特許第6374738号(P6374738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374738
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】耐力壁
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20180806BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   E04B1/58 G
   E04B2/56 605D
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-189709(P2014-189709)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-61067(P2016-61067A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(72)【発明者】
【氏名】西村 健
(72)【発明者】
【氏名】永田 篤史
【審査官】 小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭47−18303(JP,U)
【文献】 実開昭53−33211(JP,U)
【文献】 特開平2−85437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 2/56
E04B 1/24
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜材と、この斜材の上端に設けられた被接合部材と、この被接合部材に接合され柱の側面に設けられた接合金物とを備える耐力壁であって、
前記接合金物が、下向き接合面部とこの下向き接合面部の前記柱から離れる方向の縁から立ち上がる横向き接合面部とでなるL字状接合面を有し、
前記被接合部材が、前記接合金物の前記下向き接合面部に接する上向き被接合面部、および前記横向き接合面部にライナを介してまたは直接に接する横向き被接合面部を有するL字状被接合面を有し、
前記接合金物と前記被接合部材とが、前記下向き接合面部と前記上向き被接合面部とを貫通するボルトにより引っ張り接合形式で接合され、かつ前記横向き接合面部と前記横向き被接合面部とを貫通するボルトにより引っ張り接合形式で接合された
ことを特徴とする耐力壁。
【請求項2】
請求項1に記載の耐力壁において、前記接合金物の前記L字状接合面における前記下向き接合面部が水平方向であり、前記横向き接合面部が鉛直方向である耐力壁。
【請求項3】
請求項2に記載の耐力壁において、前記接合金物が、前記柱側に開口して前記柱に溶接された横向き溝形の部材である耐力壁。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の耐力壁において、前記接合金物の前記下向き接合面部に設けられて前記ボルトと取り合う孔、および前記被接合部材の前記上向き被接合面部に設けられて前記ボルトと取り合う孔のいずれか一方または両方が、前記柱に対する遠近方向に延びて前記ライナの介在による前記横向き接合面部と前記横向き被接合面部との間の距離の変動を吸収する長孔とされた耐力壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄骨系等の住宅やその他の建物の耐力壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨系等の建物の耐力壁おいて、斜材の上端の接合は図8に分解状態で示すように行うことが多い。同図の例では、斜材224の上端の被接合部材226は、柱221に設けられた接合金物225に重ねられ、これら被接合部材226および接合金物225に設けられたボルト挿通孔227,228を貫通する中ボルトなどのボルトとナット(いずれも図示せず)で締め付けて接合する。
【0003】
図9は、他の従来例となる鉄骨系等の建物の耐力壁を示す。同図9(A)のように、隣合う柱121,121の間に斜材124を設け、その斜材124の上端を一方の柱121に接合し、斜材124の下端を他方の柱121に接合して構成される耐力壁120がある。この耐力壁120では、斜材124の上端は、図9(B)に拡大して示すように、前記一方の柱121の上部に設けられた接合金物125に被接合部材126を介して接合される。具体的には、前記斜材124の上端に前記被接合部材126が溶接により接合され、その被接合部材126は上端に斜材124の軸心に対して垂直となる被接合面部127を有する。また、前記接合金物125は、下端に前記被接合面部127に接する傾き姿勢の接合面部128を有する。前記接合金物125の接合面部128と前記被接合部材126の被接合面部127とは、互いに重ね合わせて、その重なり部分を貫通するボルト129により引っ張り接合形式で接合される。
【0004】
また、柱121側の接合金物125の接合面部128と斜材124側の被接合面部127との間にライナ(図示せず)を介在させることで、柱121の建ち調整、すなわち施工誤差等による柱121の壁幅方向の傾きの調整作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−088956号公報
【特許文献2】特開2009−256939号公報
【特許文献3】特開2010−031474号公報
【特許文献4】特開2010−255203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8に示す接合形式では、施工誤差などによるボルト挿通孔227,228の芯ずれを吸収するために、両ボルト挿通孔227,228のいずれか一方または両方が、例えば1〜2ランク程度大きいボルト用の孔径とされる。具体例を示すと、ボルト径20mmに対して孔径22mmとされる。しかし、地震等で柱221と斜材224との間に相対移動させる大きな荷重が作用したときに、中ボルトによる接合では、被接合部材226と接合金物225とに、ボルト挿通孔227,228の内面とボルト外面との間の遊びの範囲でせん断方向の滑りが生じることがある。このせん断方向の滑りは、高力ボルトを用いた摩擦ボルト接合では阻止できるが、高力ボルトはコスト高になり、扱える作業者も限られるため、低層の住宅では適さない。
【0007】
また、図9図10に示した従来例では、柱121の傾斜を修正する建ち調整を、前記被接合面部127と接合面部128との間にライナを介在させて行っているが、双方が傾き姿勢にある被接合面部127と接合面部128との間にライナを介在させるので、ライナの厚みがそのまま柱121の建ち調整量とはならず、どれだけの厚さのライナを入れると適切な建ち調整が行えるかの判断が難しい。
この他に、斜材124の勾配毎に、柱121側の接合金物125につき、接合面が異なる角度のものを準備しなくてはならず、部品種が増え、コストアップに繋がる。
【0008】
この発明の目的は、斜材と柱との接合を、通常のボルトを用いても滑りのない接合とでき、建ち調整も容易に行うことができる耐力壁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の耐力壁は、斜材と、この斜材の上端に設けられた被接合部材と、この被接合部材に接合され柱の側面に設けられた接合金物とを備える耐力壁であって、
前記接合金物が、下向き接合面部とこの下向き接合面部の前記柱から離れる方向の縁から立ち上がる横向き接合面部とでなるL字状接合面を有し、
前記被接合部材が、前記接合金物の前記下向き接合面部に接する上向き被接合面部、および前記横向き接合面部にライナを介してまたは直接に接する横向き被接合面部を有するL字状被接合面を有し、
前記接合金物と前記被接合部材とが、前記下向き接合面部と前記上向き被接合面部とを貫通するボルトにより引っ張り接合形式で接合され、かつ前記横向き接合面部と前記横向き被接合面部とを貫通するボルトにより引っ張り接合形式で接合されたことを特徴とする。
【0010】
この構成によると、柱の側面に設けられた接合金物と斜材の上端に設けられた被接合部材とが、接合金物の下向き接合面部と被接合部材の上向被接合面部とを貫通するボルトにより引っ張り接合形式で接合されるので、この接合部分で上下方向に拘束される。かつ、接合金物の横向き接合面部と被接合部材の横向き被接合面部とを貫通するボルトにより引っ張り接合形式で接合されるので、この接合部分で壁幅方向となる横方向に拘束される。このように、上下方向および横方向の拘束が各ボルトの接合部分で行われるので、斜材と柱との接合を、中ボルト等の通常のボルトを用いても、上下方向にも横方向にも滑りのないボルト接合とすることができる。
また、柱の建ち調整は、接合金物の横向き接合面部と被接合部材の横向き被接合面部との間にライナを介在させて行われるので、建ち調整量に相当する厚みのライナを介在させることで、容易にその作業を行うことができる。
前記接合金物はL字状接合面を有する部材であるため、斜材の勾配が種々異なる耐力壁に対して共通して使用でき、部品の共通化による生産性の向上効果も得られる。
なお、前記L字状接合面は、多少は傾斜していても良く、その場合でも互いにL字形を成すように下向き接合面部と横向き接合面部を有することで、2方向の拘束がなされ、両方向に滑りのないボルト接合が行える。また建ち調整も容易に行える。また、前記L字状接合面は、必ずしも前記下向き接合面部と横向き接合面部とが90度の角度を成していなくても良く、90度に対して多少は開いていても、また狭まっていても良い。
【0011】
この発明の耐力壁において、前記接合金物の前記L字状接合面における前記下向き接合面部が水平方向であり、前記横向き接合面部が鉛直方向であっても良い。
この構成の場合、前記接合金物の横向き接合面部と前記被接合部材の横向き被接合面部との間にライナを鉛直に介在させることになり、ライナの厚み分だけ正確に柱の建ち調整を行うことができ、建ち調整作業をより容易に、かつ精度良く行うことができる。
【0012】
この発明の耐力壁において、前記接合金物が、前記柱側に開口して前記柱に溶接された横向き溝形の部材であっても良い。
横向き溝形の部材であると、L字状接合面を持つ接合金物を容易に製作でき、かつ上下のフランジ部分を柱に溶接できて堅固に接合できる。
【0013】
この発明の耐力壁において、前記接合金物の前記下向き接合面部に設けられて前記ボルトと取り合う孔、および前記被接合部材の前記上向き被接合面部に設けられて前記ボルトと取り合う孔のいずれか一方または両方が、前記柱に対する遠近方向に延びて前記ライナの介在による前記横向き接合面部と前記横向き被接合面部との間の距離の変動を吸収する長孔とされても良い。
この構成の場合、建ち調整量に応じてライナの厚みを変える場合でも、前記長孔でその厚み変動分を吸収してボルト接合が行え、接合金物および被接合部材を取り替えることなく対応することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明の耐力壁は、斜材と、この斜材の上端に設けられた被接合部材と、この被接合部材に接合され柱の側面に設けられた接合金物とを備える耐力壁であって、前記接合金物が、下向き接合面部とこの下向き接合面部の前記柱から離れる方向の縁から立ち上がる横向き前記接合面部とでなるL字状接合面を有し、前記被接合部材が、前記接合金物の前記下向き接合面部に接する上向き被接合面部、および横向き接合面部にライナを介してまたは直接に接する横向き被接合面部を有するL字状被接合面を有し、前記接合金物と前記被接合部材とが、前記下向き接合面部と前記上向き被接合面部とを貫通するボルトにより引っ張り接合形式で接合され、かつ前記横向き接合面部と前記横向き被接合面部とを貫通するボルトにより引っ張り接合形式で接合されているため、斜材と柱との接合を、通常のボルトを用いても滑りのない接合とでき、建ち調整も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)はこの発明の第1の実施形態に係る耐力壁の正面図、(B)はその側面図である。
図2】同耐力壁における斜材上端接合部の拡大正面図である。
図3】同斜材上端接合部の拡大側面図である。
図4】同斜材上端接合部の分解斜視図である。
図5】同斜材上端接合部にライナを介在させた状態を示す拡大正面図である。
図6】同耐力壁における斜材下端接合部の拡大正面図である。
図7】この発明の他の実施形態に係る耐力壁の正面図である。
図8】従来例の分解状態の正面図である。
図9】(A)は他の従来例の部分破断正面図、(B)はその部分拡大図である。
図10】ボルト接合の滑り説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図6と共に説明する。この耐力壁20は、互いに離れた一対の柱21,21と、これら一対の柱21,21における一方の柱21に上端が接合され他方の柱21に下端が接合された斜材24とを備える。隣合う柱21,21の上端は、梁23によって接合される。柱21の下端は、例えば、その下端に設けられたベースプレート27を介して、基礎100の天端面にアンカーボルト(図示せず)で接合される。ベースプレート27は、図示の例では、柱21の下端面に横向きに接合されたH形鋼の切片の下フランジで構成される。斜材24の上端には被接合部材2が設けられ、この被接合部材2は、前記一方の柱21の側面に設けられた接合金物1に接合される。また、斜材24の下端には別の被接合部材12が設けられ、この被接合部材12は、前記他方の柱21の側面に設けられた接合金物11に接合される。この耐力壁20は、例えば戸建て住宅の耐力壁であって、鉄骨のフレームからなる。各柱21、梁23、および斜材24は、いずれも角形パイプまたはその他の形鋼等の鋼材からなる。
【0017】
前記一方の柱21の側面に設けられた接合金物1は、図2に拡大して示すように、下向き接合面部3aとこの下向き接合面部3aの前記柱21から離れる方向の縁から立ち上がる横向き接合面部3bとでなるL字状接合面3を有する。この接合金物1は、前記柱21側に開口してその柱21に溶接された横向き溝形の部材からなり、例えば鋼板を溝形に曲げ加工して製造される。前記斜材24の上端に設けられた被接合部材2は、前記接合金物1の下向き接合面部3aに接する上向き被接合面部4a、および前記横向き接合面部3bにライナ17(図5)を介してまたは直接に接する横向き被接合面部4bを有するL字状被接合面4を有する。ここでは、接合金物1のL字状接合面3における下向き接合面部3aは水平方向とされ、横向き接合面部3bは鉛直方向とされている。
【0018】
前記被接合部材2は、斜材24の軸心方向に延びる鋼材2aの上端面に、水平姿勢の板片2bを溶接し、この板片2bの上に鉛直姿勢の板片2cを溶接して構成される。前記水平姿勢の板片2bにより、前記上向き被接合面部4aが形成され、鉛直姿勢の板片2cで前記横向き被接合面部4bが形成される。前記鋼材2aは、具体的には、壁面に平行な平行板材2aaと、これに垂直なリブ板材2abと、下端の端板2acとでなる。前記鋼材2aは、この端板2acで、下端面が斜材24の上端面に溶接される。
平行板材2aaは、図2を側面から見た図を図3に示すように、斜材24の耐力壁厚み方向の中央にあり、その両面にリブ板材2abが突出している。
【0019】
前記接合金物1と被接合部材2とは、前記下向き接合面部3aと前記上向き被接合面部4aとを貫通するボルト5により引っ張り接合形式で接合され、かつ前記横向き接合面部3bと前記横向き被接合面部4bとを貫通するボルト6により引っ張り接合形式で接合されている。このボルト5,6による接合は、ナット5a,6aを用いて行われる。また、各ボルト5,6には中ボルト等が用いられる。
【0020】
前記斜材24の上端接合部の分解斜視図を図4に示す。同図のように、前記接合金物1の下向き接合面部3aには、前記ボルト5と取り合う孔7が設けられ、前記被接合部材2の上向き被接合面部4aには前記ボルト5と取り合う孔8が設けられている。また、前記接合金物1の横向き接合面部3bには、前記ボルト6と取り合う孔9が設けられ、前記被接合部材2の横向き被接合面部4bには前記ボルト6と取り合う孔10が設けられている。被接合部材2の上向き被接合面部4aに設けられた孔8は、一方の柱21に対する遠近方向に延びてライナ17(図5)の介在による前記横向き接合面部3bと前記横向き被接合面部4bとの間の距離の変動を吸収する長孔とされている。このように長孔とすることで、建ち調整量に応じてライナ17の厚みを変える場合でも、ボルト5の挿通が可能であり、接合金物1および被接合部材2を取り替えることなく対応することができる。ここでは、被接合部材2の上向き被接合面部4aに設けられた孔8を長孔としているが、前記接合金物1の下向き接合面部3aに設けられた孔7を長孔としても良い。さらには、被接合部材2の上向き被接合面部4aに設けられた孔8と、接合金物1の下向き接合面部3aに設けられた孔7の両方を長孔としても良い。
【0021】
図6に示すように、斜材24の下端に設けられた別の被接合部材12は、前記他方の柱21の側面に設けられた別の接合金物11に接合される。斜材24の下端の被接合部材12は、例えばH形鋼の切片からなり、片方のフランジが斜材24の下端面に溶接等で接合されていて、もう片方のフランジの下面が斜材24の軸心に対して垂直となる被接合面部14aとされる。柱21側の接合金物11は、下端に柱21の側面に溶接等で接合される鉛直材15を有し、上端に前記被接合部材12の被接合面部14aに接する傾斜姿勢の接合面部13aを有する。この接合金物11の接合面部13aと前記被接合部材12の被接合面部14aとは互いに重ね合わされ、その重なり部分を貫通するボルト16により引っ張り接合形式で接合される。
【0022】
この構成の耐力壁20によると、柱21の側面に設けられた接合金物1と斜材24の上端に設けられた被接合部材2とが、接合金物1の下向き接合面部3aと被接合金物2の上向き被接合面部4aとを貫通するボルト5により引っ張り接合形式で接合され、かつ接合金物1の横向き接合面部3bと被接合部材2の横向き被接合面部4bとを貫通するボルト6により引っ張り接合形式で接合されている。そのため、接合部分に作用する水平方向の荷重が水平方向のボルト6で負担され、鉛直方向の荷重が鉛直方向のボルト5で負担される。これにより、斜材24と柱21との接合を滑りのないボルト接合とすることができる。この場合に、各ボルト5,6には中ボルト等の通常のボルトが使用でき、高力ボルト等の高価なボルトを用いることなく、滑りのないボルト接合が行える。
【0023】
また、柱21の建ち調整は、図5のように、接合金物1の横向き接合面部3bと被接合部材2の横向き被接合面部4bとの間にライナ17を介在させて行われるので、建ち調整量に相当する厚みのライナ17を介在させることで、容易にその作業を行うことができる。特に、この実施形態では、接合金物1のL字状接合面3における下向き接合面部3aが水平方向とされ、横向き接合面部3bが鉛直方向とされているので、前記ライナ17を鉛直姿勢に介在させることになり、ライナ17の厚みを建ち調整量に合わせることで、建ち調整を精度良くより容易に行うことができる。
【0024】
前記接合金物1はL字状接合面3を有する部材であるため、斜材24の勾配が種々異なる耐力壁20に対して共通して使用でき、部品の共通化による生産性の向上効果も得られる。
【0025】
図7は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態の耐力壁20は、斜材24の下端がダンパー31を介して前記他方の柱21に接合されたダンパー付き耐力壁である。ダンパー31は、地震などにより加わるエネルギーを吸収する部材である。ダンパー31は前記エネルギー吸収の機能が得られる構成であれば良く、種々の形式がものが採用できる。ダンパー31を設けることで、耐力壁20が吸振機能を持つことができる。
このようなダンパー31を備える耐震壁20においても、この発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…接合金物
2…被接合部材
3…L字状接合面
3a…下向き接合面部
3b…横向き接合面部
4…L字状被接合面
4a…上向き被接合面部
4b…横向き被接合面部
5,6…ボルト
7〜10…孔
17…ライナ
20…耐力壁
21…柱
24…斜材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10