特許第6374626号(P6374626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6374626
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】壁面装飾用ボックス及び壁面装飾構造体
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20180806BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   A47K4/00
   E03C1/02
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-33469(P2018-33469)
(22)【出願日】2018年2月27日
【審査請求日】2018年3月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-132836(P2017-132836)
(32)【優先日】2017年7月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】西岡 利明
(72)【発明者】
【氏名】木村 訓和
(72)【発明者】
【氏名】船戸 博文
(72)【発明者】
【氏名】山田 里志
【審査官】 中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−344194(JP,A)
【文献】 特開2000−201852(JP,A)
【文献】 特開2000−126049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 4/00
A47K 17/00−17/02
E03C 1/00− 1/10
A47B 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状又は立方体形状に枠組みされ、内部に配管用スペースを有するフレームと、 前記フレームの後面に設けられた壁面取付部と、
前記フレームの後面以外の少なくとも何れか一面を覆う化粧パネルとを具備し、
壁面に取り付けられる壁面装飾用ボックスであって、
前記フレームは、後面から長手方向の両端面にかけて延びる切り欠き部を有しているとともに上下に開口している一方、
前記フレームの前面を前記化粧パネルで覆うよう構成されていることを特徴とする壁面装飾用ボックス。
【請求項2】
前記フレーム内に、前記配管用スペースに配置される配管が接続される水栓が収容された請求項1に記載の壁面装飾用ボックス。
【請求項3】
前記フレームに収容棚が設けられた請求項1に記載の壁面装飾用ボックス。
【請求項4】
前記フレーム内に照明器具が収容された請求項1に記載の壁面装飾用ボックス。
【請求項5】
直方体形状又は立方体形状に枠組みされ、内部に配管用スペースを有するフレームと、 前記フレームの後面に設けられた壁面取付部と、
前記フレームの後面以外の少なくとも何れか一面を覆う化粧パネルとを具備し、
壁面に取り付けられる壁面装飾用ボックスであって、
前記フレームは、後面から長手方向の両端面にかけて延びる切り欠き部を有し、
さらに、
前記フレームの側面を覆う前記化粧パネルが該フレームに対して着脱自在であり、隣接する二つの前記フレームどうしの隣接面となる各々の側面から前記化粧パネルを取り外しておくことにより、二つの前記フレームの内部の前記配管用スペースを相互に連通させることができるように構成されていることを特徴とする壁面装飾用ボックス。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の壁面装飾用ボックスを複数隣接配置して構成した壁面装飾構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、室内等の壁面に設置される壁面装飾用ボックス及び壁面装飾構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室や洗面所等に設置される水栓に接続される配管は、露出をなるべく抑えるため、その殆どの部分が壁内や床下に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、例えばリノベーション時に既設水栓の位置を変更したり水栓を新設したりする場合、壁内配管の配置変更等、困難な作業を伴うことになる。
【0004】
また、柱躯体が存在する位置には配管を配置することができず、これにより、水栓の設置位置の自由度が制限されることにもなる。
【0005】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、水栓の位置変更や新設の容易化を図ることができ、水栓の設置位置の自由度の向上にも資する壁面装飾用ボックス及び壁面装飾構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る壁面装飾用ボックスは、直方体形状又は立方体形状に枠組みされ、内部に配管用スペースを有するフレームと、前記フレームの後面に設けられた壁面取付部と、前記フレームの後面以外の少なくとも何れか一面を覆う化粧パネルとを具備し、壁面に取り付けられる壁面装飾用ボックスであって、前記フレームは、後面から長手方向の両端面にかけて延びる切り欠き部を有しているとともに上下に開口している一方、前記フレームの前面を前記化粧パネルで覆うよう構成されている(請求項1)。
【0007】
上記壁面装飾用ボックスにおいて、前記フレーム内に、前記配管用スペースに配置される配管が接続される水栓が収容されていてもよい(請求項2)。
【0008】
上記壁面装飾用ボックスにおいて、前記フレームに収容棚が設けられていてもよい(請求項3)。
【0009】
上記壁面装飾用ボックスにおいて、前記フレーム内に照明器具が収容されていてもよい(請求項4)。
【0010】
また、本発明は別の観点から、直方体形状又は立方体形状に枠組みされ、内部に配管用スペースを有するフレームと、前記フレームの後面に設けられた壁面取付部と、前記フレームの後面以外の少なくとも何れか一面を覆う化粧パネルとを具備し、壁面に取り付けられる壁面装飾用ボックスであって、前記フレームは、後面から長手方向の両端面にかけて延びる切り欠き部を有し、さらに、二つの前記フレームの側面を覆う前記化粧パネルが該フレームに対して着脱自在であり、隣接する二つの前記フレームどうしの隣接面となる各々の側面から前記化粧パネルを取り外しておくことにより、二つの前記フレームの内部の前記配管用スペースを相互に連通させることができるように構成されていることを特徴とする壁面装飾用ボックスを提供する(請求項5)。
【0011】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る壁面装飾構造体は、請求項1〜5の何れか一項に記載の壁面装飾用ボックスを複数隣接配置して構成した(請求項6)。
【発明の効果】
【0012】
本願発明では、水栓の位置変更や新設の容易化を図ることができ、水栓の設置位置の自由度の向上にも資する壁面装飾用ボックス及び壁面装飾構造体が得られる。
【0013】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の壁面装飾用ボックスでは、その内部の配管用スペースに配管を通すようにすれば、配管は化粧パネルで目隠しされることになるので、美観性の向上を図ることができる。しかも、水栓の位置変更や新設に際し、それに伴う配管の構成変更・追加作業を行う場合に、既に設けてある壁面装飾用ボックスを利用するか、あるいは新たに壁面装飾用ボックスを設け、その壁面装飾用ボックスの配管用スペースを利用することにより、配管の構成変更・追加作業を壁内(壁の裏側)で行うことなく、壁の外側(表側)で行うことができるので、作業の容易化を図ることも可能となり、ひいては水栓の設置位置の自由度の向上にも資することとなる。さらに、フレームには、その後面から長手方向の両端面にかけて延びる切り欠き部を設けてあるので、内部の配管用スペースに配管を通し易く、この点でも施工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る壁面装飾用ボックスを複数隣接配置した壁面装飾構造体の設置例を概略的に示す斜視図である。
図2】上記設置例を概略的に示す正面図である。
図3】(A)〜(C)は前記壁面装飾用ボックスの施工手順を概略的に示す斜視図である。
図4】(A)及び(B)は、図3の施工手順の続きを概略的に示す斜視図である。
図5】(A)及び(B)は、図4の施工手順の続きを概略的に示す斜視図である。
図6】前記壁面装飾用ボックスの要部の構成を概略的に示す縦断端面図である。
図7】浴室用水栓タイプの壁面装飾用ボックスの構成を概略的に示す斜視図である。
図8】前記浴室用水栓タイプの壁面装飾用ボックスの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図9】(A)及び(B)は、洗面室用水栓タイプの壁面装飾用ボックスの構成を概略的に示す斜視図及び分解斜視図である。
図10】前記壁面装飾用ボックス及び壁面装飾構造体の変形例の構成を概略的に示す斜視図である。
図11】前記壁面装飾用ボックス及び壁面装飾構造体の他の変形例の構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0016】
図1及び図2に示す壁面装飾構造体Aは、壁面装飾用ボックスBを複数隣接配置して構成したものである。
【0017】
壁面装飾用ボックスBは、直方体形状又は立方体形状に枠組みされ、内部に配管用スペースS(図6参照)を有するフレーム1(図3(B)参照)と、フレーム1の後面に設けられた壁面取付部2(図3(B)参照)と、フレーム1の後面以外の少なくとも何れか一面を覆う化粧パネル3とを具備し、金属(例えばステンレスやアルミニウム合金)で製造され、壁面Wに取り付けられることを基本構成とするものである。
【0018】
図3(B)に示すフレーム1は、直方体形状に枠組みされており、上下に開口しているとともに、内部の配管用スペースSに配管を通し易くするため、後面から左右両側面(長手方向の両端面)にかけて延びる切り欠き部1Aを有している。なお、切り欠き部1Aは、配管用スペースSを囲む位置(下部)に設けられ、切り欠き部1Aを通じて配管用スペースSがフレーム1の外部空間(フレーム1に対しその長手方向外側の空間)に連通するように構成されている。
【0019】
壁面取付部2は、水平方向に延びる状態となるように壁面Wにねじ止めされ、被係合溝4を有する固定レール5(図3(A)参照)と、フレーム1の後面上部(切り欠き部1Aより上側の部分)に設けられ、被係合部4に係合する係合突起(図示していない)と、係合突起が被係合部4に係合する状態で壁面Wにねじ止めされるフレーム1の後面下部(切り欠き部1Aより下側の部分)とで構成されている。なお、図3(B)には、固定レール5の被係合部4に係合突起に係合させてフレーム1と固定レール5とを一体化した状態を示してある。
【0020】
化粧パネル3は、フレーム1の前面には必ず組み付けられ、必要に応じて、左右(サイド)面、下面、上面に組み付けられる。化粧パネル3を組み付けるか否かは、配管用スペースSに対して配管Tをどの方向から通すかによって決まり、配管Tを通す面には化粧パネル3を設けないようにする。図3(C)にはフレーム1の左右に化粧パネル3を組み付ける工程を、図4(A)にはフレーム1の前面に化粧パネル3を組み付ける工程を、図4(B)にはフレーム1の下面に化粧パネル3を組み付ける工程を示してある。フレーム1に対する化粧パネル3の組付けは、係合、ねじ止め等により適宜行えるようにすればよく、フレーム1に対して化粧パネル3を着脱自在にしてあるのが好ましい。
【0021】
また、化粧パネル3は、その外面に、木製、ガラス製、金属製、樹脂製のシートやフィルムを化粧材として簡単に貼ることができるように構成されている。なお、化粧パネル3の外面への化粧材の貼付は、フレーム1に化粧パネル3を組み付ける前に行っておいてもよいし、後から行うようにしてもよい。
【0022】
図3(B)及び(C)、図4(A)及び(B)に示す順序で化粧パネル3をフレーム1に組み付けた後、図5(A)に示すように、収容棚(図示例はトレイ)6をフレーム1に上方から嵌め込むことにより、図5(B)に示す壁面装飾用ボックスBが得られる。
【0023】
そして、壁面装飾用ボックスBの設置後、必要に応じてそのフレーム1内の下部に設けられた配管用スペースSに配管T(給水配管T1、給湯配管T2)を通すことができる(図6参照)。
【0024】
すなわち、壁面装飾用ボックスBを複数隣接配置して、各壁面装飾用ボックスBの配管用スペースSに配管Tを通すようにすれば、配管Tは壁面装飾用ボックスBの化粧パネル3で目隠しされることになるので、美観性の向上を図ることができる。しかも、水栓の位置変更や新設に際し、それに伴う配管Tの構成変更・追加作業を行う場合に、既に設けてある壁面装飾用ボックスBを利用するか、あるいは新たに壁面装飾用ボックスBを設け、その壁面装飾用ボックスBの配管用スペースSを利用することにより、配管Tの構成変更・追加作業を壁内(壁の裏側)で行うことなく、壁の外側(表側)で行うことができるので、作業の容易化を図ることも可能となり、ひいては水栓の設置位置の自由度の向上にも資することとなる。さらに、フレーム1には、その後面から長手方向の両端面にかけて延びる切り欠き部1Aを設けてあるので、内部の配管用スペースSに配管Tを通し易く、この点でも施工性に優れている。
【0025】
図5(B)に示す壁面装飾用ボックスBは、上部に物を載置・収容可能な収容棚タイプの壁面装飾用ボックスB1であるが、これに限らず、壁面装飾用ボックスBは、上記基本構成(配管用スペースS、壁面取付部2、化粧パネル3を有する構成)を備える範囲で、その他の構成を様々に変更可能である。
【0026】
図7図8に、浴室用水栓タイプの壁面装飾用ボックスB2を示す。この壁面装飾用ボックスB2のフレーム1内には、配管用スペースSに配置される配管T(給水配管T1、給湯配管T2)が接続される水栓(浴室用湯水混合水栓)7が収容され、また、フレーム1(化粧パネル3)の外側に露出する状態で、ハンドシャワー8と、図外の吐水管と、ハンドシャワー8及び吐水管の吐水・止水の切替え兼流量調整用のハンドル9と、温度調整用のハンドル10とが設けられている。なお、上記部材7〜10及び吐水管の構成(ハンドル9,10を操作してハンドシャワー8、吐水管からの吐水量の調整と吐水の温度調整とを行わせるための機構)には公知のものを採用することができる。
【0027】
図9(A)及び(B)に、洗面室用水栓タイプの壁面装飾用ボックスB3を示す。この壁面装飾用ボックスB3のフレーム1内には、配管用スペースSに配置される配管T(給水配管T1、給湯配管T2)が接続される水栓(洗面室用湯水混合水栓)11が収容され、また、フレーム1(化粧パネル3)の外側に露出する状態で、図外の吐水管と、吐水管の流量調整兼温度調整用のレバー12とが設けられている。なお、上記部材11〜12及び吐水管の構成(レバー12を操作して吐水管からの吐水量の調整と吐水の温度調整とを行わせるための機構)には公知のものを採用することができる。
【0028】
図1図2に示す壁面装飾構造体Aは、壁面装飾用ボックスB1〜B3を組み合わせて横一列に隣接配置して構成したものであり(図示例では、壁面装飾用ボックスB1の横幅は不均一である)、壁内から引き出して壁面装飾用ボックスB2の水栓7に連結した配管T(給水配管T1、給湯配管T2)を分岐させて、壁面装飾用ボックスB3の水栓11にも連結してあることにより、壁内から室内側に配管Tを引き出す位置を一箇所のみとすることができ、それだけ配管作業が容易となる。
【0029】
また、壁面装飾用ボックスBの上下幅及び奥行の寸法を統一化しておくことにより、複数の壁面装飾用ボックスBを組み合わせて用いるときに統一感を出し易くすることができる上、他のタイプの壁面装飾用ボックスBに交換するのを容易とすることもできる。そして、この効果は、壁面装飾用ボックスBの左右幅の統一化(均一化)により、一層高めることも可能である。
【0030】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0031】
フレーム1内に照明器具を収容するようにしてもよい。この場合、照明器具による照明効果を十分発揮させるために、化粧パネル3に光透過性を持たせる。
【0032】
図6に示す壁面装飾用ボックスBは、フレーム1内の空間を上下に大きく分け、そのうちの下側を配管用スペースSとしてあるが、これに限らず、例えば、フレーム1内の空間を壁側と室内側とに大きく分け、そのうちの壁側を配管用スペースSとしてもよい。この場合に、室内側に収容棚を設けるときには、この収容棚に収容した物の落下を防止するために、開閉扉を設けるようにしてもよい。
【0033】
図10(A)及び(B)には、隣接配置する壁面装飾用ボックスB1、B3に用いる固定レール5及び前面の化粧パネル3を一体化した例を示す。このように、複数の壁面装飾用ボックスBを隣接配置する場合、これらの部材の一部を予め一体化しておいてもよいし、一体化せず、固定レール5又は前面の化粧パネル3の少なくとも一方を壁面装飾用ボックスBごとに設け、壁面装飾用ボックスBの個別のメンテナンス、交換、撤去等を行い易くするようにしておいてもよい。図11には、隣接配置する壁面装飾用ボックスB1、B3の前面の化粧パネル3を一体化せずに個別に設けた例を示しており、この図の壁面装飾用ボックスB1は、二つの収容棚(トレイ)6を有している。
【0034】
ここで、図10図11に示すように、二つの壁面装飾用ボックスBを隣接させる場合、隣接する二つの壁面装飾用ボックスB(フレーム1)どうしの隣接面となる各々の側面から化粧パネル3を取り外しておくことにより、二つの壁面装飾用ボックスB(フレーム1)の内部の配管用スペースSは切り欠き部1Aを介して相互に連通することになる。従って、図9(A)に示す洗面室用水栓タイプの壁面装飾用ボックスB3に、図10(A)に示すように収容棚タイプの壁面装飾用ボックスB1を増設したり、図7に示す浴室用水栓タイプの壁面装飾用ボックスB2に、図11に示すように収容棚タイプの壁面装飾用ボックスB1を増設したりする場合に、増設に伴って配管Tを延ばす作業も容易となる。そして、そのためには、各壁面装飾用ボックスBのフレーム1の側面を覆う化粧パネル3がフレーム1に対して着脱自在であることが好ましい。
【0035】
そこで、図8図9(B)に示すように、水栓用の壁面装飾用ボックスB2,B3の左右両側面の化粧パネル3には、内面に二つの前突起3aと二つの後突起3bを設け、各突起3a、3bをフレーム1にねじ固定するように構成してある。図示例の各突起3a、3bは、先端部が二又に分かれ、その先端部を貫くねじ(図示していない)によりフレーム1に固定される。従って、ねじを外せば、化粧パネル3を横に引き抜いてフレーム1から取り外すことができる。そして、前突起3aの固定及び解除操作はフレーム1の前方から行え、斯かる構成に特筆するべき点は無いが、本例では、後突起3bの固定及び解除操作もフレーム1の前方から行えるのであり、具体的には、前面が覆われていない状態のフレーム1の前方の開口からドライバーを差し込んで行えるようにしてあり、この操作を行い易くするために、後突起3bは前突起3aよりも長くしてあり、かつ、二つの前突起3aの上下の間隔より二つの後突起3bの上下の間隔を大きくして、後突起3bの固定及び解除操作の際に前突起3aが邪魔になり難いように前突起3aと後突起3bの上下方向の位置をずらしてある。
【0036】
なお、先端部が二又状になっている突起3a、3bの一部又は全部を、例えばタッピングねじによって固定される筒状(円筒状等)の突起に変えてもよい。また、図5に示す収容棚タイプの壁面装飾用ボックスB1の左右両側面の化粧パネル3についても、図8図9(B)に示す水栓用の壁面装飾用ボックスB2,B3の左右両側面の化粧パネル3と同様の構成としてもよいし、異なる構成としてもよい。
【0037】
そして、本発明の壁面装飾用ボックスB(壁面装飾構造体A)は、浴室や洗面室の壁面に限らず、例えばトイレの壁面等にも設置可能である。また、本発明の壁面装飾用ボックスB(壁面装飾構造体A)は壁面の装飾効果を高めることができるため、本発明の壁面装飾用ボックスB(壁面装飾構造体A)を用いれば、通常は水栓が設けられていないような場所(例えば玄関ホール等)に水栓を違和感なく(あるいは高い意匠性を持たせた状態で)設置することも容易となる。
【0038】
例えば、図5(A)及び(B)に示す収容棚タイプの壁面装飾用ボックスB1では、収容棚6が配管用スペースSを侵食しないように構成されているが、配管用スペースSに配管Tを通さない状態で壁面装飾用ボックスB1を使用する場合には、一旦、配管用スペースS内にまで延びる収容棚を設け、配管用スペースSに配管Tを通そうとするときに、その収容棚を取り外し、配管用スペースSを侵食しない収容棚6に交換可能となるように構成してもよい。このようにすることで、配管Tを通さないときの配管用スペースSを有効利用することができるのであり、同様のことは、収容棚タイプ以外のタイプの壁面装飾用ボックスBについても行える。
【0039】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 フレーム
1A 切り欠き部
2 壁面取付部
3 化粧パネル
3a 前突起
3b 後突起
4 被係合部
5 固定レール
6 収用棚
7 水栓
8 ハンドシャワー
9 ハンドル
10 ハンドル
11 水栓
12 レバー
A 壁面装飾構造体
B 壁面装飾用ボックス
S 配管用スペース
W 壁面
【要約】
【課題】水栓の位置変更や新設の容易化を図ることができ、水栓の設置位置の自由度の向上にも資する壁面装飾用ボックス及び壁面装飾構造体を提供すること。
【解決手段】本発明に係る壁面装飾用ボックスは、直方体形状又は立方体形状に枠組みされ、内部に配管用スペースSを有するフレーム1と、前記フレーム1の後面に設けられた壁面取付部2と、前記フレーム1の後面以外の少なくとも何れか一面を覆う化粧パネル3とを具備し、壁面Wに取り付けられる壁面装飾用ボックスBであって、前記フレーム1は、後面から長手方向の両端面にかけて延びる切り欠き部1Aを有している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11