特許第6374546号(P6374546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374546
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】充電用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/60 20110101AFI20180806BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20180806BHJP
   H01R 13/533 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   H01R24/60
   H01R13/11 D
   H01R13/533 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-28413(P2017-28413)
(22)【出願日】2017年2月17日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3204154号
【原出願日】2016年2月26日
(65)【公開番号】特開2017-152381(P2017-152381A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】515334382
【氏名又は名称】ホライズン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】今井 清隆
(72)【発明者】
【氏名】今井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】レオンティエフ・セルギー
【審査官】 山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第204243263(CN,U)
【文献】 実開平03−094019(JP,U)
【文献】 特開2010−272295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/00 − 24/86
H01R 13/40 − 13/533
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBコネクタの規格であるType−Cのプラグコネクタの電源回路端子を両側から挟み込む端子と、前記プラグコネクタのグランド回路端子を両側から挟み込む端子と、をそれぞれ一対ずつ有し、充電機能のみを有する充電用コネクタにおいて、
前記端子は、フォーク端子により構成され、
一対となる前記フォーク端子は、その間を放熱板によって接続される、
ことを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載の充電用コネクタにおいて、
前記フォーク端子は、前記プラグコネクタの電源回路端子またはグランド回路端子を両側から挟み込むType−Cの仕様に基づく純正の端子の体積よりもさらに大きい体積を有する、
ことを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項3】
請求項1または2記載の充電用コネクタにおいて、
前記放熱板の前記フォーク端子が取り付けられていない側には、半田付用の端子が設けられる、
ことを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の充電用コネクタにおいて、
前記フォーク端子が装着される基台部と、
前記基台部を覆う補強シェルと、
を有し、
前記基台部には、Type−Cの仕様におけるストッパ機構に相当するストッパ部材が前記フォーク端子を挟んで両脇に装着される、
ことを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項5】
請求項4記載の充電用コネクタにおいて、
前記ストッパ部材の前記基台部から外部に延伸する部分には、充電用コネクタが取り付けられる基板を把持する切欠部を有する、
ことを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項6】
請求項4記載の充電用コネクタにおいて、
前記基台部は、Type−Cの仕様におけるプラグコネクタの挿入口を有し、前記挿入口の開口面積は、Type−Cの仕様における開口面積に比べて狭い、
ことを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項7】
請求項4記載の充電用コネクタにおいて、
前記基台部は、前記電源回路端子および前記グランド回路端子の一部を覆う絶縁部材を有し、
前記電源回路端子の前記絶縁部材に覆われていない部分の長さと前記グランド回路端子の前記絶縁部材に覆われていない部分の長さとは、互いに異なり、
前記電源回路端子を覆う前記絶縁部材は前記グランド回路端子を覆う前記絶縁部材よりも1段奥まった位置に配設される、
ことを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の充電用コネクタにおいて、
前記フォーク端子が装着される基台部と、
前記基台部を覆う補強シェルと、
を有し、
前記基台部は、充電用コネクタが取り付けられる基板を把持する切欠部を有し、
前記補強シェルは、両側面の一部が内側に折り込まれて形成されるType−Cの仕様におけるストッパ機構に相当するストッパ部材を有する、
ことを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項9】
USBコネクタの規格であるType−Cのプラグコネクタの電源回路端子を両側から挟み込む端子と、前記プラグコネクタのグランド回路端子を両側から挟み込む端子と、をそれぞれ一対ずつ有し、充電機能のみを有する充電用コネクタにおいて、
前記端子は、フォーク端子により構成され、
前記フォーク端子が装着される基台部と、
前記基台部を覆う補強シェルと、
を有し、
前記基台部には、Type−Cの仕様におけるストッパ機構に相当するストッパ部材が前記フォーク端子を挟んで両脇に装着され、
前記基台部は、前記電源回路端子および前記グランド回路端子の一部を覆う絶縁部材を有し、
前記電源回路端子の前記絶縁部材に覆われていない部分の長さと前記グランド回路端子の前記絶縁部材に覆われていない部分の長さとは、互いに異なり、
前記電源回路端子を覆う前記絶縁部材は前記グランド回路端子を覆う前記絶縁部材よりも1段奥まった位置に配設される、
ことを特徴とする充電用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
USB Type−Cは、USBの次世代規格(USB3.1)で新たに制定された新しいコネクタ規格である。Type−Cは、従来のUSBコネクタと同様に、コネクタに接続された機器への電源供給が可能である(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のUSBコネクタは、最大5V(ボルト)1.5A(アンペア)7.5W(ワット)の給電であるのに対し、Type−Cのコネクタは、最大20V5A100Wの給電が可能であり、給電中の許容温度上昇は最大30℃までとなっている。
【0004】
さらに、Type−Cのコネクタは、従来のマイクロUSBコネクタ(5極)とほぼ同じスペース内に24極分の端子を配列する必要があり高密度化されている。また、Type−Cのコネクタは、必然的に端子も小型になるため、電源回路とグランド回路でそれぞれ4端子をコモン回路として通電することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−191133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、Type−Cのコネクタは、電源回路とグランド回路でそれぞれ4端子をコモン回路として電流を分岐すれば、1端子当たりの通電電流は四分の一となるが、最大電流(5A)の通電時では1端子当たり1.25Aとなる。従来のType−Cのコネクタでは、端子が小型化されていて、コモン回路は、プリント基板を介して形成されており、電流容量が小さいため、通電温度上昇値が高くなる可能性が高い。
【0007】
また、Type−Cは、上述したように、従来のUSBコネクタと比較すると端子部材が小さい。さらに、プラグコネクタとジャックコネクタとを嵌合させたときのストッパ機構をジャックコネクタ側に有するなど、複雑な構造である。このため、製造コストを安価にすることが難しい。
【0008】
たとえば、従来のUSBコネクタでは、ジャックコネクタの端子数を減らして機器への充電用として充電機能のみを有する安価なものが市販されている。これに対し、Type−Cでは、充電用として端子数を減らしても小さい端子部材を基板上に配置するための精度の高い工程が要求されるため製造コストを安価にすることは難しい。また、Type−Cでは、充電用としてもジャックコネクタ側のストッパ機構は必要である。このため、Type−Cは、充電機能のみを有する安価なものを製造することが難しい。
【0009】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、充電機能のみを有するType−Cのジャックコネクタの電流容量に余裕を持たせることができると共に、製造コストを安価にすることができる充電用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の充電用コネクタは、USBコネクタの規格であるType−Cのプラグコネクタの電源回路端子を両側から挟み込む端子と、プラグコネクタのグランド回路端子を両側から挟み込む端子と、をそれぞれ一対ずつ有し、充電機能のみを有する充電用コネクタにおいて、端子は、フォーク端子により構成され、一対となるフォーク端子は、その間を放熱板によって接続されるものである。
【0011】
上述の充電用コネクタにおいて、フォーク端子は、プラグコネクタの電源回路端子またはグランド回路端子を両側から挟み込むType−Cの仕様に基づく純正の端子の体積よりもさらに大きい体積を有することができる。
【0012】
上述の充電用コネクタにおいて、放熱板のフォーク端子が取り付けられていない側には、半田付用の端子が設けられることができる。
【0013】
上述の充電用コネクタにおいて、フォーク端子が装着される基台部と、基台部を覆う補強シェルと、を有し、基台部には、Type−Cの仕様におけるストッパ機構に相当するストッパ部材がフォーク端子を挟んで両脇に装着されることができる。
【0014】
上述の充電用コネクタにおいて、ストッパ部材の基台部から外部に延伸する部分には、充電用コネクタが取り付けられる基板を把持する切欠部を有することができる。
【0015】
上述の充電用コネクタにおいて、基台部は、Type−Cの仕様におけるプラグコネクタの挿入口を有し、挿入口の開口面積は、Type−Cの仕様における開口面積に比べて狭いようにすることができる。
【0016】
上述の充電用コネクタにおいて、基台部は、電源回路端子およびグランド回路端子の一部を覆う絶縁部材を有し、電源回路端子の絶縁部材に覆われていない部分の長さとグランド回路端子の絶縁部材に覆われていない部分の長さとは、互いに異なるようにすることができる。
【0017】
上述の充電用コネクタにおいて、フォーク端子が装着される基台部と、基台部を覆う補強シェルと、を有し、基台部は、充電用コネクタが取り付けられる基板を把持する切欠部を有し、補強シェルは、両側面の一部が内側に折り込まれて形成されるType−Cの仕様におけるストッパ機構に相当するストッパ部材を有することができる。
【0018】
または、本発明の充電用コネクタは、USBコネクタの規格であるType−Cのプラグコネクタの電源回路端子を両側から挟み込む端子と、プラグコネクタのグランド回路端子を両側から挟み込む端子と、をそれぞれ一対ずつ有し、充電機能のみを有する充電用コネクタにおいて、端子は、フォーク端子により構成され、フォーク端子が装着される基台部と、基台部を覆う補強シェルと、を有し、基台部には、Type−Cの仕様におけるストッパ機構に相当するストッパ部材がフォーク端子を挟んで両脇に装着され、基台部は、電源回路端子およびグランド回路端子の一部を覆う絶縁部材を有し、電源回路端子の絶縁部材に覆われていない部分の長さとグランド回路端子の絶縁部材に覆われていない部分の長さとは、互いに異なるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、充電機能のみを有するType−Cのジャックコネクタの電流容量に余裕を持たせることができると共に、製造コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る充電用コネクタの分解斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る充電用コネクタの分解斜視図であり、図1の反対側から見た図である。
図3図1の充電用コネクタを組み立てた状態を示す斜視図である。
図4図2の充電用コネクタを組み立てた状態を示す斜視図である。
図5】既存のType−Cのジャックコネクタの斜視図である。
図6図1のストッパ部材の配設状態をプラグコネクタの凸部の配設状態と共に示す図である。
図7図6のストッパ部材の凹部がプラグコネクタの凸部と嵌合している状態を示す図である。
図8図1のストッパ部材が有する切欠部を説明するための図である。
図9】充電コネクタが図8の切欠部によって基板に取り付けられた状態を示す図である。
図10】プラグコネクタが挿入される挿入口の状態を示す切欠き斜視図である。
図11図10の切欠き斜視図における切欠き部分を断面図に置き換えた図である。
図12】グランド回路端子と電源回路端子の絶縁の状態を示す図である(図12図14は、いずれも基台部の短手方向の中心線に沿う断面図)。
図13】グランド回路端子と電源回路端子の絶縁の状態を図12の状態と比較するための図であり、挿入口から異物が侵入してグランド回路端子と電源回路端子とが短絡している状態を示す図である。
図14図12のグランド回路端子に異物が付着したときの状態を示す図である。
図15】その他の実施の形態に係る単独のフォーク端子を放熱板および半田付用端子と共に示す図である。
図16】その他の実施の形態に係るグランド回路端子の半田付用端子を示す図である。
図17】その他の実施の形態に係る電源回路端子の半田付用端子を示す図である。
図18】その他の実施の形態に係る基台部および補強シェルの短手方向の中心線に沿う断面図である。
図19図18の基台部および補強シェルを有する充電用コネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る充電用コネクタ1を図1図19を参照して説明する。
【0022】
(概要について)
本発明の実施の形態に係る充電用コネクタ1は、図1図4に示すように、USBコネクタの規格であるType−Cのプラグコネクタ(不図示)の電源回路端子を両側から挟み込む端子である電源回路端子10a,10bと、プラグコネクタのグランド回路端子を両側から挟み込む端子であるグランド回路端子20a,20bと、をそれぞれ一対ずつ有し、充電機能のみを有し、電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bは、フォーク端子により構成されるものである。これらの電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bと、後述するストッパ部材70a,70bとが基台部50に挿入され、基台部50は、補強シェル60に覆われている。補強シェル60は、孔80が設けられ、基台部50に設けられた突起部90と孔80とが嵌合することにより基台部50に固定される。充電用コネクタ1を組み立てた状態を図3および図4に示す。
【0023】
既存のType−Cのジャックコネクタの斜視図を図5に示す。既存のType−Cの仕様では、支持部材100に配置された端子110によって、プラグコネクタ側の端子を両側から挟み込む端子を実現している。これに対し、充電用コネクタ1は、図1図2に示すように、フォーク端子を基台部50に挿入することによって、前述の端子を実現している。さらに、電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bは、それぞれ対称に一対設けられている。これにより、充電用コネクタ1は、Type−C仕様のプラグコネクタとのリバーシブルな接続が可能となる。
【0024】
このような充電用コネクタ1は、電流容量に余裕を持たせることができると共に、部品点数および製造工程を簡略化することができ、製造コストを安価にすることができる。以下では、主要部材毎に分けてその構成および効果について詳細に説明する。
【0025】
(電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bについて)
電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bは、図1および図2に示すように、それぞれ放熱板30a,30bによって接続されている。放熱板30a,30bは、半田付用端子40a,40bを有する。半田付用端子40a,40bは、充電用コネクタ1を基板上に設けられた導体または電線に対し、半田付けにより接続するためのものであるが、放熱板30a,30bの延長として放熱効果にも寄与する。
【0026】
このように、電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bは、放熱板30a,30bおよび放熱板30a,30bの延長としての半田付用端子40a,40bを有することにより、充電用コネクタ1による充電時の発熱を抑えることができる。
【0027】
また、電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bを形成するフォーク端子は、プラグコネクタの電源回路端子またはグランド回路端子を両側から挟み込むType−Cの仕様に基づく純正の端子の体積よりもさらに大きい体積を有する。たとえば、既存のType−Cの仕様では、端子110を形成する金属板の厚さは0.2mmであるのに対し、電源回路端子10a,10b、グランド回路端子20a,20b、放熱板30a,30b、半田付用端子40a,40bを形成する金属板の厚さは、たとえば0.25mmである。これにより、電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bは、それ自体の熱容量が既存のType−Cの端子110よりも大きいため、充電時の発熱をより吸収することができる。
【0028】
(ストッパ機構としてのストッパ部材70a,70bについて)
充電用コネクタ1は、Type−Cの仕様におけるストッパ機構として、図1図4に示すように、ストッパ部材70a,70bを有する。ストッパ部材70a,70bは、板厚が補強シェル60を形成する金属板よりもさらに厚い金属板によって形成される。たとえば、ストッパ部材70a,70bは、0.4mmの金属板によって形成される。ストッパ部材70a,70bは、基台部50の両脇に挿入される。ストッパ部材70a,70bは、先端部付近に凹部71a,71bを有する。
【0029】
基台部50に挿入されたストッパ部材70a,70bは、図6に示すように、互いに基台部50の内側に向かった反りを有し、基台部50の内壁と凹部71a,71bとの間に一定に隙間を有する。ここで、図7に示すように、Type−CのプラグコネクタPが基台部50に挿入されると、プラグコネクタPが有する凸部Pa,Pbとストッパ部材70a,70bの凹部71a,71bとが嵌合する。これにより、充電用コネクタ1とプラグコネクタPとは所定の結合力によって結合される。
【0030】
また、ストッパ部材70a,70bの基台部50から外部に延伸する部分には、図8に示すように、充電用コネクタ1が取り付けられる基板100を把持する切欠部72a,72bを有する。これにより、図9に示すように、切欠部72a,72bによって、充電用コネクタ1を基板100に取り付けることができる。このとき、半田付用端子40aは基板100の上側(電源側)に位置し、半田付用端子40bは基板100に下側(グランド側)に位置する。
【0031】
このように、ストッパ部材70a,70bによって、Type−Cの仕様におけるストッパ機構を実現すると共に、充電用コネクタ1を基板100に取付ける機構の2つの機構を同時に実現することができる。これにより、充電用コネクタ1の部品点数および製造工数を削減し、製造コストを安価にすることができる。
【0032】
(挿入口51について)
基台部50は、図10および図11に示すように、Type−Cの仕様におけるプラグコネクタの挿入口51を有する。挿入口51の開口面積は、Type−Cの仕様における開口面積に比べて狭い。具体的には、挿入口51の短手方向の幅は、既存のType−Cの仕様に比べて約30%狭くなっている。これにより、プラグコネクタが充電用コネクタ1に挿入されたときに、プラグコネクタと充電用コネクタ1との間の隙間を小さくして埃等の異物の侵入を防ぐことができる。
【0033】
(グランド回路端子20a,20bと電源回路端子10a,10bの絶縁部材52a,52b,53について)
基台部50は、電源回路端子10a,10bの一部を覆う絶縁部材53と、グランド回路端子20a,20bの一部を覆う絶縁部材52a,52bとを有する。グランド回路端子20a,20bは、図12に示すように、基台部50の絶縁部材52a,52bに覆われていない部分を有する。電源回路端子10a,10bは、図12に示すように、基台部50の絶縁部材53に覆われていない部分を有する。このとき、電源回路端子10a,10bの絶縁部材53は、グランド回路端子20a,20bの絶縁部材52a,52bよりも1段奥まった位置に配設される。すなわち、グランド回路端子20a,20bが基台部50内の絶縁部材52a,52bに覆われていない部分の長さと電源回路端子10a,10bが基台部50内の絶縁部材53に覆われていない部分の長さとは、互いに異なる。
【0034】
ここで、比較例として、図13に示すように、グランド回路端子20a,20bが絶縁部材200に覆われていない部分の長さと電源回路端子10a,10bが絶縁部材200に覆われていない部分の長さが同じである場合、異物300が挿入口51から内部に侵入したときに、グランド回路端子20bと電源回路端子10bとが短絡するとする。このとき、図14に示すように、グランド回路端子20a,20bが基台部50内の絶縁部材52a,52bに覆われていない部分の長さと電源回路端子10a,10bが基台部50内の絶縁部材53に覆われていない部分の長さとが互いに異なると、異物300によるグランド回路端子20bと電源回路端子10bとの短絡は発生しない。特に、Type−Cの仕様(20V5A100W)では、最大で5Aの比較的大きな電流が流れるため、上述のように、電源回路端子10a,10bとグランド回路端子20a,20bとが異物300の侵入によって短絡しないようにする構成とすることは有用である。
【0035】
このように、グランド回路端子20a,20bが絶縁部材52a,52bに覆われていない部分の長さと電源回路端子10a,10bが絶縁部材53に覆われていない部分の長さとが互いに異なることにより、異物300の侵入などによる電源回路端子10a,10bとグランド回路端子20a,20bとの短絡を防ぐことができる。
【0036】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態は、その要旨を逸脱しない範囲において、様々に変更が可能である。
【0037】
たとえば、電源回路端子10a,10bまたはグランド回路端子20a,20bは、図15に示すように、全て、または、いずれか一方がそれぞれ単独であってもよい。単独に形成された電源回路端子10a,10bまたはグランド回路端子20a,20bは、放熱板30cおよび半田付用端子40cを有する。
【0038】
このように、電源回路端子10a,10b、グランド回路端子20a,20bを単独のものとすることにより、たとえば、1種類のフォーク端子部材を使って、電源回路端子10a,10b、グランド回路端子20a,20bを構成することができる。これにより、部品点数を削減することができる。
【0039】
また、図16に示すように、グランド回路端子20a,20bの半田付用端子40dは、図1に示す半田付用端子40bと比べると幅が広い。同様に、図17に示すように、電源回路端子10a,10bの半田付用端子40eは、図1に示す半田付用端子40aと比べると幅が広い。このように、半田付用端子の幅は、様々に変更が可能である。また、図15に示した単独のフォーク端子の場合も半田付用端子40dの幅は様々に変更することができる。また、半田付用端子40a,40b,40c,40d,40eは、半田付を容易にするために孔が開いているが、この孔は省略してもよい。
【0040】
このように、半田付用端子の幅や孔の有無を適宜変更することにより、様々な設計仕様に対応することができる。
【0041】
また、図18および図19に示すように、基台部50aは、充電用コネクタ1aが取り付けられる基板100を把持する切欠部72aa,72baを有し、補強シェル60aは、両側面の一部が内側に折り込まれて形成されるType−Cの仕様におけるストッパ機構に相当するストッパ部材70c,70dを有するようにしてもよい。
【0042】
これにより、ストッパ部材70a,70bを省略することができると共に、切欠部72aa,72baの部材を単純化することができるので、製造コストを削減することができる。
【0043】
上述の実施の形態では、電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bを有する例を示したが、これ以外に、適宜、信号端子などの端子を増設することができる。たとえば、充電用コネクタ1を、Type−C以外の仕様(たとえば、Type−Aなど)のコネクタを搭載している機器に対しても充電可能とするために、仕様に応じて対応する信号端子を付加し、Type−C以外のコネクタとの接続を可能とすることができる。これによれば、充電用コネクタ1を様々な仕様のコネクタと互換性を有するものとすることができる。
【0044】
(本発明の実施の形態に係る効果について)
このように、充電用コネクタ1は、電流容量に余裕を持たせることができると共に、部品点数および製造工程を簡略化することができ、製造コストを安価にすることができる。
【0045】
さらに詳細に説明すると、従来のType−Cのコネクタは、基板のパターンを介するために、回路の導体断面積が小さく、放熱するための表面積も小さく、導体の熱容量が小さかった。これに対し、充電用コネクタ1は、Type−Cの仕様に基づく端子の体積よりもさらに大きい体積により形成されるフォーク端子を電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bに用いることにより、電流容量および熱容量が大きくなる。このため、通電時の電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bの発熱量が小さく、且つ熱の吸収量が大きくなる。よって、通電時の電源回路端子10a,10bおよびグランド回路端子20a,20bの温度上昇を従来に比べて低く抑えることができる。
【0046】
また、半田付用端子40a,40bは、基板に半田付けをする他にも電線に直接半田付けを行うことができる。このように、電線に直接半田付けすることは、従来のType−Cのコネクタでは不可能である。充電用コネクタ1は、充電機能のみを有するのであるから、電流容量の大きな電線に対し、半田付用端子40a,40bを直接半田付けできることは有用である。
【0047】
また、このような充電用コネクタ1は、製造に際し、小さい端子部材を基板上に配置するための精度の高い工程を要求されることもなく、ストッパ機構も単純な形状の部材によって実現している。このため、充電用コネクタ1は、安価に製造することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…充電用コネクタ、10a,10b…電源回路端子、20a,20b…グランド回路端子、30a,30b…放熱板、40a,40b…半田付用端子、50,50a…基台部、51…挿入口、52a,52b,53…絶縁部材、60,60a…補強シェル、70a,70b,70c,70d…ストッパ部材、72a,72b,72aa,72ba…切欠部
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