(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部材は少なくとも前記フランジを受け入れるためのスプリットを有し、前記スプリットは、前記モジュール筐体、前記熱交換管、前記セル、および前記接着剤の組立体の質量中心と同一高さである、請求項1に記載の方法。
前記熱交換管は2つの略平行な主側面を持つ細長い断面を有し、前記熱交換管は前記主側面を相互に接続する内部リブを有し、前記内部リブは主側面に対し非直角である、請求項8に記載のエネルギー貯蔵パック。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本書は、バッテリパックのようなエネルギー貯蔵パックのセル用のモジュールを含むシステムおよび技術を記載する。モジュールは、それらをバッテリパックに取り付けるためにマウントと共に使用することができる。熱交換管(すなわち冷却管および/または加熱管)は、各セルが筐体内の構造物によってではなく、管によってモジュール筐体にデータムするように設けることができる。管は、セルの場合と同様に接着剤の塗布を用いてモジュール筐体に接着することができ、接着剤の硬化のために放射線(例えばUV光)を使用することができる。塗布された接着剤が放射線から遮蔽される領域に対しては、二次硬化機構を使用することができる。モジュール筐体はセルの使用の柔軟性、例えば異なる種類のセル、異なる位置のセル、または一部のセルの代わりにプレースホルダを受け入れることを可能にする。管は、製造性および管に急激な曲げが行われたときの熱/流体性能を改善するために湾曲または傾斜した内部リブを設けることができる。
【0008】
図1は、クラムシェル102とマウント104とを含むモジュール筐体100の一例を示す。クラムシェルは、バッテリパックに組み付けられるセルを保持するように構成される。電気自動車のバッテリパックは総体的エンクロージャ(図示せず)から構成することができ、モジュール筐体100に基づく1つ以上のモジュールは、組み立てられた後に、エンクロージャ内部に取り付けられる。
【0009】
クラムシェル102は、金属、ポリマー、または複合材を含め、しかしそれらに限らず、いずれかの適切な材料から作製することができる。一部の実施形態では、クラムシェル102は「非終端側」クラムシェルとみなされる。非終端側という用語はここでは、複数のモジュールをパック内に相互接続するための接続点を持たないモジュールの一端(下端とみなされることもある)を指す。対照的に、モジュールの反対側の別のクラムシェルは次いで、「終端側」クラムシェルとして特徴付けることができる。
【0010】
マウント104は、ここではクラムシェル102の各長辺に1つずつ挿入される。組付後に、マウントは、バッテリパックのエンクロージャの内部などのモジュールの容易かつ確実な取付に備えることができる。マウントはクラムシェルのスロット内部に嵌合し、以下の実施例で記載する接着剤を用いて接着される。マウントは、金属、ポリマー、または複合材を含め、しかしそれらに限らず、いずれかの適切な材料から作製することができる。
【0011】
図2は、
図1のクラムシェル102上の構造物200の一例を示す。第一に、クラムシェルはセルの各々のための開口202を有する。例えば、開口は、セルを相互接続するために使用される貫通穴とすることができる。第二に、構造物はここでは、クラムシェルの全表面より少し上に突出する3つの三角形状体204を含む。一部の実施形態では、三角形状体は三次元で略ピラミッド形を有することができる。
【0012】
ここでは、三角形状体204は円206の略半分に配置される。三角形状体は略円筒状のセル(例えば18650タイプのセル)の形状を反映する。ある意味で、三角形状体によって画定される円は、セルのためのカウンタボア(counterbore)(図示せず)とみなすことができる。さらに詳しくは、カウンタボアはセルの占有面積に対して過大サイズにすることができる。その結果、セルは三角形状体によってはその位置にデータムされない。むしろ、セルは熱交換管によってデータムされ、これの実施例は下述する。しかし、セルをクラムシェル102に接着するために接着剤が塗布されると、接着剤は少なくとも部分的にセルの側面と三角形状体との間の間隙を埋める。換言すると、クラムシェル上の構造体は、セルの確実な取付において役割を果たすことができる。三角形状体は、2つ以上の開口のための構造体として役立つことができる。例えば、三角形状体204は、開口208および210のためのそれぞれのカウンタボアも画定する。
【0013】
図3は、
図1のモジュール筐体100に組み付けられた熱交換管300の一例を示す。ここでは、管は、バッテリ動作中に発生する熱を除去し、それによってセルを冷却するために、または液体加熱器(図示せず)によりセルを所望の動作温度まで加熱するために、セル(まだ組み付けられていない)の列間で液体を輸送するように構成された略扁平の導管である。すなわち、管は加熱も行い、または代わりに加熱を行うことができる。冷却または加熱が必要である場合、例えば、管のどちらかの端部でポンプ(図示せず)を使用して液体を循環させることができる。
【0014】
一部の実施形態では、管は外側の2列のクラムシェルにデータムすることができる。外側の2列の間では、管は往復して通過し、クラムシェルの短い端部に達すると方向を逆転することができる。別の実施例では、管が方向を逆転するのではなく、下で
図19に示すように、別個の平行な管を設けることができる。この実施形態では、管はスカラップ形であり、ある意味で、カウンタボア(例えば
図2の三角形状体204によって画定される半円)を完成する。
【0015】
図4は、モジュール筐体に組み付けられたセル400A〜Bの列の間に走る
図3の管300の一例を示す。組付時に、セルはカウンタボア内に装着される。その段階で、セルの名目上の位置は管のスカラップと面一であるが、セルの位置は厳密に制御されない。カウンタボアは、セルの位置を拘束しないように過大サイズである。
【0016】
この組付技術の1つの利点は、異なる種類のセルの使用が可能になることである。最悪のシナリオで、セルと管および管とクラムシェルのミスアラインメントが生じた場合、カウンタボアはそれにもかかわらず、セルの拘束を回避するのに充分なクリアランスをもたらす。例えば、異なる製造者による18650タイプのセルの正極端は、負極端と同様に、相互にかなり異なるが、セル缶の直径はそれにもかかわらず充分に同様であるので、管300はそれらの各々で使用することができる。
【0017】
別の利点は、セルの向きに柔軟性があることである。例えば、セル400Aはその負端子が上向きである一方、セル400Bの場合、上を向いているのは正端子である。すなわち、モジュール筐体は、上向きのセル、または下向きのセル、または一部が各向きのセルと共に使用することができる。
【0018】
図5は、
図4のセル400A〜Bの列間のセルスプレッダ要素500の一例を示す。すなわち、セルスプレッダ要素は、一方ではセル400A〜Bを含む列を、他方ではセル502A〜Bを含む列から離隔させるように挿置される。セルスプレッダ要素は各セルをモジュール内の所定の位置に偏倚させ、セルは管にデータムする。セルスプレッダは、セル間の伝熱を妨げる熱障壁として機能することができる。セルスプレッダ要素は、セルをその適切な位置に再調整するのに充分な横力を提供するように、モジュール筐体内でセル同士を離間させるのに適したいずれかの材料から作製することができる。一部の実施形態では、セルスプレッダ要素は、例えばポリテトラフルオロエチレンで被覆されたガラス繊維要素とすることができる。
【0019】
セルの円筒面がどれだけ管と接触しているかを示す接触角504を定義することができる。この角度は、幾つか例を挙げるだけでもセルの半径、管の形態、およびセルスプレッダ要素の剛性を含め、しかしそれらに限らず、多数の特徴に依存することができる。ここで、接触角は90度未満である。例えば約60〜70度の接触角を使用することができる。
【0020】
図6は、第2側のクラムシェル600の一例を示す。一部の実施形態では、第2側のクラムシェル600は「端子側」クラムシェルとみなすことができる。すなわち、第2側のクラムシェル600は、例えばセルがモジュール内に組み付けられたときにモジュールの頂部を提供するように、クラムシェル102(
図1)に対する相補的筐体とすることができる。
【0021】
一部の実施形態では、第2側のクラムシェル600は、他方のクラムシェルと同一または同様の1つ以上の特徴を有することができる。第2側のクラムシェル600は、上述した列毎のセル配列を反映する構造物を有することができる。
図7は、
図6の第2側のクラムシェル600上の構造物700を示す。例えば、構造物はここでは、セルの各々のための開口702と、他方のクラムシェルの場合と同一または同様とすることのできる3つの三角形状体704とを含む。第2側のクラムシェル600はここでは、円708によって概略的に示す通り、三角形状体704と共にカウンタボアを形成する構造物706も有する。そのようなカウンタボアは、下部クラムシェルのカウンタボアの上記説明と同様に、過大サイズとすることができる。別の実施例として、第2側のクラムシェル600はマウントを取り付けるために1つ以上のスロットを有することができる。
【0022】
図8は、管およびセルをモジュール筐体に接着するための接着剤の塗布例を概略的に示す。接着剤はここでは破線800として概略的に示され、セル804および806の列間にスティンガ(stinger)802によって吐出される。各セルはその隣接管に対して管の長さに沿ってオフセットされ(例えば
図4〜5のセルパターンを参照)、したがってセル806は現在の断面図ではセル804より幅狭に見える。スティンガ802は、ここでスティンガアレー(stinger alley)808と呼ばれる空間でセルの列間に挟嵌するように構成された、細長いノズルとすることができる。例えば、スティンガはアレーのどちらかの端部から始まり、その後、接着剤が吐出されるにつれて、アレーに沿って連続的にまたは離散的に移動することができる。
【0023】
接着剤800は、管810の両側で下部クラムシェルに向かって流下する。各セルの底部にはクラムシェルの開口812(例えば
図2の開口202)が存在する。接着剤が開口から流出するのを防止するため、または少なくともそのような接着剤の量を低減するために、措置を講じることができる。一部の実施形態では、放射線感受性接着剤が使用され、次いで、矢印814で概略的に示すように、放射線をモジュールの下から照射して、接着剤を硬化させることができる。クラムシェルは、そのような放射線を部分的にまたは完全に透過することができる。例えば、単一成分または多成分型UV硬化アクリレートまたはアクリレート‐エポキシ接着剤を使用することができ、次いで、開口812からの接着剤の流出を防止または低減するために紫外線を照射することができる。
【0024】
接着剤は、経路800Aおよび800Bによって示すように、セルと管との間の狭い空間内にウィッキングする。しかし、セルおよび/または管が放射線に対する充分な透過性を欠如している場合、経路800A〜Bは、放射線照射プロセス中に本質的に遮蔽される。その結果、経路800A〜Bに沿って存在する接着剤は、セルの底部の接着剤よりかなり長く未硬化(例えば基本的に液体)の状態で維持されることがあり得る。すなわち、放射線はそのような位置の接着剤の硬化に効果的ではないかもしれない。
【0025】
したがって、接着剤は、放射線以外の手段によって硬化することもできるように選択することができる。一部の実施形態では、接着剤は1つ以上の化学物質によっても硬化可能である。例えば、二液性接着剤は吐出前に混合することができ、遮蔽領域では時間をかけて放射線無しで化学的に硬化する。接着剤はまた、接着剤が空気にさらされたときに時間をかけて硬化するように、好気または湿気硬化機構も含むことができる。
【0026】
その結果、接着剤は経路800A〜Bに対応する領域でも硬化する。接着剤は押し出された界面空気より熱伝導性が高く、したがって個々のセルと管との間に改善された熱界面をもたらす。したがって、接着剤は、管がセルとの間でエネルギーを伝達し合うのを助ける熱界面材料(thermal interface material)とみなすことができる。すなわち、一部の実施形態では、接着剤以外の熱界面材料(例えばシリコンスポンジ材)を管またはセルに塗布する必要は無い。むしろ、接着剤は、セルおよび管を相互にかつクラムシェルに接着することに加えて、この機能も果たすことができる。
【0027】
図9はスカラップ902を持つ管900の一例を示す。一部の実施形態では、管は(例えばアルミニウムから)直管形状に押出成形され、管が必要な形状に(例えばセルの列に対応するように)曲げ加工される前に、スカラップ形状が付与される。例えば、プレス機を使用して特定のプレストン数の圧力を管の側部に加えることができる。押出幅が3.0〜5.0mmである場合、スカラップ圧縮は、単に一例を挙げると、約25%とすることができる。最小スカラップ幅は矢印903によって示される。これらの実施形態では、スカラップ形管はその後に、例えば管の1つ以上の場所の湾曲部904に対応する形状に曲げ加工される。例えば、スカラップ加工は、湾曲部904が位置する場所を除き、管のどこにでも実行することができる。湾曲部904は、管が1列の端部に達し、方向を転換して次の列に続く場所に対応することができる。
【0028】
ひとたび仕上げられると、管900はクラムシェル(例えば
図3に示す通り)に配置することができ、その後、セルは、管によって画定される列に組み付けることができる。すなわち、セルは、単に一例を挙げると、いずれのカウンタボアにも、あるいはクラムシェル上の他の構造物に対しても直接データムするのではなく、管に対してデータムすることができる。
【0029】
他の実施形態では、曲げ加工はスカラップ加工の前に行うことができる。例えば、管900は、クラムシェル上の意図されるセルの列に対応する(すなわち、直線状の列部分が方向転換によって分離される)形状に曲げることができ、その後、列部分をスカラップ状に圧縮することができる。
【0030】
一部の実施形態では、管内に1つ以上の内部特徴を設けることができる。
図10A〜
図10Fは管1000の例示的断面を示す。
図10Aでは、6つの事前に曲げられたリブ1002が管内に設けられる。すなわち、管は2つの略平行な主側面1004を持つ細長い断面を有し、事前に曲げられたリブ1002は主側面を相互に連結する。内部リブは主側面に対し非直角である。この実施例では、事前に曲げられたリブ1002の各々は、管の最も近い縁部1006に向かって外側に湾曲する。ここで、事前に曲げられたリブは押出幅に略等しい外半径を有する。
【0031】
一部の実施形態では、内部リブの各々は直線状であり、主側面に対し傾斜する。例えば、
図10Bでは、管1000は、一方向に傾斜したリブ1008および別の方向に傾斜した他のリブ1010を有する。
図10Cでは、対照的に、管1000は全て同一方向に傾斜したリブ1012を有する。
【0032】
図10Dは、管1000が一方向に向けられた(すなわち管の縁部に向かって凹状の)湾曲リブ1014および別の方向に向けられた湾曲リブ1016を有する実施例を示す。一部の実施形態では、管1000内の1つ以上のリブはニーを有する。
図10Eでは、リブ1018および1020は相互に離れる方向に(すなわち管の縁部に向かって)尖っており、
図10Fでは、リブ1022および1024は相互に向かって尖っている。
【0033】
図示する実施例では、全てのリブがある程度湾曲するか傾斜している。例えば、
図10Aでは、事前に曲げられたリブ1002の曲率半径はそれらの全てについて同一であり、
図10Bでは、リブ1008および1010は全て同一角度に傾斜している。他の実施形態では、1つ以上のリブが、他のリブとは異なる曲率半径および/または角度を有することができる。
【0034】
管1000は、1つ以上の冷却液を搬送し、意図された接着剤を使用して接着され、かつそこにスカラップを形成させるのに適したいずれかの材料から作製することができる。一部の実施形態では、管はアルミニウムまたはポリマーから作製される。一部の実施形態では、管は、冷却材輸送用に使用されるアルミニウム部品および電気的絶縁用のポリマー部品のような、2つ以上の別個の部品から構成される。例えば、管は押出工程によって製造することができる。ポリマー管の場合、ブロー成形のような他の製造方法を使用することができる。
【0035】
管1000が特定のクラムシェルのためにそれが持つ必要のある形状に曲げられる場合、その結果として、内部特徴の1つ以上を曲げるか、あるいそれ以外で変形することができる。
図11は、
図10Aに示された管1000の例示的変形の断面を示す。すなわち、管は最初に少なくとも1か所で曲げられており、現在の図は、管の曲げられた箇所の内部を示す。ここで、主側面1004および縁部1006は曲げによって基本的に影響されない。しかし、事前に曲げられたリブ1002の一部または全部が、さらに曲げられるかあるいはそれ以外で変形されている。例えば、事前に曲げられたリブはそれらの中央点で撓み、かつ低い力で一貫して予測可能に降伏し得る。これは、例えば管が曲げられるときに、より制御されたリブの圧潰をもたらすことができる。
【0036】
図12は、セル1200がz軸に沿ってモジュール筐体100にデータムすることを示す。すなわち、セルはクラムシェルによって垂直方向に配置される。
【0037】
図13は、セル1300がx軸およびy軸に沿って管300にデータムすることを示す。すなわち、セルは、管およびこの実施例ではセルスプレッダ要素500によって水平方向に位置決めされる。例えばこのデータミングは、セル‐クラムシェル間の比較的大きいクリアランス1300によって反映される。接着剤が塗布されるときに、接着剤はセル‐クラムシェル間のクリアランスを部分的にまたは完全に埋めることができる。
【0038】
図14は、バッテリパックの容量を低減するためにプレースホルダ1400を使用する例を示す。マーケティングの観点から、同一の全体的形状因子を有するバッテリパックに複数レベルのバッテリ容量を提供することは、有利になり得る。これは、多くのバッテリパックの構成部品を再利用し、試験および検証を活用できるようにするが、依然として異なるバッテリ容量およびコストをもたらすことを可能にする。例えばこれは、製造者が顧客に対し、標準バッテリ容量または拡張バッテリ容量のいずれかを持つ同一車両を購入する選択肢を提示することを可能にすることができる。
【0039】
クラムシェル1402はここでは、複数のセル1404がモジュール筐体内に組み付けられていることを示す。しかし、プレースホルダ1400は、セル1404の1つの代わりに挿置される非エネルギー要素である。例えばこれは、構造的完全性を維持しながら、バッテリパックの容量を低減するために使用することができる。プレースホルダは、z次元でクラムシェルと界接しかつx次元およびy次元で管(明瞭に示されていない)と界接する、一般的部品とすることができる。例えばプレースホルダの使用は、下部クラムシェルのセル相互連結貫通穴を介する接着剤の漏出を防止することができる。
【0040】
別の実施例として、セルの配置の柔軟性をもたらすことができる。クラムシェルのカウンタボアがx方向およびy方向に過大サイズであり、特定のセルの外形と界接する特徴を含まない場合、セルは同一モジュール筐体内で反転することできる。例えばクラムシェルは、セル同士を相互にまたは他の構成部品に電気的に相互接続するように意図された貫通穴(例えば
図2における開口202)を持つことができ、そのような貫通穴は、正および負のセル端子の両方で略同一直径とすることができる。このクラムシェルの構成は、貫通穴を形成する構造により崩壊することなく、セルの負端子の底部通気穴を露出させるため、および正のセル端子がわずかに突出するための余地をもたらすためのどちらにも適した穴の直径を提供することができる。例えばこれは、例えばプログラムの変更または物理的パッケージングの必要性から、モジュールを再設計する必要無く、あるいはモジュール工場で大きな変更を行うことなく、いつでも極性の切替をもたらすことができる。
【0041】
図15は、セル1500およびマウント1502をクラムシェル1504に接着するための接着剤の塗布例を示す。ここでは、接着剤はスティンガ1506を用いて塗布される。接着剤の流れは一般的に矢印1508によって示される。接着剤は、機械的な装置では容易に到達されない場所にウィッキングする。例えば、接着剤は、セルの下の領域1510、およびマウント1502のフランジによって遮蔽される領域1512にも到達する。したがって、ここでは接着剤の塗布は、セルを接着すると共に、マウントをモジュール筐体(例えばクラムシェル)に接着するための両方の役に立つ。上述した実施例と同様に、接着剤は多段階プロセスで硬化させることができる。すなわち、UV光のような放射線を照射することができ、かつ化学試薬または好気もしくは湿気硬化機構は、放射線が照射されたときに遮蔽された領域で硬化を達成することができる。
【0042】
上記の技術はマウント1502の有利なデータミングを達成することができる。一部の実施形態では、管(またはその外側に塗布されたいずれかの材料)は、マウントをクラムシェル1504上のデータムリブ1514に当接して設置することができる。例えば、これはマウントをx方向にデータムすることができる。別のリブ(下で説明する)はマウントを別の方向にデータムすることができる。
【0043】
図16は、リブ1600を用いてクラムシェル102に配置されている
図1のマウント104の一例を示す。この断面では、いかにしてリブ1600がマウントをy方向およびx方向にデータムするかを見ることができる。例えば、y方向では、データミングは、マウントがクラムシェルの長さに沿って適切に配置され、いずれの側にも遠くに延長し過ぎないことを確実にする。別の実施例として、z方向では、データミングは、マウントがクラムシェルのスロット内部の適切な深さ(例えば接着剤の適切なウィッキングを可能にするのに充分な高さであり、しかも接着剤による安定した結合を可能にする充分な低さである)に着座することを確実にする。
【0044】
図17は、セルモジュール1710および1712からのマウント1706および1708を受容するためのクロスメンバスプリット1704を有する、バッテリパック1702の部材1700の一例を示す。例えば、部材1700はバッテリパックのクロスメンバ(横材)とすることができ、複数のセルモジュールは1つ以上のクロスメンバを使用して、バッテリパックの内部に、少なくとも1つのベイに取り付けられる。ここで、部材は、固締具1718によって相互に取り付けられる上部1714および下部1716を含む。この設計はスプリット(分割部)1704を形成し、そこで1つ以上のフランジ1720および1722を下部1716に載置することができる。
【0045】
この配置構成の1つの利点は、隣接するベイにおけるモジュールが固締具1718を共有することができ、かつより高い体積エネルギー密度(volumetric energy density)でパックすることができることである。一部の実施形態では、スプリット1704は、モジュール1710および1712の質量中心(例えばモジュール筐体、熱交換管、セル、および接着剤の質量中心)と略同一高さとすることができる。これは、機械的負荷中にマウントとクラムシェルとの間の界面に加えられる応力を低減することができる。
【0046】
図18は、
図17のマウントの例示的立面図を示す。ここで、部材の上部1714(
図17)はまだ設置されておらず、したがってフランジ1720および1722が見える。フランジの各々は、他方のフランジの対応する特徴と界接することのできるプロファイル特徴1800を有する。この設計によって、単一の上部クロスメンバはモジュールのマウントを隣接するベイから同時に固定することができるので、取付フランジは「半幅」とみなすことができる。例えば、ここでフランジ1720を有することが示されるモジュール1710は、上記と同様に、その他端にフランジ1722に対応するフランジを有することができる。
【0047】
組立中に、1つ以上のピン1802でモジュールを下部クロスメンバに配置することができる。一部の実施形態では、ピンはマウントのフランジの開口を通過する。例えばこれは、モジュールが上部クロスメンバによって機械的に拘束される前に、モジュールに対する電気的および冷却材の接続を行うことを可能にすることができる。
【0048】
上記実施例の少なくとも一部では、セルおよび管をクラムシェルに取り付ける接着剤は、セルと管との間の熱界面材料としても役立つ。一部の実施形態はこの特徴を含まない。一部の実施形態は多段階接着プロセスを提供することができ、接着剤は少なくとも放射線および化学的硬化機構を使用して硬化される。例えば、そのような実施形態は、エネルギー貯蔵パック用のモジュール筐体に熱交換管を組み付けるステップと、熱交換管がセルの列の間に走るようにして、モジュール筐体にセルを組み付けるステップと、セルおよび熱交換管をモジュール筐体に接着する接着剤を塗布するステップと、接着剤の第2部分はセルまたは熱交換管によって放射線から遮蔽されており、接着剤の第1部分を硬化する放射線を照射するステップと、化学的硬化機構を使用して接着剤の少なくとも第2部分を硬化させるステップとを備えた方法を含む。別の実施例として、そのような実施形態は、モジュール筐体と、セルと、セルの列の間に走る熱交換管とを備えたエネルギー貯蔵パックであって、セルおよび熱交換管が接着剤によってモジュール筐体に接着され、接着剤の第1部分が放射線の照射によって硬化され、接着剤の第2部分がセルまたは熱交換管によって放射線から遮蔽され、接着剤の第2部分が化学的硬化機構によって硬化される、エネルギー貯蔵パックを含む。上に示した例示的方法およびエネルギー貯蔵パックの各々は、本書に記載するいずれかの他の特徴を含むことができる。
【0049】
図19は並列冷却管システム1900の一例を示す。ここでは、熱交換用の液体(例えば冷却材)は、一般的に矢印1902によって示されるように熱交換領域に流入し、一般的に矢印1904によって示されるように流出する。一部の実施形態では、液体のために1つ以上のマニホルド1906を設けることができる。例えば1つのマニホルドは、流入する液体を複数の管1908に分配することができ、別のマニホルドは、液体が熱交換領域から出るときに、分離した流れを集合させることができる。
【0050】
多くの実施形態を実施例として説明した。しかしながら、他の実施形態は以下の特許請求の範囲によって網羅される。