(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の糸係止具では、砲弾形状に形成され、係止具本体が先細りに形成される。このため、保持した釣り糸が外れることがある。特に、太い釣り糸を装着すると、釣り糸がさらに外れやすくなる。これを防止するために従来の糸係止具では、バネ部材を設けて釣り糸の保持力を増加させ、釣り糸が外れるのを防止している。しかし、バネ部材を設けると、糸係止具の構成が複雑になり、糸係止具のコストが上昇する。
【0007】
本発明の課題は、安価かつ容易な構成によって、釣り糸を糸係止具から外れにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスピニングリールの糸係止具は、スピニングリールのスプールに装着される。糸係止具は、スプールに装着可能な装着部と、装着部に設けられ、スプールの表面との間で釣り糸を係止するため係止具本体と、を備える。係止具本体は、装着端部と導入端部と移動規制部と、を有する。装着端部は、装着部が設けられ、スプールの周方向に所定の幅を有する端部である。導入端部は、釣り糸が導入される端部である。移動規制部は、装着端部と導入端部との間に配置され、所定の幅と異なる幅を有
し、釣り糸が導入端部側へ移動するのを規制する。
【0009】
この糸係止具では、導入端部から導入された釣り糸が係止具本体とスプールの表面との間に係止される。係止された釣り糸は、導入端部と装着端部の間に配置される。この導入端部と装着端部の間には、装着端部の所定の幅と異なる幅を有する移動規制部が設けられる。このため、係止具本体に導入された釣り糸の移動が導入端部と装着端部との間で移動規制部によって規制され、釣り糸が、導入端部側に移動しにくくなる。ここでは、係止具本体に係止された釣り糸が移動規制部によって導入端部側に移動しにくくなるので、安価かつ容易な構成によって釣り糸が糸係止具から外れにくくなる。
【0010】
移動規制部は、所定の幅よりも広い幅を有する張り出し部を有してもよい。この場合には、装着端部と導入端部との間に幅が広い張り出し部が設けられるので、張り出し部で釣り糸の導入端部側への移動が規制され、釣り糸が外れにくくなる。
【0011】
移動規制部は、所定の幅よりも狭い幅を有するくびれ部を有してもよい。この場合には、装着端部と導入端部との間に幅が狭いくびれ部が設けられるので、くびれ部に釣り糸が入り込んで釣り糸の導入端部側への移動が規制され、釣り糸が外れにくくなる。
【0012】
移動規制部は、所定の幅よりも広い幅を有する張り出し部及び所定の幅よりも狭い幅を有するくびれ部を有してもよい。くびれ部は、張り出し部と
装着端部との間に配置される。この場合には、くびれ部と張り出し部とが設けられ、さらに、くびれ部が張り出し部と導入端部との間に配置される。このため、くびれ部に入り込んで移動が規制された釣り糸が張り出し部によってさらに移動が規制される。これによって、釣り糸の
装着端部側への移動が二段階で規制され、釣り糸がさらに外れにくくなる。
【0013】
くびれ部は、円弧状に凹んだ底部を有してもよい。この場合には、くびれ部が円弧状に凹んでいるため、くびれ部に釣り糸が入り込んでも釣り糸が傷付きにくい。
【0014】
装着端部は、スプールの周方向に沿った第1平坦部を有し、導入端部は、スプールの軸方向に沿って突出した凸部を有する。この場合に、装着端部が第1平坦部を有し導入端部が凸部を有しているので、導入端部から釣り糸を導入しても、釣り糸が傷付きにくい。
【0015】
張り出し部は、第2平坦部を有してもよい。この場合には、張り出し部に第2平坦部が設けられるので、釣り糸が張り出し部に引っ掛かりやすくなり、釣り糸がさらに外れにくくなる。
【0016】
第2平坦部は、スプールの周方向に沿って延びてもよい。この場合に、張り出し部に設けられる第2平坦部が周方向に沿って延びるので、釣り糸がさらに引っ掛かりやすくなり、釣り糸がさらに外れにくくなる。
【0017】
本発明に係るスピニングリールのスプールは、糸巻き胴部と、スカート部と、糸係止具と、を備える。糸巻き胴部は、外周面に釣り糸を巻き付け可能である。スカート部は、糸巻き胴部の後端部に設けられ、糸巻き胴部よりも大径のものである。糸係止具は、上記の糸係止具である。
【0018】
このスピニングリールのスプールでは、上記の作用効果を奏するスプールを得ることができる。
【0019】
スピニングリールは、スカート部と糸係止具との間に配置されるシート部材をさらに備えてもよい。この場合には、係止具本体とシート部材との間に釣り糸が配置されるので、シート部材との摩擦によって釣り糸がさらに外れにくくなる。
【0020】
シート部材は、糸係止具の導入端部側に設けられる矩形の切欠き部を有してもよい。この場合には、係止具本体とスカート部との間に釣り糸が入る空間を確保できるとともに、釣り糸がスプール表面を滑り、係止具本体とスカート部との間に導入しやすくなる。
【0021】
シート部材の後端部は、係止具本体の導入端部よりも後側に配置されてもよい。この場合には、スカート部に配置されるシート部材が、釣り糸が導入される導入端部よりも後側に配置される。このため、切欠き部を形成しても、釣り糸を導入端部から係止具本体に導入するときにシート部材とスカート部との間に釣り糸が入りにくい。
【0022】
スカート部は、少なくとも一部にシート部材が配置され、糸係止具を装着するための凹み部を有してもよい。この場合、係止具本体がスカート部の外周面からの突出量が小さくなり、糸ふけした釣り糸が係止具本体に引っ掛かりにくくなる。
【0023】
凹み部は、糸係止具の装着部が通過可能な開口部を有する。この場合に、装着部をスカート内で糸巻き胴部に装着できるので、係止具本体がスカート部に確実に装着できるとともに、スカート部の外周面からの突出量が小さくなり、糸ふけした釣り糸が係止具本体に引っ掛かりにくくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、係止具本体に係止された釣り糸が移動規制部によって導入端部側に移動しにくくなるので、安価かつ容易な構成で釣り糸が糸係止具から外れにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を採用したスピニングリール100は、
図1に示すように、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、スプール4に釣り糸を巻き付けるものであり、リール本体2の前部に回転自在に支持される。スプール4は、外周面に釣り糸を巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置される。なお、ハンドル1は、リール本体2の左側及び右側のいずれにも装着可能である。ここで、前後とは、釣りを行うときに、釣り糸が繰り出される方向を前といいその反対の方向を後という。また、左右とは、スピニングリール100を後方から見たときの左右をいう。
【0027】
リール本体2は、
図1及び
図2に示すように、開口を有するリールボディ2aと、開口を塞ぐようにリールボディ2aに着脱自在に装着された蓋部材2bと、蓋部材2bから斜め上前方に延びる竿取付脚2cとを有する。リールボディ2aは内部に空間を有する。この空間内には、ハンドル1の回転に連動してロータ3を回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。
【0028】
ロータ駆動機構5は、
図2に示すように、ハンドル1が固定された駆動ギア軸10とともに回転する駆動ギア11と、この駆動ギア11に噛み合うピニオンギア12とを有する。ピニオンギア12は、筒状に形成され、ロータ3の中心部を貫通する。そして、ピニオンギア12の前部12aが、ナット13によってロータ3に固定される。また、ピニオンギア12の中間部と後端部とが、それぞれ軸受14a、14bを介してリール本体2に回転自在に支持される。
【0029】
オシレーティング機構6は、
図2に示すように、スプール4の中心部を貫通してドラグ機構60に連結されたスプール軸15を前後方向に移動させることで、スプール4をドラグ機構60とともに前後移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、スプール軸15の下方に平行に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有する。スライダ22は、スプール軸15の後端に回転不能に固定される。中間ギア23は、図示しない減速機構を介してピニオンギア12に噛み合う。この減速機構によって、オシレーティング機構6の前後移動速度が遅くなり、釣り糸をスプール4に緻密に巻き付けることができる。
【0030】
ロータ3は、
図2に示すように、ピニオンギア12に一体回転可能に連結される連結部30と、連結部30の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とを有する。連結部30と第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とは一体に成形される。
【0031】
連結部30の前部には前壁33が形成され、この前壁33の中央部にはボス部33aが設けられている。ボス部33aの中心部には貫通孔が形成され、この貫通孔をピニオンギア12の前部12a及びスプール軸15が貫通する。前壁33の前部にはナット13が配置され、このナット13によってピニオンギア12の前部12aがロータ3に固定される。
【0032】
第1ロータアーム31は、連結部30から外方に向けて凸状に湾曲して前方へと延びている。第1ロータアーム31の先端外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着される。第1ベール支持部材40の先端には、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ41が装着される。第2ロータアーム32は、連結部30から外方に凸に湾曲して前方に延びている。第2ロータアーム32の先端外周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着される。ラインローラ41と第2ベール支持部材42との間には、線材を略U状に湾曲させたベール43が固定される。これらの第1ベール支持部材40、第2ベール支持部材42、ラインローラ41及びベール43によって、ベールアーム44は構成される。ベールアーム44は、
図2に示す糸案内姿勢とそれから反転した糸開放姿勢との間で揺動自在である。
【0033】
ロータ3の連結部30の内部にはロータ3の逆転を禁止・解除するための逆転防止機構50が配置される。逆転防止機構50は、内輪が遊転するローラ型のワンウェイクラッチ51と、ワンウェイクラッチ51を作動状態(逆転禁止状態)と非作動状態(逆転許可状態)とに切り換える切換機構52とを有する。
【0034】
スプール4は、たとえばアルミニウム合金を鍛造成形して得られた大小2段の円筒状の部材である。スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されている。スプール4は、スプール軸15の先端にドラグ機構60を介して装着される。スプール4は、2つの軸受16、17によりスプール軸15に回転自在に装着される。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる筒状の糸巻き胴部4aと、糸巻き胴部4aの前部に一体で形成された前フランジ部4bと、糸巻き胴部4aの後部に一体で形成された大径筒状のスカート部4cと、本発明の第1実施形態による糸係止具70と、を有する。糸巻き胴部4aは、前フランジ部4b及びスカート部4cと一体成形された部材であり、前方側にドラグ機構60が装着される。
【0035】
前フランジ部4bの外周部には、キャスティング時に釣り糸をスムーズに繰り出すための先拡がりのテーパ面を有するスプールリングカラー8が装着される。スプールリングカラー8は、糸巻き胴部4aの前端に装着された固定部材9によって前フランジ部4bに固定される。固定部材9は、糸巻き胴部4aの内周面に螺合する。
【0036】
スカート部4cは、前フランジ部4bと対向して配置される後フランジ部4dと、後フランジ部4dの外周部に一体形成された筒状部4eと、を有する。また、スカート部4cは、シート部材82を有する。スカート部4cは、ロータ3の連結部30を覆うように筒状に糸巻き胴部4aと一体で鍛造成形される。また、スカート部4cの後フランジ部4dと筒状部4eとの境界部分の外周面には、
図3、
図4及び
図5に示すように、糸係止具70を装着可能な平坦な底面4gを有する凹み部4fが形成される。凹み部4fは後部が半円形の銃弾状に凹んで形成される。凹み部4fの後フランジ部4d側の前部には、糸係止具70が通過可能な矩形の第1開口部4hが形成される。第1開口部4hは、後述する装着部72が通過可能であるだけでなく、糸係止具70に係止される釣り糸FL(
図5参照)が係止する位置まで延びて形成される。糸係止具70の後述する係止具本体74と凹み部4fの底面4gとの間にシート部材82が装着される。シート部材82は、釣り糸FLをスムーズに案内して釣り糸が傷付かないようにするためと、釣り糸FLが摩擦でずれにくくするために設けられる。
【0037】
糸係止具70は、
図3、
図4及び
図5に示すように、スプール4に装着可能な装着部72と、凹み部4fの表面との間で釣り糸FLを係止するための係止具本体74と、を有する。装着部72は、係止具本体74と略直角に配置される板状の部分である。装着部72は、第1開口部4hを貫通してスカート部4cの内部からさらに糸巻き胴部4aの後面に延びる。装着部72の延びた先端は、スタッ
ドボルト84によって固定される。糸係止具70は、弾性力を有する合成樹脂製部材である。
【0038】
係止具本体74は、凹み部4fの外周部に面して外方に露出して設けられる。係止具本体74は、角が丸められた概略矢符形状の部分である。係止具本体74は、釣り糸FLを凹み部4fの底面4gに設けられたシート部材82との間で挟持する。係止具本体74は、装着端部76と、導入端部78と、移動規制部80と、を有する。装着端部76は、装着部72が一体で設けられ、スプール4の周方向(
図3紙面上下方向)に第1幅W1を有する端部である。第1幅W1は、所定の幅の一例である。装着端部76は、周方向に沿った第1平坦部76aを有する。
【0039】
導入端部78は、釣り糸FLが導入される端部である。導入端部78は、スプール4の軸方向に略山形に突出した凸部78aと、凸部78aのシート部材82に近い部分に設けられ、釣り糸FLを導入するための傾斜した導入面78b(
図4及び
図5参照)と、を有する。凸部78aの先端部は釣り糸FLの傷付きを防止するために丸められている。導入面78bは、シート部材82に接近するにつれて装着端部76に近づくように傾斜する。
【0040】
移動規制部80は、装着端部76と導入端部78との間に配置され、スプール4の周方向に第1幅W1と異なる幅を有する。第1実施形態では、移動規制部80は、第1幅W1よりも広い第2幅W2を有する張り出し部80aと、第1幅W1よりも狭い第3幅W3を有するくびれ部80bと、を有する。くびれ部80bは、張り出し部80aと装着端部76との間に配置される。張り出し部80aは、第
2幅W
2を規定する最大幅部80cを有している。張り出し部80aはスプール4の周方向の一方向と他方向とに概ね山形に突出して形成される。最大幅部80cは、釣り糸FLの傷付きを防止するために円弧状に丸められている。くびれ部80
bはスプール4の周方向の一方向と他方向とに概ね円弧状に凹んで形成される。くびれ部80bは、円弧状に凹んだ底部80dを有する。この底部80dの幅が第3幅W3を規定する最小幅部であり、底部80dに釣り糸FLが保持される。
【0041】
シート部材82は、例えば摺動性が高いポリアセタール等の合成樹脂製である。シート部材82は、底面4gと概ね同様な外形形状の部材であり、装着部72が通過可能な矩形の第2開口部82aと、係止具本体74の導入端部78側に設けられる矩形の切欠き部82bと、を有する。第2開口部82aは第1開口部4hよりも開口面積が小さく、装着部72が通過可能な最小限の面積を有する。シート部材82の後端部、具体的には、切欠き部82bが形成された後端部は、係止具本体74の導入端部78よりも後側(
図3右側)に配置される。このようにシート部材82に切欠き部82bを設けることによって、係止具本体74と凹み部4fとの間に釣り糸FLが入る空間を確保できる。このため、釣り糸FLを係止具本体74と凹み部4fとの間に導入しやすくなるとともに、凹み部4fの底面4g上を釣糸FLがすべり導入しやすくなっている。また、シート部材82の後端部を導入端部78よりも後側に配置したので、切欠き部82bを形成しても、釣り糸FLを導入端部78から係止具本体74に導入するときにシート部材82と凹み部4fとの間に釣り糸FLが入りにくくなる。さらに、凹み部4fの第1開口部4hを釣り糸FLが係止される位置、すなわち、移動規制部80が設けられる部分まで形成している。このため、第1開口部4hが形成された部分では、シート部材82と係止具本体74とだけで釣り糸FLが挟まれる。これにより、シート部材82の弾性と係止具本体74の弾性とにより釣り糸FLが保持され、釣り糸FLがつぶれにくくなり、釣り糸の収まりが良好になる。
【0042】
このように構成された糸係止具70では、係止具本体74に係止された釣り糸FLが移動規制部80によって導入端部78側に移動しにくくなるので、安価かつ容易な構成で釣り糸が糸係止具70から外れにくくなる。
【0043】
ドラグ機構60は、スプール4とスプール軸15との間に装着され、スプール4にドラグ力を作用させるための機構である。ドラグ機構60は、ドラグ力を手で調整するためのつまみ部61と、つまみ部61によりスプール4側に押圧される複数枚のドラグ板62とを有する。
【0044】
次に、リールの操作及び動作について説明する。
【0045】
釣りを行う際、キャスティングしてリール本体2から釣り糸を繰り出すために、ベールアーム44を反転させてベールアーム44を糸開放姿勢にする。この状態で、釣り竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。すると、釣り糸は仕掛けの重さによって勢いよく前方に放出される。そして、ハンドル1を糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻取方向に回転し、ベールアーム44が図示しないベール反転機構により糸巻取位置に復帰し、釣り糸がスプール4に巻き付けられる。
【0046】
釣りを終わって釣り竿からスピニングリール100を外し、スピニングリール100をしまう時には、釣り糸の先端部を糸係止具70に引っ掛ける。このとき、係止具本体74の導入端部78を指先で持ち上げることによって、係止具本体74と凹み部4fとの間に隙間を形成する。この隙間に釣り糸FLを挟み込むことによって、釣り糸FLが係止具本体74に係止される。このとき、係止具本体74に釣り糸FLが係止される装着端部76と導入端部78との間の釣り糸FLが係止される部分に装着端部76の第1幅W1と異なる移動規制部80を設けたので、係止具本体74に係止された釣り糸FLが移動規制部80によって導入端部78側に移動しにくくなる。これによって、安価かつ容易な構成で釣り糸FLが糸係止具70から外れにくくなる。
【0047】
<第1実施形態の変形例>
図6において、変形例では、糸係止具170の係止具本
体の移動規制部180の形状が上記実施形態と異なる。
【0048】
移動規制部180は、張り出し部180aとくびれ部180bとを有する。張り出し部180aは、第1実施形態と異なり、くびれ部180bから最大幅部180cに連なる部分にスプール4の周方向に沿って形成された第2平坦部180eを有する。また、第2平坦部180eが形成されたため、くびれ部180bの底部180dの形状が第1実施形態と異なり、第2平坦部180eとの間に半径が底部180dよりも小さい円弧が形成される。その他の構成は、上記実施形態と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。このよう構成の変形例で
も上記実施形態と同様な作用効果を奏する。また、変形例では、スプール4の周方向に沿った第2平坦部180eを設けたので、釣り糸FLがさらに導入端部78側に移動しにくくなり、釣り糸FLがさらに外れにくくなる。
【0049】
<第2実施形態>
第1実施形態の糸係止具70では、移動規制部80が張り出し部80aとくびれ部80bとを有しているが、
図7に示す第2実施形態の糸係止具270では、移動規制部280は、第1幅W1よりも広い第2幅W2の最大幅部280cを有する張り出し部280aだけを有している。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、
図7に同じ符号を付して説明を省略する。このような第2実施形態では、くびれ部がないので、第1実施形態の糸係止具70よりも釣り糸は導入端部78側に移動しやすい。しかし、くびれ部がないので、さらに安価かつ容易な構成によって釣り糸FLが外れにくくなる。
【0050】
<第3実施形態>
第1実施形態の糸係止具70では、移動規制部80が張り出し部80aとくびれ部80bとを有しているが、
図8に示す第3実施形態の糸係止具370では、移動規制部380は、第1幅W1よりも狭い第3幅W3を有するくびれ部380bだけを有している。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、
図8に同じ符号を付して説明を省略する。このような第3実施形態では、張り出し部がないので、第1実施形態の糸係止具70よりも釣り糸は導入端部78側に移動しやすい。しかし、張り出し部がないので、さらに安価かつ容易な構成によって釣り糸FLが外れにくくなる。
【0051】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0052】
(a)上記実施形態では、フロントドラグ機構を有するスピニングリールを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、リアドラグ機構を有するスピニングリール、ロータを制動するレバーブレーキ機構を有するスピニングリール等の全てのスピニングリールにも本発明を適用できる。
【0053】
(b)上記実施形態では糸係止具の取付部を糸巻き胴部4aの後面に固定したが、本発明はこれに限定されない。取付部を径方向移動可能かつ径方向内方に付勢された状態
で糸巻き胴部の後面に配置してもよい。
【0054】
(c)上記実施形態では、シート部材82を設けたが、シート部材を設けなくてもよい。また、シート部材を設けた場合、上記実施形態に開示した切欠き部82bを設けなくてもよい。また、開口部を装着部72が通過可能なだけの大きさにし、釣り糸が係止される位置まで設けなくてもよい。
【0055】
(d)上記実施形態では、スカート部4cの筒状部4eがロータ3の連結部30を収納する形状であったが、本発明のスプールはこれに限定されない。糸巻き胴部にロータの連結部が収納され
るスプールにも本発明を適用できる。この場合、スカート部の筒状部のスプール軸方向の長さは短いものになる。
【0056】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0057】
(A)スピニングリール100の糸係止具70は、スピニングリール100のスプール4に装着される。糸係止具70は、スプール4に装着可能な装着部72と、装着部72に設けられ、スプール4の表面との間で釣り糸を係止するため係止具本体74と、を備える。係止具本体74は、装着端部76と導入端部78と移動規制部80と、を有する。装着端部76は、装着部72が設けられ、スプール4の周方向に第1幅W1を有する端部である。導入端部78は、釣り糸FLが導入される端部である。移動規制部80は、装着端部76と導入端部78との間に配置され、第1幅W1と異なる第2幅W2(第3幅W3)を有し、釣り糸FLが導入端部78側に移動するのを規制する。
【0058】
この糸係止具では、導入端部78から導入された釣り糸FLが係止具本体74とスプール4の表面との間に係止される。係止された釣り糸FLは、導入端部78と装着端部76の間に配置される。この導入端部78と装着端部76の間には、装着端部76の第1幅W1と異なる第2幅W2(第3幅W3)を有する移動規制部80が設けられる。このため、係止具本体74に導入された釣り糸FLの移動が導入端部78と装着端部76との間で移動規制部80によって規制され、釣り糸FLが、導入端部78側に移動しにくくなる。ここでは、係止具本体74に係止された釣り糸FLが移動規制部80によって導入端部78側に移動しにくくなるので、安価かつ容易な構成によって釣り糸FLが糸係止具70から外れにくくなる。
【0059】
(B)移動規制部80は、第1幅W1よりも広い第2幅W2を有する張り出し部80aを有してもよい。この場合には、装着端部76と導入端部78との間に幅が広い張り出し部80aが設けられるので、張り出し部80aで釣り糸FLの導入端部78側への移動が規制され、釣り糸FLが外れにくくなる。
【0060】
(C)移動規制部80は、第1幅W1よりも狭い第3幅W3を有するくびれ部80bを有してもよい。この場合には、装着端部76と導入端部78との間に幅が狭いくびれ部80bが設けられるので、くびれ部80bに釣り糸FL
が入り込んで釣り糸FLの導入端部78側への移動が規制され、釣り糸FLが外れにくくなる。
【0061】
(D)移動規制部80は、第1幅W1幅よりも広い第2幅W2を有する張り出し部80a及び第1幅W1よりも狭い第3幅W3を有するくびれ部80bを有してもよい。くびれ部80bは、張り出し部80aと導入端部78との間に配置される。この場合には、くびれ部80bと張り出し部80aとが設けられ、さらに、くびれ部80bが張り出し部80aと導入端部78との間に配置される。このため、くびれ部80bに入り込んで移動が規制された釣り糸FLがさらに張り出し部80aによってさらに移動が規制される。これによって、釣り糸FLの導入端部78側への移動が二段階で規制され、釣り糸FLがさらに外れにくくなる。
【0062】
(E)くびれ部80bは、円弧状に凹んだ底部80dを有してもよい。この場合には、くびれ部80bが円弧状に凹んでいるため、くびれ部80bに釣り糸FLが入り込んでも釣り糸FLが傷付きにくい。
【0063】
(F)装着端部76は、スプール4の周方向に沿った第1平坦部76aを有し、導入端部78は、スプール4の軸方向に沿って突出した凸部78aを有する。この場合に、装着端部76が第1平坦部76aを有し導入端部78が凸部78aを有しているので、導入端部78から釣り糸FLを導入しても、釣り糸FLが傷付きにくい。
【0064】
(G)張り出し部180aは、第2平坦部180eを有してもよい。この場合には、張り出し部180aに第2平坦部180eが設けられるので、釣り糸FLが張り出し部180aに引っ掛かりやすくなり、釣り糸FLがさらに外れにくくなる。
【0065】
(H)第2平坦部180eは、スプール4の周方向に沿って延びてもよい。この場合に、張り出し部180aに設けられる第2平坦部180eが周方向に沿って延びるので、釣り糸FLがさらに引っ掛かりやすくなり、釣り糸FLがさらに外れにくくなる。
【0066】
(I)スピニングリール100のスプール4は、糸巻き胴部4aと、スカート部4cと、糸係止具70と、を備える。糸巻き胴部4aは、外周面に釣り糸を巻き付け可能である。スカート部4cは、糸巻き胴部4aの後端部に設けられ、糸巻き胴部4aよりも大径のものである。糸係止具70は、上記の糸係止具70である。
【0067】
このスピニングリール100のスプール4では、上記の作用効果を奏するスプール4を得ることができる。
【0068】
(J)スピニングリール100は、スカート部4cと糸係止具70との間に配置されるシート部材82をさらに備えてもよい。この場合には、係止具本体74とシート部材82との間に釣り糸FLが配置されるので、シート部材82との摩擦によって釣り糸FLがさらに外れにくくなる。
【0069】
(K)シート部材82は、糸係止具70の導入端部78側に設けられる矩形の切欠き部82bを有してもよい。この場合には、係止具本体74とスカート部4cとの間に釣り糸FLが入る空間を確保できるので、釣り糸FLを係止具本体74とスカート部4cとの間に導入しやすくなる。
(L)シート部材82の後端部は、係止具本体74の導入端部78よりも後側に配置されてもよい。この場合には、スカート部4cに配置されるシート部材82が、釣り糸FLが導入される導入端部78よりも後側に配置される。このため、切欠き部82bを形成しても、釣り糸FLを導入端部78から係止具本体74に導入するときにシート部材82とスカート部4cとの間に釣り糸
FLが入りにくい。
(K)スカート部4cは、少なくとも一部にシート部材82が配置され、糸係止具70を装着するための凹み部4fを有してもよい。この場合、係止具本体
74のスカート部4cの外周面からの突出量が小さくなり、糸ふけした釣り糸が係止具本体74に引っ掛かりにくくなる。
【0070】
(K)凹み部4fは、糸係止具70の装着部72が通過可能な第1開口部4hを有する。この場合に、装着部72をスカート
部4c内で糸巻き胴部4aに装着できるので、係止具本体74がスカート部4cに確実に装着できるとともに、スカート部4cの外周面からの突出量が小さくなり、糸ふけした釣り糸が係止具本体74に引っ掛かりにくくなる。