(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374534
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】ケーブル出口が向上された安定性に向けて位置決めされているインイヤーヘッドホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-571135(P2016-571135)
(86)(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公表番号】特表2017-517219(P2017-517219A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】US2015033525
(87)【国際公開番号】WO2015187552
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2017年1月4日
(31)【優先権主張番号】14/294,694
(32)【優先日】2014年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドリュー・ストーン・ブリッグス
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−045321(JP,A)
【文献】
特開2011−061725(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/041604(WO,A1)
【文献】
特開平09−065475(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0310666(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0027242(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0154050(US,A1)
【文献】
米国特許第8249287(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0239447(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0087534(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の耳において位置決めするために構成および配置され、第1の方向で第1の軸に沿って延びる差込式イヤホン本体と、
前記耳の外耳道において位置決めするために、および、前記耳の前記外耳道における音響出力を方向付けるために、前記差込式イヤホン本体から延びるノズルと、
前記差込式イヤホン本体の縁の近位の領域に沿って前記第1の方向に延びる第2の軸に沿う前記差込式イヤホン本体の縁におけるケーブル出口接合部であって、前記第2の軸が前記第1の軸からずれている、ケーブル出口接合部と、
前記差込式イヤホン本体の前記縁における前記ケーブル出口接合部から延びるケーブルであって、前記ケーブル出口接合部が、前記第1の軸から離れると共に前記第2の軸に正接する方向でケーブルに付与される力に応答して、前記外耳道の方向で前記ノズルに力を付与するように構成および配置される、ケーブルと
を備えるインイヤーヘッドホン。
【請求項2】
前記ケーブル出口接合部に連結される筐体と、
前記筐体において位置決めされる複数の電子構成要素であって、前記ケーブルの移動に応答して前記ケーブルに付与される前記力が前記筐体によって制限されない、複数の電子構成要素と
をさらに備える、請求項1に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項3】
前記ノズルに付与される前記力が、前記差込式イヤホン本体を前記着用者の前記耳において安定して位置決めするために、前記ノズルを前記外耳道に駆動するトルクを作り出す、請求項1に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項4】
前記ノズルに連結されると共に、前記外耳道の入口において位置決めするための円錐形遠位端と、前記耳の対耳輪に沿って位置決めするための保持輪体とを備える差込式イヤホン先端をさらに備える、請求項1に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項5】
前記力が、前記差込式イヤホン先端の前記円錐形遠位端を前記耳の前記外耳道に駆動するトルク、前記保持輪体が前記対耳輪に沿う方向で移動するように前記保持輪体を駆動するトルク、前記耳の対珠の下に前記差込式イヤホン先端の本体を位置決めして、前記着用者の前記耳において差込式イヤホンを安定して位置決めするために前記差込式イヤホン先端を駆動するトルク、または、それらの組み合わせを駆動するトルクを作り出す、請求項4に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項6】
前記差込式イヤホン先端の前記円錐形遠位端が、前記ケーブルに付与される前記力に応答して前記外耳道に形成される封止接合部を備える、請求項4に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項7】
前記第2の軸に正接する前記方向で前記ケーブルに付与される前記力が、襟首の方向に加えられる力を含む、請求項1に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項8】
前記第2の軸に沿ってケーブル出口から延びる経路をさらに備え、
前記ケーブルが、前記ケーブルに加えられ得る前記力に応答して前記経路に正接する方向で延びる、請求項1に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項9】
着用者の耳において位置決めするために構成および配置され、第1の方向で延びる第1の軸に沿って位置決めされる差込式イヤホン本体と、
前記差込式イヤホン本体に連結され、外耳道において位置決めするための円錐形遠位端を備える差込式イヤホン先端と、
前記差込式イヤホン本体の縁の近位の領域に沿って前記第1の方向に延びる第2の軸に沿う前記差込式イヤホン本体の縁におけるケーブル出口接合部であって、前記第2の軸が前記第1の軸からずれている、ケーブル出口接合部と、
前記差込式イヤホン本体の前記縁における前記ケーブル出口接合部から延びるケーブルであって、前記ケーブル出口接合部が、ケーブルに付与される力に応答して、前記外耳道において前記差込式イヤホン先端を固定するように構成および配置される、ケーブルと
を備えるインイヤーヘッドホン。
【請求項10】
前記ケーブル出口接合部が、前記第1の軸から離れると共に前記第2の軸に正接する方向で前記ケーブルに付与される前記力に応答して、前記外耳道の方向で前記差込式イヤホン先端に力を付与することによって、前記外耳道において前記差込式イヤホン先端を固定する、請求項9に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項11】
前記差込式イヤホン先端に付与される前記力が、前記差込式イヤホン先端の前記円錐形遠位端を前記耳の前記外耳道に駆動するトルクを作り出す、請求項9に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項12】
前記差込式イヤホン先端が、前記耳の対耳輪に沿って位置決めするための保持輪体をさらに備える、請求項9に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項13】
前記ケーブル出口接合部が、前記差込式イヤホン先端を前記外耳道において固定し、前記差込式イヤホン先端の前記円錐形遠位端を前記耳の前記外耳道に駆動するトルク、前記保持輪体が前記対耳輪に沿う方向で移動するように前記保持輪体を駆動するトルク、前記耳の対珠において前記差込式イヤホン先端を位置決めして、前記着用者の前記耳において前記差込式イヤホン本体を安定して位置決めするために前記差込式イヤホン先端を駆動するトルク、または、それらの組み合わせを駆動するトルクを付与することを含む、請求項12に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項14】
前記ケーブル出口接合部が、前記差込式イヤホン先端の前記円錐形遠位端を前記外耳道から分離するトルクを前記差込式イヤホン先端に付与することで、前記差込式イヤホン先端を前記外耳道から開放するように構成および配置される、請求項9に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項15】
前記差込式イヤホン先端の前記円錐形遠位端が、前記ケーブルに付与される前記力に応答して前記外耳道に形成される封止接合部を備える、請求項9に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項16】
前記第2の軸に正接する方向で前記ケーブルに付与される前記力が、襟首の方向に加えられる力を含む、請求項11に記載のインイヤーヘッドホン。
【請求項17】
ヘッドホンを耳において位置決めして保持するための方法であって、
前記ヘッドホンの差込式イヤホンのノズルの少なくとも一部分を、前記耳における外耳道において挿入するステップと、
第1の方向で延びる第1の軸に沿って差込式イヤホン本体を位置決めするステップと、
ケーブルを、前記差込式イヤホン本体の縁におけるケーブル出口接合部から、前記第1の方向において、前記第1の軸からずれている第2の軸に沿って位置決めするステップと、
前記第1の軸から離れると共に前記第2の軸に正接する方向で前記ケーブルに力を付与するステップと、
前記差込式イヤホン本体の前記縁における前記ケーブル出口接合部から延びる前記ケーブルに付与される前記力に応答して、前記外耳道の方向で前記ノズルに力を付与するステップと
を含む方法。
【請求項18】
保持輪体を備える差込式イヤホン先端を、前記差込式イヤホン本体の前記ノズルにおいて連結するステップと、
前記ケーブルに前記力を付与することに応答してトルクを付与するステップであって、前記トルクは、前記差込式イヤホン先端の遠位端を前記耳の前記外耳道に駆動し、前記保持輪体が前記耳の対耳輪に沿う方向で移動するように前記保持輪体を駆動し、前記耳の対珠において前記差込式イヤホン先端を位置決めして、安定して位置決めするために前記差込式イヤホン先端を駆動する、ステップと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ケーブルに付与される前記力に応答して前記外耳道に封止接合部を形成するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の軸に正接する前記方向で前記ケーブルに前記力を付与することが、襟首の方向に力を加えることを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して音響装置に関し、より詳細には、インイヤーヘッドホンに関する。
【背景技術】
【0002】
イヤホンを着用するための典型的な手法は、差込式イヤホンを各々の耳に配置し、差込式イヤホンから延びるケーブルを、襟首の周り、または、顎の下で、電子装置に連結される入力ケーブルまで垂らすことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,249,287号
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0230204号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、装置は、差込式イヤホン本体と、ノズルと、ケーブル出口接合部と、ケーブルとを備えるインイヤーヘッドホンを含む。差込式イヤホン本体は、着用者の耳において位置決めするために構成および配置される。差込式イヤホン本体は、第1の方向で第1の軸に沿って延びる。ノズルは、耳の外耳道において位置決めするために、および、耳の外耳道における音響出力を方向付けるために、差込式イヤホン本体から延びる。ケーブル出口接合部は、差込式イヤホン本体の縁の近位の領域に沿って第1の方向に延びる第2の軸に沿う差込式イヤホン本体の縁にある。第2の軸は第1の軸からずれている。ケーブルは、差込式イヤホン本体の縁におけるケーブル出口接合部から延びる。ケーブル出口接合部は、第1の軸から離れると共に第2の軸に正接する方向でケーブルに付与される力に応答して、外耳道の方向でノズルに力を付与するように構成および配置される。
【0005】
以下は、本態様の範囲内の例である。
【0006】
インイヤーヘッドホンは、ケーブル出口接合部に連結される筐体と、筐体において位置決めされる複数の電子構成要素であって、ケーブルの移動に応答してケーブルに付与される力が筐体によって制限されない、複数の電子構成要素とをさらに備え得る。
【0007】
ノズルに付与される力は、差込式イヤホン本体を着用者の耳において安定して位置決めするために、ノズルを外耳道に駆動するトルクを作り出し得る。
【0008】
インイヤーヘッドホンは、ノズルに連結される差込式イヤホン先端をさらに備えることができ、差込式イヤホン先端は、外耳道の入口において位置決めするための円錐形遠位端と、耳の対耳輪に沿って位置決めするための保持輪体とを備え得る。
【0009】
力は、差込式イヤホン先端の円錐形遠位端を耳の外耳道に駆動するトルク、輪体が対耳輪に沿う方向で移動するように輪体を駆動するトルク、耳の対珠の下に差込式イヤホン先端の本体を位置決めして、着用者の耳において差込式イヤホンを安定して位置決めするために差込式イヤホン先端を駆動するトルク、または、それらの組み合わせを駆動するトルクを作り出すことができる。
【0010】
差込式イヤホン先端の円錐形遠位端は、ケーブルに付与される力に応答して外耳道に形成される封止接合部を備え得る。
【0011】
第2の軸に正接する方向でケーブルに付与される力は、襟首の方向に加えられる力を含み得る。
【0012】
インイヤーヘッドホンは、第2の軸に沿ってケーブル出口から延びる経路をさらに備えてもよく、ケーブルは、ケーブルに加えられる力に応答して経路に正接する方向で延びる。
【0013】
一態様では、インイヤーヘッドホンは、差込式イヤホン本体と、差込式イヤホン先端と、ケーブル出口接合部と、ケーブルとを備える。差込式イヤホン本体は、着用者の耳において位置決めするために構成および配置され、第1の方向で延びる第1の軸に沿って位置決めされる。差込式イヤホン先端は差込式イヤホン本体に連結される。差込式イヤホン先端は、外耳道において位置決めするための円錐形遠位端を備える。ケーブル出口接合部は、差込式イヤホン本体の縁の近位の領域に沿って第1の方向に延びる第2の軸に沿う差込式イヤホン本体の縁にある。第2の軸は第1の軸からずれている。ケーブルは、差込式イヤホン本体の縁におけるケーブル出口接合部から延びる。ケーブル出口接合部は、ケーブルに付与される力に応答して、外耳道において差込式イヤホン先端を固定するように構成および配置される。
【0014】
以下は、本態様の範囲内の例である。
【0015】
ケーブル出口接合部は、第1の軸から離れると共に第2の軸に正接する方向でケーブルに付与される力に応答して、外耳道の方向で差込式イヤホン先端に力を付与することによって、外耳道において差込式イヤホン先端を固定できる。
【0016】
差込式イヤホン先端に付与される力は、差込式イヤホン先端の円錐形遠位端を耳の外耳道に駆動するトルクを作り出すことができる。
【0017】
差込式イヤホン先端は、耳の対耳輪に沿って位置決めするための保持輪体をさらに備えることができる。
【0018】
ケーブル出口接合部は、差込式イヤホン先端を外耳道において固定でき、差込式イヤホン先端の円錐形遠位端を耳の外耳道に駆動するトルク、輪体が対耳輪に沿う方向で移動するように輪体を駆動するトルク、耳の対珠において差込式イヤホン先端を位置決めして、着用者の耳において差込式イヤホン本体を安定して位置決めするために差込式イヤホン先端を駆動するトルク、または、それらの組み合わせを駆動するトルクを付与することを含む。
【0019】
ケーブル出口接合部は、差込式イヤホン先端の円錐形遠位端を外耳道から分離するトルクを差込式イヤホン先端に付与することで、差込式イヤホン先端を外耳道から開放するように構成および配置され得る。
【0020】
差込式イヤホン先端の円錐形遠位端は、ケーブルに付与される力に応答して外耳道に形成される封止接合部を備え得る。
【0021】
第2の軸に正接する方向でケーブルに付与される力は、襟首の方向に加えられる力を含み得る。
【0022】
別の態様では、ヘッドホンを耳において位置決めして保持するための方法が、ヘッドホンの差込式イヤホンのノズルの少なくとも一部分を、耳における外耳道において挿入するステップと、第1の方向で延びる第1の軸に沿って差込式イヤホン本体を位置決めするステップと、ケーブルを、差込式イヤホン本体の縁におけるケーブル出口接合部から、第1の方向において、第1の軸からずれている第2の軸に沿って位置決めするステップと、第1の軸から離れると共に第2の軸に正接する方向でケーブルに力を付与するステップと、差込式イヤホン本体の縁におけるケーブル出口接合部から延びるケーブルに付与される力に応答して、外耳道の方向でノズルに力を付与するステップとを含む。
【0023】
以下は、本態様の範囲内の例である。
【0024】
方法は、保持輪体を備える差込式イヤホン先端を、差込式イヤホン本体のノズルにおいて連結するステップと、ケーブルに力を付与することに応答して、差込式イヤホン先端の遠位端を耳の外耳道に駆動するトルク、輪体が耳の対耳輪に沿う方向で移動するように輪体を駆動するトルク、耳の対珠において差込式イヤホン先端を位置決めして、安定して位置決めするために差込式イヤホン先端を駆動するトルクを付与するステップとを含み得る。
【0025】
方法は、ケーブルに付与される力に応答して外耳道に封止接合部を形成するステップをさらに含み得る。
【0026】
第2の軸に正接する方向でケーブルに力を付与することは、襟首の方向に力を加えることを含み得る。
【0027】
他の態様および特徴とそれらの組み合わせとが、方法、装置、システム、プログラム製品、機能を実施するための手段、および他の方法で表され得る。
【0028】
上記およびさらなる特徴および利点は、同様の符号が様々な図において同様の構造要素をおよび特徴を指し示している添付の図面と併せて以下の記述を参照することによって、より良く理解され得る。図面は必ずしも一定の縮尺でなく、代わりに、特徴および実施の原理を図示することに強調がされている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】一部の例による、耳に位置決めされたヘッドホンの図である。
【
図2】一部の例による、ヘッドホンの外観の斜視図である。
【
図4】
図2および
図3のヘッドホンの別の斜視図であり、一部の例による、ヘッドホンが耳に位置決めされるときにヘッドホンに加えられる力の図である。
【
図5】
図2〜
図4のヘッドホンの下面図であり、一部の例による、ヘッドホンが耳に位置決めされるときにヘッドホンに加えられる力の図である。
【
図6】一部の例による、人の耳に位置決めされた
図2〜
図5のヘッドホンの図である。
【
図7】ヘッドホンの斜視図であり、他の例による、ヘッドホンが耳に位置決めされるときにヘッドホンに加えられる力の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
従来のイヤホンは、着用されるとき、イヤホンの安定性に影響を与え得る力を生む傾向があり、例えば、イヤホンが外耳道から取り外されてしまう原因となる。安定性の低減は、連結するケーブルを例えば首の後に垂らすといった、連結ケーブルが位置決めされるやり方によって、悪化される可能性がある。そのため、イヤホンの安定性に関するこのような欠点に対処して克服する、具体的にはインイヤーヘッドホンまたはイヤホンといったヘッドホンを提供することが望ましい。
【0031】
図1は、一部の例による、耳に位置決めされたインイヤーヘッドホン10の図である。ヘッドホン10は、差込式イヤホンまたは他のインイヤー様式のイヤホンとでき、ある種類のヘッドホンを描写している。しかしながら、本発明の概念は、
図1に示したヘッドホン10の例に限定されない。したがって、他のヘッドホンの種類が等しく適用できる。ヘッドホン10は、左耳に位置決めするために構成および配置されているが、代替または追加で、例えばここでは他の図において示されている右耳に位置決めするために構成および配置されてもよい。
【0032】
ヘッドホン10は軸Aに沿って中心付けられ得る。ケーブル出口14が、軸Aからずれている軸B、または、軸Aと平行である軸Bに沿って延びているヘッドホン本体16またはその近位の領域に位置決めされている。ケーブル12が、ケーブル出口14から延びるように構成および配置されている。ケーブル12は、ケーブルの一端における音システムまたは第2のヘッドホン(図示せず)と、例えばケーブル出口14におけるといったケーブルの他端におけるヘッドホン10との間で、例えば音響データといった電気信号を交換するために構成および配置され得る。
【0033】
軸Bに沿うケーブル出口14の場所は、例えば、
図1に示すように、ケーブル12がヘッドホン10のケーブル出口14から着用者の襟首に延びるときといった、着用者の耳に位置決めされるとき、ヘッドホン10の差込式イヤホン(
図1には示していない)に付与される力を、ヘッドホン10に安定性を与えるように対処および分配することができる。差込式イヤホンの後縁におけるケーブル出口14の場所は、着用者の移動の間であっても耳におけるイヤホンの位置を維持するヘッドホン10(後述されている)の様々な要素に付与される力の分配に変換され、それによって、耳において不安定に着座される差込式イヤホンに伴う不満および/または不快感を低減する。例えば、移動または振動は、既存の差込式イヤホンを排出してしまう可能性がある。ヘッドホン10は、力が代わりに安定性を向上し、関連する用途において、外耳道における封止を向上するように、差込式イヤホンを排出してしまうことになるこれらの力を応用するように構成および配置されている。
【0034】
図2は、一部の例による、ヘッドホン10の外観の斜視図である。
図3は、
図2のヘッドホン10の後面図である。ヘッドホン10は、
図1に関して示されて記述されているものと同一または同様であり得る。
図2および
図3のヘッドホン10は、右耳に位置決めするために構成および配置されているとして示されているが、代替または追加で、例えば
図1において示されている左耳に位置決めするために構成および配置されてもよい。
【0035】
ヘッドホン10の差込式イヤホン26は、選択的なヘッドホン本体16に連結できる。代替で、差込式イヤホン26および選択的な本体16は、例えば共通のプラスチックから成形されるといった、同じ材料から形成できる。
【0036】
ヘッドホン本体16は、差込式イヤホン26に連結されるケーブル出口接合部28、または、例えば共通の材料から成形されるといった差込式イヤホン26から延びるケーブル出口接合部28を備えている。様々な構成要素が、同じ材料または異なる材料から形成されてもよく、一体に成形または組み立てられてもよい。例えば、ヘッドホン本体16の選択的な電子部品筐体24が、ケーブル出口接合部28に連結されてもよい、または、ケーブル出口接合部28および/または差込式イヤホン26と共通の材料から成形されてもよい。
【0037】
ケーブル出口接合部28は、ケーブル12が延びているケーブル出口14を備えている。ケーブル出口接合部28は、力または重力に関連する力がケーブル12に存在しないときにケーブル12が沿って延びることができる溝などの経路18も備え得る。力が、経路18に正接する方向で、筐体24から離れるようにケーブル12に加えられ得る。ケーブル出口接合部28および選択的な経路18は、ヘッドホン10が着用されるとき、ケーブル出口接合部28から延びているケーブル12が、電子部品筐体24などと接触または他の形で干渉するのを防止するように構成および配置されている。
【0038】
電子部品筐体24は、ケーブル出口接合部28に連結するように構成され得る。電子部品筐体24は、例えば音を処理するための電子回路といった、ヘッドホン10を動作させることができる回路を備え得る。筐体24は、筐体24におけるマイクロホンに関する回路と伝達するためのマイクロホン開口を備え得る。筐体24は、電子部品筐体24の遠位端にコネクタ15を備え得る。コネクタ15は、電力および/またはデータをヘッドホン10に提供するために、例えばマイクロユニバーサルシリアルバス(USB)装置などの電子装置と連結するためのポートまたはソケットなどを含み得る。筐体24は、例えばスピーカの音量を調節するといった、電子部品筐体24、ケーブル出口接合部、および/または差込式イヤホン26における様々な回路を制御するための、ボタン、スイッチなどの1つまたは複数の回路インターフェース20を備え得る。
【0039】
差込式イヤホン26は、耳において、より具体的には、外耳道の近位の耳の領域において位置決めするように構成および配置された差込式イヤホン筐体に位置決めされるスピーカなどの音響の伝達機構または変換器を備え得る。差込式イヤホン26は、開口を有するノズル22を備えており、それによって、スピーカにおいて生成される音に関する信号が、開口を通じてノズル22から出力され得る。ノズル22は、ケーブル出口接合部28とは差込式イヤホン26の異なる位置にあり、例えば、ノズル22とケーブル出口接合部28とは、差込式イヤホン26における回転の中心の両側にある。ノズル22とケーブル出口接合部28とは、力がケーブル出口接合部28から延びるケーブル12に付与されるとき、力が外耳道においてノズル22および/またはノズルに連結された差込式イヤホン先端30を「固定する」ようにノズル22に付与されるように、互いに対して差込式イヤホン26において位置決めするように構成および配置されている。例えば、ケーブル12の垂れ下がりは重力によって駆動される。差込式イヤホン26、ノズル22、および/または差込式イヤホン先端30の位置決めがある首の後ろは、内耳の特徴によって駆動される。例えば、ケーブル出口接合部28とケーブル12とは、B軸に沿って、または、基軸において示されているY軸に沿って、延びることができる。ここで、ノズル22は、前述のことを達成するために、x-z平面に正接するように構成および配置され得る。
【0040】
差込式イヤホン先端30は、ノズル22を覆って位置決めされ得る先端本体34を備えている。先端本体34の遠位端31は、例えば円錐形といった、外耳道の近位の耳の領域の内部に嵌まるように構成されている。先端本体34は、柔軟性がある、圧縮性がある、および/またはエラストマである材料を含むことができ、そのため、差込式イヤホン先端30は、(後述されている)力によって外耳道に押し込まれるとき、耳に適合できる。先端本体34の遠位端31は、差込式イヤホン26におけるスピーカなどによって発生される音がノズル22および先端本体開口31を介して外耳道に出力され得るように、ノズル開口と並べられ得る開口を備えている。
【0041】
先端30は、耳の対耳輪に沿って位置決めするために、および、差込式イヤホン先端30および差込式イヤホン26に対する枢動位置を提供するために構成および配置される保持輪体32を備えており、そのため、輪体32、差込式イヤホン先端30、および差込式イヤホン26は、1つまたは複数の力がヘッドホン10に加えられるとき、枢動位置に対して各々回転する。参照により本明細書において両方とも組み込まれている米国特許第8,249,287号および米国特許出願公開第2013/0230204号を参照されたい。
【0042】
図4は、
図2および
図3のヘッドホン10の別の斜視図であり、一部の例による、ヘッドホン10が耳に位置決めされるときにヘッドホン10に加えられる力の図である。
図5は、
図2〜
図4のヘッドホン10の下面図であり、一部の例による、ヘッドホン10が耳に位置決めされるときにヘッドホン10に加えられる力の図である。
図6は、一部の例による、人の耳に位置決めされた
図2〜
図5のヘッドホンの図である。
【0043】
一部の例による、ヘッドホンケーブル12が第1の位置P1から第2の位置P2に移行するとき、力がヘッドホン10に加えられる。ヘッドホンケーブル12の第1の位置P1は、差込式イヤホン先端30が耳(図示せず)において最初に挿入されるとき、ヘッドホン10の位置であり得る。ヘッドホン10の第2の位置P2は「固定位置」として言及でき、それによって、ケーブル12は、首または肩の上に垂らされ、1つまたは複数の力が、耳においてヘッドホン10を安定化するために、ヘッドホン10の異なる要素に加えられる。
【0044】
前述のように、ケーブル出口14は、差込式イヤホン26の後縁に隣接するケーブル出口接合部28の領域に位置決めされ、そのため差込式イヤホン26に対して中心から外れている。ここで、ケーブル出口接合部28は、固定位置P2において差込式イヤホン26および/または差込式イヤホン先端30を耳に着座するための力を分配できる。したがって、ケーブル出口14から延びるケーブル12の移動は、差込式イヤホン26またはヘッドホン本体16によって邪魔されない。
【0045】
第1の位置P1において、ケーブル12は、例えば、鉛直または鉛直に近い方向において軸Bに沿って、ならびに、差込式イヤホン26および/またはヘッドホン本体16が延びる中心軸Aと平行または平行の近くで、第1の方向においてケーブル出口14から延び得る。第2の位置P2において、ケーブルは、第1の方向に対して正接である第2の方向に延びる。
【0046】
ケーブル12は、水平成分Fxおよび鉛直成分Fyを含む第1の力F1に曝され得る。ケーブル12が、例えば首の後ろの周りに垂らされ、第2の位置P2にあるとき、第1の力F1はx軸から角度θにおいて作用する。例えば、ケーブル12は、首の後ろ(図示せず)に向かって後方下向きに引っ張られる。
【0047】
このようにしてケーブルに加えられる第1の力F1に応答して、トルクTが差込式イヤホン26および/または選択的な差込式イヤホン先端30に付与され得る。より具体的には、差込式イヤホン26が耳において位置決めされた後、トルクTは、差込式イヤホン26がヘッドホン10に対して中心付けられている枢動位置Zの周りに、例えば後ろから見たときに右の差込式イヤホンの時計回り方向において、付与され得る。ノズル22および/またはノズル22を覆って位置決めされた差込式イヤホン先端30は、回転力が周りで回転するZ軸(
図4が基軸で示されている頁から延び出す)に正接している軸に沿って差込式イヤホン26から延び得る。トルクTは、例えば螺旋経路に沿って、外耳道の方向D1においてノズル22および先端本体31を駆動し、それによって外耳道において遠位端31を固定する同じトルクであり得る。トルクTは、対珠の下で、本体31を駆動する同じトルクでもあり得る。そのようにすることで、支配的な力Fyは差込式イヤホン26の中心の周りにトルクTを作り出し、それによって、トルクの大きさは、差込式イヤホン26の中心軸Aへの距離に依存し得る。したがって、外耳道と対珠の下の切り欠きとは、差込式イヤホン26および先端30についての基準を形成している。
【0048】
また、保持輪体32は、耳の対耳輪に沿って時計回り方向D2において回転して、保持輪体32の外側脚37を対耳輪の下に着座させ、これは、遠位端31が外耳道に入るのに寄与できる。また、先端本体34は方向D3において移動し、それによってトルクが加えられ、これは、先端本体34および/または外側脚37の少なくとも一部を、耳の対珠の下の固定位置に置く。輪体32の内側脚38は対耳輪の上部において力を加えることができ、そのため、輪体32は対耳輪の下で固定する。輪体32は、柔軟性があり、複数の耳の内部の大きさに適合するまで、平面の内外に移動でき、渦を巻くことができる。
【0049】
したがって、ヘッドホン10の動作の間、ヘッドホン10は耳において安定して位置決めでき、これは、使用者の体が小さい動作を経験するスポーツ行事などの活動の間に有益である。このような動作は、ケーブルが、このような体の動作の間であっても、外耳道に向かって差込式イヤホン26に力を付与する形で角度付けられるため、差込式イヤホン先端30を外耳道入口に押し付けて維持できる。
【0050】
また、差込式イヤホン先端30が前述の力に応答して外耳道に駆り立てられるとき、差込式イヤホン先端30、または、差込式イヤホン先端のない柔軟な構成を有するノズルを形成する柔軟な材料は、外耳道入口に対して、封止接合部、または、シールもしくはプラグを提供でき、耳におけるヘッドホン10のさらなる安定した位置決めを提供できる。
【0051】
ヘッドホン10は、例えば、ケーブル12を反対方向で引っ張ることに応答して差込式イヤホン26を耳から排出することで、耳において取り外しできる。これは、一部の例では、例えばトルクTを反対方向において加えることによってといった、
図4に記述されている1つまたは複数の力の方向を反転することによって、達成できる。それによって、ノズル22は、方向D1と反対の方向、つまり、外耳道から離れる方向において、例えば螺旋経路に沿って移動し、それによって差込式イヤホン先端30の遠位端31を外耳道から分離する。
【0052】
図7は、ヘッドホン10'の別の斜視図であり、他の例による、ヘッドホン10'が耳に位置決めされるときにヘッドホン10'に加えられる力の図である。ヘッドホン10'は、ヘッドホン10'が差込式イヤホン先端を備えていないことを除いて、
図2〜
図6において記述したヘッドホン10と同様であり得る。代わりに、ヘッドホン10'は、人の耳の外耳道に位置決めされるノズル42を備えている。ノズル42は、差込式イヤホン先端30が覆うように位置決めされるヘッドホン10のノズル22と同様の構成または異なる構成を有することができる。例えば、ノズル42は柔軟な材料から形成でき、ヘッドホン10'が外耳道に位置決めされ、ケーブル12が、ここで記述されている1つまたは複数の力を付与する位置で関節接合されるとき、外耳道表面に従順に適合する圧縮可能な表面を提供する。
【0053】
ケーブル出口14は、差込式イヤホン26の後縁に隣接するケーブル出口接合部28の領域に位置決めされ、そのため差込式イヤホン26に対して中心から外れている。ここで、ケーブル出口接合部28は、固定位置P2において差込式イヤホン26および/またはノズル42を耳に着座するための力を分配できる。
【0054】
一部の例による、ヘッドホンケーブル12が第1の位置P1から第2の位置P2に移行するとき、1つまたは複数の力がヘッドホン10'に加えられる。第2の位置P2において、1つまたは複数の力は、耳においてヘッドホン10'を安定化するために、ヘッドホン10'の異なる要素に加えられる。
【0055】
第1の位置P1において、ケーブル12は、例えば、鉛直または鉛直に近い方向において、ならびに、差込式イヤホン26および/またはヘッドホン本体16が延びる中心軸と平行または平行の近くで、第1の方向においてケーブル出口14から延び得る。第2の位置P2において、ケーブルは、第1の方向に対して正接である第2の方向に延びる。
【0056】
ケーブル12は、水平成分Fxおよび鉛直成分Fyを含む第1の力F1に曝され得る。ケーブル12が、例えば首の後ろの周りに垂らされ、第2の位置P2にあるとき、第1の力F1はx軸から角度θにおいて作用する。例えば、ケーブル12は、首の後ろ(図示せず)に向かって後方下向きに引っ張られる。
【0057】
このようにしてケーブルに加えられる第1の力F1に応答して、トルクTが差込式イヤホン26に付与され得る。より具体的には、差込式イヤホン26が耳において位置決めされた後、トルクTは、差込式イヤホン26がヘッドホン10に対して中心付けられている枢動位置Zの周りに、例えば時計回り方向において、付与され得る。ノズル22は、トルクTが周りで回転するZ軸(
図7が示されている頁から延び出す)に正接している軸に沿って差込式イヤホン26から延び得る。付与されるトルクTは、例えば螺旋経路に沿って、外耳道の方向D1においてノズル42を駆動し、それによって外耳道においてノズル42を固定できる。
【0058】
いくつかの実施が記述されてきた。それでもなお、前述の記述が、特許請求の範囲よって定められる範囲を図示するように意図されており、限定するように意図されていないことは、理解されるものである。
【符号の説明】
【0059】
10 インイヤーヘッドホン
10' ヘッドホン
12 ケーブル
14 ケーブル出口
15 コネクタ
16 ヘッドホン本体
18 経路
20 回路インターフェース
22 ノズル
24 電子部品筐体
26 差込式イヤホン
28 ケーブル出口接合部
30 差込式イヤホン先端
31 遠位端、先端本体開口
32 保持輪体
34 先端本体
37 外側脚
38 内側脚
42 ノズル
A 軸
B 軸
D1 外耳道の方向
D2 時計回り方向
D3 方向
F1 第1の力
Fx 水平成分
Fy 鉛直成分
P1 第1の位置
P2 第2の位置
T トルク
Z 枢動位置
θ 角度