(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の1液止水による止水構造は、電線間に止水剤(シリコン503)が充填されて電線被覆と接着する。このため、止水性能は非常に優れているが、止水剤の管理が困難であるほか、固化するまでに数時間程度を必要とすることから、作業性がよくなかった。また、上述のブチルゴム509による止水構造は、電線間に止水剤(ブチルゴム509)が充填され、ブチルゴム自体が柔らかく、なじみ易く、それでいて接着性があるので、確実に充填されれば止水性能は優れるが、使用ブチルゴム量の管理が困難な問題がある。更に、ブチルゴム509による止水構造は、ブチルゴム509がベタベタしていて手に付くなど作業性が悪いとともに、充填状況の確認が行いにくい。
【0006】
また、止水構造への応用が可能な技術として、電線束の外周を樹脂材料によってモールドするモールド構造が知られている(特許文献1等参照)。ところが、このようなモールド構造では、3本以上の電線を束にしてしまうと、隣接する電線間に樹脂を充填できない隙間(樹脂未充填空間)ができてしまう。また、これらのモールド構造は、通常の射出成形機によって成形が行われる。このため、設備が大掛かりとなる。また、射出成形機を使用した場合、成形型のキャビティに溶融樹脂を射出する際の溶融樹脂の漏出によるバリの発生を抑制する必要がある。このため、成形型には、バリきりが設けられる。バリきりは、成形型から引き出される電線の外周に密着させるため、山脈のように先端が尖った複数の突条を有する。その結果、電線群の成形型配置時に、電線の被覆に傷をつけてしまう可能性があり、慎重な取り扱いが必要となるため作業性がよくなかった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、電線群挿通部から浸入する水入り量を容易に抑制できるワイヤハーネスの水入り対策構造及びワイヤハーネスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 複数の電線が直径方向に並ぶ少なくとも一列の電線群と、前記電線群の延在方向の一部分を包囲し電線群挿通部の内周形状に応じた外周形状部を有するように低圧射出された硬質樹脂材によって一体にモールド成形された堰き止め部と、を備えることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
【0009】
上記(1)の構成のワイヤハーネスの水入り対策構造によれば、一列の電線群の延在方向の一部分を包囲して堰き止め部が一体にモールド成形される。この堰き止め部の外周形状部は、電線群挿通部の内周形状に応じた所定形状に成形される。すなわち、堰き止め部は、電線群挿通部の開口形状に応じた自由な形状に形成される。
電線群は、複数の電線が直径方向に一列で並ぶので、3本以上の電線によって包囲された樹脂未充填空間が形成されることがなく、隣接する電線同士の間に充填できる。
堰き止め部は、通常の射出成形機と異なる低圧射出成形機によって低圧射出された硬質樹脂材によって一体にモールド成形される。低圧射出成形機によるモールド成形は、通常の射出成形機に比べ、溶融樹脂の射出圧力が低い。そこで、堰き止め部をモールド成形する際の電線への影響を抑制できる。また、溶融樹脂が漏れ出しにくいので、成形型のバリきりと隣接する電線間との間の小さな隙間は空けたままとすることができる。従って、成形型から引き出される電線の外周に密着させるための先端が尖った複数の突条をバリきりに設ける必要がなくなる。
【0010】
(2) 上記(1)の構成の水入り対策構造であって、前記電線群が、前記電線の並び方向に交差する方向に離間して複数の段数で配置されることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
【0011】
上記(2)の構成のワイヤハーネスの水入り対策構造によれば、電線の数が、一列の電線群を構成する電線の数よりも多い場合であっても、樹脂未充填空間を生じさせることなく、止水性能の高い堰き止め部の成形が可能となる。
【0012】
(3) 上記(1)または(2)の構成のワイヤハーネスの水入り対策構造であって、前記堰き止め部には、前記電線群挿通部が設けられた隔壁部に係合する係合部が一体成形されることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
【0013】
上記(3)の構成のワイヤハーネスの水入り対策構造によれば、堰き止め部に、電線群挿通部が設けられた隔壁部(止水ボックスのケースやグロメットなど)と係合する係合部が硬質樹脂材によって一体にモールド成形されることで、堰き止め部を電線群挿通部に直接固定することができる。なお、係合部は、隔壁部に応じた取付け形状や位置決め形状を備えた構成とすることができる。また、係合部には、ナットやボルトなどを一緒にインサート成形することも可能である。
【0014】
(4) 上記(1)または(2)の構成のワイヤハーネスの水入り対策構造であって、複数の前記堰き止め部には、互いに相手方の前記堰き止め部と合体するための係合部が一体成形されることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
【0015】
上記(4)の構成のワイヤハーネスの水入り対策構造によれば、複数の堰き止め部に、互いに相手方の堰き止め部と合体するための係合部が硬質樹脂材によって一体にモールド成形されることで、複数の堰き止め部を互いに直接組合わせることができる。そこで、電線の数が、一列の電線群を構成する電線の数よりも多い場合であっても、樹脂未充填空間を生じさせることなく、水入り対策性能の高い堰き止め部を構成することが可能となる。なお、係合部は、互いに圧入嵌合する嵌合部やロック機構を備えた構成とすることができる。
【0016】
(5) 上記(1)〜(4)の何れか1つに記載のワイヤハーネスの水入り対策構造であって、前記堰き止め部における前記電線群の延在方向に沿った一対の側面を貫通して各側面からそれぞれ突出する前記電線の各突出部は、中心軸線がずれて配置されていることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
【0017】
上記(5)の構成のワイヤハーネスの水入り対策構造によれば、堰き止め部に埋設された電線は真っ直ぐになることはなく、ある程度自由に曲りくねることで摩擦力が増え、電線が一直線に埋設されたものに比べて電線の引抜き荷重に対する堰き止め部の保持力が高まる。そこで、堰き止め部は、電線の被覆との接着性がある材料を選定しなくとも、電線の引抜き荷重に対する保持力を向上させることができる。
【0018】
(6) 複数の電線が直径方向に並ぶ少なくとも一列の電線群と、前記電線群の延在方向の一部分を包囲し電線群挿通部の内周形状に応じた外周形状部を有する硬質樹脂材製の堰き止め部と、を備えるワイヤハーネスの製造方法であって、前記堰き止め部をモールド成形するためのキャビティと、前記一列の電線群の延在方向に沿った前記キャビティの外側両端部分において前記一列の電線群の外周を挟む平坦なバリきりとを有するハーネス収容部が分割面にそれぞれ形成された上型及び下型を、前記ハーネス収容部に前記一列の電線群の一部分を配置して型締めする型締め工程と、溶融した硬質樹脂材を前記キャビティ内に低圧射出する射出工程と、を含むことを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。
【0019】
上記(6)の構成のワイヤハーネスの製造方法によれば、ハーネス収容部に一列の電線群が配置され、この電線群の延在方向に沿ったキャビティの外側両端部分に形成された平坦なバリきりで一列の電線群を平行に挟むように合わせられた上型と下型が型締めされると、堰き止め部をモールド成形するための成形空間が上型と下型の間に画成される。そして、平坦なバリきりと隣接する電線間との間の隙間は空けたままとしてキャビティ内に溶融樹脂が低圧射出される。この際、キャビティ内に入った溶融樹脂は、圧入時の圧力が低く、漏出しにくいので、平坦なバリきりと隣接する電線間との間の隙間からの漏出が防止され、バリが抑えられる。
このため、電線の外周に密着させるための先端が尖った複数の突条を有するバリきりを上型及び下型に設ける必要がない。そこで、電線群をハーネス収容部に配置する時に、電線の被覆に傷をつけてしまうおそれがなくなり、慎重な取り扱いが不要となるため、ワイヤハーネスの水入り対策構造を構成する堰き止め部をモールド成形する際の作業性が向上する。
【0020】
(7) 上記(6)に記載のワイヤハーネスの製造方法であって、前記下型における前記バリきりが、前記一列の電線群を収容可能な凹状部を有すると共に、前記上型における前記バリきりが、前記凹状部に対向する平板状部を有し、前記型締め工程において前記凹状部に収容された前記一列の電線群が、前記平板状部によって挟持方向に押圧付勢されることを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。
【0021】
上記(7)の構成のワイヤハーネスの製造方法によれば、下型におけるバリきりの凹状部内に一列の電線群を収容した状態で上型と下型を型締めすることができる。そこで、電線群はハーネス収容部に配置し易く、型締め時の電線噛み込みが生じにくくなるので、ワイヤハーネスの水入り対策構造を構成する堰き止め部をモールド成形する際の作業性が更に向上する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るワイヤハーネスの水入り対策構造及びワイヤハーネスの製造方法によれば、電線群挿通部から浸入する水入り量を容易に抑制できる。
【0023】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1の(a)に示すように、本発明の一実施形態に係るワイヤハーネスの水入り対策構造は、水平方向に併設された複数の電線15からなる電線群11と、硬質樹脂製の堰き止め部13と、を主要な構成として備える。
電線群11は、複数の電線15が、直径方向に一列に並んでいる。それぞれの電線15は、導体の外周が絶縁性樹脂によって被覆されている。本発明に係る電線群11は、複数の電線15が直径方向に少なくとも一列に並んで設けられる。「少なくとも一列」とは、複数列が多段状に配置されてもよい意味である。但し、この場合には、後述するように、各段の電線群同士は、離間して配置される。
【0026】
堰き止め部13は、電線群11の延在方向の一部分を包囲するように一体にモールド成形される。この堰き止め部13は、後述する電線群挿通部19の内周形状に応じた外周形状部17と、電線群11の延在方向に沿った一対の側面13a,13bとを有するように一体にモールド成形される。このモールド成形には、後述の低圧射出成形機が使用される。低圧射出成形機では、硬質樹脂材である例えば一般のエンプラ(エンジニアリングプラスチック)が使用される。本発明のワイヤハーネスの水入り対策構造は、換言すれば、このエンプラに、電線群11がインサート成形されたものとなっている。
【0027】
本実施形態に係るワイヤハーネスの水入り対策構造は、
図1の(b)に示すように、電線群11が、電線15の並び方向に交差する方向(
図1の上下方向)に離間して複数の段数で配置されてもよい。図示例では2段を例示しているが、電線群11は、3段以上の複数段であってもよい。それぞれの電線群11を離間させる理由は、3本以上の電線15によって包囲される後述の樹脂未充填空間70を生じさせないためである。
【0028】
堰き止め部13の外周形状部17は、例えば図示例の断面台形状に成形することができる。なお、堰き止め部13の外周形状部17は、これには限定されない。電線群11が1段の場合、堰き止め部13は、
図2の(a)に示すような、扁平な台形状で成形される。多段の場合、堰き止め部13は、
図2(b)に示すような、高さの高い台形状で成形される。各列の隣接する電線15同士は、僅かに離間していても接触していてもよい。僅かに離間していれば、その間に樹脂が入り込み電線15の外周が包囲されて水入り対策され、接触していればそれによって水入り対策が可能となるためである。
【0029】
図4に示すように、堰き止め部13を介して電線群11が貫通される電線群挿通部19は、例えば止水ボックス100の一体ケース(隔壁部)21に設けられる。電線群挿通部19は、正面視で台形状の貫通穴23を有する筒状に形成される。堰き止め部13の外周形状部17は、この電線群挿通部19の内周形状に応じた形状を有するように成形されている。この場合、堰き止め部13は、電線群11の一端側が貫通穴23に挿通された後、貫通穴23に嵌め入れられる。この場合、堰き止め部13は、挿入方向の任意位置の断面形状が、同一に形成される。なお、貫通穴23の内周面には、シールスポンジやゴムなどの止水材が貼り付けられ、堰き止め部13の外周形状部17との間が止水されていてもよい。
【0030】
また、堰き止め部13は、挿入方向に先細のテーパー面で外周形状部17が形成されてもよい。これにより、堰き止め部13は、電線群挿通部19への挿入圧力によって、より貫通穴23の内周面に密接させることができ、高い止水性を得ることができるようになる。
【0031】
また、電線群挿通部19は、
図5に示すように、止水ボックス100Aの上下ケース(隔壁部)21a,21bに設けられる分割構造であってもよい。すなわち、電線群挿通部19は、下ケース21bに形成された底板部25と、上ケース21aに形成された山形鍔部27と、が合わせられることで、台形状の貫通穴23が画成される筒状に形成されてもよい。この場合、堰き止め部13は、底板部25に載置された後、山形鍔部27が被せられることで、底板部25と山形鍔部27とによって挟持されて固定される。この堰き止め部13に対する挟持は、分割された上下ケース21a,21b同士の締結具(図示略)による固定、或いは底板部25と山形鍔部27との締結具による固定によってなされる。
【0032】
図4に示すように、止水ボックス100の一体ケース21には、例えば図示しない電子機器が収容される。電線群11の一端に接続されたコネクタ29は、この電子機器と接続されている。コネクタ29は、一体ケース21に収容され、一体ケース21の電線群挿通部19から導出された電線群11が、堰き止め部13によって水入り対策される。これにより、コネクタ29は、水入り対策されたケース内に収容される。
【0033】
また、
図5に示すように、止水ボックス100Aの上下ケース21a,21bに収容された図示しない電子機器に対して、例えば2つの電線群11のコネクタ29が接続される場合には、それぞれの電線群11が上下2段に離間して重なった状態で堰き止め部13により水入り対策される。このように、接続される電線群11の数が増えるごとに、堰き止め部13には多段状に電線群11が配置される。これにより、止水ボックス100Aの電線群挿通部19において、堰き止め部13による一括した水入り対策が行われる。
【0034】
このように、本実施形態に係るワイヤハーネスの水入り対策構造を備えた止水ボックス100(100A)は、電線群11が導出される電線群挿通部19を介してケース外部から止水ボックス内へ浸入する水入り量を抑制することができる。
【0035】
図6は低圧射出成形機の斜視図である。
電線群11に堰き止め部13を一体にモールド成形するための低圧射出成形機31は、電動機等の外部動力なしに作業員一人でも操作可能な成形機であって、成形型33と、図示しない型締め装置と、成形型33に溶融樹脂を加圧注入する低圧射出装置35と、から構成されている。
【0036】
低圧射出装置35は、合成樹脂等を加熱して溶融するヒータが設けられた加熱筒37と、加熱筒内の溶融樹脂を図示しないノズルから射出するプランジャ39と、プランジャ39を前進させる射出シリンダ41と、射出シリンダ41を駆動するハンドル43と、加熱筒37の加熱温度を所望の温度に保持する温調器45と、を有し、これらが台座47に立設する装置支柱49に支持されている。
【0037】
なお、本実施形態における低圧射出成形機31とは、1回の射出成形で成形できる樹脂の量が最大で10g程度のものであって、且つ、成形型33の型締め時に、エアシリンダ又はリンク等を用いて手動でも行うことができるものをいう。勿論、低圧射出装置35は、電動機やエア等の外部動力によって射出シリンダ41を駆動するものであってもよい。より具体的には、低圧射出成形機31としては、例えば、特開2010−260297号公報、特開2012−30429号公報及び特開2013−103492号公報などに開示された公知の「射出成形装置」を用いることができる。
【0038】
本実施形態に係る成形型33は、台座47に配置される。成形型33は、上型51と下型53とが、電線群11の延在方向に沿った外側両端部分に形成されたバリきり55(
図6及び
図8の(a)参照)に電線群11を収容するように挟んで合わせられることで、堰き止め部13を成形可能な空洞となる成形空間が画成される(型締め工程)。
即ち、上型51及び下型53には、堰き止め部13をモールド成形するためのキャビティ57と、一列の電線群11の延在方向(
図6における左右方向)に沿ったキャビティ57の外側両端部分において一列の電線群11の外周を挟む平坦なバリきり55とを有するハーネス収容部56a,56bが、上型分割面(分割面)51a及び下型分割面(分割面)53aにそれぞれ形成されている。下型53におけるバリきり55は、一列の電線群11を収容可能な凹状部を有し、下型分割面53aからの深さが電線15の直径と略同じとされている。一方、上型51におけるバリきり55は、上型分割面51aと同じ面上に平板状に形成されている。
そこで、下型53におけるバリきり55の凹状部内に一列の電線群11を収容した状態で上型51と下型53を型締めすることができ、電線群11がハーネス収容部56bに配置し易くなり、型締め時の電線噛み込みが生じにくくなる。
そして、このキャビティ57にゲート52(
図8参照)を介して供給路から溶融樹脂を供給することで、堰き止め部13が電線群11の外周にモールド成形される。
【0039】
低圧射出成形機31を使用した成形では、上型51と下型53のバリきり55に電線群11が挟まれた状態で成形型33のキャビティ57に溶融樹脂が低圧射出されると、所定量の溶融樹脂(堰き止め部13を成形するための熱可塑性樹脂の樹脂量)がキャビティ57に入る(射出工程)。
【0040】
キャビティ57に注入された溶融樹脂は、注入先端ほど温度が低くなり、硬化が促進されると共に、バリきり55の近傍の型温度は熱可塑性樹脂の樹脂溶融温度以下である。そして、注入先端で硬化した溶融樹脂は、それ自体が封止機能を有する。溶融樹脂は、低圧射出装置35によってキャビティ57に低圧射出されるため、流動性は有するものの、平坦なバリきり55と隣接する電線15間との間の小さな隙間を通って多量に漏れ出す程の流動性は抑制されている。
【0041】
その結果、バリきり55と隣接する電線15間との間の隙間から溶融樹脂が多量に漏れ出すことはなく、従来の成形型のように成形樹脂を封止するための構造や部材をバリきり55に設ける必要がない。
そこで、成形型33は単純な構造となり、製造コストを低減することができる。また、上型51と下型53のバリきり55に挟持される電線群11の幅方向位置が多少変化しても、バリきり55と電線群11との隙間が固化した溶融樹脂によって封止されるので、電線群11の位置変化にも柔軟に対応できる。
【0042】
更に、成形型33におけるバリきり55の近傍には、キャビティ57に注入された溶融樹脂の注入先端を冷却する冷却機構(図示略)が設けられてもよい。冷却機構は、例えばバリきり55に対応する成形型33の外側に設けられる。冷却機構の例としては、冷却フィンや冷風送風機による空冷式、冷却水配管を設けることによる水冷式、ペルチェ素子を用いた電子冷却等を挙げることができる。冷却機構により溶融樹脂の注入先端の温度を常温よりも迅速に低温とし、溶融樹脂の硬化を局所的に促進させることが可能となる。
なお、本実施形態では、成形型33が水平割型のものについて説明したが、成形型33は垂直割型であってもよい。
【0043】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係るワイヤハーネスの水入り対策構造では、一列又は二列の電線群11の延在方向の一部分を包囲して堰き止め部13が一体にモールド成形される。
【0044】
図7の(a)に示すように、堰き止め部13の外周形状部17は、電線群挿通部19の内周形状に応じた所定形状(本実施形態では断面台形状)に成形される。すなわち、堰き止め部13は、電線群挿通部19の開口形状に応じた自由な形状に形成される。
【0045】
電線群11は、複数の電線15が直径方向に一列で並ぶので、
図7の(b)に示すように、3本以上の電線15によって包囲された樹脂未充填空間70が形成されることがなく、隣接する電線15同士の間を確実に水入り対策できる。
【0046】
本実施形態のワイヤハーネスの水入り対策構造では、堰き止め部13を成形する硬質樹脂材として電線被覆と接着性のある材料を選定することによって、完全止水に近い状態を作ることができる。電線15同士が接する部分は、どうしても存在するが、ごくわずかであり、密着しているため、水入り対策性能は高い。但し、堰き止め部13の用途から考えて、安価で、成形しやすい材料を選定するのが適当であり、完全止水には至らなくてもよい。
【0047】
堰き止め部13は、エンプラ等の硬質樹脂材からなり、剛性を有するので、電線群挿通部19が設けられた隔壁部である一体ケース21や上下ケース21a,21bに所定の強度で固定することが可能となる。なお、堰き止め部13と電線群挿通部19との間の水入り対策は、電線群挿通部19の内周面にシールスポンジやゴムなどの止水材を貼り付けることで行うことができる。
【0048】
堰き止め部13は、通常の射出成形機と異なる低圧射出成形機31によって低圧射出された硬質樹脂材によって一体にモールド成形される。低圧射出成形機31によるモールド成形は、通常の射出成形機に比べ、溶融樹脂の射出圧力が低い。そこで、堰き止め部13をモールド成形する際の電線15への熱による影響を抑制できる。また、低圧射出成形機31による成形は、通常の射出成形機に比べ設備の規模を縮小できる。
【0049】
また、本実施形態に係るワイヤハーネスの水入り対策構造では、電線群11を包囲するように堰き止め部13をモールド成形する際、溶融樹脂が漏れ出しにくいので、成形型33の平坦なバリきり55と隣接する電線15間との間の小さな隙間は空けたままとすることができる。この場合、例えば、電線15が細物電線0.35sq以下で、線径がそろっている場合に限定すると、良好な水入り対策構造が得られる。
【0050】
このように、本実施形態に係るワイヤハーネスの製造方法では、低圧射出成形機31によって低圧で堰き止め部13のモールド成形を行うため、溶融樹脂の圧入時の圧力が低く、溶融樹脂が漏出しにくい。
即ち、下型53のハーネス収容部56bに一列の電線群11が配置され、この電線群11の延在方向に沿ったキャビティ57の外側両端部分に形成された平坦なバリきり55で一列の電線群11を平行に挟むように合わせられた上型51と下型53が型締めされると、堰き止め部13をモールド成形するための成形空間が上型51と下型53の間に画成される。そして、平坦なバリきり55と隣接する電線15との間の隙間は空けたままとしてキャビティ57内に溶融樹脂が低圧射出される。この際、キャビティ57内に入った溶融樹脂は、圧入時の圧力が低く、漏出しにくいので、平坦なバリきり55と隣接する電線15間との間の隙間からの漏出が防止され、バリが抑えられる。
【0051】
このため、
図9に示した比較例の成形型60における上型62の上型分割面62a及び下型64の下型分割面64aにそれぞれ形成されるハーネス収容部67a,67bのように、電線15の外周に密着させるための先端が尖った複数の突条61を有するバリきり63を設ける必要がなくなる。
従って、本実施形態に係る成形型33は、
図8の(a)に示すように、フラットに近い状態に上型51と下型53のバリきり55を設定してもバリを抑えることが可能となる。すなわち、平坦なバリきり55と隣接する電線15間との間の小さな隙間は空けたままとしてキャビティ57に溶融樹脂を注入すると、この隙間から僅かにはみ出した溶融樹脂がすぐに固化して栓14(
図3参照)となって、キャビティ57内からの溶融樹脂の漏出を防止する。キャビティ57内には、所定の圧力の下に溶融樹脂が充填可能となる。その結果、電線群11を成形型33のハーネス収容部56a,56bに配置する時に、電線15の被覆に傷をつけてしまうおそれがなくなり、慎重な取り扱いが不要となるため、ワイヤハーネスの水入り対策構造を構成する堰き止め部13をモールド成形する際の作業性が向上する。これにより、安価な設備で、容易な作業によりワイヤハーネスの水入り対策構造が実現する。
【0052】
また、
図8の(b)に示した本実施形態の変形例に係る成形型33Aでは、下型53Aにおけるハーネス収容部58bのバリきり55が、一列の電線群11を収容可能な凹状部を有し、下型分割面53aからの深さが電線15の直径よりも深くされている。一方、上型51Aにおけるハーネス収容部58aのバリきり55は、凹状部に嵌合する凸状部を有し、上型分割面51aから所定の高さ突出している。そして、型締め工程において、下型53Aにおけるバリきり55の凹状部に収容された一列の電線群11が、上型51Aにおけるバリきり55の凸状部によって挟持方向に押圧付勢される。
【0053】
従って、本実施形態の成形型33Aを用いたワイヤハーネスの製造方法によれば、下型53Aにおけるバリきり55の凹状部内に一列の電線群11を収容した状態で上型51Aと下型53Aを型締めすることができる。そこで、電線群11はハーネス収容部58bに配置し易く、型締め時の電線噛み込みが生じにくくなるので、ワイヤハーネスの水入り対策構造を構成する堰き止め部13をモールド成形する際の作業性が更に向上する。
また、型締め時にバリきり55の凹状部に収容された一列の電線群11が、上型51Aにおけるバリきり55の凸状部によって挟持方向に押圧付勢される。そこで、電線15の被覆が弾性変形して潰れ、平坦なバリきり55と隣接する電線15間との間の隙間を小さくすることができると共に、一列の電線群11が綺麗に整列されて見栄えが向上する。
【0054】
また、
図8の(c)に示した本実施形態の変形例に係る成形型33Bでは、下型53Bにおけるハーネス収容部59bのバリきり55が、一列の電線群11を整列可能な第1凹状部を有し、下型分割面53aからの深さが電線15の直径の約半部の深さとされている。一方、上型51Bにおけるハーネス収容部59aのバリきり55は、第1凹状部に対向する第2凹状部を有し、上型分割面51aからの深さが電線15の直径の約半部の深さとされている。そして、型締め工程において、下型53Bにおけるバリきり55の第1凹状部に収容された一列の電線群11が、上型51Bにおけるバリきり55の第2凹状部によって挟持方向に押圧付勢される。
【0055】
従って、本実施形態の成形型33Bを用いたワイヤハーネスの製造方法によれば、下型53Bにおけるバリきり55の第1凹状部内に一列の電線群11を整列した状態で上型51Bと下型53Bを型締めすることができる。そこで、電線群11はハーネス収容部59bに配置し易くなるので、ワイヤハーネスの水入り対策構造を構成する堰き止め部13をモールド成形する際の作業性が向上する。
【0056】
また、
図1の(b)及び
図5に示した本実施形態のワイヤハーネスの水入り対策構造では、電線群11が、電線15の並び方向に交差する方向に離間して複数の段数で配置されている。これにより、電線15の数が一列の電線群11を構成する電線15の数よりも多い場合であっても、樹脂未充填空間70を生じさせることなく、水入り対策性能の高い堰き止め部13の成形が可能となる。
【0057】
図10に示すように、本実施形態のワイヤハーネスの水入り対策構造における堰き止め部13Aには、電線群挿通部19が設けられた止水ボックス100の一体ケース21に係合する係合部65が一体成形されている。係合部65は、堰き止め部13Aの幅方向両端に突設された一対の固定用フランジであり、ねじ止め孔66を有する。
【0058】
このワイヤハーネスの水入り対策構造では、堰き止め部13に、電線群挿通部19が設けられた一体ケース21と係合する係合部65が硬質樹脂材によって一体にモールド成形されることで、堰き止め部13を電線群挿通部19に直接固定することができる。即ち、係合部65のねじ止め孔66に挿通した取付ねじを一体ケース21に螺着することで、堰き止め部13を止水ボックス100に強固に固定することができる。
【0059】
なお、本実施形態に係る係合部65は、固定用フランジ形状に限らず、一体ケース21に応じた取付け形状や位置決め形状を備えた構成とすることができる。また、係合部65には、ナットやボルトなどを一緒にインサート成形することも可能である。
【0060】
また、本実施形態に係るワイヤハーネスの水入り対策構造は、成形型33のキャビティ57内に溶融樹脂を低圧射出することにより堰き止め部13をモールド成形するため、堰き止め部13の形状は成形型33のキャビティ57で成形できるものであればどのような形状でも対応可能である。例えば、堰き止め部の外周形状部を円柱状に形成することにより、堰き止め部が円形の電線群挿通部を有するグロメットの筒部に嵌合されたワイヤハーネスの水入り対策構造とすることができる。この場合においても、一列の電線群11は、円形の堰き止め部に任意の段数で設けることができる。
【0061】
また、
図11の(a)に示したワイヤハーネスの水入り対策構造における堰き止め部13Bは、互いに合体するための係合部である嵌合部20がそれぞれ一体成形された一対の堰き止め部材(堰き止め部)13d,13eを合体することにより構成されている。
嵌合部20は、堰き止め部材13dの底面に凹設された嵌合凹部16と、堰き止め部材13eの上面に突設された嵌合凸部18とから成り、嵌合凸部18が嵌合凹部16に圧入嵌合されることにより、堰き止め部材13dと堰き止め部材13eが直接組合わされて堰き止め部13Bを構成している。
また、本実施形態の嵌合凸部18の両側面には、複数の圧入リブ18aが設けられている。圧入リブ18aは、圧入嵌合時に潰れることで、嵌合凹部16への嵌合凸部18の圧入嵌合を容易、且つ確実にすることができる。
【0062】
そこで、このワイヤハーネスの水入り対策構造では、それぞれ電線群11に一体にモールド成形された一対の堰き止め部材13d,13eを合体することで、複数の電線群11が、電線15の並び方向に交差する方向に離間して複数の段数で配置される。これにより、電線15の数が一列の電線群11を構成する電線15の数よりも多い場合であっても、樹脂未充填空間70を生じさせることなく、水入り対策性能の高い堰き止め部13Bを構成することが可能となる。
【0063】
また、
図11の(b)に示したワイヤハーネスの水入り対策構造における堰き止め部13Cは、互いに合体するための係合部であるロック機構26がそれぞれ一体成形された一対の堰き止め部材(堰き止め部)13g,13hを合体することにより構成されている。
ロック機構26は、堰き止め部材13gの両側面に突設されたロックアーム22と、堰き止め部材13hの両側面に突設されたロック突起24とから成り、ロックアーム22がロック突起24に係止ロックされることにより、堰き止め部材13gと堰き止め部材13hが直接組合わされて堰き止め部13Cを構成している。
また、本実施形態の堰き止め部13Cの両側面には、一対のロック機構26が対角位置に設けられているが、二対以上のロック機構26を堰き止め部13Cの両側面に設けることもできる。
【0064】
そこで、このワイヤハーネスの水入り対策構造では、それぞれ電線群11に一体にモールド成形された一対の堰き止め部材13g,13hを合体することで、複数の電線群11が、電線15の並び方向に交差する方向に離間して複数の段数で配置される。これにより、電線15の数が一列の電線群11を構成する電線15の数よりも多い場合であっても、樹脂未充填空間70を生じさせることなく、水入り対策性能の高い堰き止め部13Cを構成することが可能となる。
【0065】
なお、それぞれの堰き止め部材13d,13e(13g,13h)は、複数の電線群11の延在方向の一部分を包囲するように一体にモールド成形された後、合体されて堰き止め部13B(13C)としてワイヤハーネスの水入り対策構造を構成するので、合体される堰き止め部材13d,13e(13g,13h)には、嵌合方向が規定される場合がある。そこで、堰き止め部材13d,13e(13g,13h)には、非対称のリブ突起とリブ収容凹部などから成る誤嵌合防止機構を設けることもできる。
更に、合体して構成される堰き止め部は、それぞれ係合部が一体成形された3つ以上の堰き止め部を互いに直接組合わせて構成することもできる。
【0066】
また、
図12の(a),(b)に示したワイヤハーネスの水入り対策構造における堰き止め部13Dは、電線群挿通部19の内周形状に応じた外周形状部17と、電線群11の延在方向に沿った一対の側面13a,13bとを有するように一体にモールド成形されている。そして、堰き止め部13Dの側面13aからは電線15の突出部15aが突出し、堰き止め部13Dの側面13bからは電線15の突出部15bが突出しており、突出部15aの中心軸線C1と突出部15bの中心軸線C2とは、互いに高さ方向(図中、上下方向)に寸法h分だけずれて配置されている。
【0067】
そこで、堰き止め部13Dに埋設された各電線15は真っ直ぐになることはなく、ある程度自由に曲りくねることで摩擦力が増え、電線15が一直線に埋設されたものに比べて電線15の引抜き荷重に対する堰き止め部13Dの保持力が高まる。そこで、堰き止め部13Dは、電線15の被覆との接着性がある材料を選定しなくとも、電線15の引抜き荷重に対する保持力を向上させることができる。
【0068】
また、
図13に示したワイヤハーネスの水入り対策構造における堰き止め部13Eは、堰き止め部13Eにおける電線群11の延在方向に沿った一対の側面13a,13bを貫通して各側面13a,13bからそれぞれ突出する電線15の各突出部15a,15bの中心軸線C1,C2が、互いに幅方向(
図13中、上下方向)に寸法s分だけずれて配置されている。
【0069】
そこで、堰き止め部13Eに埋設された各電線15は真っ直ぐになることはなく、ある程度自由に曲りくねることで摩擦力が増え、電線15が一直線に埋設されたものに比べて電線15の引抜き荷重に対する堰き止め部13Dの保持力が高まる。
即ち、電線15の各突出部15a,15bは、中心軸線C1,C2が一直線上に配置されないようにずれていればよく、ずれる方向は上述の高さ方向や幅方向に限定されない。
【0070】
なお、これら堰き止め部13D,13Eをモールド成形する際には、上述した成形型33(
図6、参照)における上型51と下型53に形成されて電線群11を挟むバリきり55の形成位置が、電線群11の延在方向に沿ったキャビティ57の外側両端部分で互いにオフセットされていればよい。そして、バリきり55で外側両端部が挟まれた電線15のキャビティ57内での位置は正確に固定する必要がなく、電線15はキャビティ57内で真っ直ぐになることはない。
【0071】
図14に示した本発明の参考例に係るワイヤハーネスは、電線15と、電線15の延在方向の一部分を包囲するように硬質樹脂材により一体にモールド成形された電線埋入体113と、を備える。
電線埋入体113は、電線15が一体にモールド成形されるクランプや電線保護部材等の各種製品の一部を構成しており、電線15の延在方向に沿った一対の側面113a,113bを有するように一体にモールド成形されている。そして、電線埋入体113の側面113aからは電線15の突出部15aが突出し、電線埋入体113の側面113bからは電線15の突出部15bが突出しており、突出部15aの中心軸線C1と突出部15bの中心軸線C2とは、互いに高さ方向(
図14中、上下方向)にずれて配置されている。
【0072】
そこで、電線埋入体113に埋設された電線15は真っ直ぐになることはなく、ある程度自由に曲りくねることで摩擦力が増え、電線15が一直線に埋設されたものに比べて電線15の引抜き荷重に対する電線埋入体113の保持力が高まる。そこで、電線埋入体113は、電線15の被覆との接着性がある材料を選定しなくとも、電線15の引抜き荷重に対する保持力を向上させることができる。
【0073】
なお、電線埋入体113を備えた製品をモールド成形する際には、図示しない成形型における上型と下型に形成されて電線15を挟むバリきりの形成位置が、電線15の延在方向に沿ったキャビティの外側両端部分で互いにオフセットされていればよい。そして、バリきりで外側両端部が挟まれた電線15のキャビティ内での位置は正確に固定する必要がなく、電線15はキャビティ内で真っ直ぐになることはない。
【0074】
従って、本実施形態に係るワイヤハーネスの水入り対策構造及びワイヤハーネスの製造方法によれば、電線群挿通部19から浸入する水入り量を容易に抑制できる。
【0075】
ここで、上述した本発明に係るワイヤハーネスの水入り対策構造及びワイヤハーネスの製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
[1] 複数の電線(15)が直径方向に並ぶ少なくとも一列の電線群(11)と、
前記電線群(11)の延在方向の一部分を包囲し電線群挿通部(19)の内周形状に応じた外周形状部(17)を有するように低圧射出された硬質樹脂材によって一体にモールド成形された堰き止め部(13)と、を備えることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
[2] 上記[1]に記載のワイヤハーネスの水入り対策構造であって、
前記電線群(11)が、前記電線(15)の並び方向に交差する方向に離間して複数の段数で配置されることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
[3] 上記[1]または[2]に記載のワイヤハーネスの水入り対策構造であって、
前記堰き止め部(13)には、前記電線群挿通部(19)が設けられた隔壁部(21;21a,21b)に係合する係合部(65)が一体成形されることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
[4] 上記[1]または[2]に記載のワイヤハーネスの水入り対策構造であって、
複数の前記堰き止め部(堰き止め部材13d,13e;堰き止め部材13g,13h)には、互いに相手方の前記堰き止め部(堰き止め部材13e,13d;堰き止め部材13h,13g)と合体するための係合部(嵌合部20;ロック機構26)が一体成形されることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
[5] 上記[1]〜[4]の何れか1つに記載のワイヤハーネスの水入り対策構造であって、
前記堰き止め部(13D)における前記電線群(11)の延在方向に沿った一対の側面(13a,13b)を貫通して各側面からそれぞれ突出する前記電線の各突出部(15a,15b)は、中心軸線(C1,C2)がずれて配置されていることを特徴とするワイヤハーネスの水入り対策構造。
[6] 複数の電線(15)が直径方向に並ぶ少なくとも一列の電線群(11)と、前記電線群(11)の延在方向の一部分を包囲し電線群挿通部(19)の内周形状に応じた外周形状部(17)を有する硬質樹脂材製の堰き止め部(13)と、を備えるワイヤハーネスの製造方法であって、
前記堰き止め部(13)をモールド成形するためのキャビティ(57)と、前記一列の電線群(11)の延在方向に沿った前記キャビティ(57)の外側両端部分において前記一列の電線群(11)の外周を挟む平坦なバリきり(55)とを有するハーネス収容部(56a,56b)が分割面(上型分割面51a及び下型分割面53a)にそれぞれ形成された上型(51)及び下型(53)を、前記ハーネス収容部(56a,56b)に前記一列の電線群(11)の一部分を配置して型締めする型締め工程と、
溶融した硬質樹脂材を前記キャビティ(57)内に低圧射出する射出工程と、
を含むことを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。
[7] 上記[6]に記載のワイヤハーネスの製造方法であって、
前記下型(53)における前記バリきり(55)が、前記一列の電線群(11)を収容可能な凹状部を有すると共に、前記上型(51)における前記バリきり(55)が、前記凹状部に嵌合する平板状部を有し、
前記型締め工程において前記凹状部に収容された前記一列の電線群(11)が、前記平板状部によって挟持方向に押圧付勢されることを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。
[8] 電線(15)と、前記電線の延在方向の一部分を包囲するように硬質樹脂材により一体にモールド成形された電線埋入体(113)と、を備えたワイヤハーネスであって、
前記電線埋入体における前記電線の延在方向に沿った一対の側面(113a,113b)を貫通して各側面からそれぞれ突出する前記電線の各突出部(15a,15b)は、中心軸線(C1,C2)がずれて配置されていることを特徴とするワイヤハーネス。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。