(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374804
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
F02D 41/38 20060101AFI20180806BHJP
F02D 41/40 20060101ALI20180806BHJP
F02D 41/02 20060101ALI20180806BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
F02D41/38 B
F02D41/40 D
F02D41/02 380E
F02D43/00 301N
F02D43/00 301G
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-34835(P2015-34835)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-200304(P2015-200304A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-71076(P2014-71076)
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】植田 真人
(72)【発明者】
【氏名】宮内 渉
(72)【発明者】
【氏名】栩本 将行
(72)【発明者】
【氏名】花田 崇
【審査官】
田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−14013(JP,A)
【文献】
特開2012−31844(JP,A)
【文献】
特開平8−270509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D13/00 − 28/00
F02D41/00 − 45/00
F02B47/08 − 47/10
F02M26/00 − 26/74
F02M39/00 − 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置(1)と燃料噴射装置(2)とを備え、制御装置(1)の制御により、燃料噴射装置(2)で、燃料噴射(3)(4)が行われるエンジンにおいて、
最大出力が得られる定格点(5)を含む定格運転領域(D1)と、最大トルクが得られる最大トルク点(6)を含む最大トルク運転領域(D2)と、中負荷運転領域(D3)と、軽負荷運転領域(D4)とに運転領域が区分され、定格運転領域(D1)は高回転高負荷寄りの領域とされ、最大トルク運転領域(D2)は定格運転領域(D1)よりも低回転側で高負荷寄りの領域とされ、中負荷運転領域(D3)は定格運転領域(D1)よりも低回転側で最大トルク運転領域(D2)よりも軽負荷寄りの領域とされ、軽負荷運転領域(D4)は中負荷運転領域(D3)よりも軽負荷寄りの領域とされ、
制御装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)ではプレ噴射(3)が行われることなくメイン噴射(4)が行われ、他の運転領域(D2)(D3)(D4)ではプレ噴射(3)とメイン噴射(4)とが行われるように構成され、
最大トルク点(6)では、定格運転領域(D1)や中負荷運転領域(D3)よりも、メイン噴射(4)の噴射開始時期(4a)が遅角されるとともに、
EGR装置(8)を備え、最大トルク点(6)では、定格運転領域(D1)に比べ、EGR率が高めに設定されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
【請求項2】
請求項1に記載されたエンジンにおいて、
制御装置(1)の制御により、最大トルク運転領域(D2)と中負荷運転領域(D3)では、軽負荷運転領域(D4)よりも、プレ噴射(3)の終了からメイン噴射(4)の開始までのインターバル(7)が長めに設定される、ことを特徴とするエンジン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたエンジンにおいて、
制御装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)では、他の運転領域(D2)(D3)(D4)よりも、メイン噴射(4)の噴射開始時期(4a)が進角される、ことを特徴とするエンジン。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
制御装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)では、他の運転領域(D2)(D3)(D4)に比べ、EGR率が低めに設定される、ことを特徴とするエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関し、詳しくは、燃料噴射装置の耐用寿命を長くすることができるエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御手段と燃料噴射装置とを備え、制御装置の制御により、燃料噴射装置で1燃焼サイクル中にプレ噴射とメイン噴射が行われるエンジンがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のエンジンによれば、空気利用率の向上と緩慢な燃焼により、PMとNOxの低減を図ることができる利点がある。
【0004】
この種の装置では、全ての運転領域でプレ噴射とメイン噴射が行われることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−213287号公報(
図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点》 燃料噴射装置の耐用寿命が短くなる。
この種の装置では、全ての運転領域でプレ噴射とメイン噴射が行われると、燃料噴射回数が多くなり過ぎ、燃料噴射装置の耐用寿命が短くなる。
【0007】
本発明の課題は、燃料噴射装置の耐用寿命を長くできるエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、制御装置(1)と燃料噴射装置(2)とを備え、
図2(B)(C)に例示するように、制御装置(1)の制御により、燃料噴射装置(2)で、燃料噴射(3)(4)が行われるエンジンにおいて、
図2(A)に例示するように、最大出力が得られる定格点(5)を含む定格運転領域(D1)と、最大トルクが得られる最大トルク点(6)を含む最大トルク運転領域(D2)と、中負荷運転領域(D3)と、軽負荷運転領域(D4)とに運転領域が区分され、定格運転領域(D1)は高回転高負荷寄りの領域とされ、最大トルク運転領域(D2)は定格運転領域(D1)よりも低回転側で高負荷寄りの領域とされ、中負荷運転領域(D3)は定格運転領域(D1)よりも低回転側で最大トルク運転領域(D2)よりも軽負荷寄りの領域とされ、軽負荷運転領域(D4)は中負荷運転領域(D3)よりも軽負荷寄りの領域とされ、
図2(B)(C)に例示するように、制御装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)ではプレ噴射(3)が行われることなくメイン噴射(4)が行われ、他の運転領域(D2)(D3)(D4)ではプレ噴射(3)とメイン噴射(4)とが行われるように
構成され、
図2(A)(B)に例示するように、最大トルク点(6)では、定格運転領域(D1)や中負荷運転領域(D3)よりも、メイン噴射(4)の噴射開始時期(4a)が遅角されるとともに、
図1に例示するように、EGR装置(8)を備え、図2(A)(B)に例示するように、最大トルク点(6)では、定格運転領域(D1)に比べ、EGR率が高めに設定されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 燃料噴射装置の耐用寿命を長くすることができる。
図2(B)(C)に例示するように、制御装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)ではプレ噴射(3)が行われることなくメイン噴射(4)が行われ、他の運転領域(D2)(D3)(D4)ではプレ噴射(3)とメイン噴射(4)とが行われるように構成されているので、全ての運転領域(D1)(D2)(D3)(D4)でプレ噴射(3)とメイン噴射(4)を行う場合に比べ、燃料噴射(3)(4)の回数が少なくなり、燃料噴射装置(2)の耐用寿命を長くすることができる。
特に、定格運転領域(D1)での使用時間が長い産業用エンジンでは、その効果が顕在化する。
【0010】
《効果》 PMとNOxの低減を図ることができる。
図2(B)(C)に例示するように、制御装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)ではプレ噴射(3)が行われることなくメイン噴射(4)が行われ、他の運転領域(D2)(D3)(D4)ではプレ噴射(3)とメイン噴射(4)とが行われるように構成されているので、他の運転領域(D2)(D3)(D4)では、空気利用率の向上によるPMの低減と、緩慢な燃焼によるNOxの低減を図ることができる。
【0011】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 最大トルク運転領域と中負荷運転領域では、NOxの低減を図ることができる。
図2(B)(C)に例示するように、制御
装置(1)の制御により、最大トルク運転領域(D2)と中負荷運転領域(D3)では、軽負荷運転領域(D4)よりも、プレ噴射(3)の終了からメイン噴射(4)の開始までのインターバル(7)が長めに設定されるので、燃焼圧力の上昇が緩慢になり、NOxの低減を図ることができる。
【0012】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 定格運転領域では、PMとNOxの低減を図ることができる。
図2(B)(C)に例示するように、制御
装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)では、他の運転領域(D2)(D3)(D4)よりも、メイン噴射(4)の噴射開始時期(4a)が進角され、着火遅れが抑制されるので、後燃えが抑制され、PMの低減を図ることができるとともに、燃焼圧力の上昇が緩慢になり、NOxの低減を図ることができる。
【0013】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 定格運転領域では、エンジン出力が高まる。
図2(B)に例示するように、制御
装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)では、他の運転領域(D2)(D3)(D4)に比べ、EGR率が低めに設定されるので、エンジン出力が高まる。
【0014】
《効果》 定格運転領域では、PMの低減を図ることができる。
図2(B)に例示するように、制御
装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)では、他の運転領域(D2)(D3)(D4)に比べ、EGR率が低めに設定されるので、空気過剰率が高まり、PMの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの模式図である。
【
図2】
図1のエンジンの各運転領域での燃料噴射を説明する図で、
図2(A)は運転領域の区分、
図2(B)は各運転領域での燃料噴射パターン等の一覧表、
図2(C)は各運転領域での燃料噴射のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図2は本発明の実施形態に係るエンジンを説明する図であり、この実施形態では、立形の直列4気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
【0017】
図1に示すように、このエンジンは、4本のシリンダ(19)と、シリンダヘッド(9)とを備え、シリンダヘッド(9)の左右一側には吸気マニホルド(10)が、他側には排気マニホルド(11)が組み付けられている。シリンダ(19)を備えたシリンダブロック(図外)の後部にはフライホイール(12)が配置されている。
【0018】
燃料噴射装置(2)の構成は、次の通りである。
図1に示すように、シリンダヘッド(9)には、シリンダ(19)毎にインジェクタ(13)が配置され、各インジェクタ(13)はコモンレール(14)に接続されている。コモンレール(14)には、燃料サプライポンプ(15)を介して燃料タンク(16)の燃料(20)が圧送される。各インジェクタ(13)の電磁弁は、制御装置(1)に接続され、制御装置(1)からの制御信号で、開弁タイミングと開弁期間が制御され、所定のタイミングで所定量の燃料(20)が燃焼室
(23)に噴射される。
【0019】
図1に示すように、制御装置(1)には、回転数センサ(21)と調速センサ(22)とが接続され、エンジンの設定回転数と、実回転数と設定回転数の偏差とにより、燃料噴射量が調節される。
制御装置(1)は、エンジンECUである。エンジンECUは、エンジン電子制御ユニットの略称であり、マイコンである。
吸気マニホルド(10)に吸気を供給する吸気経路(17)には吸気流量センサ(18)が配置されている。
【0020】
図1に示すように、制御装置(1)と燃料噴射装置(2)とを備え、
図2(B)(C)に示すように、制御装置(1)の制御により、燃料噴射装置(2)で、燃料噴射(3)(4)が行われる。
図2(A)に示すように、横軸をエンジン回転数、立軸をトルクとする座標上、最大出力が得られる定格点(5)を含む定格運転領域(D1)と、最大トルクが得られる最大トルク点(6)を含む最大トルク運転領域(D2)と、中負荷運転領域(D3)と、軽負荷運転領域(D4)とに運転領域が区分され、定格運転領域(D1)は高回転高負荷寄りの領域とされ、最大トルク運転領域(D2)は定格運転領域(D1)よりも低回転側で高負荷寄りの領域とされ、中負荷運転領域(D3)は定格運転領域(D1)よりも低回転側で最大トルク運転領域(D2)よりも軽負荷寄りの領域とされ、軽負荷運転領域(D4)は中負荷運転領域(D3)よりも軽負荷寄りの領域とされている。運転領域の区分、運転中の運転領域の識別は、制御装置(1)が行う。
燃料噴射装置(2)は、前述したコモンレールシステムである。
【0021】
図2(B)(C)に示すように、制御装置(1)の制御により、1燃焼サイクル中に、定格運転領域(D1)ではプレ噴射(3)が行われることなくメイン噴射(4)が行われ、他の運転領域(D2)(D3)(D4)ではプレ噴射(3)とメイン噴射(4)とが行われるように構成されている。
メイン噴射(4)はエンジン出力を得るための主たる燃料噴射をいい、プレ噴射(3)はメイン噴射(4)の燃焼改善を図るためにメイン噴射(4)に先立って行われる燃料噴射をいう。
【0022】
図2(B)(C)に示すように、制御
装置(1)の制御により、最大トルク運転領域(D2)と中負荷運転領域(D3)では、軽負荷運転領域(D4)よりも、プレ噴射(3)の終了からメイン噴射(4)の開始までのインターバル(7)が長めに設定される。インターバル(7)の長短は、クランク角度差によって設定され、クランク角度差が大きい場合は長めの設定、小さい場合は短めの設定となる。
【0023】
図2(B)(C)に示すように、制御
装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)では、他の運転領域(D2)(D3)(D4)よりも、メイン噴射(4)の噴射開始時期(4a)が進角される。メイン噴射(4)の噴射開始時期(4a)の進角は、定格運転領域(D1)で大、軽負荷運転領域(D4)で中、中負荷運転領域(D3)で小、最大トルク運転領域(D2)で最小とされている。
【0024】
図1に示すように、EGR装置(8)を備え、
図2(B)に例示するように、制御
装置(1)の制御により、定格運転領域(D1)では、他の運転領域(D2)(D3)(D4)に比べ、EGR率が低めに設定される。
EGR装置(8)は、排気マニホルド(11)と吸気マニホルド(10)との間に設けられ、EGR通路(8a)の途中にEGRクーラ(8b)とEGR弁(8c)とを備えている。制御
装置(1)の制御により、EGR弁(8c)の開度が調節され、EGR率が設定される。
この実施形態では、図2(A)(B)に示すように、最大トルク点(6)では、定格運転領域(D1)や中負荷運転領域(D3)よりも、メイン噴射(4)の噴射開始時期(4a)が遅角されるとともに、図1に示すように、EGR装置(8)を備え、図2(A)(B)に示すように、最大トルク点(6)では、定格運転領域(D1)に比べ、EGR率が高めに設定されるように構成されている。
【符号の説明】
【0025】
(1) 制御装置
(2) 燃料噴射装置
(3) プレ噴射
(4) メイン噴射
(4a) 噴射開始
(5) 定格点
(6) 最大トルク点
(7) インターバル
(8) EGR装置