特許第6374675号(P6374675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374675
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】電子デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20180806BHJP
   H03H 9/25 20060101ALI20180806BHJP
   H03H 3/08 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   H01L23/02 J
   H01L23/02 C
   H03H9/25 A
   H03H3/08
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-43315(P2014-43315)
(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公開番号】特開2015-170668(P2015-170668A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年1月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】小田 康之
(72)【発明者】
【氏名】森 康剛
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−203149(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/140449(WO,A1)
【文献】 特開2011−009542(JP,A)
【文献】 特開2003−224223(JP,A)
【文献】 特開2006−196799(JP,A)
【文献】 特開2002−319841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02−10
H03H 9/00−76
H03H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、
前記実装基板上に実装されたデバイスチップと、
前記デバイスチップ上に少なくとも位置するめっき膜からなる金属リッドと、前記デバイスチップを囲み且つ前記金属リッドに接して前記実装基板上に設けられた半田と、を含み、前記デバイスチップを封止する封止部と、を備え、
前記封止部に含まれる前記金属リッドは、前記デバイスチップ上から前記半田上に平坦形状で延在し、側面が前記半田の側面よりも前記デバイスチップ側に位置することを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記金属リッドは、コバールよりも硬度が高い材料であることを特徴とする請求項記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記封止部に含まれる前記半田は、前記デバイスチップの側面に接していることを特徴とする請求項1または2記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記デバイスチップは、弾性波デバイスチップであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の電子デバイス。
【請求項5】
母型の主面に金属リッドと半田とをめっき法で形成した後、前記金属リッドと前記半田とを一体で前記母型から剥がして、前記金属リッドと前記半田とが積層され、前記半田上に互いに間隔を開けて複数の前記金属リッドが設けられた積層体を形成する工程と、
実装基板上に複数のデバイスチップを実装する工程と、
前記実装基板上に実装された前記複数のデバイスチップ上に前記半田が前記複数のデバイスチップ側に位置するように前記積層体を配置した後、前記半田が溶融した状態で前記金属リッドを前記複数のデバイスチップ側に押圧して、前記金属リッドと前記半田とを含む封止部で前記複数のデバイスチップを封止する工程と、
前記複数のデバイスチップを封止した後、前記複数のデバイスチップ間で前記封止部と前記実装基板とをダイシングによって切断して、前記複数のデバイスチップを個片化する工程と、を備え、
前記複数のデバイスチップを封止する工程は、前記複数のデバイスチップ上に前記金属リッドが位置し、前記複数のデバイスチップ間に前記金属リッドのない部分が位置するように前記積層体を配置した後、前記半田が溶融した状態で前記金属リッドを前記複数のデバイスチップ側に押圧して、前記複数のデバイスチップを前記封止部で封止し、
前記複数のデバイスチップを個片化する工程は、前記複数のデバイスチップ間であって、前記金属リッドのない部分で前記封止部と前記実装基板とを切断して、前記複数のデバイスチップを個片化することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
母型の主面に金属リッドと半田とをめっき法で形成した後、前記金属リッドと前記半田とを一体で前記母型から剥がして、前記金属リッドと前記半田とが積層され、前記半田上に凸部と凹部とを有する前記金属リッドが設けられた積層体を形成する工程と、
実装基板上に複数のデバイスチップを実装する工程と、
前記実装基板上に実装された前記複数のデバイスチップ上に前記半田が前記複数のデバイスチップ側に位置するように前記積層体を配置した後、前記半田が溶融した状態で前記金属リッドを前記複数のデバイスチップ側に押圧して、前記金属リッドと前記半田とを含む封止部で前記複数のデバイスチップを封止する工程と、
前記複数のデバイスチップを封止した後、前記複数のデバイスチップ間で前記封止部と前記実装基板とをダイシングによって切断して、前記複数のデバイスチップを個片化する工程と、を備え、
前記複数のデバイスチップを封止する工程は、前記複数のデバイスチップ上に前記金属リッドの前記凸部が位置し、前記複数のデバイスチップ間に前記金属リッドの前記凹部が位置するように前記積層体を配置した後、前記半田が溶融した状態で前記金属リッドを前記複数のデバイスチップ側に押圧して、前記複数のデバイスチップを前記封止部で封止し、
前記複数のデバイスチップを個片化する工程は、前記複数のデバイスチップ間であって、前記金属リッドの前記凹部で前記封止部と前記実装基板とを切断して、前記複数のデバイスチップを個片化することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス及びその製造方法に関し、例えばデバイスチップが半田と金属リッドとを含む封止部で封止された電子デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスの小型化、低背化が要求されている。このような要求に対して、実装基板上にデバイスチップを実装し、デバイスチップを半田と金属リッドとを含む封止部で封止した電子デバイスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−272352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デバイスチップが半田と金属リッドとを含む封止部で封止された電子デバイスは、例えば特許文献1のように、デバイスチップ上に金属リッドが配置される。したがって、電子デバイスの低背化のためには、金属リッドを薄くすることが望ましい。しかしながら、従来、金属リッドには圧延材を使用しているため、薄くすることに限界があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、低背化が可能な電子デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、実装基板と、前記実装基板上に実装されたデバイスチップと、前記デバイスチップ上に少なくとも位置するめっき膜からなる金属リッドと、前記デバイスチップを囲み且つ前記金属リッドに接して前記実装基板上に設けられた半田と、を含み、前記デバイスチップを封止する封止部と、を備え、前記封止部に含まれる前記金属リッドは、前記デバイスチップ上から前記半田上に平坦形状で延在し、側面が前記半田の側面よりも前記デバイスチップ側に位置することを特徴とする電子デバイスである。
【0009】
上記構成において、前記金属リッドは、コバールよりも硬度が高い材料である構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記封止部に含まれる前記半田は、前記デバイスチップの側面に接している構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記デバイスチップは、弾性波デバイスチップである構成とすることができる。
【0014】
本発明は、母型の主面に金属リッドと半田とをめっき法で形成した後、前記金属リッドと前記半田とを一体で前記母型から剥がして、前記金属リッドと前記半田とが積層され、前記半田上に互いに間隔を開けて複数の前記金属リッドが設けられた積層体を形成する工程と、実装基板上に複数のデバイスチップを実装する工程と、前記実装基板上に実装された前記複数のデバイスチップ上に前記半田が前記複数のデバイスチップ側に位置するように前記積層体を配置した後、前記半田が溶融した状態で前記金属リッドを前記複数のデバイスチップ側に押圧して、前記金属リッドと前記半田とを含む封止部で前記複数のデバイスチップを封止する工程と、前記複数のデバイスチップを封止した後、前記複数のデバイスチップ間で前記封止部と前記実装基板とをダイシングによって切断して、前記複数のデバイスチップを個片化する工程と、を備え、前記複数のデバイスチップを封止する工程は、前記複数のデバイスチップ上に前記金属リッドが位置し、前記複数のデバイスチップ間に前記金属リッドのない部分が位置するように前記積層体を配置した後、前記半田が溶融した状態で前記金属リッドを前記複数のデバイスチップ側に押圧して、前記複数のデバイスチップを前記封止部で封止し、前記複数のデバイスチップを個片化する工程は、前記複数のデバイスチップ間であって、前記金属リッドのない部分で前記封止部と前記実装基板とを切断して、前記複数のデバイスチップを個片化することを特徴とする電子デバイスの製造方法である。
【0015】
本発明は、母型の主面に金属リッドと半田とをめっき法で形成した後、前記金属リッドと前記半田とを一体で前記母型から剥がして、前記金属リッドと前記半田とが積層され、前記半田上に凸部と凹部とを有する前記金属リッドが設けられた積層体を形成する工程と、実装基板上に複数のデバイスチップを実装する工程と、前記実装基板上に実装された前記複数のデバイスチップ上に前記半田が前記複数のデバイスチップ側に位置するように前記積層体を配置した後、前記半田が溶融した状態で前記金属リッドを前記複数のデバイスチップ側に押圧して、前記金属リッドと前記半田とを含む封止部で前記複数のデバイスチップを封止する工程と、前記複数のデバイスチップを封止した後、前記複数のデバイスチップ間で前記封止部と前記実装基板とをダイシングによって切断して、前記複数のデバイスチップを個片化する工程と、を備え、前記複数のデバイスチップを封止する工程は、前記複数のデバイスチップ上に前記金属リッドの前記凸部が位置し、前記複数のデバイスチップ間に前記金属リッドの前記凹部が位置するように前記積層体を配置した後、前記半田が溶融した状態で前記金属リッドを前記複数のデバイスチップ側に押圧して、前記複数のデバイスチップを前記封止部で封止し、前記複数のデバイスチップを個片化する工程は、前記複数のデバイスチップ間であって、前記金属リッドの前記凹部で前記封止部と前記実装基板とを切断して、前記複数のデバイスチップを個片化することを特徴とする電子デバイスの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子デバイスを低背化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例1に係る電子デバイスを示す断面図である。
図2図2(a)から図2(c)は、実施例1に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施例1に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
図4図4(a)から図4(d)は、実施例1に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その3)である。
図5図5(a)から図5(c)は、実施例1に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その4)である。
図6図6は、バリを説明するための断面図である。
図7図7は、実施例2に係る電子デバイスを示す断面図である。
図8図8(a)から図8(f)は、実施例2に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
図9図9(a)から図9(c)は、実施例2に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
図10図10は、積層体を示す上面図である。
図11図11は、実施例3に係る電子デバイスを示す断面図である。
図12図12(a)から図12(d)は、実施例3に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
図13図13(a)から図13(d)は、実施例3に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
図14図14は、実施例4に係る電子デバイスを示す断面図である。
図15図15(a)から図15(d)は、実施例4に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
図16図16(a)から図16(d)は、実施例4に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、実施例1に係る電子デバイスを示す断面図である。図1のように、実施例1の電子デバイス100は、セラミック等の絶縁体からなる実装基板10の平坦上面に、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)チップ12がバンプ14によってフリップチップ実装されている。SAWチップ12は、圧電基板16と、圧電基板16の実装基板10と向かい合う側の面に設けられたIDT(Interdigital Transducer)18と、を含む。圧電基板16は、例えばタンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウム等の圧電材料からなる。IDT18は、例えば銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等の金属からなる。バンプ14は、例えば金(Au)又は半田等の金属からなる。
【0020】
実装基板10の上面とSAWチップ12との間に空隙20が形成されている。IDT18は、振動が抑制されないように空隙20に露出している。また、バンプ14も空隙20に露出している。SAWチップ12の高さH1は、例えば150μm程度である。空隙20の高さH2は、例えば15μm程度である。
【0021】
実装基板10は、内部に内部配線22が設けられた多層配線基板である。内部配線22によって、実装基板10の上面に形成された接続端子24と下面に形成された外部端子26とが電気的に接続されている。バンプ14は接続端子24に接合されているため、SAWチップ12は、外部端子26に電気的に接続されている。内部配線22、接続端子24、及び外部端子26は、例えば金(Au)等の金属からなる。
【0022】
実装基板10の上面であって、SAWチップ12の外側に、金属パターン28が設けられている。金属パターン28は、SAWチップ12を囲んで設けられている。金属パターン28の上面に接合すると共にSAWチップ12の側面に接合し、SAWチップ12を囲んで設けられた半田30と、SAWチップ12上から半田30上に延在して設けられた平坦形状をしためっきからなる金属リッド32と、を含む封止部34によって、SAWチップ12は封止されている。半田30は、SAWチップ12の側面の少なくとも上端に接合している。半田30と金属リッド32とは互いに接していて、半田30の側面と金属リッド32の側面とは同一面を形成している。金属リッド32は例えばSAWチップ12の上面に接していて、金属リッド32とSAWチップ12との間には空隙は形成されていない。なお、図1では、金属パターン28は、外部端子26に電気的に接続されていないが、グランドに接続される外部端子26に内部配線22を介して電気的に接続されていてもよい。これにより、封止部34をグランド電位とすることができ、電気特性の向上を図ることができる。封止部34を覆って、例えばニッケル(Ni)めっき膜等の金属膜36が設けられている。
【0023】
金属リッド32は、例えばニッケル(Ni)−鉄(Fe)合金めっきからなる。半田30は、例えば錫−銀半田(SnAg半田)である。金属パターン28は、半田に対して濡れ性の良好な金属からなる場合が好ましく、例えば金(Au)からなる場合が好ましい。SAWチップ12の側面と半田30の側面との間隔Lは、例えば130μm程度である。金属リッド32の厚さTは、例えば1μm〜15μm程度であるが、製造工程におけるダイシングでの捲れを抑制する点から、10μm〜15μm程度である場合が好ましい。
【0024】
次に、実施例1に係る電子デバイスの製造方法について説明する。図2(a)から図5(c)は、実施例1に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図である。図2(a)のように、第1の洗浄層42内の例えば塩酸水溶液、硫酸水溶液、硝酸水溶液等からなる洗浄液40に、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属板からなる母型44を浸して、母型44を洗浄する。母型44の洗浄は、例えば母型44の中心を軸に回転させて行う。これにより、母型44に付着していた脂分等を取り除く。母型44は、例えば円板形状をしていて、直径は20cm〜60cm程度であり、厚さは1mm程度である。
【0025】
図2(b)のように、母型44の洗浄が終了した後、母型44を第1のめっき槽46内に移す。第1のめっき槽46内は、金属リッド32の形成に使用する第1のめっき液48で満たされている。金属リッド32がNi−Fe合金めっきからなる場合、第1のめっき液48は、例えば硫酸ニッケルと塩化ニッケルと硫酸第一鉄とを含む混合液である。例えばNi、Fe、又はNi−Feからなる陽極50と陰極としての母型44との間に電圧を印加して、母型44の平坦主面に、例えばNi−Fe合金めっきからなる金属リッド32を形成する。
【0026】
図2(c)のように、金属リッド32の形成が終了した後、母型44を第2のめっき槽52内に移す。第2のめっき槽52内は、半田30の形成に使用する第2のめっき液54で満たされている。半田30がSnAg半田からなる場合、第2のめっき液54は、例えばSnAgめっき液である。例えばSnからなる陽極56と陰極としての母型44との間に電圧を印加して、金属リッド32の平坦主面に、例えばSnAg半田からなる半田30を形成する。
【0027】
図3(a)のように、半田30の形成が終了した後、母型44を第2の洗浄槽60内に移す。第2の洗浄槽60内は、純水62で満たされている。母型44とその主面に形成された金属リッド32及び半田30とを、純水62で洗浄し、その後、乾燥させる。
【0028】
図3(b)のように、母型44から金属リッド32と半田30とを一体で剥がして、半田30と金属リッド32とが積層された積層体58を得る。この場合において、母型44がステンレス鋼からなり、金属リッド32がNi−Fe合金めっきからなる場合は、母型44と金属リッド32との密着性があまりよくないため、金属リッド32を母型44から容易に剥がすことができる。このように、母型44には、金属リッド32に対して密着性のあまり良くない金属材料を用いることが望ましい。また、金属リッド32は、半田30よりも高い融点を有する。その後、積層体58を、例えば型で抜いて或いはダイシングによる切断によって、所望の大きさにする。
【0029】
図2(a)から図3(b)で説明したように、積層体58は、母型44の主面に金属リッド32と半田30とを電解めっき法で形成し、母型44から金属リッド32と半田30と一体で剥がすことで得られる。即ち、積層体58は、電鋳によって形成される。
【0030】
図4(a)のように、予め準備しておいた、内部配線22、接続端子24、外部端子26、及び金属パターン28が形成された実装基板10の平坦上面に、複数のSAWチップ12をバンプ14によってフリップチップ実装する。実装基板10の上面とSAWチップ12との間には空隙20が形成される。
【0031】
図4(b)のように、複数のSAWチップ12上に、図2(a)から図3(b)で形成した積層体58を、半田30がSAWチップ12側となるように配置する。図4(c)のように、積層体58を加熱して半田30が溶融した状態とし、この状態で金属リッド32をSAWチップ12側に押圧する。これにより、複数のSAWチップ12間の間隙に半田30が充填される。半田30は、実装基板10上に形成された金属パターン28上を濡れ広がった後に固化して、SAWチップ12の側面と金属パターン28の上面とに接合する。また、複数のSAWチップ12上から半田30上にかけて金属リッド32が配置される。金属リッド32は、例えばSAWチップ12の上面に接しているが、金属リッド32とSAWチップ12との間に半田30が残存していてもよい。これにより、複数のSAWチップ12は、半田30と金属リッド32とを含む封止部34によって、空隙20を保ったまま封止される。複数のSAWチップ12を封止部34で封止した後、複数のSAWチップ12それぞれを識別するための番号や記号等を封止部34の上面に捺印してもよい。
【0032】
図4(d)のように、実装基板10の下面に設けられた外部端子26を保護するために、実装基板10の下面にレジスト膜64を形成する。レジスト膜64の下面に、後述するダイシングのためのダイシングテープ66を貼り付ける。
【0033】
図5(a)のように、複数のSAWチップ12間で、封止部34、実装基板10、及びレジスト膜64を、ダイシングブレード68を用いたダイシングによって切断し、複数のSAWチップ12を個片化して、複数のデバイス70とする。複数のSAWチップ12を確実に個片化するために、ダイシングテープ66の一部まで切断することが好ましい。
【0034】
図5(b)のように、ダイシングテープ66を除去した後、複数のデバイス70それぞれをバレル(不図示)に入れた後、バレルをめっき槽72に投入してバレルめっきを施す。これにより、封止部34を覆う金属膜36が形成される。図5(c)のように、レジスト膜64を除去することで、実施例1の電子デバイス100を形成することができる。
【0035】
実施例1によれば、図1のように、SAWチップ12を封止する封止部34は、SAWチップ12上に少なくとも位置するめっきからなる金属リッド32と、SAWチップ12を囲み且つ金属リッド32に接して実装基板10上に設けられた半田30と、を含む。金属リッド32がめっきからなるため、例えば金属リッドが圧延材からなる場合に比べて、金属リッド32の厚さを薄くすることができる。例えば、金属リッドが圧延材からなる場合では、金属リッドの厚さを20μm程度よりも薄くすることは難しかったが、めっきからなる金属リッド32では、1μm以上の任意の厚さにすることができる。このように、金属リッド32の厚さを薄くできるため、電子デバイス100を低背化することができる。また、金属リッド32がめっきからなる場合は、めっき条件によって、金属リッド32の物性(例えば線熱膨張係数)を容易に制御することができる。
【0036】
実施例1の電子デバイス100は、図2(a)から図5(c)で説明したように、以下の製造工程を含んで形成することができる。母型44の主面に金属リッド32と半田30とをめっき法で形成した後、金属リッド32と半田30とを一体で母型44から剥がして、金属リッド32と半田30とが積層された積層体58を形成する(図2(a)から図3(b))。実装基板10上にSAWチップ12を実装する(図4(a))。実装基板10上に実装されたSAWチップ12上に半田30がSAWチップ12側に位置するように積層体58を配置した後、半田30が溶融した状態で金属リッド32をSAWチップ12側に押圧して、金属リッド32と半田30とを含む封止部34でSAWチップ12を封止する(図4(b)及び図4(c))。この製造方法によれば、SAWチップ12上に位置する金属リッド32がめっきからなるため、電子デバイス100を低背化することができる。また、金属リッド32と半田30とをめっき法で形成するため、めっきを連続して行うことが可能となり、製造工程を簡便にすることができる。
【0037】
実施例1の電子デバイス100は、製造効率の観点から、多面取りプロセスによって製造することが好ましい。即ち、図4(a)のように、実装基板10上に複数のSAWチップ12を実装する。図4(b)及び図4(c)のように、複数のSAWチップ12上に積層体58を配置した後、半田30が溶融した状態で金属リッド32を複数のSAWチップ12側に押圧して、複数のSAWチップ12を封止部34で封止する。そして、図5(a)のように、複数のSAWチップ12間で封止部34と実装基板10とをダイシングによって切断して、複数のSAWチップ12を個片化することが好ましい。しかしながら、この場合、封止部34をダイシングによって切断することで、金属リッド32の上面にバリが発生する。
【0038】
図6は、バリを説明するための断面図である。図6のように、封止部34をダイシングによって切断することで、金属リッド32の上面内の周辺部分(ダイシングの切断面)にバリ74が発生する。バリ74は、電子デバイスの低背化の妨げとなるため、小さいほうが好ましい。従来では、金属リッドを圧延によって形成していたため、金属リッドには比較的柔らかい(硬度が小さい)金属、例えばコバールが用いられていた。金属材料の硬度と伸びとは一般的に反比例の関係にあるため、従来の金属リッドでは大きなバリが発生していた。一方、実施例1では、金属リッド32がめっきからなるため、比較的硬い(硬度が大きい)金属、例えばNi−Fe合金を用いることができる。このため、金属リッド32の上面に発生するバリを小さくすることができる。例えば、厚さ20μm程度のコバールからなる金属リッドを用いた場合では20μm〜30μm程度の高さのバリが発生していたのに対し、厚さ10μm〜15μm程度のNi−Fe合金めっきからなる金属リッド32を用いた実施例1では、バリの高さを5μm程度に抑えることができた。このように、実施例1では、金属リッド32をめっき法で形成するため、金属リッド32を硬度の高い材料(例えば、コバールよりも硬度が高い材料)で形成することができ、その結果、金属リッド32の上面に発生するバリ74が小さくなり、電子デバイス100を低背化することができる。
【実施例2】
【0039】
図7は、実施例2に係る電子デバイスを示す断面図である。図7のように、実施例2の電子デバイス200では、SAWチップ12は、半田30aとめっきからなる金属リッド32aとを含む封止部34aによって封止されている。半田30aは、金属パターン28の上面とSAWチップ12の側面とに接合し、SAWチップ12を囲んで設けられている。金属リッド32aは、SAWチップ12上から半田30a上に平坦形状で延在し、側面76が半田30aの側面78よりもSAWチップ12側に位置して設けられている。金属リッド32aは、めっきからなるために様々な形状にすることが容易にできる。したがって、金属リッド32aの側面76が半田30aの側面78よりもSAWチップ12側に位置する構造を容易に形成することができる。半田30aと金属リッド32aとは互いに接しており、金属リッド32aの上面と半田30aのうち金属リッド32aよりも外側に位置する部分の上面とは、例えば同一面を形成している。SAWチップ12の側面と半田30aの側面78との間隔L1は、例えば130μm程度である。金属リッド32aの側面76と半田30aの側面78との間隔L2は、例えば50μm程度である。その他の構成は、実施例1の図1と同じであるため説明を省略する。
【0040】
次に、実施例2に係る電子デバイスの製造方法について説明する。図8(a)から図9(c)は、実施例2に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図である。図8(a)のように、母型44を準備し、実施例1の図2(a)で説明した洗浄方法によって、母型44を洗浄する。
【0041】
図8(b)のように、母型44の平坦主面に、縦・横に延在した格子状のレジストパターン80を形成する。レジストパターン80の厚さは、例えば15μm以上であり、金属リッド32aの厚さ以上であることが好ましい。図8(c)のように、母型44のレジストパターン80が形成された主面に、実施例1の図2(b)で説明しためっき方法によって、複数の金属リッド32aを形成する。複数の金属リッド32aは、格子状のレジストパターン80間に、互いに間隔を空けて形成される。
【0042】
図8(d)のように、レジストパターン80を除去する。図8(e)のように、母型44の金属リッド32aが形成された主面に、実施例1の図2(c)で説明しためっき方法によって、半田30aを形成する。半田30aは、レジストパターン80が除去された領域、即ち複数の金属リッド32a間の領域に埋め込まれ、金属リッド32aを覆って形成される。
【0043】
半田30aを形成した後、実施例1の図3(a)で説明した洗浄方法によって、母型44等を洗浄する。その後、図8(f)のように、母型44から金属リッド32aと半田30aとを一体で剥がして積層体58aを得る。これにより、半田30a上に互いに間隔を空けて複数の金属リッド32aが設けられた構造の積層体58aが得られる。複数の金属リッド32aは半田30aの上面に形成された凹凸の凹部に埋め込まれていて、複数の金属リッド32aの上面と半田30aの凸部の上面とは同一面を形成している。この後、積層体58aを所望の大きさにカットする。図10は、積層体58aを示す上面図である。図10のように、積層体58aは、半田30a上に互いに間隔を空けてアレイ状に配置された複数の金属リッド32aが設けられた構造をしている。金属リッド32aの幅Wは、例えば1.5mm程度であり、複数の金属リッド32a間の間隔Lは、例えば250μm程度である。
【0044】
図9(a)のように、実装基板10の平坦上面に複数のSAWチップ12を実装した後、複数のSAWチップ12上に、図8(a)から図8(f)で形成した積層体58aを配置する。この際、金属リッド32aが複数のSAWチップ12上に位置し、複数のSAWチップ12間に金属リッド32aのない部分82が位置するように、積層体58aを配置する。図9(b)のように、積層体58aを加熱して半田30aが溶融した状態とし、この状態で金属リッド32aを複数のSAWチップ12側に押圧して、複数のSAWチップ12を半田30aと金属リッド32aとを含む封止部34aで封止する。
【0045】
図9(c)のように、実装基板10の下面に外部端子26を保護するためのレジスト膜64を形成する。レジスト膜64の下面にダイシングテープ66を貼り付ける。その後、複数のSAWチップ12間であって、金属リッド32aのない部分82で、封止部34a、実装基板10、及びレジスト膜64を、ダイシングブレード68を用いたダイシングによって切断して、複数のSAWチップ12を個片化する。その後、実施例1の図5(b)及び図5(c)で説明した工程を行うことで、実施例2の電子デバイス200を形成することができる。
【0046】
実施例2によれば、図7のように、封止部34aに含まれる金属リッド32aは、SAWチップ12上から半田30a上に平坦形状で延在し、側面76が半田30aの側面78よりもSAWチップ12側に位置している。実施例1では、図6で説明したように、金属リッド32の上面内の周辺部分(ダイシングの切断面)にバリ74が発生する。しかしながら、実施例2では、金属リッド32aの側面76が半田30aの側面78よりもSAWチップ12側に位置しているため、ダイシングの切断領域に金属リッド32aが存在しない。このため、ダイシングによる切断でのバリの発生を抑制でき、電子デバイス200を低背化することができる。
【0047】
実施例2の電子デバイス200は、図8(a)から図9(c)で説明したように、以下の製造工程を含んで形成することができる。半田30a上に互いに間隔を空けて複数の金属リッド32aが設けられた積層体58aを形成する(図8(f)及び図10)。複数のSAWチップ12上に金属リッド32aが位置し、複数のSAWチップ12間に金属リッド32aのない部分82が位置するように積層体58aを配置した後、半田30aが溶融した状態で金属リッド32aをSAWチップ12側に押圧して、複数のSAWチップ12を半田30aと金属リッド32aとを含む封止部34aで封止する(図9(a)及び図9(b))。複数のSAWチップ12間であって、金属リッド32aのない部分82で封止部34aと実装基板10とをダイシングによって切断して、複数のSAWチップ12を個片化する(図9(c))。この製造方法によれば、個片化の際のダイシングを、金属リッド32aのない部分82で行うため、バリの発生を抑制することができ、電子デバイス200を低背化することができる。
【実施例3】
【0048】
図11は、実施例3に係る電子デバイスを示す断面図である。図11のように、実施例3の電子デバイス300では、SAWチップ12は、半田30bとめっきからなる金属リッド32bとを含む封止部34bによって封止されている。半田30bは、金属パターン28の上面とSAWチップ12の側面とに接合し、SAWチップ12を囲んで設けられている。金属リッド32bは、SAWチップ12上から半田30b上に延在して設けられ、周辺部分84がSAWチップ12上に位置する部分86(以下、チップ上部分86と称す)に対して凹んだ形状をしている。金属リッド32bの周辺部分84には、バリ74が発生している。金属リッド32bのチップ上部分86に対する周辺部分84の凹み量Hは、例えば5μm〜10μm程度である。半田30bと金属リッド32bとは互いに接しており、金属リッド32bの側面と半田30bの側面とは同一面を形成している。その他の構成は、実施例1の図1と同じであるため説明を省略する。
【0049】
次に、実施例3に係る電子デバイスの製造方法について説明する。図12(a)から図13(d)は、実施例3に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図である。図12(a)のように、主面に凹凸を有する母型44aを準備し、実施例1の図2(a)で説明した洗浄方法によって、母型44aを洗浄する。母型44aの凹凸は、例えば15μm程度の段差を有している。
【0050】
図12(b)のように、母型44aの凹凸が形成されている主面に、実施例1の図2(b)で説明しためっき方法によって、金属リッド32bを形成する。金属リッド32bは、例えば膜厚が10μm〜15μm程度であり、母型44aの凹凸の段差とほとんど変わらない厚さのため、母型44aの凹凸が反映されて凹凸形状となる。
【0051】
図12(c)のように、金属リッド32bの主面に、実施例1の図2(c)で説明しためっき方法によって、半田30bを形成する。半田30bは、例えば膜厚が110μm程度であり、母型44aの凹凸の段差と比べて十分に厚いため、金属リッド32bの凹凸は吸収されて平坦形状となる。
【0052】
半田30bを形成した後、実施例1の図3(a)で説明した洗浄方法によって、母型44a等を洗浄する。その後、図12(d)のように、母型44aから金属リッド32bと半田30bとを一体で剥がして積層体58bを得る。これにより、下面が平坦で、上面が凹凸形状をした半田30b上に凸部88と凹部90とを有する金属リッド32bが設けられた構造の積層体58bが得られる。この後、積層体58bを所望の大きさにカットする。
【0053】
図13(a)のように、実装基板10の平坦上面に複数のSAWチップ12を実装した後、複数のSAWチップ12上に、図12(a)から図12(d)で形成した積層体58bを配置する。この際、金属リッド32bの凸部88が複数のSAWチップ12上に位置し、金属リッド32bの凹部90が複数のSAWチップ12間に位置するように、積層体58bを配置する。図13(b)のように、積層体58bを加熱して半田30bが溶融した状態とし、この状態で金属リッド32bを複数のSAWチップ12側に押圧して、複数のSAWチップ12を半田30bと金属リッド32bとを含む封止部34bで封止する。
【0054】
図13(c)のように、実装基板10の下面にレジスト膜64を形成する。レジスト膜64の下面にダイシングテープ66を貼り付ける。その後、複数のSAWチップ12間であって、金属リッド32bの凹部90で、封止部34b、実装基板10、及びレジスト膜64を、ダイシングブレード68を用いたダイシングによって切断して、複数のSAWチップ12を個片化する。金属リッド32bをダイシングによって切断しているため、図13(d)のように、複数のデバイスそれぞれの金属リッド32bの周辺部分84にバリ74が発生する。その後、実施例1の図5(b)及び図5(c)で説明した工程を行うことで、実施例3の電子デバイス300を形成することができる。
【0055】
実施例3によれば、図11のように、封止部34bに含まれる金属リッド32bは、チップ上部分86に対して周辺部分84が凹んだ形状をしている。実施例1の図6で説明したように、バリ74はダイシングの切断面で発生する。したがって、実施例3では、図11のように、バリ74は、金属リッド32bの周辺部分84で発生する。金属リッド32bの周辺部分84はチップ上部分86に対して凹んでいることから、周辺部分84にバリ74が発生した場合でも、電子デバイス300を低背化することができる。
【0056】
金属リッド32bの周辺部分84に発生したバリ74がチップ上部分86よりも突出することを抑えるために、金属リッド32bのチップ上部分86に対する周辺部分84の凹み量Hは、バリ74の高さよりも大きいことが好ましい。
【0057】
実施例3の電子デバイス300は、図12(a)から図13(d)で説明したように、以下の製造工程を含んで形成することができる。半田30b上に凸部88と凹部90とを有する金属リッド32bが設けられた積層体58bを形成する(図12(d))。複数のSAWチップ12上に金属リッド32bの凸部88が位置し、複数のSAWチップ12間に金属リッド32bの凹部90が位置するように積層体58bを配置した後、半田30bが溶融した状態で金属リッド32bをSAWチップ12側に押圧して、複数のSAWチップ12を半田30bと金属リッド32bとを含む封止部34bで封止する(図13(a)及び図13(b))。複数のSAWチップ12間であって、金属リッド32bの凹部90で封止部34bと実装基板10とをダイシングによって切断して、複数のSAWチップ12を個片化する(図13(c))。この製造方法によれば、個片化の際のダイシングを、金属リッド32bの凹部90で行うため、バリ74が発生した場合でも、電子デバイス300を低背化することができる。
【0058】
実施例3では、図12(d)のように、積層体58bは、下面が平坦で、上面が凹凸形状をした半田30b上に、金属リッド32bが半田30bの凹凸に沿って設けられている場合を例に示したが、この場合に限られない。例えば、下面と上面とが共に平坦形状をした半田上に、凹凸形状をした金属リッドが設けられた積層体の場合でもよい。しかしながら、電子デバイスの低背化の点から、図12(d)のような積層体58bの方が好ましい。
【実施例4】
【0059】
図14は、実施例4に係る電子デバイスを示す断面図である。図14のように、実施例4の電子デバイス400では、SAWチップ12は、半田30cとめっきからなる金属リッド32cとを含む封止部34cによって封止されている。半田30cは、金属パターン28の上面に接合してSAWチップ12を囲み、且つSAWチップ12から離れて設けられている。半田30cの上面の実装基板10からの高さは、例えば圧電基板16のIDT18が形成された面の実装基板10からの高さと同程度になっている。金属リッド32cは、SAWチップ12上からSAWチップ12の側方にかけて実装基板10側に屈折して延在し、周辺部分92が半田30cに接合している。金属リッド32cの周辺部分92には、バリ74が発生している。金属リッド32cの周辺部分92における側面と半田30cの側面とは同一面を形成している。その他の構成は、実施例1の図1と同じであるため説明を省略する。
【0060】
次に、実施例4に係る電子デバイスの製造方法について説明する。図15(a)から図16(d)は、実施例4に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図である。図15(a)のように、主面に凹凸を有する母型44bを準備し、実施例1の図2(a)で説明した洗浄方法によって、母型44bを洗浄する。母型44bの凹凸は、例えばSAWチップ12の高さと同程度(例えば150μm程度)の段差を有している。
【0061】
図15(b)のように、母型44bの凹凸が形成されている主面に、実施例1の図2(b)で説明しためっき方法によって、金属リッド32cを形成する。金属リッド32cは、例えば膜厚が10μm〜15μm程度であり、母型44bの凹凸の段差に対して薄いため、母型44bの凹凸に沿って形成される。
【0062】
図15(c)のように、金属リッド32cの主面に、実施例1の図2(c)で説明しためっき方法によって、半田30cを形成する。半田30cは、例えば膜厚が10μm程度であり、母型44bの凹凸の段差に対して薄いため、金属リッド32cの凹凸に沿って形成される。
【0063】
半田30cを形成した後、実施例1の図3(a)で説明した洗浄方法によって、母型44b等を洗浄する。その後、図15(d)のように、母型44bから金属リッド32cと半田30cとを一体で剥がして積層体58cを得る。これにより、凹凸状に折れ曲がった半田30c上に凸部94と凹部96とを有する金属リッド32cが設けられた構造の積層体58cが得られる。この後、積層体58cを所望の大きさにカットする。
【0064】
図16(a)のように、実装基板10の平坦上面に複数のSAWチップ12を実装した後、複数のSAWチップ12上に、図15(a)から図15(d)で形成した積層体58cを配置する。この際、金属リッド32cの凸部94が複数のSAWチップ12上に位置し、金属リッド32cの凹部96が複数のSAWチップ12間に位置するように、積層体58cを配置する。図16(b)のように、積層体58cを加熱して半田30cが溶融した状態とし、この状態で金属リッド32cを複数のSAWチップ12側に押圧して、複数のSAWチップ12を半田30cと金属リッド32cとを含む封止部34cで封止する。半田30cが溶融した状態で金属リッド32cを複数のSAWチップ12側に押圧することで、半田30cは金属パターン58上に集まって固化する。
【0065】
図16(c)のように、実装基板10の下面にレジスト膜64を形成する。レジスト膜64の下面にダイシングテープ66を貼り付ける。その後、複数のSAWチップ12間であって、金属リッド32cの凹部96で、封止部34c、実装基板10、及びレジスト膜64を、ダイシングブレード68を用いたダイシングによって切断して、複数のSAWチップ12を個片化する。金属リッド32cをダンシングによって切断しているため、図16(d)のように、複数のデバイスそれぞれの金属リッド32cの周辺部分92にバリ74が発生する。その後、実施例1の図5(b)及び図5(c)で説明した工程を行うことで、実施例4の電子デバイス400を形成することができる。
【0066】
図14のように、実施例4は、実施例3と同様、封止部34cに含まれる金属リッド32cが、SAWチップ12上に位置する部分98に対して周辺部分92が凹んだ形状をしている。よって、ダイシングによるバリ74が周辺部分92で発生した場合でも、電子デバイス400を低背化することができる。
【0067】
図15(a)から図16(d)のように、実施例4の電子デバイス400の製造方法は、実施例3と同様に、複数のSAWチップ12上に金属リッド32cの凸部94が位置し、複数のSAWチップ12間に金属リッド32cの凹部96が位置するように積層体58cを配置して、複数のSAWチップ12を半田30cと金属リッド32cとを含む封止部34cで封止する(図16(a)及び図16(b))。その後、複数のSAWチップ12間であって、金属リッド32cの凹部96で封止部34cと実装基板10とをダイシングによって切断して、複数のSAWチップ12を個片化する(図16(c))。このように、個片化の際のダイシングを金属リッド32cの凹部96で行うため、バリ74が発生した場合でも、電子デバイス400を低背化することができる。
【0068】
実施例1から実施例4において、金属リッドは、Ni−Fe合金めっき以外のめっきからなる場合でもよく、例えばNi−Fe−Co合金めっきやNi系合金めっきからなる場合でもよい。半田は、SnAg半田以外の半田からなる場合でもよく、例えばAuSn半田、SnCu半田、純Sn半田からなる場合でも良い。半田がAuSn半田からなる場合は、図2(c)における第2のめっき液54にAuSnめっき液を用い、SnCu半田からなる場合はSnCuめっき液を用い、純Sn半田からなる場合はSnめっき液を用いることができる。また、金属リッド及び半田は、電解めっき法で形成する場合に限らず、無電解めっき法等、その他のめっき法で形成する場合でもよい。
【0069】
半田が例えばSnAg半田からなる場合、SnAg半田の融点は220℃程度とあまり高くないため、電子デバイスをマザーボード等に実装する際の温度で半田が溶けないように、図14等のように、封止部を金属膜36で覆うことが好ましい。一方、半田が例えばAuSn半田からなる場合、AuSn半田の融点は280℃程度と比較的高いため、金属膜36を形成しなくてもよい。このように、金属膜36の形成の有無は、半田の種類によって適宜選択することができる。また、実装基板10上に実装されたデバイスチップとしてSAWチップ12の場合を例に示したが、FBARチップ等、その他の弾性波デバイスチップの場合でもよいし、弾性波デバイスチップ以外のデバイスチップの場合でもよい。
【0070】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 実装基板
12 SAWチップ
30、30a、30b、30c 半田
32、32a、32b、32c 金属リッド
34、34a、34b、34c 封止部
58、58a、58b、58c 積層体
76 金属リッドの側面
78 半田の側面
82 金属リッドのない部分
84、92 金属リッドの周辺部分
86、98 金属リッドのSAWチップ上に位置する部分
88、94 金属リッドが突出した凸部
90、96 金属リッドが凹んだ凹部
100、200、300、400 電子デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16