特許第6374685号(P6374685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374685
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20180806BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20180806BHJP
【FI】
   A63B53/04 A
   A63B102:32
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-66601(P2014-66601)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-207985(P2014-207985A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2017年3月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-66408(P2013-66408)
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 和也
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−161562(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0124434(US,A1)
【文献】 米国特許第4828265(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第2318741(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00−53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部と、
前記フェース部に連続するトウ部と、
前記フェース部に連続し、前記フェース部を挟んで前記トウ部と向かい合うヒール部と、
前記フェース部に連続するクラウン部と、
前記フェース部に連続し、前記クラウン部と向かい合うソール部とを備え、
前記トウ部と前記ヒール部とが向かい合うトウヒール方向の前記フェース部の最大長の中央での、前記クラウン部と前記ソール部とが向かい合うクラウンソール方向の前記フェース部の寸法は、前記トウヒール方向における前記中央と前記フェース部の前記トウ側の先端との中点であるトウ側中点での、前記クラウンソール方向の前記フェース部の寸法よりも小さく、かつ前記トウヒール方向における前記中央と前記フェース部の前記ヒール側の先端との中点であるヒール側中点での、前記クラウンソール方向の前記フェース部の寸法よりも小さく、
前記中央において、前記フェース部と前記クラウン部および前記ソール部とにまたがるように溝が形成され、
前記溝は、前記フェース部と前記クラウン部とにまたがるように形成された第1の溝部と、前記フェース部と前記ソール部とにまたがるように形成された第2の溝部とを含む、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
フェース部と、
前記フェース部に連続するトウ部と、
前記フェース部に連続し、前記フェース部を挟んで前記トウ部と向かい合うヒール部と、
前記フェース部に連続するクラウン部と、
前記フェース部に連続し、前記クラウン部と向かい合うソール部とを備え、
前記トウ部と前記ヒール部とが向かい合うトウヒール方向の前記フェース部の最大長の中央での、前記クラウン部と前記ソール部とが向かい合うクラウンソール方向の前記フェース部の寸法は、前記トウヒール方向における前記中央と前記フェース部の前記トウ側の先端との中点であるトウ側中点での、前記クラウンソール方向の前記フェース部の寸法よりも小さく、かつ前記トウヒール方向における前記中央と前記フェース部の前記ヒール側の先端との中点であるヒール側中点での、前記クラウンソール方向の前記フェース部の寸法よりも小さく、
前記中央において、前記フェース部と前記クラウン部および前記ソール部の少なくともいずれかとにまたがるように溝が形成され、
前記フェース部と向かい合うバック部をさらに備え、
前記溝は、前記フェース部から前記バック部に向かう方向に直線状に形成されており、前記フェース部と前記バック部との中点よりも前記フェース部側に形成されている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
シャフトと、
前記シャフトの一方端に取り付けられたグリップと、
前記シャフトの前記グリップと反対側の他方端に取り付けられた請求項1または2に記載のゴルフクラブヘッドとを備えた、ゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブヘッドのスイートエリアを広くしたいという要求がある。たとえば、特開2008−136861号公報(特許文献1)には、ゴルフクラブのスイートエリアを広くすることが開示されており、慣性モーメントを大きくすることで打撃点がずれても打球の方向性を向上させたゴルフクラブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−136861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記公報では、ゴルフクラブヘッドのスイートエリアを広げるためのゴルフクラブヘッドのフェース部の形状については考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴルフクラブヘッドのフェース部の形状によってゴルフクラブヘッドのスイートエリアを広げることができる、ゴルフクラブヘッドおよびそれを備えたゴルフクラブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゴルフクラブヘッドは、フェース部と、フェース部に連続するトウ部と、フェース部に連続し、フェース部を挟んでトウ部と向かい合うヒール部と、フェース部に連続するクラウン部と、フェース部に連続し、クラウン部と向かい合うソール部とを備えている。トウ部とヒール部とが向かい合うトウヒール方向のフェース部の最大長の中央での、クラウン部とソール部とが向かい合うクラウンソール方向のフェース部の寸法は、トウヒール方向における中央とフェース部のトウ側の先端との中点であるトウ側中点での、クラウンソール方向のフェース部の寸法よりも小さく、かつトウヒール方向における中央とフェース部のヒール側の先端との中点であるヒール側中点での、クラウンソール方向のフェース部の寸法よりも小さい。
【0007】
本発明のゴルフクラブヘッドによれば、トウヒール方向のフェース部の最大長の中央での、クラウンソール方向のフェース部の寸法は、トウ側中点での、クラウンソール方向のフェース部の寸法よりも小さく、かつヒール側中点での、クラウンソール方向のフェース部の寸法よりも小さい。これにより、クラウンソール方向のフェース部の寸法は、トウヒール方向のフェース部の最大長の中央でトウ側中点およびヒール側中点よりも小さくなる。このフェース部の形状ではトウヒール方向で反発係数が落ちにくいことを発明者らは見出した。つまり、このフェース部の形状によってゴルフクラブヘッドのスイートエリアを広げることができることを発明者らは見出した。
【0008】
上記のゴルフクラブヘッドでは、中央において、フェース部とクラウン部およびソール部の少なくともいずれかとにまたがるように溝が形成されている。これにより、クラウンソール方向のフェース部の寸法を、中央でトウ側中点およびヒール側中点よりも小さくすることができる。
【0009】
上記のゴルフクラブヘッドでは、溝は、フェース部とクラウン部とにまたがるように形成された第1の溝部と、フェース部とソール部とにまたがるように形成された第2の溝部とを含んでいる。これにより、クラウンソール方向のフェース部の寸法を、中央でトウ側中点およびヒール側中点よりも小さくすることができる。
【0010】
上記のゴルフクラブヘッドでは、シャフトと、シャフトの一方端に取り付けられたグリップと、シャフトのグリップと反対側の他方端に取り付けられた上記のゴルフクラブヘッドとを備えている。これにより、ゴルフクラブヘッドのフェース部の形状によってゴルフクラブヘッドのスイートエリアを広げることができるゴルフクラブを得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブによれば、ゴルフクラブヘッドのフェース部の形状によってゴルフクラブヘッドのスイートエリアを広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態におけるゴルフクラブヘッドの概略斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態におけるゴルフクラブヘッドの概略正面図である。
図3】本発明の一実施の形態におけるゴルフクラブヘッドの概略上面図である。
図4】本発明の一実施の形態におけるゴルフクラブヘッドの概略下面図である。
図5図1のV−V線に沿う概略断面図である。
図6】本発明の一実施の形態におけるゴルフクラブの概略斜視図である。
図7】実施例1〜4および比較例のヒール低下率とCL/THLとの関係を示す図である。
図8】実施例1〜4および比較例のトウ低下率とCL/THLとの関係を示す図である。
図9】実施例1〜4および比較例の低下率平均とCL/THLとの関係を示す図である。
図10】実施例1〜4および比較例のヒール低下率とW1/(TD+HD)との関係を示す図である。
図11】実施例1〜4および比較例のトウ低下率とW1/(TD+HD)との関係を示す図である。
図12】実施例1〜4および比較例の低下率平均とW1/(TD+HD)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
最初に本発明の一実施の形態のゴルフクラブヘッドの構成について説明する。以下、ゴルフクラブヘッドの例として、ウッド型ゴルフクラブヘッドについて説明するが、ユーティリティゴルフクラブヘッドおよびアイアンゴルフクラブヘッドにも本発明は適用可能である。
【0014】
図1および2を参照して、ゴルフクラブヘッド10は、フェース部1と、トウ部2と、ヒール部3と、クラウン部4と、ソール部5と、ホーゼル部7とを主に有している。
【0015】
フェース部1は打球面を有している。フェース部1は打球面にスイートスポットを有している。フェース部1の打球面においてスイートスポットの周囲にスイートエリアが形成されている。打球面には、図示しない複数のスコアラインが形成されていてもよい。
【0016】
トウ部2はホーゼル部7から離れた側のクラウン部4とソール部5とを接続する部分である。トウ部2はフェース部1に連続している。ヒール部3はホーゼル部7の下端からソール部5に至る部分である。ヒール部3はフェース部1に連続している。ヒール部3はフェース部1を挟んでトウ部2と向かい合っている。トウ部2とヒール部3とが向かい合う方向がトウヒール方向TH(図2中左右方向)である。トウヒール方向THにおいてフェース部1が最大となる長さを最大長とする。このトウヒール方向THのフェース部1の最大長は、設定されているロフト角およびライ角をなすように水平面にゴルフクラブヘッド10が設置された状態において、水平面と平行なトウヒール方向THでのフェース部1の長さの最大長である。
【0017】
クラウン部4はゴルフクラブヘッド10の上部を構成する部分である。クラウン部4はソール部5の上面を覆うように配置されている。クラウン部4はフェース部1に連続している。ソール部5はゴルフクラブヘッド10の底部を構成する部分である。ソール部5はフェース部1に連続している。ソール部5はクラウン部4と向かい合っている。クラウン部4とソール部5とが向かい合う方向がクラウンソール方向CS(図2中上下方向)である。ホーゼル部7はシャフト(図6)に接続される部分である。
【0018】
また、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPにおいて、フェース部1とクラウン部4およびソール部5の少なくともいずれかとにまたがるように溝6が形成されている。つまり、溝6はフェース部1の一部とクラウン部4の一部およびソール部5の一部の少なくともいずれかとで構成されている。
【0019】
本発明の一実施の形態では、溝6は、第1の溝部6aと第2の溝部6bとを有している。第1の溝部6aはフェース部1とクラウン部4とにまたがるように形成されている。第2の溝部6bはフェース部1とソール部5とにまたがるように形成されている。つまり、第1の溝部6aはフェース部1の一部とクラウン部4の一部とで構成されており、第2の溝部6bはフェース部1の一部とソール部5の一部とで構成されている。
【0020】
本発明の一実施の形態では、第1の溝部6aと第2の溝部6bは同一幅である。第1の溝部6aの溝幅W1は、フェースクラウンの境界線と溝部6aとの交点をそれぞれ通る、水平面に垂直な2つの並行な面間の水平距離として定義される。また第2の溝部6bの溝幅W1は、フェースソールの境界線と溝部6aとの交点をそれぞれ通る、水平面に垂直な2つの並行な面間の水平距離として定義される。
【0021】
第1の溝部6aおよび第2の溝部6bは、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPにおいて最も深くなるように形成されている。第1の溝部6aおよび6bはトウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPからトウ側およびヒール側にそれぞれ高さが連続的に小さくなるように形成されている。
【0022】
フェース部1において、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPからトウ側の先端までの長さTDと、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPからヒール側の先端までの長さHDとは、互いに等しい寸法を有している。トウ側中点TPは、フェース部1においてトウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPとトウ側の先端との中点である。フェース部1において、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPからトウ側中点TPまでの長さTD1と、トウ側の先端からトウ側中点TPまでの長さTD2とは、互いに等しい寸法を有している。
【0023】
ヒール側中点HPは、フェース部1においてトウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPとヒール側の先端との中点である。フェース部1において、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPからヒール側中点HPまでの長さHD1と、ヒール側の先端からヒール側中点HPまでの長さTD2とは、互いに等しい寸法を有している。
【0024】
本発明の一実施の形態では、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPを含む領域に溝6が形成されているため、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPでのフェース部1の高さは、トウ側中点TPおよびヒール側中点HPでのフェース部1の高さよりも小さい。トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPでのクラウンソール方向CSのフェース部1の寸法CLは、トウ側中点TPでのクラウンソール方向CSのフェース部1の寸法TLよりも小さく、ヒール側中点HPでのクラウンソール方向CSのフェース部1の寸法HLよりも小さい。図2中のクラウンソール方向CSのフェース部1の寸法TL、HL、およびCLは、具体的には以下の通りに定義される。クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法TLは、トウ側中点TPを通る水平面に垂直な面とフェース面とが交差してできる線の長さである。クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法HLは、ヒール側中点HPを通る水平面に垂直な面とフェース面とが交差してできる線の長さである。クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法CLは、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPを通る水平面に垂直な面とフェース面とが交差してできる線の長さである。つまり、クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法TL、HL、およびCLはフェース面に沿った距離(フェース面上での距離)である。
【0025】
図3を参照して、ゴルフクラブヘッド10はフェース部1と向かい合うバック部8を有している。第1の溝部6aは、フェース部1からバック部8に向かう方向(図中上下方向)に、直線状に形成されており、フェース部1とバック部8との中点よりもフェース部側に形成されている。平面視において、第1の溝部6aはフェース部1からバック部8に向かって幅が狭くなるように形成されている。
【0026】
図4を参照して、第2の溝部6bはフェース部1からバック部8に向かう方向(図中上下方向)に、直線状に形成されており、フェース部1とバック部8との中点よりもフェース部側に形成されている。平面視において、第2の溝部6bはフェース部1からバック部8に向かって幅が狭くなるように形成されている。
【0027】
図5を参照して、ゴルフクラブヘッド10は、フェース部1、クラウン部4、ソール部5、バック部8などによって囲まれた内部空間ISを有している。第1の溝部6aはフェース部1からクラウン部4に向かって直線状に深さが小さくなるように傾斜している。第2の溝部6bはフェース部1からソール部5に向かって直線状に深さが小さくなるように傾斜している。第1の溝部6aは第2の溝部6bよりもバック部8側に伸びている。つまり、第1の溝部6aは第2の溝部6bよりもフェース部1からバック部8に向かう方向(図中左右方向)に長く形成されている。また、フェース部1は一定の厚みとなるように形成されている。
【0028】
次に、本実施の形態のゴルフクラブの構成について説明する。
図6を参照して、ゴルフクラブヘッド10にシャフト21およびグリップ22を組み合わせることでゴルフクラブ20が構成される。ゴルフクラブ20は、シャフト21と、シャフト21の一方端に取り付けられたグリップ22と、シャフト21のグリップ22と反対側の他方端に取り付けられたゴルフクラブヘッド10とを有している。なお、シャフト21およびグリップ22は周知のものを採用可能である。また、ゴルフクラブヘッド10のホーゼル部7に隣接するようにシャフト21にソケット23が取り付けられている。
【0029】
次に、本発明の一実施の形態のゴルフクラブヘッド10の作用効果について説明する。
本発明の一実施の形態のゴルフクラブヘッド10では、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPでの、クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法は、トウ側中点TPでの、クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法よりも小さく、かつヒール側中点HPでの、クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法よりも小さい。これにより、クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法は、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPでトウ側中点TPおよびヒール側中点HPよりも小さくなる。このフェース部1の形状ではトウヒール方向THで反発係数が落ちにくいことを発明者らは見出した。つまり、このフェース部1の形状によってゴルフクラブヘッド10のスイートエリアを広げることができることを発明者らは見出した。
【0030】
本発明の一実施の形態のゴルフクラブヘッド10では、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPにおいて、フェース部1とクラウン部4およびソール部5の少なくともいずれかとにまたがるように溝6が形成されている。これにより、クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法を、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPでトウ側中点TPおよびヒール側中点HPよりも小さくすることができる。
【0031】
本発明の一実施の形態のゴルフクラブヘッド10では、溝6は、フェース部1とクラウン部4とにまたがるように形成された第1の溝部6aと、フェース部1とソール部5とにまたがるように形成された第2の溝部6bとを含んでいる。これにより、クラウンソール方向CSのフェース部1の寸法を、トウヒール方向THのフェース部1の最大長の中央CPでトウ側中点TPおよびヒール側中点HPよりも小さくすることができる。
【0032】
本発明の一実施の形態のゴルフクラブ20では、シャフト21と、シャフト21の一方端に取り付けられたグリップ22と、シャフト21のグリップ22と反対側の他方端に取り付けられた上記のゴルフクラブヘッド10とを備えている。これにより、ゴルフクラブヘッド10のフェース部1の形状によってゴルフクラブヘッド10のスイートエリアを広げることができるゴルフクラブ20を得ることができる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例について説明する。
本実施例では、フェース部の形状による反発係数を検討した。具体的には、有限要素法を用いてシュミレーションを行い、実施例および比較例の反発係数を比較した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1を参照して、実施例1は図1に示す第1の溝部6aおよび第2の溝部6bを有している。比較例は第1の溝部6aおよび第2の溝部6bを有していない。比較例は第1の溝部6aおよび第2の溝部6bを有していない点以外では実施例1と同様の形状を有している。
【0036】
表1の各項目について説明する。打点はセンター、ヒール、トウの3点とした。センター打点はクラウンソール方向CSのフェース部1の寸法CLの中点であり、ヒール打点はHLの中点であり、トウ打点はTLの中点である。肉厚分布はフェース部とその周囲の肉厚である。質量はゴルフクラブヘッドの質量である。反発係数低下率は、センターの反発係数を100%とし、そのセンターの反発係数に対するヒールおよびトウの反発係数の比率の値である。
【0037】
表1を参照して、実施例1は、比較例に比べて反発係数低下率の値が大きくなった。つまり、実施例1は、比較例に比べて反発係数が落ちにくいことがわかった。これにより、実施例1のフェース部の形状によってゴルフクラブヘッドのスイートエリアを広げることができることがわかった。
【0038】
さらに、実施例1における第1の溝部6aおよび第2の溝部6bの寸法を変化させた実施例2〜4を作成し、実施例1〜4および比較例を用いて、フェース部の反発係数の変化を検討した。具体的には、有限要素法を用いてシミュレーションを行い、実施例1〜4と比較例の反発係数を比較した。
【0039】
【表2】
【0040】
表2を参照して、実施例1〜4は、第1の溝部6aおよび第2の溝部6bを有している。比較例は第1の溝部6aおよび第2の溝部6bを有していない。比較例は第1の溝部6aおよび第2の溝部6bを有していない点以外では、実施例1〜4と同様の形状を有している。
【0041】
表2の各項目について説明する。打点は表1の説明と同様、センター、ヒール、トウの3点とした。センター打点はCLの中点であり、ヒール打点はHLの中点であり、トウ打点はTLの中点である。TL、HL、CL、W1の値は、図2で示した各部の寸法である。THLは、TLとHLの平均値である。CL/THLは、THLに対するCLの比率をパーセンテージで表記したものである。W1/(TD+TH)は、TD+THに対するW1の比率をパーセンテージで表記したものである。また、ヒール低下率は、センター打点に対するヒール打点での反発係数の低下率を示す。トウ低下率は、センター打点に対するトウ打点での反発係数の低下率を表す。低下率平均は、ヒール低下率とトウ低下率の平均値を表す。なお実施例1〜4において、第1の溝部6aおよび第2の溝部6bの幅は同一寸法W1である。
【0042】
図7は、実施例1〜4および比較例のそれぞれについて、横軸にCL/THLを、縦軸にヒール低下率を示した図である。図7から明らかなように、ヒール低下率は全ての実施例において比較例を上回っている。
【0043】
図8は、実施例1〜4および比較例のそれぞれについて、横軸にCL/THLを、縦軸にトウ低下率を示した図である。図8から、トウ低下率は、CL/THLが一定の範囲にある場合に、実施例が比較例を上回っていることが分かる。具体的には、CL/THLが45%から66%の領域において比較例を上回っている。
【0044】
図9は、実施例1〜4および比較例のそれぞれについて、横軸にCL/THLを、縦軸に低下率平均を示した図である。図9から、低下率平均は全ての実施例において比較例を上回っている。
【0045】
図10は、実施例1〜4および比較例のそれぞれについて、横軸にW1/(TD+HD)を、縦軸にヒール低下率を示した図である。図10から明らかなように、ヒール低下率は全ての実施例において比較例を上回っている。
【0046】
図11は、実施例1〜4および比較例のそれぞれについて、横軸にW1/(TD+HD)を、縦軸にトウ低下率を示した図である。図11から、トウ低下率は、W1/(TD+HD)が一定の範囲にある場合に、実施例が比較例を上回っている。具体的には、W1/(TD+HD)が20%から25%の領域において、比較例を上回っている。
【0047】
図12は、実施例1〜4および比較例のそれぞれについて、横軸にW1/(TD+HD)を、縦軸に低下率平均を示した図である。図12から、低下率平均は全ての実施例において比較例を上回っている。
【0048】
図7図9の結果から、フェース部1、第1の溝部6a、および第2の溝部6bの寸法を規定するTL、TH、THL、CL、W1において、CL/THLが少なくとも35〜71%の範囲内であれば、比較例に比べて反発係数の低下率平均を大きくできることが分かる。一般ゴルファーは、打点がトウ側とヒール側のどちらにもばらつくので、低下率平均がそのまま平均飛距離に反映されると言える。従って、CL/THLの値を35%以上71%以下の範囲に設定することで、平均飛距離の低下を抑えることができる。より好ましくは、トウ側、ヒール側共に反発係数低下率の値が大きくなるCL/THLが45%以上66%以下の範囲とすることで、トウ、ヒールのどちらに打点がばらついても飛距離の低下を抑えることができる。
【0049】
図10〜12の結果から、フェース部1、第1の溝部6a、および第2の溝部6bの寸法を規定するTL、TH、THL、CL、W1において、W1/(TD+HD) が少なくとも19%以上27%以下の範囲内であれば、比較例に比べて反発係数の低下率平均を大きくすることができる。さらに、トウ側、ヒール側に共に反発係数低下率の値が共に大きくなるW1/(TD+HD)が20%以上25%以下の範囲が特に望ましい。なお、実施例1〜5では第1の溝部6aと第2の溝部6bの幅を同一としているが、反発係数の低下率を抑える範囲内であれば、互いの溝幅を異ならせてもよい。
【0050】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0051】
1 フェース部、2 トウ部、3 ヒール部、4 クラウン部、5 ソール部、6 溝、6a 第1の溝部、6b 第2の溝部、7 ホーゼル部、8 バック部、10 ゴルフクラブヘッド、20 ゴルフクラブ、21 シャフト、22 グリップ、23 ソケット、CS クラウンソール方向、HP ヒール側中点、IS 内部空間、TH トウヒール方向、TP トウ側中点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12