファン本体の筒状部の外側に差し込み、ファン本体の凹みと取付けリングの突起とを嵌合させることにより、取付けリングをファン本体に簡単に取り付けて、しっかりと固定することができる。こうして取付けリングとファン本体とが固定されると、シート状部材のリング状の縁部がファン本体のフランジ部の裏面と取付けリングの上端面とにより挟み込まれるので、結果として送風装置をシート状部材に強固に取り付けることができる。また、取付けリングの可撓性を利用して、一対の押圧部位をその内面がファン本体の筒状部の外面に接するように押圧し、取付けリングを撓ませることにより、取付けリングの一対の第二嵌合部位の付近は膨らみ、ファン本体の凹みと取付けリングの突起との嵌合状態を容易に解除することができるので、取付けリングをファン本体から簡単に取り外して、ファン本体をシート状部材から容易に取り外すことができる。このように、第一実施形態の送風装置はシンプルな構造であり、使用者はこの送風装置をシート状部材に簡単に取り付け、簡単に取り外すことができる。
【0049】
また、第一実施形態の送風装置では、取付けリングの内周の長さは、筒状部の外周の長さよりも、その筒状部の外周の長さの1.0%〜3.5%大きくしている。これにより、取付けリングをファン本体に取り付ける作業及び取り外す作業をスムーズに行うことができる。
【0050】
また、第一実施形態では、筒状部における一対の第一嵌合部位に、ファン本体に取付けリングを差し込む際に取付けリングの突起を誘導するためのガイド傾斜部を形成したことにより、取付けリングの突起をファン本体の凹みに誘導して、取付けリングをファン本体にスムーズに取り付けることができる。
【0051】
更に、第一実施形態では、取付けリングの高さは全周にわたり均一であり、突起はその上面及び下面に嵌合壁を有し、取付けリングの上端面と突起の上面の嵌合壁との高さ方向の間隔と、取付けリングの下端面と突起の下面の嵌合壁との高さ方向の間隔とが異なり、ファン本体に取付けリングを通常の方向で差し込んで凹みと突起とを嵌合させたときのフランジ部裏面と取付けリングの対向する端面との間隔と、ファン本体に取付けリングを上下逆さまにして差し込んで凹みと突起とを嵌合させたときのフランジ部裏面と取付けリングの対向する端面との間隔とが異なっている。このため、取付けリングをその上下を変えて使用することにより、シート状部材が厚手のもの、薄手のもののいずれであっても、送風装置をシート状部材にしっかり固定することができる。
【0052】
尚、本実施形態では、取付けリングをその上下を逆さまにしても使用することができるように、取付けリングにおける突起の上面及び下面にはともに嵌合壁を設けた場合について説明したが、取付けリングをその上下を変えて使用する必要がなければ、取付けリングの突起においては、その下面のみに嵌合壁を設けるようにすればよい。この場合、取付けリングにおける突起部の上部に、嵌合壁の代わりに傾斜部を形成すれば、取付けリングの取り付けをよりスムーズに行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の内側の間隔k1が筒状部21の外径tより小さい場合について説明したが、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の内側の間隔k1は筒状部21の外径tと同一であってもよい。一対の第二嵌合部位53の付近では取付けリング50の内面が筒状部21の外面に接すれば、取付けリング50とファン本体10とはしっかり固定されるからである。
【0054】
更に、本実施形態においては、取付けリング50の一対の押圧部位54側の端部であってフランジ部22と対向する側の外側の角部に面取りを施すことが望ましい。送風装置1をシート状部材200に取り付けた状態では、送風装置1に何らかの原因でシート状部材200の内側から外側に向かう力が加わると、送風装置1がシート状部材200を押すことによりシート状部材200が取付けリング50の角部で折れ曲がり、その折れ曲がったシート状部材200から取付けリング50はその中心に向かう力を受ける。
図10は折れ曲がったシート状部材200から取付けリング50が受ける力を示す図である。このとき、仮に、取付けリングを上から見たときの形状がもし円形状であれば、取付けリングにはどの部位に対しても均等な力が作用するので、取付けリングが変形してしまうことはない。これに対して、本実施形態の取付けリング50を上から見たときの形状は楕円形状であるので、取付けリング50のうち一対の押圧部位(長軸方向における互いに対向する部位)54には一対の第二嵌合部位(短軸方向における互いに対向する部位)53に比べて大きな力が作用する。このため、一対の押圧部位54は内側に押されて、取付けリング50は円形状に変形し、ファン本体から外れてしまうことがある。取付けリング50の一対の押圧部位54側の端部であってフランジ部22と対向する側の外側の角部に面取りを施すことにより、シート状部材200と接する取付けリング50の形状が実質的に円形に近くなるので、何らかの原因でシート状部材200の内側から外側に向かう力が送風装置1に加わっても、一対の押圧部位54がシート状部材200から受ける力を軽減し、取付けリング50の脱落を防止することができる。
図11(a)には面取りが施された取付けリング50の概略平面図、
図11(b)にはその面取りが施された取付けリング50を用いてシート状部材200に送風装置1を取り付けた状態を説明するための図を示す。この
図11では、取付けリング50の一対の押圧部位54及びその周辺部のうちその上側の外端部が、面取りが施された部位(面取り部)541である。また、
図11の例では、取付けリング50の所定部位を平面で切り取ることにより当該部位に面取りを施しているが、一般には、取付けリング50の所定部位を曲面で切り取ることにより当該部位に面取りを施すようにしてもよい。尚、第一実施形態の送風装置のみならず、以下に説明する各実施形態の送風装置においても、取付けリングの一対の押圧部位側の端部であってフランジ部と対向する側の外側の角部に面取りを施すことが望ましい。
【0055】
(変形例)
次に、第一実施形態の変形例について説明する。
上記の第一実施形態では、第一嵌合手段が一対の第一嵌合部位23における筒状部21の外側に設けられた凹み25であり、第二嵌合手段が一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の内側に設けられた突起52である場合について説明したが、この変形例では、第一嵌合手段として、凹みの代わりに突起を用い、第二嵌合手段として、突起の代わりに凹みを用いる。その他の構成は、上述した第一実施形態におけるものと同じであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。本変形例では、第一嵌合手段である突起の上面が嵌合壁となり、第二嵌合手段である凹みの上面が嵌合壁となる。また、第一実施形態ではガイド傾斜部を筒状部の一対の第一嵌合部位23に設けていたが、本変形例ではガイド傾斜部を、突起が設けられていない一対の第二嵌合部位に設けるようにする。このように、突起と凹みが入れ替わっただけなので、本変形例の送風装置は、第一実施形態のものと同様に作用する。すなわち、送風装置の取り付け方、取り外し方は第一実施形態とまったく同じである。したがって、本変形例の送風装置は、第一実施形態と同様の効果を奏する。尚、この場合、第二嵌合手段としての凹みは貫通した孔であってもよい。
【0056】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図12(a)は第二実施形態の送風装置におけるファン本体の概略裏面図、
図12(b)は第二実施形態の送風装置における取付けリングの概略正面図である。
【0057】
上記の第一実施形態では、ファン本体の筒状部をその中心軸に垂直な平面で切ったときの断面の形状が円形状である場合について説明したが、第二実施形態では、
図12(a)から分かるように、ファン本体10aの筒状部21aをその中心軸に垂直な平面で切ったときの断面の形状は例えば略四角形状としている。この筒状部21aの互いに対向する一対の第一嵌合部位23の外側には、第一嵌合手段としての凹みが設けられている。この場合、
図12(b)に示すように、取付けリング50aも、その中心軸に垂直な平面で切ったときの断面の形状がファン本体10aの筒状部21aの形状に応じた略四角形状であるように形成する。この取付けリング50aの互いに対向する一対の第二嵌合部位53の内側には、第一嵌合手段と嵌合する第二嵌合手段としての突起52aが設けられている。但し、第二実施形態では、突起52aの付近における取付けリング50aは内側に撓んでおり、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50aの内側の間隔k1は一対の第一嵌合部位23における筒状部21aの外側の間隔t1に比べて少し小さく形成されている。しかも、一対の第二嵌合部位53が設けられていない取付けリング50aの互いに対向する二つの辺は、外側に少し膨らむように形成されている。したがって、第二実施形態では、第一実施形態と同様に、外側に膨らんだ二つの辺(一対の押圧部位)を押圧すれば、一対の第二嵌合部位53の付近は外側に膨らむことになる。このため、この第二実施形態の送風装置は、上記第一実施形態の場合と同様の作用・効果を奏し、使用者はこの送風装置をシート状部材に簡単に取り付け、簡単に取り外すことができる。尚、第二実施形態におけるその他の構成は、上述した第一実施形態におけるものと同じであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0058】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図13(a)は第三実施形態の送風装置におけるフランジ付き筒状部の概略斜視図、
図13(b)はそのフランジ付き筒状部のE−E矢視方向概略断面図、
図13(c)は第三実施形態の送風装置における取付けリングの概略正面図、
図13(d)はその取付けリングのF−F矢視方向概略断面図である。
【0059】
第三実施形態では、
図13(a),(b)に示すように、一対の第一嵌合部位23における筒状部21が下方に延長されている。そして、この延長された部位の外側に、第一嵌合手段としての突起26が設けられている。ここで、この突起26の上面が嵌合壁255aである。また、突起26の下部には、取付けリングの取り付けをスムーズに行うための傾斜部61aが形成されている。一方、
図13(c),(d)に示すように、取付けリング50の一対の第二嵌合部位53には第二嵌合手段が形成されておらず、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の上端部に、取付けリング50の取り付けをスムーズに行うための傾斜部61bが形成されている。第三実施形態では、第一実施形態と同様に、一対の押圧部位54を押圧し、筒状部21に形成された傾斜部61aと取付けリング50に形成された傾斜部61bとの位置を合わせて取付けリング50をファン本体の下方から筒状部21に差し込むことにより、取付けリング50をファン本体に取り付ける。このとき、筒状部21の嵌合壁255aと取付けリング50の下端面が嵌合する。すなわち、この場合、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の下端面が嵌合壁522aの役目を果たし、第二嵌合手段とみなすことができる。このように筒状部21の嵌合壁255aと取付けリング50の下端面522aとが嵌合することにより、送風装置に外力が加わっても取付けリング50がファン本体から外れることはない。また、第三実施形態では、一対の第一嵌合部位23における筒状部21の外面に、小さな窪み(回転止)62aが形成されると共に、取付けリング50の対応する部位には小さな突起(回転止)62bが形成されており、取付けリング50をファン本体に取り付けたときに二つの回転止62a,62bが嵌合するようになっている。これにより、取付けリング50が筒状部21に対して回転するのを防止することができる。第三実施形態の送風装置はこのような構成されているため、第一実施形態と同様の作用・効果を奏し、使用者はこの送風装置をシート状部材に簡単に且つ着実に取り付け、簡単に取り外すことができる。尚、第三実施形態においてその他の構成は、上述した第一実施形態におけるものと同じであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0060】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図14(a)は第四実施形態の送風装置におけるフランジ付き筒状部の概略側面図、
図14(b)はそのフランジ付き筒状部のG−G矢視方向概略断面図、
図14(c)は第四実施形態の送風装置における取付けリングの概略斜視図、
図14(d)はその取付けリングのH−H矢視方向概略断面図である。
【0061】
上記の第三実施形態では、一対の第一嵌合部位における筒状部が下方に延長され、この延長された部位の外側に、第一嵌合手段としての突起が設けられていたが、第四実施形態では、
図14(a),(b)に示すように、一対の第一嵌合部位23における筒状部21は下方に延長されることなく、その筒状部21の下端部の外側に、第一嵌合手段としての突起26が設けられている。ここで、この突起26の上面が嵌合壁255bである。このため、その嵌合壁255bは筒状部21の下端面より少し上側に位置する。一方、
図14(c),(d)に示すように、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の下端部には、筒状部21に設けた突起26に対応して切り欠き部57が設けられている。ここで、この切り欠き部57は第二嵌合手段であり、取付けリング50において切り込まれた部分の上面が嵌合壁522bとなる。また、一対の第二嵌合部位53における取付けリング50の上端部の内側には、突起26を誘導するためのガイド傾斜部58が設けられている。第四実施形態の送風装置はこのような構成されているため、第三実施形態と同様の作用・効果を奏し、使用者はこの送風装置をシート状部材に簡単に且つ着実に取り付け、簡単に取り外すことができる。尚、第四実施形態においてその他の構成は、上述した第三実施形態におけるものと同じであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0062】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
図15(a)は第五実施形態の送風装置における取付けリングの概略平面図、
図15(b)はその取付けリングの概略側面図、
図15(c)は第五実施形態の送風装置の概略裏面図である。
【0063】
上記の第一実施形態において説明したように、折れ曲がったシート状部材からの力により取付けリングがファン本体から外れてしまうのを防止する方法として、取付けリングの一対の押圧部位側の端部であってフランジ部と対向する側の外側の角部に面取りを施す方法がある。しかし、折れ曲がったシート状部材からの力により取付けリングがファン本体から外れてしまうのを防止する方法としては、この面取りを施す方法に限らず、例えば、一対の第二嵌合部位の各々に対して当該第二嵌合部位及びその近傍における取付けリングの外側に複数の突起部を設ける方法を用いることができる。第五実施形態の送風装置は、一対の第二嵌合部位の各々に対して当該第二嵌合部位及びその近傍における取付けリングの外側に複数の突起部を設ける方法を適用して作製されたものである。
【0064】
第五実施形態の送風装置では、
図15に示すように、一対の第二嵌合部位53の各々に対して当該第二嵌合部位53及びその近傍における取付けリング50の外側に三つの突起部531が設けられている。また、取付けリング50の中心に対して対称な位置にある二つの突起部531の外側の面の間隔k3は、一対の押圧部位54における取付けリング50の外側の間隔k4と略同じになっている。これにより、
図15(c)において一点鎖線で示すように、シート状部材と接する取付けリング50の形状が実質的に円形に近くなるので、何らかの原因でシート状部材の内側から外側に向かう力が送風装置に加わっても、取付けリング50には均等な力が作用するようになるので、取付けリング50の脱落を防止することができる。
【0065】
尚、シート状部材と接する取付けリング50の形状を実質的に円形に近づけるために、一対の第二嵌合部位53の各々に対して当該第二嵌合部位53及びその近傍における取付けリング50の外側に一つの突出部を設けるようにしてもよい。但し、一つの突起部として幅広のものを設けると、第二嵌合部位53付近における取付けリング50の厚みが厚くなり、一対の押圧部位54をつまんで押圧しても、取付けリング50が変形しづらくなる。したがって、取付けリング50が容易に変形できるように、幅の小さな突起部を複数個、例えば
図15に示すように一対の第二嵌合部位のそれぞれに3個(したがって合計6個)設けることが望ましい。
【0066】
第五実施形態においてその他の構成は、上述した第一実施形態におけるものと同じであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。第五実施形態の送風装置は第一実施形態の送風装置と同様の作用・効果を奏する。特に、第五実施形態では、一対の第二嵌合部位の各々に対して当該第二嵌合部位及びその近傍における取付けリングの外側に三つの突起部を設けたことにより、シート状部材と接する取付けリングの形状が実質的に円形に近くなるので、何らかの原因でシート状部材の内側から外側に向かう力が送風装置に加わっても、取付けリングには均等な力が作用するようになるので、取付けリングの脱落を防止することができる。尚、第五実施形態の送風装置に適用した、一対の第二嵌合部位の各々に対して当該第二嵌合部位及びその近傍における取付けリングの外側に一又は複数の突起部を設ける方法は、上記各実施形態の送風装置に適用することができる。
【0067】
[他の実施形態]
尚、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0068】
上記の各実施形態では、フランジ部が筒状体の上端から筒状体の外面と略垂直な方向に突出している場合について説明したが、一般に、フランジ部は、筒状体の外面からその外面と略垂直な方向に突出するように筒状部に形成することが可能である。例えば、フランジ部を筒状部の上端ではなく筒状部の略中央に形成するようにしてもよい。
【0069】
上記の各実施形態では、第一嵌合部位に一つの凹み又は突起を形成し、第二嵌合部位に一つの突起又は凹みを形成した場合について説明したが、例えば、第一嵌合部位に複数の凹み又は突起を形成し、第二嵌合部位に複数の突起又は凹みを形成するようにしてもよい。この場合、各嵌合部位に形成された複数の凹み又は突起が本発明の第一嵌合手段又は第二嵌合手段に該当することになる。
【0070】
また、上記の各実施形態では、本発明の送風装置を椅子用の空気流通式マットに適用した場合について説明したが、本発明の送風装置は、空気流通式マットに限らず、例えば空調服等、空気を内部に流通させる方式の各種の装置に適用することができる。