(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ノボラック型エポキシ樹脂が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールM、またはビスフェノールEホルムアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂である、請求項1に記載の組成物。
(メタ)アクリレート成分が、シリコーン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセロールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−A−(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F−(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−F−(メタ)アクリレート、ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F−ジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−F−ジ(メタ)アクリレートから成る群より選択される1種である、請求項1に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の通り、(a)(メタ)アクリレート成分、(b)嫌気硬化系、および(c)ノボラック型エポキシ樹脂と特定構造の酸との反応生成物を含む嫌気硬化性組成物が提供される。
【0022】
【化5】
(式中、RはHまたはCH
3であり、XはH、C
2H
4COOH、または
【0023】
【化6】
であり、但し、YはC
2H
4COOHまたはC
2H
2COOHである。)
【0024】
酸の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0026】
ノボラック型エポキシ樹脂は、フェノールまたはクレゾールホルムアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂であってよい。ノボラック型エポキシ樹脂は以下の構造に包含され得る。
【0027】
【化8】
(式中、R’はアルキルであり、nは0.1〜10、例えば約0.5〜5である。)
【0028】
ある場合には、ノボラック型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールMまたはビスフェノールEホルムアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂などのビスフェノールまたはビフェニルホルムアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂であってよい。
【0029】
他の場合では、ノボラック型エポキシ樹脂は、以下の構造に包含され得る。
【0030】
【化9】
(式中、R”は、直接結合、CH
2、C(CH
3)
2、SO
2、(CH
3)
2C−C
6H
4−C(CH
3)
2、またはOであり、R’”はアルキルであり、nは2〜10である。)
【0031】
ノボラック型エポキシ樹脂と酸との反応生成物は、組成物中に約10〜約60重量%、例えば約25〜約50重量%の範囲内の量で存在すべきである。
【0032】
(メタ)アクリレート成分は、H
2C=CGCO
2R
3(式中、Gは、H、ハロゲン、および1〜約4個の炭素原子を有するアルキルから選択され、R
3は、6〜約16個の炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、およびアリール基(これらは、シラン、シリコン、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、ウレア、ウレタン、カーバメート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、およびスルホンにより置換または介在されてもよい。)から選択される。)により表され得る。
【0033】
(メタ)アクリレート成分は、より具体的には、シリコーン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセロールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−A−(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F−(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−F−(メタ)アクリレート、ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F−ジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−F−ジ(メタ)アクリレートから選択され得る。
【0034】
その他の好適な(メタ)アクリレートモノマーとしては、以下式により表されるポリアクリレートエステルが挙げられる。
【0035】
【化10】
(式中、R
4は、水素、ハロゲン、および炭素数1〜約4のアルキルから選択される基であり、qは、少なくとも1、好ましくは1〜約4の整数であり、Xは、少なくとも2個の炭素原子を含み、q+1の結合能を有する有機基である。Xにおける炭素原子数の上限に関し、使用可能なモノマーは、本質的に任意の値である。しかしながら、実用的な問題として、一般的な上限は炭素数約50、好ましくは30、最も好ましくは約20である。)
【0036】
例えば、Xは、以下式により表される有機基であり得る。
【0037】
【化11】
(式中、Y
1およびY
2は、それぞれ、少なくとも2個の炭素原子、好ましくは2〜約10個の炭素原子を含有する有機基、好ましくは炭化水素基であり、Zは、少なくとも1個の炭素原子、好ましくは2〜約10個の炭素原子を含有する有機基、好ましくは炭化水素基である。)
【0038】
その他の有用な(メタ)アクリレートモノマーは、ジ−またはトリ−アルキロールアミン(例えば、エタノールアミン、またはプロパノールアミン)とアクリル酸(例えばフランス特許第1,581,361号に記載されるもの)との反応生成物である。
【0039】
有用な(メタ)アクリルエステルオリゴマーの例としては、以下の一般式を有するものが挙げられる。
【0040】
【化12】
(式中、R
5は、水素、ハロゲン、炭素数1〜約4の低級アルキル、炭素数1〜約4のヒドロキシアルキル、および
【0041】
【化13】
から選択される基を表し、R
4は、水素、ハロゲン、および炭素数1〜約4の低級アルキルから選択される基であり、R
6は、水素、ヒドロキシル、および
【0042】
【化14】
から選択される基であり、mは少なくとも1、例えば1〜約15またはそれ以上、好ましくは1〜約8の整数であり、nは、少なくとも1、例えば1〜約40またはそれ以上、好ましくは約2〜約10の整数であり、pは、0または1である。)
【0043】
そのような(メタ)アクリルエステルオリゴマーの例としては、ジ−、トリ−およびテトラエチレングリコールジメタクリレート;ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート;テトラエチレングリコールジアクリレート;テトラエチレングリコールジ(クロロアクリレート);ジグリセロールジアクリレート;ジグリセロールテトラメタクリレート;ブチレングリコールジメタクリレート;ネオペンチルグリコールジアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
【0044】
例えば、極性基を有するものなど、単官能性(メタ)アクリレートエステルも使用してよい。この場合において、極性基は、活性水素、複素環、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、およびハロ基から選択されてよい。この種の化合物の例としては、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、HEMA、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルメタクリレート、ヒドロキシへキシルアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシオクチルメタクリレート、およびクロロエチルメタクリレートが挙げられる。
【0045】
他の有用な種類の(メタ)アクリレートモノマーは、官能性基上に活性水素原子を含有する単官能性置換アルキルまたはアリール(メタ)アクリレートエステルの反応によって調製される。この単官能性(メタ)アクリレート末端材料は、全てのイソシアネート基をウレタンまたはウレイド基に転換するように、好適な割合で有機ポリイソシアネートと反応する。単官能性アルキルおよびアリール(メタ)アクリレートエステルは、好ましくは、非アクリレート部分にヒドロキシまたはアミノ官能基を含むアクリレートおよびメタクリレートである。使用するのに好適な(メタ)アクリレートエステルは、以下式を有する。
【0046】
【化15】
(式中、Xは、−O−および
【0047】
【化16】
から選択され、但し、R
9は、水素および炭素数1〜7の低級アルキルから選択され、R
7は、水素、ハロゲン(例えば塩素)、ならびにメチルおよびエチル基から選択され、R
8は、炭素数1〜8の低級アルキレン、フェニレン、またはナフチレンから選択される2価の有機基である。)
【0048】
ポリイソシアネートとの適切な反応において、これらの基は以下の生成物を与える。
【0049】
【化17】
(式中、nは、2〜約6の整数であり、Bは、置換されても無置換であってもよい、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アルカリール、またはヘテロ環基から選択される多価有機基であり、R
7、R
8およびXは上で与えられた意味を有する。)
【0050】
(メタ)アクリレート成分は、約15〜約65%、例えば約25〜約50%の範囲内の量で組成物中に存在すべきである。
【0051】
嫌気硬化系は、マレイン酸とともに、サッカリン、N,N−ジエチル−p−トルイジン(DE−p−T)やN,N−ジメチル−o−トルイジン(DM−o−T)などのトルイジン、アセチルフェニルヒドラジン(APH)の少なくとも1種を含む。米国特許第3,218,305号(Krieble)、第4,180,640号(Melody)、第4,287,330号(Rich)、および第4,321,349号(Rich)を参照されたい。
【0052】
嫌気硬化性組成物のための他の硬化剤の例としては、チオカプロラクタム(例えば、米国特許第5,411,988号)およびチオウレア[例えば、米国特許第3,970,505号(Hauser)(テトラメチルチオウレア)、ドイツ特許第DE1 817 989号(アルキルチオウレアおよびN,N’−ジシクロヘキシルチオウレア)および第2 806 701号(エチレンチオウレア)、および日本特許公報JP07−308,757号(アシル、アルキル、アルキリデン、アルキレン、およびアルキルチオウレア)]が挙げられ、後者のうちの幾つかは、約20年前まで商業的に使用されていた。
【0053】
米国特許第6,897,277号(Klemarczyk)は、サッカリンを実質的に不含である嫌気硬化導入組成物を有する(メタ)アクリレート成分に基づく嫌気硬化性組成物と、以下の構造の範囲内の嫌気促進化合物とを提供し、この例としては、フェニルグリシンおよびN−メチルフェニルグリシンである。
【0054】
【化18】
(式中、Rは、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、カルボキシル、およびスルホナトから選択され、R
1は、水素、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、およびアルカリールから選択される。)
【0055】
米国特許第6,958,368号(Messana)は、嫌気硬化性組成物を提供する。この組成物は、サッカリンを実質的に不含であり、以下の構造の範囲内である嫌気硬化導入組成物および(メタ)アクリレート成分に基づく。
【0056】
【化19】
(式中、Yは、最大5か所までC
1〜6アルキルまたはアルコキシ、またはハロゲン基により置換されていてもよい芳香環であり、Aは、C=O、S=O、またはO=S=Oであり、Xは、NH、OまたはSであり、Zは、最大5か所までC
1〜6アルキルまたはアルコキシ、またはハロゲン基により置換されていてもよい芳香環であり、またはYおよびZがともに、同一の芳香環または芳香環系に結合してもよく、但し、XがNHであるときには、o−安息香酸スルフィミドはこの構造から除外される。)
【0057】
上記構造に包含される嫌気硬化促進剤化合物の例としては、環状2−スルホ安息香酸無水物、および3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシドが挙げられる。
【0058】
嫌気硬化性組成物において有用なその他の硬化成分は、テトラヒドロキノリン(THQ)である。最近、ヘンケルコーポレーションは、新たな硬化促進剤の効能を実証した。第1の種類は、下記構造の範囲内である。
【0059】
【化20】
(式中、Xは、H、C
1〜20のアルキル、C
2〜20のアルケニル、またはC
7〜20のアルカリールであり、後者の3つはいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、または−OH、−NH
2もしくは−SHから選択される1つ以上の基によって官能基化されていてよく、またはXおよびYは、一緒になって5〜7個の環原子を有する炭素環状環を形成してもよく;Zは、O、S、またはNX’であり、ここでX’は、H、C
1〜20のアルキル、C
2〜20のアルケニル、またはC
7〜20のアルカリールであり、後者の3つはいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、または−OH、−NH
2もしくは−SHから選択される1つ以上の基によって官能化されていてよく、Rは、任意であるが、存在する場合、芳香環上に3回まで存在してよく、および存在する場合、C
1〜20のアルキル、C
2〜20のアルケニル、またはC
7〜20のアルカリールであり、後者の3つはいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、または−OH、−NH
2もしくは−SHから選択される1つ以上の基によって官能化されていてよく;nは、0または1であり;zは、1〜3であるが、ただし、XがHである場合、zは2ではなく、好ましくは1である。)
【0060】
より具体的には、THQ系またはインドリン系付加物が、これに包含され得る(米国特許第8,481,659号を参照されたい)。
【0061】
第2の種類は、以下の構造の範囲内である。
【0062】
【化21】
(式中、Xは、C
1〜20のアルキル、C
2〜20のアルケニル、またはC
7〜20のアルカリールであり、いずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、または−OH、−NH
2もしくは−SHから選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの基によって官能化されていてよく、zは、1〜3である(米国特許第8,362,112号を参照されたい)。)
【0063】
嫌気硬化系は、組成物の総重量の約1〜10重量%の量で存在すべきである。
【0064】
例えば、嫌気硬化系において有用な成分の例としては、
(i)以下式のアリールアミン:
【0065】
【化22】
(式中、R
1’は、置換されていてもよいアリール基であり、より特に、アルキル置換されていてもよいフェニル基であり、R
2’は、R
1’と同一の意味であり、または置換されていてもよい直鎖または分岐鎖アルキル基であり、R
3’は、置換されていてもよいが少なくとも1つの水素原子を窒素のα位に含む直鎖または分岐鎖アルキル基であり、R
1’〜R
3’のいずれか2つは、単環または多環構造を共に形成してよく、これは縮合環構造であってよく、同様に置換されていてもよい。)
(ii)以下の式を有する化合物:
【0066】
【化23】
(式中、R
4’はC
1〜C
4アルキル基で置換されたフェニルであり、R
5’は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、アミノ、および以下の基から選択される。)
【0067】
【化24】
(式中、R
7’は、1〜約10の炭素原子を含有するアルキル基から選択される。)
(iii)スルホニルヒドラジン、または
(iv)ヒドロピリジン
が挙げられる。
【0068】
追加の有用な促進剤としては、米国特許第6,958,368号(Klemarczyk)に記載されるものなどのスルフィミドおよびその酸素および硫黄誘導体;米国特許第7,411,025号(Messana)に記載されるものなどフェニルグリシンおよびその誘導体、1,4−アミノベンゾイル化合物、およびフェニルピラゾリノン;米国特許第7,411,005号(Messana)に記載されるものなどスルホンイミド誘導体およびスルホンアミド誘導体;米国特許第6,583,289号(McArdle)に記載されるものなどトリチアジアザペンタレン;米国特許第6,835,782号(Morita)に従って調製できるコハク酸無水物およびフェニルヒドラジンの反応生成物(SPH);および米国特許第6,835,762号(Klemarczyk)に記載される、同じ分子上に有機酸官能基とともに−C(=O)−NH−NH−結合を含む化合物が挙げられる。
【0069】
嫌気硬化性組成物またはその反応生成物のいずれかの物理的特性を変化させるために、追加の成分が従来の嫌気硬化性組成物に含まれることが時々ある。
【0070】
例えば、高温条件下で反応する1つ以上の希釈剤成分、モノまたはポリヒドロキシアルカン、ポリマー可塑剤、およびキレート剤(米国特許第6,391,993号参照、その開示は引用によって本明細書中に明示的に組み込まれる)は、配合物の物理的特性および/または硬化プロファイル、および/または硬化した接着剤の強度または耐熱性を改変するために導入してよい。
【0071】
使用される場合、反応性希釈剤、可塑剤、および/またはモノまたはポリヒドロキシアルカンは、嫌気硬化性組成物の総重量の約1重量%〜約30重量%の範囲内の量で存在してよい。
【0072】
安定剤および阻害剤(ヒドロキノンおよびテトラヒドロキノンを含むフェノールおよびナフタキノンおよびアントラキノンなどのキノンなどのフェノールなど)もまた、早過ぎる、過酸化物の分解や本発明の組成物の重合を、制御および防止するために用いてよく、ならびにキレート剤(エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)の四ナトリウム塩およびベータケトエステルなど)を微量の金属混入物質を捕捉するために用いてもよい。使用される場合、キレート剤は、通常、嫌気硬化性組成物の総重量の約0.001重量%〜約0.1重量%の量で組成物中に存在してよい。
【0073】
金属触媒溶液またはそのプレミックスは約0.03〜約0.1重量%の量で使用される。当業者がそうすることが望ましいと考えられる場合には、増粘剤、非反応性可塑剤、充填剤、強化成分(エラストマーおよびゴムなど)、および他の周知の添加剤などの他の薬剤を組成物に組み込んでよい。
【0074】
本明細書において、嫌気硬化性組成物の調製方法も提供される。この方法は、本明細書に記載される(メタ)アクリレート成分、嫌気硬化系、および反応生成物または付加体を混合する工程を含む。
【0075】
本明細書において、2個以上の基材の接着方法も提供される。この方法は、2個以上の基材を用意する工程;2個以上の基材の少なくとも1個の表面に嫌気硬化性組成物を分注する工程;および嫌気硬化性組成物を嫌気硬化条件に曝す工程を含む。
【0076】
ノボラック型エポキシ樹脂と酸との反応生成物のより具体的な表記として、以下の2種の構造により表すことができるノボラック系ビニルエステルが挙げられる。
【0077】
【化25】
(式中、R’はアルキルであり、nは0.5〜10であり、X’はO、C
2H
4COO、または
【0078】
【化26】
であり、但し、Y’はC
2H
4COOまたはC
2H
2COOである。)
【0079】
【化27】
(式中、R”は、直接結合、CH
2、C(CH
3)
2、SO
2、(CH
3)
2C−C
6H
4−C(CH
3)
2、またはOであり、R’”はアルキルであり、nは2〜10であり、X’は、O、C
2H
4COO、または
【0080】
【化28】
であり、但し、Y’はC
2H
4COOまたはC
2H
2COOである。)
【0081】
特に望ましい構造IIAのノボラック系ビニルエステルの構造は、R’”が存在せず、X’がOであり、R”がC(CH
3)
2であり、nが6である。
【0082】
本発明の嫌気硬化性組成物の反応生成物もさらに提供される。
【0083】
本発明は、本嫌気硬化性組成物の調製方法および使用方法も提供する。
【0084】
嫌気硬化性組成物は、従来の当業者に公知の方法を使用して調製できる。例えば、成分が組成物において果たす役割や機能に合う好ましい順序で、本発明の組成物の成分をともに混合してよい。
【0085】
嫌気硬化性組成物は、様々な基材に塗布されてよく、本明細書に記載される所望の利益および利点を奏して機能する。例えば、好適な基材は、鋼、真鍮、銅、アルミニウム、亜鉛、ガラス、ならびに他の金属および合金、セラミックおよび熱硬化性樹脂から構成されてよい。好適なプライマーを硬化速度を向上させるために選択された基材の表面に塗布してよい。米国特許第5,811,473号(Ramos)を参照されたい。1つの特に望ましい本明細書に記載の組成物の利用は、例えば、ねじロック材(スレッドロッカー)、即ち、ナットをボルトに固定することにある。これは、ボルトのうねに組成物を塗布し、ナットと噛み合わせて硬化させることによって成される。
【0086】
硬化は、特定の組成物、塗布、および塗布面、並びに昇温したか否かによって、広い範囲の時間にわたり生じ得る。環境温度の嫌気組成物では、硬化速度は、数分(非常に早い)〜数日(非常に遅い)で変化する。
【0087】
加えて、本発明は、嫌気硬化性組成物の調製方法を提供し、この方法は、上述の(メタ)アクリレート成分および嫌気硬化系を共に混合する工程を含む。
【0088】
本発明は、本明細書に記載の嫌気硬化性組成物から得られる物品も提供する。
【0089】
本発明は、本発明の嫌気硬化性組成物を使用した2個以上の基材を接着する方法を提供し、この方法は、組成物を所望の基材表面に塗布する工程、および組成物を硬化するのに十分な時間、組成物を嫌気性環境に曝す工程を含む。
【実施例】
【0090】
<ノボラック系ビニルエステルの調製>
ここでは、メタクリル酸の1種であるHEMAスクシネート、HEMAマレエート、またはカルボキシエチルアクリレートと、ノボラック型エポキシ樹脂から、トリフェニルホスフィンなどの好適な触媒を約1重量%の量で使用して反応生成物を調製する。
【0091】
より具体的には、様々な市販の2〜8の範囲の官能性を有するノボラック型エポキシ(MomentiveおよびDow製)を等価重量のメタクリル酸と反応させた。反応は、(1)無溶媒、または(2)反応性希釈剤としての(メタ)アクリレートモノマー・・トリシクロデカンジメタクリレート(TCD DMA)、ジメチロールプロパントリアクリレート(SR355)、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート(E2BADMA)中の何れかで行った。NVE1、NVE2、およびNVE3を上記の反応性希釈剤を使用してそれぞれ調製した。反応は、触媒としてトリフェニルホスフィンを使用して、約60〜90℃、通常約80℃の温度に加熱したときに進行した。
【0092】
反応後にFT−IRをし、エポキシ環に対応する915cm
−1のピークが消失し、全てのエポキシ基の置換の完了を示したら、反応が完了したと確定した。
【0093】
<接着剤組成物>
ノボラック系ビニルエステル、(メタ)アクリレート成分、並びにサッカリン、アセチルフェニルヒドラジン、マレイン酸、金属キレート剤、およびラジカル開始剤(例えば、パーオキサイド、ヒドロパーオキサイド、またはパーエステル)の嫌気硬化系により嫌気硬化性組成物を調製した。
【0094】
上記の合成手順に従って作製したノボラック系ビニルエステル反応生成物を使用して調製した嫌気硬化性組成物を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
試料1をNVE1であるNVEにより調製した。試料2および3は、それぞれ、同量で、NVE2およびNVE3を含む。
【0097】
<熱性能>
このように調製された嫌気硬化性組成物を5N・mにプレトルクされたリン酸亜鉛ナット・ボルトで評価した。組成物を加熱し、最大300℃の温度で評価した。ノボラック系ビニルエステル反応生成物を含有する試料は、優れた性能を与えた。性能は、高温で測定したISO 10123(高温強度)による破壊トルク値によって評価した。そのデータを以下の表Aに記載し、
図1に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
加えて、高温でのエージングの後に、試料3で接着したナット・ボルトアセンブリを環境温度に冷却し、その温度での評価をした(熱エージング)。このデータを表Bに記載し、
図2に示す。
【0100】
【表3】
【0101】
高温強度および熱エージング性能は、例えばLOCTITE620中で使用されるビスマレイミド化合物などの従来の嫌気硬化性組成物用高温添加剤により得られるものよりも優れていた。