(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態の加圧装置を適用した生体情報計測装置の構成を示す全体外観図である。
【0015】
図1に示す生体情報計測装置100は、加圧装置として、カフ10と、カフ10に対して給排気を行う装置本体20とを備える。この加圧装置において、装置本体20に、カフ10を用いて取得したデータに基づいて血圧を測定する機能を備えることで、生体情報計測装置100は構成される。
【0016】
生体情報計測装置100は、カフ10を用いて血圧等の計測を行う非観血血圧(NIBP:Non Invasive Blood Pressure)式の生体情報計測装置である。NIBP式としては、聴診法(コロトコフ法)、オシロメトリック法等の方式のいずれの方式を用いてもよいが、ここでは、生体情報計測装置100は、オシロメトリック法により血圧を測定する装置として説明する。オシロメトリック法では、測定対象となる患者の要部(測定部位)に巻回したカフ10に対するエアの給排気によりカフ圧の加減圧を行い、その際に脈波を検出する。この検出する脈波において、振幅増大が相対的に顕著な時(或いは振幅が最大値に対する特定の割合を超えた時等)のカフ圧を収縮期血圧(最高血圧)として判定し、振幅減少が相対的に顕著な時(或いは振幅が最大値に対する特定の割合を下回った時等)のカフ圧を拡張期血圧(最低血圧)として判定する。なお、血圧の測定対象となる要部は、上腕、太もも、足首等が挙げられる。
【0017】
図2は、本発明の一実施の形態の加圧装置を適用した生体情報計測装置100の平面図であり、
図3は、
図2のA―A線矢視断面図であり、
図4は、
図3のF部分の拡大図である。
【0018】
図1〜
図4に示す生体情報計測装置100における装置本体20は、カフ10の外面に着脱自在に取り付けられている。ここでは、装置本体20は、矩形平板状に形成されており、カフ10の幅(詳細には帯状袋体12の幅)方向の略中央部分において、一体的に取り付けられている。
【0019】
装置本体20は、カフ10に対して給排気を行う給排気部22を内部に備え、この給排気部22の連結筒部24を、底面20aから、外方に露出して配置している。この連結筒部24が、カフ10の備える帯状袋体12の被連結部126に連結しており、これらの連結によって、給排気部22とカフ10(具体的には帯状袋体12)とが接続して導通し、給排気部22からカフ10への給排気が可能となっている。なお、装置本体20の詳細な説明は後述する。
【0020】
カフ10は、帯状袋体12と、ホルダ14とを有し、このホルダ14を介して装置本体20は帯状袋体12に接続された状態で、カフ10に取り付けられている。
【0021】
帯状袋体12は、長尺帯状であり、患者の測定部位に巻き付けて装着される帯状の空気袋を有する。帯状袋体12において、被連結部126と連結筒部24とが連結されることによって、空気袋が給排気部22に接続され、給排気部22の動作によって空気袋、つまり、カフ10自体が膨張して、患者の測定部位(カフ装着部位)を圧迫する。なお、給排気部22は、空気袋、つまり、カフ10の排気を行うことによってカフ10を収縮できる。
【0022】
被連結部126は、帯状袋体12の外面(測定部位に装着される面とは逆側の面)に設けられている。被連結部126は、ホルダ14の取付部144の底面部144aを介して、取付部144の取り付け面11で露出するよう配置されている。
【0023】
ホルダ14は、帯状袋体12を患者の測定部位に装着し易くするために、帯状袋体12に対して、空気袋の外側に位置させて湾曲状に整形するとともに、装置本体20を帯状袋体12に取り付けて、帯状袋体12に給排気部22を連結させた状態を保持する。なお、帯状袋体12は、ホルダ14から着脱自在となっている。これにより、ホルダ14から帯状袋体12を外して帯状袋体12自体を洗浄したり、ホルダ14に対して、幅は同じで、長手方向の長さの異なる帯状袋体12に変更したりできる。
【0024】
ホルダ14は、湾曲板状に形成された整形部142、143の両端部142a、143aを帯状袋体12の空気袋の外面側に配置させた状態で、帯状袋体12に着脱自在に取り付けられている。また、取付部144は、整形部142の外面の一部に一体に形成されている。
【0025】
図3及び
図4に示すように、この取付部144に対して、装置本体20が、その底面20aを取付部144の取り付け面11に載置させた状態で、ロック機構80を介して着脱自在に保持されている。
【0026】
ここでは、取付部144は、表面が取り付け面11である底面部144aと、底面部144aの両側辺部から上方に屈曲して形成され、且つ、弾性変形する両ガイド壁部144b、144cとを有する。これら両ガイド壁部144b、144cは、底面部144aとでホルダ14の取付部144を断面U字状、言い換えれば、取付部144の外面形状(取り付け面11を含む形状)をU字状に形成している。この取付部144の外面形状は、装置本体20の下部形状に対応している(
図1、
図3及び
図5参照)。
【0027】
ロック機構80は、取付部144に設けられる係合部152と、係合部152に係合し、且つ装置本体20に設けられる被係合部27と、を有する。具体的には、係合部152は、両ガイド壁部144b、144cのそれぞれに互いに対向するように突出して設けられたツメである。
【0028】
一方、被係合部27は、ツメである係合部152に係合する係合溝であり、装置本体20の両側面において、係合部152と対応する位置に設けられている。装置本体20の両側面は、装置本体20の底面20aが取り付け面11に載置した際に、両ガイド壁部144b、144cに対向し、被係合部27が係合部152に係合する。
【0029】
ここでは、係合部(ツメ)152と被係合(係合溝)部27とは、取付部144に対する装置本体20の装着方向(両ガイド壁144b、144cの互いに対向する端辺部から取り付け面11側に挿入する向き)と、交差する方向で係合している。これにより、装置本体20がカフ10に対して、装着方向とは逆方向に外れることを防止している。
【0030】
このような装置本体20の両側面に形成された被係合部(ここでは溝部)27と、係合部(ここでは溝部に係合するツメ部)152とを係合させることで、装置本体20は、被連結部126と連結筒部24とを連結した状態で、ホルダ14に保持されている。
【0031】
図3及び
図4に示すように、装置本体20側の連結筒部24は、装置本体20の底面20aに形成された突出筒部241と、突出筒部241の外周に囲むように設けられた外筒部242と、Oリング28とを有する。Oリング28は、連結筒部24と被連結部126との間の気密性を確保する緩衝部材としての機能を有するものであり、突出筒部241の外周に、突出筒部241を囲むように配設されている。このOリング28を介して、連結筒部24の突出筒部241と、カフ10側の被連結部126とが、気密性を確保した状態で連結している。
【0032】
一方、カフ10側の被連結部126は、取り付け面11に形成された凹部128内に、凹部128の内周面から離間した位置に配置されている。これにより、連結筒部24と被連結部126とが互いの開口方向で挿入されることによって、筒状の被連結部126は、突出筒部241と外筒部242との間に挿入されつつ、突出筒部241にOリング28を介して気密的に嵌まった状態となっている。
【0033】
このとき、装置本体20側の外筒部242は、カフ10側の被連結部126の外周で、凹部128内に挿入された状態となる。これにより、突出筒部241及び被連結部126は、凹部128内で且つ、外筒部242の内側で一層、気密的に連結された状態となっている。
【0034】
このように連結筒部24と被連結部126とが連結されることによって、給排気部22と帯状袋体12は接続されている。これにより、給排気部22は、帯状袋体12に対して確実に給排気でき、装置本体20は、給排気制御することで血圧を測定可能となる。
【0035】
なお、
図3及び
図5に示すように、ホルダ14において両ガイド壁部144b、144cのうち一方の壁部144cの端辺部1441には外方に突出してタブ146が形成されている。ここではタブ146は、端辺部1441の中央部分から、他方のガイド壁部144bの端辺部から離間する方向に向かって略水平方向に突出している。このタブ146をカフ10側に押して変形し、一方のガイド壁部144cの端辺部1441を、対向する装置本体20の側面から離間させることによって、係合部152であるツメが、ガイド壁部144cの係合溝から外れる。これにより、取付部144の装置本体20に対する挟持状態が解除される。これにより、カフ10から装置本体20を外すと同時に、連結筒部24と被連結部126との連結状態を解除できる。
【0036】
図6は、同生体情報計測装置100において、連結筒部24を介してカフ10に接続される装置本体20の要部構成を示すブロック図である。
【0037】
装置本体20は、連結筒部24を被連結部126に連結することによって、従来の血圧計と異なり、ホースを介することなく、カフ10に着脱自在に接続される。
【0038】
具体的には、装置本体20は、連結筒部24を有するマニホールド部202、第1圧力センサ204、第2圧力センサ206、測定用に使用する流量制御弁としての定速排気用の定排弁(第1排気弁)208、急速排気用の急排弁(第2排気弁)210、ポンプ212、制御部214と、入力部216、発音部218、RTC220、表示部222、電源部224、無線モジュール部226を有する。なお、電源部224は、電池225から制御部214を含む各部に電源を供給し、供給された電源によって各部は駆動する。
【0039】
マニホールド部202は、装置本体20内部の空気路であり、連結筒部24と、第1圧力センサ204、第2圧力センサ206、定排弁208、急排弁210及びポンプ212との間を互いに接続している。マニホールド部202は、連結筒部24、第1圧力センサ204、第2圧力センサ206、定排弁208、急排弁210及びポンプ212に加えて制御部214等を用いて給排気部22を構成する。
【0040】
言い変えれば、装置本体20において、カフ10への給排気経路に第1圧力センサ204、第2圧力センサ206、定排弁208、急排弁210及びポンプ212が設けられている。
【0041】
第1圧力センサ204は、カフ10(空気袋)内のカフ圧を測定し制御部214に出力する。具体的には、第1圧力センサ204は、例えば、ピエゾ素子などを用いた圧力−電気変換センサであり、カフ10に連結されたマニホールド部202内部の圧力を電気信号に変換して出力する。この電気信号(圧力信号)は、制御部214若しくは図示しないA/Dコンバータによって所定周波数でサンプリングされ、デジタルデータ化される。制御部214はデジタルデータ化された圧力信号に対してフィルタ処理などの信号処理を行い、圧力信号から脈波信号を抽出し、公知な方法に基づいて脈波信号を処理することにより血圧値を決定する。
【0042】
第2圧力センサ206は、第1圧センサ204と同様に、カフ10(空気袋)内のカフ圧を測定し制御部214に出力する。第2圧力センサ206は第1圧力センサ204と同様の構成でよく、測定された圧力信号もまた第1圧力センサ204で測定された圧力信号と同様に処理される。第2圧力センサ206で測定するカフ圧は、第1圧力センサ204で測定するカフ圧との比較に用いられる。なお、第2圧力センサ206は、第1圧力センサ204のカフ圧と比較する際に、第1圧力センサ204のカフ圧との差が所定値以内であるかを判別できれば、第1圧力センサ204よりも精度の低いセンサであってもよい。
【0043】
なお、マニホールド部202は、カフ10の空気袋を通じて接続された空間であるため、第1圧力センサ204と第2圧力センサ206とで測定される圧力信号は通常はほぼ等しい値となる。よって、制御部214は、第1圧力センサ204及び第2圧力センサ206からの信号の双方を監視し、第1圧力センサ204による測定の正確性を確保しつつ、カフ10への給気、カフ10の排気の制御を行う。具体的には、制御部214は、第1圧力センサ204で測定したカフ圧と、第2圧力センサ206で測定したカフ圧の差を監視する。カフ圧に所定値以上の差があれば、制御部214は、定排弁208及び急排弁210の一方を故障と判定して、定排弁208及び急排弁210の少なくとも一方を開く(ここでは両排気弁208、210を全開にする)等して、カフ10の排気を強制的に行う。
【0044】
定排弁208は、閉弁時にはカフ10の空気袋内のエアの排気を防止し、開弁してカフ10の空気袋内のエアを定速で排気する。定排弁208は、例えば電磁式の弁であり、定排弁208の開度は制御部214の制御に従って調整される。定排弁208は、カフ10のカフ圧を減小する際の測定時に用いられる。
【0045】
また、急排弁210は、閉弁時には空気袋内のエアの排気を防止し、開弁して空気袋内のエアを急速に排気する。急排弁210は、定排弁208と同様に、例えば、電磁式の弁であり、急排弁210の開度は制御部214の制御に従って調整される。急排気弁210は、カフ10を用いた血圧測定が終了した際に、定排弁208とともに全開になり、カフ10の排気を急速で行う。本実施の形態の急排弁210は、定排弁208とともに、ノーマリィーオープン式の弁であり、電圧をかけていないときに弁は全開している。これにより、カフ圧測定後、電源をオフにすることで、ノーマリィークローズ式の弁を用いる場合と異なり、定排弁208及び急排弁210の制御のための消費電力を無くすことができ、更に、カフ内に残存するエアによるカフ10の患者への締め付けを防止できる。
【0046】
また、急排弁210は、定排弁208の万が一の動作不良の場合にも対応し、定排弁208の駆動不良の際には、全開することでカフ10内のエアを全て抜く。
【0047】
これら定排弁208及び急排弁210は、カフ10に給気する際には、閉じられ、所定量のエアを給気した後、脈波検出時には定排弁208が、血圧決定後にはさらに急排気弁210が、それぞれ制御部214の制御に基づいて開かれる。
【0048】
なお、本実施の形態では、空気袋から排気する手段として、定排弁208或いは急排弁210が設けられているが、補助的な排気手段として、ポンプ212を利用することもできる。例えば、定排弁208を開くことによる排気だけでは不十分なとき、或いは高速排気が必要なときに、制御部214が、ポンプ212を逆回転させる制御を行う等する。これにより、確実且つ高速な排気が可能となる。
【0049】
ポンプ(給気部)212は、カフ10の空気袋の内部への給気を、制御部214の制御に従って行うことにより、カフ10を加圧して、カフ圧(つまり、空気袋の内部の空気圧)を上昇させる。
【0050】
制御部214は、装置本体20全体の動作を制御し、自動血圧測定を実現する。なお、制御部214は、例えばマイクロプロセッサ(CPU)と、CPUが実行するための制御ソフトウェアを記憶した不揮発性メモリと、制御ソフトウェアの実行に用いられる揮発性メモリとを有し、CPUが制御ソフトウェアを実行して装置本体20の各部を制御することにより、自動血圧測定を含む機能を実現する。
【0051】
制御部214は、ポンプ212、定排弁208及び急排弁210の動作を制御する。具体的には、制御部214は、定排弁208及び急排弁210を閉じてポンプ212を駆動し、カフ10に給気する。
【0052】
制御部214は、所定圧までカフ圧を上げた後、定排弁208及び急排弁210の一方の弁を開きつつ、他方の弁の開度を調整して、カフ圧を減小させながら第1圧力センサ204を用いてカフ圧を測定する。加えて、制御部214は、カフ圧を下げていく際に、脈波を検出する。制御部214は、検出する脈波に基づいて、上述したように収縮期血圧(最高血圧)及び拡張期血圧(最低血圧)を判定する。
【0053】
ここでは、制御部214は、カフ10を給気した後、排気する際に、急排弁210を、所定の流量で排気するように一定の開度に調整しつつ、定排弁208を、第1圧力センサ204を用いて、測定したカフ圧をフィードバックしながら制御して、単位時間当たりに一定の流量で排気するよう調整する。尚、急排弁210の一定の開度は、例えば、3段階くらいの開度を用意するようにしてもよい。これは排気する流量に応じて適宜変更する。
【0054】
なお、制御部214は、種類の異なるカフ(例えば、成人用カフ、小児用カフ等のように空気袋の大きさの異なるカフ)が接続される場合、給気開始直後のカフ圧変化(例えば第1圧力センサ204の出力に基づくカフ圧が10から30mmHgに上昇するのに要する時間)に基づいて、カフ10の種類(測定箇所に対応して異なる空気袋の大きさ)を判別してもよい。この場合、制御部214は、判別したカフの種類に応じて予め定められた給排気パターンを実現するよう、第1圧力センサ204の出力に従い、ポンプ212、定排弁208及び急排弁210の動作を制御する。定排弁208は、急排弁210よりも単位時間当たりの排気量が少なく、一般的には、例えば、5mmHg/秒程度の排気量を実現するが、10mmHg/秒程度としてもよい。
【0055】
なお、制御部214は、図示しない記憶部を有し、装置本体20が動作するために必要な情報や、測定時に入力される情報(患者の情報など)、測定して得られたデータ等を記憶してもよい。記憶部としては、例えば、半導体メモリや、ハードディスクドライブを代表とする磁気記録装置等から構成したり、内蔵メモリと、メモリカードリーダとの組み合わせなど、複数種の記憶装置を組み合わせることで構成したりしても良い。制御部214が用いる情報(制御プログラム、GUIデータ、初期設定値など)は、記憶部に少なくとも一部を記憶しておくことができる。
【0056】
RTC220はRTC回路であり、現在の時刻を計測し、制御部214が血圧或いは脈波を測定する時刻の設定に用いられる。なお、RTC220は、装置本体20の電源部224からの電源供給がない場合、バックアップ電池221で駆動する。このバックアップ電池221は、電源供給が無いときの制御部214に対して電源供給を行うことで、制御部214の揮発性メモリ内容を保持するためのバックアップ用電池などとしても使用される。
【0057】
表示部222は、例えばLCDのようなドットマトリックス形式のディスプレイ等から構成され、制御部214の制御に従って装置本体20の動作状態や測定結果、ガイダンスなどを例えばグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を用いて表示する。発音部218は、例えば、スピーカ等により構成され、制御部214の制御に従って、音声メッセージや警告音などを出力することができる。
【0058】
キー入力部216は、キー以外に、ボタン等、ユーザが血圧計100に指示を与えるために用いられる。キー入力部216の入力操作は制御部214が監視している。なお、キー入力部216は、表示部222にタッチパネルを取り付けた場合は、そのタッチパネルを用いても良い。
【0059】
無線モジュール部226は、測定して得られた血圧のデータを、近距離無線通信方式を利用して外部機器に送信する。例えば、920MHz帯で送受信可能な無線モジュールである。この無線モジュール部226と同様の通信モジュール部を受信部としてベッドサイドモニタ、テレメータ等のような他の生体情報収集装置に設けて、これら受信部を備えるベッドサイドモニタ、テレメータ等の他の生体情報収集装置に、生体情報計測装置100で取得した血圧のデータを、リアルタイムで送信する。ベッドサイドモニタ或いはテレメータが血圧のデータを受信した際には、血圧のデータを、ベッドサイドモニタ或いはテレメータで取得した生体情報ととともに、一括で、セントラルモニタに送信できる。なお、無線モジュール部226の通信方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Wi−Fi)等の無線通信方式を利用しても良い。
【0060】
上述の通り、本実施形態においては、装置本体20では、連結筒部24、マニホールド部202、第1圧力センサ204、第2圧力センサ206、定排弁208、急排弁210及びポンプ212は一体的に接続されている。
【0061】
この装置本体20を用いて血圧を測定する場合、まず、カフ10のホルダ14に装置本体20を取り付けて、装置本体20の連結筒部24とカフ10の被連結部126とを連結する。こうして装置本体20と一体になったカフ10を、患者の測定部位に巻き付けて血圧測定を開始する。
【0062】
装置本体20は、まず、全ての排気弁、つまり、定排弁208及び急排弁210を閉じて、装置本体20のポンプ212からカフ10の空気袋に至る経路内において、エアが抜けないようにする。そして、装置本体20において、制御部214がポンプ212を駆動して、カフ10を膨張させる。これにより、カフ10のカフ圧が上昇し、患者の測定部位を圧迫する。カフ10が所定のカフ圧に到達すると、第1圧力センサ204が、カフ圧が所定のカフ圧に到達したことを検知して、制御部214は、ポンプ212の駆動を停止する。次いで、制御部214は、定排弁208及び急排弁210の双方を制御して、カフ圧を減小(ここでは徐々に減小)していく。このとき、制御部214は、一方の弁(ここでは、急排弁210)の開度を一定の開度にして保持しつつ、他方の弁(ここでは、定排弁208)の開度をフィードバックで調整することによって、カフ10の排気を、単位時間当たり所定の流量で行うようにする。つまり、制御部214は、一方の弁を開きつつ他方の弁の開度のみをフィードバック調整してカフ圧を単位時間当たり一定の割合で減小させている。
【0063】
言い換えれば、制御部214は、急排弁210への供給電流を一定にして保持しつつ、定排弁208の開度だけをフィードバックで調整することによって、カフ10の排気を単位時間当たり一定の流量で行う。定排弁208及び急排弁210は、それぞれ、供給電流に対して、供給電流に応じた所定の開度が直線的な関係となる範囲を有する。定排弁208及び急排弁210は、ノーマリィーオープン式の弁の場合一般的に、供給電流が減小していくと、ある所定値以降では直線性を確保できなくなる特性を有する。本実施の形態では、制御部214は、カフ10の排気を行う際に、定排弁208及び急排弁210の各弁を、各弁において、開度(流量に相当)と、開度調整する供給電流とが直線性を有する範囲内で使用している。
【0064】
図7は、本実施の形態の同生体情報計測装置における定排弁の特性を示す図である。
【0065】
図7に示すように、定排弁208(急排弁210も同様)は、それぞれ、供給電流を小さくしていくと、所定の供給電流値までは、流量と線形性を有するが、所定の供給電流まで小さくなると開度が急激に大きくなる特性を有するノーマリィーオープン式の電磁弁である。
【0066】
図7では、弁の特性として、ここでは、3段階で異なる圧力(200mmHg(「−○−」で示す)、100mmHg(「−●−」で示す)、50mmHg(「−■−」で示す))で排気する際の弁の開度を調整するための供給電流mAと、この供給電流mAにより調整される弁の開度で排気するエアの流量ml/minとの関係を示している。
【0067】
図7に示すように、弁(各排弁208、210)は、供給電流を減少していくと、所定電流までは供給電流と弁の開度(流量)は線形性を有しているが、所定電流以下になると、供給電流に対応した弁の開度調整、つまり、流量の調整にならない。
【0068】
弁は、圧力50mmHgでは所定電流P1−P2間、圧力100mmHgではP3−P4間、圧力200mmHgではP5−P6間のそれぞれの範囲で示すように、異なるカフ圧に応じて、所定の傾きの範囲内で、供給電流と弁の開度(流量)でそれぞれ好適な線形性を有する。
【0069】
本実施の形態の生体情報計測装置100では、これら線形性を有する範囲の供給電流に対応する開度(線形性を有する開度)で、制御部214は、定排弁208と急排弁210の双方を制御して、カフ10の排気流量が所望の排気流量となるよう、カフ圧を制御する。
【0070】
ここでは、制御部214は、測定する圧力の最小圧力(50mmHg)において線形性を有する最小の供給電流値P1〜測定する圧力の最大圧力(200mmHg)において線形性を有する最大の供給電流値P6までの範囲の供給電流で弁を制御する。
【0071】
例えば、単位時間当たりに所定流量で排気する場合、急排弁210への供給電流を一定にして、急排弁210を所定流量より小さい(300ml/min以下)一定の流量で流れるようしつつ、定排弁208への供給電流を調整して小さくしていくよう制御する。
【0072】
例えば、排気流量を400ml/minに設定したい場合、どの圧力値でカフの排気を行う場合でも流量200ml/min付近では線形性を有している。
よって、100mmHgで、排気流量400ml/minで排気制御する場合、急排弁210の供給電流を200ml/minとなるように電流値P7を一定に保持しつつ、定排弁208への供給電流を、流量200ml/minとなる電流値P7となるように、フィードバック値を監視しつつ調整する。
【0073】
また、例えば、圧力200mmHgにおいて、排気流量を600ml/minに設定したい場合、急排弁210に電流値P9の電流を供給して、急排弁210の流量を、設定する排気流量600ml/minの1/2である300ml/minにする。加えて、定排弁208の流量が300ml/minとなるように、流量300ml/minで直線性を有する電流値P9を供給し、且つ、フィードバック値を監視しつつ、定排弁208への電流値P9のみを調整して定排弁208の開度を調整する。
【0074】
より具体的には、所望の排気流量Qとした場合、急排弁210がQの1/2の流量となるように、急排弁210へ電流を供給し、定排弁208への供給電流は、定排弁208の流量をQの1/2にして、定排弁208への供給電流だけを、フィードバック調整して、定排弁208の流量を制御する。
【0075】
このように本実施の形態によれば、まず、カフ10を患者の測定部位に装着し、カフ10に給気を行う(給気工程)。次いで、カフ10に接続された急排弁210及び定排弁208の開度を制御して、カフ10の排気、つまり、カフ10のカフ圧を減小していく(排気工程)。カフ10の排気を行う際に、急排弁210の開度を一定にしつつ、定排弁208の開度だけを調整することによって、カフ10の排気を単位時間当たり一定の流量で行う。
【0076】
これにより、一般的な通常の流量制御弁を用いて、定排弁208、急排弁210とともに、流量制御が不能となるまで供給電流を減小することなく、簡易な構造で、且つ、容易な制御で、カフの排気を好適に行うことができる。また、定排弁208及び急排弁210の一方を全閉するための消費電流を増加させることなく、定排弁208及び急排弁210を、開度と供給電流とが直線性を有する範囲において制御して、所望の排気流量で、カフの排気を行うことができる。これにより、例えば、電池駆動等といった小さい電流でも駆動可能であり、低コスト化を図りつつ、血圧、脈波を好適に測定できる。
【0077】
なお、本実施の形態において、カフ圧を一定の割合で減小する際に、定排弁208が排気の流量を細かく調整し、急排弁210が一定の流量で排気する構成としたが、定排弁208と急排弁210を逆にしてもよい。例えば、定排弁208で一定の流量で排気し、急排弁210が排気の流量を細かく調整するようにして、カフの排気を行って、カフのカフ圧を減小してもよい。
【0078】
また、本実施の形態において、定排弁208及び急排弁210は、それぞれノーマリィーオープン式の電磁弁を排気弁に適用して説明したが、これに限らず、ノーマリィークローズ式の電磁弁を用いて、制御するようにしてもよい。この場合、制御部214は、ノーマリィークローズ式の2つの排気弁のうち、一方の排気弁を開きつつ、他方の排気弁の開度を調整することにより、膨張したカフ10の排気を単位時間当たり一定の流量で行ってカフ10内のカフ圧を減小する制御を行う構成となる。
【0079】
また、ここでは、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明をソフトウェアで実現することも可能である。例えば、本発明に係るカフを減圧する方法のアルゴリズムをプログラム言語によって記述し、このプログラムをメモリに記憶しておいて情報処理手段によって、ポンプ212、定排弁208及び急排弁210を備える装置において実行させることにより、本発明に係る生体情報計測装置と同様の機能を実現することができる。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。