特許第6374967号(P6374967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374967
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】多孔質基材における核酸増幅の検出
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6844 20180101AFI20180806BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   C12Q1/6844 Z
   C12M1/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-535465(P2016-535465)
(86)(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公表番号】特表2016-533746(P2016-533746A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】EP2014067685
(87)【国際公開番号】WO2015024948
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年8月14日
(31)【優先権主張番号】13/970,315
(32)【優先日】2013年8月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ファインハウト,エリン・ジーン
(72)【発明者】
【氏名】プレオ,クリストファー・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レニック,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ジョン
【審査官】 平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−500820(JP,A)
【文献】 特表2002−532059(JP,A)
【文献】 特表2006−524993(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0221718(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0039261(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0280285(US,A1)
【文献】 特表2009−528037(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/025264(WO,A1)
【文献】 米国特許第05958698(US,A)
【文献】 Dudek, M., et al.,Development of a Point of Care Lateral Flow Device for Measuring Human Plasma Fibrinogen,Analytical Chemistry,2010年,Vol.82, No.5,pp.2029-2035
【文献】 Chen, D., et al.,An integrated, self-contained microfluidic cassette for isolation, amplification, and detection of nucleic acids,Biomedical Microdevices,2010年,Vol.12, No.4,pp.705-719
【文献】 Sood, A., et al.,Terminal Phosphate-Labeled Nucleotides with Improved Substrate Properties for Homogeneous Nucleic Acid Assays,Journal of the American Chemical Society,2005年,Vol.127, No.8,pp.2394-2395
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00− 3/00
C12M 1/00− 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸の増幅を評価する方法であって、
複数の増幅試薬が多孔質基材全体に分布した多孔質基材を用意する工程と、
核酸を含む試料を多孔質基材の所定の初期位置に塗布する工程と、
試料を多孔質基材上の増幅試薬と所定時間反応させて関心核酸配列の増幅産物を生成する工程であって、幅時に増幅産物が生成したときにシグナルを与えるように構成された1以上の検出可能な部分を増幅産物が含んでいる、工程と、
基材でのシグナルの経時的進展に基づいて、試料の初期濃度を決定する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、初期濃度を決定する工程が、
a)所定時間の終わりの増幅産物から検出されたシグナルの最も遠い位置を決定することを含んでいて、最も遠い位置が所定の初期位置に対して検討され、検出されたシグナルが閾値を超える、或いは
b)初期濃度を決定する工程が、増幅産物から検出されたシグナルが、初期位置に対する所定の距離で閾値を超える時間を求めることを含む、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、多孔質基材が、
a)初期位置に対応する印刷マーカー及び初期位置からの異なる距離に対応する複数の印刷マーカーを含んでいるか、
b)液体で飽和されているか、
c)不均一なポロシティを有しているか、或いは
d)ポロシティが1の開孔チャネルを含んでいる、
方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、増幅試薬が
a)等温核酸増幅試薬
b)DNAポリメラーゼ及び1以上の核酸プライマー、又は
c)RNAポリメラーゼ
を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
a)検出されたシグナルが初期位置からの最小距離に達しない場合に、試料が閾値量の関心配列を含んでいないと決定することを含んでいるか、
b)試料中の目標物の初期濃度を求める工程が、増幅試薬中の1以上のプライマーと相補的な関心配列の核酸配列の出発コピー数を求めることを含んでいるか、
c)試料の初期濃度に基づいて試料を採取した患者の臨床的特徴を決定することを含んでいて、臨床的特徴が関心核酸配列の有無に関連し、増幅試薬が関心核酸配列と相補的な1以上のプライマーを含んでいるか、或いは
d)増幅時に基材中を液体が移動するか、又は多孔質基材を用意する工程が増幅試薬を単一溶液中の多孔質基材に塗布することを含む、
方法。
【請求項6】
多孔質基材を加熱して1以上の増幅試薬を活性化させることを含んでおり、適宜、加熱が等温温度までである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、シグナルが、
a)視認できるシグナル及び/又は蛍光シグナルを含んでいるか、
b)電気化学的シグナル又はpH変化を含んでいるか、
c)色素の放出によって生成するか、或いは
d)アンプリコン、H+又はピロリン酸塩の1以上によって生成する、
方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
a)初期位置からの設定距離でのシグナル強度が、試料中の目標アナライトの出発量と相関するか、或いは
b)初期位置からの設定距離でのシグナルの有無を用いて、試料中の目標アナライトの出発量を計算する、
方法。
【請求項9】
増幅システムであって、当該システムが、
多孔質基材と、
増幅時に検出可能な部分を与えるように構成され、基材全体に分布したシグナル分子、及び目標核酸配列と相補的な1以上のプライマーを含む複数の増幅試薬と、
多孔質基材の複数の位置で部分を検出し、複数の位置の各々で検出されたシグナルに関する出力を与えるように構成された検出器と。
出力を受信して、シグナルが閾値を超える多孔質基材の試料塗布点から最も遠い距離又は多孔質基材の試料塗布点から所定の距離でシグナルが閾値を超える時間に基づいて、多孔質基材に塗布された目標核酸配列の初期濃度を決定するように構成されたプロセッサと
を備えており、プロセッサが、適宜、経時的に、反応速度の曲線フィッティングに基づいて初期濃度の品質基準を決定するように構成されている、システム。
【請求項10】
複数の増幅試薬が多孔質基材全体に分布した多孔質基材を用意する工程であって、増幅試薬が、増幅時にシグナルを与えるように構成された1以上のシグナル分子、及び目標核酸配列と相補的な1以上のプライマー、及び目標核酸配列の既知出発コピー数を含む試料を多孔質基材の初期位置に含んでいる、工程と、
シグナルが複数の時点で閾値を超える、初期位置から最も遠い距離を決定する工程と
を含む方法であって、適宜、第2の試料が既知出発コピー数の試料を有していたか否かを決定するために複数の時点での最も遠い距離を用いる、方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、多孔質基材における核酸増幅に関する。
【背景技術】
【0002】
介護者は、患者が特定の臨床状態であるか否かを判定するために診断テストを使用することがある。そのようなテストは、患者試料(例えば、血液又は尿)を、タンパク質又は小分子などの1以上のマーカーの存在について検査することにより実施されることができ、それらの複雑さに応じて、専用の試験所又はポイントオブケアで、例えば、医院又はフィールドでテストを実施することができる。しかし、ある状況では、診断テストは、特定の核酸配列、患者自身の遺伝物質中の配列か又は病原体感染に関連する配列の存在についてのテストであることがある。タンパク質又は小分子マーカーと比較して、与えられた核酸配列は、与えられた生体試料中に比較的低い濃度で存在していることがある。したがって、関心核酸配列の存在又は濃度を評価するための多くの技術は、目的の配列を増幅することによって試料を富化する増幅技術に頼る。例えば、核酸テストは、PCRに基づく増幅技術によって実施することができる。その技術は比較的複雑であり、一般的に専用装置を用いて熟練した技術者によって実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/080817号
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、核酸の増幅を評価する方法が提供される。本方法は、複数の増幅試薬が多孔質基材全体に分布した多孔質基材を用意する工程と、核酸を含む試料を多孔質基材上の所定の初期位置に塗布する工程と、試料を多孔質基材上の増幅試薬と所定時間反応させて関心核酸配列の増幅産物を生成する工程であって、増幅時に増幅産物が生成したときにシグナルを与えるように構成された1以上の検出可能な部分を増幅産物が含んでいる工程と、基材でのシグナルの経時的進展に基づいて、試料の初期濃度を決定する工程とを含む。
【0005】
別の実施形態では、増幅システムは、多孔質基材と、増幅時に検出可能な部分を与えるように構成され、基材全体に分布したシグナル分子及び目標核酸配列と相補的な1以上のプライマーを含む複数の増幅試薬と、多孔質基材の複数の位置で該部分を検出し、複数の位置の各々で検出されたシグナルに関する出力を与えるように構成された検出器と、該出力を受信して、シグナルが閾値を超える多孔質基材の試料塗布点から最も遠い距離又は多孔質基材の試料塗布点から所定の距離でシグナルが閾値を超える時間に基づいて、多孔質基材に塗布された目標核酸配列の初期濃度を決定するように構成されたプロセッサとを備える。
【0006】
別の実施形態では、本方法は、複数の増幅試薬が多孔質基材全体に分布した多孔質基材を用意する工程であって、増幅試薬は、増幅時にシグナルを与えるように構成された1以上のシグナル分子、及び目標核酸配列と相補的な1以上のプライマー、及び目標核酸配列の既知出発コピー数を含む試料を多孔質基材の初期位置に含む工程と、複数の時点でシグナルが閾値を超える、初期位置から最も遠い距離を決定する工程とを含む。
【0007】
本開示のこれら及びその他の特徴、態様、及び利点は、図面全体を通して同様の文字が同様の部分を表す、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むとより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態による多孔質基材を用いる核酸増幅の模式図を示す図である。
図2】本開示の実施形態による多孔質基材を示す図である。
図3】本開示の実施形態による試料塗布部位から発する増幅産物の前面の模式図を示す図である。
図4】本開示の実施形態による増幅された試料を評価する方法の流れ図を示す図である。
図5】反応の最前部の動きと初期濃度との間の関係を表す図である。
図6】本開示の実施形態による増幅キットの模式図を示す図である。
図7】本開示の実施形態による増幅反応によって生成されたシグナルの模式図を示す図である。
図8】本開示の実施形態による初期試料位置から様々な距離に閾値マーカーを含む多孔質基材を示す図である。
図9】異なる出発物質濃度に対する増幅産物の距離間の代表的な比較を示す図である。
図10】多孔質基材上及び溶液中での、異なる反応時間で増幅されたゲノムDNAの検出されたシグナルと様々な出発濃度の比較を示す図である。
図11】異なる出発コピー数について、多孔質基材上での時間に対する増幅産物の距離の代表的なプロットを示す図である。
図12】多孔質基材上での増幅フロントの2Dシミュレーションデータを示す図である。
図13】本開示の実施形態による多孔質基材を較正するための技術の流れ図を示す図である。
図14】本開示の実施形態による増幅システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ポイントオブケアプラットフォームを設計、販売及び使用する人々に、ペーパー診断法に対する関心が高まっている。そのような診断法は、低コストで、携帯式で、使いやすいものでありうる。例えば、ペーパー診断法は、タンパク質又は小分子を検出するために使用されている。核酸増幅のためのペーパー診断技術の実行はそれよりも複雑である。ある特定の技術は、別個である増幅産物のエンドポイント検出を除いて、例えば、増幅された材料を捕獲ラインの上に流すことによる、ペーパープラットフォームによる増幅を含むことがある。したがって、そのような技術は、タンパク質検出に使用されるペーパー診断法と比較して、より多くのステップ及びユーザー努力を含む。さらに、ある特定の技術は、経時的な相対強度の変化を測定し、それは大きな範囲の定量化を実現するために広いダイナミックレンジを備えた検出器を必要とする。ここに提供されるのは、紙又は多孔性の固体基板を用いて生体試料でリアルタイムに核酸を増幅及び検出するために使用することのできる技術である。開示される実施形態は、生体試料中の関心核酸配列の存在を検出するために使用されることができる。さらに、ある特定の実施形態では、試料中の出発配列の量は、経時的に多孔質基材において検出された、増幅産物による移動距離に基づいて定量化されることができる。別の実施形態では、増幅産物の定量化基準(例えば、時間に対する速度、最大反応速度)が品質管理として使用されうる。前述のように、単一基材における増幅及び検出を提供することにより、本技術は、検出の前に基材から増幅産物を取り除くステップを除去する。したがって、提供されるような多孔質基材による増幅及び検出は、より迅速でより簡便であり、したがって、ポイントオブケアで実施されることができるか、又は専用の試験所でワークフローを改善することができる。さらに、シグナルが閾値を超える時に測定するだけで、本技術は、狭いダイナミックレンジを備えた検出器を用いることにより、広いダイナミックレンジの定量化を実現することができる。
【0010】
開示される実施形態は、通常、核酸の状況において開示されるが、本明細書に記載されるようにその他の自己増幅成分が検査されることもできることは当然理解される。さらに、本明細書に開示される核酸には、DNA又はRNAが含まれてよく、精製された核酸、核酸を含む未処理の生物学的流体又は部分的に処理された生物学的流体又は試料、細菌試料、病原体試料、環境試料などの形態であってよい。「試料」又は「生体試料」には、被験体から得た生体組織又は生体液を始めとする生物学的被験体から採取した試料が含まれてよい。そのような試料は、限定されるものではないが、任意の生物系、例えば哺乳動物などから単離されたか又はそれに位置する体液(例えば、血液、血漿、血清、又は尿)、器官、組織、生検、断片、及び細胞でありうる。また、生体試料には、組織を始めとする生体試料の切片(例えば、器官又は組織の断面部分)も含まれてよい。また、生体試料には、生体試料からの抽出物、例えば、生物学的流体(例えば、血液又は尿)から精製された核酸も含まれてよい。試料には未処理の体液も含まれてよい。一実施形態では、未処理の体液を何も処理せずに直接多孔質基材の上に塗布することが想定される。その上、本技術は、法医学試料又はセキュリティスクリーニング試料を始めとする環境試料中の目的の核酸の存在を評価するために使用されてもよい。一実施形態では、本技術は、特定の環境(例えば、濾過系、配管系)が1以上の病原体で汚染されているか否かを決定するために使用することができる。
【0011】
そのために、図1は、固体の増幅基材、例えば、多孔質基材とともに使用される定量的増幅技術を表した図である。パネル8に示されるように、多孔質基材10は、ラテラルフローストリップの形態で提供されうる。DNAを含有する試料(又はその他の核酸試料)が位置12に塗布されると、増幅が始まる。増幅時、パネル20に示されるように、増幅された核酸生成物は矢印16に沿って流動し、適当な時点で複数の位置(例えば、位置22、24、及び26)で検出されうる。増幅産物及び反応時間に関連する検出シグナルの大きさに基づいて、出発コピー数を評価することができる。核酸に関して、目的の配列の出発コピー数は、特定の疾患又は臨床状態にさらに関連していることがある。例えば、所定の閾値を超える推定出発コピー数は、細菌又はウイルス感染、癌診断、法医学又は遺伝子型判定評価における目的のバイオマーカー又は配列の存在などに関係することがある。その他の実施形態では、所定の閾値を超える推定出発コピー数は、環境試料がきれいであるか又は汚染されているかを判断するために使用することができる(例えば、1以上の細菌型のゼロ以外又は閾値の出発コピー数の存在は、汚染を示すことがある)。さらに別の実施形態では、所定の閾値を超える推定出発コピー数を用いて食物試料が正確に同定され、かつ/又は汚染されているか否かを判断することができる。例えば、特定の遺伝子の存在(ゼロ以外又は閾値の出発コピー数によって同定される)を用いて試料に関係する種を決定することができる。
【0012】
一実施形態では、検出された増幅シグナルは、検出されたシグナルを、既知の試料量についての距離と対比させたサイクル閾値と相関させることによって出発コピー数と相互に関連づけることができる。サイクル閾値(Ct)は、検出されたシグナルが予め定義された閾値と交差するために必要とされる増幅サイクルの数である。或いは、等温増幅には、検出されたシグナルが予め定義された閾値と交差するために必要とされる時間である。Ctは、試料中の目標核酸の量に反比例する。プロット32は、時点22についてのCtプロットの一例である。プロット42は、ストリップ46に沿った距離に対するCt44のプロットである。プロットされた線48、50、及び52の各々は、特定の出発コピー数に相関する。一実施形態では、未知の出発コピー数をもつ試料は、本発明において提供されるように評価されることができる。検出されたシグナルは、シグナルが所定の閾値を交差する多孔質基材10上の距離を用いてプロットされ、基準試料に相関するデータへの当てはめに基づいてよい。検出されたシグナルはまた、シグナルが多孔質基材10上の所定の距離で所定の閾値を交差する時間を用いてプロットされ、傾き及び基準試料に相関するデータへの当てはめに基づいてもよい。さらに、プロットには、多孔質基材10に沿ったいくつかの位置で検出されたシグナルを含めることもできる。
【0013】
図2は、長方形のストリップの形態の多孔質基材10の実行の図である。しかし、多孔質基材10が、多孔質基材10に沿って増幅を促進するためのどんな適した大きさ及び形状でも実行されうることは当然理解される。例えば、多孔質基材10は、1本の軸に沿って、又は複数の軸に沿って(例えば、星形状に)流れを評価するために実行されてよい。多孔質基材10は、紙(例えば、ワットマン濾紙)、セルロース、多孔性ポリマーシート、ガラスファイバー、石英ファイバー、ニトロセルロース膜などを始めとする適切な固体多孔質材料から形成されてよい。一実施形態では、孔径は、望ましい増幅産物の予測されるサイズに基づいて選択されてよい。例えば、孔径は1〜3μmであってよい。さらに、特定の実施形態では、多孔質基材10は、中性から負に帯電した核酸である材料から形成されてもよい。つまり、材料は、増幅核酸が多孔質基材10の材料と結合しないか又はそれとあまり相互作用しないように選択されてよい。別の実施形態では、ポロシティは、総容積に対する空隙容積の割合(例えば、0.1〜1、又は0.25〜1)によって特徴づけることができ、ポロシティ1は開孔チャネルである。したがって、多孔質基材10には、ポロシティの異なる領域をもつ材料並びに開孔チャネルを含む材料が含まれてよい。
【0014】
多孔質基材10には、多孔質基材10にくまなく分布した増幅試薬60が含まれる。試料が初期位置64(印刷されたか、そうでなければ多孔質基材10上に示されたインデックス又はマーカーによって明示されうる)に塗布されると、反応は外側に広がり、進行する時に試薬を消費する。図3は、そのような反応の進行の模式図である。試料70は、塗布部位(例えば、初期位置64)から矢印72に沿って外側に増幅産物を生成する。時間とともに、第1の波面74が生じ、塗布点から拡散し続ける。反応の間、dNTP及びプライマーが消費される一方で、DNA産物、H+イオン、ピロリン酸塩及び色素(存在する場合)が放出されることがある。
【0015】
多孔質基材10が細長いストリップであり、初期位置64が該ストリップの端部の近くに位置する実施形態では、増幅産物は、反応が開始して間もなく多くの方向で多孔質基材10の端部に達し、初期時からしばらくした後、ストリップの最も長い軸に沿った正味の拡散だけをする。そのような実行は、増幅産物を単一方向に濃縮する点で有利でありうる。しかし、多方面に広がる増幅反応の能力が、さらなるデータポイントを得るためにも利用されることがあることは当然理解される。したがって、その他の実施形態では、初期位置64は多孔質基材10の中心に位置してよく、それは次に初期位置64から外側に広がって円又はその他の形状を形成することがある。その上、多孔質基材10は、単一基材上の複数の異なる試料を検査するために実行されてよい。そのような実施形態では、多孔質基材10には任意の数の初期位置64が含まれてよく、それは複数の反応最前部の混合を避けるために互いに間隔が置かれていてよい。
【0016】
図4は、多孔質基材10を用いる増幅を評価する方法80の流れ図である。試料が多孔質基材10に塗布されると、増幅反応は、核酸が適切な試薬と接触する時に、そして、ある特定の実施形態では、その他の適切な環境条件(例えば、特定の試薬の活性化温度)が存在する場合に開始する。ステップ84で反応を適当な時間進行させ、1以上の選択された時点で、増幅させた試料をステップ86の増幅反応により生成されたシグナルの位置に基づいて評価する。系からの出力を測定するには、距離までの時間及び時間での距離を始めとする複数の方法がある。1番目では、距離を設定し、時間を測定する。2番目では、時間を設定し、距離を測定する。
【0017】
図5のプロットに示されるように、反応最前部の設定時間と増幅産物の生成との間の距離は、目的の配列の初期出発コピー数に関連する。多孔質基材10は通常、湿潤しているか又は液体で飽和されている状態で提供されるので、反応最前部の動きは乾燥基材の中のウィッキング又は毛細管作用の動きではなく、その代わりに増幅産物の拡散である。拡散の率は主に新しい増幅産物の古い増幅産物からの継続的生成によって推進される。そのため、多孔質基材10の中の反応生成物の動きは反応−拡散であり、単に拡散ではない。つまり、動きは反応拡散によって推進されるので、反応最前部の速度は出発濃度に依存しない。出発濃度は、速度フロントが動き始めるまでの「ラグタイム」を決定する。これは、速さが出発濃度に依存する単純な拡散とは異なる。したがって、経時的な距離の傾きは、単純に濃度に比例しない。しかし、既知の出発コピー数をもつ試料を評価して、多孔質基材10における反応についての、特徴的な、距離までの反応時間又は時間あたりの距離を決定することができる。さらに、増幅試薬は、通常、多孔質基材全体にわたって、そして限定されない濃度で均一に分布して、増幅産物の数が増加する時に試薬ボトルネックなしに反応を進行させる。
【0018】
多孔質基材10は、図6に示される増幅キット90に増幅試薬60とともに又はそれを含まずに提供されてよい。増幅試薬60には、1以上のプライマー92、すなわち、目的の標的配列と相補的であり、かつ/又は目的の標的配列とハイブリダイズすることのできるオリゴヌクレオチドが含まれてよい。目的の配列には、特定の病原体又は特定の疾患に関連する配列が含まれてよい。さらに、プライマーには、単一の望ましい配列の異なる領域と相補的な複数のプライマーが含まれてよい。増幅試薬60には、1以上のポリメラーゼ94及びヌクレオチド96並びに1以上の適切な緩衝液98も含まれてよい。増幅試薬60は、特定の増幅技術(例えば、ループ媒介等温増幅、鎖置換増幅、ヘリカーゼ依存性増幅、ニッキング酵素増幅反応)と併せて作用するよう選択されてよい。例えば、ループ媒介増幅では、標的配列の6−8領域とハイブリダイズする4−6プライマーが使用される。
【0019】
一実施形態では、多孔質基材10は、基材の本体にくまなく分布した増幅試薬60とともに提供されてよい。例えば、多孔質基材10は、使用前に取り外される包装又は貯蔵中の増幅試薬60の蒸発を防ぐ被膜で封入されていてよい。別の実施形態では、そのような被膜は、試料の適用を許容する開孔部を除いて多孔質基材を覆ってよい。例えば、開孔部は、使用者が試料を塗布することを許容するために取り除かれる、除去可能な剥離ライナーによって覆われてよい。さらに、そのような被膜は光学的に透明であるか、そうでなければ増幅産物により生成されたシグナルに透過性であることが想定される。別の実施形態では、多孔質基材10は、多孔質基材10上の乾燥した増幅試薬とともに提供されてよい。エンドユーザーは、多孔質基材10を適切な緩衝液に浸すことによって使用前に多孔質基材10を湿らせてよい。
【0020】
別の実施形態では、多孔質基材10は、エンドユーザーが多孔質基材10に塗布してよい別々の増幅試薬60とともに提供されてよい。そのような実施形態では、多孔質基材10は、増幅試薬60の均一な塗布を妨害することのある封入被膜を含まずに提供されてよい。多孔質基材10全体にわたる増幅試薬60の均一な分布を促進するために、増幅試薬60は、別々に適用されるよりも、多孔質基材10への適用の前に単一の溶液100中で最初に一緒に混合されてよい。増幅試薬60は、別々の成分として、又は増幅キット90の部品として前もって混合した溶液100として提供されてよい。
【0021】
エンドユーザーが特定の標的配列を検査するための多孔質基材10を望む一部の適用では、プライマー92は、増幅キット90の部品として提供されてよい。つまり、増幅キット90は、特定の標的配列ののプライマー92を始めとする全ての増幅試薬を備えていてよい。エンドユーザーは、特定の疾患又は臨床状態に対応する増幅キット90を購入することができる。その他の適用では、プライマー92は、別々に提供されてもよいし、エンドユーザーによって提供されてもよい。例えば、多孔質基材10は、エンドユーザーの望むいずれの標的配列も評価するために使用されてよいことが想定される。そのために、エンドユーザーは、多孔質基材への適用に適したプライマーセットを選択することができる。そのような実施形態では、エンドユーザーは、次に、その他の増幅試薬60とともに所望のプライマー92を多孔質基材に塗布することができる。
【0022】
反応の増幅産物は、増幅によって生成された検出可能部分からのシグナルを測定することによって検出することができる。例えば、検出は、反応生成物の1つの濃度を直接に測定すること(例えば、アンプリコン、H+、ピロリン酸塩など)又は増幅されたDNAの中に組み込まれてヌクレオチドから放出された何か(色素など)を測定することを必要としうる。この情報を用いて反応/拡散勾配最前部の動きを追跡することができる。したがって、増幅試薬60には、1以上の検出技術(例えば、分光測定、熱量測定、分光法、外観検査、又は任意のその他の検出方法)を用いて検出可能なシグナルを得ることのできる1以上の適切なシグナル分子が含まれてよい。検出可能なシグナルの適した例としては、視認できるシグナル、光学シグナル、電気シグナル、電気化学的シグナル、又は放射性シグナルを挙げることができる。図7に示される一実施形態では、DDAO標識されたデオキシヌクレオシド四リン酸塩(dNTP)が、増幅の定量的測定を実施するために利用される。一実施形態では、そのようなヌクレオチド基材は、放射標識されるか、或いは何らかの他の種類の標識又は色素、放射性同位元素、蛍光分子、リン光分子、酵素、抗体、プローブ、染色剤、及びリガンドをそれに付着させている。増幅させたDNAに組み込むことのできる検出標識の例としては、ビオチンで、又はジゴキシゲニンなどの適したハプテンで修飾したヌクレオチド類似体及びヌクレオチドが挙げられる。提供されるヌクレオチド94の1以上が標識されていることがあることは当然理解される。具体例では、図7に示されるように、ヌクレオチド94は、色素などのシグナル分子で標識されてよい。ヌクレオチド94を増幅産物に組み込む場合、色素をヌクレオチドから放出させて、色素で標識された三リン酸を得、それを次にホスファターゼとの反応の後に遊離させて、遊離した色素を得る。色素は、ひとたび遊離すると、色素の特徴に応じて(例えば、光学技術、可視技術、及び/又は電気技術によって)検出することができる。具体的な実施形態では、シグナル分子は、ピロリン酸検出、H+、インターカレーティング電気化学的プローブ、酸化還元活性色素、ピロリン酸塩、インターカレーティング色素、又はヌクレオチド色素の電気化学的検出によって評価することができる。
【0023】
開示される実施形態と併せて使用することのできるシグナル分子の例としては、例えば、発色団、フルオロフォア、ラマン活性タグ、放射性標識、酵素、酵素基質、又はそれらの組合せが挙げられる。上に述べたように、ヌクレオチドに関して、シグナル分子及びヌクレオチド94は、単一の実体に存在してよい(例えば、蛍光標識又は放射標識をもつ標的結合タンパク質)。その他の実施形態では、ヌクレオチド94及びシグナル分子は、多孔質基材10への導入の前又は導入時に互いに会合する別個の実体である。シグナル分子は、エネルギー源又は電流、例えば電磁線源又は蛍光励起源などとの相互作用の後に、特徴的なシグナルを提供することができる。電磁放射線源は、可視線、赤外線、及び紫外線を始めとする任意の波長の電磁エネルギーを提供することが可能でありうる。電磁放射線は、直接的な光源の形態であってもよいし、ドナーフルオロフォアなどの発光性化合物によって発せられてもよい。蛍光励起源は、源に蛍光を発させる能力があることがあるか、又はフォトニック発光(つまり、電磁線、誘導された電場、温度、物理的接触、又は機械的破壊)を引き起こすことがある。適したシグナル発生器は、光学測定(例えば、蛍光)、電気化学的シグナル、導電率、又は放射能を始めとする多様な方法によって検出されることの可能なシグナルを提供することができる。適したシグナル分子は、例えば、発光性、エネルギー受容性、蛍光発光性、放射性、酸化還元活性、又は消光性であってよい。
【0024】
図8は、軸に沿って、そして初期位置64から間隔の置かれた複数の評価位置110を含む多孔質基材10の一例である。位置110は、予め印刷されたマーカーで示されていてよい。評価が比色分析である実施形態では、白色の位置112は、閾値よりも低い増幅に相当し、一方、濃色の位置114は閾値よりも高いレベルに相当する。
【0025】
図9は、各々が異なる量の出発物質を含む、2つのかかる多孔質基材10を用いる評価を示す。より低い出発物質濃度に関して、テスト116は、3つの濃色のマーカー位置120と6つの白色の位置122を示す。より高い濃度のテスト118に関して、同じ時間(すなわち、時間x)の後、8つの位置124が濃色である一方、1つの位置126が白色である。テストが比色分析であるか、そうでなければ視認できる(例えば、蛍光灯下)実施形態では、時間xでの濃色及び白色の位置の数は、特定の出発濃度と相関することがある。そのような実施形態では、増幅キット90は、濃色/白色位置110の全ての可能性のある組合せで時点xで推定される濃度を示すための比較グラフ及び表を備えていてよい。したがって、多孔質基材10は、特定の標的配列の存在だけでなく、推定量、すなわち初期試料中の核酸の定量的評価の迅速で使いやすい評価を提供することができる。さらに、そのような技術は、自動検出で実行されてもよい。
【0026】
強度を経時的にモニターする代わりに、異なる点でのシグナルが閾値を超える時に測定することにより、広いダイナミックレンジをもたないシグナル分子/検出器を使用してさえも、広いダイナミックレンジの定量化が許容される。つまり、距離及び時間の変数を導入して出発点から様々な距離の「Ct」値を決定することにより、システムのダイナミックレンジが拡大される。さらに、検出器はバイナリであり、どちらかと言えばテスト事例ごとに較正されなければならない。特に、検出器のダイナミックレンジは、検出器自体の固有の範囲よりもむしろ検出点の数及びそれらの離れた距離によって決定される。このように、範囲がバイナリの検出器でさえ、距離及び時間情報と併せて用いて、広いダイナミックレンジをもたらすように構成することができる。
【0027】
図10は、溶液に基づく技術に対する、多孔質基材10で形成した勾配間の比較を示す。様々な濃度のゲノムDNAを、様々な濃度及び複数の時点で評価した。勾配は、経時的に特定の濃度について検出されたスポットのサイズを比較する時に紙基材に形成されるが、溶液に基づく技術はそのような勾配を形成しない。例えば、22ngの試料について、勾配は該時点で増大し続け、不均一な勾配が形成されることを示す。一実施形態では、望ましいテストは、勾配が形成される濃度範囲及び時点を決定することによって較正されることができる。
【0028】
別の例では、その表面を予めバクトペプトンでブロックした、乾燥したセルロース基材で実験を実施した。基材を、DNA増幅のための増幅試薬ミックス(Biohelix製IsoAmp III Universal tHDAキット)で飽和させた。ミックスには、DNA鋳型を除く全ての成分(酵素、緩衝液、ヌクレオチド、プライマーなど)が含まれた。プライマーは、結核菌(TB)鋳型用に設計された。精製したTB DNAを位置0に添加した。2つの異なるDNA量:5ng又は500pgを使用した。
【0029】
基材を65℃で様々な時間インキュベートした。インキュベーションの8又は24時間後、基材をインキュベーターから取り出し、2〜3mmの部分に切断した。流体を該部分から遠心分離によって抽出し、ゲル電気泳動を用いて15% TBE−尿素ポリアクリルアミドゲルで分析した。各部分で増幅されたDNAの濃度をゲル画像から求めた。
【0030】
実験の結果を下の表1に示す。結果は、各時間で、最も遠い移動距離が、高い濃度ほど大きいことを示す。特に、表1は、少なくともDNAの最小量が検出される(例えば、閾値を超える検出)最も遠い距離を示す。
【0031】
【表1】
図11は、線130、132、134、及び136で表される4つの異なる出発コピー数について、多孔質基材10上の試料塗布からの距離に対する時間(例えば、サイクル)で予測される閾値のプロットである。出発コピーの最大濃度の線である線136は、その他の試料よりも早く閾値に到達する。
【0032】
図12は、提供される多孔質基材10に塗布した試料についての、閾値を超える区域を時間の関数として示す2Dシミュレーションデータである。パネル140では、142の試料は閾値を上回り、時間が進むにつれて(例えば、パネル144、148、及び152に示される)、閾値を超える領域(例えば、領域146、148、及び154)は、多孔質基材10に沿って移動する。本明細書に開示される拡散に基づく技術のさらなる利点は、増幅産物の拡散が増幅のための反応時間に関連していることである。対照的に、いずれの試料汚染物質も、増幅とは独立に、かつ反応最前部の前方に拡散する。したがって、開示される技術は、比較的不均一であるか又は複雑な試料、例えば未処理の体液などとともに使用することができる。
【0033】
図13は、核酸定量化を較正するための方法156の流れ図である。ステップ157で、較正は、既知試料(例えば、既知の濃度又は標的配列のコピー数をもつ)を多孔質基材の初期位置に塗布することによって実施されてよく、増幅反応は、ステップ158の1以上の時点の間、進行することが許容される。複数の距離及び複数の時点のシグナルがステップ159で検出される。設定時間の距離と既知コピー数を相関させる1以上のプロットを提供することにより、ユーザーは未知の試料の濃度を求めることができる。或いは、特定の距離に達する時間(例えば、試料が閾値を超える反応生成物の濃度で距離に達する時間)も、出発コピー数と相関しうる。その他の実施形態では、較正方法156は、さらなる較正データを得るために複数の濃度で実施される。
【0034】
かかる較正データは、定量化が自動的に実施されるようにプロセッサに基づく装置に記憶させてよい。例えば、図14に示されるように、本明細書に開示される技術は、増幅反応により生成されたシグナルを検出するための、評価装置164に連結された1以上のセンサ又は検出器162を含むシステム160と併せて使用することができる。検出器162は、1以上のシグナル分子を検出するように構成されていてよい。例えば、ある特定の実施形態では、検出器162を、光学的又は電気化学的シグナルを検出するように構成することができる。多孔質ストリップ10は、基材10に沿った1以上の位置110での検出を容易にするために検出器162に連結されてよい。システム160には、増幅を活性化させるために多孔質ストリップを加熱するための要素も含まれてよい。例えば、増幅試薬60は、特定の温度で、又は特定の温度サイクルを用いて反応するように構成されていてよい。したがって、システム160は、多孔質基材10に循環又は等温加熱をもたらすように構成されていてよい。
【0035】
システム160には、装置164によって実行されるプログラム及びルーチンを格納するための、コンピュータで読取可能なメモリ回路166、例えば磁気、電子、又は光学記憶媒体なども含まれてよい。記憶させたプログラム又はルーチンには、本技術の全部又は一部を実施するためのプログラム又は使用説明書が含まれてよい。システム160には、プログラム又は使用説明書を実行するための処理回路168も含まれてよい。装置164には、様々な入力/出力(I/O)インターフェース172、並びに、ユーザーインターフェース装置、例えばディスプレイ170などとの通信を許容する、様々なネットワーク又は通信インターフェースも含まれてよく、それは定量化情報を見て入力するために使用されてよい。様々なネットワーク及び通信インターフェースは、構内及び広域イントラネットとストレージネットワーク並びにインターネットとの接続を許容することができる。様々なI/O及び通信インターフェースは、適切であるか又は望ましい場合に、ワイヤ、回線、又は適したワイヤレスインターフェースを利用することができる。
【0036】
開示された実施形態の技術的効果には、迅速な核酸増幅及び改良されたダイナミックレンジによる評価及びテスト基材から離れた増幅された材料の活発な動きがないことが挙げられる。つまり、多孔質基材は、単一ステップでの増幅及び検出を容易にする。
【0037】
この明細書は、当業者が、装置又はシステムを作成及び使用し、組み込まれた方法を実施することを含む、開示された実施形態を実践することを可能にするために、最良の様式を始めとする例を使用する。特許適格性を有する範囲は、特許請求の範囲に規定されており、それには当業者の念頭に浮かぶその他の例が含まれてよい。かかるその他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの意味と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの意味との実質的な差異のない等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあることが意図される。
図1
図2
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図5
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図10
図11
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図13
図14