(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のエチレン系ポリマーが、第1のエチレン系ポリマー及び前記第2のエチレン系ポリマーの重量の合計に基づいて、「ゼロ超」〜30重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の前記組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述のように、本発明は、
A)高圧フリーラジカル重合プロセスによって形成され、以下の特性:
a)Mw(abs)対I2関係:Mw(abs)<A×[(I2)
B](式中、A=5.00×10
2(kg/モル)/(dg/分)
B、かつB=−0.40である)、及び
b)MS対I2関係:MS≧C×[(I2)
D](式中、C=13.5cN/(dg/分)
D、かつD=−0.55である)、
c)0.9超〜2.5g/10分の溶融指数(I2)、を含む、第1のエチレン系ポリマーと、
B)第2のエチレン系ポリマーと、を含み、
該第2のエチレン系ポリマーが、0.1〜4.0g/10分の溶融指数(I2)を有する、組成物を提供する。
【0013】
本組成物は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0014】
第1のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0015】
第2のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0016】
上記の特徴a)において、Mw(abs)は、本明細書に記載されるように、GPCによって決定される。
【0017】
上記の特徴b)において、溶融強度(MS)は、190℃で決定される(本明細書に記載される試験法を参照されたい)。
【0018】
一実施形態では、第2のエチレン系ポリマーは、0.2〜3.5g/10分、さらには0.3〜3.0g/10分、さらには0.4〜2.5g/10分の溶融指数(I2)を有する。
【0019】
一実施形態では、第2のエチレン系ポリマーは、0.870〜0.969g/cc、さらには0.890〜0.950g/cc、さらには0.910〜0.940g/cc、さらには0.915〜0.930g/ccの密度を有する。
【0020】
一実施形態では、第2のエチレン系ポリマーは、本組成物の重量に基づいて、5〜95重量パーセント、さらには10〜95重量パーセント、さらには20〜95重量パーセント、さらには30〜95重量パーセントの量で存在する。
【0021】
一実施形態では、第2のエチレン系ポリマーは、本組成物の重量に基づいて、40〜95重量パーセント、さらには50〜95重量パーセント、さらには60〜95重量パーセント、さらには70〜95重量パーセントの量で存在する。
【0022】
一実施形態では、第2のエチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、さらにはコポリマーである。さらなる実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、不均質に分岐したエチレン/α−オレフィンインターポリマー、さらにはコポリマーである。好適なα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、及びオクテン−1、好ましくはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、及びオクテン−1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
一実施形態では、第2のエチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンコポリマー、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0024】
第2のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0025】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、第1のエチレン系ポリマー及び第2のエチレン系ポリマーの重量の合計に基づいて、「ゼロ超」〜30重量パーセント、さらには1〜25重量%、さらには2〜20重量%の量で存在する。
【0026】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、第1のエチレン系ポリマー及び第2のエチレン系ポリマーの重量の合計に基づいて、20重量パーセント以上、さらには50重量パーセント以上の量で存在する。
【0027】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、第1のエチレン系ポリマー及び第2のエチレン系ポリマーの重量の合計に基づいて、1〜95重量パーセント、さらには5〜95重量パーセント、さらには10〜90重量パーセントの量で存在する。
【0028】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、0.9g/10分〜2.2g/10分、さらには0.9g/10分〜2.0g/10分の溶融指数(I2)を有する(ASTM1238 2.16kg/190℃)。
【0029】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、b)Mw(abs)対I2関係:Mw(abs)<A×[(I2)
B]を有し、式中、A=4.25×10
2(kg/モル)/(dg/分)
B、かつB=−0.40である(GPCによるMw(abs))。
【0030】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、b)Mw(abs)対I2関係:Mw(abs)<A×[(I2)
B]を有し、式中、A=3.50×10
2(kg/モル)/(dg/分)
B、かつB=−0.40である(GPCによるMw(abs))。
【0031】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、c)MS対I2関係:MS≧C×[(I2)
D]を有し、式中、C=14.5cN/(dg/分)
D、かつD=−0.55である(溶融強度=MS、190℃)。
【0032】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、c)MS対I2関係:MS≧C×[(I2)
D]を有し、式中、C=15.5cN/(dg/分)
D、かつD=−0.55である(溶融強度=MS、190℃)。
【0033】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、170℃で140Pa以上、さらには170℃で150Pa以上、さらには170℃で160Pa以上のG’値を有する。
【0034】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、190℃で9.0cN以上、さらには190℃で12.0cN以上、さらには190℃で15.0cN以上の溶融強度を有する。
【0035】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、10〜20cNの溶融強度(190℃)を有する。
【0036】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、GPC(abs)によって決定されるとき、以下の関係:w<E×[(I2)
F](式中、E=0.110(dg/分)
−F、かつF=−0.38(GPC)である)を満たす、10
6g/モル超の分子量の重量分率(w)を有する。
【0037】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、少なくとも1つの管型反応器において重合される。さらなる実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、オートクレーブ反応器を備えない管型反応器系において重合される。
【0038】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、少なくとも1つの管型反応器を備える反応器構成において重合される。
【0039】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーはLDPEである。
【0040】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーまたはエチレン系インターポリマーから選択される。
【0041】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーにおいては、ポリエチレンホモポリマーまたはエチレン系コポリマーから選択され、このエチレン系コポリマーのコモノマーは、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、一酸化炭素、アクリル酸、カルボン酸含有コモノマー、イオノマー、モノオレフィンから選択されるか、または酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、アクリル酸、またはモノオレフィンから選択される。さらなる実施形態では、このコモノマーは、コポリマーの重量に基づいて、0.5〜30重量%のコモノマーの量で存在する。
【0042】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、0.910〜0.940g/cc、さらには0.912〜0.935g/cc、さらには0.914〜0.930g/ccの密度を有する(1cc=1cm
3)。
【0043】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、0.910〜0.930g/cc、さらには0.912〜0.925g/cc、さらには0.914〜0.920g/ccの密度を有する(1cc=1cm
3)。
【0044】
一実施形態では、第1のエチレン系ポリマーは、0.914g/cc以上、または0.916g/cc以上の密度を有する。
【0045】
第1のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0046】
一実施形態では、発明の組成物が吹込フィルムプロセスによってフィルムへと形成される場合、その最大生産速度は、同様の組成物であるが、この組成物が第1のエチレン系ポリマー及び第2のエチレン系ポリマーの重量の合計に基づいて100重量%の第2のエチレン系ポリマーを含有することを除いて同様の組成物から形成される、同様のフィルムの最大生産速度よりも、少なくとも15パーセント大きい。
【0047】
発明の組成物は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0048】
本発明は、発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を備える物品も提供する。
【0049】
一実施形態では、本物品は、コーティング、フィルム、発泡体、積層品、繊維、またはテープから選択される。別の実施形態では、本物品はフィルムである。
【0050】
本発明は、発明の組成物から形成される少なくとも1つの層を備えるフィルムも提供する。
【0051】
一実施形態では、本フィルムは、少なくとも2つの層を備える。
【0052】
一実施形態では、本フィルムは、5.00psi超のMD収縮張力を有する。
【0053】
発明の物品は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0054】
発明のフィルムは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0055】
重合
高圧フリーラジカル開始重合プロセスでは、2つの基本的な種類の反応器が知られている。第1の種類は、1つ以上の反応区画を有する撹拌オートクレーブ槽(オートクレーブ反応器)である。第2の種類は、1つ以上の反応区画を有する被覆管(管型反応器)である。このプロセスのオートクレーブ及び管型反応器区画のそれぞれにおける圧力は、典型的には100〜400、より典型的には120〜360、さらにより典型的には150〜320MPaである。このプロセスのそれぞれの管型反応器区画における重合温度は、典型的には100〜400、より典型的には130〜360、さらにより典型的には140〜330℃である。
【0056】
このプロセスのそれぞれのオートクレーブ反応器区画における重合温度は、典型的には150〜300、より典型的には165〜290、さらにより典型的には180〜280℃である。
【0057】
広いMWDを有する第1のエチレン系ポリマーは、典型的には、以下のプロセス要素のうちの1つ以上を含む重合条件で作製される。
・低下した動作圧力(反応器系の最大動作圧力に対して)、
・上昇した重合温度(1つ以上のオートクレーブ領域及び/または1つ以上の管型反応器区画は、それぞれ240及び290℃を超える対照または最大ピーク温度で操作される)、
・オートクレーブ及び/または管状性質の最低3つの反応区画、
・広いMWDの生成物を確保するための反応区画にわたるCTAの種類の選択及び/もしくは分布、ならびに/または
・二官能性のカップリング剤及び/または分岐剤の任意の使用
【0058】
本発明に従って見出される有利な特性を有するポリエチレンホモポリマーまたはエチレン系インターポリマーを生成するための本発明の高圧プロセスは、好ましくは、少なくとも3つの反応区画を有する管型反応器において実行される。
【0059】
開始剤
本発明のプロセスは、フリーラジカル重合プロセスである。本プロセスにおいて使用されるフリーラジカル開始剤の種類は重要ではないが、好ましくは、適用される開始剤のうちの1つは、300℃〜350℃の範囲内の高温操作を可能にすべきである。一般的に使用されるフリーラジカル開始剤は、有機過酸化物、例えばペルエステル、ペルケタール、ペルオキシケトン、過炭酸塩、及び環状多機能性過酸化物を含む。
【0060】
これらの有機ペルオキシ開始剤は、重合可能なモノマーの重量に基づいて、典型的には0.005〜0.2重量%の従来の量で使用される。他の好適な開始剤は、アゾジカルボン酸エステル、アゾジカルボン酸ジニトリル、及び1,1,2,2−テトラメチルエタン誘導体、ならびに所望の操作温度範囲内でフリーラジカルを形成することができる他の構成成分を含む。
【0061】
過酸化物は、典型的には、好適な溶媒中、例えば、炭化水素溶媒中の希釈溶液として注入される。一実施形態では、重合の少なくとも1つの反応区画に開始剤が添加され、この開始剤は、255℃超、好ましくは260℃超の「1秒における半減期温度」を有する。さらなる実施形態では、かかる開始剤は、320℃〜350℃のピーク重合温度で使用される。さらなる実施形態では、開始剤は、環構造に組み込まれた少なくとも1つの過酸化物基を含む。
【0062】
かかる開始剤の例としては、両方ともAkzo Nobelから入手可能なTRIGONOX 301(3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナアン(triperoxonaan))及びTRIGONOX 311(3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン)、ならびにUnited Initiatorsから入手可能なHMCH−4−AL(3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5−テトルオキソナン(tetroxonane))が挙げられるが、これらに限定されない。国際公開第WO02/14379号及び同第WO01/68723号も参照されたい。
【0063】
連鎖移動剤(CTA)
連鎖移動剤またはテロゲンは、重合プロセスにおいて溶融指数を制御するために使用される。連鎖移動は成長するポリマー鎖の終結を伴い、ひいてはポリマー材料の最終的な分子量を制限する。連鎖移動剤は、典型的には、成長するポリマー鎖と反応し鎖の重合反応を停止させる水素原子供与体である。これらの薬剤は、飽和炭化水素または不飽和炭化水素から、アルデヒド、ケトン、またはアルコールまでの多くの異なる種類であり得る。選択される連鎖移動剤の濃度を制御することによって、ポリマー鎖の長さ、そしてそれ故に分子量、例えば数平均分子量、Mnを制御することができる。Mnに関連するポリマーの溶融流れ指数(MFIまたはI
2)は、同じように制御される。
【0064】
本発明のプロセスにおいて使用される連鎖移動剤としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、ペンテン、またはヘキサンなどの脂肪性及びオレフィン性炭化水素;アセトン、ジエチルケトン、またはジアミルケトンなどのケトン;ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドなどのアルデヒド;ならびにメタノール、エタノール、プロパノール、またはブタノールなどの飽和脂肪性アルデヒドアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。連鎖移動剤は、モノマー連鎖移動剤であってもよい。例えば、国際公開第WO2012/057975号、同第WO2013/095969号、及び同第WO2014/003837号を参照されたい。
【0065】
反応区画内の分化したCTA濃度は、所望の分子量分布を達成し、制御するために使用され得る。反応区画内のCTA濃度を分化するための手段としては、とりわけ、国際公開第WO2013/059042号、同第WO2011/075465号、及び同第WO2012/044504号に記載の方法が挙げられる。
【0066】
溶融指数に影響を及ぼすさらなる方法は、エチレン再循環流中の、メタン及びエタンのような流入するエチレン不純物、tert−ブタノール、アセトンなどのような過酸化物分離生成物、ならびに/または開始剤を希釈するために使用される溶媒構成成分の集積及び制御を含む。これらのエチレン不純物、過酸化物分離生成物、及び/または希釈溶媒構成成分は、連鎖移動剤として作用し得る。
【0067】
モノマー及びコモノマー
本説明及び特許請求の範囲において使用されるエチレンインターポリマーという用語は、エチレン及び1つ以上のコモノマーのポリマーを指す。本発明のエチレンポリマーにおいて使用される好適なコモノマーとしては、エチレン性不飽和モノマー、特にC
3−20α−オレフィン、一酸化炭素、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、または二官能性もしくはより高い官能性のコモノマー(2つ以上のモノマー基を有するモノマーを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、コモノマーも、ある程度まで連鎖移動剤として作用し得る。高い連鎖移動活性を有するこれらのコモノマーは、モノマーCTAと呼ばれる。
【0068】
添加剤
発明の組成物は、1つ以上の添加剤を含み得る。好適な添加剤としては、安定剤;充填剤、例えば、粘土、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末金属を含む有機または無機粒子、炭素繊維、窒化ケイ素繊維、鋼ワイヤまたはメッシュ、及びナイロンまたはポリエステルコードを含む有機または無機繊維、ナノサイズ粒子、粘土など;粘着付与剤、パラフィン系またはナフテレン系(napthelenic)油を含む伸展油が挙げられる。発明の組成物は他のポリマーの種類を含み得る。
【0069】
用途
本発明のポリマーは、単層及び多層フィルム、吹込成形、射出成形、または回転成形物品などの成形物品、コーティング、繊維、ならびに織布または不織布を含むがこれらに限定されない有用な物品を生産するために、様々な従来の熱可塑性製造プロセスで用いられ得る。
【0070】
発明のポリマーは、押出コーティング、食品包装、消費者用、工業用、農業用(用途またはフィルム)、積層フィルム、切りたての農産物用のフィルム、食肉用フィルム、チーズ用フィルム、キャンディ用フィルム、透明性収縮性フィルム、照合収縮性フィルム、延伸フィルム、サイレージ用フィルム、温室用フィルム、燻蒸フィルム、ライナーフィルム、延伸フード、耐久型輸送袋、ペットフード、サンドイッチ用袋、密閉剤、及びおむつ用バックシートを含むがこれらに限定されない様々なフィルム中に使用され得る。
【0071】
発明のポリマーは、他の直接的な最終用途にも有用である。発明のポリマーは、ワイヤ及びケーブルコーティング作業、真空形成作業のためのシート押出、ならびに射出成形、吹込成形プロセス、または回転成形プロセスの使用を含む、成形物品の形成のために使用され得る。
【0072】
発明のポリマーの他の好適な用途としては、弾性フィルム及び繊維、電化製品の取っ手などのソフトタッチ品、ガスケット及びプロファイル、自動車内部部品及びプロファイル、発泡品(開気泡及び閉気泡の両方)、高密度ポリエチレンなどの他の熱可塑性ポリマーまたは他のオレフィンポリマーのための衝撃改質剤、キャップライナー、ならびに床材が挙げられる。
【0073】
定義
反対の記述があるか、文脈から黙示的であるか、または当該技術分野において慣習的である場合を除き、すべての部及び割合は重量に基づき、すべての試験法は本開示の出願日時点で現行のものである。
【0074】
本明細書において使用される「組成物」という用語は、その組成物を含む材料の混合物、ならびにその組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物を指す。
【0075】
使用される「ブレンド物」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーの緊密な物理的混合物(つまり、反応を伴わない)を意味する。ブレンド物は、混和性(分子レベルで分相していない)である場合もない場合もある。ブレンド物は、分相している場合もしていない場合もある。ブレンド物は、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当該技術分野で既知の他の方法から決定されるときに、1つ以上のドメイン構成を含有する場合もしない場合もある。このブレンド物は、マクロレベル(例えば、樹脂を溶融ブレンドすること、もしくは調合すること)またはミクロレベル(例えば、同じ反応器内で同時形成すること、もしくは別のポリマーの存在下で1つのポリマーを形成すること)で、その2つ以上のポリマーを物理的に混合することによってもたらされ得る。
【0076】
「ポリマー」という用語は、同一のものか異なる種類のものかを問わず、モノマーを重合することによって調製される化合物を指す。したがってポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(これは、ポリマー構造内に微量の不純物が組み込まれ得るという理解を踏まえて1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指す)、及び以下に定義される「インターポリマー」という用語を包含する。ポリマーの中に及び/またはポリマー内に微量の不純物が組み込まれ得る。
【0077】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。インターポリマーという総称は、コポリマー(これは、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指す)、及び3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0078】
「エチレン系ポリマー」または「エチレンポリマー」という用語は、ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含み、かつ、任意に、少なくとも1つのコモノマーを含み得る、ポリマーを指す。
【0079】
「エチレン系インターポリマー」または「エチレンインターポリマー」という用語は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含み、かつ少なくとも1つのコモノマーを含むインターポリマーを指す。
【0080】
「エチレン系コポリマー」または「エチレンコポリマー」という用語は、コポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレン、及び1つのみのコモノマー(したがって、2種類のモノマーのみ)を含むコポリマーを指す。
【0081】
本明細書において使用される「オートクレーブベースの生成物」または「オートクレーブベースのポリマー」という用語は、少なくとも1つのオートクレーブ反応器を備える反応器系において調製されるポリマーを指す。
【0082】
本明細書において使用される「高圧フリーラジカル重合プロセス」という語句は、少なくとも1000バール(100MPa)の昇圧で実行されるフリーラジカル開始重合を指す。
【0083】
「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在が明確に開示されているか否かを問わず、それを除外することを意図しない。一切の疑義を回避するために、「備える(comprising)」という用語の使用によって特許請求されるすべての組成物は、反対の記述がない限り、ポリマーのものか別様のものかを問わず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に本質的であるものを除いて、いかなる他の構成要素、ステップ、または手順をも、いかなる後続の記述からも除外する。「からなる」という用語は、明確に詳述または列記されていないいかなる構成要素、ステップ、または手順をも除外する。
【0084】
試験法
密度:ASTM D 1928に従って、密度測定のための試料を調製する。190℃及び30,000psi(207MPa)で3分間、次いで21℃及び207MPaで1分間、ポリマー試料を押圧する。ASTM D792、方法Bを使用して試料押圧の1時間以内に測定を行う。
【0085】
溶融指数:ASTM D 1238、190℃/2.16kgの条件に従って、溶融指数、またはI
2(もしくはI2)、(グラム/10分またはdg/分)を測定する。ASTM D 1238、190℃/10kgの条件を用いて、I
10を測定する。
【0086】
三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィ(TDGPC):145℃に設定したALLIANCE GPCV2000計器(Waters Corp.)で、高温3Det−GPC分析を実施する。GPCの流速は1mL/分である。注入体積は218.5μLである。カラムセットは4つのMixed−Aカラム(20−μm粒子、7.5×300mm、Polymer Laboratories Ltd)からなる。
【0087】
CH感知器を備えたPolymerChARによるIR4検出器、λ=488nmで動作する30−mWアルゴンイオンレーザーを備えたWyatt Technology Dawn DSP MALS検出器(Wyatt Technology Corp.,Santa Barbara,CA,USA)、及びWaters3キャピラリー粘度検出器を使用して、検出を達成する。TCB溶媒の散乱強度を測定することによって、MALS検出器を校正する。32,100g/モルの重量平均分子量(Mw)及び1.11の多分散(MWD)を有する高密度ポリエチレンであるSRM1483を注入することによって、光ダイオードの正規化を行う。TCB中のポリエチレンについては、−0.104mL/mgの比屈折率増分(dn/dc)を使用する。
【0088】
580〜7,500,000g/モルの範囲内の分子量を有する20個の狭いPS標準(Polymer Laboratories Ltd.)を用いて、従来のGPC校正を行う。ポリスチレン標準ピーク分子量は、以下の等式を使用してポリエチレン分子量に変換され、
M
ポリエチレン=A×(M
ポリスチレン)
B、
このうちAは0.39であり、Bは1である。Aの値は、115,000g/モルのMwを有する直鎖状高密度ポリエチレンホモポリマー(HDPE)を使用して決定する。HDPE参照材料もまた使用して、100%の質量回収率及び1.873dL/gの固有粘度を想定することによって、IR検出器及び粘度計を校正する。
【0089】
上記の等式から得られたそれぞれのポリエチレン等量校正点に対する一次多項式を、観察される溶出体積に適合させることによって、カラム校正曲線を得た。
【0090】
数平均分子量、重量平均分子量、及びz平均分子量(GPC)は、以下の等式に従って算出され、
【0092】
式中、Wf
iは、i番目の構成成分の重量分率であり、M
iは、i番目の構成成分の分子量である。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として分子量分布(MWD)を表した。
【0093】
200ppmの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(Merck,Hohenbrunn,Germany)を含有する、蒸留された「Baker分析済み」グレードの1,2,4−トリクロロベンゼン(J.T.Baker,Deventer,The Netherlands)を、試料調製ならびに3Det−GPC実験のための溶媒として使用する。HDPE SRM 1483は、アメリカ国立標準技術研究所(U.S.National Institute of Standards and Technology)(Gaithersburg,MD,USA)から得られる。
【0094】
160℃で3時間、穏やかな撹拌のもとで試料を溶解させることによって、LDPE溶液を調製する。30分間同じ条件下でPS標準を溶解させる。3Det−GPC実験のための試料濃度は1.5mg/mLであり、ポリスチレン濃度は0.2mg/mLである。
【0095】
MALS検出器は、異なる散乱角度θのもとで試料中のポリマーまたは粒子からの散乱シグナルを測定する。基本的な光散乱等式(M.Anderson,B.Wittgren,K.−G.Wahlund,Anal.Chem.75,4279(2003)による)は、以下の通り記され得、
【0097】
式中、R
θは、過剰レイリー比であり、Kは、とりわけ比屈折率増分(dn/dc)に依存する光学定数であり、cは、溶質の濃度であり、Mは、分子量であり、R
gは、回転半径であり、λは、入射光の波長である。光散乱データからの分子量及び回転半径の算出は、ゼロ角度への外挿を必要とする(P.J.Wyatt,Anal.Chim.Acta 272,1(1993)も参照されたい)。これは、所謂Debyeプロットにおけるsin
2(θ/2)の関数として(Kc/R
θ)
1/2をプロットすることによって行われる。分子量は縦軸との切片から、そして回転半径は曲線の初期傾斜から算出することができる。第2ビリアル係数は無視できるほどであると想定される。各溶出スライスにおける特定の粘度と濃度との比を得ることによって、粘度及び濃度検出器シグナルの両方から固有粘度数を算出する。
【0098】
ASTRA 4.72(Wyatt Technology Corp.)ソフトウェアを使用して、IR検出器、粘度計、及びMALS検出器からのシグナルを収集し、算出を行う。
【0099】
算出される分子量、例えばMw(abs)、及び分子量分布(例えば、Mw(abs)/Mn(abs))は、言及されたポリエチレン標準のうちの1つ以上から導かれる光散乱定数、及び0.104の屈曲率濃度係数、dn/dcを使用して得られる。一般的に、質量検出器応答及び光散乱定数は、約50,000ダルトンを超える分子量を有する線形標準から決定されるべきである。粘度計校正は、製造者により説明される方法を使用してか、あるいは、標準参照材料(SRM)1475a、1482a、1483、または1484aなどの好適な線形標準の公表値を使用することによって達成することができる。クロマトグラフ的濃度は、第2ビリアル係数作用(分子量に対する濃度作用)の対処を排除するほど十分に低いと想定される。
【0100】
TD−GPCから得られるMWD(abs)曲線は、Mw(abs)、Mn(abs)、及びwという3つの特性パラメータで要約され、wは、「ポリマーの総重量に基づいて、GPC(abs)によって決定されるとき、10
6g/モル超の分子量の重量分率」として定義される。
【0101】
等式形態では、パラメータは以下の通り決定される。「logM」及び「dw/dlogM」の表からの数値積分法は、典型的には、次の台形規則を用いて行われる:
【0104】
レオロジー的G’
G’測定で使用した試料は、圧縮成形プラークから調製した。アルミ箔の小片を背板上に置き、鋳型または成形型を背板の上に置いた。およそ12グラムの樹脂を成形型内に置き、アルミ箔の第2の小片を樹脂及び成形型の上に置いた。次いで第2の背板をアルミ箔の上に置いた。この集合体全体を圧縮成形加圧器内に入れ、これを以下の条件で運転した:10バールの圧力で、150℃で3分間、続いて150バールで、150℃で1分間、続いて150バールで「1.5分」の室温への急冷。圧縮成形プラークから25mmディスクを打抜いた。このディスクの厚さはおよそ2.0mmであった。
【0105】
窒素環境内で、170℃で、そして10%の歪みで、G’を決定するためのレオロジー測定を行った。170℃で少なくとも30分間余熱されたARES−1(Rheometrics SC)レオメータオーブン内に配置された2枚の「25mm」平行板間に打抜かれたディスクを置き、「25mm」平行板の間隙を1.65mmに緩徐に縮小した。次いで試料をこれらの条件で正確に5分間維持した。次いでオーブンを開け、板の縁に沿って過剰の試料を慎重に切り整え、オーブンを閉じた。100から0.1rad/sへと(0.1rad/sで500Paより低いG”値を得ることができる場合)、または100から0.01rad/sへと減少する周波数掃引に従って、小振幅の振動せん断によって、試料の貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定した。各周波数掃引について、周波数ディケード当たり10点(対数的に離隔している)を使用した。
【0106】
両対数スケール上でデータをプロットした(G’(Y軸)対G”(X軸))。Y軸スケールは10〜1000Paの範囲を対象とし、一方でX軸スケールは100〜1000Paの範囲を対象とした。Orchestratorソフトウェアを使用して、G”が200〜800Paの間にある領域内のデータを選択した(または少なくとも4データ点を使用して)。適合等式Y=C1+C2ln(x)を使用して、データを対数多項式モデルに適合させた。Orchestratorソフトウェアを使用して、内挿によって500Paに等しいG”におけるG’を決定した。
【0107】
いくつかの場合では、150℃及び190℃の試験温度からG’(500PaのG”における)を決定した。これら2つの温度における値からの線形内挿から、170℃における値を算出した。
【0108】
溶融強度
Goettfert Rheotester 2000キャピラリーレオメータに取り付けたGoettfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.;Rock Hill,SC)上で溶融強度測定を実行する。2.0mmのキャピラリー直径及び15のアスペクト比(キャピラリー長さ/キャピラリー直径)で平入口角(180度)を有するキャピラリー打型を通して、ポリマー溶融物を押出す。
【0109】
10分間190℃で試料を平衡化した後、0.265mm/秒の一定のピストン速度でピストンを運転する。標準試験温度は190℃である。2.4mm/秒
2の加速度で打型より100mm下に配置された一式の加速ニップに試料を一軸延伸する。ニップロールの巻取り速度の関数として引張力を記録する。ストランドが切断する前の定常力(cN)として溶融強度を報告する。溶融強度測定において以下の条件を使用する:プランジャー速度=0.265mm/秒、車輪加速度=2.4mm/s
2、キャピラリー直径=2.0mm、キャピラリー長さ=30mm、及びバレル直径=12mm。
【0110】
核磁気共鳴(
13C NMR)
10mmのNMR管中で、「0.25〜0.40gのポリマー試料」に、「0.025M Cr(AcAc)
3を含有するおよそ3gのテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物」を添加することによって、試料を調製した。少なくとも45分間窒素環境内に開口管を置くことによって、試料から酸素を除去した。次いで、加熱ブロック及び熱線銃を使用して、管及びその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解し、均質化した。溶解した試料それぞれを目視検査して均質性を確かにした。分析の直前に試料を徹底的に混合し、加熱したNMR試料ホルダへの挿入前に冷却させなかった。
【0111】
Bruker 400MHz分光計を使用してすべてのデータを収集した。125℃の試料温度で、6秒のパルス繰返し遅延、90度のフリップ角、及び逆ゲート付きデカップリングを使用してデータを取得した。ロックモードの非回転試料ですべての測定を行った。データ取得の前に7分間試料を熱平衡化させた。
13C NMR化学シフトは、30.0ppmのEEE三連構造を内部基準とした。C6+値は、長い分岐が鎖末端と区別されないLDPE中のC6+分岐の直接的尺度であった。6個以上の炭素の全鎖または分岐の末端から3番目の炭素を表す32.2ppmピークを使用してC6+値を決定した。
【0112】
核磁気共鳴(
1H NMR)
試料調製
NORELL 1001−7、10mmのNMR管中で、0.001M Cr(AcAc)
3を含む「3.25gの重量により50/50のテトラクロルエタン(tetrachlorethane)−d2/ペルクロロエチレン」に、およそ130mgの試料を添加することによって、試料を調製した。酸化を防ぐために、およそ5分間、管中に挿入されたピペットを介して、溶媒全体にN2を通気することによって試料をパージした。各管にキャップをし、TEFLON(登録商標)テープで密閉し、次いで室温で一晩湿らせ、試料溶解を促進した。貯蔵の間、調製の前、及び後に、N2パージボックス内に試料を保持して、O2への曝露を最低限に抑えた。試料を115℃で加熱及びボルテックスして、均質性を確かにした。
【0113】
データ取得パラメータ
120℃の試料温度で、Bruker Dual DUL高温クライオプローブを備えたBruker AVANCE 400MHz分光計で1H NMRを実施した。全ポリマープロトンを定量化するための制御スペクトル、及び二重予備飽和実験という、2つの実験を行ってスペクトルを得、これは、強いポリマー骨格ピークを抑制し、末端基の定量化のための高感度スペクトルを可能にした。制御は、ZGパルス、4スキャン、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 14sを用いて行った。二重予備飽和実験は、修正されたパルス配列、TD 32768、100スキャン、DS 4、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 1s、D13 13sを用いて行った。
【0114】
データ分析−1H NMR算出
TCE−d2の残留1Hからのシグナル(6.0ppmにおける)を積分し、100の値に設定し、制御実験における全ポリマーからのシグナルとして3〜−0.5ppmの積分を使用した。予備飽和実験では、TCEシグナルを同様に100に設定し、不飽和(約5.40〜5.60ppmのビニレン、約5.16〜5.35ppmで三置換、約4.95〜5.15ppmのビニル、及び約4.70〜4.90ppmのビニリデン)に対応する積分を得た。
【0115】
予備飽和実験スペクトルでは、シス及びトランス−ビニレン、三置換、ビニル、及びビニリデンの領域を積分した。制御実験による全ポリマーの積分を2で除して、X千個の炭素を表す値を得た(すなわち、ポリマーの積分が28000である場合、これは14,000個の炭素を表し、Xは14である)。
【0116】
その積分に寄与するプロトンの対応する数で除した不飽和基の積分は、X千個の炭素当たりの各種の不飽和のモルを表す。各種の不飽和のモルをXで除すと、1000モルの炭素当たりの不飽和基のモルがもたらされる。
【0117】
フィルム試験
実験の項に記載されるように、以下の物理的特性をフィルム上で測定した。Measuretech計器を使用してフィルム厚を測定した。
【0118】
総(総合的な)ヘイズ及び内部ヘイズ:ASTM D 1003−07に従って、内部ヘイズ及び総ヘイズを測定した。フィルムの各表面にコーティングとして塗布された鉱物油(茶匙1〜2)を使用する屈曲率整合によって内部ヘイズを得た。試験にはHazegard Plus(BYK−Gardner USA;Columbia,MD)を使用した。各試験につき5枚の試料を調査し、平均を報告した。試料寸法は「6インチ×6インチ」であった。
【0119】
45°光沢:ASTM D2457−08(5枚のフィルム試料の平均、各試料「10インチ×10インチ」)。
【0120】
透明性:ASTM D1746−09(5枚のフィルム試料の平均、各試料「10インチ×10インチ」)。
【0121】
2%割線弾性係数−MD(機械方向)及びCD(交差方向):ASTM D882−10(各方向における5枚のフィルム試料の平均、各試料「1インチ×6インチ」)。
【0122】
MD及びCDエレメンドルフ引裂強度:ASTM D1922−09(各方向における15枚のフィルム試料の平均、各試料「3インチ×2.5インチ」の半月形)。
【0123】
MD及びCD引張強度:ASTM D882−10(各方向における5枚のフィルム試料の平均、各試料「1インチ×6インチ」)。
【0124】
ダート衝撃強度:ASTM D1709−09(50%の不具合を達成するために最低20回の落下、典型的には10枚の「10インチ×36インチ」の細片)。
【0125】
穿刺強度:SINTECH TESTWORKSソフトウェア、バージョン3.10を用いてINSTRONモデル4201上で穿刺を測定した。標本サイズは「6インチ×6インチ」であり、4回の測定を行って平均穿刺値を決定した。フィルム生成後の40時間、そしてASTM管理実験室(23℃及び相対湿度50%)内で少なくとも24時間にわたってフィルムを条件付けした。直径4インチの円形標本ホルダとともに「100lb」のロードセルを使用した。穿刺プローブは、「7.5インチの最大移動量」を有する(2.5インチのロッド上の)「直径1/2インチ」の研磨されたステンレス鋼球である。
【0126】
ゲージ長はなく、プローブは可能な限り標本に近かったが接触はしなかった。標本に接触するまでプローブを持ち上げることによってプローブを配置した。次いで、標本に接触しなくなるまでプローブを徐々に降下させた。次いで、クロスヘッドをゼロに設定した。最大移動距離を考慮すると、距離はおよそ0.10インチであろう。クロスヘッド速度は10インチ/分であった。標本の真中で厚さを測定した。フィルムの厚さ、クロスヘッドが移動した距離、及びピーク負荷を使用して、ソフトウェアによって穿刺を決定した。各標本後、「KIM−WIPE」を使用して穿刺プローブを消毒した。
【0127】
収縮張力:Y.Jin,T.Hermel−Davidock,T.Karjala,M.Demirors,J.Wang,E.Leyva,and D.Allen,“Shrink Force Measurement of Low Shrink Force Films”,SPE ANTEC Proceedings,p.1264(2008)に記載の方法に従って、収縮張力を測定した。フィルム固定具を備えたRSA−III動的機械的分析器(TA Instruments;New Castle,DE)上で実行した温度勾配試験によってフィルム試料の収縮張力を測定した。試験のために、「幅12.7mm」及び「長さ63.5mm」のフィルム標本を、機械方向(MD)または交差方向(CD)のいずれかでフィルム試料から型抜きした。Mitutoyo Absoluteデジマチックインジケータ(モデルC112CEXB)によってフィルム厚を測定した。このインジケータは、0.001mmの解像度とともに12.7mmの最大測定範囲を有した。各フィルム標本上の異なる位置及び標本の幅での3回の厚さ測定の平均を使用して、フィルムの断面積(A)を算出し、ここでAは、収縮フィルム試験において使用されたフィルム標本の「幅×厚さ」であった。測定にはTA Instrumentsによる標準的なフィルム引張固定具を使用した。間隙及び軸力を零点調整する前に、少なくとも30分間25℃でRSA−IIIのオーブンを平衡化した。初期間隙を20mmに設定した。次いで、上下の固定具の両方にフィルム標本を取り付けた。典型的には、MDの測定は1枚の複層フィルムのみを必要とする。CD方向の収縮張力は典型的に低いため、シグナル対ノイズ比を改善するために、各測定について2層または4層のフィルムを積み重ねる。そのような場合、フィルム厚は複層のすべての合計である。この作業では、MD方向で単一の複層を使用し、CD方向で2つの複層を使用した。フィルムが25℃の初期温度に達した後、上部の固定具を手動でわずかに上昇または降下させて−1.0gの軸力を得た。これは、試験の始めにフィルムの折込または過剰な延伸が生じないことを確かにするためであった。次いで試験を開始した。測定全体の間で一定の固定具間隙を維持した。
【0128】
温度勾配は、90℃/分の速度で、25℃から80℃で開始し、続いて20℃/分の速度で、80℃から160℃とした。80℃から160℃の勾配の間、フィルムが収縮するにつれて、力変換器によって測定された収縮力を、さらなる分析のために温度の関数として記録した。「ピーク力」と「収縮力ピークの開始前の基線値」との間の差を、フィルムの収縮力(F)と見なす。フィルムの収縮張力は、フィルムの収縮力(F)と初期断面積(A)との比である。
【0129】
MD収縮張力のため、3枚のフィルム試料を試験し、平均を報告した。
【0130】
CD収縮張力のため、3枚のフィルム試料を試験し、平均を報告した。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
A)高圧フリーラジカル重合プロセスによって形成され、以下の特性:
a)Mw(abs)対I2関係:Mw(abs)<A×[(I2)
B](式中、A=5.00×10
2(kg/モル)/(dg/分)
B、かつB=−0.40である)、及び
b)MS対I2関係:MS≧C×[(I2)
D](式中、C=13.5cN/(dg/分)
D、かつD=−0.55である)、
c)0.9超〜2.5g/10分の溶融指数(I2)、を含む、第1のエチレン系ポリマーと、
B)第2のエチレン系ポリマーと、を含み、
前記第2のエチレン系ポリマーが、0.1〜4.0g/10分の溶融指数(I2)を有する、組成物。
項2.
前記第1のエチレン系ポリマーが、第1のエチレン系ポリマー及び前記第2のエチレン系ポリマーの重量の合計に基づいて、「ゼロ超」〜30重量パーセントの量で存在する、項1に記載の前記組成物。
項3.
前記第2のエチレン系ポリマーが、エチレン/α−オレフィンインターポリマーである、項1または項2に記載の前記組成物。
項4.
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、不均質に分岐したエチレン/α−オレフィンインターポリマーである、項3に記載の前記組成物。
項5.
前記第1のエチレン系ポリマーが、10〜20cNの溶融強度(190℃)を有する、項1〜4のいずれか1項に記載の前記組成物。
項6.
前記第1のエチレン系ポリマーが、140Pa以上のG’(170℃)を有する、項1〜5のいずれか1項に記載の前記組成物。
項7.
前記第1のエチレン系ポリマーが、0.910〜0.940g/ccの密度を有する、項1〜6のいずれか1項に記載の前記組成物。
項8.
前記第1のエチレン系ポリマーがLDPEである、項1〜7のいずれか1項に記載の前記組成物。
項9.
前記第1のエチレン系ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、GPC(abs)によって決定されるとき、以下の関係:w<E×[(I2)
F](式中、E=0.110(dg/分)
−F、かつF=−0.38(GPC)である)を満たす、10
6g/モル超の分子量の重量分率(w)を有する、項1〜8のいずれか1項に記載の前記組成物。
項10.
前記第1のエチレン系ポリマーが、少なくとも1つの管型反応器を備える反応器構成において重合される、項1〜9のいずれか1項に記載の前記組成物。
項11.
前記組成物が吹込フィルムプロセスによってフィルムへと形成される場合、その最大生産速度が、同様の組成物であって、前記組成物が前記第1のエチレン系ポリマー及び前記第2のエチレン系ポリマーの合計重量に基づいて100重量%の前記第2のエチレン系ポリマーを含有することを除いて同様の組成物から形成される、同様のフィルムの最大生産速度よりも、少なくとも15パーセント大きい、項1〜10のいずれか1項に記載の前記組成物。
項12.
項1〜11のいずれか1項に記載の前記組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を備える、物品。
項13.
項1〜11のいずれか1項に記載の前記組成物から形成される少なくとも1つの層を備える、フィルム。
項14.
前記フィルムが、少なくとも2つの層を備える、項13に記載の前記フィルム。
項15.
前記フィルムが、5.00psi超のMD収縮張力を有する、項13または項14に記載の前記フィルム。
【0131】
実験
第1のエチレン系ポリマー
実施例IE1
3つの反応区画を有する管型反応器において重合を実行した。各反応区画において、加圧水を、反応器の外被全体にこの水を循環させることによって反応媒体を冷却及び/または加熱するために使用した。入口圧力は2100バールであり、管型反応器系全体での圧力低下は約300バールであった。各反応区画は1つの入口及び1つの出口を有した。各入口流は、前の反応区画からの出口流及び/または追加のエチレンが豊富な供給流からなった。エチレン中に微量(最大5モルppm)のアセチレンを許可する仕様書に従って、エチレンを供給した。
図1に示されるフロースキームに従って、未変換エチレン、及び反応器出口における他の気体状構成成分を、高圧及び低圧再循環系によって再循環させ、増圧器、一次、及びハイパー(二次)圧縮機系によって圧縮し分配した。有機過酸化物を各反応区画へと供給した(表1参照)。連鎖移動剤としてアセトンを使用し、これは、低圧及び高圧再循環流(13及び15)、ならびに新たに注入されるCTA補給流7及び/または補給流6から生じる各反応区画入口に存在した。2.0g/10分の溶融指数でポリマーを作製した。
【0132】
反応区画1における第1のピーク温度(最大温度)に達した後、加圧水を用いて反応媒体を冷却した。反応区画1の出口において、新鮮な冷たいエチレンが豊富な供給流(20)を注入することによって反応媒体をさらに冷却し、有機過酸化物を供給することによって反応を再開した。第2の反応区画の終わりでこのプロセスを繰り返して、第3の反応区画におけるさらなる重合を可能にした。約230〜250℃の溶融温度で「単軸」押出機系を使用して、ポリマーを押出し、ペレット化した(1g当たり約30個のペレット)。エチレンが豊富な供給流(9:20:21)と3つの反応区画との重量比は、1.00:0.77:0.23であった。R2及びR3値は、それぞれ2.22であった。R値は、国際公開第WO2013/059042号(2012年10月10日出願の国際特許出願PCT/米国第12/059469号)に従って算出される。Rn(n=反応区画番号、n>1)は、「第1の反応区画(RZ1)に供給される新鮮なエチレンの質量分率」と「n番目の反応区画(RZn)に供給される新鮮なエチレンの質量分率」との比であり、(Rn=RZ1/RZn)である。内部処理速度は、第1、第2、及び第3の反応区画に対して、それぞれおよそ12.5、9、及び11m/秒であった。この発明の実施例では、CTA補給流7及び6の重量比は1.1であった。追加の情報は表2及び3に見出すことができる。
【0133】
実施例IE2
一次圧縮機の両方の排出流(2及び3)を反応器の前供給流5に送ったことを除いて、上述のように3つの反応区画を有する管型反応器において重合を実行した。エチレンが豊富な供給流(9:20:21)と3つの反応区画との重量比は、1.00:0.75:0.25であった。1.5g/10分の溶融指数でポリマーを作製した。R2及びR3値はそれぞれ無限大(∞)に接近した。この発明の実施例では、CTA補給流7及び6の重量比は0.09であった。追加の情報は表2及び3に見出すことができる。CTAはプロピオンアルデヒド(PA)であった。
【0134】
要約すると、典型的には低いかまたはより低い溶融強度の構成成分と一緒になってフィルム組成物中のブレンド構成成分として好適な高溶融強度を有する管状樹脂を達成するためには、例えば、上述のように、重合条件を選択しバランスをとる必要がある。重要な加工パラメータは、最大重合温度、反応器入口圧力、変換レベル、ならびに連鎖移動剤の種類、レベル、及び分布を含む。
【0141】
表6は、
13C NMRによって測定されるときに1000C当たりの分岐を含む。これらのLDPEポリマーは、アミル、またはC5分岐を含有しており、これらは、両方ともThe Dow Chemical Companyによって生産されているAFFINITYポリオレフィンプラストマーなどの実質的に直鎖状のポリエチレン、またはDOWLEXポリエチレン樹脂などのZiegler−Natta触媒LLDPEには含有されていない。表6に示される各LDPE(IE1及びIE2)は、1000個の炭素原子当たり2.0以上のアミル基(分岐)を含有する。表7は、
1H NMRによる不飽和の結果を含む。
【0144】
配合物
異なるLDPE及び1つのLLDPE、LLDPE1(DOWLEX 2045G)を用いて、吹込フィルムを作製し、物理的特性を測定した。LLDPE1は、1.0の溶融指数(MIまたはI2)、及び0.920g/ccの密度を有した。LDPE及びLLDPE1の重量に基づいて、それぞれのLDPEが10重量%、20重量%、及び80重量%になるようにフィルムを作製した。
【0145】
MAGUIRE重量測定ブレンド器で各配合物を化合した。ポリマー加工助剤(PPA)であるDYNAMAR FX−5920Aを各配合物に添加した。配合物の総重量に基づいて、マスターバッチの1重量%でPPAを添加した。PPAマスターバッチ(INGENIA AC−01−01、Ingenia Polymersから入手可能)は、ポリエチレン担体中に8重量%のDYNAMAR FX−5920Aを含有した。これはポリマー中800ppmのPPAに相当する。
【0146】
LLDPE1も、最大生産量で作製されたフィルム中のLLDPEとして使用した。90重量%のDOWLEX 2045G及び10重量%のLDPE、ならびに80重量%のDOWLEX 2045G及び20重量%のLDPEを用いて作製されたフィルムについて、最大生産量を決定した。
【0147】
吹込フィルムの生産
ポリエチレン「Davis標準バリアIIスクリュー」を用いて「8インチ打型」上で単層吹込フィルムを作製した。空冷環による外部冷却及び内部通気冷却を使用した。各吹込フィルムを生産するために使用された一般的な吹込フィルムパラメータを表8に示す。温度は、ペレットホッパー(バレル1)に最も近く、ポリマーが打型を通して押出されるにつれて増加する順の温度である。標準速度のフィルムを250lb/時間で流した。
【0149】
吹込フィルムの最大生産速度の決定のためのフィルムの生産
制御速度及び最大速度でフィルム試料を作製した。制御速度は250lb/時間であり、これは10.0lb/時間/打型円周のインチの比生産速度に等しい。最大生産量試験のために使用した打型直径は8インチ打型であり、例として、制御速度の場合、「lb/時間」と「lb/時間/打型円周のインチ」との間の変換が以下に示されている。同様に、「lb/時間/打型円周のインチ」を決定するために以下の等式中の最大速度を置換することによって、最大速度などの他の速度にかかる等式を使用することができる。
比生産量=(250Lb/時間)/(8インチ*π)=10Lb/時間/打型円周のインチ
【0150】
気泡安定性が制限要因になる時点まで生産速度を上昇させることによって、所定の試料の最大生産速度を決定した。両方の試料について押出機プロファイル(標準速度及び最大速度)を維持したが、より高いモーター速度(rpm、毎分回転数)を伴う上昇したせん断速度に起因して、最大速度の試料の溶融温度はより高かった。気泡が空冷環中で静止して留まることのない状態に至らせることによって、最大生産速度での気泡安定性を決定した。その時点で、空冷環中で気泡が再度静止する状態まで速度を低下させ(最大生産速度)、次いで試料を収集した。空冷環を調節し、気泡を維持することによって気泡の冷却を調節した。このプロセスは、気泡安定性を維持しながら最大生産速度を決定した。
【0151】
フィルムの結果を表9〜13に要約する。表9は、標準速度でのフィルムの結果を示し、フィルム番号1が100%LLDPE1であり、フィルム番号2〜7が90%LLDPE1/10%LDPEである。10%のIE2を含有するフィルム番号2は、低い総ヘイズ及び内部ヘイズ、高い穿刺、高い割線弾性係数、ならびに高いMD収縮張力の利点を示す。これらの特性は、良好な光学特性、機械特性、及び収縮特性という望ましい特性を有する様々なフィルムに重要である。このLDPEは、良好な機械特性を依然として保持しながら、ダウンゲージング、すなわちフィルム厚の低下の潜在性を可能にする。
【0152】
表10は、最大速度でのフィルムの結果を示し、フィルム番号8は100%LLDPE1であり、フィルム番号9〜14は90%LLDPE1/10%LDPEである。この表は、IE2の非常に重要な利点である、低いレベル(10%)においてでさえもLLDPEに添加されたときの吹込フィルム生産量の改善を示す。10%LDPEでは、IE2は、表10に示される他のLDPEのいずれか、実に大幅に低い溶融指数を有するもの(AGILITY 1001)、及びLDPE 621Iなどの広い分子量分布のオートクレーブ樹脂よりも高い吹込フィルム生産量を有する。所定のLDPEに対する最大生産量の増加%は表10に示され、これは以下のように算出された。
参照LDPEと比較したときのIE2に起因する生産量の増加%=(IE2を有する最大生産量ブレンド−参照LDPEを有する最大生産量ブレンド)×100。
【0153】
参照LDPEを有する最大生産量ブレンド
これらのまさに実質的な4〜11%の差異は今までになく、より大きな吹込フィルムライン上で、見込みのあるさらなる分化、及び吹込フィルムが生産され得る速度の大きな増加につながり、生産者にとってのコスト削減の起因となるであろう。さらに、良好な光学特性、穿刺、弾性率、及び収縮張力という主要なフィルム特性利点が維持される。
【0154】
表11は、標準速度で作製された80%LLDPE1/20%LDPEのフィルム番号15〜20のLLDPE1に添加された20%LDPEの結果を含み、表12は、最大速度で作製されたフィルム80%LLDPE1/20%LDPEのLLDPE1に添加された20%LDPEの結果を含む。これらの結果は、高い収縮張力及び高い吹込フィルム生産速度に特に重点を置いて、概して良好なフィルム特性を示す。このグレードのMD収縮張力は、標準速度において、大幅に低い溶融指数(0.64)の樹脂(AGILITY 1001)のものと同様であり、他のLDPEを含む他のブレンド物よりも高い。最大生産量において、収縮張力結果はさらにより分化されており、他のフィルムのいずれよりも大幅に高くなっている。表12中の最大生産量は、オートクレーブ樹脂及びより低い溶融指数の樹脂を含む他のLDPEに見られるものよりも11〜19%高く、20%LDPEレベルで非常に新しいものである。かかる大きな生産量増加は、変換器に非常に望ましく、大幅に高い生産速度を可能にするであろう。
【0155】
表13は、標準速度で作製された20%LLDPE1/80%LDPEであるLDPEが豊富なフィルム番号27〜32の結果を示す。これらの結果は、非常に高い収縮張力に加えて良好なフィルム特性を示す。20%LLDPE1/80%LDPEフィルムについて最大速度は使用されなかったが、10%LDPE及び20%LDPEの結果に基づいて、このLDPEのレベルにおける生産にIE2が同様に有利であると予想される。
【0156】
図2は、0%、10%、及び20%LDPEにおけるLLDPE1中の異なるLDPEについての最大生産量、ならびに他のLDPEすべてと比較したときのIE2の分化及び利点を示す。
図3は、0%、10%、及び20%LDPEにおけるLLDPE1中の異なるLDPEについての最大生産量で作製されたフィルムのMD収縮張力、ならびに他のLDPEすべてと比較したときのIE2の分化及び利点を示す。