(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用された汚染物質処理装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
同図において、汚染物質処理装置10は、生活空間Rに存在するガス状又は粒子状汚染物質Wを処理剤で処理する汚染物質処理装置であって、汚染物質Wを回収する回収器1と、この回収器1外又は回収器1内に生活空間Rに存在する汚染物質Wを処理するための処理剤が供給される処理剤供給手段2と、この処理剤供給手段2にて処理剤が供給された状態で生活空間Rに対し前記回収器1に向かう気流を形成し、供給された処理剤と汚染物質Wとが付着した状態で前記回収器1に回収されるように前記気流に乗せて生活空間Rの汚染物質Wを回収器1に搬送する気流形成手段3と、この気流形成手段3により形成された気流に乗って前記回収器1に回収された処理剤が付着した汚染物質Wを当該回収器1外に廃棄する廃棄手段4と、
汚染物質Wの回収動作を制御する制御手段(図示せず)と、を備え、気流形成手段3は、処理剤供給手段2にて処理剤が供給された後に気流の形成動作を開始する
ものであり、制御手段は、処理剤供給手段2による生活空間R又は回収器1内への処理剤の供給の有無が検知可能な検知手段(図示せず)を有し、当該検知手段による検知情報により気流形成手段3の動作を開始するものである。
【0015】
このような技術的手段において、ガス状汚染物質Wとはガス状の臭気物質又は化学物質を指す。
また、粒子状汚染物質Wとは主として微生物粒子やアレルゲン粒子を想定しているが、これ以外の粉塵なども含む。
ここで、微生物粒子とは細菌、真菌、ウィルス等を指し、また、アレルゲン粒子とは花粉、ダニ及びその糞などを指すが、微生物粒子が同時にアレルゲン粒子であることもある。
更に、汚染物質処理剤としては、生活空間Rに存在するガス状又は粒子状汚染物質Wを処理する(捕獲・消臭ほか)上で使用される液剤(薬剤のほか水そのものも含む)を指す。
また、回収器1としては、生活空間Rに存在する汚染物質Wを回収するスペースがあればよく、生活空間Wに設置される空気清浄装置とは別の箇所に専用的に設けてもよいし、あるいは、空気清浄装置内に設置するようにしてもよい。
更に、処理剤供給手段2については、処理剤を供給する機能を有するものであれば、例えば噴霧器で生活空間R(回収器1外)に直接噴霧する態様でもよいし、あるいは、回収器1内の処理剤保持体に対して処理剤を供給する態様でもよい。
更にまた、気流形成手段3としては、回収器1に向かって汚染物質Wが搬送される気流を形成するものであれば、ファンなど適宜選定して差し支えなく、回収器1内に装備してもよいし、回収器1とは別に生活空間Rに設置してもよいし、あるいは、回収器1内及び回収器1外に複数設置するようにしてもよい。
また、廃棄手段4としては、回収器1に着脱自在に装着されるカートリッジ(汚染物質捕獲面が固定的に設けられる態様に限られず、交換可能な巻き取り式のベルト移動型も含む)や、処理剤が付着した汚染物質Wを熱交換を利用して結露させ、汚染物質Wが含まれた結露水をドレーンを介して廃棄する態様等適宜選定して差し支えない。
【0016】
次に、汚染物質処理装置10の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、処理剤供給手段2の代表的態様としては、回収器1外の生活空間Rに液状の処理剤を噴霧するものであり、回収器1は当該回収器1外で処理剤に付着した汚染物質Wを回収するものである態様が挙げられる。
本態様においては、生活空間Rで処理剤に付着した汚染物質Wは次第に沈降する沈降物になるが、少なくとも浮遊中の沈降物は気流形成手段3により形成される気流に乗って回収器1に回収され易い。
また、廃棄手段4の代表的態様としては、回収器1内に汚染物質W及び処理剤が保持されるカートリッジを着脱可能に装着し、回収器1からカートリッジを離脱することでカートリッジに回収された処理剤に付着した汚染物質Wを廃棄する態様が挙げられる。
本態様では、カートリッジを透明にすれば、処理剤に付着した汚染物質Wの回収量を目視することが可能である点で好ましく、また、カートリッジ内に殺菌剤、制菌剤などの薬剤を充填しておけば、処理剤に付着された汚染物質Wに混入されている細菌等の微生物が増殖することは抑えられる点で好ましい。
更に、気流形成手段3の代表的態様としては、回収器1内に装備される態様が挙げられる。このように、回収器1内に気流形成手段3を装備することで回収器1に向かう気流を必要時に簡単に形成することが可能である点で好ましい。
【0017】
また、回収器1の好ましい態様としては、生活空間Rの床面上で走行可能な走行機構を有している態様が挙げられる。本例では、回収器1が走行機構を介して走行するため、走行範囲において適宜設置することができる。
更に、回収器1の好ましい態様としては、床面上に落下した処理剤に付着した汚染物質Wが取込可能に清掃される清掃部材を有している態様が挙げられる。本例において、清掃部材としては、床面上に落下した処理剤に付着した汚染物質Wを取り込むように清掃するものであれば、ブラシ状に掻き取って取り込む態様、叩きながら吸引する態様など適宜選定して差し支えない。
【0018】
また、汚染物質処理装置10の好ましい態様としては、
前記制御手段は、処理剤供給手段2にて供給された生活空間Rでの処理剤が検知可能な第1の検知手段及び処理剤に付着した汚染物質Wが検知可能な第2の検知手段の少なくともいずれかを有し、第1又は第2の検知手段の検知情報を用いて処理剤に付着した汚染物質Wの回収動作を制御する態様が挙げられる。
本例において、第1の検知手段では、処理剤の供給状況を考慮し、処理剤に付着する汚染物質Wの生成過程を想定し、当該汚染物質Wの回収動作に生かすことが可能である。また、第2の検知手段では、処理剤に付着する汚染物質Wから当該汚染物質Wの分布を考慮し、前記処理剤に付着する汚染物質Wの分布傾向を想定して当該汚染物質Wの回収動作に生かすことが可能である。
更に、汚染物質処理装置10の代表的態様としては、回収器1、気流形成手段3及び廃棄手段4は空気清浄装置内に装備されている態様が挙げられる。
空気清浄装置のうち、気流形成手段3、除湿又は冷却装置等の熱交換手段が既に装備されている態様では、これらを利用して汚染物質処理装置を構成することが可能である。
ここで、空気清浄装置を利用した好ましい態様としては、廃棄手段4は、熱交換手段が装備された回収器1に対し処理剤に付着した汚染物質Wを回収し、熱交換手段にて回収器1に回収された処理剤に付着した汚染物質Wを結露させ、生成された結露水を廃棄する態様が挙げられる。
本例では、除湿・冷却装置などの熱交換手段を利用し、処理剤に付着した汚染物質Wを結露させ、ドレーンを介して廃棄、又は、カートリッジに捕獲して廃棄するようにすればよい。
【0019】
また、処理剤供給手段2の別の代表的態様としては、廃棄手段4は処理剤が保持される着脱可能なカートリッジを有し、処理剤供給手段2は回収器1内に設けられ、廃棄手段4のカートリッジに処理剤を供給し、回収器1は、当該回収器1外から気流形成手段3の気流に乗って回収した汚染物質Wを廃棄手段4のカートリッジに保持した処理剤に付着させることで回収するものが挙げられる。
処理剤供給手段2から供給される処理剤を回収器1内の廃棄手段4のカートリッジに保持させておき、生活空間Rに存在する汚染物質W(例えば臭気物質)を回収器1内に気流に乗せて搬送し、前記処理剤に付着させて回収する。本例では、生活空間Rに処理剤を噴霧しないので、生活空間Rに余剰な処理剤が残存しない。
ここで、処理剤供給手段2としては、毛細管現象により処理剤を供給するようにしてもよいし、ポンプユニットなどを用いて処理剤を供給するなど適宜選定して差し支えない。
更に、この種の処理剤供給手段2における好ましい例としては、複数の処理剤が個別に収容される複数の収容容器と、複数の収容容器のうち任意の処理剤を選択的に供給する選択手段と、を有する態様が挙げられる。本態様は、検知手段やユーザの判断により、生活空間R毎に異なる汚染物質Wに対応した処理剤を選択することが可能である。
更にまた、この種の処理剤供給手段2における好ましい別の例としては、一若しくは複数の処理剤が個別に収容される収容容器と、この収容容器内の処理剤を定期的又は不定期的に定量供給する定量供給部と、を有する態様が挙げられる。本態様は、廃棄手段4のカートリッジに対し処理剤を定量供給し、カートリッジでの処理剤の保持状態を略均一に保つことが可能である。
また、このような処理剤供給手段2を用いた汚染物質処理装置10の好ましい態様としては、汚染物質Wの回収動作を制御する制御手段を備え、制御手段は、生活空間Rに存在する汚染物質Wが検知可能な検知手段を有し、この検知手段の検知情報を用いて汚染物質Wの回収動作を制御する態様が挙げられる。本態様では、検知手段によって生活空間Rの汚染物質Wの各種情報(種類、分布)を検知し、処理剤の供給量や、気流形成手段3の気流強度などを調整することで、汚染物質Wの回収動作を制御するようにすればよい。
【0020】
また、汚染物質処理装置10が汚染物質Wとして臭気物質を処理する具体的態様としては、対象汚染物質Wが被服に付着した臭気物質である態様において、被服を保持する被服保持手段と、この被服保持手段で保持された被服を気流が通過可能に覆う被服カバーと、この被服カバーを通過する気流が形成される気流形成手段3と、被服カバー内の被服を通過する気流の上流側に設けられ、被服保持手段に保持された被服に付着した汚染物質Wとしての臭気物質を消臭又は脱臭処理する処理剤を供給する処理剤供給手段2と、被服カバー内の気流が排出される排出口又はその下流側に設けられ、被服を通過した処理剤に付着した汚染物質Wとしての臭気物質を回収する回収器1と、この回収器1内に設けられ
、当該回収器1に回収された処理剤が付着した汚染物質Wを当該回収器1外に廃棄する廃棄手段4と、を備え
、処理剤供給手段2は、気流形成手段3で形成された気流によって処理剤を供給する態様が挙げられる。
本態様は、被服に付着した汚染物質Wとしての臭気物質を消臭又は脱臭処理するに当たり、処理剤を気流に乗せて被服に吹き付け、処理剤に臭気物質を付着させた状態で、回収器1の廃棄手段4に回収するものである。
ここで、被服に気流を通過させるに当たり、被服を広げた状態で保持する被服保持手段と、処理剤で処理した臭気物質を周囲に逃がさないように覆う被服カバーとを要する。また、処理剤として、加温されたスチームなどを含むようにすれば、被服のしわ伸ばし効果も合わせて得ることが可能である。
【0021】
また、本実施の形態では、上述した汚染物質処理装置10を利用することで空気清浄維持システムを構築することが可能である。
この空気清浄維持システムは、
図1(b)に示すように、生活空間Rに設置される上述した汚染物質処理装置10と、生活空間Rに設置されて前記汚染物質処理装置10で処理された清浄な空気を
放出して循環させる空気循環装置11とを備え、生活空間Rにおける空気の清浄状態を維持するものである。
尚、本空気清浄維持システムにおいて、汚染物質処理装置10は空気循環装置11とは別個独立に設置してもよいし、空気循環装置11内に全部若しくは一部を組み込むようにしても差し支えない。
この種の空気清浄維持システムの代表的態様としては、空気循環装置11は生活空間Rの一側に設置され、空気循環装置11本体の生活空間Rに面した部位の上下方向下側に吸気口を形成すると共に、この吸気口の上側に放出口を形成し、吸気口から放出口への空気流通路には予め決められた汚染物質Wを捕獲する捕獲フィルタ及び空気を清浄する清浄フィルタを設置したものが挙げられる。
空気循環装置11は特定の汚染物質Wを捕獲する構成を備えているので、例えば特定の汚染物質Wがインフルエンザ等のウィルスであるとすれば、学校などの教室で当該ウィルス感染者を空気循環装置11の近傍に配置し、放出口からは清浄な空気がウィルス感染者を避ける方向に放出されるようにすればよい。
特に、教室全域に清浄な空気が行き渡るようにするには、生活空間Rとしての室内空間の上方に空気循環装置11から放出された空気に対してウィルス感染者を経由した空気が他の領域に拡散しないように、所定の循環気流を形成する補助気流形成手段を付加することが好ましい。
また、この種の空気清浄維持システムについては、空気循環装置11は、放出する空気の清浄度が改善可能な物質を放散する清浄度改善手段(図示せず)を有し、定期的又は不定期的に前記物質を放散するように構築してもよい。
本態様において、清浄度改善手段は、空気の清浄度が改善可能な物質を適宜放散することで、空気についての清浄度を変動させ、人が室内空間に長時間いるとしても、その人に快適性と免疫力の低下を防止することが可能である。
【0022】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
−汚染物質処理装置−
図2は実施の形態1に係る空気清浄維持システムで用いられる汚染物質処理装置の全体構成を示す説明図である。
同図において、空気清浄維持システムは、生活空間R(
図3(a)参照)としての室内空間に存在する汚染物質Wを処理剤Sで処理する汚染物質処理装置20と、この汚染物質処理装置20で処理された室内空間Rに設置され、当該室内空間Rに対し例えば温度調整された空気を放出する空気調和装置(図示せず)と、を備えている。
尚、本実施の形態では、汚染物質Wとしては、室内空間Rに存在するガス状の臭気物質又は化学物質や粒子状の微生物粒子又はアレルゲン物質が対象とされ、処理剤Sとしては処理対象である汚染物質Wを消臭(又は脱臭)する消臭剤が選定されている。
本実施の形態において、汚染物質処理装置20は、ユーザの操作により消臭剤Sを噴霧する噴霧器21と、この噴霧器21にて噴霧された消臭剤Sに付着した汚染物質Wを回収する汚染物質回収装置22と、を有している。
【0023】
−噴霧器−
ここで、噴霧器21としては各種市販されているものが使用され、
図2又は
図3(a)に示すように、容器21a内に処理対象の汚染物質Wに対して消臭作用(又は脱臭作用)が発揮可能な消臭剤Sを内蔵し、容器21aの開口に噴霧器具21bを装着する態様のものが用いられる。
このとき、噴霧器21から噴霧された消臭剤Sは、
図3(a)に示すように、室内空間Rの汚染物質Wに衝突し、
図3(b)に示すように、汚染物質Wと付着する。この状態において、消臭剤Sに付着した汚染物質Wは順次沈降していくか、あるいは、
図3(c)に示すように、消臭剤Sに付着した汚染物質Wが化学変化して被消臭物質W’に変化した後に順次沈降していく。この結果、室内空間Rの汚染物質Wの濃度が低減する。
【0024】
−汚染物質回収装置−
また、汚染物質回収装置22は、
図2及び
図4(a)(b)に示すように、例えば移動型の清掃装置23に組み込まれており、主として消臭剤Sに付着した臭気物質W(臭気物質Wが化学変化したものも含む)又は消臭剤Sそのものが沈降する過程で回収することを企図するものである。
<清掃装置>
本例では、清掃装置23は、円筒ボックス状の清掃容器31を有し、この清掃容器31の底部に室内空間Rの床面の任意の方向に沿って走行可能な走行機構32を付設し、この走行機構32を介して室内空間Rの床面を走行可能とするものである。尚、本例では、走行機構32は走行方向が変化する複数の走行用車輪32aを含み、図示外の制御装置によって自動走行可能に駆動制御される。
そして、清掃装置23は、清掃容器31の底部のうち直径に対応した部位にスリット33を形成すると共に、このスリット33に面した部位に回転可能な清掃ブラシ34を配設し、駆動モータ35からの駆動力を駆動伝達ギア列36を介して清掃ブラシ34を回転駆動するようになっている。
ここで、清掃ブラシ34としては、回転軸34aの周囲に多数のブラシ材34bを放射状に設けたものが用いられるが、夫々のブラシ材34bとしては塵埃等の粉塵が静電付着し難いように帯電防止層が施され、かつ、消臭剤Sの浸透を極力防止するような防水処理が施されている態様が好ましい。
更に、清掃容器31は清掃ブラシ34で捕獲した塵埃等が収容される収容部31aを有しており、清掃容器31の側壁の一部には通気口37が開設されると共に、この通気口37に対応した部位にはルーバ38が配設され、このルーバ38の内側には収容した塵埃等の粉塵を捕獲する粉塵フィルタ39が着脱可能に配設されている。そして、収容部31aには塵埃等の粉塵を貯留しておくための通気性のある粉塵袋(図示せず)が着脱可能に装着されている。
尚、清掃装置23としては、室内空間Rの床面に清掃ブラシ34を回転させるものであるが、これに限られるものではなく、清掃容器31を負圧構造にすると共に清掃容器31のスリット33に図示外の吸引ダクトを装着し、吸引ダクトを介して床面の塵埃等の粉塵を吸引するように構築してもよい。
【0025】
<汚染物質回収装置の構成例>
これに対し、汚染物質回収装置22は、清掃装置23の清掃容器31の頂部上に一体的に組み付けられており、消臭剤Sに付着した臭気物質Wや消臭剤そのものが回収される回収器としての円筒ボックス状の回収容器41を有している。この回収容器41の頂部に略回収容器41の外径に近い外径の円形状の回収口42が開設されており、この回収口42に面した部位にはルーバ43が配設されると共に、回収口42に面したルーバ43の内側には塵埃等の粉塵を捕獲するプレフィルタとしての粉塵フィルタ44が着脱可能に配設され、更に、この粉塵フィルタ44の内側には主として消臭剤S及びこの消臭剤Sに付着した汚染物質Wを捕獲する消臭カートリッジ45が着脱自在に配設されている。
本例では、消臭カートリッジ45としては、例えば消臭剤Sを捕獲する消臭剤フィルタ、主として消臭剤Sに付着したガス状汚染物質Wを捕獲するガス除去フィルタ、主として消臭剤Sに付着した粒子状汚染物質Wを捕獲する粒子除去フィルタなどを積層したカートリッジ構成のものが用いられる。尚、消臭カートリッジ45としては、これに限られるものではなく、前述した機能を具現化できるものであれば、適宜選定して差し支えない。
また、回収容器41の側周部の一部には排気口46が開設されており、この排気口46に面した部位にはルーバ47が配設されている。
更に、回収容器41の底部には気流形成手段としてのファン50が搭載され、回収口42を通じて回収容器41内に室内空間Rの空気を吸い込み、排気口47を介して室内空間Rに排気する気流A(
図6参照)を形成するようになっている。
更にまた、本実施の形態においては、
図2及び
図4(a)に示すように、回収容器41の側周部の一部には噴霧された消臭剤Sを検知する消臭剤センサ51が適宜数(
図2では2個)設けられており、また、回収容器41内には消臭カートリッジ45に捕獲される汚染物質Wのうち予め決められた汚染物質Wの濃度を検知する汚れセンサ52が設けられると共に、回収容器41の側周部の一部には汚れセンサ52による検知結果を目視可能に表示する汚れ表示器53が設けられている。
【0026】
<制御系>
本実施の形態では、汚染物質回収装置22及び清掃装置23は制御装置60によって駆動制御されている。
この制御装置60は、
図5に示すように、CPU61、RAM62、ROM63及び入出力インタフェース64,65を含むマイクロコンピュータにて構成され、入力インタフェース64から消臭剤センサ51、汚れセンサ52の検知信号を取り込み、ROM63に予めインストールされている汚染物質回収プログラムや通常清掃プログラムをCPU61にて実行し、出力インタフェース65を介して汚れ表示器53、ファン50、走行機構32、清掃ブラシ34等に所定の制御信号を送出するようにしたものである。
【0027】
−汚染物質処理装置の作動−
<汚染物質回収処理>
本実施の形態に係る汚染物質処理装置20は以下のような動作過程を経て室内空間Rの汚染物質Wを処理する。
先ず、
図2に示すように、室内空間Rの居住者が噴霧器21を操作して消臭剤Sを噴霧する。
この状態において、噴霧された消臭剤Sは、
図3(a)〜(c)に示すように、ミスト状に拡散して汚染物質Wに適宜衝突し、消臭剤Sに付着した汚染物質W(消臭剤Sにより化学変化した汚染物質Wも含む)や消臭剤Sそのものが沈降する。
一方、汚染物質回収装置22の消臭剤センサ51が室内空間Rに噴霧された消臭剤Sを検知すると、制御装置60は、消臭剤センサ51の検知信号に基づいて汚染物質回収プログラムを実行し、清掃装置23の走行機構32、清掃ブラシ34並びに汚染物質回収装置22のファン50を駆動開始すると共に、消臭剤センサ51の検知信号変化に基づいて決定された走行軌跡に沿って清掃装置23及び汚染物質回収装置22を自動走行させる。
このような走行過程において、汚染物質回収装置22では、
図6に示すように、ファン50の吸引作用によって、回収容器41の回収口42から空気を吸い込み、排気口46から排気する気流Aが形成される。室内空間Rの塵埃等の粉塵(図示せず)や消臭剤Sに付着した汚染物質Wは室内空間Rで次第に沈降する過程で前述した気流Aに乗って回収口42から吸い込まれる。すると、粒子径の比較的大きい塵埃等の粉塵は粉塵フィルタ44に捕獲され、粒子径の比較的小さい消臭剤Sや消臭剤Sに付着した汚染物質Wは粉塵フィルタ44を通過した後に消臭カートリッジ45に捕獲される。
尚、ファン50の駆動については予め決められた駆動レベル(回転数など)に固定的に設定していてもよいし、消臭剤センサ51の検知レベルに応じてファン50の駆動レベルを可変設定するようにしてもよい。
【0028】
ここで、消臭カートリッジ45に捕獲された汚染物質Wが次第に蓄積していくと、汚れセンサ52の検知信号に基づいて汚れ表示器53に消臭カートリッジ45の汚れの程度が表示される。そして、汚れセンサ52の検知信号が予め決められた上限値に到達したときに、例えば汚れ表示器53の表示部を点滅させるようにすれば、消臭カートリッジ45の汚れ度合が限界に達したことが容易に把握される。このような状態に至った場合には、
図6に2点鎖線で示すように、古い消臭カートリッジ45を取り外し、新しい消臭カートリッジ45を装着するという消臭カートリッジ45の交換作業を行うようにすればよい。
また、消臭剤Sに付着した汚染物質Wや消臭剤Sは室内空間Rで次第に沈降するが、全てのものが汚染物質回収装置22で回収されることはなく、少なくともその一部は室内空間Rの床面に落下する。
しかしながら、本実施の形態では、清掃装置23は、室内空間Rの床面に落下している塵埃等の粉塵(図示せず)や消臭剤Sに付着した汚染物質W、消臭剤Sそのものを、清掃容器31内に清掃ブラシ34の摺擦力で機械的に掻き取り、かつ、清掃ブラシ34の回転に伴う吸引作用によって吸い込む。
このとき、室内空間Rの床面に落下した消臭剤Sに付着した汚染物質Wや消臭剤Sそのものは、塵埃等の粉塵(図示せず)と混在した状態で清掃ブラシ34により清掃容器31内に取り込まれることから、消臭剤Sの液体成分は粉塵に吸収されることが多く、消臭剤Sに付着した汚染物質Wは粉塵等に付着した状態で清掃容器31内の粉塵袋(図示せず)に堆積収容される。
更に、本例では、通気口37に面して粉塵フィルタ39が配設されているため、清掃容器31内に取り込まれた粉塵が粉塵袋から仮に漏れたとしても、清掃容器31内の粉塵は粉塵フィルタ39で捕獲されることから、清掃容器31内の粉塵が通気口37から漏れる懸念はない。
尚、粉塵袋や粉塵フィルタ39は定期的又は不定期的に必要に応じて交換される。
【0029】
以上のように、本実施の形態に係る汚染物質処理装置20(噴霧器21+汚染物質回収装置22+清掃装置23)を用いると、室内空間Rに噴霧器21にて消臭剤Sを噴霧した場合に、浮遊中の消臭剤Sに付着した汚染物質W、消臭剤Sそのものの多くは沈降する過程において汚染物質回収装置22に効率的に回収される。
特に、本例では、室内空間Rの床面に沈降した消臭剤Sに付着した汚染物質W、消臭剤Sそのものも清掃装置23によって清掃される。
このように、本例では、室内空間Rの床面に消臭剤Sに付着した汚染物質Wが沈積することはほとんどないため、床面に沈積した消臭剤Sに付着した汚染物質Wにつき、消臭剤Sが揮発し、これに伴ってガス状汚染物質Wが気化するという懸念はほとんどない。このため、室内空間Rの汚染物質濃度が一時的に低下した後に時間の経過に伴って再度上昇することはなく、室内空間Rの汚染物質濃度は確実に低下する。
このため、本実施の形態では、室内空間Rに図示外の空気調和装置(エアコンディショナ)を設置しておけば、汚染物質処理装置20が室内空間Rの汚染物質濃度を確実に低下させるため、空気調和装置により例えば温度調整された空気は清浄状態を維持することが可能である。
【0030】
<通常の清掃処理>
本実施の形態に係る清掃装置23を用いて通常の清掃処理を行う場合には、例えばユーザが通常の清掃モードを開始させるように指示操作するようにすればよい。
すると、制御装置60は、通常の清掃プログラムを実行し、清掃装置23の走行機構32、清掃ブラシ34を駆動開始すると共に、予め決められた清掃走行軌跡に沿って清掃装置23を自動走行させ、主として、室内空間Rの床面に落下している塵埃等の粉塵を清掃ブラシ34にて清掃させる。
尚、通常の清掃処理において、必要に応じて汚染物質回収装置22のファン50を駆動開始することで、室内空間Rに浮遊している塵埃等の粉塵を回収口42を介して回収容器41内に回収するようにしてもよいことは勿論である。
【0031】
◎実施の形態2
図7(a)は実施の形態2に係る空気清浄維持システムの全体構成を示す。
同図において、空気清浄維持システムは、生活空間としての室内空間Rに設置される汚染物質処理装置20と、室内空間Rに設置されて前記汚染物質処理装置20で処理された清浄な空気を取り込んで温度調整した後に放出する空気調和装置(エアコンディショナ)200と、を備えている。尚、ここでいう空気調和装置200は、室内空間Rの環境に合わせて空気を調整するものを広く指し、調整パラメータとしては主として温度であるが、湿度などを加味してもよいことは勿論である。以下同様である。
本例では、汚染物質処理装置20は、実施の形態1と略同様に、ユーザの操作により消臭剤Sを噴霧する噴霧器21と、この噴霧器21にて噴霧された消臭剤Sに付着した汚染物質Wを回収する汚染物質回収装置22と、を備えているが、実施の形態1と異なり、汚染物質回収装置22が室内空間Rの一側の床面に固定的に設置されており、更に、空気調和装置200は室内空間Rのうち汚染物質回収装置22が設置された側と同じ側の上方に設置されている。
【0032】
−汚染物質回収装置−
本例において、汚染物質回収装置22は、
図7(b)に示すように、汚染物質Wが回収可能な略直方体ボックス状の回収容器71を有し、この回収容器71のうち室内空間Rに向かう側部の下側に例えば略矩形状の回収口72を開設すると共に、回収容器71の頂部に例えば略矩形状の排気口73を開設し、回収容器71内には回収口72から排気口73に連通する略L字状に屈曲した空気流通路74を形成したものである。
そして、回収容器71の回収口72に面した部位にはルーバ75が配設され、回収口72に面したルーバ75の内側には塵埃等の粉塵を捕獲するプレフィルタとしての粉塵フィルタ76が着脱可能に配設されると共に、この粉塵フィルタ76の内側には主として消臭剤S及びこの消臭剤Sに付着した汚染物質Wを捕獲する消臭カートリッジ77が着脱自在に配設されている。
更に、回収容器71の排気口73に面した部位にはルーバ78が配設され、空気流通路74のうち排気口73面に対して略平行になるようにファン79が配設されており、このファン79は空気流通路74において回収口72から排気口73に向かう気流Bを形成するように空気を吸引する構成になっている。
更にまた、回収容器71のうち室内空間Rに向かう側の側部には噴霧された消臭剤Sを検知する消臭剤センサ80が設けられている。
そして、回収容器71内には制御装置81が配設されており、この制御装置81は、例えば消臭剤センサ80が噴霧された消臭剤Sを検知すると、当該検知信号に基づいてファン79を駆動開始するようになっている。
【0033】
−空気調和装置−
本実施の形態において、空気調和装置200は、室内空間Rから取り込んで例えば温度調整された空気を放出し且つ水平方向に対して横長の略直方体ボックス状の空気調和容器201を有し、この空気調和容器201の底部に空気が取り込まれる取込口202を開設すると共に、室内空間Rに向かう側部に温度調整後の空気が放出される略矩形状の放出口203を開設し、空気調和容器201内に取込口202から放出口203まで連通する略L字状に屈曲される空気流通路204を形成したものである。
そして、空気調和容器201の取込口202に面した部位にはルーバ205が配設され、取込口202に面したルーバ205の内側には空気中の塵埃等を除去する粉塵フィルタ206が着脱可能に配設されている。
ここで、粉塵フィルタ206としては、室内空間Rの空気中に存在する塵埃等の粉塵を捕獲する一若しくは複数のフィルタ部材が用いられる。
更に、本実施の形態では、空気調和容器201の放出口203に面した部位にはルーバ207が配設されており、また、空気調和容器201の空気流通路204の途中には冷房や暖房のための熱交換ユニット208が配設されると共に、空気流通路204のうちルーバ207と熱交換ユニット208との間にはファン210が配設され、空気流通路204内で取込口202から放出口203に向かう気流Cを形成するようになっている。
更にまた、空気調和容器201には制御装置211が配設され、図示外の操作スイッチと連動して熱交換ユニット208及びファン210を駆動制御するようになっている。
【0034】
本実施の形態に係る空気清浄維持システムは以下のように作動する。
今、
図7(a)に示すように、室内空間Rにおいて空気調和装置(エアコンディショナ)200を作動させた状態で、ユーザが室内空間Rにて噴霧器21から消臭剤Sを噴霧したと仮定する。
この状態において、汚染物質回収装置22の消臭剤センサ80が噴霧された消臭剤Sとを検知すると、制御装置81がファン79を駆動開始する。
すると、汚染物質回収装置22の空気流通路74では、
図7(b)に示すように、ファン79の吸引作用によって回収口72から排気口73に向かう気流Bが形成され、また、空気調和装置200の空気流通路204では、
図7(c)に示すように、ファン210の吸引作用によって取込口202から放出口203に向かう気流Cが形成され、室内空間Rには、
図7(a)に示すように、空気調和装置200の放出口203から放出された空気が矢印に示す気流Aになって室内空間Rを循環し、汚染物質回収装置22の回収口72に向かうことになる。
このとき、本実施の形態では、
図7(b)に示すように、噴霧されたミスト状の消臭剤Sは室内空間Rに存在する汚染物質Wに衝突し、あるいは、そのまま沈降する。
この状態において、室内空間Rを沈降する塵埃等の粉塵を始め、消臭剤Sに付着した汚染物質Wや消臭剤Sそのものは、
図7(a)に示す気流Aに乗って汚染物質回収装置22の回収口72に向かい、回収容器71内に回収される。
すると、塵埃等の粉塵は粉塵フィルタ76に主として捕獲され、また、消臭剤Sに付着した汚染物質Wや消臭剤Sそのものは消臭カートリッジ77に主として捕獲され、粉塵や汚染物質Wが略除去された空気が気流Bに乗って排気口73から排気される。
そして、排気された空気は、空気調和装置200の下方の空気と混在した状態で、空気調和装置200の取込口202に取り込まれ、空気流通路204内で粉塵フィルタ206、熱交換ユニット208を経由して気流Bに乗って放出口203から温度調整された空気として放出される。
このような空気の循環過程を繰り返すことから、室内空間Rの汚染物質濃度は確実に低下し、室内空間Rでは空気が清浄な状態で維持される。
【0035】
実施の形態2に係る空気清浄維持システムは、汚染物質処理装置20が空気調和装置200とは別に設置されている態様であるが、これに限られるものではなく、例えば以下に示す変形の形態2−1,変形の形態2−2のように適宜設計変更して差し支えない。
◎変形の形態2−1
本変形の形態に係る空気清浄維持システムは、
図8(a)に示すように、ユーザが消臭剤Sを噴霧する噴霧器21と、室内空間Rの一側の床面に設置され、室内空間Rに存在する汚染物質Wが消臭剤Sを介して回収可能な汚染物質回収装置22を組み込んだ空気清浄装置100と、この空気清浄装置100に連動し、空気清浄装置100から放出した清浄空気を室内空間Rで循環させて空気清浄装置100に再び取込む気流Aを形成すべく、室内空間Rの天井面の一部に設置される例えばファン内蔵型の補助循環器120と、を備えている。
本例では、空気清浄装置100は、
図8(b)に示すように、鉛直方向に対して縦長の略ボックス状の清浄容器101を有し、この清浄容器101のうち室内空間Rに向かう側部の下側に例えば略矩形状の取込口102を開設すると共に、清浄容器101の頂部に例えば略矩形状の放出口103を開設し、清浄容器101内には取込口102から放出口103に連通する略L字状に屈曲した空気流通路104を形成したものである。
そして、清浄容器101の取込口102に面した部位にはルーバ105が配設され、取込口102に面したルーバ105の内側には塵埃等の粉塵を捕獲するプレフィルタとしての粉塵フィルタ106が着脱可能に配設されると共に、この粉塵フィルタ106の内側には室内空間Rの汚染物質Wを捕獲するための清浄フィルタ107が着脱可能に配設されている。但し、本例で用いられる清浄フィルタ107は、少なくとも消臭剤S及び消臭剤Sに付着した汚染物質Wを捕獲可能な消臭フィルタを含むカートリッジ構成になっていることを要する。
【0036】
更に、清浄容器101の放出口103に面した部位にはルーバ108が配設され清浄容器101の空気流通路104の途中には冷房や暖房のための熱交換ユニット109が配設されると共に、空気流通路104のうちルーバ108と熱交換ユニット109との間にはファン110が配設され、空気流通路104内で取込口102から放出口103に向かう気流Bを形成するようになっている。
更にまた、清浄容器101のうち室内空間Rに向かう側の側部には噴霧された消臭剤Sを検知する消臭剤センサ111が設けられている。
そして、清浄容器101内には制御装置112が配設されており、この制御装置112は、図示外の操作スイッチと連動して熱交換ユニット109及びファン110を通常の空気清浄処理として駆動制御するようになっていると共に、消臭剤センサ111が噴霧された消臭剤Sを検知すると、当該検知信号に基づいてファン110を消臭剤Sの噴霧に伴う汚染物質処理として駆動開始するようになっている。尚、汚染物質処理時に熱交換ユニット109を同時に作動させるようにしてもよいことは勿論である。
このように、本例では、清浄容器101、清浄フィルタ107及びファン110が実施の形態2で用いられた汚染物質回収装置22の回収容器71、消臭カートリッジ77及びファン79を兼用するものである。
【0037】
本例においては、
図8(a)に示すように、ユーザが室内空間Rにて噴霧器21から消臭剤Sを噴霧したと仮定する。
この状態において、空気清浄装置100の消臭剤センサ
111が噴霧された消臭剤Sを検知すると、制御装置112がファン110を駆動開始する。
すると、空気清浄装置100と連動して補助循環器120が作動するため、空気清浄装置100の空気流通路104では、
図8(b)に示すように、ファン110の吸引作用によって取込口102から放出口103に向かう気流Bが形成され、室内空間Rには、
図8(a)に示すように、空気清浄装置100の放出口103から放出された空気が補助循環器120による吸引作用によって矢印に示す気流Aになって室内空間Rを循環し、空気清浄装置100の取込口102に向かうことになる。
このとき、本実施の形態では、
図8(b)に示すように、噴霧されたミスト状の消臭剤Sは室内空間Rに存在する汚染物質Wに衝突し、あるいは、そのまま沈降する。
この状態において、室内空間Rを沈降する塵埃等の粉塵を始め、消臭剤Sに付着した汚染物質Wや消臭剤Sそのものは、
図8(a)に示す気流Aに乗って空気清浄装置100の取込口102に向かい、清浄容器101内に取り込まれる。
すると、塵埃等の粉塵は粉塵フィルタ106に主として捕獲され、また、消臭剤Sに付着した汚染物質Wや消臭剤Sそのものは消臭カートリッジを兼用する清浄フィルタ107に主として捕獲され、粉塵や汚染物質Wが略除去された空気が気流Bに乗って放出口103から放出される。
そして、放出された空気は補助循環器120を介して室内空間Rを循環する。
このような空気の循環過程を繰り返すことから、室内空間Rの汚染物質濃度は確実に低下し、室内空間Rでは空気が清浄な状態で維持される。
【0038】
◎変形の形態2−2
本変形の形態は、
図9に示すように、変形の形態2−1と略同様な構成の空気清浄装置100を備えているが、変形の形態2−1で用いられる清浄フィルタ107が着脱可能なカートリッジ構成である態様とは異なる構成を有している。尚、変形の形態2−1と同様な構成要素については同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
同図において、本変形の形態では、清浄フィルタ107は、少なくとも消臭剤S及び消臭剤Sに付着した汚染物質Wを捕獲する消臭フィルタを含んでいるが、変形の形態2−1と異なり、清浄フィルタ107のうち少なくとも消臭フィルタは着脱可能なカートリッジ構成にはなっておらず、固定的に設置されている。
本例では、熱交換ユニット109は冷却装置又は除湿装置からなる冷却ユニット109aを具備しており、この冷却ユニット109aは空気流通路104内で清浄フィルタ107の気流Bの下流側に当該清浄フィルタ107に対向して近接配置されており、複数の熱交換用フィンを具備した構造になっている。
更に、清浄フィルタ107はヒータ113によって加熱可能に構成されており、冷却ユニット109aの下方には廃液タンク114が配設されている。
更にまた、清浄容器101内の制御装置112は、変形の形態2−1と略同様な駆動制御を行うが、更に、ヒータ113をも制御対象とし、空気清浄装置100が消臭剤Sの噴霧に伴う汚染物質処理を開始した後、予め決められた時間経過した条件でヒータ113の加熱動作を所定時間実施すると共に、ヒータ113の加熱動作に連動されて冷却ユニット109aを作動させるようになっている。
本変形の形態で用いられる空気清浄装置100は、消臭剤Sの噴霧に伴う汚染物質処理時には、変形の形態2−1と略同様に作動し、室内空間Rの消臭剤Sや消臭剤Sに付着した汚染物質Wを清浄フィルタ107(主として消臭フィルタ部分)で捕獲する。
そして、室内空間Rで消臭剤Sを噴霧した後に指定時間経過すると、ヒータ113が清浄フィルタ107を加熱すると共に、冷却ユニット109aが作動する。このため、清浄フィルタ107に捕獲された消臭剤Sが蒸発し、蒸発した消臭剤S及び消臭剤Sに付着した汚染物質Wを含む空気が冷却ユニット109aに向けて送られる。
この状態において、消臭剤S及び消臭剤Sに付着した汚染物質Wを含む湿気のある空気が冷却ユニット109aに到達すると、冷却ユニット109aの熱交換用フィンとの熱交換で結露水が生じる。この結露水は消臭剤Sに加えてこれに付着していた汚染物質Wを含んでおり、この結露水は廃液タンク114に廃棄される。
これにより、清浄フィルタ107に捕獲された消臭剤Sや汚染物質Wは冷却ユニット109aを利用する形で廃液タンク114へと廃棄されることになり、清浄フィルタ107はリフレッシュされる。
尚、本例では、廃液タンク114に消臭剤S等の廃液を廃棄する方式を採用したが、これに限られるものではなく、ドレーン配管を介して空気清浄装置100外の予め決められた廃棄部に直接的に廃棄するようにしてもよい。
【0039】
◎実施の形態3
図10(a)は実施の形態3に係る空気清浄維持システムの全体構成を示す説明図である。
同図において、空気清浄維持システムは、被服に付着した汚染物質としての臭気物質を除去処理することを主眼とするものであり、例えば室内空間Rの天井面の一部に釣り下げられ且つ汚染物質Wとしての臭気物質が付着した被服を保持する脱臭ハンガ300と、室内空間Rの一側の床面に設置される汚染物質処理装置20の主要部である汚染物質回収装置22と、室内空間Rの汚染物質回収装置22とは反対側の他側の側部上方に設置され、例えば温度調整された空気を放出する空気調和装置200と、を有している。
<脱臭ハンガ>
本実施の形態において、脱臭ハンガ300は、
図10(b)に示すように、被服310が保持可能なハンガ本体301と、このハンガ本体301に連結固定され且つ室内空間Rの支持部(図示せず)に釣り下げ支持される支持アーム302と、この支持アーム302の一部に固定的に設けられ且つ内部に消臭剤Sが収容されていて気流Aの通過に伴って消臭剤Sをミスト状態でハンガ本体301側に噴霧する噴霧器25と、を有している。
ここで、噴霧器25は汚染物質処理装置20の一要素であり、容器内部の消臭剤Sを通過する気流Aによって気化させ、ハンガ本体301側の下方向に向かってミスト状に噴霧させるように構成したものである。
【0040】
<汚染物質回収装置及び空気調和装置>
本実施の形態において、汚染物質回収装置22は、
図10(c)に示すように、鉛直方向に縦長の略ボックス状の回収容器71を有し、この回収容器71の頂部に例えば略矩形状の回収口72を開設すると共に、回収容器71の室内空間Rに向かう側部の下側に例えば略矩形状の排気口73を開設し、回収容器71内には回収口72から排気口73に連通する略L字状に屈曲した空気流通路74を形成したものである。
そして、回収容器71の回収口72に面した部位にはルーバ75が配設され、回収口72に面したルーバ75の内側には塵埃等の粉塵を捕獲するプレフィルタとしての粉塵フィルタ76が着脱可能に配設されると共に、この粉塵フィルタ76の内側には主として消臭剤S及びこの消臭剤Sに付着した汚染物質Wを捕獲する消臭カートリッジ77が着脱自在に配設されている。更に、空気流通路74の消臭カートリッジ77の内側にはファン79が配設され、このファン79は空気流通路74において回収口72から排気口73に向かう気流Bを形成するように空気を吸引する構成になっている。尚、符号78は回収容器71の排気口73に面した部位に配設されたルーバである。
また、回収容器71のうち室内空間Rに向かう側の側部には噴霧された消臭剤Sを検知する消臭剤センサ80が設けられている。そして、回収容器71内には制御装置81が配設されており、この制御装置81は、例えば消臭剤センサ80が噴霧された消臭剤Sを検知すると、当該検知信号に基づいてファン79を駆動開始するようになっている。
一方、空気調和装置200は空気調和容器201の形状が鉛直方向に延びる縦長である点で実施の形態2で用いた態様と相違するが、その基本的構成は実施の形態2で用いた態様と略同様である。
【0041】
本実施の形態によれば、
図10(a)(b)に示すように、室内空間Rの予め決められた脱臭ハンガ300に被服310を保持した状態で、空気調和装置200を操作スイッチにて作動させると、空気調和装置200から放出された空気が脱臭ハンガ300の噴霧器25に気流Aとして流れ、噴霧器25はその気流Aによって消臭剤Sを自動的に噴霧し、脱臭ハンガ300に保持した被服310に消臭剤Sを吹きかける。
このとき、噴霧器25から噴霧された消臭剤Sが拡散すると、
図10(c)に示すように、汚染物質回収装置22の消臭剤センサ80が消臭剤Sを検知する。すると、制御装置81が消臭剤センサ80の検知信号に基づいてファン79を駆動開始する。このため、空気調和装置200から放出された空気の気流Aと、汚染物質回収装置22のファン79の吸引作用により形成される気流Bとが生ずることから、室内空間Rでは、空気調和装置200から放出された空気は、
図10(a)に示すように気流Aとなって、脱臭ハンガ300に保持された被服310部分を通過し、汚染物質回収装置22の回収口72に向かって循環する。
ここで、脱臭ハンガ300の領域では、
図10(b)に示すように、噴霧器25から噴霧された消臭剤Sが被服310に吹き付けられることから、被服310に存在する汚染物質Wとしての脱臭物質が消臭剤Sに付着し、消臭剤Sに付着した臭気物質Wや拡散した消臭剤Sは、前述した気流Aに乗って汚染物質回収装置22へと向かい、回収容器71内に回収される。そして、回収容器71内に回収された消臭剤Sや消臭剤Sに付着した臭気物質Wは消臭カートリッジ77に捕獲される。
この結果、脱臭ハンガ300に保持されていた被服310の臭気物質Wは消臭剤Sと共に汚染物質回収装置22に回収されることになり、脱臭ハンガ300に保持されていた被服310の臭気物質Wの多くは除去され、被服310の臭気成分は効率的に脱臭される。
このため、本実施の形態に係る空気清浄維持システムは、室内空間Rの被服310の臭気成分を取り除き、空気を清浄状態で維持することが可能である。
【0042】
本実施の形態に係る空気清浄維持システムは、上述した態様に限定されるものではなく、例えば変形の形態3−1〜3−3に示すように適宜選定することができる。
◎変形の形態3−1
本変形の形態は、
図11(a)に示すように、室内空間Rの一側の床面に設置される汚染物質回収装置22と、室内空間Rのうち汚染物質回収装置22の反対側の側部の上方に設置される空気調和装置200と、この空気調和装置200の略直下に設置されて気流によって消臭剤Sを噴霧する噴霧器25と、この噴霧器25の下方に被服310の保持領域を確保した状態で噴霧器25に対向して設置される対向汚染物質回収装置26と、を備えている。
尚、被服310は室内空間Rの側部の所定部位に引っ掛けられたハンガ320に保持される。
本例において、汚染物質回収装置22は、実施の形態2と略同様の構成(回収容器71の側部に回収口72を開設すると共に、回収容器71の頂部に排気口73を開設した態様)を有している。
一方、空気調和装置200は、実施の形態2と異なり、空気調和容器201の側部に取込口202を開設すると共に、空気調和容器201の底部に放出口203を開設した態様であるが、その他の構成については基本的に実施の形態2と略同様である。
また、噴霧器25は、空気調和装置200の放出口203の直下に配設されており、放出口203からの気流によって消臭剤Sをミスト状に噴霧するようになっている。
更に、対向汚染物質回収装置26はハンガ320に保持された被服310の下方に着脱可能に配設されており、消臭剤S及びこの消臭剤Sに付着した臭気物質Wが捕獲可能な捕獲材261(例えば吸水性を有するポリマにて構成)を上方が開口した回収器262に充填したものである。
【0043】
本変形の形態によれば、
図11(a)に示すように、予め決められた被服310の保持領域にハンガ320を用いて被服310を保持した後、空気調和装置200を作動させると、空気調和装置200から放出された清浄な空気が噴霧器25を通過する。この状態において、
図11(b)に示すように、噴霧器25からは気流によって消臭剤Sがミスト状に噴霧され、被服310に吹き付けられる。すると、噴霧された消臭剤Sの多くは被服310に付着していた臭気物質Wに衝突し、臭気物質Wが消臭剤Sに付着した後、沈降すると共に、臭気物質Wに衝突しなかった消臭剤Sはそのまま沈降していく。このため、被服310の下方に向かって沈降する消臭剤S及び消臭剤Sに付着した臭気物質Wは対向汚染物質回収装置26に直接的に回収される。
また、噴霧器25から噴霧された消臭剤Sが気流Aに乗って拡散し、汚染物質回収装置22に向かうと、汚染物質回収装置22の消臭剤センサ80が消臭剤Sを検知し、汚染物質回収装置22のファン79が駆動開始し、汚染物質回収装置22では回収口72から排気口73に向かう気流が形成される。このため、室内空間Rでは、空気調和装置200から放出された空気が汚染物質回収装置22に向かって循環移動する気流Aが形成され、対向汚染物質回収装置26に回収されずに前述した気流Aに乗った消臭剤Sや消臭剤Sに付着した臭気物質Wは汚染物質回収装置22に回収される。
このため、室内空間Rでは、被服310に付着していた臭気物質Wは消臭剤Sと共に対向汚染物質回収装置26又は汚染物質回収装置22に回収されることから、室内空間Rでの臭気物質濃度は確実に低下する。
【0044】
◎変形の形態3−2
本変形の形態は、
図12(a)に示すように、変形の形態3−1と略同様に、汚染物質回収装置22及び噴霧器25を備えているが、変形の形態3−1と異なり、空気調和装置200及び対向汚染物質回収装置26を用いない態様である。
本例では、噴霧器25は、室内空間Rの汚染物質回収装置22の反対側の側部の上方隅部に配設されており、その直下にハンガ320にて被服310が配置されるようになっている。また、汚染物質回収装置22は汚染物質処理を実施する場合には、操作スイッチにてファン79を駆動する必要がある。
従って、本変形の形態によれば、ハンガ320に被服310を保持した後に汚染物質回収装置22を作動させると、汚染物質回収装置22のファン79の吸引作用により、汚染物質回収装置22の回収口72から吸い込まれ、排気口73から排気されることから、室内空間Rを循環する気流Aが形成される。この気流Aは室内空間Rの上方隅部に配置された噴霧器25を通過することから、噴霧器25はミスト状の消臭剤Sを噴霧し、ハンガ320に保持された被服310に吹き付けられる。この状態において、消臭剤Sは被服310に付着していた臭気物質Wと適宜衝突し、臭気物質Wが消臭剤Sに付着する。そして、消臭剤Sに付着した臭気物質W及び消臭剤Sそのものは気流Aに乗って汚染物質回収装置22に回収される。
尚、本例では、汚染物質回収装置22内のファン79だけで室内空間Rに循環する気流Aを形成するようにしているが、この気流Aをより確実に形成するという観点からすれば、室内空間Rの天井面の一部に補助循環器120を設けるようにしてもよい。
【0045】
◎変形の形態3−3
本変形の形態は、
図12(b)に示すように、変形の形態3−1と略同様に、空気調和装置200、噴霧器25及び対向汚染物質回収装置26を備えているが、変形の形態3−1と異なり、汚染物質回収装置22を用いないようにしたものである。
本変形の形態によれば、空気調和装置200の放出口203から空気が下方に向かって吹き出されると、その気流のほとんどが主として鉛直下方に向かう傾向にある。このため、噴霧器25からミスト状に噴霧された消臭剤Sは被服310に付着していた臭気物質Wに衝突した後も下方に向かって沈降する。この結果、消臭剤S及び消臭剤Sに付着した臭気物質Wの多くは対向汚染物質回収装置26に回収される。
【0046】
◎実施の形態4
図13(a)は実施の形態4に係る空気清浄維持システムで用いられる汚染物質処理装置の全体構成を示す。
同図において、汚染物質処理装置20は、実施の形態3と同様に、主として被服310に付着した汚染物質Wとしての臭気物質を除去処理することを主眼としたものであり、室内空間Rの床面に立設され且つ汚染物質Wとしての臭気物質が付着した被服310を保持する脱臭ハンガ300と、この脱臭ハンガ300に保持された被服310を覆う被服カバー330と、室内空間Rの一側の床面に設置される汚染物質処理装置20の主要部である汚染物質回収装置22と、を有している。
<脱臭ハンガ>
本実施の形態では、脱臭ハンガ300は、被服310が保持可能なハンガ本体301と、このハンガ本体301の上部に連結固定され且つ未使用時に室内空間Rの支持部(図示せず)に釣り下げ支持される支持アーム302と、ハンガ本体301の下部に伸縮可能に連結され且つ使用時にハンガ本体301を立設可能に支持する複数の支持サポート303と、支持アーム302の一部に固定的に設けられ且つ内部に消臭剤Sが収容されていて気流Aの通過に伴って消臭剤Sをミスト状態でハンガ本体301側に噴霧する噴霧器25と、を有している。
<被服カバー>
被服カバー330は、脱臭ハンガ300に保持された被服310全体を覆い、脱臭ハンガ300のうち支持アーム302及び支持サポート303の先端側を外部に露出させる孔部が設けられる袋状体331を有し、この袋状体331を上下方向に延びる図示外の開閉機構にて開閉可能とし、この袋状体331の支持アーム302の孔部周辺には空気導入口332を開設すると共に、袋状体331の空気導入口332から離れた下方寄りの一部に空気排出口333を開設したものである。
<汚染物質回収装置>
本例では、汚染物質回収装置22は実施の形態2と略同様に構成されている。
【0047】
次に、本実施の形態に係る汚染物質処理装置20の作動について説明する。
今、被服カバー330を図示外の開閉機構を開放することで被服カバー330を開き、脱臭ハンガ300に被服310を保持させた後に図示外の開閉機構を閉じ、しかる後、脱臭ハンガ300の支持サポート303の長さを調整した状態で脱臭ハンガ300を所定の高さ位置に立設する。
このとき、脱臭ハンガ300の立設位置としては、
図13(b)に示すように、汚染物質回収装置22の回収口72と被服カバー330の空気排出口333との位置を対応させて配置すると共に、汚染物質回収装置22の排気口73から排出された気流Aが被服カバー330の空気導入口332に導ける位置を対応させて配置するようにすればよい。
この状態において、汚染物質回収装置22を図示外の操作スイッチにて作動させると、汚染物質回収装置22のファン79が駆動開始し、このファン79の吸引作用により、被服カバー330には空気導入口332から気流Aが導入され、被服カバー330内を下方に向かって気流Aが流れ、空気排出口333から排出されて汚染物質回収装置22の回収口72へと向かう。
すると、気流Aが噴霧器25を通過することから、噴霧器25から消臭剤Sがミスト状に噴霧され、脱臭ハンガ300に保持されている被服310に吹き付けられる。このため、被服310に付着されていた汚染物質Wとしての臭気物質が消臭剤Sに付着し、消臭剤Sに付着した臭気物質や消臭剤Sそのものは被服カバー330内で気流Aに乗って移動し、空気排出口333から排出された後、汚染物質回収装置22に回収される。
このように、脱臭ハンガ300に保持されていた被服310からは臭気物質が消臭剤Sと共に除去され、汚染物質回収装置22に回収されることから、被服310に付着している臭気物質濃度は確実に低下する。
このような汚染物質処理が終了した後、被服カバー330の開閉機構を開いて被服310を取り出すようにすればよい。
このため、本実施の形態では、室内空間Rに空気調和装置(図示外)を設置しておけば、汚染物質処理装置20が室内空間Rの汚染物質濃度を確実に低下させるため、空気調和装置により例えば温度調整された空気は清浄状態を維持することが可能である。
【0048】
本実施の形態に係る汚染物質処理装置20は、上述した態様に限定されるものでなく、例えば変形の形態4−1〜4−2に示すように適宜選定することができる。
◎変形の形態4−1
本変形の形態は、
図14(a)に示すように、実施の形態3と同様な釣り下げ方式の脱臭ハンガ300と、この脱臭ハンガ300に保持された被服310を覆う被服カバー330と、この被服カバー330に連通接続されて被服カバー330内に気流を形成する吸引エアポンプ340と、被服カバー330と吸引エアポンプ340との接続部に配設されて消臭剤Sに付着した臭気物質Wを回収する汚染物質回収装置27と、を備えている。
本例では、被服カバー330は脱臭ハンガ300に保持された被服310全体を覆い且つ図示外の開閉機構により開閉可能な袋状体331を有し、この袋状体331の上部には脱臭ハンガ300の支持アーム302の先端部が外部に露出させられ且つ空気が導入可能な空気導入口332を開設すると共に、袋状体331の下部には吸引エアポンプ340の接続ダクト341に接続可能な空気排出口333を開設したものである。
更に、本例では、汚染物質回収装置27は袋状体331の空気排出口333近傍に着脱可能な回収器272を設け、この回収器272内には消臭剤S及びこの消臭剤Sに付着した臭気物質Wが捕獲可能で且つ通気可能な捕獲材271(例えば吸水性を有するポリマにて構成)を充填したものである。
【0049】
本変形の形態に係る汚染物質処理装置20によれば、被服カバー330の開閉機構を開放した後に脱臭ハンガ300に被服310を保持させた後に被服カバー330の開閉機構を閉じ、しかる後に、吸引エアポンプ340を作動させるようにすればよい。
この状態において、吸引エアポンプ340の吸引作用により、被服カバー330内には空気導入口332から空気が導入されて下方に流れ、汚染物質回収装置27を経て吸引エアポンプ340に吸い込まれる。
このため、噴霧器25に気流が流れ、噴霧器25からはミスト状の消臭剤Sが噴霧され、脱臭ハンガ300に保持されている被服310に吹き付けられる。すると、被服310に付着している臭気物質Wに消臭剤Sが衝突し、臭気物質Wが消臭剤Sに付着して気流に乗って流れていく。そして、消臭剤S及び消臭剤Sに付着した臭気物質Wは汚染物質回収装置27の捕獲材271に捕獲され、空気が吸引エアポンプ340に吸い込まれる。
このように、本変形の形態では、被服310に付着している臭気物質Wが噴霧された消臭剤Sに付着した状態で、汚染物質回収装置27に回収されることから、被服310に付着している臭気物質濃度は確実に低下する。
◎変形の形態4−2
本変形の形態は、
図14(b)に示すように、変形の形態4−1と略同様な構成であるが、変形の形態4−1と異なり、変形の形態4−1で用いた吸引エアポンプ340に代えて被服カバー330の空気排出口333にファン350を組み込み、このファン350により被服カバー330内に空気導入口332から空気排出口333に向かう気流を形成するようにしても差し支えない。
【0050】
◎実施の形態5
図15(a)は実施の形態5に係る空気清浄維持システムで用いられる汚染物質処理装置20の全体構成を示し、同図(b)は汚染物質の処理原理を示す。
同図において、汚染物質処理装置20は、実施の形態1ないし4のいずれの態様とも異なり、室内空間Rの一側に設置される汚染物質回収装置22を有し、室内空間Rに消臭剤Sを噴霧することなく、汚染物質回収装置22内の空気流通路の途中に消臭剤Sを待機させ、汚染物質回収装置22に向かう気流Aを形成し、汚染物質回収装置22内に室内空間R(
図15(b)中領域Iに相当)に存在する汚染物質Wをそのまま取り込んだ後、消臭剤Sを待機させた領域(
図15(b)中領域IIに相当)で消臭剤Sに汚染物質Wを付着させることで汚染物質Wを除去処理するものである。
本実施の形態では、汚染物質回収装置22は、
図15及び
図16に示すように、鉛直方向に縦長の略直方体ボックス状の回収容器131を有し、この回収容器131のうち室内空間Rに向かう側部の下側に例えば略矩形状の回収口132を開設すると共に、回収容器131の頂部に例えば略矩形状の排気口133を開設し、回収容器131内には回収口132から排気口133に連通する略L字状に屈曲した空気流通路134を形成したものである。
そして、回収容器131の回収口132及び排気口133に面した部位には夫々ルーバ135,136が配設されている。そして、空気流通路134の途中には消臭カートリッジ140が着脱可能に配設されており、空気流通路134のうち消臭カートリッジ140と排気口133との間にファン137が配設され、図示外の制御装置が操作スイッチに連動してファン137を駆動制御するようになっている。尚、符号138はファン137を駆動するための交流電源、139はファン137を駆動するためのバッテリ電源である。
【0051】
本例では、消臭カートリッジ140は消臭剤Sを含浸するフィルタ基材からなるものであり、フィルタ基材としては活性炭、不織布(HEPA)、メラミンフォーム等のスポンジ素材、布地など適宜選定して差し支えない。
この消臭カートリッジ140には一若しくは複数種の消臭剤Sを供給する消臭剤供給系141が設けられている。この消臭剤供給系141は、室内空間Rの汚染物質Wに合わせた消臭剤Sを選定可能とするように複数の消臭剤S(本例ではSa〜Sc)が個別に収容される消臭剤タンク142(具体的には142a〜142c)を有し、各消臭剤タンク142内の消臭剤Sと消臭カートリッジ140とは濾材143(具体的には143a〜143c)を介して選択的に連通させ、毛細管現象によって選択された消臭剤Sを濾材143を経由して消臭カートリッジ140に供給し、消臭カートリッジ140に選択された消臭剤Sを含浸させるようにしたものである。
【0052】
本実施の形態によれば、消臭カートリッジ140に室内空間Rの汚染物質Wに合わせた消臭剤Sを含浸させた状態で、操作スイッチにて汚染物質回収装置22を作動させると、ファン137が駆動開始する。すると、ファン137の吸引作用により、空気流通路134には回収口132から排気口133に向かう気流が形成されることから、室内空間Rには、汚染物質回収装置22の回収口132に向かう気流Aが形成される。この結果、室内空間Rに存在する汚染物質Wは汚染物質回収装置22の回収口132に吸い込まれた後に消臭剤Sが含浸されている消臭カートリッジ140に捕獲される。
このような汚染物質Wの捕獲動作が繰り返されることから、室内空間Rの汚染物質濃度は確実に低下する。
特に、本態様では、室内空間Rに消臭剤Sが噴霧されることはないので、室内空間Rに余剰な消臭剤Sが残留するという懸念はほとんどない。
【0053】
本実施の形態は、消臭カートリッジ140に対し毛細管現象を利用して消臭剤Sを供給する方式の態様であるが、これに限定されるものではなく、例えば変形の形態5−1〜5−2に示す態様を採用してもよいことは勿論である。
◎変形の形態5−1
本変形の形態は、
図17に示すように、実施の形態5と略同様な構成要素を有しているが、実施の形態5と異なる消臭剤供給系141を備えている。尚、実施の形態5と同様な構成要素については実施の形態5と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
同図において、消臭剤供給系141は、室内空間Rの汚染物質Wに合わせた消臭剤を選定可能とするように複数の消臭剤S(本例ではSa〜Sc)が個別に収容される消臭剤タンク142(具体的には142a〜142c)を有し、各消臭剤タンク142内の消臭剤Sをポンプユニット145を介して選択的に吸い上げ、選択された消臭剤Sを消臭カートリッジ140に供給し、消臭カートリッジ140に選択された消臭剤Sを含浸させるようにしたものである。
本例では、制御装置150は、図示外の操作スイッチに連動してファン137を駆動制御するほか、例えば汚染物質判別センサ151により室内空間Rの汚染物質Wに合わせて消臭剤Sを選択し、ポンプユニット145を駆動制御することで当該消臭剤タンク142から消臭剤Sを選択的に吸い上げ、消臭カートリッジ140に選択した消臭剤Sを含浸させるものである。
ここで、汚染物質判別センサ151が汚染物質濃度センサを含んでいる態様では、制御装置150は、汚染物質の濃度レベルに応じてファン137の回転数を制御したり、あるいは、汚染物質処理時間を調整したりすることが可能である。
【0054】
◎変形の形態5−2
本変形の形態は、
図18(a)に示すように、変形の形態5−1と略同様の構成要素を有しているが、変形の形態5−1とは、消臭カートリッジ140の配設位置、消臭剤供給系141の構成が異なっている。尚、変形の形態5−1と同様な構成要素については変形の形態と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例では、消臭カートリッジ140は、
図18(a)(b)に示すように、回収容器131の回収口132に対向して略鉛直方向に沿って配設されている。
また、消臭剤供給系141は、
図18(b)に示すように、消臭剤Sが収容される消臭剤タンク142を有し、消臭カートリッジ140の上部には複数のノズル部が略均等に配列される均等配分ノズル161を配設し、消臭剤タンク142と均等配分ノズル161との間を供給配管162を介して連通接続すると共に、供給配管162の途中にポンプユニット145及び流量調整弁163を介在させたものである。尚、符号164は消臭剤タンク142の供給口、符号165はドレーン配管である。
更に、消臭カートリッジ140内には浸透した消臭剤Sの濃度検知用の濃度センサ166が適宜数設置されており、この濃度センサ166からの情報が制御装置150に入力されている。制御装置150は濃度センサ166からの情報に基づいて流量調整弁163の開度を調整することにより消臭剤Sの供給量を制御するようになっている。
また、本例では、消臭剤Sの廃液を排出可能な排出装置167が設けられており、この排出装置167は消臭カートリッジ140の下部に廃液タンク168をドレーン配管169を介して連通接続し、余剰の消臭剤Sを廃液タンク168に排出するようになっている。
【0055】
更に、消臭カートリッジ140の通風面には加熱装置170が設けられている。この加熱装置170は消臭カートリッジ140の通風面の略全域に亘ってクロス状に配列されるヒータ線171にて構成されており、例えば制御装置150からの制御信号に基づいて定期的に加熱され、消臭カートリッジ140のフィルタ基材に蓄積される消臭剤反応物を定期的に除去する。この場合、除去される消臭剤反応物が室内空間Rを汚染しないように、例えば活性炭のような物理吸着材を配置するようにしたり、図示外の排気ダクトを通じて外部に放出するようにすればよい。
従って、本変形の形態にあっても、汚染物質回収装置22を作動させると、ファン137が駆動開始し、室内空間Rに所定の気流Aを形成する。すると、室内空間Rに存在する汚染物質Wは、気流Aに乗って汚染物質回収装置22の回収口132から空気流通路134内に吸い込まれ、消臭剤Sが含浸した消臭カートリッジ140に捕獲される。
特に、本例では、消臭カートリッジ140のフィルタ基材には液状の消臭剤Sが必要に応じて補充供給され、かつ、均等配分ノズル161により略均等に配分されるようになっているため、消臭カートリッジ140のフィルタ基材は長期に亘って消臭剤Sの浸透度合が略均一な状態に保たれることになり、その分、消臭カートリッジ140による汚染物質W除去性能は長期に亘って安定的に維持される。
【0056】
◎実施の形態6
図19(a)(b)は実施の形態6に係る空気清浄維持システムの全体構成を示す。
同図において、空気清浄維持システムは、例えば学校の教室などの比較的広い室内空間Rを想定したものであり、室内空間Rに例えばインフルエンザの感染者がいる場合に、他の生徒に対して感染拡大を防止する対策を施したものである。
同図において、空気清浄維持システムは、室内空間Rの前側(黒板400設置側)に汚染物質回収装置22を組み込んだ空気清浄装置100を設置し、室内空間Rの天井面の略中央より前寄りにはファン内蔵型の補助循環器410を設置することで、空気清浄装置100から放出された清浄な空気を室内空間Rの前方から後方にかけて室内空間Rの上方を通るように循環させ、インフルエンザウィルスの感染者Mを空気清浄装置100の近くの隔離流域Hに着席させるようにしたものである。
本例では、空気清浄装置100は、例えば
図20に示すように、鉛直方向に対して縦長の略ボックス状の清浄容器101を有し、この清浄容器101のうち室内空間Rに向かう側部の下側に例えば略矩形状の取込口102を開設すると共に、同側部の上側に例えば略矩形状の放出口103を開設し、清浄容器101内には取込口102から放出口103に連通する略C字状に屈曲した空気流通路104を形成したものである。
そして、清浄容器101の取込口102に面した部位にはルーバ105が配設され、取込口102に面したルーバ105の内側には粉塵フィルタを始めとする複数のフィルタ基材(本例では室内空間Rに存在する各種汚染物質を除去処理するためのフィルタ基材)からなる清浄フィルタ180が着脱可能に配設されている。
【0057】
更に、清浄容器101の放出口103に面した部位にはルーバ108が配設され清浄容器101の空気流通路104の途中には冷房や暖房のための熱交換ユニット109が配設されると共に、空気流通路104のうちルーバ108と熱交換ユニット109との間にはファン110が配設され、空気流通路104内で取込口102から放出口103に向かう気流Bを形成するようになっている。
更にまた、清浄容器101のうち室内空間Rに向かう側の側部には室内空間Rに存在する汚染物質を判別する汚染物質判別センサ115が設けられている。
そして、清浄容器101内には制御装置112が配設されており、この制御装置112は、図示外の操作スイッチと連動して熱交換ユニット109及びファン110を通常の空気清浄処理として駆動制御するようになっていると共に、汚染物質判別センサ115が汚染物質を検知すると、当該検知信号に基づいて、薬液供給系190を制御することで汚染物質に合わせた処理剤(薬液)を選択供給すると共に、ファン110を汚染物質処理として駆動開始するようになっている。尚、汚染物質処理時に熱交換ユニット109を同時に作動させるようにしてもよいことは勿論である。
【0058】
<清浄フィルタ>
本例において、清浄フィルタ180は、
図21に示すように、空気流通路104の放出口103から順に、プレフィルタ181、微生物除去フィルタ182、中性能フィルタ183、ガス除去フィルタ184、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)185を配設したものである。
本例では、各フィルタ181〜185は空気流通路104に対していずれも着脱自在に装着されている。
(1)プレフィルタ181
これは、目の粗いメッシュ状のフィルタで、主として粗い粉塵などを捕獲するものであり、例えば金属メッシュや、金属繊維、炭素繊維などを用いて不織布状に成型したものである。
(2)微生物除去フィルタ182
これは、主として細菌、真菌、ウィルスなどの微生物粒子を捕獲するものであるが、微生物粒子と同様な花粉やダニ及びその糞などのアレルゲン粒子をも捕獲し得るものである。
(3)中性能フィルタ183
これは、プレフィルタ181よりも目の細かいメッシュ状のフィルタで、主として中程度の大きさの粉塵などを捕獲するものであり、例えば金属メッシュや、金属繊維、炭素繊維などを用いて不織布状に成型したものである。
(4)ガス除去フィルタ184
これは、臭気物質・化学物質のガス状汚染物質を除去するフィルタであり、臭気物質を吸着する活性炭、ゼオライト、セラミックスなどの吸着材を利用した構成が採用される。
(5)HEPAフィルタ185
これは、中性能フィルタ183よりも更に目の細かいメッシュ状のフィルタで、例えばガス除去フィルタ184で用いられる活性炭の微小粉体などを捕獲するものであり、例えば金属メッシュや、金属繊維、炭素繊維などを用いて不織布状に成型したものである。
【0059】
<薬液供給系>
本例では、清浄フィルタ180は、例えば微生物除去フィルタ182及びガス除去フィルタ184に対して除去対象となる微生物粒子や臭気物質、化学物質(例えばVOC:Volatile Organic Compoundsの略)などのガス状汚染物質に対応する薬液(消臭剤などを含む)が供給可能な薬液供給系190を備えている。
この薬液供給系190は、
図20及び
図21に示すように、臭気物質、化学物質の除去に対応する薬液としての消臭剤(例えばアンモニアに対応する薬液Sa、メチルメルカプタンに対応する薬液Sm、あるいは、これらを含む複数の臭気物質・化学物質に対応する混合薬液Sxなど)と、インフルエンザウィルスなどの微生物の除去に対応する薬液Sw(例えば微生物の殺菌に対応する殺菌剤、微生物の増殖防止に対応する抗菌剤など)とを有している。
そして、これらの薬液は例えば夫々の対応する薬液ボトル191,192に分注され、各薬液ボトル191,192から薬液をポンプユニット145にて一定量吸い上げ、定期的に噴霧される。
【0060】
本実施の形態の清浄フィルタ180では、空気中の汚染物質として、粉塵A、花粉B、真菌C、細菌D、ウィルスE、化学物質F、臭気物質Gが存在する場合を想定すると、粉塵Aは主としてプレフィルタ181、中性能フィルタ183、HEPAフィルタ185にて捕獲され、真菌C、細菌D、ウィルスEは主として微生物除去フィルタ182にて捕獲され、更に、化学物質F、臭気物質Gは主としてガス除去フィルタ184にて捕獲される。尚、花粉Bは微生物除去フィルタ182や中性能フィルタ183にて捕獲される。
ここで、本実施の形態に係る空気清浄維持システムについてより具体的な例に基づいて説明すると、以下のようである。
室内空間Rにおいて、例えばインフルエンザウィルスの感染者Mが空気清浄装置100の近くに着席すると、空気清浄装置100の汚染物質判別センサ115が汚染物質としてインフルエンザウィルスからなる微生物粒子を検知する。すると、空気清浄装置100内では、薬液供給系190が微生物除去フィルタ182に対しインフルエンザウィルスに対応する薬液Swを供給する。
この状態において、空気清浄装置100及び補助循環器410を作動させると、空気清浄装置100内のファン110の吸引作用と補助循環器410の吸引作用によって、室内空間Rでは、矢印で示す気流Aが形成される。
この状態において、空気清浄装置100の近くでは、インフルエンザウィルスの感染者Mからインフルエンザウィルスが空気中に飛散するが、このインフルエンザウィルスは前述した気流Aに乗って空気清浄装置100の取込口102から空気流通路104内に吸い込まれる。
すると、吸い込まれたインフルエンザウィルスは、薬液が含浸した微生物除去フィルタ182に捕獲される。このため、空気清浄装置100からは清浄された状態の空気が放出されることになり、室内空間Rのインフルエンザウィルスの感染者M以外の生徒には常に清浄な空気が行き渡る。
尚、室内空間Rには、黒板400からのチョーク粉や、他の臭気物質などの汚染物質が存在するが、清浄フィルタ180のフィルタ基材を適宜選定することで、これらの粉塵や汚染物質を気流Aに乗せた状態で空気清浄装置100内に吸い込み、清浄フィルタ180で捕獲することは可能である。
このように、本実施の形態では、空気清浄装置100が汚染物質回収装置22を兼用しており、室内空間Rに所望の気流Aを形成することで、室内空間Rに存在する汚染物質を効率的に除去処理することができる。
【0061】
<清浄度改善装置>
更に、本実施の形態では、
図20に示すように、空気清浄装置100の清浄容器101の空気流通路104の一部には空気の清浄度を改善する清浄度改善装置420が設けられている。
この清浄度改善装置420は、例えば室内空間Rの酸素濃度が低下したときに、室内空間Rの空気に対して酸素濃度を増加させることで空気の清浄度を改善するものである。これにより、室内空間Rに長時間に亘って生活するとしても、空気の清浄度が改善されることから、ストレスを感ずることなく、生活することが可能である。
本例では、空気の酸素濃度を改善する方式が採用されるが、これに限られるものではなく、室内環境に変化を与える要因であれば適宜選定して差し支えない。
つまり、ある一定の室内環境を長時間保つと、人の快適性と免疫力を低下させる医学的知見がある。人は室内環境を抗する要因(温度、湿度、気流、照度、空気清浄度など)に対し個別のストレス応答反応がある。
例えば、夏期に空気調和装置(エアコンディショナ)により室内温度が一定に保たれると、初期的には在室者は当初は快適であるが、その後、生体がその環境条件に適応し、生体は室温の変動を求めることが知られている。
室内における空気清浄度についても同様に考えられ、このことからすれば、空気清浄装置100にある種の物質を放散させる機能を持たせ、ある種の汚染物質濃度を変動させ、人に対して快適性と免疫力の低下を防止する機構を実現することが可能である。
【実施例】
【0062】
◎実施例1
実施の形態5に係る汚染物質回収装置を具現化したものを実施例1とし、消臭カートリッジに消臭剤Iを含浸させ、汚染物質としてアンモニアの除去性能を評価した。
◎実施例2
実施の形態5に係る汚染物質回収装置を具現化したものを実施例2とし、消臭カートリッジに消臭剤IIを含浸させ、汚染物質としてアンモニア、エタノール、メチルエチルケトン、エチルアセテートの除去性能を評価した。
◎比較例1
実施の形態5に係る汚染物質回収装置においてファンを非作動状態のまま使用する態様を比較例1とし、消臭カートリッジに消臭剤Iを含浸させ、汚染物質としてアンモニアの除去性能を評価した。
【0063】
<実験方法>
実施例1、実施例2について汚染物質の除去性能を評価するに当たり、
図22に示すように、実験チェンバ500内に夫々の汚染物質回収装置22を設置し、ガスボンベ501にて実験チェンバ500内に対象となる汚染物質を拡散ファン502にて所定量拡散させ、汚染物質回収装置22をあるタイミングで作動を開始し、実験チェンバ500内の空気中の汚染物質濃度の時系列変化を積算流量計503にて計測するようにした。
一方、比較例1について汚染物質の除去性能を評価するに当たり、ガスボンベ501にて実験チェンバ500内に対象となる汚染物質を所定量拡散させた後、実験チェンバ500内に汚染物質回収装置22を設置しない条件、及び、汚染物質回収装置22を設置した後の条件にて、実験チェンバ500内の空気中の汚染物質濃度の時系列変化を積算流量計503にて計測するようにした。
ここで、実験チェンバ500の環境条件は以下の通りである。
・温度:28±1℃
・相対湿度:50±1%
・気積:4.98m
3
・換気回数:0.01〔1/h〕
<評価方式>
今、実施例1,2において、汚染物質回収装置22を作動させると、実験チェンバ500内の汚染物質が気流に乗って汚染物質回収装置22の消臭剤に接触し、消臭剤により、汚染物質濃度を除去処理する程度を評価する。ここで、消臭剤と汚染物質との接触現象は、消臭剤の噴霧に伴う両者の接触減少に略対応するものと考えられる。
このとき、
図23(a)に示すように、ガス状汚染物質濃度が汚染物質回収装置運転後(消臭剤の噴霧後に略相当)に運転前に比べて低下すると、汚染物質の除去効果があると評価される。
また、
図23(b)に示すように、ガス状汚染物質濃度が汚染物質回収装置運転後(消臭剤の噴霧後に略相当)に大きく低下すると、汚染物質の除去性能が大きいと評価される。
【0064】
性能評価を数値で表す場合には相当換気回数N〔1/h〕が用いられる。
この相当換気回数N〔1/h〕を求めるには、先ず実験チェンバ内に汚染物質を供給し、汚染物質回収装置非運転時における対象汚染物質濃度の濃度減衰により求められる換気回数(機器非運転期間の換気回数:N
1〔1/h〕)と汚染物質回収装置運転時における対象汚染物質の濃度減衰により得られる換気回数(機器運転期間の換気回数:N
2〔1/h〕)を求める。
N
1,N
2と相当換気回数Nとの関係は(1)式にて表される。
N
2=N
1+N …(1)
但し、換気回数N
1,N
2は以下の式にて求まる。
N
1=2.303×(1/t
1)×log{(C
1−C
0)/(C
2−C
0)} …(2)
N
2=2.303×(1/t
2)×log{(C
3−C
0)/(C
4−C
0)} …(3)
ここで、
t
1:機器非運転期間の測定時間〔h〕
t
2:機器運転期間の測定時間〔h〕
C
1:機器非運転期間の測定開始時における対象汚染物質濃度
C
2:機器非運転期間の測定開始からt
1時間後の対象汚染物質濃度
C
3:機器運転期間の測定開始時における対象汚染物質濃度
C
4:機器運転期間の測定開始からt
2時間後の対象汚染物質濃度
【0065】
<実施例1の評価結果>
実施例1については、
図24に示すように、機器運転期間で汚染物質としてのアンモニア濃度に一定の減衰性が認められた。また、相当換気回数は、0.31回/hであった。
<比較例1の評価結果>
比較例1については、
図25に示すように、機器非設置時、機器設置時ともに汚染物質としてのアンモニア濃度に関し、減衰性は略一定であった。
<実施例2の評価結果>
実施例2については、
図26に示すように、機器運転期間で汚染物質としてのアンモニア濃度に一定の減衰性が認められた。汚染物質としての同じアンモニアに対し、実施例2の濃度減衰性は実施例1のそれよりも大きい傾向にあるが、これは消臭剤IIの方が消臭剤Iよりも汚染物質の除去性能が高いことを示す。また、相当換気回数は、0.76回/hであった。
更に、実施例2において、アンモニア以外の汚染物質についての除去性能を調べたところ、
図27〜
図29に示す結果が得られた。
同図によれば、機器運転期間で汚染物質としてのエタノール、メチルエチルケトン、エチルアセテートの各濃度に一定の減衰性が認められた。