【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、以下の実施例はあくまで一例であり、本発明は以下のものに限定されるものではない。
なお、以下において、%は重量%を表す。また、表関係は明細書の末尾に纏めて記載してある。
【0034】
〔実施例1〜3及び比較例1〜3〕
まず、乾燥卵白及び重曹の配合の有無及びその配合割合が作業性や食感、製品歩留に及ぼす影響について調べた。そのため、表1に記載の原材料を使用して実施例1〜3及び比較例1〜3を製造した。なお、実施例1〜3及び比較例1〜3では、食品原料として「塩漬け鱈子」(魚卵製品)を使用した。
【0035】
表1に示すとおり、実施例1〜3及び比較例1〜3の主な相違は、乾燥卵白及び重曹の配合の有無及びその程度である。実施例1〜3及び比較例1〜3の具体的な製造方法は以下のとおりである。
【0036】
まず、表1に記載の原材料をミキサーに投入し、均一になるまで混合した。そして得られたペースト状の混合物をトレーに盛り、スチーマーでスチーム加熱した。そのときの温度及び時間は、品温90℃、5分であった。
【0037】
次いで、ミルで粗砕した後、目開き5.6mm(3.5メッシュ)の篩で篩過し、それを通過した通過物をトレーに盛って冷凍庫で予備凍結させた。そして、凍結乾燥機に入れ、減圧して凍結乾燥させた。凍結乾燥条件は、棚温80℃で4時間、次いで棚温50℃で12時間であった。
【0038】
以上のようにして得られたものを再び篩過して整粒した。具体的には、5.6mm(3.5メッシュ)パス、1.7mm(10メッシュ)オンという条件で整粒した。
【0039】
なお、表1について説明しておく。
表1において、「原材料」欄の「配合」とは、使用した原材料の重量(単位g)を表し、「固形分」とは各原材料に含まれる固形分の重量(単位g)を表し、「固形割合」とは各原材料に含まれる固形分の割合(%)を表す。
次に、表1中に「前処理状態」とあるのは、ミキサーで混合した後トレーに盛る際の状態のことであり、同欄に記載の「混合状態」とは、ミキサーで混合した後の状態を目視観察したときの評価を表す。また、同欄に記載の「作業性」とは、トレーに盛るときの作業性のことであり、5段階評価(「1」が最も悪く、「5」が最も良い)で表している。さらに、「トレー盛量(B)」とは、原材料の合計量(単位g)がトレー盛りの段階でどの程度の量(単位g)になったかを表している。
次に、表1中の「FD状態」とは、上記「トレー盛量(B)」に記載された各量を凍結乾燥したときの凍結乾燥後の状態(但し、5.6mm(3.5メッシュ)パス、1.7mm(10メッシュ)オンの条件で整粒する前の状態)について記載しており、同欄中の「乾燥状態」及び「食感」とは、凍結乾燥後のものを実際に食したときの官能評価で、後者においては5段階で食感を評価している(「1」が最も悪く、「5」が最も良い)。また、「収量(C)」とは、凍結乾燥の結果得られた各例の重量(単位g)を表し、「収率(C/B)」とは、「収量(C)」÷「トレー盛量(B)」の値(%)を表している。
さらに、「製品歩留」欄中の「10メッシュオン(C’)」とは、上記「収量(C)」に記載された各量を前述の整粒条件で整粒したときの10メッシュオンの量(単位g)を表し、「10メッシュパス」とは、そのときに篩目を通過した分量(単位g)を表す。さらに、「顆粒収率(C’/C)」とは、「10メッシュオン(C’)」÷「収量(C)」の値(%)を表している。
【0040】
以上の結果得られた実施例1〜3及び比較例1〜3の評価は表1のとおりである。
まず、「前処理状態」についていうと、実施例1〜3のいずれにおいても混合状態はペースト状となり、トレー盛りの作業性についても評価は良好であった。これに対し、比較例1〜3では、混合状態が団子状となり、トレー盛りの作業性の評価も悪かった。
【0041】
次に、「FD状態」についていうと、実施例1〜3のいずれも食感は良好でサクサクしており、評価も高かった。これに対し、比較例1〜3では、食感が硬く、ガリガリしており、評価も低かった。
【0042】
さらに、「製品歩留」についていうと、実施例3においてやや「顆粒収率」が低かったものの、いずれにおいても概ね高い収率を維持していた。
【0043】
〔比較例4〕
次に、粗砕工程をどの段階で行うかによって収率がどのように変化するかについて調べた。
具体的には、凍結乾燥工程後に粗砕を行ったものを比較例4として、それと先の実施例とを比べた。ここでは、比較例4として、先の実施例2と同じ配合のものを使用した。比較例4において凍結乾燥後に粗砕工程を行った点以外は実施例2と同様である。
【0044】
具体的には、比較例4では、スチーム加熱後、粗砕せずに予備凍結し、さらに凍結乾燥させて板状の凍結乾燥品を製造した。そして、これをミルで粗砕し、20mmパスという条件で篩過したものを仮取り(保管)した。次いで、このようにして仮取りしたものを再びミルで粗砕し、さらに5.6mm(3.5メッシュ)パス、1.7mm(10メッシュ)オンという条件で整粒した。
結果は表2のとおりである。
【0045】
表2に示すとおり、実施例2(表1参照)と比較して、比較例4では、製品歩留が大きく低下することになった。
【0046】
〔比較例5〕
次に、乾燥卵白をデキストリンに代えて、その影響について調べた。
具体的には、実施例2において乾燥卵白をデキストリンに代えたものを比較例5として製造し、その影響を調べた。なお、乾燥卵白をデキストリンに代えた点以外は比較例5は実施例2と同様であり、製造工程も両者は同様である。
結果は表3に示すとおりである。
【0047】
表3に示すとおり、比較例5では、原材料の混合時の状態は柔らかいペースト状であったが、スチーム後の生地はスポンジ状ではなく、ボロボロと脆い生地であり、粗砕時に粒が崩れてしまった。
また、凍結乾燥後に粒が結着しており、それをばらす作業が必要となった。
さらに、食感はパサパサしており、軟らかく崩れやすかった。
【0048】
〔実施例4・5〕
次に、食品原料を別のものに変更して本発明を実施した。
具体的には、先の実施例1〜3では、食品原料として塩漬け鱈子を使用したが、それに代えて「豚肉」(実施例4)又は「かぼちゃ」(実施例5)を使用して、本発明を実施した。実施例4・5において原材料の配合割合は実施例2と同様である。但し、実施例4では豚肉としてひき肉を使用し、また、実施例5で使用したかぼちゃは、下処理として、20mm角にカットした後、品温90℃で10分間スチームしたものを使用した。
実施例4・5の詳細は表4又は5に示すとおりである。
【0049】
表4及び5に示すとおり、実施例4・5のいずれについても結果は良好で、混合時の作業性、凍結乾燥後の食感、及び製品歩留のいずれにおいても評価が高かった。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】