(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374669
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】高い熱伝達能力を有する不凍冷却液
(51)【国際特許分類】
C09K 5/10 20060101AFI20180806BHJP
C09K 5/20 20060101ALI20180806BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
C09K5/10 F
C09K5/20
F24F5/00 101Z
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-34923(P2014-34923)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-167112(P2014-167112A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2017年2月6日
(31)【優先権主張番号】1351696
(32)【優先日】2013年2月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514044189
【氏名又は名称】ブル エスエーエス
【氏名又は名称原語表記】BULL SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ボナン,ジャン−クリストフ
【審査官】
吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−513552(JP,A)
【文献】
特開昭60−243186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金または銀の存在する環境下で使用することができる熱伝達能力に優れた不凍冷却液であって、以下を含有することを特徴とする不凍冷却液。
− 40%のモノプロピレングリコール
− 5%のトリアゾール
− 1%以下の殺生物剤(biocides)
− 100%になるまで追加される水
【請求項2】
前記トリアゾールは、ベンゾトリアゾールであることを特徴とする請求項1に記載の不凍冷却液。
【請求項3】
前記殺生物剤は、第4級アンモニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の不凍冷却液。
【請求項4】
前記100%になるまで追加される水は、15マイクロジーメンス/cm以下の伝導度を有する純水であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の不凍冷却液。
【請求項5】
前記トリアゾールは、腐食防止剤として作用することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の不凍冷却液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却に関し、より詳細には電子部品の冷却に関する。さらに詳細には、本発明は閉路において相変化を伴わない冷却液による冷却に関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は高電圧が存在するとともに金または銀のような特別な金属が用いられる環境下における電子部品の冷却に関する。これらの金属は例示的に述べられている。
【0003】
本明細書において高電圧とは約50Vのオーダの電圧をいう。特に、これは集約的なコンピュータセンター環境、およびより一般的にはサーバクラスターおよびコンピュータセンターに関する。
【背景技術】
【0004】
本発明は、次の特徴を有する冷却液に関する。
− 高い熱伝達能力を有する水溶液
− -15℃で凍らない
− 低粘度および低密度である
− 閉路内で相変化なく使用することができる
− 次の金属を腐食させない:
− 金
− 銀
− 銅
− 鉄
− アルミニウム
− ステンレススチール
− 真ちゅう(黄銅)
− ニッケル
− 次の材料を劣化させない:
− PTFE:ポリテトラフルオロエチレン
(Polytetrafluoroethylene)
− EPDM:エチレン−プロピレン−ジエンモノマー
(ethylene-propylene-diene monomer)
− NBR:ブタジエン−アクリロニトリル
(butadiene-acrylonitrile)
− PU:ポリウレタン(polyurethane)
− POM:ポリオキシメチレン(polyoxymethylene)
− 人体や環境にとって危険ではない
【0005】
少なくとも2週間という長期にわたって、金めっきまたは銀めっきで覆われた導体を電圧54ボルトを超える電流が通過する際における接触によって危険な反応を引き起こしてはならないこと。
【0006】
これらの特徴すべてにより、本発明に係るこの液体は、コンピュータセンター環境下での使用、および液冷却閉回路を通ってコンピュータそれ自体の内側での使用に適切なものとなる。
【0007】
当該技術分野においては、2つのタイプの冷却閉回路を、下記の相変化を伴うものと組み合わされたり、下記の相変化を伴わないものと組み合わされたりして全ての分野に用いることができる。
− 相変化を伴うもの:
− ヒートパイプのような、圧縮器を有さず、耐用期間に渡って密閉されているもので、本発明にとっては重要ではないもの
− 空調やヒートポンプのような、圧縮器を有して取り外し可能なもの
− 相変化を伴わないもの:通常は熱交換器を通して熱源と熱が放散される場所との間を伝搬される熱および液体を送るために、単一のポンプで十分である
【0008】
次の3群の不凍液が相変化を伴わずに回路内で使用されている。
− 塩水(種々の塩の水溶液):塩水は要求される特性とは異なり、54ボルトの高電圧における電流と接触しているとき、それらが危険な反応を引き起こす可能性を有している。水分の蒸発後、塩は電気を伝導し、炎やしぶき(splashes)を伴う放熱反応を引き起こす。
− 非水溶液:非水溶液は、たぶん全ての要求される特性を有している。特に、それらは誘電体であり、従ってそれらは高電圧に接触してもいかなる危険な反応も引き起こさない。しかし、それらの熱伝達能力は不十分であり、このため、冷却システムはより大きくならざるを得ず、非経済的である。
− グリコール(glycols)および同様な製品の水溶液:
− MPG(モノプロピレングリコール):MPGは、それが金メッキまたは銀メッキの導体と接触したとき、および高圧で電流を流したときには危険な放熱反応を引き起こす。グリコールの電気分解は炎を引き起こすが過剰な電流は生じない。そのため電気回路が切断されないので火災のリスクが大きい。
− MEG(モノエチレングリコール):人体に有害である。
− PEG(ポリエチレングリコール):MPGのように作用する。
− グリセリンまたはグリセロール:ひんぱんには使用されない。MPGのように作用する。
【0009】
要約すればいくつかの非水溶液があるが、どれ一つとしてすべての要求される特性を提供することができない。全体的にはそれらは熱伝達能力が低く、高価である。これにより、電子ボード(電子基板)、電子部品、および電流に接近している機械のための冷却システムは、より大きくなりより高価になる。
【0010】
このタイプの液体の開発は長期間を有している。材料の互換性の検証は冗長である。
【発明の概要】
【0011】
発明の開示
本発明は、上記に示した従来技術の欠点の全て、またはいくつかを克服すること、および、特に高い熱伝達能力を有し高電圧で電気的に中性であり、それが使用される環境においても一般環境においても、人体に有害ではない冷却液の作製手段を開示することを目的としている。
【0012】
これを達成するために、本発明の一つの観点は、高い熱伝達能力を有する不凍冷却液に関連し、以下から構成されることを特徴とする。
− 少なくとも33%のモノプロピレングリコール
− 少なくとも2%のトリアゾール
− 1%以下の殺生物剤(biocides)
− 100%になるまで追加される水
【0013】
前項で述べている主要な特徴は別として、本発明による方法/装置は以下の、個別にまたは技術的に可能な組み合わせから選択される1または複数の特徴を有してもよい。
− 冷却液は以下を含有する:
− 40%のモノプロピレングリコール
− 5%のトリアゾール
− 1%以下の殺生物剤(biocides)
− 100%になるまで追加される水
− 前記トリアゾールはベンゾトリアゾールである
− 前記殺生物剤は、第4級アンモニウム(quaternary ammoniums)である
− 前記水は低い導電率を有する純水である
− 純水の前記導電率は、15マイクロジーメンス(MicroSiemens)/cm以下である
− ベンゾトリアゾールは、腐食防止剤のように作用する
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、次の成分を適切な比率で混合して作製することにより構成される。
− MPG(モノプロピレングリコール)
− BZT(ベンゾトリアゾール)
− 殺生物剤
− 純水
【0015】
BZT(ベンゾトリアゾール)は、腐食を抑制する冷却液としてすでに存在している。なぜなら、それは銅の腐食防止に作用することが知られているからである。しかし、本発明において有用であるのはこの観点に限られない。BZTは、また難燃剤としても知られているが、このことは重要な観点ではない。
【0016】
本発明による適切な比率によれば、BZTは、湿った導体および湿った製品上におけるMPGの水溶液の電気分解に起因する金または銀の間の反応を抑制する。これはもはや環境に対して危険ではなく、非常に安定している。加えて、本発明による比率によれば、BZTは、少なくとも銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、真ちゅう(黄銅)、およびニッケルの腐食を防止する。
【0017】
BZTを含んだ冷却液が存在しているが、BZTの含有量は約0.5%である。この比率で試験を行ったが、54Vの電圧の存在下では危険な反応を導いた。過電流を引き起こすことがなく、従って電源回路の切断保護がなく、炎が起こりうる。
【0018】
本発明による冷却液のBZTに関連する特徴は、BZTの濃度を2%にして使用することで得られる。
【0019】
BZTの含有量5%は、他のいかなる腐食防止剤の必要性をも排除する。なぜならば、それは、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、真ちゅう、およびニッケルの腐食を防止するからである。これらの金属は、最も頻繁に電子冷却回路および他の分野に見出されている。
【0020】
この5%の比率は自然ではない。それは、水だけにおけるBZTの希釈しきい値(2%)を超えている。本発明による濃度でのMPGの存在がこの高い希釈を可能にする。最終的な製品は安定しており沈殿しない。この効果は、MPGの濃度が33%から観察されている。他の要求される特徴を有する最適条件はMPGの濃度40%で達成されている。MPGはまた不凍液として作用する。従って、本発明による濃度でのMPGおよびBZTの混合物の使用は、高電圧における環境下において前述しているMPGの公知の不利益を解消することができる。
【0021】
純水の使用は、得られる液体の導電率を低減することができる。好ましくは、15マイクロジーメンス(MicroSiemens)/cm以下の導電率を有する水が使用される。
【0022】
殺生物剤の投与は従来通りである。1例は、第4級アンモニウム族を有する殺生物剤である。それらの1つまたは複数は使用されている。言うまでもなく、他の殺生物剤も使用することができる。
【0023】
本発明をベンゾトリアゾールによって説明してきている。しかし、次の属のトリアゾールも代わりに使用することができるが、このリストは例示的なものである。
− ビトリアゾール(bi-triazole)
− アミノトリアゾール(amino-triazole)または
− トリルトリアゾール(Tolyltriazole)
【0024】
次のベンゾトリアゾール族の1つが使用されるが、このリストは例示的である。
− メチル−1H−ベンゾトリアゾール(methyl-1H-benzotriazole)
− ジメチル−1H−ベンゾトリアゾー(dimethyl-1H-benzotriazole)
− クロロ−1H−ベンゾトリアゾール(chloro-1H-benzotriazole)
− カリボキシベンゾトリアゾール(carboxybenzotriazole)など