特許第6374600号(P6374600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374600
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵器を充電するための装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20180806BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   H02J7/02 B
   H01M10/44 Q
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-512766(P2017-512766)
(86)(22)【出願日】2015年9月3日
(65)【公表番号】特表2017-528105(P2017-528105A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】EP2015070139
(87)【国際公開番号】WO2016034669
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年3月29日
(31)【優先権主張番号】102014217703.0
(32)【優先日】2014年9月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・トリチェラー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ライシェルト
【審査官】 稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−521750(JP,A)
【文献】 特開2013−102586(JP,A)
【文献】 特開2012−085535(JP,A)
【文献】 特表2004−519593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
H01M 10/42−10/48
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵器(10)を充電するための装置(5)であって、
直流電源(20)に接続するための第1の端子(15)と、
前記エネルギー貯蔵器(10)に接続するための第2の端子(25)と、
交流電源(55)に接続するための第3の端子(50)と、
前記第3の端子(50)と前記第2の端子(25)との間で直列に接続された第1のトランスデューサ回路(30)、中間回路(40)及び第2のトランスデューサ回路(35)と、
を備え、
前記第1のトランスデューサ回路(30)は、前記第3の端子(50)に接続された第1の接続、前記中間回路(40)に接続された第2の接続、前記第2の端子(25)に接続された第3の接続を備え、前記第1のトランスデューサ回路(30)は前記第1の接続と前記第2の接続との間で直列に接続されたグリッドチョーク(75)、スイッチ(70)、メインチョーク(65)及びブリッジ回路(60)をさらに備え、
前記スイッチ(70)は、第1の設定と第2の設定との間で切り替えるように構成されており、
前記直流電源(20)を用いた充電が行われる第1の充電モードでは、前記スイッチ(70)を、グリッドチョーク(75)をメインチョーク(65)から分離し、メインチョーク(65)を前記第3の接続に接続するように前記第1の設定に切り替え、それによって前記第1のトランスデューサ回路(30)をDC/DCトランスデューサとして動作させ、DC/DCトランスデューサとして動作する前記第1のトランスデューサ回路(30)とDC/DCトランスデューサとして動作する前記第2のトランスデューサ回路(35)を前記第1の端子(15)と前記第2の端子(25)との間に並列に接続し、
前記交流電源(55)を用いた充電が行われる第2の充電モードでは、前記スイッチ(70)を、前記グリッドチョーク(75)と前記メインチョーク(65)とを接続し、前記メインチョーク(65)を前記第3の接続から分離するように前記第2の設定に切り替え、それによって前記第1のトランスデューサ回路(30)をAC/DCトランスデューサとして動作させ、AC/DCトランスデューサとして動作する前記第1のトランスデューサ回路(30)とDC/DCトランスデューサとして動作する前記第2のトランスデューサ回路(35)を前記第3の端子(50)と前記第2の端子(25)との間で直列に接続するように構成されている装置(5)。
【請求項2】
前記第1および第2のトランスデューサ回路(30、35)は、前記直流電源(20)の充電電流の多相処理を実行するように構成されている、請求項に記載の装置(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー貯蔵器を充電する装置に関するものであり、実施形態は、AC−DC混合の急速充電システムを示す。
【背景技術】
【0002】
車両において、両方の充電方式、すなわちAC充電とDC充電、が選択式に使用可能な場合、AC充電とDC充電の両方を可能にする複合車両プラグ装置を用いて実現されるのが望ましい。(単相または三相の)AC充電器は通常、車両内に取り付けられており、選択肢としてさらにDC充電があれば、DC充電器は車両のバッテリに直接接続される。バッテリ電圧と、今日利用可能な充電プラグ装置の限られた通電容量のため、バッテリに直接結合する充電プロセスが電力において制限されるというのがここでは欠点である。この欠点は、車両内においてDC/DCトランスデューサを使用することによって排除することができるが、追加コストと要素の複雑さが生じる。周知の充電装置は、DE 10 2011 075 927 A1およびDE 10 2012 206 801 A1に記載されている。
【0003】
さらなる充電装置は[1]、[2]、及び[3]に示されている。[1]は固定の高出力DC/DCトランスデューサを示す。さらに、車両内には充電中に未使用のままであるDC/DCトランスデューサおよびDC/ACコンバータが配置されている。[2]はDC/DCトランスデューサがバッテリ電圧に対するDCバスの電圧の降圧コンバータとしても使用されるブーストコンバータを含むモータコンバータを示す。[3]は、三相モータコンバータとモータのインダクタンスが、DC/DCトランスデューサ、モータコンバータまたは二相交流チャージャとして使用できるコンセプトを示す。それぞれ異なる動作モードは、複数のスイッチおよびスイッチ位置の組み合わせを使用して選択することができる。
【0004】
EP 2114714 B1は、モータと、車両にエネルギーを供給する電動モータとを備えるハイブリッド車両の駆動システムを示す。加えて、駆動システムは、エネルギーを貯蔵するための第1の装置と、エネルギーを貯蔵するための第2の装置とを含み、各々が電気エネルギーを貯蔵する。電力トランスデューサは、エネルギー貯蔵用の第1の装置とエネルギー貯蔵用の第2の装置との間の電力交換に影響を与える。さらに、電力トランスデューサは、エネルギーを貯蔵するための第1の装置および第2の装置の充電状態を監視する電子制御ユニットを備える。さらに、エネルギー貯蔵用の第2の装置は、直流電圧または交流電圧によって動作することができ、(直流電圧動作と比較して)交流電圧動作のためにはブリッジ回路用の追加の電力スイッチが必要となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】[1] Highly efficient and Compact DC_DC Converter for Ultra-Fast Charging of electric Vehicles", D. Christen, S. Tschannen, J. Biela, ETH Zurich, 15th International Power Electronics and Motion Control Conference, EPE-PEMC 2012 ECCE Europe, Novi Sad, Serbia
【非特許文献2】[2] "Automotive Powertrain DC/DC Converter with 25kW/dm3 by using SiC Diodes.", B. Eckardt, A. Hofmann, S. Zeltner, M. Maerz, Fraunhofer Institut of integrated Systems and Device technology (IISB), Erlangen
【非特許文献3】[3] Integrated electric Motor Drive and Power Electronics for Bidirectional Power Flow between the electric Vehicle and DC or AC grid", Mehnaz Akhter Khan, Iqbal Husain, North Carolina State University, Raleigh, NC, USA and Yilmaz Sozer, University of Akron, OH, USAIEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS; VOL. 28, NO. 12, DECEMBER 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底にある目的は、DC充電のプロセスにおける改善された概念を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、各請求項の主題によって達成される。本発明の実施形態は、従属請求項に規定されている。
【0008】
実施形態は、直流電源に接続するための第1の端子と、エネルギー貯蔵器に接続するための第2の端子と、第1の端子と第2の端子との間の並列接続とを含むエネルギー貯蔵器を充電するための装置を提供し、並列接続は中間接続回路と、第1および第2のトランスデューサ回路を含む。
【0009】
本発明は、並列に接続された2つのトランスデューサ回路に直流電圧源を接続する際、トランスデューサ回路の出力に接続されたエネルギー貯蔵器の充電電力を増加させることができるという知見に基づく。例えば、より高い充電電力は自動車用バッテリをより迅速に充電することができるという利点があり得る。
【0010】
別の実施形態において、装置は、交流電源に接続するための第3の端子を備えることができる。第1のトランスデューサ回路は、AC/DCトランスデューサのメインチョークとグリッドチョークとの間に接続されたスイッチを有するAC/DCトランスデューサを備え、AC/DCトランスデューサは第3の端子に接続され、さらにスイッチは直流チョークからグリッドチョークを分離し、直流充電モードにおいてメインチョークを第2の端子に接続する。さらに、装置は、グリッドチョークとメインチョークとを接続し、メインチョークを第2の端子から分離するようにスイッチが構成されている交流充電モードを備えることができる。これは、例えば電気自動車に存在するAC充電システムが、ほとんど仕様変更されることなくDC充電にも利用され得るという点で有利である
【0011】
別の実施形態において、第1のDC/DCトランスデューサは、巻線が第1のDC/DCトランスデューサのメインチョークを形成するモータを備え、さらに、メインチョークを直流充電モードで第2の端子に接続するように構成されたスイッチを備える。スイッチは、モータ動作のプロセスにおいて、モータを第2の端子から分離するように構成されていてもよい。さらに、第1のDC/DCトランスデューサは、中間接続回路とメインチョークとの間のブリッジ回路を備えることができ、これは、例えばドライブコンバータとしても機能することができる。一実施形態では、モータは、電気自動車の駆動モータであってもよい。
【0012】
ACまたはDC充電用の充電器を二重に使用することは、わずかな追加費用で、AC充電器をDC充電用としても使用することができ、同様に、DC充電器をAC充電器としても使用することができるため、2つの別々のACおよびDC充電システムとを比較した場合のコストとデバイスの大幅な節約を実現することができる利点がある。さらに、DC充電の場合、大幅な追加支出なしに、通電容量、ひいては転送される電力を大幅に増加させることができる。また、DC充電においてDC/DCトランスデューサを含むモータコンバータを使用する場合、車両に追加の充電器を組み込むことなく、非常に高い電力量を転送することができる。
【0013】
別の実施形態において、第1および第2のトランスデューサ回路は、直流電源の充電電流の多相処理を実行するように構成されていてもよい。
【0014】
以下に添付図面を参照して本発明の望ましい実施形態について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】エネルギー貯蔵器を充電するための装置の概略ブロック図である。
図2】周知の交流充電器の概略ブロック図である。
図3図1の実施形態に似た装置の概略ブロック回路図である。
図4】複合のAC/DC充電器として構成された装置の概略ブロック回路図である。
図5】複合のAC/DC充電器として構成された装置の概略回路図である。
図6】メインチョークが電気モータの少なくとも1巻によって実現されることができる実施形態の概略ブロック回路図である。
図7図6に示すブロック回路図の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の図面説明において、同一の要素、または同等の要素、には同一の参照符号を付して、異なる実施形態における説明が相互に入れ替え可能であるようにする。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態におけるエネルギー貯蔵器(10)を充電するための充電器(5)の概略ブロック図を示す。直流電源(20)は、DC充電ステーションと同様に、装置(5)の第1の端子(15)に接続される。さらに、装置(5)は、エネルギー貯蔵器(10)が接続される第2の端子(25)を備える。またさらに、充電器(5)は、供給される入力電圧と、出力直流電圧および出力直流電流に供給される入力電流とを変換する2つのトランスデューサ回路(30)(35)と、中間接続回路(40)とを備える。実施形態において、トランスデューサ回路(30)(35)は、直流電圧と回路の入力における直流電流から、回路の出力におけるより低い直流電圧およびより高い直流電流を得るように構成されたDC/DCトランスデューサである。トランスデューサ回路(30)(35)および中間接続回路(40)は、第1の端子(15)および第2の端子(25)との間で互いに並列に接続されている。
【0018】
並列に接続された2つのトランスデューサ回路(30)(35)を使用することにより、利用可能な入力電力の最適な使用方法は、トランスデューサ回路(30)(35)によってエネルギー貯蔵器(10)の充電電圧に入力電圧を変換し、電圧変換比の逆数による入力電流の強度を変換することである。入力電力は、(要素と線に対応する構成で)制限される必要はない。これは、エネルギー貯蔵器(10)の充電電圧が直流電源(20)の電圧よりも小さく、トランスデューサ回路なしのエネルギー貯蔵器(10)に接続される場合に必要である。この実施形態においては、エネルギー貯蔵器(10)の加速された充電プロセスが有利である。
【0019】
充電器(5)は、例えばバッテリまたはコンデンサなどのエネルギー貯蔵器(10)とともに、電気自動車などの車両(42)に設置されてもよく、第1の端子(15)は、直流電源(20)に接続するために車両の外部に取り付けられていてもよい。しかし、充電器(5)は、車両(42)に使用されることに限定されず、むしろあらゆるエネルギー貯蔵器を充電するために使用することができる。特に大きな利点は、大容量のエネルギー貯蔵器における使用であり、その充電プロセスは、DC充電ステーションを使用することによって加速されることである。
【0020】
充電装置が、例えば電気自動車、のようなエネルギー貯蔵器のAC充電およびDC充電の両方に使用され得る、本発明のさらなる実施形態を以下に説明する。
【0021】
電気自動車のバッテリの充電は、(単相または三相の)AC充電またはDC充電によってケーブルを使用して行うことができる。ドイツにおける電力インフラ(家庭接続)は、一般に3相(3L+N)のものであり、最大43kW(400V/63A)の電力に達する。DC充電システムは、固定の外部充電システムを必要とし、通常、より高い充電電力において、通電量の面で適切なポイントで使用される。既存の車両用プラグ装置を用いた急速充電ステーションでは、最大107kW(850V/200)の充電電力は理論的には可能である。これにより、充電時間が大幅に短縮される。両方の電荷変動に対応するために、いわゆる「複合AC/DC充電システム」(CCS)が導入されている。これは、充電プラグ、充電ソケット、およびAC接続とDC充電の両方に使用できるケーブル接続を標準化する。
【0022】
市場で入手可能な標準化されたDCプラグ接続(IEC レイヤー 62196−3)は、200Aの通電能力に制限されており、これは直接接続の従来の車両バッテリ(200−400V)の電圧では、最大約40〜80kWの電力転送に留まる。対応範囲、ひいては車両バッテリの容量の増加が将来恐らく必要になるため、充電時間を制限範囲内に保つためには充電電力を等しく増加させなければならない。電流が200Aに制限されているため、より高いDC充電電力を転送するためには、充電ケーブルの電圧を増加させる必要が生じる。低バッテリ電圧に適合させるには、車両内に、例えば降圧コンバータのような適合手段(DC/DCトランスデューサ)が必要となる。
【0023】
実施形態において、充電器は電気自動車のAC充電およびDC充電の両方に使用される。図2は、電気自動車用の公知のAC充電器、例えば三相交流充電器、を示す。さらに、AC充電器は単相、二相または多相の充電器として実施されてもよい。
【0024】
図2は、エネルギー貯蔵器(10)を含む車両(42)と、電源網またはグリッド(55)(AC電源)に接続するための第3の端子(50)と、充電器(6)を概略的に示す。充電器(6)は、出力における直接電力への電力変換を行うため、2つのトランスデューサ回路(30)(35)を備える。図示の充電器(6)では、第1のトランスデューサ回路(30)はインバータ/整流器(AC/DCトランスデューサ)を、第2のトランスデューサ回路(35)はDC/DCトランスデューサを備える。さらに、中間接続回路(40)が示されている。第1および第2トランスデューサ回路(30)(35)および中間接続回路(40)は、第2の端子(25)および第3の端子(50)の間に直列に接続されている。実施形態において、既知の充電器ではDC中間回路(40)に接続された直流電圧は降下され、貯蔵ユニット、例えばエネルギー貯蔵器(10)(図1)、のDC充電に使用されるように以下でより詳細に示される方法で修正される。したがって、少なくとも2つの並列のブーストコンバータまたは降圧コンバータが形成されるように、AC/DCトランスデューサおよび第2のDC/DCトランスデューサからなる少なくとも1つのハーフブリッジおよび1つのチョークが並列に接続される。DC充電のための転送可能な電力を最大化するために、全ての電力電子ブリッジおよびこれらに接続されたチョークは、実施形態において使用される。
【0025】
実施形態によれば、DC充電では、AC充電器の中間接続回路(40)は外部のDC電圧と、既に存在する第2のDC/DCトランスデューサ(35)と並列に動作する図1のDC/DCトランスデューサ(30)の機能を有するように入力フィルタで切り替えられて貯蔵器(10)に接続されたAC/DCトランスデューサに接続される。したがって、すべてのハーフブリッジおよびチョークを使用することにより、DC充電では、AC充電に比べて少なくとも2倍の電力が転送される。
【0026】
このようなDC充電動作では、結果は図1の強調矢印で示されるような電力の流れとなる。或いは、DC充電動作では、例えば、図3において強調矢印で示される電力の流れが、トランスデューサ回路(30)を介してのみ生じるように変換されたAC/DCトランスデューサ(DC/DCトランスデューサとして有効)のみが使用されてもよい。
【0027】
図3はさらに、充電器(5)がAC端子(50)とは別に、中間接続回路(40)にDC電力を印加するためにDC端子(15)をも備えることを示している。第1のトランスデューサ回路(30)は、AC動作においてはAC/DCトランスデューサとして使用され、DC動作においてはDC/DCトランスデューサ(降圧コンバータ)として使用される。
【0028】
実施形態において、車両内に既に存在するAC充電システムの半導体および他の構成要素は、複合充電システムの複雑な要素およびコストが低くなるように特別に使用される。準同程度の複雑さをもつこのシステムは、非常に高い電力および高い非効率性を有するACおよびDC充電の両方に使用される。
【0029】
複合のAC/DC充電システムの実施形態は、図4および図5に示す。
【0030】
図4は、複合のAC/DC充電器として構成された充電器(5)の概略ブロック回路図を示す。この実施形態では、充電器(5)の電力は、交流電源(55)、例えば電流供給網、または電流供給網によって供給される直流電源(20)によって供給されてもよい。先に示されているように、直流電源(20)は第1の端子(15)に接続されている、或いは、交流電源(55)は第3の端子(50)に接続されている。
【0031】
直流充電モード、すなわち直流電源(20)が第1の端子(15)に接続されている場合、第1のトランスデューサ回路(30)(第1のDC/DCトランスデューサ)と、第2のトランスデューサ回路(35)(第2のDC/DCトランスデューサ)と、中間接続回路(40)は、エネルギー貯蔵器(10)が接続される第1の端子(15)と第2の端子(25)との間に並列接続を形成する。第1のトランスデューサ回路(30)は、半導体スイッチ(60)、例えばブリッジ回路、およびそれに接続されたメインチョーク(65)を備える。メインチョーク(65)と第2の端子(25)とを電気的に接続するスイッチ(70)はメインチョーク(65)に接続されている。
【0032】
交流充電モードでは、直流電源(55)は、第3の端子(50)に接続されている。第1のトランスデューサ回路(30)(AC/DCトランスデューサ)と、中間接続回路と、第2のトランスデューサ回路(35)(DC/DCトランスデューサ)は、エネルギー貯蔵器(10)が接続されている第3の端子(50)と第2の端子(25)の間に直列に接続されている。AC/DCトランスデューサは、グリッドチョーク(75)と、スイッチ(70)と、メインチョーク(65)と、半導体スイッチ(60)からなる直列接続を備える。ここに示す交流充電モードでは、先に示されている直流充電モードでメインチョーク(65)を第2の出力(25)に接続したスイッチ(70)は、グリッドチョーク(75)とメインチョーク(65)が互いに接続されるように切り替えらことできる。
【0033】
すなわち、提案された複合充電器は、貯蔵ユニット、例えばエネルギー貯蔵器(10)と、DC/DCトランスデューサ、例えば第2のトランスデューサ回路(35)と、中間回路、例えば中間接続回路(40)と、有効電力電子スイッチ、例えばB6ブリッジ(3レベルトポロジー)のような半導体スイッチ(60)と、メインチョーク(65)およびグリッドチョーク(75)とスイッチ(70)のような1つまたは複数の切換スイッチを含むネットワーク側スイッチとを備える。スイッチ(70)は、フィルタ素子(65)(75)の間に配置される。メインチョーク(65)および/またはグリッドチョーク(75)がない、さらなる実施形態も実現可能である。
【0034】
フィルタのグリッドチョーク(75)は、チョークと、この実施形態では、コンデンサとを含む。交流充電モードでは、スイッチ(70)は、グリッドチョーク(75)(またはスイッチ(70)の前のフィルタ素子)をメインチョーク(65)(またはスイッチ(70)の背後のフィルタ素子)に接続する。したがって、システム全体は、入力フィルタ(メインチョーク(65)およびグリッドチョーク(75))、インバータ、例えば半導体スイッチ(60)、中間接続回路(40)および第2のトランスデューサ回路(35)(DC/DCトランスデューサ)を含むAC充電システムを含むことができる。DC充電ステーション、例えば直流電源(20)、がエネルギー貯蔵器(10)の電圧より高い電圧を含むDC充電の場合、スイッチ(70)はメインチョーク(65)をエネルギー貯蔵器(10)に接続する。システム全体はここで(直流充電モードで)1つまたは複数の並列降圧コンバータの機能を有する。
【0035】
図5は、複合のAC/DC充電器として構成された装置(5)の概略回路図を示す。この実施形態では、装置(5)の三相構成を示す。さらなる実施形態は1相、2相、または任意の数の位相の使用を実現可能にする。
【0036】
交流充電モードでは、装置(5)のエネルギー供給は、交流源(55)、この実施形態では第3の端子(50)の極50a、50b、50c、50dに接続された三相交流源、を用いて行われる。また、充電器(5)を直流充電モードで動作させる場合には、直流電源(20)を第1の端子(15)の極15a、15bに接続してもよい。このように、第1の端子(15)と第2の端子(25)との間に並列に接続された第1及び第2のトランスデューサ回路(30)(35)と中間接続回路(40)との並列接続を用いて直流充電モードが実現される。第1のトランスデューサ回路(30)(DC/DCトランスデューサ)は、例えばB6ブリッジのような半導体スイッチS1〜S6のブリッジ、によって構成される半導体スイッチ(60)を備える。半導体スイッチS1〜S6は、例えば、トランジスタ、サイリスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などで構成される。3つのインダクタンス、LB1、LB2、LB3からなるメインチョーク(65)はB6ブリッジの中央接点に接続されている。3つのインダクタンスは、コイルによって導入することができる。また、三相スイッチ(70)は、メインチョーク(65)の出力を装置(5)の第2の端子(25)に接続する。
【0037】
第2のトランスデューサ回路(35)(第2のDC/DCトランスデューサ)は、半導体スイッチS7〜S12を備え、半導体スイッチS7〜S12はさらにB6ブリッジを形成する。第1のトランスデューサ回路に類似して、半導体スイッチはトランジスタ、サイリスタ、またはIGBTとして導入することができる。第2の端子(25)に出力が接続されたインダクタンスLC1、LC2、LC3を有する3つのコイルは、B6ブリッジ回路の中央接点に接続される。さらに、第2の端子(25)のコンデンサC4は、エネルギー貯蔵器(10)に並列に接続されている。コンデンサC4は、第1および第2のトランスデューサ回路(30)(35)および中間接続回路(40)の並列接続の信号、または信号の流れを平滑化することができる。中間接続回路(40)は、コンデンサC5とコンデンサC6によって構成される。さらなる実施形態では、中間接続回路(40)、第1のDC/DCトランスデューサ(30)および第2のDC/DCトランスデューサ(35)の他の実現化も可能である。
【0038】
交流充電モードでは、グリッドチョーク(75)、スイッチ(70)、メインチョーク(65)からなる第1のトランスデューサ回路(30)(AC/DCトランスデューサ)は、半導体回路(60)、中間接続回路(40)、第2のDC/DCトランスデューサ(35)に、装置(5)の端子(50)と(25)との間に直列に接続されている。第3の端子(50)の極50a、50b、50cは交流電圧源の位相L1、L2、L3を誘導する。また、第3の端子(50)の極50dは、中性導体(中性線)を誘導する。グリッドチョーク(75)は、3つのラインインダクタ(75a)LA1、LA2、LA3、例えば3つのコイルまたはインダクタンス、および3つのキャパシタンス(75b)C1、C2、C3、例えば3つのコンデンサ、を備える。各コンデンサC1、C2、C3は、三相L1、L2、L3のそれぞれを中性導体(中性線)Nに結合する。三相スイッチ(70)は、コイルとコンデンサとの間のノードをメインチョーク(65)に接続する。メインチョーク(65)、半導体スイッチ(60)、中間接続回路(40)および第2のDC/DCトランスデューサ(35)の設定は、既に直流充電モードにて示し済みである。なお、メインチョーク(65)と半導体スイッチ(60)は、交流充電モードと直流充電モードとでは異なる方向に動作する。さらなる実施形態において、半導体スイッチS1〜S6およびS7〜S12は、別個の制御ユニットまたは共通の制御ユニットによって制御されていてもよい。
【0039】
すなわち、LCLフィルタは三相スイッチ(70)によって分割されていてもよい。LCLフィルタは、LCLフィルタのグリッドチョーク(75)を構成するグリッドチョーク(75a)LA1、LA2、LA3とコンデンサ(75b)C1、C2、C3、さらにはメインチョーク(65)を構成するメインチョークLB1、LB2、LB3とを備える。スイッチ(70)は、グリッドチョーク(75a)とメインチョーク(65)との間でLCLフィルタを分割してもよい。コンデンサ(75b)は、スイッチ(70)の前後に配置されていてもよい。コンデンサ(75b)がスイッチ(70)の背後に配置される際、直流充電モードでは、エネルギー貯蔵器(10)に並列に印加される。さらに、回路は、半導体スイッチ(60)に形成された3つのハーフブリッジと、中間接続回路(40)と、並列に接続された3つの降圧コンバータ(第2のトランスデューサ回路(35))と、エネルギー貯蔵器(10)を備える。図7に示すように、DC充電のプロセス中、6つの並列降圧コンバータと、AC充電のプロセス中、3つの並列降圧コンバータを備える3相AC充電器が存在する。DCプラスおよびDCマイナスの入力(15a)(15b)は、DC充電のプロセス中に中間回路に直接接続されてもよい。
【0040】
寸法
【0041】
43kWのAC公称電力を備える、変圧器を備えない三相AC充電器が想定される。設定を単純化するためには、同一のB6ブリッジモジュールを2つ、コンバータ(S1〜S6)用に1つと、マルチフェーズDC/DCアダプテーションステージ(S7からS12)用に1つを、使用することが実用的である。
【0042】
43kWのAC充電では、コンバータの各ブリッジ枝路は63Aの通電能力を要する。実施形態に示されるDC/DCアダプテーションステージ(S7〜S12)の3つのブリッジ枝路を最適に使用するには、230VDCの最小バッテリ電圧(エネルギー貯蔵器(10)の電圧)が考えられる(IDC、max=3x63A=189A)。3つの降圧コンバータは、電流リップルを最小限に抑えるために、位相をずらしてクロックすることができる。
【0043】
DC充電動作に切り替え後は、6つの並列降圧コンバータがある。転送可能なDC充電電力は、86kW(IDC、max=6x63A=378A)より以上になり、バッテリ電圧は、可能なAC充電電力の少なくとも2倍に相当する230Vになる。
【0044】
DC充電ステーションへの直接的なバッテリ接続と比較すると、図示の実施形態における転送可能な電力は、バッテリ充電電流がもはや充電プラグ装置の電流搬送能力(200A)に直接依存しないため、約378A/200A=1.9倍に増加する。半導体スイッチの全てがアクティブスイッチであるため、回路も双方向である。
【0045】
[他の実施形態]
【0046】
さらなる実施形態が図5及び図6に示されている。この実施形態における第1のトランスデューサ回路の機能は、モータコンバータが取り付けられた電気モータによって実行される。一実施形態においてば、電気モータは電気自動車の駆動モータである。
【0047】
図6は、実施形態の概略的なブロック回路図を示し、ここでは、図4および図5のメインチョーク(65)は、電気モータ(80)の巻線/コイルによって実現される。電気モータ(80)は、第1のトランスデューサ回路(30)の分岐部における充電電流の3相処理(変換)を可能にする3つのインダクタンスLB1、LB2、LB3を備える。モータ動作モードにおいて、電気モータ(80)は、エネルギー貯蔵器(10)によって作動させることができるように、スイッチ(70)は開いている。さらに、電気モータ(80)のスターまたは中性点(85)が第2の端子(25)に電気的に接続されるようにスイッチ(70)を閉じることができる。
【0048】
図7は、図6に示されるブロック回路図の概略回路図を示す。図5に示される回路と比較すると、図7の回路にはグリッドチョーク(75)が存在しない点で異なる。メインチョーク(65)は、電動モータ(80)の巻線に置換されている。さらに、巻線LB1、LB2、LB3の入力を有する電動モータ(80)は、3つのブリッジ枝路(60)のそれぞれの中心接点に接続されている。スイッチ(70)が閉じられた状態で、巻線LB1、LB2、LB3の出力部に形成されたスターポイント(85)は第2の出力部(25)に接続されている。スイッチ(70)が開いていると、スターポイント(85)は第2の出力部(25)から分離されている。
【0049】
すなわち、図7の実施形態は、AC充電器の代わりに駆動コンバータ、例えば半導体スイッチ(60)、を使用するという以前の実施形態の変化形を示し、それは、DC充電のために少なくとも1つの三相ブリッジ(B6、3レベルトポロジー)およびDC/DCトランスデューサ、またはエネルギー貯蔵器(10)と中間接続回路(40)との間の複数の並列DC/DCトランスデューサを含む。スイッチ(70)が開いている場合、回路はモータ(80)を駆動するモータコンバータを形成する。スイッチ(70)が閉じられており、直流である中間接続回路(40)が直流電源(20)に接続されている場合、回路はDC充電に使用できるいくつかの並列降圧コンバータを含むことができる。したがって、DC充電で転送可能な電力は、パワーエレクトロニクスの過大な寸法を必要とせずに、電気駆動電力の倍数に達することがあり得る。[3]とは対照的に、中間接続回路とエネルギー貯蔵器(10)との間のブーストコンバータを使用して、エネルギー貯蔵機器(10)を中間接続回路からさらに分離することなく、モータからDC充電動作への切り替えが可能である。
【0050】
いくつかの態様は装置に関連して説明されているが、これらの態様は対応する方法の説明も表しているので、装置のブロックまたは要素は、対応する方法ステップまたは特徴であると理解されたい。類似して、方法ステップに関連して、または方法ステップとして記載された態様は、対応するブロックまたは対応するデバイスの詳細または特徴の記述も表す。方法ステップの一部または全部は、例えば、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路のようなハードウェア装置(またはハードウェア装置の使用)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのいくつかはそのような装置によって実行されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7