特許第6374764号(P6374764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 明和工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6374764-Y形ストレーナー 図000002
  • 特許6374764-Y形ストレーナー 図000003
  • 特許6374764-Y形ストレーナー 図000004
  • 特許6374764-Y形ストレーナー 図000005
  • 特許6374764-Y形ストレーナー 図000006
  • 特許6374764-Y形ストレーナー 図000007
  • 特許6374764-Y形ストレーナー 図000008
  • 特許6374764-Y形ストレーナー 図000009
  • 特許6374764-Y形ストレーナー 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374764
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】Y形ストレーナー
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/02 20060101AFI20180806BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20180806BHJP
   F16L 55/24 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B01D35/02 A
   B01D29/10 501C
   B01D29/10 510C
   B01D29/10 530A
   F16L55/24 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-228576(P2014-228576)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-87589(P2016-87589A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】591197633
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 恵介
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−230305(JP,A)
【文献】 特開2010−255828(JP,A)
【文献】 特開2003−176883(JP,A)
【文献】 特開2013−024280(JP,A)
【文献】 特開2012−105853(JP,A)
【文献】 特開平02−157010(JP,A)
【文献】 実開昭60−124617(JP,U)
【文献】 特表2005−521546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 35/02
B01D 29/11
F16L 55/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入管及び流出管と各々接続する流入部及び流出部と濾過室を備え、前記濾過室に筒状スクリーン体を流入側が水密となるように収納し、前記濾過室の開口部に着脱自在のキャップ体を設けたY形ストレーナーにおいて、キャップ体を、挿入筒部と底面部と底面部に突設した操作部を備える容器形状に形成すると共に、前記挿入筒部周面に係止突部を設け、濾過室開口部に、前記挿入筒部が密挿される受筒部を設けると共に、前記受筒部内における奥方側にリングシールを装着し、開口側に係止突部が係合する係合凹条部と、係合凹条部に係止突部が進出可能とする開口端切欠部を形成してなることを特徴とするY形ストレーナー。
【請求項2】
開口端切欠部及び開口端切欠部に面した係合凹条部を満たすと共に、前記開口端切欠部の箇所に係止可能とした係止構造を備えた樹脂製装着体を、キャップ体装着後に開口端切欠部及び開口端切欠部に面した係合凹条部を共に満たすように係着してなる請求項1記載のY形ストレーナー。
【請求項3】
流入部と濾過室の間に仕切り部を設けると共に、仕切り部に装着筒孔を形成し、筒状スクリーン体が、前記仕切り部と装着したキャップ体底面部との距離に対応する長さで、先端に前記装着筒孔に外挿するリングシールを内装した外挿部を設けてなる請求項1又は2記載のY形ストレーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物を含む管路に介装して管路内通過流体から異物を除去するY形ストレーナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
Y形ストレーナーは周知のとおり本体となるY形管の一辺管を濾過室とし、他方辺管を流入管と流出管と接続し、濾過室内に筒状スクリーン体を差し入れ、濾過室開口部をキャップ体で閉塞しているものである。
【0003】
キャップ体は、ねじ込み形と称されナットタイプやボルトタイプの形式の部材(特許文献1,2)、フランジ形と称される濾過室開口部のフランジと連結する蓋体の形式の部材が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−115013号公報。
【特許文献2】特開2010−255828号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Y形ストレーナーは管路途中に介設して使用するものであるが、筒状スクリーン体が異物を捕捉するため、当然に異物の捕捉に応じて目詰まりが生ずるので、適期な期間ごとに前記筒状スクリーン体の洗浄や交換が必要になってくる。
【0006】
前記の筒状スクリーン体の洗浄・交換作業は、キャップ体を濾過室開口部から外して行なうため、従前のフランジ型タイプでは、フランジ連結に使用されているボルト・ナットの着脱作業が煩瑣であり、またナットタイプのものでも、特許文献2に開示されているように、キャップ体に操作ハンドルを付設する手段を採用しなければならないように、やはり着脱作業が煩瑣である。
【0007】
そこで本発明は、キャップ体の着脱操作が容易に行うことができる新規なY形ストレーナーを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るY形ストレーナーは、流入管及び流出管と各々接続する流入部及び流出部と濾過室を備え、前記濾過室に筒状スクリーン体を流入側が水密となるように収納し、前記濾過室の開口部に着脱自在のキャップ体を設けたY形ストレーナーにおいて、キャップ体を、挿入筒部と底面部と底面部に突設した操作部を備える容器形状に形成すると共に、前記挿入筒部周面に係止突部を設け、濾過室開口部に、前記挿入筒部が密挿される受筒部を設けると共に、前記受筒部内における奥方側にリングシールを装着し、開口側に係止突部が係合する係合凹条部と、係合凹条部に係止突部が進出可能とする開口端切欠部を形成してなることを特徴とするものである。
【0009】
従って筒状スクリーン体を濾過室に収納した状態で、キャップ体を受筒部内に、キャップ体の係止突部を開口端切欠部から差し入れて係合凹条部内に位置させ、しかる後回動させて係止突部を開口端切欠部から移動させると、キャップ体が水密で抜け止め状態となる。またキャップ体を回動して、係止突部を開口端切欠部の位置に戻すと、キャップ体を抜き出すことができる。
【0010】
また本発明の請求項2記載の発明は、開口端切欠部及び切欠部に面した係合凹条部を満たすと共に、前記開口端切欠部の箇所に係止可能とした係止構造を備えた樹脂製装着体を、キャップ体装着後に開口端切欠部及び開口端切欠部に面した係合凹条部を共に満たすように係着してなるもので、キャップ体の装着後に開口端切欠部及びそれに連続する係合凹条部を、樹脂製装着体で埋めることによって、キャップ体が回動しても係止突部が開口端切欠部に達することが阻止され、キャップ体が外れてしまう不測の事態の発生を防止する。
【0011】
また本発明の請求項3記載の発明は、流入部と濾過室の間に仕切り部を設けると共に、仕切り部に装着筒孔を形成し、筒状スクリーン体が、前記仕切り部と装着したキャップ体底面部との距離に対応する長さで、先端に前記装着筒孔に外挿するリングシールを内装した外挿部を設けたもので、筒所スクリーン体を流入側に対して確実に水密となるようにした。即ち装着筒孔に外挿部を装着(外挿)すると、リングシールで流入部と濾過室との間に筒状スクリーン体が介在し、且つ筒状スクリーン体を濾過室収納のためにその全長を濾過室全長より短く形成したとしても、装着筒部の形成長さを適宜定めておくと、管路を流れる液体(通過流体)によって筒状スクリーン体が濾過室開口端側に押されて移動したとして、前記の水密性は確保できるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記の構成とおりで、筒状スクリーン体の洗浄・交換作業のためのキャップ体の着脱を、従前器具のようなフランジ連結のボルト・ナットの着脱作業や、螺合キャップ体の回転操作を行うことなく、キャップ体の半回転以下の回動操作で行うことができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態のストレーナー本管の一部切断した正面図。
図2】同筒状スクリーン体とキャップ体の一部切断した正面図。
図3】同本管に筒状スクリーン体を収納した状態の一部切断した正面図。
図4】同筒状スクリーン体の装着状態の断面部(流入部側)。
図5】同図(キャップ体側)。
図6】同キャップ体の装着説明図。
図7】同斜視図(装着前)。
図8】同図(装着操作時)。
図9】同図(装着後)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示したY形ストレーナーは、流入管A及び流出管Bの間に介設するもので、本管1と、筒状スクリーン体2と、キャップ体3と樹脂製装着体4で構成される。
【0015】
本管1は、従前周知のY形状で、管路に接続される流入部11と流出部12と、前記の流入部11及び流出部12との間の流路となり所定の濾過面積を得ることができるようにした濾過室13で形成され、流入部11と流出部12の開口端は、流入管A及び流出管Bと連結するためのフランジ111,121が設けられている。尚図1における流入管A及び流出管Bの配置を便宜上上下で表示したもので、使用状態は左右に配置されるものである。
【0016】
濾過室13は、流入部11との間に仕切り部131を設けると共に、前記仕切り部131に濾過室13の開口部方向に適宜長さ(後述する筒状スクリーン体2の長手方向移動範囲以上)の直線状に延設した装着筒孔132を設ける。
【0017】
また濾過室13の開口個所には、受筒部133を形成してなり、前記受筒部133は、内周面奥方にリングシール134を装着し、開口側に内面全周に渡る係合凹条部135を形成し、且つ係合凹条部135の一部が開口端まで連続するように、開口端切欠部136を形成したものである。尚前記の受筒部133、リングシール134及び係合凹条部135は、後述するキャップ体3の各部の形状に対応する寸法としたものである。また開口端切欠部136に隣接して後述する樹脂製装着体4の係止凹溝137を設けておく。
【0018】
筒状スクリーン体2は、仕切り部131と受筒部133の開口端(後述するキャップ体3の装着時の底面部32)との距離に対応する長さで、所定のメッシュ状に形成したスクリーン筒部21の尾端を底面板部22で塞ぎ、先端に外挿部23を設けたものである。
【0019】
外挿部23は、前記装着筒孔132に外挿できる大きさで、内周面にリングシール231を設けて、装着筒孔132に水密状態で装着できるようにしたものである。
【0020】
キャップ体3は、挿入筒部31と、底面部32と、底面部32に突設した操作部33を備える容器形状に形成したものである。挿入筒部31は、濾過室13の開口個所に設けた受筒部133に着脱される外径を備え、周面に係止突部311を設けてなる。
【0021】
係止突部311は、適宜幅及び高さを備え、且つ対向位置で中心角90〜45度の長さ(円周方向の幅)に設けたもので、前記した係止凹条部135の溝幅及び開口端切欠部136の開口幅と対応するものである。
【0022】
樹脂製装着体4は、開口端切欠部136に臨む係止凹条部135と、その受筒部133の表面部分とを自己の弾性で挟持すると共に、開口端切欠部136を満たす形状で、前記挟持に際して係止凹溝137に係止される突部(図示せず)を設けてなる。
【0023】
而して前記Y形ストレーナーは、本管1を管路(流入管Aと流出管Bの間)に介装し、濾過室13内に開口部から筒状スクリーン体2を差し込み収納し、キャップ体3で濾過室13の開口部を閉塞したもので、流入部11に侵入した管路通過液体は、筒状スクリーン体2を通過して流出部12に流れ、筒状スクリーン体2を通過に際して、通過流体に含まれる異物を捕捉するものである。
【0024】
筒状スクリーン体2の装着手段は、筒状スクリーン体2を受筒部133から濾過室13内に差し入れ、外挿部23を装着筒孔132に装着する。前記の装着は、装着筒孔132がリングシール231の内方に密挿され、通過流体が必ず筒状スクリーン体2を通過することになり、流入部11から直接流出部12に漏出することが無い。
【0025】
次にキャップ体3を受筒部133に装着するもので、キャップ体3の係止突部311を開口端切欠部136の位置に合わせ、挿入筒部31を受筒部133内に差し入れ、係止突部311が係合凹条部135の位置に達すると、係合凹条部135にぶつかる。この位置で挿入筒部31はリングシール134に密挿され、濾過室13は、キャップ体3によって水密状態で閉塞される。
【0026】
更にキャップ体3を、所定角度(係止突部311が開口端切欠部136から完全に隠れる位置まで)回動させる。この回動操作による係合凹条部135と係止突部311の係合により、キャップ体3は抜け止め状態となる。
【0027】
次に樹脂製装着体4を装着するもので、キャップ体3の装着後の開口端切欠部136及び開口端切欠部136に連続する係合凹条部135の空間を、樹脂装着体4で満たし、キャップ体3が回動しても係止突部311が開口端切欠部136に達することを阻止するものである。
【0028】
従って筒状スクリーン体2の洗浄・交換作業のために行う、キャップ体3の濾過室13の開口部からの脱着作業は、樹脂製装着体4の脱着と、キャップ体3の90度以下の回動操作であり、簡単な操作で行うことができたものである。
【0029】
また筒状スクリーン体2の水密装着においても、特に装着筒孔132と筒状スクリーン体2の外挿部23の組み合わせによって、筒状スクリーン体2の装着に多少の遊びが存在したとしても、管路通過液体の流れ込みによって筒状スクリーン体2が濾過室13の開口端側(キャップ体3の底面部32)に押されて安定し、且つ水密性は維持されることになる。而も前記の遊びの存在によって、筒状スクリーン体2の全長と濾過室13の全長との完全な一致を求めなくとも良く、製造上の精度を厳しく要求されることなく、実質的にキャップ体3の製造が容易になるものである。
【0030】
尚本実施形態において、開口端切欠部136が受筒部133の表面側まで達する形態に図示しているが、少なくとも係止突部311を係合凹条部135の位置まで差し込むことが可能であれば良く、受筒部133の表面まで達しない形態でも良い。
【符号の説明】
【0031】
1 本管
11 流入部
12 流出部
111,121 フランジ
13 濾過室
131 仕切り部
132 装着筒孔
133 受筒部
134 リングシール
135 係合凹条部
136 開口端切欠部
137 係止凹溝
2 筒状スクリーン体
21 スクリーン筒部
22 底面板部
23 外挿部
231 リングシール
3 キャップ体
31 挿入筒部
311 係止突部
32 底面部
33 操作部
4 樹脂製装着体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9