【文献】
Y.S. ZHAO, et al.,Efficiency Enhancement of InGaN/GaN Light-Emitting Diodes with a back-Surface Distributed Bragg Reflector,Journal of ELECTRONIC MATERIALS,Vol.32, No.12, 2003,1523-1526
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1光学的厚さが前記第3光学的厚さに比べてより厚く、前記第2光学的厚さが前記第4光学的厚さに比べてより厚い請求項15に記載の発光ダイオードパッケージ。
【背景技術】
【0002】
青色波長の光または紫外線を発する窒化ガリウム系列の発光ダイオードチップは様々なものに応用されており、特に、バックライトユニットまたは一般照明器具などに求められる白色光などの混色された光を放出する多様な発光ダイオードパッケージが市販されている。
【0003】
発光ダイオードパッケージの出力は主に発光ダイオードチップの光効率に依存するため、発光ダイオードチップの光効率を改善しようとする研究が続けられている。特に、発光ダイオードチップの光抽出効率を改善しようとする研究が続けられており、このような研究の一つとして、サファイアのような透明基板の下部面に金属反射器または分布ブラッグ反射器(Distributed Bragg Reflector)を形成する技術が広く知られている。
【0004】
図1は従来のサファイア基板の下部面にアルミニウム層を形成して測定した反射率を示す。
【0005】
図1を参照すると、可視光領域の波長において、アルミニウム層を形成していないサファイア基板の場合は約20%の反射率を示すが、アルミニウム層を形成した場合、約80%の反射率を示すことが分かる。
【0006】
図2は、従来のサファイア基板の下部面にTiO
2/SiO
2を周期的に積層 した分布
ブラッグ反射器を形成して測定した反射率を示す。
【0007】
アルミニウム層の代わりに、発光ダイオードチップから放出される例えば460nmのピーク波長の光を反射する分布ブラッグ反射器(DBR)を設けた場合、
図2に示されたように、400〜500nmの青色波長領域で反射率がほぼ100%に至ることが分かる。
【0008】
しかし、前記DBRは可視光線領域のうち一部の領域に対して反射率を高めることができるだけで、その他の領域に対する反射率は非常に低い。即ち、
図2に示されるように、約520nm以上の波長に対しては反射率が急激に減少し、550nm以上では殆ど反射率が50%未満になる。
【0009】
従って、白色光を発するための発光ダイオードパッケージに、前記DBRを備えた発光ダイオードチップを実装する場合、発光ダイオードチップから放出された青色波長領域の光に対して前記DBRは高い反射率を表すが、緑色及び/または赤色波長領域の光に対しては前記DBRが効果的な反射特性を有することができない。そのため、パッケージでの光効率の改善に限界がある。
【0010】
一方、発光ダイオードパッケージの反射面にDBRを適用しようとする試みがあるが、従来のDBR蒸着技術の限界、例えば蒸着温度、プラズマ温度などの問題により実現されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、白色光などの混色された光を発する発光ダイオードパッケージの光効率を向上させる発光ダイオードチップを提供する。
【0012】
また、本発明は、光効率を向上させる発光ダイオードパッケージを提供する。
【0013】
また、本発明は、広い波長領域にわたって高い反射率を有する分布ブラッグ反射器、それを備えた発光ダイオードチップ及び発光ダイオードパッケージを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施例によると、分布ブラッグ反射器を有する発光ダイオードチップが開示される。この発光ダイオードチップは、基板と、前記基板の上部に位置し第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との間にはさまれた活性層を含む発光構造体と、前記発光構造体から放出された光を反射する分布ブラッグ反射器とを含む。前記分布ブラッグ反射器は青色波長領域の第1波長の光、緑波長領域の第2波長の光、及び赤色波長領域の第3波長の光に対して90%以上の反射率を有する。
【0015】
前記分布ブラッグ反射器を前記発光ダイオードチップに備えることにより、白色光のような混色された光、例えば青色光、緑色光及び赤色光を効果的に反射させることができ、発光ダイオードパッケージの光効率を向上させることができる。
【0016】
前記分布ブラッグ反射器は前記基板の下部に設けてもよい。特に、前記分布ブラッグ反射器は前記基板の下部面に形成されて、前記基板の下部面と接触させてもよい。この場合、前記基板の下部面はその表面粗さが3μm以下であってもよい。
【0017】
また、前記基板はその上部面に所定のパターンを含んでもよい。例えば、前記基板はパターニングされたサファイア基板であってもよい。
【0018】
一方、前記基板はその面積が90,000μm
2以上であってもよい。例えば、前記基板
面積は300×300μm
2以上、または1×1mm
2以上であってもよい。発光ダイオードチップに、分布ブラッグ反射器をより広い面積に形成することにより、本発明は効果的となる。
【0019】
また、前記発光ダイオードチップは前記基板上に複数個の発光セルを含んでもよい。さらに、前記発光ダイオードチップは前記複数個の発光セルが直列連結された少なくとも一つの発光セルアレイを含んでもよい。
【0020】
本発明の実施例において、前記分布ブラッグ反射器は、第1分布ブラッグ反射器と、第2分布ブラッグ反射器とを含んでもよい。例えば、前記第1分布ブラッグ反射器は赤色波長領域の光に比べて青色波長領域の光に対する反射率が高く、前記第2分布ブラッグ反射器は青色波長領域の光に比べて赤色波長領域または緑色波長領域の光に対する反射率が高くてもよい。
【0021】
また、前記分布ブラッグ反射器の位置は特に限定されない。例えば、前記分布ブラッグ反射器は前記基板の下部に位置することができ、この場合、前記第1分布ブラッグ反射器は前記第2分布ブラッグ反射器より前記基板に近く位置してもよい。また、前記分布ブラッグ反射器は前記基板と前記発光構造体の間に位置してもよい。この場合、前記第1分布ブラッグ反射器は前記第2分布ブラッグ反射器より前記発光構造体の近くに位置してもよい。
【0022】
本発明の実施例において、前記分布ブラッグ反射器は、第1光学的膜厚(optical
thickness)を有する第1材料層と第2光学的膜厚を有する第2材料層との対を複数個と、第3光学的膜厚を有する第3材料層と第4光学膜厚を有する第4材料層との対を複数個含んでもよい。ここで、前記第1材料層の屈折率は前記第2材料層の屈折率と異なっており、前記第3材料層の屈折率は前記第4材料層の屈折率と異なっている。
【0023】
また、前記第1材料層及び第2材料層の対の複数個は、前記第3材料層及び第4材料層の対の複数個に比べて前記発光構造体により近くに位置してもよい。さらに、前記第1材料層及び第2材料層はそれぞれ前記第3材料層及び第4材料層と同一の屈折率を有してもよい。また、前記第1光学的膜厚は前記第3光学的膜厚に比べて薄くてもよく、前記第2光学的膜厚は前記第4光学的膜厚に比べて薄くてもよい。
【0024】
本発明の実施例において、前記第1材料層及び第2材料層の対の複数個と、前記第3材料層及び第4材料層との対の複数個とが、互いに混在していてもよい。
【0025】
一方、前記第1光学的膜厚と前記第2光学的膜厚とは整数倍の関係を満たしていてもよく、また、前記第3光学的膜厚と前記第4光学的膜厚とは整数倍の関係を満たしていてもよい。特に、前記第1光学的膜厚と第2光学的膜厚とは互いに同一であり、前記第3光学的膜厚と第4光学的膜厚とは互いに同一であってもよい。
【0026】
本発明の他の実施例によると、分布ブラッグ反射器を有する発光ダイオードパッケージが提供される。前記発光ダイオードパッケージは、発光ダイオードチップを実装するための実装面と、前記実装面上に実装された発光ダイオードチップと、前記発光ダイオードチップから放出された光の少なくとも一部を反射させる反射面とを含む。前記反射面の少なくとも一部には、青色波長領域の第1波長の光、緑色波長領域の第2波長の光及び赤色波長領域の第3波長の光に対して90%以上の反射率を有する分布ブラッグ反射器が設けられている。
【0027】
前記分布ブラッグ反射器は例えばイオン補助蒸着(ion assisted deposition)技術を用いて形成されてもよい。
【0028】
本発明の他の実施例によると、分布ブラッグ反射器を有する発光ダイオードチップが開示される。この発光ダイオードチップは、前面及び裏面を有する基板と、前記基板の前面上部に位置し第1導電型半導体層と第2導電型半導体層の間にはさまれた活性層を含む発光構造体と、前記基板の裏面上に位置し、前記発光構造体から放出された光を反射する分布ブラッグ反射器とを含む。さらに、前記基板の裏面は表面粗さが3nm以下のRMS値を有し、前記分布ブラッグ反射器は青色波長領域の第1波長の光、緑色波長領域の第2波長の光及び赤色波長領域の第3波長の光に対して90%以上の反射率を有する。
【0029】
前記基板の裏面の表面粗さは2nm以下であってもよく、好ましくは1nm以下のRMS値を有しているのがよい。前記基板の裏面の表面粗さによって前記分布ブラッグ反射器の反射率が向上する。
【0030】
前記分布ブラッグ反射器を前記発光ダイオードチップに備えることにより、白色光のような混色された光、例えば青色光、緑色光、赤色光を効果的に反射させることができ、前記発光ダイオードパッケージの光効率を向上させることができる。
【0031】
前記分布ブラッグ反射器は前記基板の裏面上に形成されて前記基板の裏面と接触させてもよい。また、前記基板はその前面にパターンを含んでもよい。例えば、前記基板はパターニングされたサファイア基板であってもよい。
【0032】
一方、前記基板はその面積が90、000μm
2以上であってもよい。例えば、前記基板面積は300×300μm
2以上、または1×1mm
2以上であってもよい。発光ダイオードチップより比較的大きい面積を有する分布ブラッグ反射器を、広範囲に形成することにより、本発明はより効果的となる。
【0033】
また、前記発光ダイオードチップは、前記基板の前面上に複数個の発光セルを含んでもよい。さらに、前記発光ダイオードチップは、前記複数個の発光セルが直列連結された少なくとも一つの発光セルアレイを含んでもよい。
【0034】
本発明の実施例において、前記分布ブラッグ反射器は、第1分布ブラッグ反射器及び第2分布ブラッグ反射器を含んでもよい。例えば、前記第1分布ブラッグ反射器は赤色波長領域の光に比べて青色波長領域の光に対する反射率が高く、前記第2分布ブラッグ反射器は青色波長領域の光に比べて赤色波長領域または緑色波長領域の光に対する反射率が高くてもよい。
【0035】
また、前記第1分布ブラッグ反射器は、前記第2分布ブラッグ反射器より前記基板の近くに位置してもよい。
【0036】
本発明の実施例において、前記分布ブラッグ反射器は、第1光学的膜厚を有する第1材料層と第2光学的膜厚を有する第2材料層との対を複数個および第3光学的膜厚を有する第3材料層と第4光学的膜厚を有する第4材料層との対を複数個含んでもよい。ここで、前記第1材料層の屈折率は前記第2材料層の屈折率と異なっており、前記第3材料層の屈折率は前記第4材料層の屈折率と異っている。
【0037】
また、前記第1材料層及び第2材料層の対の複数個は、前記第3材料層及び第4材料層の対の複数個に比べて前記発光構造体のより近くに位置してもよい。さらに、前記第1材料層及び第2材料層は、それぞれ前記第3材料層及び第4材料層と同一の屈折率を有してもよい。また、前記第1光学的膜厚は前記第3光学的膜厚に比べて薄くてもよく、前記第2光学的膜厚は前記第4光学的膜厚に比べて薄くてもよい。
【0038】
本発明の実施例において、前記第1材料層及び第2材料層の対の複数個と、前記第3材料層及び第4材料層の対の複数個とが互いに混在していてもよい。
【0039】
一方、前記第1光学的膜厚と前記第2光学的膜厚とは整数倍の関係を満たしていてもよく、また、前記第3光学的膜厚と前記第4光学的膜厚とは整数倍の関係を満たしていてもよい。特に、前記第1光学的膜厚と第2光学的膜厚とは互いに同一であり、前記第3光学的膜厚と第4光学的膜厚とは互いに同一であってもよい。
【0040】
本発明の他の実施例によると、分布ブラッグ反射器を有する発光ダイオードチップの製造方法が提供される。この方法は、基板の前面上部に発光構造体を形成することを含む。ここで、前記発光構造体は第1導電型半導体層と、第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との間にはさまれた活性層とを含む。その後、前記基板の裏面をグラインディングして前記基板の一部を除去し、さらに、前記基板をラッピングして前記基板裏面の表面粗さを減少させる。そして、前記基板の裏面上に分布ブラッグ反射器を形成する。ここで、前記分布ブラッグ反射器を形成する前の前記基板裏面の表面粗さは3nm以下のRMS値を有する。また、前記分布ブラッグ反射器は青色波長領域の第1波長の光、緑色波長領域の第2波長の光及び赤色波長領域の第3波長の光に対して90%以上の反射率を有する。
【0041】
前記分布ブラッグ反射器を形成する前、前記基板裏面の表面粗さは1nm以下のRMS値を有していてもよい。また、前記方法は、前記ラッピングを遂行した後、さらに、前記基板裏面をCMPプロセスによって研磨する工程を含んでもよい。そして、前記CMPプロセスによって前記基板裏面の表面粗さが1nm以下のRMS値を有するように研磨されてもよい。
【0042】
一方、前記分布ブラッグ反射器上に反射金属層または保護層を形成することができる。前記反射金属層または保護層は前記発光ダイオードチップを発光ダイオードパッケージに実装する時、分布ブラッグ反射器を保護する。
【0043】
本発明の実施例において、前記分布ブラッグ反射器は例えばイオン補助蒸着(ion assisted deposition)技術を用いて形成することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の実施例によると、可視光領域の広範囲にわたって反射率の高い分布ブラッグ反射器が提供される。これによって、白色光などの混合された光を発する発光ダイオードパッケージの光効率を向上させることができる。さらに、発光ダイオードのパッケージを損傷させずにパッケージ上に分布ブラッグ反射器を形成することができる技術を用いることによって、光効率が改善された発光ダイオードパッケージを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。以下に説明される実施例は当業者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために例として提供されるものである。従って、本発明は以下説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化することもできる。そして図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは便宜のために誇張して表現する場合がある。明細書全体にわたって同一の参照番号は、基本的に、同一の構成要素を示す。
【0047】
図3は本発明の一実施例による発光分布ブラッグ反射器45を有するダイオードチップ20を説明するための断面図であり、
図4は
図3の分布ブラッグ反射器45を拡大して示した断面図である。
【0048】
図3を参照すると、発光ダイオードチップ20は、基板21、発光構造体30及び分布ブラッグ反射器45を含む。また、前記発光ダイオードチップ20は、バッファー層23、透明電極31、p−電極パッド33、n−電極パッド35、反射金属層51及び保護層53を含むことができる。
【0049】
前記基板21は透明基板であれば特に限定されず、例えばサファイアまたはSiC基板とすることができる。前記基板21はまた、上部面、即ち前面に、パターニングされたサファイア基板(PSS)のように、所定のパターンを有することができる。一方、前記基板21の面積はチップの全体面積を決める。本発明の実施例は前記発光ダイオードチップの面積が相対的に大きいほど、反射効果が増加する。従って、前記基板21は90、000μm
2以上であることが好ましく、さらに好ましくは1mm
2以上であることができる。
【0050】
前記基板21の上部に発光構造体30が位置する。前記発光構造体30は、第1導電型半導体層25、第2導電型半導体層29及び前記第1及び第2導電型半導体層25、29の間に配置された活性層27を含む。ここで、第1導電型と第2導電型は互いに反対の導電型で、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型とすることができ、またはその反対とすることもできる。
【0051】
前記第1導電型半導体層25、活性層27及び第2導電型半導体層29は窒化ガリウム系列の化合物半導体物質、即ち、(Al、In、Ga)Nで形成することができる。前記活性層27は求められる波長の光、例えば紫外線または青色光を放出するように組成元素及び組成比が決められる。前記第1導電型半導体層25及び/または第2導電型半導体層29は、図示したように、単一層に形成することができるが、多層構造に形成することもできる。また、活性層27は単一量子井戸または多重量子井戸構造に形成することができる。また、前記基板21と第1導電型半導体層25との間にバッファー層23を配置することができる。
【0052】
前記半導体層25、27、29はMOCVDまたはMBE技術を用いて形成することができ、フォトリソグラフィ及びエッチング工程を用いて前記第1導電型半導体層25の一部領域が露出するようにパターニングすることができる。
【0053】
一方、透明電極層31は第2導電型半導体層29上に、例えば、ITOまたはNi/Auで形成することができる。透明電極層31は第2導電型半導体層29に比べて比抵抗が低いため、電流を分散させる役割をする。前記透明電極層31上にp−電極パッド33が形成され、第1導電型半導体層25上にn−電極パッド35が形成される。前記p−電極パッド33は図示したように、透明電極層31を介して第2導電型半導体層29に接することができる。
【0054】
一方、前記基板21の下部即ち、裏面に分布ブラッグ反射器45が位置する。前記分布ブラッグ反射器45は第1分布ブラッグ反射器40及び第2分布ブラッグ反射器50を含む。
【0055】
図4を参照すると、第1分布ブラッグ反射器40は第1材料層40aと第2材料層40bとの対が複数、繰り返して形成され、第2分布ブラッグ反射器50は第3材料層50aと第4材料層50bとの対が複数、繰り返して形成される。前記第1材料層40a及び前記第2材料層40bとの対の複数個は青色波長領域の光に比べて赤色波長領域の光、例えば550nmまたは630nmの光に対する反射率が相対的に高く、前記第2分布ブラッグ反射器50は赤色または緑色波長領域の光に比べて青色波長領域の光、例えば460nmの光に対する反射率を相対的に高くすることができる。この際、前記第1分布ブラッグ反射器40内の材料層40a、40bの光学的厚さが前記第2分布ブラッグ反射器50内の材料層50a、50bの光学的厚さより厚いが、これに限定されず、その反対とすることもできる。
【0056】
前記第1材料層40aは前記第3材料層50aと同一の材料、即ち同一の屈折率を有することができ、前記第2材料層40bは前記第4材料層50bと同一の材料、即ち同一の屈
折率を有することができる。例えば、前記第1材料層40a及び第3材料層50aはTiO
2(n:約2.5)で形成することができ、前記第2材料層40b及び第4材料層50bはSiO
2(n:約1.5)で形成することができる。
【0057】
一方、前記第1材料層40aの光学的厚さ(屈折率×厚さ)は第2材料層40bの光学的厚さと実質的に整数倍の関係を有することができ、これらの光学的厚さは実質的に互いに同一とすることができる。また、前記第3材料層50aの光学的厚さは第4材料層50b
の光学的厚さと実質的に整数倍の関係を有することができ、これらの光学的厚さは実質的に互いに同一とすることができる。
【0058】
また、前記第1材料層40aの光学的厚さが前記第3材料層50aの光学的厚さよりもっと厚くし、前記第2材料層40bの光学的厚さが前記第4材料層50bの光学的厚さより
もっと厚くすることができる。前記第1から第4材料層40a、40b、50a、50bの光学的厚さは各材料層の屈折率及び/または実際の厚さを調節して制御することができる。
【0059】
また、
図3を参照すると、前記分布ブラッグ反射器45の下部にAl、AgまたはRhなどの反射金属層51が形成されることができ、前記分布ブラッグ反射器45を保護するための保護層53が形成されることができる。前記保護層53は例えば、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta及びAuから選択された何れか一つの金属層またはこれらの合金で形成することができる。前記保護層53は分布ブラッグ反射器45を外部の衝撃や汚染から保護する。例えば、前記反射金属層51または前記保護層53は、発光ダイオードチップを発光ダイオードパッケージに実装する場合、接着剤のような物質により前記分布ブラッグ反射器45が変形することを防止することができる。
【0060】
本実施例によると、相対的に長波長の可視光線に対して反射率が高い第1分布ブラッグ反射器40と相対的に短波長の可視光線に対して反射率が高い第2分布ブラッグ反射器50が互いに積層された構造の分布ブラッグ反射器45が提供される。分布ブラッグ反射器45はこの第1分布ブラッグ反射器40と第2分布ブラッグ反射器50の組合によって、可視光線領域の殆どの領域にわたって光に対する反射率を高めることができる。
【0061】
従来技術による分布ブラッグ反射器は特定波長範囲の光に対する反射率は高いが、他の波長範囲の光に対する反射率が相対的に低いため、白色光を放出する発光ダイオードパッケージでの光効率の向上に限界がある。しかし、本実施例によると、分布ブラッグ反射器45が青色波長領域の光だけでなく緑色波長領域の光及び赤色波長領域の光に対しても高い反射率を有することができるため、発光ダイオードパッケージの光効率を改善することができる。
【0062】
さらに、前記第1分布ブラッグ反射器40を第2分布ブラッグ反射器50に比べて基板21に近く配置することにより、その反対に配置する場合に比べて、分布ブラッグ反射器45内での光損失を減少させることができる。
【0063】
本実施例においては第1分布ブラッグ反射器40と第2分布ブラッグ反射器50の二つの反射器に対して説明をしたが、もっと多い数の反射器を用いることもできる。この場合、相対的に長波長に対して反射率が高い反射器が発光構造体30に相対的に近く位置することが好ましい。ただし、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0064】
また、本実施例において、前記第1分布ブラッグ反射器40内の第1材料層40aの厚さは相異なっていてもよい。また、第2材料層40bの厚さは相異なっていてもよい。また、前記第2分布ブラッグ反射器50内の第3材料層50aの厚さは相異なっていてもよい。また、第4材料層50bの厚さは相異なっていてもよい。
【0065】
本実施例において、分布ブラッグ反射器45が基板21の下部に配置されると説明をしたが、前記分布ブラッグ反射器45は基板21と発光構造体30の間に配置することもできる。この場合、第1分布ブラッグ反射器40が第2分布ブラッグ反射器50に比べて発光構造体30側にもっと近く配置することが好ましい。
【0066】
本実施例において、前記材料層40a、40b、50a、50bがSiO
2またはTiO
2で形成されると説明をしたが、これに限定されず、他の材料層、例えばSi
3N
4、化合物半導体などで形成することもできる。但し、前記第1材料層40aと前記第2材料層40bとの屈折率の差異及び前記第3材料層50aと前記第4材料層50bとの屈折率の差異が夫々0.5より大きいことが好ましい。
【0067】
また、前記第1分布ブラッグ反射器40内の第1材料層と第2材料層との対の数及び前記第2分布ブラッグ反射器50内の第3材料層と第4材料層の対の数が、多いほど反射率が増加する。これら対の総数は10以上、好ましくは20以上とすることができる。
【0068】
前記分布ブラッグ反射器45を形成する前、前記基板21の裏面の表面粗さが制御されている必要がある。基板21の裏面の表面粗さが相対的に大きい場合、前記分布ブラッグ反射器45によって広い波長範囲にわたって高い反射率を得ることが困難である。また、分布ブラッグ反射器45と基板21の間の界面が不良である場合、分布ブラッグ反射器45が変形しやすくなる可能性がある。このような変形は、例えば発光ダイオードパッケージに発光ダイオードチップを実装する場合のように、少しの熱工程が適用されたとしても分布ブラッグ反射器45の反射率が減少する問題を引き起こす可能性がある。前記基板21の裏面は表面粗さが3nm以下のRMS値を有するように制御されることができる。好ましくは、前記基板21の裏面は表面粗さが2nm以下、さらに好ましくは1nm以下のRMS値とすることができる。
【0069】
以下、前記分布ブラッグ反射器45及び発光ダイオードチップの製造方法に対して説明する。
【0070】
まず、分布ブラッグ反射器45を形成する前、基板21の表面粗さを制御する。例えば、発光構造体が形成された基板21の裏面を1次的にグラインディング(grinding)することにより、基板21の一部を除去して基板21を薄くする。この際、前記基板21の裏面はグラインディングによってスクラッチが発生し、相対的に非常に粗い表面となる。その後、前記基板21の表面を小さい粒子のスラリーを用いてラッピングする(lapping)。前記ラッピング工程で前記基板21の表面内のスクラッチなどの溝の深さが減少して、表面粗さが減少する。この際、前記ラッピング工程で用いられる定盤及びダイヤモンドスラリー粒子の大きさを調節することにより、基板21の裏面の表面粗さが3μm以下になるように制御することができる。その後、前記基板21の表面を化学物質によって追加的に表面処理することもできる。一般的に、定盤及びスラリー粒子を用いたラッピング工程では表面粗さを調節することに限界があり、従って前記ラッピング工程で表面粗さを減少させた後、化学機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing)工程を遂行して基板21の裏面を研磨することができる。前記CMP工程により、基板21の裏面の表面粗さを1nm以下まで制御することができる。
【0071】
次に、前記基板21の表面にTiO
2、SiO
2、Si
3N
4などの屈折率が相異なる材料層を繰り返して蒸着する。前記材料層の蒸着はスパッタリング、電子ビーム蒸着、プラズマ強化化学気相蒸着などの公知の多様な方法が用いられることができ、特にイオン補助蒸着法(ion assisted deposition)を用いることができる。イオン補助蒸着法は、基板21に蒸着する材料層の反射度を測定して適する厚さの材料層を形成するため、分布ブラッグ反射器の材料層を形成するに特に適する。
【0072】
前記分布ブラッグ反射器が形成された後、前記分布ブラッグ反射器上に金属層を形成することができる。その後、前記基板21をダイシングして個別の発光ダイオードチップが完成する。
【0073】
図5は本発明の他の実施例による分布ブラッグ反射器55を説明するための断面図である。
図3及び
図4では、分布ブラッグ反射器45を第1分布ブラッグ反射器40と第2分布ブラッグ反射器50との積層構造が図示及び説明されている。これと異なって、本実施例による分布ブラッグ反射器55では、第1材料層40aと第2材料層40bとの対の複数個と第3材料層50aと第4材料層50bとの対の複数個とが互いに混在している。即ち、第3材料層50aと第4材料層50bとの少なくとも一対が第1材料層40aと第2材料層40bとの対の複数個の間に位置し、また、第1材料層40aと第2材料層40bとの少なくとも一対が第3材料層50aと第4材料層50bとの対の複数個の間に位置している。ここで、前記第1から第4材料層40a、40b、50a、50bの光学的厚さは可視光線領域の広い範囲にわたって光に対する高い反射率を有するように制御される。
【0074】
前記分布ブラッグ反射器55は基板21の下部に位置することができるが、これに限定されず、基板21と発光構造体(
図3の30)の間に位置することもできる。
【0075】
図6は本発明の一実施例によるサファイア基板上の分布ブラッグ反射器の反射率を示すグラフである。ここで、前記分布ブラッグ反射器はTiO
2/SiO
2を用いて形成される。
図4に図示したように、第1分布ブラッグ反射器40と第2分布ブラッグ反射器50とが積層構造を有するように形成されている。また、可視光線の全ての波長領域にわたって反射率を測定し、同一のサンプルに対して7回測定した。前記第1分布ブラッグ反射器40は約630nmの中央波長を有し、第2分布ブラッグ反射器50は約460nmの中央波長を有する。
図6に図示されるように、前記分布ブラッグ反射器を採択することにより、400〜500nmの青色波長領域の光だけでなく、500〜600nmの緑色波長領域の光及び600〜700nmの赤色波長領域の光に対して90%以上、さらには98%以上の反射率を得ることができることが分かる。
【0076】
一方、
図6で400〜700nmの全ての領域にわたって90%以上の高い反射率を得た。400〜700nmの領域のうち一部中間領域で90%未満の反射率が得られる場合にも、二つ以上の中央波長を有する分布ブラッグ反射器を採択するかぎり、本発明の技術的範囲に属する。
【0077】
図7は本発明の他の実施例による複数個の発光セルを有する発光ダイオードチップ20aを説明するための断面図である。
【0078】
図7を参照すると、前記発光ダイオードチップ20aは基板21上に複数個の発光セルを含み、また、分布ブラッグ反射器45を含む。
【0079】
前記基板21及び前記分布ブラッグ反射器45は
図3から
図5を参照して説明した分布ブラッグ反射器と同様であり、その詳細な説明は省略する。但し、前記基板21は複数個の発光セルを電気的に分離するために絶縁体であることが好ましく、例えばパターニングされたサファイア基板であることができる。
【0080】
一方、前記複数個の発光セル30は互いに離隔されて位置する。前記複数個の発光セル30夫々は
図3を参照して説明した発光構造体30と同一であるため、詳細な説明は省略する。また、発光セル30と基板21との間にバッファー層23を配置することができ、前記バッファー層23も互いに離隔されることが好ましい。
【0081】
第1絶縁層37が発光セル30の前面を覆う。第1絶縁層37は第1導電型半導体層25上に開口部を有し、また第2導電型半導体層29上に開口部を有する。前記発光セル30の側壁は第1絶縁層37によって覆われる。第1絶縁層37はまた発光セル30の間の領域内において基板21を覆う。第1絶縁層37はシリコン酸化膜(SiO
2)またはシリコン窒化膜で形成されることができ、プラズマ化学気相蒸着法を用いて200〜300℃の温度範囲で形成された層であることができる。この際、前記第1絶縁層37は4500Å〜1μmの厚さに形成されることが好ましい。4500Åより小さい厚さに形成される場合、発光セルの下方で段差被覆(step coverage)特性によって相対的に薄い厚さの第1絶縁層が形成され、第1絶縁層上に形成される配線と発光セルの間に電気的短絡が発生する可能性がある。一方、第1絶縁層は厚いほど電気的短絡を防止することができるが、光透過率を落として発光効率を減少させるため、1μmの厚さを超過しないことが好ましい。
【0082】
一方、配線39は第1絶縁層37上に形成される。配線39は前記開口部を通じて第1導電型半導体層25及び第2導電型半導体層29に電気的に連結される。前記第2導電型半導体層29上に透明電極層31が位置することができ、前記配線は前記透明電極層31に接続されることができる。また配線39は隣接した発光セル30の第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層29を夫々電気的に連結して、発光セル30の直列アレイを形成することができる。このようなアレイが複数個形成されることができ、複数個のアレイが互いに逆並列(anti parallel)に連結されて、交流電源に連結されて駆動されることができる。また、発光セルの直列アレイに連結されたブリッジ整流器(図示せず)を形成することができ、前記ブリッジ整流器によって前記発光セルが交流電源下で駆動されることもできる。前記ブリッジ整流器は前記発光セル30と同一の構造の発光セルを、配線39を用いて結線することにより形成することができる。
【0083】
これと異なり、前記配線は隣接した発光セルの第1導電型半導体層25を互いに連結したり、第2導電型半導体層29を互いに連結したりすることもできる。これにより、直列及び並列連結された複数個の発光セル30を提供することができる。
【0084】
前記配線39は導電物質、例えば多結晶シリコンのようなドーピングされた半導体物質または金属で形成されることができる。特に、前記配線39は多層構造に形成されることができ、例えば、CrまたはTiの下部層と、CrまたはTiの上部層を含むことができる。また、Au、Au/NiまたはAu/Alの金属層を前記下部層と上部層との間に配置することができる。
【0085】
第2絶縁層41が前記配線39及び前記第1絶縁層37を覆うことができる。第2絶縁層41は、配線39が水分などによって汚染されることを防止し、外部衝撃によって配線39及び発光セル30が損傷されることを防止する。
【0086】
第2絶縁層41は第1絶縁層37と同一の材質で、シリコン酸化膜(SiO
2)またはシリコン窒化膜で形成されることができる。前記第2絶縁層41は、第1絶縁層のように、プラズマ化学気相蒸着法を用いて200℃以上300℃以下の温度範囲で形成された層とすることができる。さらに、前記第1絶縁層37がプラズマ化学気相蒸着法を用いて形成された層である場合、前記第2絶縁層41は、前記第1絶縁層37の蒸着温度に対して−20%以上+20%以下の温度範囲内で蒸着された層であることが好ましく、さらに好ましくは同一の蒸着温度で蒸着された層であることが好ましい。
【0087】
一方、前記第2絶縁層41は第1絶縁層37に比べて相対的に薄い厚さを有し、500Å以上の厚さを有することが好ましい。第2絶縁層41が第1絶縁層37に比べて相対的に薄いため、第2絶縁層が第1絶縁層から剥離されることを防止することができる。また、第2絶縁層が2500Åより薄い場合、外部衝撃または湿気の浸透から配線及び発光セルを保護することが困難である。
【0088】
一方、蛍光体層43が発光ダイオードチップ20a上に位置することができる。前記蛍光体層43は、樹脂に蛍光体が分散された層または電気泳動法によって蒸着された層であることができる。蛍光体層43は第2絶縁層41を覆って発光セル30から放出された光を波長変換する。
【0089】
図8は本発明の一実施例による分布ブラッグ反射器を有する発光ダイオードチップを実装した発光ダイオードパッケージを示す断面図である。
【0090】
図8を参照すると、前記発光ダイオードパッケージは、パッケージ本体60、リード61a、61b、発光ダイオードチップ20または20a及びモールディング部63を含む。前記パッケージ本体60はプラスチック樹脂で形成することができる。
【0091】
前記パッケージ本体60は発光ダイオードチップ20を実装するための実装面Mを有し、また発光ダイオードチップ20から放出された光が反射する反射面Rを有する。一方、前記発光ダイオードチップ20は実装面M上に実装されて、ボンディングワイヤを通じてリード61a、61bに電気的に連結される。
【0092】
前記発光ダイオードチップ20は
図3及び
図4を参照して説明した分布ブラッグ反射器45を有したり、
図5を参照して説明した分布ブラッグ反射器55を有したりすることができる。
【0093】
一方、前記発光ダイオードパッケージは混色された光、例えば白色光を放出し、このために発光ダイオードチップ20から放出された光を波長変換するための蛍光体を含むことができる。前記蛍光体はモールディング部63内に含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0094】
前記発光ダイオードチップ20が分布ブラッグ反射器45または55を含むため、前記蛍光体で波長変換された光が発光ダイオードチップ20を通じて実装面Mに向かう場合、波長変換された光も分布ブラッグ反射器45または55によって高い反射率で反射され、外部に放出される。これにより、従来の発光ダイオードパッケージに比べて光効率が高い発光ダイオードパッケージが提供されることができる。
【0095】
本実施例において、白色光を具現するために発光ダイオードチップ20とともに蛍光体を含むパッケージに対して説明するが、本発明はこれに限定されるのではない。白色光を放出するための多様なパッケージが公知されており、前記発光ダイオードチップは全てのパッケージに適用可能である。
【0096】
また、本実施例において、発光ダイオードチップ20を実装するとして説明したが、
図7を参照して説明した発光ダイオードチップ20aを実装面M上に実装することもできる。前記発光ダイオードチップ20aが蛍光体層43を含む場合、前記モールディング部63内の蛍光体を省略することもできる。
【0097】
図9は本発明の他の実施例による分布ブラッグ反射器を有する発光ダイオードパッケージを説明するための断面図である。
【0098】
図9を参照すると、前記発光ダイオードパッケージは
図8を参照して説明した発光ダイオードパッケージとほぼ同様であり、反射面Rに分布ブラッグ反射器75が設けられた点でのみ差異を有する。また、本実施例において、発光ダイオードチップ90は
図4または
図5で説明した分布ブラッグ反射器45または55を有しないこともできる。
【0099】
前記分布ブラッグ反射器75は第1分布ブラッグ反射器70と第2分布ブラッグ反射器80を含むことができる。前記第1分布ブラッグ反射器70及び第2分布ブラッグ反射器80は、夫々
図4を参照して説明した第1及び第2分布ブラッグ反射器40、50と同一の材料層、積層構造を有することができる。即ち、第1分布ブラッグ反射器70は第1材料層70a及び第2材料層70bの対の複数個で形成され、第2分布ブラッグ反射器80は第3材料層80a及び第4材料層80bの対の複数個で形成されることができ、これら第1から第4材料層70a、70b、80a、80bは
図4を参照して説明した第1から第4材料層40a、40b、50a、50bと同一であるため、ここで具体的な説明は省略する。
【0100】
前記分布ブラッグ反射器75によって可視光線領域の広い波長範囲にわたって高い反射率を提供することができるため、前記発光ダイオードパッケージの光効率が向上する。
【0101】
一方、前記分布ブラッグ反射器は
図5を参照して説明したように、第1及び第2材料層70a、70bの対の複数個と第3及び第4材料層80a、80bの対の複数個とが互いに混在して形成されることができる。
【0102】
前記分布ブラッグ反射器75は相対的に低い温度で遂行されるイオン補助蒸着法を用いて形成されることができ、従ってプラスチック樹脂のパッケージ本体60またはリード61a、61bを損傷せずに形成することができる。前記分布ブラッグ反射器75はワイヤをボンディングするためのリード領域を除いた全ての領域に形成することができる。
【0103】
一方、前記発光ダイオードチップ90は、
図7の発光ダイオードチップ20または20aのように分布ブラッグ反射器を含むことができるが、これに限定されず、従来の一般的な発光ダイオードチップであることもできる。
【0104】
本実施例によると、反射面に青色波長領域の光、緑色波長領域の光及び赤色波長領域の光に対して90%以上の反射率を有する分布ブラッグ反射器を設けることにより、光効率を改善する発光ダイオードパッケージを提供することができる。
【0105】
(実験例)
分布ブラッグ反射器を形成する基板表面の状態は分布ブラッグ反射器の反射率に影響を与え得る。以下、基板表面の状態が分布ブラッグ反射器の反射率に影響を与えることを確認するために実施された実験例を説明する。
【0106】
図10は銅定盤によるサファイア基板のラッピング工程後におけるCMPの有無による分布ブラッグ反射器の反射率を示すグラフである。
【0107】
まず、サファイア基板の裏面をグラインディングした後、3μm粒子のダイヤモンドスラリーを用いて銅定盤によってラッピング工程を実施した。銅定盤によるラッピング工程後のサファイア基板の裏面の表面粗さは5μm×5μmの面積で約5.12nmのRMS値を示した。
【0108】
次に、前記サファイア基板の裏面に化学機械的研磨工程を実施した後、TiO
2とSiO
2の厚さを制御して、上述した第1分布ブラッグ反射器及び第2分布ブラッグ反射器を形成してサンプルを製作した(実施例1)。これに対する比較例として、化学機械的研磨工程を遂行せず、実施例1と同一に分布ブラッグ反射器を形成してサンプルを製作した。化学機械的研磨工程は20Kgの荷重でSiO
2スラリーを用いて遂行されて、化学機械的研磨工程後のサファイア基板の表面粗さは5μm×5μmの面積で約0.25nmのRMS値を表した。
【0109】
比較例の場合、前記分布ブラッグ反射器の反射率は
図10に図示されたように、可視光線領域で概して90%以上の反射率を表すが、反射率が波長によって不規則であり、また550nm付近では90%以下の値を表した。これに反し、実施例1の場合、分布ブラッグ反射器の反射率は可視光線の広い波長範囲にわたって殆ど100%に近い値を表した。
【0110】
図11は
図10の実施例及び比較例と同一に製作したサンプルに約500nmのAlを蒸着した後の反射率を示すグラフである。
【0111】
比較例の場合、Al蒸着後の反射率が非常に減少することが確認された。これに反し、実施例の場合、Al蒸着後にも反射率が減少せず、高い反射率を維持した。
【0112】
比較例でAlを蒸着した後に反射率が減少することは、Alを電子ビーム蒸着技術を用いて蒸着する間に、表面が粗いサファイア基板に形成された比較例の分布ブラッグ反射器が界面不良によって変形されたため現われた現象であると判断される。実施例1の場合はサファイア基板の表面粗さが良好であるため、Alを蒸着する間にも分布ブラッグ反射器の変形が発生せず、反射率が維持されると判断される。
【0113】
図12から
図14はスズ定盤を用いたラッピング工程でスラリー粒子の大きさによる分布ブラッグ反射器の反射率を示すグラフである。
【0114】
ここで、スラリーはダイヤモンド粒子を含み、ダイヤモンド粒子の大きさは夫々3μm、4μm及び6μmのものを用いた。スズ定盤を用いたラッピング工程後のサファイア基板の表面粗さはダイヤモンド粒子の大きさによって、約2.40nm、3.35nm及び4.18nmのRMS値を表した。
【0115】
スズ定盤によってラッピング工程を実施した後、実施例1と同一の分布ブラッグ反射器を形成して、追加的に
図11の例のように約500nmのAlを蒸着した。
【0116】
上述の図面から分かるように、3μmスラリーとスズ定盤によるラッピング工程後の分布ブラッグ反射器の反射率は、可視光線領域の広い波長範囲にわたって90%以上であった。但し、Alを蒸着した後、反射率が550nm付近で少し減少した。
【0117】
しかし、4μmスラリーとスズ定盤によるラッピング工程後の分布ブラッグ反射器の反射率は、550nm付近で90%に及ぶことができず、Alを蒸着した後の反射率は80%以下に減少した。
【0118】
以上の実験例から分かるように、分布ブラッグ反射器を形成する前のサファイア基板の表面粗さが分布ブラッグ反射器の反射率に影響を与えることが分かる。また、サファイア基板の表面粗さを3nm以下のRMS値以下に制御する場合、非常に良好な反射率特性を表す。また、サファイア基板の表面粗さが1nm以下の場合、Al蒸着後にも反射率が減少されないと予想される。