(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のオゾン発生装置では、オゾンガスを安定して発生させるために、放電ギャップが高い精度で均一となるように接地電極管および高電圧電極管が組み立てられている。このため、接地電極管および高電圧電極管を精度よく組み立てる必要があるので、オゾン発生装置を製造することが困難であるという問題点がある。特に、放電ギャップが小さい場合、許容する誤差の絶対値が非常に小さくなるので、放電ギャップを精度よく均一にすることは、より一層困難となる。このため、放電ギャップが小さい場合には、オゾン発生装置を製造することがより困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、オゾンガスを安定して発生させること可能であり、かつ、容易に製造することが可能なオゾンガス発生装置およびそのようなオゾンガス発生装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本願発明者が鋭意検討した結果、第1電極を含む第1電極部と、第1電極部と対向して配置され、第2電極を含む第2電極部とを備えたオゾンガス発生装置において、互いに対向する側の第1電極部または第2電極部の面の少なくとも一部が金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層で構成され、第1電極部および第2電極部の互いに対向する表面の間隔(以下、放電ギャップともいう)の精度を±3%以上±50%以下に構成することによって、オゾンガスを安定して発生させることが可能であることを見い出した。すなわち、本願発明者は、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を設けた場合、従来高い精度が要求されると考えられていた放電ギャップの精度が±50%以下であれば、オゾンガスを安定して発生させることができるという知見を得た。なお、金属化合物は、金属元素を含む化合物である。たとえば、金属酸化物、金属窒化物などである。
【0008】
この発明の第1の局面によるオゾンガス発生装置は、第1電極を含む第1電極部と、第1電極部と対向するとともに、第1電極部との間で放電可能な所定の間隔を隔てて配置され、第2電極を含む第2電極部とを備え、
第1電極部と第2電極部との間には、窒素が添加されておらず且つ濃度が99.99%以上の酸素が原料ガスとして供給され、第1電極部および第2電極部は、少なくとも一方が、互いに対向する側の第1電極または第2電極の面に設けられた誘電体を含むとともに、少なくとも一方が、互いに対向する側の第1電極、第2電極または誘電体の面の少なくとも一部に設けられ、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を含み、第1電極部および第2電極部は、互いに対向する表面の間隔の精度が±
10%以上±50%以下に構成されている。
【0009】
この発明の第1の局面によるオゾンガス発生装置では、上記のように、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を設け、放電ギャップの精度が±3%以上±50%以下になるように構成することによって、オゾンガスを安定して発生させることができるとともに、オゾンガス発生装置を容易に製造することができる。つまり、放電ギャップの精度(誤差)を±3%以上にする(±3%より緩くする)ことにより、第1電極部および第2電極部を組み立てる精度を厳しく追求しなくてもよいので、オゾンガス発生装置を容易に製造することができる。また、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を設け、放電ギャップの精度(誤差)を±50%以下にする(±50%より厳しくする)ことにより、オゾンガスを安定して発生させることができる。この理由として、オゾンガスの発生効率に対しては、放電ギャップの精度を緩くすることによる影響より、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層によるオゾンガス発生効率の向上の影響の方が大きいためであると考えられる。すなわち、金属または金属化合物は、オゾンガスをより効率よく発生させることができる材料であることがより好ましい。また、上記のような効果は、放電ギャップが小さい場合に特に有効である。つまり、放電ギャップが小さい場合に、その精度を厳しく追求すると、許容する誤差の絶対値が非常に小さくなるので、オゾンガス発生装置を製造することが非常に困難となる。一方、本願発明では、放電ギャップの精度を厳しく追求する必要がないので、放電ギャップが小さいオゾンガス発生装置においても容易に製造することができる。
【0010】
上記第1の局面によるオゾンガス発生装置において、好ましくは、第1電極部および第2電極部は、放電される有効面積の30%以上の互いに対向する表面の間隔の精度が±
10%以上±50%以下に構成されている。ここで、本願のオゾンガス発生装置は、第1電極部と第2電極部との間の隙間に原料ガスを供給し、この隙間に放電を発生させることによりオゾンガスを発生させるものである。放電される有効面積とは、第1電極部および第2電極部の互いに対向する表面の面積のうち、第1電極および第2電極の互いに対向する表面の面積のことである。このように、第1電極部および第2電極部の放電される有効面積の30%以上の互いに対向する間隔の精度を管理することによって、オゾンガスの発生効率の低下を抑制することが可能である。なお、第1電極部および第2電極部の放電される有効面積の30%未満の互いに対向する間隔の精度を管理した場合には、オゾンガスの発生効率の低下を十分に抑制できない場合がある。また、第1電極部および第2電極部の放電される有効面積の100%未満の互いに対向する間隔の精度を管理した場合、有効面積の100%(全ての有効面積)の互いに対向する間隔の精度を管理する場合と比べて、オゾンガス発生装置を製造する際の作業の煩雑化および組み立て作業時間の長時間化を抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面によるオゾンガス発生装置において、好ましくは、第1電極部および第2電極部により構成される放電セルは、複数設けられており、複数の放電セルの第1電極部および第2電極部は、それぞれ、互いに対向する表面の間隔の精度が±
10%以上±50%以下に構成されている。ここで、放電ギャップの精度を厳しく追求すると、1つの放電セルを製造すること自体が困難である。複数の放電セルを設けたオゾンガス発生装置、特に複数の放電セルを所定の体積内に一体化して設けるオゾンガス発生装置では、製造すること自体が困難である放電セルを複数製造した上でさらに一体化して組み立てる必要があるため、オゾンガス発生装置を製造することが非常に困難となる。このことは、放電ギャップが小さいオゾンガス発生装置において特に顕著である。一方、本願発明では、複数の放電セルのそれぞれの放電ギャップの精度を、±
10%以上±50%以下に管理することにより、精度を厳しく追求する必要がない。これにより、複数の放電セルを備えるオゾンガス発生装置を容易に製造することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、複数の放電セルの第1電極部および第2電極部は、所定の基準間隔に対して、それぞれ、互いに対向する表面の間隔の精度が±
10%以上±50%以下に構成されている。このように構成すれば、複数の放電セルの放電ギャップを、それぞれ、共通の基準間隔に対して±
10%以上±50%以下に管理することができるので、複数の放電セル間の放電ギャップのバラツキを抑制することができる。これにより、複数の放電セル間で生じるオゾンガスの発生効率がバラつくのを抑制することができるので、複数の放電セルを備えるオゾンガス発生装置全体として安定してオゾンガスを発生させることができる。
【0013】
上記第1の局面によるオゾンガス発生装置において、好ましくは、第1電極部および第2電極部は、放電される有効面積の互いに対向する表面の間隔の平均に対する間隔の精度が±
10%以上±50%以下に構成されている。このように構成すれば、放電ギャップの平均からのバラツキを抑制することができるので、オゾンガスを安定して発生させることができる。
【0014】
上記第1の局面によるオゾンガス発生装置において、好ましくは、第1電極部および第2電極部は、300μm以下の所定の基準間隔に対して互いに対向する表面の間隔の精度が±
10%以上±50%以下に構成されている。ここで、基準間隔が300μm以下の放電ギャップが小さいオゾンガス発生装置を精度よく製造することは非常に困難である。一方、本願発明では、精度を厳しく追求する必要がないので、基準間隔が300μm以下の放電ギャップが小さいオゾンガス発生装置を容易に製造することができる。
【0015】
上記第1の局面によるオゾンガス発生装置において、好ましくは、第1電極部および第2電極部は、互いに対向する表面の間隔の精度が±
10%以上±30%以下に構成されている。このように、放電ギャップの精度を±30%以下にすることにより、オゾンガスをより安定して発生させることができる。
【0016】
上記第1の局面によるオゾンガス発生装置において、好ましくは、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層は、金属化合物を含む層であり、金属化合物は、チタン、ニオブおよびタングステンのうち少なくとも1つの金属を含む。ここで、原料ガスとして高純度の酸素ガスに微量の窒素ガス等を添加することにより、高濃度なオゾンガスを安定して生成することが可能であることが知られている。しかし、原料ガスに窒素ガスが含まれている場合、窒素酸化物が副生成物として生成されるため、半導体分野などに用いられるオゾンガス発生装置には適さなかった。一方、窒素レスの(窒素を添加しない)高純度の酸素ガスを原料ガスとして用いた場合に、互いに対向する側の第1電極、第2電極または誘電体の面の少なくとも一部に金属化合物を含む層を設けることにより、高濃度なオゾンガスを安定して生成することができる。特に、金属化合物がチタン、ニオブおよびタングステンのうち少なくとも1つの元素を含むことにより、高濃度なオゾンガスをより安定して生成することができる。
【0017】
この発明の第2の局面によるオゾンガス発生装置の製造方法は、
窒素が添加されておらず且つ濃度が99.99%以上の酸素を原料ガスとして供給してオゾンガスを発生させるオゾンガス発生装置の製造方法であって、第1電極を含む第1電極部を形成する工程と、第2電極を含む第2電極部を形成する工程と、第1電極部および第2電極部を互いに対向させて放電可能な所定の間隔を隔てて配置する工程とを備え、第1電極部および第2電極部の少なくとも一方を形成する工程は、第1電極部および第2電極部の互いに対向する側の第1電極または第2電極の面に誘電体を設ける工程を含み、第1電極部および第2電極部の少なくとも一方を形成する工程は、第1電極部および第2電極部の互いに対向する側の第1電極、第2電極または誘電体の面の少なくとも一部に金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を設ける工程を含み、第1電極部および第2電極部を互いに対向させて放電可能な所定の間隔を隔てて配置する工程は、第1電極部および第2電極部の互いに対向する表面の間隔の精度が±
10%以上±50%以下になるように所定の間隔を隔てて配置する工程を含む。
【0018】
この発明の第2の局面によるオゾンガス発生装置の製造方法では、上記のように構成することによって、オゾンガスを安定して発生させることができるとともに、オゾンガス発生装置を容易に製造することができる。つまり、放電ギャップの精度(誤差)を±3%以上にする(±3%より緩くする)ことにより、第1電極部および第2電極部を組み立てる精度を厳しく追求しなくてもよいので、オゾンガス発生装置を容易に製造することができる。また、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を設け、放電ギャップの精度(誤差)を±50%以下にする(±50%より厳しくする)ことにより、オゾンガスを安定して発生させることが可能なオゾンガス発生装置を製造することができる。この理由として、オゾンガスの発生効率に対しては、放電ギャップの精度を緩くすることによる影響より、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層によるオゾンガス発生効率の向上の影響の方が大きいためであると考えられる。すなわち、金属または金属化合物は、オゾンガスをより効率よく発生させることができる材料であることがより好ましい。また、上記のような効果は、放電ギャップが小さい場合に特に有効である。つまり、放電ギャップが小さい場合に、その精度を厳しく追求すると、許容する誤差の絶対値が非常に小さくなるので、オゾンガス発生装置を製造することが非常に困難となる。一方、本願発明では、放電ギャップの精度を厳しく追求する必要がないので、放電ギャップが小さいオゾンガス発生装置においても容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、オゾンガスを安定して発生させることができるとともに、オゾンガス発生装置を容易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(オゾンガス発生装置の構成)
図1を参照して、本発明の一実施形態によるオゾンガス発生装置100の構成について説明する。
【0023】
本発明の一実施形態によるオゾンガス発生装置100は、酸素ガス(O
2)を原料として、オゾンガスを生成するように構成されている。たとえば、オゾンガス発生装置100は、高純度の酸素ガス(たとえば、酸素濃度99.99%以上)を使用して、生成されるオゾンガス中の不純物(オゾンおよび酸素以外の物質)の濃度が抑制されるように構成されている。
図1に示すように、オゾンガス発生装置100は、オゾンガス生成部1と、電源2と、制御部3とを備えている。
【0024】
オゾンガス生成部1は、たとえば、原料として高純度の酸素ガス(O
2)が供給され、高濃度のオゾンガスを生成するように構成されている。この場合、原料の高純度の酸素ガスには、窒素などの他のガスは添加されていない。つまり、オゾンガス発生装置100は、窒素添加レスの高純度の酸素ガスを原料として、高濃度のオゾンガスを生成することが可能である。なお、オゾンガス発生装置100は、原料として、空気を供給してもよいし、酸素に窒素など他のガスを添加した気体を供給してもよい。
【0025】
オゾンガス生成部1は、
図2に示すように、複数の放電セル10を含んでいる。
図3に示すように、放電セル10は、第1電極部11と、第2電極部12とを含んでいる。第1電極部11は、第1電極111と、誘電体112と、機能膜113とを有している。第2電極部12は、第2電極121と、誘電体122と、機能膜123とを有している。複数の放電セル10は、同様の構成を有している。放電セル10は、電源2による印加により無声放電を行うように構成されている。複数の放電セル10の各々の間には、放電セル10を冷却する冷却水を通す流路14が設けられている。なお、流路14は、冷却ガスを通して、放電セル10を冷却してもよい。また、機能膜113および123は、特許請求の範囲の「金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層」の一例である。
【0026】
図3に示すように、第1電極部11および第2電極部12は、互いに対向するように配置されている。また、第1電極部11および第2電極部12は、放電可能な所定の間隔を隔てて配置されている。また、第1電極部11および第2電極部12の互いに対向する面は、略平坦状に形成されている。
【0027】
第1電極111および第2電極121は、一対の誘電体112および122の外側にそれぞれ配置され、一対の誘電体112および122間に誘電体バリア放電(無声放電)を発生させるように構成されている。つまり、第1電極111および第2電極121には、電源2が接続されている。第1電極111および第2電極121には、電源2から高周波高電圧の交流電力が供給される。また、第1電極111および第2電極121は、それぞれ、膜状に形成されている。また、第1電極111および第2電極121は、互いに対向するように配置されている。
【0028】
一対の誘電体112および122は、互いに対向するように所定の間隔を隔てて配置されている。また、一対の誘電体112および122は、それぞれ、アルミナ(セラミック)により形成されている。また、一対の誘電体112および122は、それぞれ、板状に形成されている。また、一対の誘電体112および122は、それぞれ、第1電極111および第2電極121よりも大きい面積を有し、第1電極111および第2電極121の内側の面(対向する側の面)をそれぞれ覆うように配置されている。誘電体112および122は、たとえば、約0.05mm以上約1mm以下の板厚を有する。安定した性能を得るために、好ましくは、誘電体112および122は、約0.1mm以上約0.3mm以下の板厚を有する。
【0029】
一対の機能膜113および123は、一対の誘電体112および122の互いに対向する面にそれぞれ設けられている。つまり、機能膜113および123は、一対の誘電体112および122の間の隙間(放電される空間)に接するように配置されている。また、機能膜113および123は、それぞれ、誘電体112および122の面の少なくとも一部に設けられている。一対の機能膜113および123の間の隙間に原料の酸素ガスが供給されるように構成されている。また、機能膜113および123は、金属または金属化合物の少なくとも1つを含んでいる。たとえば、機能膜113および123は、金属酸化物や金属窒化物を含んでいる。好ましくは、機能膜113および123は、金属化合物を含み、その金属化合物は、チタン、ニオブおよびタングステンのうち少なくとも1つの元素を含む。より好ましくは、機能膜113および123は、チタン、ニオブおよびタングステンのうち少なくとも1つの金属酸化物を含む。
【0030】
また、機能膜113および123は、たとえば、ニオブ、タンタル、モリブデン、クロムから選択される1種又は2種以上の金属の第1金属酸化物と、チタン、タングステン、亜鉛、鉄から選択される1種又は2種以上の金属の第2金属酸化物とを含んでいてもよい。
【0031】
また、機能膜113および123は、たとえば、ペロブスカイト構造のA位置に原子が存在しない結晶構造をもつ遷移金属酸化物のA位置にアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類元素が入った遷移金属ブロンズを含んでいてもよい。この場合、たとえば、遷移金属酸化物はV
2O
5、Sb
2O
3、WO
3、Mn
3O
4、Fe
2O
3、NiOまたはCo
3O
4があげられる。
【0032】
また、機能膜113および123は、たとえば、オゾン濃度の低下を阻止するための機能物質を含んでいてもよい。たとえば、機能物質は、Ti、W、Sb、Mn、Fe、Co、Ni、VまたはZn、若しくはこれら金属の酸化物(MxOy)があげられる。
【0033】
また、機能膜113および123は、たとえば、粉状の金属またはその酸化物と無機系固定材からなる低抵抗コーティング層を含んでいてもよい。この場合、たとえば、粉状の金属またはその酸化物は、Ti、W、Sb、Mn、Fe、Co、Ni、VおよびZn並びにこれらの元素の酸化物から選択される1種を単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0034】
また、機能膜113および123は、たとえば、固体酸触媒を含んでいてもよい。この場合、たとえば、固体酸触媒は、ニオブ、タンタル、モリブデンから選択される1種又は2種以上の金属の金属酸化物があげられる。
【0035】
また、機能膜113および123は、たとえば、酸化クロムを含んでいてもよい。
【0036】
図4に示すように、第1電極部11および第2電極部12の間には、リブ13が設けられている。これにより、第1電極部11および第2電極部12の互いに対向する表面の間隔(放電ギャップ)D1が保たれる。リブ13は、第1電極部11および第2電極部12の両方に設けられている。また、第1電極部11および第2電極部12の両方に設けられたリブ13が接着層13aにより接着(接合)されている。接着層13aは、たとえば、ガラスを含む。
【0037】
電源2は、オゾンガス生成部1の第1電極111および第2電極121に交流電力を供給するように構成されている。電源2は、LC回路などにより共振させた高周波の電力を供給するように構成されている。また、
図2に示すように、電源2には、複数の放電セル10が並列に接続されている。つまり、複数の放電セル10は、共通の電源2から電力が供給されるように構成されている。
【0038】
制御部3は、オゾンガス発生装置100の各部を制御するように構成されている。たとえば、制御部3は、電源2を制御して、オゾンガス生成部1に供給される電力を制御する。
【0039】
ここで、本実施形態では、第1電極部11および第2電極部12は、放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下に構成されている。つまり、第1電極部11の機能膜113の表面と、第2電極部12の機能膜123の表面との間隔(放電ギャップD1)の精度が±3%以上±50%以下になるように構成されている。また、放電ギャップD1は、基準間隔をDaとして、精度が±x%の場合、(1−x/100)×Da≦D1≦(1+x/100)×Daとなる範囲の大きさを有する。たとえば、精度が±3%の場合、放電ギャップD1は、(1−0.03)×Da≦D1≦(1+0.03)×Daとなる範囲の大きさを有する。また、精度が±50%の場合、放電ギャップD1は、(1−0.5)×Da≦D1≦(1+0.5)×Daとなる範囲の大きさを有する。
【0040】
好ましくは、第1電極部11および第2電極部12は、放電ギャップD1の精度が±10%以上±50%以下に構成されている。より好ましくは、第1電極部11および第2電極部12は、放電ギャップD1の精度が±20%以上±50%以下に構成されている。
【0041】
また、好ましくは、第1電極部11および第2電極部12は、放電ギャップD1の精度が±3%以上±40%以下に構成されている。より好ましくは、第1電極部11および第2電極部12は、放電ギャップD1の精度が±3%以上±30%以下に構成されている。さらに好ましくは、第1電極部11および第2電極部12は、放電ギャップD1の精度が±10%以上±30%以下に構成されている。よりさらに好ましくは、第1電極部11および第2電極部12は、放電ギャップD1の精度が±20%以上±30%以下に構成されている。
【0042】
また、本実施形態では、第1電極部11および第2電極部12は、放電される有効面積の30%以上の放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下に構成されている。好ましくは、第1電極部11および第2電極部12は、放電される有効面積の50%以上の放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下に構成されている。より好ましくは、第1電極部11および第2電極部12は、放電される有効面積の70%以上の放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下に構成されている。さらに好ましくは、第1電極部11および第2電極部12は、放電される有効面積の90%以上の放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下に構成されている。なお、放電される有効面積の100%の放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下に構成されていてもいいことは言うまでもない。
【0043】
また、本実施形態では、複数の放電セル10の第1電極部11および第2電極部12は、それぞれ、放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下に構成されている。つまり、複数の放電セル10のうち、それぞれの放電セル10の放電ギャップD1の放電セル10内のバラツキの精度は、±3%以上±50%以下になるように構成されている。また、複数の放電セル10の第1電極部11および第2電極部12は、所定の基準間隔Daに対して、それぞれ、放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下に構成されている。つまり、放電ギャップD1の複数の放電セル10間のバラツキの精度は、±3%以上±50%以下になるように構成されている。
【0044】
また、第1電極部11および第2電極部12は、放電される有効面積の放電ギャップD1の平均に対する間隔の精度が±3%以上±50%以下に構成されている。
【0045】
また、第1電極部11および第2電極部12は、高濃度のオゾンガスを発生させるために、放電ギャップD1の基準間隔Daが300μm以下に構成されている。好ましくは、より高濃度のオゾンガスを発生させるために、第1電極部11および第2電極部12は、放電ギャップD1の基準間隔Daが200μm以下に構成されている。さらに好ましくは、さらに高濃度のオゾンガスを発生させるために、第1電極部11および第2電極部12は、放電ギャップD1の基準間隔Daが100μm以下に構成されている。
【0046】
図4に示すように、放電ギャップD1は、リブ13の高さD2、機能膜113および123の膜厚D3に影響を受ける。なお、接着層13aの厚さは、無視できるほど小さい。具体的には、D1≒D2×2−D3×2となる。ただし、リブ13の高さD2の放電セル10内のバラツキ分(均一でない分)、放電セル10内においてD1は変動する。また、膜厚D3の放電セル10内のバラツキ分(均一でない分)、放電セル10内においてD1は変動する。
【0047】
(オゾンガス発生装置の製造方法)
オゾンガス発生装置100(オゾンガス生成部1)の製造方法について説明する。
【0048】
基材としての誘電体112(122)にリブ13が形成される。具体的には、リブ13の材料が、誘電体112(122)の表面に塗布または印刷される。その後、焼成される。そして、リブ13の高さを均一化するため、リブ13の表面がラップ研磨により磨かれる。これにより、誘電体112(122)上にリブ13が形成される。
【0049】
そして、リブ13が形成された側の誘電体112(122)の面に機能膜113(123)が形成される。具体的には、誘電体112(122)の表面であってリブ13が形成されていない箇所に機能膜113(123)の材料がスクリーン印刷により印刷される。その後、焼成されて、誘電体112(122)の表面に機能膜113(123)が形成される。
【0050】
なお、リブ13を形成する際、ハイトゲージやマイクロゲージなどの長さを測定する機器により、機能膜113(123)の表面からのリブ13の高さが計測される。なお、レーザ変位計などのレーザを用いる機器で、機能膜113(123)の表面からのリブ13の高さを計測してもよい。機能膜113(123)の表面からのリブ13の高さ(D2−D3)が基準間隔Daの略1/2となるように、リブ13が研磨される。ここで、放電ギャップD1は、D2およびD3に影響されるため、機能膜113(123)の膜厚D3およびリブ13の高さD2の精度を管理することにより、放電ギャップD1の精度が±3%〜±50%に管理される。
【0051】
そして、誘電体112(122)の機能膜113(123)とは反対側の面に第1電極111(第2電極121)が形成される。具体的には、銀や銅などの金属が電極として誘電体112(122)の面に形成される。なお、第1電極111(第2電極121)を形成する工程は、機能膜113(123)を形成する工程より前に行ってもよい。
【0052】
次に、機能膜113およびリブ13が形成された第1電極部11と、機能膜123およびリブ13が形成された第2電極部12とが、機能膜113および123を対向させた状態で接着(接合)される。この際、前述の通り、機能膜113(123)の膜厚D3およびリブ13の高さD2の精度を管理しているため、放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下となる。また、互いに隣接する放電セル10を構成する隣接した誘電体112および122の第1電極111および第2電極121の面同士が絶縁体(図示せず)を介して接着層により接着(接合)される。これにより、複数の放電セル10が組み立てられる。また、複数の放電セル10の各々の間に冷却水を通す流路14(
図2参照)が設けられて、オゾンガス生成部1が組み立てられる。
【0053】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0054】
本実施形態では、上記のように、互いに対向する側の第1電極部11の誘電体112および第2電極部12の誘電体122の各々の少なくとも一部に機能膜113および123を設け、放電ギャップD1の精度を±3%以上±50%以下に構成することによって、オゾンガスを安定して発生させることができるとともに、オゾンガス発生装置100を容易に製造することができる。つまり、放電ギャップD1の精度(誤差)を±3%以上にする(±3%より緩くする)ことにより、第1電極部11および第2電極部12を組み立てる精度を厳しく追求しなくてもよいので、オゾンガス発生装置100を容易に製造することができる。また、互いに対向する側の第1電極部11の誘電体112および第2電極部12の誘電体122の各々の少なくとも一部に機能膜113および123を設け、放電ギャップD1の精度を±50%以下にする(±50%より厳しくする)ことにより、オゾンガスを安定して発生させることができる。上記のような効果は、放電ギャップD1が小さい場合に特に有効である。つまり、放電ギャップD1が小さい場合に、その精度を厳しく追求すると、許容する誤差の絶対値が非常に小さくなるので、オゾンガス発生装置を製造することが非常に困難となる。一方、本実施形態では、放電ギャップD1の精度を厳しく追求する必要がないので、放電ギャップD1が小さいオゾンガス発生装置100においても容易に製造することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、第1電極部11および第2電極部12を、放電される有効面積の30%以上の放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下になるように構成しているので、オゾンガスの発生効率の低下を抑制することができる。そのため、有効面積の100%(全ての有効面積)の放電ギャップD1の精度を管理する場合と比べて、オゾンガス発生装置を製造する際の作業の煩雑化および組み立て作業時間の長時間化を抑制することができる。また、第1電極部11および第2電極部12を、放電される有効面積の50%以上の放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下になるように構成した場合、オゾンガス発生装置を製造する際の作業の煩雑化および組み立て作業時間の長時間化を抑制しつつ、オゾンガスの発生効率の低下を効果的に抑制することができる。また、第1電極部11および第2電極部12を、放電される有効面積の70%以上の放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下になるように構成した場合、オゾンガス発生装置を製造する際の作業の煩雑化および組み立て作業時間の長時間化を抑制しつつ、オゾンガスの発生効率の低下をより効果的に抑制することができる。また、第1電極部11および第2電極部12を、放電される有効面積の90%以上の放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下になるように構成した場合、オゾンガス発生装置を製造する際の作業の煩雑化および組み立て作業時間の長時間化を抑制しつつ、オゾンガスの発生効率の低下をさらに効果的に抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、複数の放電セル10の第1電極部11および第2電極部12を、それぞれ、放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下になるように構成する。ここで、放電ギャップの精度を厳しく追求すると、1つの放電セル10を製造すること自体が困難である。複数の放電セル10を設けたオゾンガス発生装置100、特に複数の放電セル10を所定の体積内に一体化して設けるオゾンガス発生装置100では、製造すること自体が困難である放電セル10を複数製造した上でさらに一体化して組み立てる必要があるため、オゾンガス発生装置100を製造することが非常に困難となる。このことは、放電ギャップ10が小さいオゾンガス発生装置100において特に顕著である。一方、本実施形態では、複数の放電セル10のそれぞれの放電ギャップD1の精度を、±3%以上±50%以下に管理することにより、精度を厳しく追求する必要がない。これにより、複数の放電セル10を備えるオゾンガス発生装置100を容易に製造することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、複数の放電セル10の第1電極部11および第2電極部12を、所定の基準間隔Daに対して、それぞれ、放電ギャップD1の精度が±3%以上±50%以下になるように構成する。これにより、複数の放電セル10の放電ギャップD1を、それぞれ、共通の基準間隔Daに対して±3%以上±50%以下に管理することができるので、複数の放電セル10間の放電ギャップD1のバラツキを抑制することができる。これにより、複数の放電セル10間で生じるオゾンガスの発生効率がバラつくのを抑制することができるので、複数の放電セル10を備えるオゾンガス発生装置100においても、装置全体としてオゾンガスを安定して発生させることができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、第1電極部11および第2電極部12を、放電される有効面積の放電ギャップD1の平均に対する間隔の精度が±3%以上±50%以下になるように構成する。これにより、放電ギャップD1の平均からのバラツキを抑制することができるので、オゾンガスを安定して発生させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、第1電極部11および第2電極部12を、放電ギャップD1の精度(誤差)が±10%以上になるように構成した場合、放電ギャップの精度をより緩くすることができるので、オゾンガス発生装置100をより容易に製造することができる。また、第1電極部11および第2電極部12を、放電ギャップD1の精度(誤差)が±20%以上になるように構成した場合、放電ギャップの精度をさらに緩くすることができるので、オゾンガス発生装置100をさらに容易に製造することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、第1電極部11および第2電極部12を、放電ギャップD1の精度(誤差)が±40%以下になるように構成した場合、放電ギャップのバラツキをより抑制することができるので、オゾンガスをより安定して発生させることができる。また、第1電極部11および第2電極部12を、放電ギャップD1の精度(誤差)が±30%以下になるように構成した場合、放電ギャップのバラツキをさらに抑制することができるので、オゾンガスをさらに安定して発生させることができる。
【0061】
また、上記のように、第1電極部11および第2電極部12を、放電ギャップD1の基準間隔Daを300μm以下に構成した場合、本実施形態では、放電ギャップの精度を厳しく追求する必要がないので、基準間隔Daが300μm以下の放電ギャップD1が小さいオゾンガス発生装置100を容易に製造することができる。しかも、このようなオゾンガス発生装置100は、基準間隔Daが300μm以下と小さいため、高濃度のオゾンガスを発生させることができる。また、第1電極部11および第2電極部12を、放電ギャップD1の基準間隔Daが200μm以下に構成した場合、本実施形態では、放電ギャップの精度を厳しく追求する必要がないので、基準間隔Daが200μm以下の放電ギャップD1がより小さいオゾンガス発生装置100であっても容易に製造することができる。しかも、このようなオゾンガス発生装置100は、基準間隔Daが200μm以下とより小さいため、より高濃度のオゾンガスを発生させることができる。また、第1電極部11および第2電極部12を、放電ギャップD1の基準間隔Daが100μm以下に構成した場合、本実施形態では、放電ギャップの精度を厳しく追求する必要がないので、基準間隔Daが100μm以下の放電ギャップD1がさらに小さいオゾンガス発生装置100であっても容易に製造することができる。しかも、このようなオゾンガス発生装置100は、基準間隔Daが100μm以下とさらに小さいため、さらに高濃度のオゾンガスを発生させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、機能膜113および123に含まれる金属化合物は、チタン、ニオブおよびタングステンのうち少なくとも1つの元素を含む。これにより、窒素レスの高純度の酸素ガスを原料ガスとして用いた場合でも、チタン、ニオブおよびタングステンのうち少なくとも1つの金属を含む材料の触媒効果により、オゾンガスを安定して生成することができる。
【0063】
(実施例の説明)
次に、
図5および
図6を参照して、本実施形態によるオゾンガス発生装置100の評価を行った実験結果について説明する。
【0064】
まず、
図5を参照してギャップ精度およびオゾン濃度の関係について説明する。
図5に示す実施例1では、オゾンガス発生装置100の第1電極部11および第2電極部12の互いに対向する表面の間隔(放電ギャップ)D1の精度を変化させて実験を行った。また、それぞれの精度において複数かつ同数の放電セル10を用いて実験を行った。また、それぞれの精度において同流量の酸素ガス(原料ガス)を供給して実験を行った。また、それぞれの精度において同電力の交流電力を供給して実験を行った。つまり、ギャップ精度以外の条件は全て統一した。ギャップ精度が±約3%、±約15%、±約20%の場合、放電ギャップの基準間隔Daを70μmとした。また、ギャップ精度が±約30%の場合、放電ギャップの基準間隔Daを50μmとした。なお、ギャップ精度が±約40%、±約50%のオゾン濃度は、±約3%、±約15%、±約20%、±約30%の結果に基づいて予測した値である。
【0065】
放電ギャップのギャップ精度が±約3%、±約15%、±約20%、±約30%の場合、オゾン濃度は、標準状態において、約300g/m
3となった。測定誤差等を考慮すると、ギャップ精度が±約3%、±約15%、±約20%、±約30%では、オゾン濃度は略変わらないと言える。また、放電ギャップのギャップ精度が±約40%の場合、ややオゾン濃度が低下すると考えられる。また、放電ギャップのギャップ精度が±約50%の場合、さらにオゾン濃度が低下するがオゾンガスを安定して発生させることができる範囲内であると考えられる。この結果から、放電ギャップのギャップ精度が±約50%以下であれば、オゾンガスを安定して発生させることが可能であることが分かる。
【0066】
次に、
図6を参照して放電セル数およびオゾン濃度の関係について説明する。
図6に示す実施例2では、放電セル10の数を変化させて実験を行った。また、1つの放電セル10に供給する酸素ガス(原料ガス)の流量を同流量にして実験を行った。つまり、放電セル数がNの場合、放電セル数が1の場合のN倍の酸素ガスを供給して実験を行った。また、1つの放電セル10に供給する交流電力の電力を同じにして実験を行った。つまり、放電セル数がNの場合、放電セル数が1の場合のN倍の電力を供給して実験を行った。また、放電ギャップD1の精度を±約30%として実験を行った。つまり、放電セル10の数以外の条件を統一した。
【0067】
図6に示すように、放電セル10の数が1、3、5、7および10の場合、オゾン濃度は、標準状態において、いずれも約300g/m
3となった。測定誤差等を考慮すると、放電セル10の数が1、3、5、7および10の場合では、オゾン濃度は略変わらないと言える。つまり、放電セル10間の放電ギャップに±約30%のバラツキがあった場合でも、オゾンガスを安定して発生させることが可能であることが分かる。
【0068】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0069】
たとえば、上記実施形態では、第1電極部および第2電極部の両方に金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層としての機能膜を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1電極部および第2電極部の少なくとも一方側に金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を設けていればよい。
【0070】
また、上記実施形態では、第1電極部および第2電極部の両方に誘電体を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1電極部および第2電極部の少なくとも一方側に誘電体を設けていればよい。
【0071】
また、上記実施形態では、誘電体の表面に金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層としての機能膜を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1電極または第2電極の表面に金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を設けてもよい。たとえば、第1電極の表面に誘電体が設けられ、第2電極の表面に金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層が設けられていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、第1電極部および第2電極部の対向する面の略全面に金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層としての機能膜を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1電極部および第2電極部の少なくとも一方の少なくとも一部に金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を設けてもよい。また、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を面状に設ける以外に、線状に設けてもよいし、点状に設けてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層としての機能膜の材料を誘電体にスクリーン印刷により塗布して機能膜を形成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を誘電体にスパッタリングにより形成してもよい。また、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層の材料をスクリーン印刷以外の方法で誘電体に塗布して金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を形成してもよい。また、金属または金属化合物の少なくとも1つを含む層を、板状の部材により形成してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、誘電体はアルミナにより形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、誘電体は、アルミナ以外のセラミックにより形成されていてもよいし、セラミック以外の材料により形成されていてもよい。たとえば、誘電体はガラスにより形成されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、リブの材料を誘電体に塗布または印刷してリブを形成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リブの材料を3Dプリンタなどにより誘電体に積層してリブを形成してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、板型のオゾンガス発生装置に本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。チューブ型のオゾンガス発生装置に本発明を適用してもよい。この場合、チューブ型のオゾンガス発生装置は、チューブ型の放電セルが複数設けられていてもよい。また、複数のチューブ型の放電セルは、一体化されていてもよい。たとえば、複数のチューブ型の放電セルが、円筒状の筐体内に、筐体の長手方向に沿って平行に伸びるように配列されることで一体化されていてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、原料ガスに窒素を添加しないいわゆる窒素レス方式のオゾンガス発生装置に本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、原料ガスに高濃度の窒素が含まれる方式のオゾンガス発生装置に本発明を適用してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、第1電極部および第2電極部の互いに対向する表面の間隔の基準間隔が300μm以下の構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1電極部および第2電極部の互いに対向する表面の間隔の基準間隔を300μm以上としてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、第1電極部および第2電極部の互いに対向する表面が平坦状に形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1電極部および第2電極部の互いに対向する表面の少なくとも一方に凹凸形状が形成されていてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、オゾンガス発生装置に複数の放電セルが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、オゾンガス発生装置に1つの放電セルが設けられている構成でもよい。
【0081】
また、本発明のオゾンガス発生装置を、たとえば、オゾン水製造装置などの装置に組み込んで使用してもよい。