(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IL-2およびIL-21の存在下でウサギB細胞をウサギCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程を含み、IL-4が培養培地に添加されず、IL-2およびIL-21は培養開始時にのみ添加され、培養に添加されるサイトカインはIL-2およびIL-21のみであり、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞はCHO細胞であり、ウサギB細胞は血液から得られる、抗体を産生するための方法。
IL-2およびIL-21の存在下でのウサギB細胞およびウサギCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含み、IL-4が培養培地に添加されず、IL-2およびIL-21は培養開始時にのみ添加され、培養に添加されるサイトカインはIL-2およびIL-21のみであり、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞はCHO細胞であり、ウサギB細胞は血液から得られる、T細胞表面抗原に特異的に結合しかつT細胞に対する負の刺激を媒介する抗体を分泌するウサギB細胞を培養するための方法。
抗体分泌ウサギB細胞の共存培養における、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞、IL-2、およびIL-21の使用であって、IL-4が培養培地に添加されず、IL-2およびIL-21は培養開始時にのみ添加され、培養に添加されるサイトカインはIL-2およびIL-21のみであり、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞はCHO細胞であり、ウサギB細胞は血液から得られる、使用。
【発明の概要】
【0009】
ウサギ(またはヒト)B細胞から出発し、少なくとも1つの培養工程を含む、ウサギ(またはヒト)抗体を迅速に、効率的に、かつ再現可能に作製するための新たな方法が本明細書において報告される。
【0010】
高効率のウサギB細胞刺激および培養系を提供する、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞と併用することができるフィーダーミックスが本明細書においてさらに報告される。
【0011】
高効率のヒトB細胞刺激および培養系を提供する、ヒトCD40L発現哺乳動物細胞と併用することができるフィーダーミックスが本明細書においてさらに報告される。
【0012】
本明細書において報告される1つの局面は、ウサギB細胞およびウサギCD40L発現哺乳動物細胞を共存培養するための方法である。
【0013】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2およびIL-21の存在下で/ IL-2およびIL-21と一緒にウサギB細胞およびウサギCD40L発現哺乳動物細胞を共存培養するための方法である。1つの態様において、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞はCHO細胞またはBHK細胞である。
【0014】
本明細書において報告される1つの局面は、ヒトB細胞およびヒトCD40L発現哺乳動物細胞を共存培養するための方法である。
【0015】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下で/IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6と一緒にヒトB細胞およびヒトCD40L発現哺乳動物細胞を共存培養するための方法である。
【0016】
1つの態様において、ヒトCD40L発現哺乳動物細胞はBHK細胞またはCHO細胞である。
【0017】
1つの態様において、共存培養する工程はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0018】
1つの態様において、共存培養する工程はIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われる。
【0019】
1つの態様において、共存培養において用いられるインターロイキンは全てヒトインターロイキンである。
【0020】
本明細書において報告される1つの局面は、抗体分泌ウサギB細胞およびウサギCD40L発現哺乳動物細胞を培養する工程、ならびに培養上清から抗体を回収し、それによって、ウサギ抗体を産生する工程を含む、ウサギ抗体を産生するための方法である。
【0021】
1つの態様において、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞はCHO細胞またはBHK細胞である。
【0022】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2およびIL-21の存在下で/ IL-2およびIL-21と一緒に1つまたは複数の抗体分泌ウサギB細胞およびウサギCD40L発現哺乳動物細胞を培養する工程、ならびに培養上清から抗体を回収し、それによって、ウサギ抗体を産生する工程を含む、ウサギ抗体を産生するための方法である。
【0023】
1つの態様において、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞はCHO細胞またはBHK細胞である。
【0024】
1つの態様において、IL-2およびIL-21は培養開始時に添加される。
【0025】
1つの態様において、IL-2およびIL-21は培養開始時にのみ添加される。
【0026】
1つの態様において、ウサギB細胞はナイーブまたは非成熟ウサギB細胞である。
【0027】
1つの態様において、B細胞はIgG陽性B細胞(IgG
+)である。IgG陽性B細胞は、検出および標識することができる細胞表面マーカーIgGを示す。
【0028】
本明細書において報告される1つの局面は、抗体分泌ヒトB細胞およびヒトCD40L発現哺乳動物細胞を培養する工程、ならびに培養上清から抗体を回収し、それによって、ヒト抗体を産生する工程を含む、ヒト抗体を産生するための方法である。
【0029】
1つの態様において、ヒトCD40L発現哺乳動物細胞はBHK細胞またはCHO細胞である。
【0030】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下で/IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6と一緒に1つまたは複数の抗体分泌ヒトB細胞およびヒトCD40L発現哺乳動物細胞を培養する工程、ならびに培養上清から抗体を回収し、それによって、ヒト抗体を産生する工程を含む、ヒト抗体を産生するための方法である。
【0031】
1つの態様において、培養する工程はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0032】
1つの態様において、培養する工程はIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われる。
【0033】
1つの態様において、培養において用いられるインターロイキンは全てヒトインターロイキンである。
【0034】
1つの態様において、ヒトCD40L発現哺乳動物細胞はBHK細胞またはCHO細胞である。
【0035】
1つの態様において、インターロイキンは培養開始時に添加される。
【0036】
1つの態様において、インターロイキンは培養開始時にのみ添加される。
【0037】
1つの態様において、ヒトB細胞は成熟ヒトB細胞である。
【0038】
1つの態様において、B細胞はIgG陽性B細胞(IgG
+)である。IgG陽性B細胞は、検出および標識することができる細胞表面マーカーIgGを示す。
【0039】
本明細書において報告される1つの局面は、ウサギCD40L発現CHO細胞ならびにIL-2およびIL-21を含むキットである。
【0040】
本明細書において報告される1つの局面は、ヒトCD40L発現BHK細胞ならびにIL-2および/またはIL-21および/またはIL-6を含むキットである。
【0041】
1つの態様において、キットはIL-2およびIL-21を含む。
【0042】
1つの態様において、キットはIL-2およびIL-21およびIL-6を含む。
【0043】
1つの態様において、インターロイキンは全てヒトインターロイキンである。
【0044】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2またはIL-21の存在下でのB細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含む、B細胞を共存培養するための方法である。
【0045】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2およびIL-21の存在下でのB細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含む、B細胞を共存培養するための方法である。
【0046】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2およびIL-21の存在下でのウサギB細胞およびウサギCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含む、ウサギB細胞を共存培養するための方法である。
【0047】
1つの態様において、哺乳動物細胞はCHO細胞またはBHK細胞である。
【0048】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下でのB細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含む、B細胞を共存培養するための方法である。
【0049】
1つの態様において、共存培養する工程はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0050】
1つの態様において、共存培養する工程はIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われる。
【0051】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下でのヒトB細胞およびヒトCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含む、ヒトB細胞を共存培養するための方法である。
【0052】
1つの態様において、哺乳動物細胞はBHK細胞またはCHO細胞である。
【0053】
1つの態様において、共存培養する工程はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0054】
1つの態様において、共存培養する工程はIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われる。
【0055】
1つの態様において、共存培養において用いられるインターロイキンは全てヒトインターロイキンである。
【0056】
本明細書において報告される1つの局面は、B細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含む、T細胞阻害性化合物を分泌するB細胞を培養するための方法である。
【0057】
本明細書において報告される1つの局面は、以下の順序で以下を含む、抗体分泌B細胞を培養するための方法である:
(i)分裂促進刺激剤の存在下での該B細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の第1の共存培養、ならびに
(ii)これに続く、抗体産生刺激剤の存在下での該B細胞および該CD40L発現哺乳動物細胞の第2の共存培養。
【0058】
1つの態様において、第1の共存培養および第2の共存培養は同じ培養容器の中で行われる。
【0059】
1つの態様において、抗体分泌B細胞を培養するための方法は、B細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含み、最初に、分裂促進刺激剤が培養物に添加され、その後に、抗体産生刺激剤が培養物に添加される。
【0060】
1つの態様において、抗体産生刺激剤は、分裂促進刺激剤が添加されて少なくとも1時間後に添加される。1つの態様において、抗体産生刺激剤は、分裂促進刺激剤が培養物に添加されて1〜3日後に添加される。
【0061】
1つの態様において、分裂促進刺激剤は、CD40相互作用化合物およびCD40L相互作用化合物、ICOS相互作用化合物およびICOS-L相互作用化合物、APRIL、BAFF、CR2、CXCL9、CXCL12(SDF-1)、CXCL13、CXCL16、Flt-3L、インターロイキン-1(α/β)、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-7、インターロイキン-10、インターロイキン-14、インターロイキン-21、SAP(シグナル伝達リンパ球活性化分子[SLAM]関連タンパク質)、スタフィロコッカスA Cowan1株粒子(SAC;加熱殺菌、ホルマリン固定)、TLRリガンド、例えば、LPS、様々なCpG ODN、またはレシキモド(R-848)、TSLP、腫瘍壊死因子(TNF)α、I型インターフェロン(例えば、IFNα/β)、ならびにII型インターフェロン(例えば、IFNγ)を含む群より選択される。抗IgG抗体、抗CD20抗体、および/または抗CD27抗体を介してB細胞活性化も誘導されてよい。
【0062】
1つの態様において、抗体産生刺激剤は、CD40相互作用化合物およびCD40L相互作用化合物、ICOS相互作用化合物およびICOS-L相互作用化合物、APRIL、BAFF、CR2、CXCL9、CXCL12(SDF-1)、CXCL13、CXCL16、Flt-3L、インターロイキン-1(α/β)、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-9、インターロイキン-10、インターロイキン-13、インターロイキン-21、インターロイキン-33、SAP(シグナル伝達リンパ球活性化分子[SLAM]関連タンパク質)、スタフィロコッカスA Cowan 1株粒子(SAC;加熱殺菌、ホルマリン固定)、TLRリガンド、例えば、LPS、様々なCpG ODN、またはレシキモド(R-848)、TSLP、腫瘍壊死因子(TNF)α、I型インターフェロン(例えば、IFNα/β)、ならびにII型インターフェロン(例えば、IFNγ)を含む群より選択される。抗IgG抗体、抗CD20抗体、および/または抗CD27抗体を介して、さらなるB細胞刺激も誘導されてよい。
【0063】
1つの態様において、分裂促進刺激剤は第1の共存培養の開始時に添加される。
【0064】
1つの態様において、分裂促進刺激剤は、第1の共存培養を開始して1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、または14日後に添加される。
【0065】
1つの態様において、抗体産生刺激剤は、分裂促進刺激剤を添加して1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、または14日後に添加される。
【0066】
1つの態様において、共存培養はそれぞれ5〜14日間行われる。
【0067】
1つの態様において、培養は全部で5〜21日間行われる。1つの態様において、培養は全部で6〜14日間行われる。
【0068】
1つの態様において、分裂促進刺激剤は、第2の共存培養が開始する前に除去される。1つの態様において、除去は、培養上清の交換および中性培地による細胞の洗浄によって行われる。
【0069】
本明細書において報告される1つの局面は、以下の工程を含む、抗原に特異的に結合する抗体を産生するための方法である:
(a)抗体分泌B細胞のプールまたは単一の付着させた抗体分泌B細胞をCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程、
(b)抗原に特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインのアミノ酸配列をコードする核酸を単離する工程、および可変重鎖ドメインのアミノ酸配列をコードする核酸を単離する工程、
(c)(b)において単離された核酸、または軽鎖可変ドメインおよび/もしくは重鎖可変ドメインのヒト化バージョンをコードするそのバリアントを1つまたは複数の発現カセット内に含む細胞を培養する工程、
(d)該細胞または該培養培地から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
【0070】
1つの態様において、共存培養する工程は分裂促進刺激剤および/または抗体産生刺激剤の存在下で行われる。
【0071】
1つの態様において、前記方法は、以下の工程を含む:
(a)(実験動物またはヒトの血液から得られた)抗体分泌(成熟)B細胞の集団を準備する工程、
(b)該B細胞集団の細胞を少なくとも1種類の蛍光色素(1つの態様では1〜3種類または2〜3種類の蛍光色素)で染色する工程、
(c)染色されたB細胞集団または染色されたB細胞集団からの細胞のプールの中の単一細胞を個別の容器(1つの態様では、容器はマルチウェルプレートのウェルである)の中に付着させる工程、
(d)CD40L発現哺乳動物細胞、ならびに任意でIL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下で、付着させた個々のB細胞を培養する工程、
(e)個々のB細胞の培養物において分泌された抗体の結合特異性を決定する工程、
(f)逆転写PCRおよびヌクレオチド配列決定によって、特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインのアミノ酸配列を決定し、それによって、モノクローナル抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインをコードする核酸を得る工程、
(g)抗体の発現のために、該モノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインをコードする核酸を、発現カセットに導入する工程、
(h)細胞に該核酸を導入する工程、
(i)該細胞を培養し、該細胞または該細胞培養上清から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
【0072】
1つの態様において、前記方法は、以下の工程を含む:
(a)抗体分泌(成熟)ウサギB細胞集団を準備する工程、
(b)該ウサギB細胞集団の細胞を少なくとも1種類の蛍光色素(1つの態様では1〜3種類または2〜3種類の蛍光色素)で染色する工程、
(c)染色されたウサギB細胞集団または染色されたウサギB細胞集団からの細胞のプールの中の単一細胞を個別の容器(1つの態様では、容器はマルチウェルプレートのウェルである)の中に付着させる工程、
(d)ウサギCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2およびIL-21の存在下で、付着させたウサギB細胞を培養する工程、
(e)ウサギB細胞の培養物において分泌された抗体の結合特異性を決定する工程、
(f)逆転写PCRおよびヌクレオチド配列決定によって、特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインのアミノ酸配列を決定し、それによって、モノクローナル抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインをコードする核酸を得る工程、
(g)抗体の発現のために、該モノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインをコードする核酸を、発現カセットに導入する工程、
(h)細胞に該核酸を導入する工程、
(i)該細胞を培養し、該細胞または該細胞培養上清から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
【0073】
1つの態様において、前記方法は、以下の工程を含む:
(a)抗体分泌(成熟)ヒトB細胞集団を準備する工程、
(b)該ヒトB細胞集団の細胞を少なくとも1種類の蛍光色素(1つの態様では1〜3種類または2〜3種類の蛍光色素)で染色する工程、
(c)染色されたヒトB細胞集団または染色されたヒトB細胞集団からの細胞のプールの中の単一細胞を個別の容器(1つの態様では、容器はマルチウェルプレートのウェルである)の中に付着させる工程、
(d)ヒトCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下で、付着させたヒトB細胞を培養する工程、
(e)ヒトB細胞の培養物において分泌された抗体の結合特異性を決定する工程、
(f)逆転写PCRおよびヌクレオチド配列決定によって、特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインのアミノ酸配列を決定し、それによって、モノクローナル抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインをコードする核酸を得る工程、
(g)抗体の発現のために、モノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインをコードする核酸を、発現カセットに導入する工程、
(h)細胞に該核酸を導入する工程、
(i)該細胞を培養し、該細胞または該細胞培養上清から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
【0074】
1つの態様において、培養する工程はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0075】
1つの態様において、培養する工程はIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われる。
【0076】
1つの態様において、共存培養において用いられるインターロイキンは全てヒトインターロイキンである。
【0077】
1つの態様において、細胞のプールは約10個のB細胞〜約1,000,000個のB細胞を含む。1つの態様において、プールは約500個のB細胞〜約100,000個のB細胞を含む。1つの態様において、プールは約500個のB細胞を含む。
【0078】
本明細書において報告される1つの局面は、以下の工程を含む、抗原に特異的に結合する抗体を産生するための方法である:
(a)抗体分泌ウサギB細胞のプールまたは単一の付着させた抗体分泌ウサギB細胞をウサギCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2およびIL-21と共存培養する工程、
(b)抗原に特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインのアミノ酸配列をコードする核酸を単離する工程、および可変重鎖ドメインのアミノ酸配列をコードする核酸を単離する工程、
(c)(b)において単離された核酸、または軽鎖可変ドメインおよび/もしくは重鎖可変ドメインのヒト化バージョンをコードするそのバリアントを1つまたは複数の発現カセット内に含む細胞を培養する工程、
(d)該細胞または該培養培地から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
【0079】
1つの態様において、共存培養する工程は分裂促進刺激剤および/または抗体産生刺激剤の存在下で行われる。
【0080】
1つの態様において、前記方法は、以下の工程を含む:
(a)抗体分泌(成熟)ウサギB細胞の集団を準備する工程、
(b)該B細胞集団の細胞を少なくとも1種類の蛍光色素(1つの態様では1〜3種類または2〜3種類の蛍光色素)で染色する工程、
(c)染色されたB細胞集団または染色されたB細胞集団からの細胞のプールの中の単一細胞を個別の容器(1つの態様では、容器はマルチウェルプレートのウェルである)の中に付着させる工程、
(d)CD40L発現哺乳動物細胞、ならびに任意でIL-2およびIL-21の存在下で、付着させた個々のB細胞を培養する工程、
(e)個々のB細胞の培養物において分泌された抗体の結合特異性を決定する工程、
(f)逆転写PCRおよびヌクレオチド配列決定によって、特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインのアミノ酸配列を決定し、それによって、モノクローナル抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインをコードする核酸を得る工程、
(g)抗体の発現のために、該モノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインをコードする核酸または該軽鎖可変ドメインおよび/もしくは該重鎖可変ドメインのヒト化バージョンをコードするそのバリアントを、発現カセットに導入する工程、
(h)細胞に該核酸を導入する工程、
(i)該細胞を培養し、該細胞または該細胞培養上清から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
【0081】
1つの態様において、前記方法は、以下の工程を含む:
(a)抗体分泌(成熟)ウサギB細胞の集団を準備する工程、
(b)該ウサギB細胞集団の細胞を少なくとも1種類の蛍光色素(1つの態様では1〜3種類または2〜3種類の蛍光色素)で染色する工程、
(c)染色されたウサギB細胞集団または染色されたウサギB細胞集団からの細胞のプールの中の単一細胞を個別の容器(1つの態様では、容器はマルチウェルプレートのウェルである)の中に付着させる工程、
(d)ウサギCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2およびIL-21の存在下で、付着させたウサギB細胞を培養する工程、
(e)ウサギB細胞の培養物において分泌された抗体の結合特異性を決定する工程、
(f)逆転写PCRおよびヌクレオチド配列決定によって、特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインのアミノ酸配列を決定し、それによって、モノクローナル抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインをコードする核酸を得る工程、
(g)抗体の発現のために、該モノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインをコードする核酸を、発現カセットに導入する工程、
(h)細胞に該核酸を導入する工程、
(i)該細胞を培養し、該細胞または該細胞培養上清から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
【0082】
1つの態様において、細胞のプールは約10個のB細胞〜約1,000,000個のB細胞を含む。1つの態様において、プールは約500個のB細胞〜約100,000個のB細胞を含む。1つの態様において、プールは約500個のB細胞を含む。
【0083】
本明細書において報告される1つの局面は、抗体分泌ウサギB細胞の共存培養におけるウサギCD40L発現哺乳動物細胞の使用である。
【0084】
1つの態様において、哺乳動物細胞はCHO細胞である。
【0085】
1つの態様において、ウサギCD40LはSEQ ID NO:01のアミノ酸配列を有する。
【0086】
本明細書において報告される1つの局面は、抗体分泌ヒトB細胞の共存培養におけるヒトCD40L発現哺乳動物細胞の使用である。
【0087】
1つの態様において、哺乳動物細胞はBHK細胞である。
【0088】
1つの態様において、ヒトCD40LはSEQ ID NO:02のアミノ酸配列を有する。
【0089】
本明細書において報告される1つの局面は、抗体分泌B細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養におけるSACの使用である。
【0090】
本明細書において報告される1つの局面は、ウサギB細胞の共培養におけるウサギCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2およびIL-21の使用である。
【0091】
本明細書において報告される1つの局面は、ヒトB細胞の共培養におけるヒトCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の使用である。
【0092】
1つの態様において、共培養はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0093】
1つの態様において、共培養はIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われる。
【0094】
1つの態様において、共培養において用いられるインターロイキンは全てヒトインターロイキンである。
【0095】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2およびIL-21の存在下で単一の付着させたウサギB細胞またはウサギB細胞のプールをウサギCD40L発現哺乳動物細胞と培養する工程を含む、ウサギB細胞を共存培養するための方法である。
【0096】
本明細書において報告される全ての局面の1つの態様において、IL-2はヒトIL-2またはマウスIL-2であり、IL-21はヒトIL-21またはマウスIL-21である。
【0097】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下で単一の付着させたヒトB細胞またはヒトB細胞のプールをヒトCD40L発現哺乳動物細胞と共に培養する工程を含む、ヒトB細胞を共存培養するための方法である。
【0098】
1つの態様において、共存培養はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0099】
1つの態様において、共存培養はIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われる。
【0100】
1つの態様において、共存培養において用いられるインターロイキンは全てヒトインターロイキンである。
【0101】
本明細書において報告される1つの局面は、細胞増殖を改善するための、ウサギB細胞共培養におけるウサギCD40L発現哺乳動物細胞、IL-2、およびIL-21の使用である。
【0102】
本明細書において報告される1つの局面は、細胞増殖を改善するための、ヒトB細胞の共培養におけるヒトCD40L発現哺乳動物細胞、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の使用である。
【0103】
1つの態様において、共培養はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0104】
1つの態様において、共培養はIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われる。
【0105】
1つの態様において、共存培養において用いられるインターロイキンは全てヒトインターロイキンである。
【0106】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2およびIL-21の存在下で単一の付着させたウサギB細胞またはウサギB細胞のプールをウサギCD40L発現哺乳動物細胞と培養する工程を含む、ウサギB細胞の細胞増殖を改善するための方法である。
【0107】
本明細書において報告される全ての局面の1つの態様において、IL-2はヒトIL-2またはマウスIL-2であり、IL-21はヒトIL-21またはマウスIL-21である。
【0108】
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下で単一の付着させたヒトB細胞またはヒトB細胞のプールをヒトCD40L発現哺乳動物細胞と培養する工程を含む、ヒトB細胞の細胞増殖を改善するための方法である。
【0109】
1つの態様において、培養する工程はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0110】
1つの態様において、培養する工程はIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われる。
【0111】
1つの態様において、共存培養において用いられるインターロイキンは全てヒトインターロイキンである。
[本発明1001]
IL-2およびIL-21の存在下でウサギB細胞をウサギCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程を含む、抗体を産生するための方法。
[本発明1002]
B細胞が非成熟B細胞であることを特徴とする、本発明1001の方法。
[本発明1003]
IL-2がヒトIL-2であり、IL-21がマウスIL-21であることを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1004]
B細胞が単一の付着させたB細胞であることを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1005]
B細胞がIgG陽性B細胞(IgG+B細胞)であることを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1006]
ウサギB細胞をフィーダー細胞と共存培養するための、IL-2および/またはIL-21の使用。
[本発明1007]
フィーダー細胞がウサギCD40L発現哺乳動物細胞であることを特徴とする、本発明1006の使用。
[本発明1008]
IL-2およびIL-21の存在下でのウサギB細胞およびウサギCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含む、T細胞表面抗原に特異的に結合しかつT細胞に対する負の刺激を媒介する抗体を分泌するウサギB細胞を培養するための方法。
[本発明1009]
以下の順序で以下を含む、抗体分泌ウサギB細胞を培養するための方法:
(i)分裂促進刺激剤の存在下での該ウサギB細胞およびウサギCD40L発現哺乳動物細胞の第1の共存培養、ならびに
(ii)これに続く、抗体産生刺激剤の存在下での該ウサギB細胞および該ウサギCD40L発現哺乳動物細胞の第2の共存培養。
[本発明1010]
分裂促進刺激剤が、CD40相互作用化合物およびCD40L相互作用化合物、ICOS相互作用化合物およびICOS-L相互作用化合物、APRIL、BAFF、CR2、CXCL9、CXCL12(SDF-1)、CXCL13、CXCL16、Flt-3L、インターロイキン-1(α/β)、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-7、インターロイキン-10、インターロイキン-14、インターロイキン-21、SAP(シグナル伝達リンパ球活性化分子[SLAM]関連タンパク質)、スタフィロコッカスA(Staphylococcus A)Cowan1株粒子(SAC;加熱殺菌、ホルマリン固定)、TLRリガンド、例えば、LPS、様々なCpG ODN、またはレシキモド(R-848)、TSLP、腫瘍壊死因子(TNF)α、I型インターフェロン(例えば、IFNα/β)、ならびにII型インターフェロン(例えば、IFNγ)を含む群より選択されることを特徴とする、本発明1009の方法。
[本発明1011]
抗体産生刺激剤が、CD40相互作用化合物およびCD40L相互作用化合物、ICOS相互作用化合物および:ICOS-L相互作用化合物、APRIL、BAFF、CR2、CXCL9、CXCL12(SDF-1)、CXCL13、CXCL16、Flt-3L、インターロイキン-1(α/β)、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-9、インターロイキン-10、インターロイキン-13、インターロイキン-21、インターロイキン-33、SAP(シグナル伝達リンパ球活性化分子[SLAM]関連タンパク質)、スタフィロコッカスA Cowan1株粒子(SAC;加熱殺菌、ホルマリン固定)、TLRリガンド、例えば、LPS、様々なCpG ODN、またはレシキモド(R-848)、TSLP、腫瘍壊死因子(TNF)α、I型インターフェロン(例えば、IFNα/β)、ならびにII型インターフェロン(例えば、IFNγ)を含む群より選択されることを特徴とする、本発明1009または1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
以下の工程を含む、抗原に特異的に結合する抗体を産生するための方法:
(a)IL-2およびIL-21の存在下で抗体分泌ウサギB細胞のプールまたは単一の抗体分泌ウサギB細胞をウサギCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程、
(b)工程(a)において共存培養されたウサギB細胞によって分泌された抗体の可変領域をコードする核酸またはそのヒト化バリアントを1つまたは複数の発現カセット内に含む細胞を培養する工程、
(c)該細胞または該培養培地から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
[本発明1013]
以下の工程を含むことを特徴とする、本発明1012の方法:
(a)(実験動物またはヒトの血液から得られた)抗体分泌(成熟)ウサギB細胞の集団を準備する工程、
(b)該ウサギB細胞集団の細胞を少なくとも1種類の蛍光色素(1つの態様では1〜3種類または2〜3種類の蛍光色素)で染色する工程、
(c)染色されたB細胞集団の中の単一細胞を個別の容器(1つの態様では、容器はマルチウェルプレートのウェルである)の中に付着させる工程、
(d)ウサギCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2およびIL21の存在下で、付着させた個々のウサギB細胞を培養する工程、
(e)個々のウサギB細胞の培養物において分泌された抗体の結合特異性を決定する工程、
(f)逆転写PCRおよびヌクレオチド配列決定によって、特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインのアミノ酸配列を決定し、それによって、モノクローナル抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインをコードする核酸を得る工程、
(g)抗体の発現のために、該モノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインをコードする核酸または該軽鎖可変ドメインおよび/もしくは該重鎖可変ドメインのヒト化バージョンをコードするそのバリアントを、発現カセットに導入する工程、
(h)細胞に該核酸を導入する工程、
(i)該細胞を培養し、該細胞または該細胞培養上清から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
[本発明1014]
抗体分泌ウサギB細胞の共存培養における、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞、IL-2、およびIL-21の使用。
[本発明1015]
CD40L発現哺乳動物細胞および/またはIL-2および/またはIL-21および/またはIL-6を任意で用いる抗体分泌B細胞の共存培養におけるSACの使用。
[本発明1016]
IL-2またはIL-21またはIL-6またはそれらの組み合わせの存在下でヒトB細胞をヒトCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程を含む、抗体を産生するための方法。
[本発明1017]
B細胞が非成熟B細胞であることを特徴とする、本発明1016の方法。
[本発明1018]
共存培養が、IL-2、またはIL-2およびIL-21、またはIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われることを特徴とする、本発明1016〜1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
B細胞が単一の付着させたB細胞であることを特徴とする、本発明1016〜1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
B細胞がIgG陽性B細胞(IgG+B細胞)であることを特徴とする、本発明1016〜1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
ヒトB細胞をフィーダー細胞と共存培養するための、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の使用。
[本発明1022]
フィーダー細胞がヒトCD40L発現哺乳動物細胞であることを特徴とする、本発明1021の使用。
[本発明1023]
IL-2、またはIL-2およびIL-21、またはIL-2およびIL-21およびIL-6が使用されることを特徴とする、本発明1021〜1022のいずれかの使用。
[本発明1024]
IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下でのヒトB細胞およびヒトCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含む、T細胞表面抗原に特異的に結合しかつT細胞に対する負の刺激を媒介する抗体を分泌するヒトB細胞を培養するための方法。
[本発明1025]
以下の工程を含む、抗原に特異的に結合する抗体を産生するための方法:
(a)IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の存在下で抗体分泌ヒトB細胞のプールまたは単一の抗体分泌ヒトB細胞をヒトCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程、
(b)工程(a)において共存培養されたヒトB細胞によって分泌された抗体の可変領域をコードする核酸またはそのバリアントを1つまたは複数の発現カセット内に含む細胞を培養する工程、
(c)該細胞または該培養培地から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
[本発明1026]
以下の工程を含むことを特徴とする、本発明1025の方法:
(a)抗体分泌(成熟)ヒトB細胞の集団を準備する工程、
(b)該ヒトB細胞集団の細胞を少なくとも1種類の蛍光色素(1つの態様では1〜3種類または2〜3種類の蛍光色素)で染色する工程、
(c)染色されたB細胞集団の中の単一細胞を個別の容器(1つの態様では、容器はマルチウェルプレートのウェルである)の中に付着させる工程、
(d)ヒトCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2および/またはIL21および/またはIL-6の存在下で、付着させた個々のヒトB細胞を培養する工程、
(e)個々のヒトB細胞の培養物において分泌された抗体の結合特異性を決定する工程、
(f)逆転写PCRおよびヌクレオチド配列決定によって、特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインのアミノ酸配列を決定し、それによって、モノクローナル抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインをコードする核酸を得る工程、
(g)抗体の発現のために、該モノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインをコードする核酸を、発現カセットに導入する工程、
(h)細胞に該核酸を導入する工程、
(i)該細胞を培養し、該細胞または該細胞培養上清から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
[本発明1027]
共存培養が、IL-2、またはIL-2およびIL-21、またはIL-2およびIL-21およびIL-6の存在下で行われることを特徴とする、本発明1025〜1026のいずれかの方法。
[本発明1028]
抗体分泌ヒトB細胞の共存培養における、ヒトCD40L発現哺乳動物細胞、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6の使用。
[本発明1029]
IL-2、またはIL-2およびIL-21、またはIL-2およびIL-21およびIL-6が使用されることを特徴とする、本発明1028の使用。
【発明を実施するための形態】
【0113】
発明の詳細な説明
本明細書において報告される事項は、ウサギ(またはヒト)B細胞から出発し、少なくとも1つの培養工程を含む、ウサギ(またはヒト)抗体を迅速に、効率的に、かつ再現可能に作製するための一般に適用可能な方法を提供する。
【0114】
ウサギCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2およびIL-21を添加すると、ウサギB細胞の増殖特徴を改善できることが見出されている。すなわち、ウサギCD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2およびIL-21の非存在下より迅速に高細胞密度まで、ウサギB細胞を単一の付着させた細胞または細胞のプールとして増殖することができる。従って、短期間で、高いウサギB細胞密度を獲得し、それに応じて、培養上清中に高いIgG濃度を獲得することが可能である。
【0115】
1つの局面として、ウサギCD40Lを発現するCHO細胞が本明細書において報告される。
【0116】
本明細書において報告される1つの局面は、ウサギB細胞の共存培養におけるウサギCD40L発現CHO細胞とIL-2およびIL-21との使用である。
【0117】
本明細書において報告される1つの局面は、高効率のB細胞刺激および培養系を得るために、ウサギCD40L発現CHO細胞または他のフィーダー細胞と併用することができる合成フィーダーミックスである。
【0118】
1つの局面として、ヒトCD40Lを発現するBHK細胞が本明細書において報告される。
【0119】
本明細書において報告される1つの局面は、ヒトB細胞の共存培養におけるヒトCD40L発現BHK細胞とIL-2および/またはIL-21との使用である。
【0120】
本明細書において報告される1つの局面は、高効率のB細胞刺激および培養系を得るために、ヒトCD40L発現BHK細胞または他のフィーダー細胞と併用することができる合成フィーダーミックスである。
【0121】
本発明を実施するのに有用な当業者に公知の方法および技法は、例えば、Ausubel, F.M., ed., Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I to III (1997), Wiley and Sons; Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989)に記載されている。
【0122】
定義
本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」とは、以下で定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよく、アミノ酸配列変化を含有してもよい。一部の態様において、アミノ酸変化の数は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、または2個以下である。一部の態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0123】
「親和性成熟」抗体とは、1つまたは複数の超可変領域(HVR)に1つまたは複数の変化があり、このような変化の結果として、これらの変化を有さない親抗体と比較して抗原に対する抗体の親和性が改善している抗体を指す。
【0124】
本願の中で用いられる「アミノ酸」という用語は、核酸によって直接、または前駆体の形でコードすることができるカルボキシα-アミノ酸のグループを意味する。個々のアミノ酸は、3つのヌクレオチド、いわゆるコドンまたは塩基トリプレットからなる核酸によってコードされる。それぞれのアミノ酸は少なくとも1種類のコドンによってコードされる。異なるコドンが同じアミノ酸をコードすることは「遺伝暗号縮重」として知られている。本願の中で用いられる「アミノ酸」という用語は天然カルボキシα-アミノ酸を意味し、アラニン(三文字表記:ala、一文字表記:A)、アルギニン(arg,R)、アスパラギン(asn,N)、アスパラギン酸(asp,D)、システイン(cys,C)、グルタミン(gln,Q)、グルタミン酸(glu,E)、グリシン(gly,G)、ヒスチジン(his,H)、イソロイシン(ile,I)、ロイシン(leu,L)、リジン(lys,K)、メチオニン(met,M)、フェニルアラニン(phe,F)、プロリン(pro,P)、セリン(ser,S)、スレオニン(thr,T)、トリプトファン(trp,W)、チロシン(tyr,Y)、およびバリン(val,V)を含む。
【0125】
本明細書において「抗体」という用語は最も広い意味で用いられ、望ましい抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片を含むが、これに限定されない様々な抗体構造を包含する。
【0126】
「抗体断片」とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')
2、ダイアボディ、直鎖抗体、単鎖抗体分子(例えば、scFv)、および抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれるが、これに限定されない。
【0127】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部が、ある特定の供給源または種に由来するが、重鎖および/または軽鎖の残りが異なる供給源または種に由来する抗体を指す。
【0128】
抗体の「クラス」は、抗体重鎖が有する定常ドメインまたは定常領域のタイプを指す。抗体には5種類の主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1、およびIgA
2にさらに分けられることがある。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。
【0129】
「クローン」という用語は、1個のB細胞から生じた/1個のB細胞に由来する、分裂し、かつ抗体を分泌しているB細胞の集団を意味する。従って、B細胞クローンはモノクローナル抗体を産生する。
【0130】
本明細書で使用する「発現」という用語は、細胞内で起こっている転写プロセスおよび/または翻訳プロセスを指す。細胞内での関心対象の核酸配列の転写レベルは、細胞内に存在する対応するmRNAの量に基づいて決定することができる。例えば、関心対象の配列から転写されたmRNAはRT-PCRまたはノザンハイブリダイゼーションによって定量することができる(Sambrook, et al., 1989, 前記を参照されたい)。関心対象の核酸によってコードされるポリペプチドは、様々な方法によって、例えば、ELISAによって、ポリペプチドの生物学的活性のアッセイによって、またはこのような活性に依存しないアッセイ、例えば、ポリペプチドを認識し、これに結合する免疫グロブリンを使用するウェスタンブロッティングもしくはラジオイムノアッセイを用いて定量することができる(Sambrook, et al., 1989, 前記を参照されたい)。
【0131】
「発現カセット」は、細胞において、少なくとも、含有される核酸を発現させるための必要な調節エレメント、例えば、プロモーターおよびポリアデニル化部位を含有する構築物を指す。
【0132】
遺伝子発現は一過的発現または恒久的発現として行われる。関心対象のポリペプチドは一般的に分泌型ポリペプチドであり、従って、ポリペプチドが細胞壁を通って細胞外培地に輸送/分泌されるのに必要なN末端伸長(シグナル配列とも知られる)を含有する。一般的に、シグナル配列は、分泌型ポリペプチドをコードする任意の遺伝子に由来してよい。異種シグナル配列が用いられる場合、好ましくは、宿主細胞によって認識および処理される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)異種シグナル配列である。例えば、酵母における分泌の場合、発現させようとする異種遺伝子の天然シグナル配列が、分泌遺伝子に由来する相同酵母シグナル配列、例えば、酵母インベルターゼシグナル配列、α因子リーダー(サッカロマイセス属(Saccharomyces)、クリベロマイセス属(Kluyveromyces)、ピキア属(Pichia)、およびハンゼヌラ属(Hansenula)α因子リーダー。2番目はUS5,010,182に記載されている)、酸性ホスファターゼシグナル配列、またはC.アルビカンス(C.albicans)グルコアミラーゼシグナル配列(EP0362179)によって置換されてもよい。哺乳動物細胞発現では、関心対象のタンパク質の天然シグナル配列が満足のいくものであるが、他の哺乳動物シグナル配列、例えば、同じ種または関連種の分泌型ポリペプチドに由来するシグナル配列、例えば、ヒトまたはマウスに由来する免疫グロブリンのシグナル配列、ならびにウイルス分泌シグナル配列、例えば、単純ヘルペス糖タンパク質Dシグナル配列が適している場合がある。このようなプレセグメントをコードするDNA断片はインフレームで連結される、すなわち、関心対象のポリペプチドをコードするDNA断片と機能的に連結される。
【0133】
「実験動物」という用語は非ヒト動物を意味する。1つの態様において、実験動物は、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、ラクダ、ラマ、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、サメ、およびハ虫類より選択される。1つの態様において、実験動物は哺乳動物である。
【0134】
本明細書において「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために用いられる。この用語は天然配列のFc領域およびバリアントFc領域を含む。1つの態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は重鎖のCys226またはPro230からカルボキシル末端にわたる。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は存在してもよく、存在しなくてもよい。本明細書において他で特定しない限り、Fc領域または定常領域にあるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242, Vols. 1-3に記載のようにEUインデックスとも呼ばれるEUナンバリングシステムに従う。
【0135】
「フィーダーミックス」という用語は、様々な添加物、例えば、増殖因子、サイトカイン、ならびに/あるいはB細胞の活性化および/もしくは生存ならびに/または抗体分泌を促進するさらなるタンパク質の組み合わせを意味する。フィーダーミックスは天然フィーダーミックスでもよく、例えば、規定されていないサイトカイン組み合わせである胸腺細胞培養上清(TSN)から得られてもよい。または、フィーダーミックスは、合成フィーダーミックス、例えば、IL-21および/またはIL-2および/またはIL-6の混合物を含む合成フィーダーミックスでもよい。
【0136】
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。従って、HVR配列およびFR配列は、一般的に、VH(またはVL)において以下の配列:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4に現れる。
【0137】
「細胞」または「宿主細胞」という用語は、核酸、例えば、異種ポリペプチドをコードする核酸でトランスフェクトすることができる、またはトランスフェクトされる細胞を指す。「細胞」という用語は、プラスミドの増殖に用いられる原核細胞、および核酸の発現およびコードされるポリペプチドの産生に用いられる真核細胞を含む。1つの態様において、真核細胞は哺乳動物細胞である。1つの態様において、哺乳動物細胞は、CHO細胞、任意で、CHO K1細胞(ATCC CCL-61もしくはDSM ACC 110)、またはCHO DG44細胞(CHO-DHFR[-]、DSM ACC 126とも知られる)、またはCHO XL99細胞、CHO-T 細胞(例えば、Morgan, D., et al., Biochemistry 26 (1987) 2959-2963を参照されたい)、またはCHO-S細胞、またはSuper-CHO細胞(Pak, S.C.O., et al. Cytotechnol. 22 (1996) 139-146)である。これらの細胞が無血清培地中または懸濁液中での増殖に順応しなかったら、本方法における使用の前に順応が行われる。本明細書で使用する、「細胞」という表現は対象細胞およびその子孫を含む。従って、「形質転換体」および「形質転換細胞」という言葉は、初代対象細胞、および継代または継代培養の回数に関係なく初代対象細胞に由来する培養物を含む。全ての子孫は、故意または偶然の変異のためにDNA内容物が全く同じでなくてもよいことも理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能または生物学的活性を有するバリアント子孫が含まれる。
【0138】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。このヒト抗体の定義から、特に、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体は除外される。
【0139】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVLフレームワーク配列またはVHフレームワーク配列の選ばれたものにおいて最もよく現れるアミノ酸残基であるフレームワークである。一般的に、ヒト免疫グロブリンVL配列またはVH配列の選ばれたものは可変ドメイン配列のサブグループに由来する。一般的に、配列のサブグループは、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242, Vols. 1-3に記載のようなサブグループである。1つの態様において、VLの場合、サブグループは、Kabat et al., 前記に記載のようなサブグループκIである。1つの態様において、VHの場合、サブグループは、Kabat et al., 前記に記載のようなサブグループIIIである。
【0140】
「ヒト化」抗体とは、非ヒトHVRに由来するアミノ酸残基およびヒトFRに由来するアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある特定の態様において、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのうち実質的に全てを含み、ここで、HVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のHVR(例えば、CDR)に対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。「ヒト化型」の抗体、例えば、非ヒト抗体は、ヒト化されている抗体を指す。
【0141】
本明細書で使用する「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列が高頻度で変わる、および/または構造が定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメイン領域のそれぞれを指す。一般的に、天然の4本の鎖からなる抗体は、6個のHVR;VHに3個(H1、H2、H3)およびVLに3個(L1、L2、L3)を含む。HVRは、一般的に、超可変ループおよび/または「相補性決定領域」(CDR)に由来するアミノ酸残基を含み、後者は最も高い配列可変性を持つ、および/または抗原認識に関与する。例示的な超可変ループは、アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、および96〜101(H3)において生じる(Chothia, C. and Lesk, A.M., J. Mol. Biol. 196 (1987) 901-917)。例示的なCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)は、アミノ酸残基L1の24〜34、L2の50〜56、L3の89〜97、H1の31〜35B、H2の50〜65、およびH3の95〜102において生じる(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242, Vols. 1-3.)。VHにあるCDR1を除いて、CDRは、一般的に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRはまた、抗原と接触する残基である「特異性決定残基」または「SDR」も含む。SDRは、短縮CDR(abbreviated-CDR)、またはa-CDRと呼ばれるCDR領域内に含まれる。例示的なa-CDR(a-CDR-L1、a-CDR-L2、a-CDR-L3、a-CDR-H1、a-CDR-H2、およびa-CDR-H3)は、アミノ酸残基L1の31〜34、L2の50〜55、L3の89〜96、H1の31〜35B、H2の50〜58、およびH3の95〜102において生じる(Almagro, J.C. and Fransson, J., Front. Biosci. 13 (2008) 1619-1633を参照されたい)。特に定めのない限り、HVR残基および可変ドメインにある他の残基(例えば、FR残基)の番号は本明細書ではKabat et al., 前記に従って付けられる。
【0142】
「標識」という用語は、特異的に結合し、かつ標識された抗表面マーカー抗体を添加することによって決定することができる表面マーカーの存在または非存在を意味する。従って、表面マーカーの存在は、例えば、蛍光標識の場合、蛍光の発生によって決定されるのに対して、表面マーカーの非存在は、特異的に結合する、標識されたそれぞれの抗表面マーカー抗体とインキュベートした後の蛍光の非存在によって決定される。
【0143】
本明細書で使用する「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体集団から得られた抗体を指す。すなわち、集団を構成する個々の抗体は、例えば、天然変異を含有する、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる可能性のあるバリアント抗体を除けば同一である、および/または同じエピトープに結合する。このようなバリアントは一般的に微量に存在する。典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物のそれぞれのモノクローナル抗体は、抗原上にある1種類の決定基に対する抗体である。従って、修飾語「モノクローナル」は、抗体が実質的に均一な抗体集団から得られているという特徴を示しており、特定の方法によって抗体が産生されることが必要であると解釈すべきでない。例えば、本発明に従って用いられるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有するトランスジェニック動物を利用した方法を含むが、これに限定されない様々な技法によって作ることができる。このような方法およびモノクローナル抗体を作るための他の例示的な方法は本明細書に記載されている。
【0144】
「天然抗体」とは、異なる構造を有する天然免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合した2本の同一軽鎖および2本の同一重鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端にかけて、それぞれの重鎖には、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)に続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)がある。同様に、N末端からC末端にかけて、それぞれの軽鎖には、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)に続いて定常(CL)ドメインがある。抗体軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプのうちの1つに割り当てられることがある。
【0145】
「核酸」または「核酸配列」という用語は本願の中で同義に用いられ、個々のヌクレオチド(塩基とも呼ばれる)a、c、g、およびt(またはRNAではu)からなるポリマー分子を指し、例えば、DNA、RNA、またはその改変を指す。このポリヌクレオチド分子は、天然ポリヌクレオチド分子もしくは合成ポリヌクレオチド分子、または1つもしくは複数の天然ポリヌクレオチド分子と1つもしくは複数の合成ポリヌクレオチド分子との組み合わせでもよい。この定義には、1つまたは複数のヌクレオチドが(例えば、変異誘発によって)変えられた、欠失された、または付加された天然ポリヌクレオチド分子も包含される。核酸は単離されていてもよく、別の核酸、例えば、発現カセット、プラスミド、または宿主細胞の染色体の中に組み込まれてもよい。核酸は、個々のヌクレオチドからなる、その核酸配列によって特徴付けられる。
【0146】
当業者にとって、アミノ酸配列、例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列を、このアミノ酸配列をコードする対応する核酸配列に変換する手順および方法は周知である。従って、核酸は、個々のヌクレオチドからなるその核酸配列によって特徴付けられ、同様に、それによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列によって特徴付けられる。
【0147】
「特異的に結合する」という用語およびその文法上の相当語句は、抗体が、その標的に10
-7M以下、1つの態様では10
-8M〜10
-13M、さらなる態様では10
-9M〜10
-13Mの解離定数(Kd)で結合することを意味する。さらに、この用語は、抗体が、存在する他の生体分子に特異的に結合しないことを示すために、すなわち、10
-6M以上、1つの態様では10
-6M〜1Mの解離定数(Kd)で他の生体分子に結合することを示すために用いられる。
【0148】
「トランスフェクションベクター」とは、トランスフェクションベクターの中に含まれるコード核酸/構造遺伝子が宿主細胞内で発現するのに必要とされる全てのエレメントを提供する核酸(核酸分子とも示される)である。トランスフェクションベクターは、原核生物プラスミド増殖ユニット、例えば、大腸菌用のプラスミド増殖ユニットを含み、その結果として原核生物複製起点、原核生物選択薬剤に対する耐性を付与する核酸を含む。トランスフェクションベクターは、真核生物選択薬剤に対する耐性を付与する1種類または複数種の核酸、および関心対象のポリペプチドをコードする1種類または複数種の核酸をさらに含む。好ましくは、選択薬剤に対する耐性を付与する核酸および関心対象のポリペプチドをコードする核酸はそれぞれ1つの発現カセット内に配置され、それによって、それぞれの発現カセットは、プロモーター、コード核酸、およびポリアデニル化シグナルを含む転写ターミネーターを含む。遺伝子発現は、通常、プロモーターの制御下に配置され、このような構造遺伝子は、プロモーター「に機能的に連結されている」と言われる。同様に、調節エレメントがコアプロモーター活性を調節するのであれば、調節エレメントおよびコアプロモーターは機能的に連結されている。
【0149】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体と抗原との結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VHおよびVL)は、一般的に、類似した構造を有し、それぞれのドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つの超可変領域(HVR)を含む(例えば、Kindt, T.J., et al., Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., N.Y. (2007), page 91を参照されたい)。抗原結合特異性を付与するために、1個のVHドメインまたはVLドメインで十分な場合がある。さらに、ある特定の抗原に結合する抗体は、ある特定の抗原に結合する抗体に由来するVHドメインまたはVLドメインを用いて、それぞれ、相補的なVLドメインまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。例えば、Portolano, S., et al., J. Immunol. 150 (1993) 880-887; Clackson, T., et al., Nature 352 (1991) 624-628を参照されたい。
【0150】
本明細書で使用する「ベクター」という用語は、連結している別の核酸を増殖することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクターならびにベクターが導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、機能的に連結された核酸を発現させることができる。このようなベクターは本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。
【0151】
「若齢動物」という用語は、性成熟が起こる前の動物を意味する。若齢ハムスターは、例えば、6週未満、特に、4週未満の年齢のハムスターである。若齢マウス、例えば、8週未満、特に、5週未満の年齢のマウスである。
【0152】
免疫化
本明細書において報告される方法では、例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはヒトから得られたB細胞を使用/処理することができる。
【0153】
1つの態様において、マウスはNMRI-マウスまたはbalb/c-マウスである。
【0154】
1つの態様において、ハムスターは、アルメニアンハムスター(Cricetulus migratorius)、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)、およびシリアンハムスター(Mesocricetulus auratus)より選択される。1つの態様において、ハムスターはアルメニアハムスターである。
【0155】
1つの態様において、B細胞はウサギB細胞である。1つの態様において、ウサギは、ニュージーランドホワイト(NZW)ウサギ、チンメルマン(Zimmermann)ウサギ(ZIKA)、アリシア(Alicia)変異系統ウサギ、バシレア(basilea)変異系統ウサギ、ヒト免疫グロブリン遺伝子座のあるトランスジェニックウサギ、rbIgMノックアウトウサギ、およびその交雑種より選択される。1つの態様において、ウサギB細胞は、免疫されたウサギまたはある特定の抗原に対するワクチン接種後のウサギから得られる。
【0156】
1つの態様において、B細胞はヒトB細胞である。1つの態様において、ヒトB細胞は、ワクチン接種されていない健常ヒトから得られるか、またはある特定の抗原に対するワクチン接種後にヒトから得られるか、または疾患のあるヒトもしくは疾患から生存したヒトから得られる。ワクチン接種は、ある特定のワクチンのヒトへの投与でもよく、ある特定の疾患からの生存でもよい。
【0157】
B細胞の供給源および単離
免疫された実験動物またはワクチン接種されたヒトの血液から多種多様な抗体産生B細胞が得られる。免疫された実験動物またはワクチン接種されたヒトの血液から得られたB細胞は、CDR内のアミノ酸配列がほとんど同じでない、または重複しない、従って、高度の多様性を示す抗体を分泌する。
【0158】
1つの態様において、実験動物のB細胞、例えば、実験動物の血液から得られたB細胞、またはヒトから得られたB細胞は、免疫後4日から免疫後15日まで、または最後の追加免疫から得られたものである。
【0159】
1つの態様において、B細胞は、免疫後4日から免疫後、最大で9日まで、または最後の追加免疫から得られたものである。
【0160】
この期間は、本明細書において報告される方法において大きな柔軟性を可能にする。この期間において、最も高い親和性(affine)の抗体を提供するB細胞は脾臓から血液に移動する可能性が高い(例えば、Paus, D., et al., JEM 203 (2006) 1081-1091; Smith, K.G.S., et al., The EMBO J. 16 (1997) 2996-3006; Wrammert, J., et al., Nature 453 (2008) 667-672を参照されたい)。
【0161】
共存培養前の選択工程
末梢血単核球(PBMC)から、抗原に特異的に結合する抗体を産生するB細胞を濃縮することができる。従って、本明細書において報告される全ての方法の1つの態様において、B細胞は末梢血単核球(PBMC)から得られるか、または末梢血単核球(PBMC)からB細胞のプールが濃縮される。
【0162】
関心対象の抗原に結合する抗体を産生しない細胞を、パニングアプローチを用いて低減または濃縮することができ、同様に、関心対象の抗原に結合する抗体を産生する細胞を、パニングアプローチを用いて低減または濃縮することができる。パニングアプローチでは、結合パートナーは表面に取り付けられ、結合パートナーに結合した細胞は、結合している細胞がさらに処理されれば細胞集団内で選択的に濃縮される、または溶解状態で残存している細胞がさらに処理されれば細胞集団内で低減される。
【0163】
本明細書において報告される方法は、1つの態様において、特異的抗体を産生するB細胞が細胞表面マーカーおよび蛍光活性化セルソーティング/ゲーティングに基づいて選択される選択工程を含む。1つの態様において、成熟B細胞はソーティング/濃縮/選択される。異なる実験動物種に由来するB細胞を選択するために、異なる細胞表面マーカーを使用することができる。
【0164】
非標的細胞集団および非特異的に結合するリンパ球を標識して、これらの細胞を選択的に枯渇させることが可能である。この枯渇工程では、一般的に、完全ではない枯渇を達成することができる。枯渇は計量可能でないが、妨害する細胞の数を減らすことができ、さらには最小限にすることができるので、後に続く、残存細胞の蛍光標識において利点がある。
【0165】
異なる細胞集団を、異なる表面マーカー、例えば、CD3
+細胞(T細胞)、CD19
+細胞(一般的に、B細胞)、IgM
+細胞(成熟したナイーブB細胞)、IgG
+細胞(成熟B細胞)、CD38
+細胞(例えば、形質芽球)、およびIgG
+CD38
+細胞(プレ形質細胞)を用いて標識することができる。
【0166】
成熟IgG
+B細胞、例えば、記憶B細胞、形質芽球、および形質細胞を選択するための免疫蛍光標識を、本明細書において報告される方法において使用することができる。
【0167】
B細胞の選択または濃縮のために、細胞は単一標識、または二重標識、または三重標識される。
【0168】
総細胞集団の約0.1%〜2.5%を標識する標識を行うことが必要とされる。
【0169】
1つの態様において、B細胞は、集団内のB細胞の0.1%〜2.5%に存在する表面分子の標識によって選択される。1つの態様において、B細胞は、集団内のB細胞の0.3%〜1.5%に存在する表面分子の標識によって選択される。1つの態様において、B細胞は、集団内のB細胞の0.5%〜1%に存在する表面分子の標識によって選択される。
【0170】
単一細胞の付着
本明細書において報告される方法は、1つの態様において、単一細胞としてB細胞集団のB細胞を付着させる工程を含む。
【0171】
1つの態様において、単一細胞として付着させる工程は蛍光活性化セルソーティング(FACS)によるものである。
【0172】
1つの態様において、特異的に標識されたB細胞を単一細胞として付着させる。1つの態様において、標識は、蛍光標識抗体を用いた細胞表面マーカーの標識である。
【0173】
1つの態様において、本明細書において報告される方法はモノクローナル抗体を提供する。
【0174】
本明細書において報告される全ての方法の1つの態様において、B細胞は成熟B細胞であり、成熟B細胞を単一細胞として付着させる。
【0175】
マウス、ラット、ハムスター、またはウサギなどの実験動物の脾臓および他の免疫器官から得られたB細胞を標識するために、実験動物の血液から得られたB細胞に用いられる免疫蛍光標識も使用することができる。
【0176】
複数の細胞の付着
本明細書において報告される方法は、1つの態様において、B細胞のプールを付着させる工程を含む。このB細胞のプールにおいて、末梢血からの磁気親和性ビーズまたはFACS単離後に全ての数のB細胞をウェルごとに付着させる。
【0177】
1つの態様において、約500個のB細胞を付着させる。
【0178】
1つの態様において、約2,500個のB細胞を付着させる。
【0179】
付着させるB細胞の総数を、例えば、ヒトB細胞の場合には、1回の実験において90,000個以上のB細胞までに増やすことができる。
【0180】
共存培養
抗体産生B細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞またはBHK細胞の共存培養が本明細書において報告される。
【0181】
従って、本明細書において報告される全ての方法の1つの態様において、B細胞はB細胞のプールとして、または単一の付着させたB細胞として、IL-2およびIL-21またはフィーダーミックスの存在下でCD40L発現CHO細胞と共存培養される。
【0182】
既に、共存培養の約3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、10日後、15日後、もしくは21日後、特に3日後、4日後、もしくは5日後(約2,500個のB細胞のプール)または特に6日後、7日後、もしくは8日後(単一の付着させたB細胞もしくは約500個のB細胞のプール)、上清中に十分な抗体分子を得ることができる。それによって得られる量の抗体を用いて、例えば、結合特異性に関して抗体をさらに詳細に特徴付けるために様々な分析を行うことができる。スクリーニング/選択プロセスのこの初期段階での抗体の改善された特徴付けにより、実施しなければならない、必要とされる核酸単離および配列決定反応の回数を減らすことが可能である。
【0183】
本明細書において報告される全ての方法の1つの態様において、フィーダーミックスの存在下での抗体産生B細胞およびCD40L発現CHO細胞の共存培養である。
【0184】
フィーダーミックスは天然フィーダーミックスでもよく、合成フィーダーミックスでもよい。
【0185】
天然フィーダーミックスは、例えば、胸腺細胞上清(TSN)である。これは、適切な可溶性因子を含有するが、この試薬は不均一であり、成分は十分に説明されておらず、動物間で異なる。
【0186】
合成フィーダーミックスはいわゆる「Zublerフィーダーミックス」である。これは、マウスサイトカイン(2ng/ml IL-1β、50ng/ml IL-2、10ng/ml IL-10、および2ng/ml TNFα)の規定された組み合わせからなる。
【0187】
本明細書において報告される全ての方法の1つの態様において、フィーダーミックスは胸腺細胞培養上清である。1つの態様において、B細胞はヒトB細胞でない。
【0188】
1つの態様において、胸腺細胞培養上清は、それぞれの若齢動物の胸腺の胸腺細胞を培養したものから得られる。成体動物の血液に由来する胸腺細胞を単離したものと比較して若齢動物の胸腺を使用することが特に適している。
【0189】
1つの態様において、胸腺細胞培養上清は、ヒト血液から得られたヒトT細胞の培養物から得られる。
【0190】
一般的に、本明細書において報告される方法におけるB細胞とCD40L発現CHO細胞との共存培養工程は、さらなる多数の工程の後に行われてもよく、さらなる多数の工程の前に行われてもよい。
【0191】
ウサギCD40L発現CHO細胞ならびにIL-2およびIL-21およびSACの共存培養を用いて、初期の(非成熟または未熟)ウサギB細胞を活性化できることが見出されている。これらのB細胞はCD138を発現しない。
【0192】
本明細書において報告される全ての方法の1つの態様において、抗体産生B細胞およびCD40L発現CHO細胞の共存培養はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。1つの態様において、B細胞はウサギB細胞であり、CD40LはウサギCD40Lである。1つの態様において、培養培地はIL-4を本質的に含まない。すなわち、IL-4は培養培地に添加されない。1つの態様において、培養培地と一緒にIL-2およびIL-21が培養開始時に添加される。
【0193】
本明細書において報告される全ての方法の1つの態様において、抗体産生ウサギB細胞およびウサギCD40L発現CHO細胞の共存培養はIL-2およびIL-21の存在下で行われ、培養培地はIL-4を本質的に含まず、培養培地と一緒にIL-2およびIL-21が培養開始時に添加される。
【0194】
B細胞、CD40L発現哺乳動物細胞、IL-2、およびIL-21を含む共存培養系を使用するとB細胞増殖が改善し、すなわち、B細胞がより迅速に分裂し、IL-2、IL-21、およびCD40L発現哺乳動物細胞の1つ、2つ、または全てを含まない系と比較して短期間で、高い細胞密度および培養上清中抗体価が得られることが見出されている。
【0195】
さらに、ウサギB細胞の場合、ウサギCD40L発現CHO細胞、ヒトIL-2またはマウスIL-2、およびヒトIL-21またはマウスIL-21を含む共存培養系が特に適していることが見出されている。
【0196】
IgG産生による共存培養細胞の特徴付け
共存培養後に分泌IgGを(定性的および定量的に)測定するために、一般的に、ELISAなどの当業者に公知の全ての方法を使用することができる。本明細書において報告される全ての方法の1つの態様において、ELISAが用いられる。ヒトIgGレベルを求めるために、Cytometric Bead Array(CBA)-技術(BD Biosciencesから入手可能)が用いられている。
【0197】
特徴付けの結果に応じて、B細胞クローンを得ることができる、すなわち、選択することができる。
【0198】
拡大および増殖による共存培養細胞の特徴付け
細胞の拡大を(定性的および定量的に)測定するために、共存培養されたB細胞の増殖または生存を、様々な測定(readout)系(市販の細胞活性試験「cell titer glow」(Promega)、CFSE希釈法、
3Hチミジン取り込み、または細胞培養画像)を用いて評価することができる。
【0199】
mRNAの単離、クローニング、および配列決定
高い抗体価を生じるB細胞クローンを使用すると、縮重PCRプライマーの使用を可能にする量の、(コグネイト)モノクローナル軽鎖可変領域および重鎖可変領域をコードするmRNAが得られ、高度に特異的なPCRプライマーが不要になる。また、必要とされるPCRサイクル数も少なくなる。従って、1つの態様において、逆転写PCRは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインに対する縮重PCRプライマーを用いて行われる。
【0200】
B細胞から総mRNAを単離し、cDNAに転写することができる。それぞれのプライマーを用いて、コグネイトVH領域をコードする核酸およびVL領域をコードする核酸を増幅することができる。
【0201】
本明細書において報告される全ての方法の1つの態様において、アミノ酸配列は、増幅された、可変ドメインをコードする核酸に由来する。可変ドメインをコードする核酸の正確な開始点および終末点は、EVQL/QVQL〜VSS(VH領域)およびDIVM/DIQM〜KLEIK(VL領域)のアミノ酸配列の位置を突き止めることによって特定される。
【0202】
本明細書における報告
(i)放射線照射済み哺乳動物細胞、例えば、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞またはBHK(ベビーハムスター腎臓)細胞、CD40Lでトランスフェクトされたフィーダー細胞、例えば、ウサギもしくはヒト由来のCD40Lでトランスフェクトされたフィーダー細胞を用いたCD40/CD40L(CD154)経路を介した、ならびに(ii)培養培地への個々のサイトカインまたはフィーダーミックス、例えば、ヒトもしくはマウスのインターロイキン2(IL-2)および21(IL-21)、ならびに/あるいは加熱殺菌されホルマリン固定されたスタフィロコッカスA Cowan1株粒子(SAC)を含むフィーダーミックスの添加を介した抗体分泌B細胞の同時刺激が本明細書において報告される。
【0203】
本発明の局面および態様
本明細書において報告される1つの局面は、IL-2およびIL-21の存在下でウサギB細胞をウサギCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程を含む、抗体を産生するための方法である。
【0204】
IL-2およびIL-21の存在下での、ウサギB細胞(単一の付着させた細胞または細胞のプール)とウサギCD40Lを発現する、例えば、細胞表面を示す哺乳動物細胞との共存培養工程を用いて、ウサギB細胞から開始してウサギ抗体およびヒト抗体を作製するための迅速な、かつ効率的な、かつ再現性のある方法が提供される。
【0205】
1つの態様において、ウサギB細胞はナイーブウサギB細胞または非成熟ウサギB細胞である。
【0206】
1つの態様において、ウサギB細胞はIgG
+B細胞である。
【0207】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2である。1つの態様において、IL-2はマウスIL-2である。
【0208】
1つの態様において、IL-21はヒトIL-21である。1つの態様において、IL-21はマウスIL-21である。
【0209】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2であり、IL-21はマウスIL-21である。
【0210】
1つの態様において、IL-2はマウスIL-2であり、IL-21はマウスIL-21である。
【0211】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2であり、IL-21はヒトIL-21である。
【0212】
1つの態様において、IL-2はマウスIL-2であり、IL-21はヒトIL-21である。
【0213】
1つの態様において、培養はIL-4の非存在下で行われる。1つの態様において、培養培地はIL-4を含まない。
【0214】
1つの態様において、哺乳動物細胞はチャイニーズハムスター卵巣細胞である。
【0215】
1つの態様において、ウサギCD40LはSEQ ID NO:01のアミノ酸配列を有する。
【0216】
1つの態様において、ウサギB細胞は、ウサギを抗原で最後に免疫した後、または追加免疫した後、4〜9日後に得られる。
【0217】
1つの態様において、前記方法は、以下の工程の1つまたは複数をさらに含む:
-免疫されたウサギからB細胞を得る工程、および/または
-B細胞を1つ1つ付着させる工程、および/または
-B細胞をウサギCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程、および/または
-共培養されたウサギB細胞からウサギ抗体の可変ドメインをコードする核酸を得る工程、および/または
-ウサギ抗体の可変ドメインをヒト化する工程、および/または
-抗体の可変ドメインをコードする核酸を含む哺乳動物細胞を培養し、細胞または培養培地から抗体を回収する工程。
【0218】
本明細書において報告される1つの局面は、ヒトB細胞をヒトCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程を含む、抗体を産生するための方法である。
【0219】
ヒトB細胞(単一の付着させた細胞または細胞のプール)とヒトCD40Lを発現する、例えば、細胞表面を示す哺乳動物細胞との共存培養工程を用いて、ヒトB細胞から開始してヒト抗体を作製するための効率的な、かつ再現性のある方法が提供される。
【0220】
1つの態様において、ヒトB細胞はヒト血液から得られる。
【0221】
1つの態様において、ウサギB細胞はIgG
+B細胞である。
【0222】
1つの態様において、哺乳動物細胞はベビーハムスター腎臓細胞である。
【0223】
1つの態様において、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6が共存培養物に添加される。
【0224】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2である。
【0225】
1つの態様において、IL-21はヒトIL-21である。
【0226】
1つの態様において、IL-6はヒトIL-6である。
【0227】
1つの態様において、培養はIL-4の非存在下で行われる。1つの態様において、培養培地はIL-4を含まない。
【0228】
1つの態様において、ヒトCD40LはSEQ ID NO:02のアミノ酸配列を有する。
【0229】
1つの態様において、B細胞は、ヒトを抗原またはワクチンで免疫した後、4〜9日後に得られる。
【0230】
1つの態様において、前記方法は、以下の工程の1つまたは複数をさらに含む:
-免疫されたヒト、もしくはワクチン接種されたヒト、もしくは疾患を有するヒト、もしくは疾患から生存したヒトの血液からB細胞を得る工程、および/または
-B細胞を1つ1つ付着させる工程、および/または
-B細胞をヒトCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程、および/または
-共培養されたヒトB細胞からヒト抗体の可変ドメインをコードする核酸を得る工程、および/または
-ヒト抗体の可変ドメインをコードする核酸、任意で、ヒト抗体の定常領域をコードする核酸を含む哺乳動物細胞を培養し、細胞または培養培地から抗体を回収する工程。
【0231】
本明細書において報告される1つの局面は、B細胞をフィーダー細胞と共存培養するためのIL-2およびIL-21の使用である。
【0232】
B細胞とフィーダー細胞との共存培養物にIL-2およびIL-21を添加すると、高効率のB細胞刺激ならびに改善された増殖特徴、例えば、改善された増殖速度および/または抗体分泌が得られる。
【0233】
1つの態様において、フィーダー細胞はCD40L発現哺乳動物細胞である。
【0234】
1つの態様において、B細胞はウサギB細胞であり、フィーダー細胞はウサギCD40L発現哺乳動物細胞である。1つの態様において、哺乳動物細胞はチャイニーズハムスター卵巣細胞である。
【0235】
本明細書において報告される1つの局面は、B細胞をフィーダー細胞と共存培養するためのIL-2および/またはIL-21の使用である。
【0236】
B細胞とフィーダー細胞との共存培養物にIL-2および/またはIL-21および/またはIL-6を添加すると、高効率のB細胞刺激ならびに改善された増殖特徴、例えば、改善された増殖速度および/または抗体分泌が得られる。
【0237】
1つの態様において、フィーダー細胞はCD40L発現哺乳動物細胞である。
【0238】
1つの態様において、B細胞はヒトB細胞であり、フィーダー細胞はヒトCD40L発現哺乳動物細胞である。1つの態様において、哺乳動物細胞はベビーハムスター腎臓細胞である。
【0239】
本明細書において報告される1つの局面は、B細胞をフィーダー細胞ならびにIL-2およびIL-21と共存培養する工程を含む、抗体を産生するための方法である。
【0240】
1つの態様において、フィーダー細胞はCD40L発現哺乳動物細胞である。
【0241】
1つの態様において、B細胞はウサギB細胞であり、フィーダー細胞はウサギCD40L発現哺乳動物細胞である。1つの態様において、哺乳動物細胞はチャイニーズハムスター卵巣細胞である。
【0242】
本明細書において報告される1つの局面は、B細胞をフィーダー細胞およびIL-2および/またはIL-21および/またはIL-6と共存培養する工程を含む、抗体を産生するための方法である。
【0243】
1つの態様において、フィーダー細胞はCD40L発現哺乳動物細胞である。
【0244】
1つの態様において、B細胞はヒトB細胞であり、フィーダー細胞はヒトCD40L発現哺乳動物細胞である。1つの態様において、哺乳動物細胞はベビーハムスター腎臓細胞である。
【0245】
本明細書において報告される1つの局面は、ウサギCD40L発現CHO細胞、IL-2、およびIL-21を含むキットである。
【0246】
本明細書において報告される1つの局面は、ヒトCD40L発現BHK細胞およびIL-2もしくはIL-21もしくはIL-6またはそれらの組み合わせを含むキットである。
【0247】
本明細書において報告される1つの局面は、T細胞表面抗原に特異的に結合しかつT細胞に対する負の刺激を媒介する抗体を分泌するB細胞を培養するための方法であって、IL-2もしくはIL-21またはその両方の存在下でのB細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含む方法である。
【0248】
単一のB細胞またはプールされたB細胞から出発して、T細胞阻害性化合物を分泌しているB細胞を増幅しなければならず、分泌されたT細胞阻害性化合物がT細胞由来フィーダー細胞、例えば、胸腺腫細胞の効果を弱める、または無くすのでT細胞由来フィーダー細胞を使用することができない場合に、この共存培養系は有用である。
【0249】
T細胞特異的抗体を作製するために、本明細書において報告されるCD40L発現CHO細胞を使用することができる。胸腺腫細胞株EL4-B5などのT細胞からなる、またはT細胞抗原を含むフィーダー系の使用は、B細胞によって産生されるT細胞特異的抗体が培養系を妨害するので適さない。T細胞特異的抗体を分泌する(B)細胞を培養する場合、本明細書において報告される系などのT細胞に依存しない人工系が理想であろう。
【0250】
1つの態様において、抗原はCD40Lでない。
【0251】
1つの態様において、T細胞阻害性化合物は、T細胞表面抗原に特異的に結合する抗体である。
【0252】
1つの態様において、B細胞はウサギB細胞であり、フィーダー細胞はウサギCD40L発現哺乳動物細胞である。1つの態様において、哺乳動物細胞はチャイニーズハムスター卵巣細胞である。
【0253】
1つの態様において、IL-2およびIL-21が共存培養物に添加される。
【0254】
1つの態様において、B細胞はヒトB細胞であり、フィーダー細胞はヒトCD40L発現哺乳動物細胞である。1つの態様において、哺乳動物細胞はベビーハムスター腎臓細胞である。
【0255】
1つの態様において、IL-2および/またはIL-21および/またはIL-6が共存培養物に添加される。
【0256】
本明細書において報告される1つの局面は、以下の順序で以下を含む、抗体分泌B細胞を培養するための方法である:
(i)分裂促進刺激剤の存在下での該B細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の第1の共存培養、ならびに
(ii)これに続く、抗体産生刺激剤の存在下での該B細胞および該CD40L発現哺乳動物細胞の第2の共存培養。
【0257】
最初に分裂促進刺激剤の存在下で、その後に抗体産生刺激剤の存在下でB細胞を連続培養することによって、B細胞の共存培養物は、B細胞が増幅される第1期および抗体分泌が誘導される第2期において分離される。
【0258】
1つの態様において、第1の共存培養および第2の共存培養は同じ培養容器の中で行われる。
【0259】
1つの態様において、抗体分泌B細胞を培養するための方法は、B細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の共存培養を含み、最初に、分裂促進刺激剤が培養物に添加され、その後に、抗体産生刺激剤が培養物に添加される。
【0260】
1つの態様において、抗体産生刺激剤は、分裂促進刺激剤が添加されて少なくとも1時間後に添加される。1つの態様において、抗体産生刺激剤は、分裂促進刺激剤が培養物に添加されて1〜3日後に添加される。
【0261】
1つの態様において、分裂促進刺激剤は、CD40相互作用化合物およびCD40L相互作用化合物、ICOS相互作用化合物およびICOS-L相互作用化合物、APRIL、BAFF、CR2、CXCL9、CXCL12(SDF-1)、CXCL13、CXCL16、Flt-3L、インターロイキン-1(α/β)、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-7、インターロイキン-10、インターロイキン-14、インターロイキン-21、SAP(シグナル伝達リンパ球活性化分子[SLAM]関連タンパク質)、スタフィロコッカスA Cowan1株粒子(SAC;加熱殺菌、ホルマリン固定)、TLRリガンド、例えば、LPS、様々なCpG ODN、またはレシキモド(R-848)、TSLP、腫瘍壊死因子(TNF)α、I型インターフェロン(例えば、IFNα/β)、II型インターフェロン(例えば、IFNγ)、架橋結合している抗IgG抗体、架橋結合している抗CD20抗体、ならびに架橋結合している抗CD27抗体を含む群より選択される。
【0262】
1つの態様において、抗体産生刺激剤は、CD40相互作用化合物およびCD40L相互作用化合物、ICOS相互作用化合物およびICOS-L相互作用化合物、APRIL、BAFF、CR2、CXCL9、CXCL12(SDF-1)、CXCL13、CXCL16、Flt-3L、インターロイキン-1(α/β)、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-9、インターロイキン-10、インターロイキン-13、インターロイキン-21、インターロイキン-33、SAP(シグナル伝達リンパ球活性化分子[SLAM]関連タンパク質)、スタフィロコッカスA Cowan1株粒子(SAC;加熱殺菌、ホルマリン固定)、TLRリガンド、例えば、LPS、様々なCpG ODN、またはレシキモド(R-848)、TSLP、腫瘍壊死因子(TNF)α、I型インターフェロン(例えば、IFNα/β)、II型インターフェロン(例えば、IFNγ)、架橋結合している抗IgG抗体、架橋結合している抗CD20抗体、ならびに架橋結合している抗CD27抗体を含む群より選択される。1つの態様において、分裂促進刺激剤は第1の共存培養の開始時に添加される。
【0263】
1つの態様において、分裂促進刺激剤は、第1の共存培養を開始して1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、または14日後に添加される。
【0264】
1つの態様において、抗体産生刺激剤は、分裂促進刺激剤を添加して1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、または14日後に添加される。
【0265】
1つの態様において、共存培養はそれぞれ5〜14日間行われる。
【0266】
1つの態様において、培養は全部で5〜21日間行われる。1つの態様において、培養は全部で6〜14日間行われる。
【0267】
1つの態様において、分裂促進刺激剤は、第2の共存培養が開始する前に除去される。1つの態様において、除去は、培養上清の交換および中性培地による細胞の洗浄によって行われる。
【0268】
本明細書において報告される1つの局面は、以下の工程を含む、抗原に特異的に結合する抗体を産生するための方法である:
(a)抗体分泌B細胞のプールまたは単一の付着させた抗体分泌B細胞をCD40L発現哺乳動物細胞と共存培養する工程、
(b)工程(a)において共存培養されたB細胞によって分泌された抗体の可変領域をコードする核酸またはそのバリアントを1つまたは複数の発現カセット内に含む細胞を培養する工程、
(c)該細胞または該培養培地から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
【0269】
1つの態様において、共存培養する工程は分裂促進刺激剤および/または抗体産生刺激剤の存在下で行われる。
【0270】
1つの態様において、第1の共存培養および/または第2の共存培養はIL-2およびIL-21の存在下で行われる。
【0271】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2である。1つの態様において、IL-2はマウスIL-2である。
【0272】
1つの態様において、IL-21はヒトIL-21である。 1つの態様において、IL-21はマウスIL-21である。
【0273】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2であり、IL-21はマウスIL-21である。
【0274】
1つの態様において、IL-2はマウスIL-2であり、IL-21はマウスIL-21である。
【0275】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2であり、IL-21はヒトIL-21である。
【0276】
1つの態様において、IL-2はマウスIL-2であり、IL-21はヒトIL-21である。
【0277】
1つの態様において、培養はIL-4の非存在下で行われる。1つの態様において、培養培地はIL-4を含まない。
【0278】
1つの態様において、共存培養は、
(i)分裂促進刺激剤の存在下でのB細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の第1の共存培養、ならびに
(ii)これに続く、抗体産生刺激剤の存在下でのB細胞およびCD40L発現哺乳動物細胞の第2の共存培養
を含む。
【0279】
1つの態様においては、前記方法は、以下の工程を含む:
(ab)抗原に特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインのアミノ酸配列をコードする核酸を単離する工程、および可変重鎖ドメインのアミノ酸配列をコードする核酸を単離する工程。
【0280】
1つの態様において、前記方法は、以下の工程を含む:
(a)抗体分泌(成熟)B細胞の集団を準備する工程、
(b)該B細胞集団の細胞を少なくとも1種類の蛍光色素で染色する工程、
(c)染色されたB細胞集団の中の単一細胞を個別の容器の中に付着させる工程、
(d)CD40L発現哺乳動物細胞ならびにIL-2およびIL21の存在下で、付着させた個々のB細胞を培養する工程、
(e)個々のB細胞の培養物において分泌された抗体の結合特異性を決定する工程、
(f)逆転写PCRおよびヌクレオチド配列決定によって、特異的に結合する抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインのアミノ酸配列を決定し、それによって、モノクローナル抗体の可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインをコードする核酸を得る工程、
(g)抗体の発現のために、該モノクローナル抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインをコードする核酸を、発現カセットに導入する工程、
(h)細胞に該核酸を導入する工程、
(i)該細胞を培養し、該細胞または該細胞培養上清から抗体を回収し、それによって、抗原に特異的に結合する抗体を産生する工程。
【0281】
1つの態様において、B細胞は動物またはヒトの血液から得られる。
【0282】
1つの態様において、染色は1〜3種類または2〜3種類の蛍光色素を用いて行われる。
【0283】
1つの態様において、容器はマルチウェルプレートのウェルである。
【0284】
1つの態様において、細胞は哺乳動物細胞である。1つの態様において、哺乳動物細胞は、CHO細胞、またはBHK細胞、またはNSO細胞、またはSp2/0細胞である。
【0285】
本明細書において報告される1つの局面は、抗体分泌ウサギB細胞の共存培養におけるウサギCD40L発現哺乳動物細胞、IL-2、およびIL-21の使用である。
【0286】
1つの態様において、哺乳動物細胞はCHO細胞である。
【0287】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2である。1つの態様において、IL-2はマウスIL-2である。
【0288】
1つの態様において、IL-21はヒトIL-21である。1つの態様において、IL-21はマウスIL-21である。
【0289】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2であり、IL-21はマウスIL-21である。
【0290】
1つの態様において、IL-2はマウスIL-2であり、IL-21はマウスIL-21である。
【0291】
1つの態様において、IL-2はヒトIL-2であり、IL-21はヒトIL-21である。
【0292】
1つの態様において、IL-2はマウスIL-2であり、IL-21はヒトIL-21である。
【0293】
1つの態様において、培養はIL-4の非存在下で行われる。1つの態様において、培養培地はIL-4を含まない。
【0294】
1つの態様において、ウサギCD40Lは、SEQ ID NO:01のアミノ酸配列を有する。
【0295】
本明細書において報告される1つの局面は、抗体分泌ヒトB細胞の共存培養においてIL-2および/またはIL-21および/またはIL-6と一緒にヒトCD40L発現哺乳動物細胞を使用することである。
【0296】
1つの態様において、哺乳動物細胞はBHK細胞である。
【0297】
1つの態様において、ヒトCD40LはSEQ ID NO:02のアミノ酸配列を有する。
【0298】
本明細書において報告される1つの局面は、抗体分泌B細胞の共存培養におけるSACの使用である。
【0299】
1つの態様において、共存培養は、CD40L発現哺乳動物細胞および/またはIL-2と共に行われる。
【0300】
本発明の理解を助けるために以下の実施例、図、および配列が提供される。本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲に示される。本発明の精神から逸脱することなく手順に変更を加えることができることが理解される。
【0301】
配列の説明
SEQ ID NO:01 ウサギ CD40Lのアミノ酸配列
SEQ ID NO:02 ヒト CD40Lのアミノ酸配列
SEQ ID NO:03 マウス CD40Lのアミノ酸配列
【実施例】
【0302】
材料および方法
組換えDNA法
DNAを操作するために、Sambrook, J., et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York(1989)に記載のように標準的な方法を使用した。分子生物学試薬は製造業者の説明書に従って使用した。
【0303】
DNA配列決定
DNA配列を、SequiServe GmbH(Vaterstetten, Germany)において実施した二本鎖配列決定によって決定した。
【0304】
DNAおよびタンパク質の配列分析ならびに配列データ管理
配列の作成、マッピング、分析、アノテーション、および図解のために、GCG(Genetics Computer Group, Madison, Wisconsin)ソフトウェアパッケージバリアント(variant)10.2およびInfomaxのVector NTI Advance suiteバリアント8.0を使用した。
【0305】
遺伝子合成
Geneart GmbH (Regensburg, Germany)がウサギCD40Lの望ましい遺伝子セグメントをコードするcDNAを調製した。発現構築物クローニングを容易にするために、下記のように、この遺伝子セグメントには独特の制限エンドヌクレアーゼ切断部位が隣接する。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列をDNA配列決定によって確認した。
【0306】
サイトカイン
Zublerミックス:2ng/mlマウスIL-1β、50ng/mlマウスIL-2、10ng/mlマウスIL-10、および2ng/mlマウスTNFα(最終濃度)
【0307】
規定されたサイトカインカクテルを確立するために試験したサイトカイン(特に定めのない限り最終濃度として示した):
【0308】
動物
野生型ニュージーランドホワイトウサギを血液の供給源として使用した。ウサギを、実験動物委員会ガイドライン(Institutional Animal Care and Use committee guidelines)および実験動物管理公認協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)(Germany, Europe)に従って収容および維持した。
【0309】
プレートのコーティング
滅菌したストレプトアビジンコーティング6ウェルプレート(細胞培養グレード)を、PBSに溶解した0.5〜1μg/mlの濃度のビオチン化抗原と室温で1時間インキュベートした。滅菌した細胞培養6ウェルプレートを、炭酸緩衝液(0.1M重炭酸ナトリウム、34mM炭酸水素二ナトリウム(Disodiumhydrogencarbonate)、pH9.55)に溶解した2μg/ml非ビオチン化タンパク質抗原で4℃で一晩コーティングした。プレートを使用する前に滅菌PBSで3回洗浄した。
【0310】
ウサギ末梢血単核球(PBMC)の単離
EDTAを含有する全血を1xPBSで2倍に希釈した後に、lympholyte mammal(Cedarlane Laboratories)またはFicoll Paque Plus(GE Healthcare, カタログ番号17-1440-03)によって密度遠心分離を行った。密度遠心分離はウサギPBMCを分離するために行った。PBMCを2回洗浄した後に、抗体で染色した。
【0311】
EL4-B5培地
10%FCS(Hyclone, Logan, UT, USA)、2mMグルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(PAA, Pasching, Austria)、2mMピルビン酸ナトリウム、10mM HEPES(PAN Biotech, Aidenbach, Germany)、および0.05mM β-メルカプトエタノール(Gibco, Paisley, Scotland)を添加したRPMI1640(Pan Biotech, Aidenbach, Germany)。
【0312】
マクロファージ/単球の枯渇
滅菌した6ウェルプレート(細胞培養グレード)を用いて、非特異的接着によりマクロファージおよび単球を枯渇させた。それぞれのウェルを最大4mlの培地および免疫されたウサギに由来する6x10
6個までの末梢血単核球で満たし、インキュベーターに入れて37℃で1時間、結合させた。上清中の細胞の50%をパニング工程に使用した。細胞の残り50%を免疫蛍光染色まで氷上に置いた。
【0313】
タンパク質抗原上でのB細胞の濃縮
タンパク質抗原でコーティングした6ウェル組織培養プレートに、4ml培地あたり6x10
6個までの細胞を播種し、インキュベーターに入れて37℃で1時間、結合させた。タンパク質抗原上での濃縮工程後に、ウェルを1xPBSで1〜2回、注意深く洗浄することによって非付着細胞を除去した。残っている粘着性の細胞を、インキュベーターに入れてトリプシンによって37℃で10分間、剥がし、次いで、培地で2回洗浄した。免疫蛍光染色まで細胞を氷上で保った。
【0314】
免疫蛍光染色およびフローサイトメトリー(ソーティングおよび分析)
シングルセルソーティングに使用した抗ウサギ IgG FITCを、AbD Serotec(STAR121F, Dusseldorf, Germany)から入手した。
【0315】
表面染色のために、細胞を、PBSで最適に希釈した抗ウサギIgG FITC抗体と、回転させながら暗所4℃で30分間インキュベートした。遠心分離後に、上清を吸引によって除去した。PBMCを2サイクルの遠心分離に供し、氷冷PBSで洗浄した。最後に、PBMCを氷冷PBSに再懸濁し、FACS分析にすぐに供した。死細胞と生細胞を区別するために、FACS分析の前に5μg/mlの濃度のヨウ化プロピジウム(BD Pharmingen, San Diego, CA, USA)を添加した。他の実験では、染色細胞を1つ1つFACSによって付着させた。
【0316】
コンピュータおよびFACSDivaソフトウェア(BD Biosciences, USA)を備えたBecton Dickinson FACSAriaを用いてデータを収集および分析した。
【0317】
増殖アッセイ
a)Cell Titer Glo(CTG)生存アッセイ
CTG生存アッセイ(Promega; #G7571)を製造業者の説明書に従って使用した。
【0318】
b)
3Hチミジンアッセイ
6日間インキュベートした後、
3H-チミジンを添加し(0.5μCi/ウェル)、さらに16時間インキュベートした。細胞増殖中の
3H-チミジンの取り込みを、マイクロプレートシンチレーションカウンター(Wallac)を用いて確かめた。
【0319】
c)顕微鏡分析
顕微鏡画像を習得するために、高解像度カメラ(Leica DFC290 HD)と組み合わせたLeica位相差顕微鏡(Leica DM IL)を使用した。
【0320】
d)CFSE標識を介したB細胞活性化の分析
単離されたB細胞を滅菌リン酸緩衝液食塩水(PBS)で洗浄した。1x10
7個までの細胞を1mlのタンパク質フリーPBSに再懸濁し、最終濃度2.5μMのCFSE(#C34554, Invitrogen/Molecular Probes)と37℃で3〜10分間インキュベートした。過剰なFCS添加培地を添加することによってCFSEローディングを止めた。FCS含有培地で大規模に洗浄した後に、B細胞を共培養実験において使用した。示された時点後に、CFSE希釈の結果としてのCD19
+でゲーティングされた(B)細胞の増殖をフローサイトメトリー分析(FL-1チャンネル)によって確かめた。
【0321】
B細胞培養
B細胞培養物を、Zubler, et al.(例えば、Eur. J. Immunol. 14 (1984) 357-363; J. Exp. Med. 160 (1984) 1170-1183を参照されたい)に記載の方法と同様の方法によって調製した。簡単に述べると、シングルソーティングされたB細胞を、Pansorbin Cell(1:20000)(Calbiochem(Merck), Darmstadt, Deutschland)、5%ウサギ胸腺細胞上清、およびγ線照射済みEL4-B5マウス胸腺腫細胞(2x10
4/ウェル)と共に、210μl/ウェルのEL4 B5培地を含む96ウェルプレートに入れてインキュベーター内で5%CO
2の雰囲気中、37℃で7日間、培養した。スクリーニングのためにB細胞培養上清を除去し、可変領域遺伝子回収のために細胞をすぐに採取した、または100μlのRLT緩衝液(Qiagen, Hilden, Germany)に入れて-80℃で凍結した。
【0322】
ヒトB細胞を、これに応じて培養した。共培養のためにヒトCD40L発現フィーダー細胞(BHK細胞)および示されたフィーダーミックスを使用した。
【0323】
実施例1
完全長ウサギCD40L用発現プラスミドの作製
ウサギCD40L遺伝子のアミノ酸配列をGenBank, アクセッション番号XP
002720374(SEQ ID NO:01)から入手した。
ウサギ CD40L CDNA 配列 XP
002720374 - SEQ ID NO:01
【0324】
アミノ酸配列をコード核酸配列(DNA)に逆翻訳(back-translate)した。
【0325】
プラスミド番号7111
遺伝子セグメントをコードする合成ウサギCD40L cDNAをcDNA発現ベクターにクローニングした。この発現ベクター内で、その発現は、ヒト重鎖免疫グロブリン5'非翻訳領域(UTR)を含む、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に由来する短縮されたイントロンA欠失最初期エンハンサーおよびプロモーターによって制御される。この発現ベクターには、スプライスドナー部位およびスプライスアクセプター部位を有するイントロンA、完全長ウサギCD40L遺伝子とそのシグナルアンカー配列、および強力なウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化シグナルが含まれる。この発現プラスミドは、大腸菌内でのプラスミド増幅のためにベクターpUC18に由来する複製起点およびβ-ラクタマーゼ遺伝子も含有する。
【0326】
プラスミド番号7112
プラスミド番号7111と同様にプラスミド番号7112を構築したが、安定にトランスフェクトされた哺乳動物細胞株の作製/選択のためにプラスミド番号7112はさらなるハイグロマイシン耐性遺伝子を含有する。
【0327】
実施例2
ウサギCD40L発現CHO-K1細胞の作製
製造業者の説明書に従って、(例えば、リポフェクション法またはNucleofectorキットT(Lonza、以前は Amaxa, VCA-1002)とNucleofectorプログラム U-17を用いて)CHO-K1(ATCC CCL-61)細胞をウサギCD40Lコードプラスミド(#7112)でトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を6ウェルプレート中で24時間、培養してから、選択圧を確立するために0.5mg/mlハイグロマイシンを添加した。トランスフェクションして2週間後に、培地に10%FCS(v/v)を添加した。5週間の拡大および選択期の後に、トランスフェクトされた細胞を、交差反応性ポリクローナルヤギ抗マウスCD40L一次抗体(R&D Systems; AF1163)および抗ヤギIgG二次抗体(Alexa488標識; Molecular Probes; #A11055)を用いてFACS Ariaで分析した。平均蛍光強度が最も高かった(上位5%)細胞をU底96ウェルプレートにおけるシングルセルソーティングに使用した。拡大をさらに2週間行った後に、クローンのウサギCD40L発現をFACSによって分析した。
【0328】
同様に、ヒトCD40L発現BHK細胞を得た。
【0329】
実施例3
共培養のためのフィーダー細胞への放射線照射
ウサギCD40Lを安定発現するCHOクローンを、CHO rbCD40L培地中で選択圧(0.5mg/mlハイグロマイシン)下で増殖させ、さらに使用するまで液体窒素中に保存した。
【0330】
ソーティングされたウサギB細胞に対するスティミュレーター(stimulator)として細胞を使用する2継代前に、ハイグロマイシンを培地から除去し、共培養の1日前に、培地をウサギB細胞培地に変えた。細胞を採取し、1x10
6/mlの細胞濃度まで調整した後に、50Gyでγ線を照射した。この後に、1x10
4個の細胞をU底96ウェルプレートに100μl/ウェルでプレーティングし、500xgで1分間、遠心分離し、37℃で一晩インキュベートした。
【0331】
実施例4
ウサギ末梢血に由来する初代抗体分泌細胞(ASC)の単離手順-
ウサギB細胞を単離するために、免疫されていないニュージーランドホワイトウサギの全血を使用した。
【0332】
一部のアプローチでは、第1の工程において、リンパ球集団を、lympholyte密度遠心分離(Biozol; #CL5120)またはFicoll Paque Plus(GE Healthcare, カタログ番号17-1440-03)によって単離した。第2の工程において、ウサギリンパ球をFITC標識抗ウサギIgG特異的抗体(最終濃度=10μg/ml; STAR121F; Serotec)とインキュベートした。次いで、FITC
+細胞(rbIgG
+細胞)を、FITC Microビーズ(#130-048-701; Miltenyi Biotec)(プールの付着)を介して精製した。
【0333】
他のアプローチ(「単一細胞の付着」)では、FITC
+細胞をFACS技術によって選択した(材料および方法を参照されたい)。
【0334】
実施例5
共培養系の樹立
予備実験では、スティミュレーター細胞およびウサギB細胞を主に2:1の比で共培養した。
【0335】
実施例4に記載のようにFACS Ariaを用いて、単一のウサギB細胞を、スティミュレーター細胞を用いて調製したプレート上にソーティングした。単一B細胞の共培養のために、1個のウサギB細胞を、10,000個の放射線照射済みフィーダー細胞からなる単層上に付着させた。示されているのであれば、フィーダーミックスを100μlのB細胞培地に添加し(例えば、標準的なサプリメントは25ng/ml IL-21、50U/ml IL-2、および1:10,000 SACであった)、共培養物を37℃および5%CO
2で6日間、増殖させた。
【0336】
実施例6
IgG特異的ELISAによって可視化した抗体産生
共培養後、後でウサギIgGを確かめるために150μlの培養上清を移した。拡大されたウサギB細胞を、FCSおよびDMSOを添加することによって96ウェル形式で液体窒素中に保存した。
【0337】
任意で、インキュベーションの長さを11〜14日まで延ばした。従って、150μlの新鮮に調製されたウサギB細胞培地とフィーダーミックスおよびSACを添加し、上清のウサギIgG濃度を再評価した。
【0338】
実施例7
IgG
+ウサギB細胞の培養
シングルソーティングされたIgG
+ウサギB細胞を、マウス胸腺腫細胞株EL4-B5およびウサギ胸腺細胞上清(TSN)およびSACと組み合わせて、またはウサギCD40L発現CHO細胞株(10,000個の細胞/ウェル;+/-さらなるSAC)の存在下で1週間、培養した。TSNを組換えサイトカインIL-2およびIL-21と交換した。
【0339】
6日後に、ウサギIgG特異的ELISAを実施し、(全ウェルに対する)ウサギIgG
+ウェルのパーセントを求めた(rbIgG生産性の確認)。
【0340】
結果:
ウサギCD40L発現CHO細胞ならびにIL-2およびIL-21の混合物を含む共培養系を使用した時にウサギIgG
+ウェルのパーセントは高かった(7.1%対6.7%(EL4-B5細胞を用いた場合))。この差は、ウサギCD40L発現CHO細胞にSACを添加した場合にも増加した(17.9%対6.7%)。以下の表に示したように異なる抗原に対する異なる免疫キャンペーン(campaign)からのウサギB細胞を使用することによって同様の結果が得られた。
【0341】
(表)異なるフィーダーミックスを含むB細胞共培養。IgG
+ウェルのパーセントを示す。
【0342】
ソーティングされたIgG
+CD138
+二重陽性B細胞の共存培養において、サイトカインおよびSACが添加されたrbCD40L系はIgG産生B細胞クローンを生じなかった。以下の表に示したように、EL4-B5細胞(TSNおよびSACを含む)との共培養によってB細胞クローンおよびIgG産生が生じた(22.2%、対有意な増殖は観察できなかった、対6.0%)。
【0343】
(表)ソーティングされたIgG
+CD138
+B細胞の共存培養
(
*有意な増殖は観察されなかった)
【0344】
実施例8
合成ウサギB細胞培養系
TSNを添加することなく、2,500個のウサギIgG
+B細胞/ウェルを放射線照射済みウサギCD40L発現CHO細胞またはEL4-B5細胞(それぞれ5,000個)と共存培養した。サプリメントの無い共存培養に加えて、組換えヒトIL-2対Zublerミックスの添加の影響を試験した。7日間、共存培養した後に、前記のようにCTGアッセイを用いてB細胞の増殖を確かめた。rbCD40L細胞を含む共存培養によってB細胞が増殖した(以下の表および
図1を参照されたい)。いわゆるZublerミックスの添加と比較して、IL-2の添加によって増殖が改善したことが分かる。
【0345】
(表)異なるフィーダー成分(培地、SAC、γ線照射済みEL4-B5またはrbCD40L発現細胞)、およびさらなるサイトカインの存在下でのウサギB細胞の増殖
【0346】
1ウェルにつき500個のウサギB細胞を、示されたフィーダー細胞および刺激(以下の表を参照されたい)と1:10の比で培養した。7日間、ウサギB細胞をrbCD40L発現 CHO細胞と共存培養した後に、CD40L発現の無い細胞と比較して細胞増殖の改善が観察された(CTGアッセイを介して確かめた)。
【0347】
(表)B細胞増殖[RLU/CTGアッセイ]。1ウェルにつき500個のB細胞を、示された細胞系およびさらなる組換えサイトカイン/ミックスと7日間、共培養した。
【0348】
rbCD40L発現フィーダー細胞の存在下で増殖効果が検出された。原則として、組換えIL-2およびIL-21の添加によって細胞増殖が増加した。これらの条件下で、SAC添加は改善を示さなかった。対照的に、他の条件においてSAC添加は増殖をわずかに改善した。対照的に、IL-2も、IL-21も、それらの組み合わせも、EL4-B5を含む共培養を改善しなかった。rbCD40L細胞(および示されたサイトカイン/ミックス)との共存培養において最大の増殖および細胞密度が得られた例示的なウェルを
図2に示した。同じ実験において、同じ共培養系が7日後のウサギIgG産生も改善した。rbCD40L発現細胞、およびIL-21またはIL-2/21の組み合わせの添加の両方に効果があった(以下の表を参照されたい)。
【0349】
(表)7日後の1ウェルにつき500個のB細胞によるIgG産生[ng/ml]:IL-2およびIL-21
【0350】
2つの別々の実験において、TSNおよびSACとIL-2/IL-6/IL-21の様々な組み合わせの存在下で、シングルソーティングされたウサギB細胞およびウサギB細胞のプールをEL4-B5細胞またはrbCD40L発現細胞と共培養した。以下の表に結果を示した(検出可能なウサギIgG産生のあるウェルの数を計数した)。rbCD40L発現フィーダー細胞ならびにTSNおよびSACを組み合わせても、EL4-B5系と同等のIgGは産生されなかった。他方で、ウサギB細胞とrbCD40L発現細胞ならびに示されたサイトカイン、例えば、(hu)IL-2およびIL-21の組み合わせとの共存培養において、有意に多いIgGが産生された(IgG
+ウェルのパーセントまたは数によって示した)。SACのみおよびrbCD40Lスティミュレーター細胞の添加によってIgG
+ウェルは検出されなかった。SACはIL-2/21添加rbCD40Lフィーダー系のIgG応答を増加させた(以下の表を参照されたい)。
【0351】
(表)シングルソーティングされたB細胞のウサギIgG産生(rbIgG
+ウェルのパーセント(左カラム)またはIgG
+ウェルの絶対数(右カラム))
【0352】
(表)付着させたB細胞プールのウサギIgG産生(IgG
+ウェルの数またはパーセント)
【0353】
実施例9
T細胞阻害抗体を作製するための系
T細胞特異的抗原を用いた免疫後に、ある特定の抗原に結合するだけでなく、潜在的なアゴニスト作用も示し得る抗体のプールが生じる。得られた抗体はT細胞の生物学的性質をマイナスに妨害し、 (胸腺腫細胞株EL4-B5と同様に)培養系がT細胞に基づくのであれば、フィーダー系も妨害する。
【0354】
シングルソーティングされたB細胞、例えば、ウサギまたはヒトを、EL4-B5フィーダー細胞またはCD40L発現細胞(例えば、実施例5を参照されたい)と共培養する。従って、シングルソーティングされたB細胞は、T細胞抗原で免疫された動物に由来する。
【0355】
シングルソーティングされたB細胞を、示されたフィーダーミックスと共培養する。共存培養して約7日後に、B細胞クローンの数を求め、(材料および方法ならびに実施例6に記載のように)培養上清のIgG含有量を評価する。
【0356】
共存培養は、例えば、T細胞抑制性で知られている、抗原を用いた免疫後にヒトまたは野生型動物もしくはトランスジェニック動物から得られた(シングルソーティングされた、またはプールされた)B細胞を用いて行うことができる。
【0357】
実施例10
連続したB細胞培養系の作製
免疫された哺乳動物に由来するシングルソーティングされたB細胞を放射線照射済みCD40L発現細胞と共培養する。第1の培養期において、様々な分裂促進因子(例えば、サイトカイン)を添加し(以下のリストを参照されたい)、分裂促進因子の存在下で共存培養を1〜14日間、続ける。第1の培養期後に、(培養培地を分裂促進因子フリー培地用と交換することによって、および/または細胞を洗浄することによって、または透析もしくは遠心分離/沈降によって)分裂促進因子を培養培地から除去し、抗体産生刺激剤(以下のリストを参照されたい)の存在下で培養を続ける。3日間または5日間または7日間または21日間、共存培養した後に、第2の培養期において培養上清中のIgG濃度を試験する。
【0358】
分裂促進刺激剤は、CD40相互作用化合物およびCD40L相互作用化合物、ICOS相互作用化合物およびICOS-L相互作用化合物、APRIL、BAFF、CR2、CXCL9、CXCL12(SDF-1)、CXCL13、CXCL16、Flt-3L、インターロイキン-1(α/β)、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-7、インターロイキン-10、インターロイキン-14、インターロイキン-21、SAP(シグナル伝達リンパ球活性化分子[SLAM]関連タンパク質)、スタフィロコッカスA Cowan1株粒子(SAC;加熱殺菌、ホルマリン固定)、TLRリガンド、例えば、LPS、様々なCpG ODN、またはレシキモド(R-848)、TSLP、腫瘍壊死因子(TNF)α、I型インターフェロン(例えば、IFNα/β)、II型インターフェロン(例えば、IFNγ)、架橋結合している抗IgG抗体、架橋結合している抗CD20抗体、ならびに架橋結合している抗CD27抗体を含むリストより選択されてもよい。
【0359】
抗体産生刺激剤は、CD40相互作用化合物およびCD40L相互作用化合物、ICOS相互作用化合物およびICOS-L相互作用化合物、APRIL、BAFF、CR2、CXCL9、CXCL12(SDF-1)、CXCL13、CXCL16、Flt-3L、インターロイキン-1(α/β)、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-9、インターロイキン-10、インターロイキン-13、インターロイキン-21、インターロイキン-33、SAP(シグナル伝達リンパ球活性化分子[SLAM]関連タンパク質)、スタフィロコッカスA Cowan1株粒子(SAC;加熱殺菌、ホルマリン固定)、TLRリガンド、例えば、LPS、様々なCpG ODN、またはレシキモド(R-848)、TSLP、腫瘍壊死因子(TNF)α、I型インターフェロン(例えば、IFNα/β)、II型インターフェロン(例えば、IFNγ)、架橋結合している抗IgG抗体、架橋結合している抗CD20抗体、ならびに架橋結合している抗CD27抗体を含むリストより選択されてもよい。
【0360】
実施例11
ヒト抗体を作製するための共存培養系
前記実施例に記載のように、ヒトCD40L発現BHK細胞の存在下でのヒトB細胞増殖の促進における様々なサイトカインの効果を試験した。
【0361】
Ficollによって単離されたヒトPBMC(2x10
5個)を96ウェルプレートに播種し、示された刺激の存在下で8日間、培養した。ポリクローナルT細胞刺激を誘導するために、任意で、CD3/CD28抗体を添加した。以下の表から分かるように、組換えヒトIL-21は、(さらなるT細胞活性化とは無関係に)最も高いヒトIgG産生を誘導した。
【0362】
(表)8日後のヒトIgG産生
【0363】
様々な刺激の存在下で、単離されたヒト末梢IgG
+B細胞(それぞれ、750個/ウェルおよび2,500個/ウェル)をγ線照射済みヒトCD40L発現BHK細胞と共培養した(以下の表および
図3を参照されたい)。
【0364】
(表)8日後のヒト末梢B細胞の相対増殖[%]
【0365】
単離されたIgG
+記憶B細胞(MACSキット#130-094-350を用いて単離された)ならびにIgG
+B細胞(抗IgG-マイクロビーズ(MACSキット#130-047-501)を介して直接単離された)は様々な刺激に対して同様に反応したことが分かる。IL-21を単独で(または組み合わせて)添加すると、8日間、共存培養した後の増殖応答が改善された。IL-2、IL-6、またはそれらの組み合わせを用いて同時刺激しても効果は向上せず、SACを添加しても効果は向上しなかった。
【0366】
上清のIgG産生を試験した。以下の表から、IL-21およびその組み合わせを添加すると、huCD40L発現BHK細胞との共存培養においてIgG産生が改善されたことが分かる。
【0367】
(表)8日後のヒトIgG産生
【0368】
接触していない単離されたヒトB細胞の増殖も評価した。B細胞を、Dynal Kit 113.13D(Invitrogen)を用いてPBMCから分離し、計数し、1ウェルにつき90,000個のCFSE標識B細胞をγ線照射済みヒトCD40L発現BHK細胞(CFSE陰性)と共培養した。結果を以下の表および
図4に示した。
【0369】
(表)B細胞増殖(CD19
+細胞のFACS分析によって計数された細胞絶対数)
【0370】
IL-21のみ、またはIL-2/IL-21、またはIL-21/IL-6/IL-21の添加によって細胞絶対数は増加する。
【0371】
例示的なドットプロットは、FACSによって分析した増殖の程度としてCFSE希釈を示す(
図5を参照されたい)。IL-21を添加すると、またはIL-2およびIL-2/-6と組み合わせて添加するとB細胞増殖が増加した(CD19
+でゲーティングされた細胞を示した)。
【0372】
活性化されたB細胞、T細胞、NK細胞、単球、マクロファージ、顆粒球、血小板、形質細胞、および赤血球から枯渇させた(Dynalキット, Invitrogen, #113.13D)、接触していないヒトナイーブB細胞を、γ線照射済みヒトCD40L発現BHK細胞および様々なさらなる刺激との共培養において使用した。1ウェルにつき50,000個の最初に付着させたB細胞の増殖を以下の表に示した。
【0373】
(表)放射線照射済みhuCD40L BHK細胞との7日間の共培養におけるナイーブB細胞(50,000個/ウェル)の増殖(増殖したB細胞の数をFACS分析によって検出した)
【0374】
IL-21を(単独で、またはIL-2および/もしくはIL-6と組み合わせて)添加するとB細胞増殖が改善された。
【0375】
実施例12
SACを使用したB細胞培養系
単離されたヒトB細胞(1ウェルにつき5x10
4個の細胞、ネガティブB細胞アイソレーションキット(negative B-cell isolation kit)(#113.13D, Invitrogen)を用いてナイーブヒトPBMCから単離した)を96ウェル丸底プレート中で培養し、示されたサプリメントの存在下で6日間インキュベートした後に、増殖(CTGアッセイ)またはヒトIgG産生(ELISA)を確かめた。結果を以下の表に示した。
【0376】
(表)
【0377】
SACをIL-2と組み合わせるとB細胞増殖およびIgG産生が改善され、SACをIL-2およびIL-6と組み合わせると、より少ない程度でB細胞増殖およびIgG産生が改善されることが分かる。3日間インキュベートした後の例示的なB細胞クラスターを
図6に示した。
【0378】
精製末梢ウサギB細胞のプールを用いて、SACを添加するとB細胞増殖が増加した(以下の表を参照されたい)。
【0379】
(表)異なるフィーダー成分(培地、SAC、γ線照射済みEL4-B5またはrbCD40L発現細胞)、およびさらなるサイトカインの存在下でのウサギB細胞の増殖
【0380】
(表)B細胞増殖[RLU/CTGアッセイ]。1ウェルにつき500個のB細胞を、示された細胞系およびさらなる組換えサイトカイン/ミックスと7日間、共培養した。
【0381】
SAC添加でも培養B細胞のIgG産生(IgG陽性ウェルの数および/またはIgG分泌)が増加した。
【0382】
実施例13
ウサギB細胞共存培養
TSNを添加することなく、1ウェルにつき500個のウサギIgG
+B細胞をγ線照射済みウサギCD40L発現CHO細胞またはγ線照射済みCHO-K1細胞(それぞれ、10,000個)と共存培養した。サプリメントの無い共存培養に加えて、組換えヒトIL-2、組換えマウスIL-2、組換えヒトIL-21、組換えマウスIL-21、およびそれらの組み合わせの添加の影響を試験した。共存培養して7日後に、前記のようにELISAを用いてB細胞上清中の抗体価を求めた。IL-2およびIL-21の存在下でのrbCD40L細胞を含む共存培養によってB細胞が増殖し、抗体が分泌された(
図7および
図8を参照されたい)。
【0383】
実施例14
ウサギB細胞共存培養
TSNを添加することなく、凍結解凍したウサギIgG
+PBMCから単離した1ウェルにつき500個のB細胞をγ線照射済みウサギCD40L発現CHO細胞またはγ線照射済みCHO-K1細胞(それぞれ、10,000個)と共存培養した。サプリメントの無い共存培養に加えて、組換えヒトIL-2、組換えマウスIL-2、組換えヒトIL-21、組換えマウスIL-21、およびそれらの組み合わせの添加の影響を試験した。共存培養して7日後に、前記のようにELISAを用いてB細胞上清中の抗体価を求めた。IL-2およびIL-21の存在下でのrbCD40L細胞を含む共存培養によってB細胞が増殖し、抗体が分泌された(
図9および
図10を参照されたい)。
【0384】
実施例15
合成ウサギB細胞培養系
低いB細胞密度:
TSNを添加することなく、1ウェルにつき500個のウサギIgG
+B細胞(NZWウサギから単離した)をγ線照射済みウサギCD40L発現CHO細胞またはγ線照射済みCHO-K1細胞(それぞれ、10,000個)と共存培養した。サプリメントの無い共存培養に加えて、組換えヒトIL-2、組換えマウスIL-2、組換えヒトIL-21、組換えマウスIL-21、およびそれらの組み合わせの添加の影響を試験した。共存培養して7日後に、前記のようにELISAを用いてB細胞上清中の抗体価を求めた。IL-2およびIL-21の存在下でのrbCD40L細胞を含む共存培養によってB細胞が増殖し、抗体が分泌された(
図11および
図12を参照されたい)。
【0385】
高いB細胞密度:
TSNを添加することなく、1ウェルにつき2,500個のウサギIgG
+B細胞(以前の低密度実験と同じNZWウサギに由来する)をγ線照射済みウサギCD40L発現CHO細胞またはγ線照射済みCHO-K1細胞(それぞれ、10,000個)と共存培養した。サプリメントの無い共存培養に加えて、組換えヒトIL-2、組換えマウスIL-2、組換えヒトIL-21、組換えマウスIL-21、およびそれらの組み合わせの添加の影響を試験した。共存培養して7日後に、前記のようにELISAを用いてB細胞上清中の抗体価を求めた。IL-2およびIL-21の存在下でのrbCD40L細胞を含む共存培養によってB細胞が増殖し、抗体が分泌された(
図14を参照されたい)。
【0386】
実施例16
合成B細胞培養系の動態解析
実施例4に記載のように、ウサギIgG
+細胞をNZWウサギ全血のPBMCから磁気的に濃縮する。IL-2、IL-21、またはIL-2およびIL-21の組み合わせ(起源が同じまたは異なる。例えば、マウスおよびヒト)の非存在下または存在下で、1ウェルにつき500個のウサギB細胞をγ線照射済みウサギCD40L
+CHOフィーダー細胞または対照であるγ線照射済みCHO-K1フィーダー細胞(それぞれ、10,000個;実施例1〜3に記載のように作製)と1:20の比で培養する。1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、および7日間、培養した後に(d1〜d7)、ウサギB細胞とウサギCD40L発現CHO細胞との共培養を上清中のウサギIgG産生および細胞増殖について評価する。これらのデータを、CD40L発現の無いフィーダー細胞と共に、および/またはさらなる外因性刺激(同じ1種類のインターロイキンもしくはインターロイキンの組み合わせ)の非存在下で共存培養された細胞と比較する。成長および増殖の動態をCTGアッセイおよび顕微鏡分析を介して確かめる(前記を参照されたい)。
【0387】
インターロイキンは以下の最終濃度で適用/使用される:
-50U/mlのマウスIL-2(Roche Diagnostics GmbH, カタログ番号11271164001)
-50U/mlのヒトIL-2(Roche Diagnostics GmbH, カタログ番号11147528001)
-IL-21バッチ(eBioscience, カタログ番号14-8219)に応じて10〜100ng/mlの間で変化する、ED
50濃度の1倍〜3倍の範囲のヒトIL-21
-100ng/mlのマウスIL-21(R&D Systems, カタログ番号594-ML)。