特許第6374985号(P6374985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6374985干渉計型光ファイバセンサシステムおよびインテロゲーションの方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374985
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】干渉計型光ファイバセンサシステムおよびインテロゲーションの方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   G01D5/353 C
【請求項の数】26
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-565449(P2016-565449)
(86)(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公表番号】特表2017-516093(P2017-516093A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】EP2015059257
(87)【国際公開番号】WO2015165924
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】14166237.9
(32)【優先日】2014年4月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516323035
【氏名又は名称】オプトプラン・アー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レンネクライブ,アーランド
(72)【発明者】
【氏名】バーガール,オレ・ヘンリク
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−190728(JP,A)
【文献】 特開2009−198257(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/015149(WO,A1)
【文献】 特開2010−054366(JP,A)
【文献】 特開平07−005068(JP,A)
【文献】 特開平10−082858(JP,A)
【文献】 特表2009−511922(JP,A)
【文献】 特開2012−247427(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0181711(US,A1)
【文献】 特開2011−214921(JP,A)
【文献】 特開2012−154678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/353
G01B 11/00−11/30
G01B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉計型光ファイバセンサシステムにインテロゲートする方法であって、システムは、インテロゲーション光を生成するレーザ源と、少なくとも第1の反射器および第2の反射器を有し、それぞれ前記第1の反射器および前記第2の反射器から反射された光の伝搬時間の差であるセンサ遅延を有するセンサアレイとを含み、方法は、
掃引インテロゲーション光信号を作るために、掃引帯域幅SBW内で、掃引持続時間tswにわたって、実質的に一定の掃引速度r=SBW/tsw前記レーザ源からの前記インテロゲーション光を連続的に繰り返して周波数掃引することと、
前記掃引インテロゲーション光信号を連続波として前記センサアレイ内に発射することと、
反射器のそれぞれによって前記センサアレイからそれぞれ返される反射信号を検出することであって、検出は、電気無線周波数信号を作るために、アレイからの戻り光信号を局所発振器LO信号と光受信器上に混合することを含む、検出することと、
電気無線周波数信号を、それぞれ前記第1の反射器および前記第2の反射器に対応する第1の信号チャネルおよび第2の信号チャネルへと多重分離することと、
前記第1の信号チャネルおよび前記第2の信号チャネルのそれぞれを、前記第1の反射器からの第1の位相応答および前記第2の反射器からの第2の位相応答に連続的に復調することと、
センサ位相信号を得るために、前記第2の位相応答から前記第1の位相応答を減算することと
を含む方法。
【請求項2】
前記センサアレイが、多数の反射器を含むために、前記第1の反射器と前記第2の反射器との間に1つまたは複数の追加の反射器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の反射器および/または前記第2の反射器が、別個の反射器である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
別個の反射器が、ファイバブラッググレーティングFBGであるか、またはFBGを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の反射器および/または前記第2の反射器が、ある長さのファイバからのレイリー後方散乱に基づく、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
掃引帯域幅SBWが、光受信器の帯域幅より小さくなるように選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
局所発振器光信号が、前記レーザ源によって生成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
局所発振器光信号が、前記掃引インテロゲーション光信号の一部である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
掃引持続時間tswが、Ntより大きくなるように選択され、Ntが、最初の反射器から最後の反射器までの戻り時間であり、Nが、アレイ内の反射器の個数であり、tが、2つの隣接する反射器の間の平均ラウンドトリップ時間の隔たりである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
電気無線周波数信号を多重分離するステップが、
正の周波数帯と負の周波数帯とを分離するために、電気無線周波数信号をフィルタリングすることと、
正の周波数帯および負の周波数帯を周波数においてオーバーラップさせるように計算された一定の周波数を有する複素ミキサ信号と混合することによって、正の周波数帯および/または負の周波数帯を周波数シフトすることと、
周波数シフトされた周波数帯を合計して、復調のための組み合わされた信号にすることと
をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
フィルタリングが、正の周波数帯または負の周波数帯内にそれぞれ信号がない時間間隔内の雑音を抑制するように構成された時間依存応答を有するフィルタを使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フィルタリングが、正の周波数帯および負の周波数帯が合計によって組み合わされる前に、正の周波数帯および/または負の周波数帯に時間および周波数に依存する位相シフトを適用するように構成された、時間および周波数に依存する応答を有するフィルタを使用する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記掃引インテロゲーション光信号の光場振幅が、周波数帯が組み合わされる時の周波数帯の間の漏話を減らすために、アポディゼーションの始めからアポディゼーションの終りまでのアポディゼーション持続時間Tapodにわたり、一方の周波数帯に関する完了する掃引の終りおよび他方の周波数帯に関する後続の掃引の始めに、アポダイズされる、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
アポディゼーション持続時間Tapodが、0.9・1/SBWから5・1/SBWなど、0.8・1/SBWから10・1/SBWまでの範囲であるか、または約1/SBWより大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
完了する掃引の終了アポディゼーションおよび後続の掃引の開始アポディゼーションが、時間的にオーバーラップする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
アポディゼーションが、完了する掃引および後続の掃引の光場振幅の合計がアポディゼーション持続時間全体を通じて実質的に一定になるように構成される、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
干渉計型光ファイバセンサシステムであって、
周波数νでインテロゲーション光を放つレーザ源と、
掃引帯域幅SBW内で、掃引持続時間tswにわたって、実質的に一定の掃引速度r=SBW/tswで、周波数ν=ν+fを有するように前記インテロゲーション光を連続的に繰り返して周波数掃引するように動作可能な少なくとも第1の光変調器と、
入力端、遠端を有し、少なくとも第1の反射器および第2の反射器を含むセンサアレイであって、入力端を介して少なくとも前記第1の光変調器から光出力を連続波として受け取るように配置され、入力端で戻り信号をアウトカップルするようにさらに配置されるセンサアレイと、
電気無線周波数信号を作るために、前記センサアレイからの戻り信号を局所発振器(LO)信号と混合するように配置されたコヒーレント受信器と、
電気無線周波数信号を、それぞれ前記第1の反射器および前記第2の反射器に対応する第1の信号チャネルおよび第2の信号チャネルへと多重分離し、前記第1の信号チャネルおよび前記第2の信号チャネルのそれぞれを、前記第1の反射器からの第1の位相応答および前記第2の反射器からの第2の位相応答に連続的に復調し、センサ位相信号を得るために、前記第2の位相応答から前記第1の位相応答を減算するように構成されたプロセッサと
を含む、実質的に連続するデータ獲得のための干渉計型光ファイバセンサシステム。
【請求項18】
周波数ν=ν+fを有するように、レーザから放たれた光を線形周波数掃引する第2の光変調器であって、前記第1の光変調器と並列に接続される第2の光変調器と、
前記第1の光変調器または前記第2の光変調器からセンサファイバ内に光を選択的に発射するように構成された光空間スイッチと、
コヒーレント受信器に結合される変調された基準信号をもたらすために、前記第1の光変調器からの出力光を前記第2の光変調器からの光と結合する基準光カプラと
をさらに含む、請求項17に記載のセンサシステム。
【請求項19】
前記レーザ源が、単一周波数連続波(CW)レーザである、請求項17または18に記載のセンサシステム。
【請求項20】
前記レーザ源が、ファイバ分布帰還(DFB)レーザを含む、請求項19に記載のセンサシステム。
【請求項21】
レーザが、WDM源であるか、または異なるWDMチャネルで放つように配置された複数のレーザである、請求項17から20のいずれか一項に記載のセンサシステム。
【請求項22】
前記センサアレイが、第1の波長範囲内の光を反射するように構成され、第2の波長範囲内の光に関して実質的に無反射である1つまたは複数の前記第1の反射器を含む、第1の波長分割多重(WDM)反射器グループを含み、前記センサアレイが、第2の波長帯域内の光を反射するように構成され、第1の波長範囲内の光に関して実質的に無反射である1つまたは複数の前記第2の反射器を含む、第2のWDM反射器グループをさらに含む、請求項17から21のいずれか一項に記載のセンサシステム。
【請求項23】
前記変調器が、音響光学変調器(AOM)である、請求項17から22のいずれか一項に記載のセンサシステム。
【請求項24】
前記変調器が、ニオブ酸リチウム変調器であるか、またはニオブ酸リチウム変調器を含む、請求項17から22のいずれか一項に記載のセンサシステム。
【請求項25】
LO信号が、前記第1の光変調器と前記第2の光変調器との両方によって変調される、請求項18から23のいずれか一項に記載のセンサシステム。
【請求項26】
干渉計型光ファイバセンサシステムであって、
掃引帯域幅SBW内で掃引持続時間tswにわたって、実質的に一定の掃引速度r=SBW/tswで、周波数νを有するようにインテロゲーション光を連続的に繰り返して周波数掃引するように動作可能な直接変調可能なレーザ源と、
入力端、遠端を有し、少なくとも第1の反射器および第2の反射器を含むセンサアレイであって、入力端を介して少なくとも第1の光変調器から光出力を連続波として受け取るように配置され、入力端で戻り信号をアウトカップルするようにさらに配置される、センサアレイと、
電気無線周波数信号を作るために、前記センサアレイからの戻り信号を局所発振器(LO)信号と混合するように配置されたコヒーレント受信器と、
電気無線周波数信号を、それぞれ前記第1の反射器および前記第2の反射器に対応する第1の信号チャネルおよび第2の信号チャネルへと多重分離し、前記第1の信号チャネルおよび前記第2の信号チャネルのそれぞれを、前記第1の反射器からの第1の位相応答および前記第2の反射器からの第2の位相応答に連続的に復調し、センサ位相信号を得るために前記第2の位相応答から前記第1の位相応答を減算するように構成されたプロセッサと
を含む、実質的に連続するデータ獲得のための干渉計型光ファイバセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉計型光ファイバセンサシステムと、干渉計型光ファイバセンサシステムにインテロゲートする方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバセンサシステムは、一般に分散した性質に起因して、多数の異なる用途に配備されてきた。そのようなシステムは、測定が、分散されるか、または擬似分散される、すなわち、ファイバに沿った潜在的に多数の点で行われ得ることを可能にする。さらに、光ファイバセンサ一般は、単一のファイバに沿った多重化に適し、したがって、ファイバの本数、複雑さ、かさばる引き込みケーブルなどを潜在的に減らす。
【0003】
擬似分散光ファイバセンサシステムの1つのクラスは、アレイ内の1つまたは複数のファイバに沿って配置された一連の反射器に基づく。反射器は、たとえば、ファイバブラッググレーティング(FBG)、スプライス、またはファイバに沿った固有後方散乱レベルよりも高い反射率をもたらす他のタイプのファイバ摂動とすることができる。反射器から反射された信号は、たとえば、反射器までの距離もしくは反射器のセットの間の距離、または距離の変動を推測するために干渉計型センサ配置内で使用され得る。
【0004】
センサファイバに沿ったFBG反射器に基づく干渉計型センサアレイは、引用により組み込まれている、本願と同一の出願人によるUS7366055号に記載されるように、通常、異なる波長にFBGを有する波長分割多重(WDM)、および/または、パルス化されたインテロゲーションを使用して等波長FBGベースの干渉計のアレイにインテロゲートする時分割多重(TDM)を用いてインテロゲートされてきた。
【0005】
同一のファイバに沿った時分割多重化されるセンサの個数を増やすには、通常、センサの個数に反比例してスケーリングする、減少されたパルスデューティサイクルを必要とする。これは、受信器での時間平均光強度が低下することに起因して、ダイナミックレンジおよびセンサ位相分解能を低下させる。
【0006】
単一のファイバに沿った非常に多数の干渉計型センサセクションを用いて分散された感知を得る1つの方式は、たとえばUS7764363号に記載の、センサセクションをファイバに沿って時間的に分離するパルス化されたインテロゲーションを使用する、ファイバ内のレイリー後方散乱の活用である。
【0007】
代替のインテロゲーション技法は、光ファイバおよび光学コンポーネント内の減衰および後方散乱の高空間分解能特性評価に一般に使用される、コヒーレント光周波数領域反射光測定(coherent optical frequency domain reflectometry、C−OFDR)法の使用である。ここでは、周波数掃引されたレーザ光が、試験対象のファイバ内に発射され、戻り光は、受信器において反射光を基準信号と混合することによって、コヒーレントに検出される。したがって、異なる縦位置から後方散乱された光は、受信器において周波数領域で分離される。
【0008】
US2012/0174677 A1号(Hill)に、機械パラメータ、具体的にはファイバに沿った機械振動を測定するための、ファイバに沿ったレイリー散乱に基づく分散干渉計型感知のC−OFDRベースのセンサシステムが開示されている。
【0009】
ファイバのレイリー散乱に基づく分散干渉計型感知は、反射して受信器に戻る非常に低い光強度レベルに起因して、制限されたセンサ位相分解能をもたらす。
【0010】
したがって、改善された光ファイバセンサシステムが有利であるはずであり、具体的には、光ファイバセンサシステムにインテロゲートするより効率的なおよび/または改善された方法が、有利であるはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7366055号明細書
【特許文献2】米国特許第7764363号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0174677号明細書
【特許文献4】米国特許第7206075号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来技術で呈される制限を克服することである。具体的には、1つの目的は、高いセンサ位相分解能および高いダイナミックレンジを達成すると同時に、ファイバに沿った多数の干渉計型センサの多重化を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、従来技術に対する代替法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、上で説明した目的および複数の他の目的は、干渉計型光ファイバセンサシステムにインテロゲートする方法を提供することによって、本発明の第1の態様において得られることが意図されている。システムは、インテロゲーション光を生成するレーザ源と、少なくとも第1の反射器および第2の反射器を有し、それぞれ第1の反射器および第2の反射器から反射された光の伝搬時間の差であるセンサ遅延を有するセンサアレイとを含む。この方法は、掃引インテロゲーション光信号を作るために、掃引帯域幅SBW内で、掃引持続時間tswにわたって、実質的に一定の掃引速度r=SBW/tswでレーザ源からのインテロゲーション光を連続的に繰り返して周波数掃引することを含む。掃引インテロゲーション光信号は、センサアレイ内に発射される。この方法は、反射器のそれぞれによってセンサアレイからそれぞれ返される反射信号を検出することをさらに含み、検出は、電気無線周波数信号を作るために、アレイからの戻り光信号を局所発振器LO信号と光受信器上に混合することを含む。その後、電気無線周波数信号が、それぞれ第1の反射器および第2の反射器に対応する第1の信号チャネルおよび第2の信号チャネルへと多重分離される。第1の信号チャネルおよび第2の信号チャネルのそれぞれが、第1の反射器からの第1の位相応答および第2の反射器からの第2の位相応答に復調される。最後に、この方法は、センサ位相信号を得るために、第2の位相応答から第1の位相応答を減算することを含む。このようにして、センサアレイの連続し空間的に分解されたインテロゲーションを達成することができる。空間分解能すなわち、複数の空間的に分散されたセンサからの応答の分離は、任意の時点の個々の反射器からの反射光が周波数において分離されるので、可能である。コヒーレント検出すなわち、戻り光信号およびLOの混合は、多数の利点、特筆すべきは量子雑音で制限された検出を達成する潜在能力を有する。この場合、検出雑音は、混合された信号の個々の入来する光子の離散的な性質から生じるショット雑音によって支配される。混合された信号の振幅は、一般に、戻り光信号電場の強度とLO電場強度との積の平方根に比例する。戻り光信号は一般に弱いが、LOの強度は直接に制御され得る。したがって、十分に高いLO強度を選択することによって、混合信号の強度を、戻り光信号の強度より大幅に高くすることができる。その結果、受信器システムの感度は、直接検出様式と比較して高められ得る。
【0015】
本明細書の文の文脈では、「連続し繰り返される」掃引は、放たれる光周波数が、掃引帯域幅の第1の限度から掃引帯域幅の第2の限度まで時間的に線形に変調され、その後に新しい掃引が即座に開始されることと理解されなければならない。しかし、当業者は、古い掃引を終了した後に、新しい掃引を再開始するために、短いスイッチング時間が必要になる可能性があることを理解し、短いスイッチング時間は、掃引持続時間tswに対して相対的に見られるべきであり、たとえば、tswの<10%またはtswの<5%など、tswの<20%である。したがって、そのような短いスイッチング時間を含む方法を動作させるシステムも、連続的に掃引すると考えられるべきである。このようにすると、第1の掃引による1つまたは複数の反射器からの反射信号は、それでも、第2の掃引による光が干渉計型センサアレイに発射されている間に、受信器に向かって逆に伝搬することができる。場合によっては、第2の掃引から生じる第1の反射器からの反射信号が、第1の掃引から生じる最後の反射器からの反射信号と同時に、しかし別の周波数において検出されることさえ可能である。
【0016】
連続的なインテロゲーションは、長いセンサアレイスパン(たとえば、2−10km、さらにはより長いスパン)であっても、1に近いデューティサイクルを可能にする。これは、さらに、そうでなければインテロゲーションを含まない周期中の大きい位相変化の場合に発生する可能性がある、位相変化の2πの曖昧さに関する問題を軽減する。これは、本発明によって動作するシステムの改善されたダイナミックレンジ(すなわち、掃引速度およびスルーレート)をもたらす。
【0017】
センサアレイは、直線トポロジ、スタートポロジなど、複数の異なるトポロジで構成され得る。
【0018】
センサアレイのセンサは、一般に、測定量の変動をセンサアレイのセンサセグメントの光路遅延の変化に変換するように構成された変換器からなる。1つのそのような光学的変化は、センサセグメントの長さの変化である。代替法では、屈折率または複屈折の変化が、そのような光路遅延の変化をもたらす可能性がある。
【0019】
測定量は、たとえば、音響信号などの圧力変動、歪み変動、または加速度とすることができる。
【0020】
本発明の一実施形態では、センサセグメントは、2つの連続する反射器の間の光ファイバのセグメントと定義される。
【0021】
本発明の一実施形態では、センサセグメントは、別々のファイバ内の2つの反射器の間の経路の差と定義される。
【0022】
本発明の一実施形態では、センサアレイは、2つの反射器の間に画定され、測定量に実質的に無反応である基準センサを含む。このようにすると、レーザ源から生じる位相変動および強度変動などの、残りのセンサと同一の源変動から生じる雑音成分を含むが、測定量に反応しない基準信号を得ることができる。したがって、この基準信号を使用して、源変動によって引き起こされる雑音に関して、センサからの測定信号を補償することができる。
【0023】
本発明による方法の実施形態では、干渉計型センサアレイは、多数の反射器を含むために、第2の反射器の後に1つまたは複数の追加の反射器を含む。したがって、反射器の任意の対の間のファイバセクションがセンサを形成することができ、したがって、多数のセンサを可能にする。通常の構成では、2つの連続する反射器の間のファイバセクションだけが、センサとして画定される。この方法を使用することによって、多数の反射器が、したがって干渉計型センサが、高いデューティサイクルおよび高いダイナミックレンジを維持しながらインテロゲートされ得る。連続波(CW)システムが使用されるので、パルス化されたシステムで必要とされる高い光ピークパワーを回避することができ、したがって、アレイ内の非線形効果に関する問題が最小化される。
【0024】
追加の反射器を含む実施形態では、追加の反射器は、名目上、第1の反射器および/または第2の反射器と同一である。
【0025】
本発明による方法の実施形態では、第1の反射器および/または第2の反射器は、別個の反射器である。別個の反射器の使用は、分散レイリー反射器よりも高い反射性を可能にし、改善された信号対雑音(S/N)比をもたらし(たとえば、US2012/0174677 A1号「Hill」で開示されたレイリーベースの分散センサシステムと比較して)、これは、光学遅延測定における位相雑音の低減に起因する測定量の改善された分解能を可能にする。この文脈では、別個の反射器は、10mのファイバの後方散乱レベルより2桁から5桁高いなど、反射器から離れたセンサアレイの平均後方散乱レベルよりも高い反射率を有するセンサアレイの局所化された特徴と理解されなければならない。さらに、局所化は、空間分解能の0.2倍未満、0.1倍未満、または空間分解能の約0.01倍未満など、光センサシステムの空間分解能の0.5倍未満のセンサアレイの光伝搬方向に沿った広がりを有すると理解されなければならない。言い換えると、別個の反射器は、伝搬方向に沿った縦の広がりを有することができるが、その広がりは、センサシステムによって実質的に分解されない。
【0026】
本発明による方法の実施形態では、別個の反射器は、ファイバブラッググレーティングすなわちFBGであるか、またはFBGを含む。FBGは、反射性、反射率帯域幅、反射帯域(reflective band)の波長などに関して高い度合の調整可能性を可能にする。さらに、複数のFBGをファイバの連続する長さに内接させることができ、したがって、反射器によって生じるファイバの機械強度の消失を防ぐか、または制限することができる。
【0027】
代替実施形態では、第1の反射器および/または第2の反射器は、ある長さのファイバからのレイリー後方散乱に基づく。
【0028】
本発明による方法の実施形態では、掃引帯域幅SBWは、光受信器の帯域幅より小さくなるように選択される。これは、LO周波数だけを用いるすべてのセンサチャネルの連続するインテロゲーションの達成を可能にする(下で議論するように、アポディゼーションオーバーラップ期間中のLO周波数のありえる複製を除く)。これは、センサインテロゲーション信号とLO信号との両方に1つの単一の信号掃引信号を使用することをも可能にする。
【0029】
本発明による方法の実施形態では、光受信器は、平衡検波器を含む。
【0030】
一実施形態では、受信器は、異なる位相オフセットを有するLOを用いて干渉を検出するように配置された複数の検波器を含むIQ受信器であり、これらの検波器の出力は、直交するI成分およびQ成分を抽出するために線形に組み合わされる(射影される)。このようにして、正負の周波数成分を弁別することができ、したがって、LO信号が反射されたインテロゲーション信号と同一の周波数範囲にわたって掃引される場合であっても連続するインテロゲーションを可能にする。
【0031】
少なくとも2つの光学検波器を含む複素IQ受信器を使用する場合は、その場合の使用可能帯域幅は正の周波数と負の周波数の両方を含むので、各物理検波器の帯域幅の2倍に等しい使用可能帯域幅を有することが可能である可能性があることに留意されたい。したがって、掃引帯域幅は、それに応じて選択され得る。
【0032】
本発明による方法の実施形態では、局所発振器光信号は、レーザ源によって生成される。たとえば、LO光信号は、インテロゲーション光信号から分割するか、またはインテロゲーション光信号から生成することができる。あるいは、LO光およびインテロゲーション光は、同一のレーザから発するが、異なる電気―光学変調器によって変調されるものとすることができ、あるいは、信号のうちの1つが、レーザの外部で全く変調されないものとすることができる。
【0033】
代替実施形態では、局所発振器光信号は、インテロゲーション光とは別に生成される。
【0034】
局所発振器光が、インテロゲーション光として掃引されず、したがって、戻り光信号とLOとの間のビート信号が時間的に一定ではない一実施形態では、無線周波数信号の復調は、アナログ−デジタル変換器を用いて電気無線周波数信号をサンプリングすることと、結果のデジタル信号を複素合成掃引信号と混合することとを含み、合成掃引信号は、インテロゲーション信号と同一の掃引速度を有するが、反対の符号を有するように生成される。したがって、混合信号の周波数は、掃引インテロゲーション信号または合成掃引信号のいずれかがリセットされる時の2つの周波数チャネルの間のジャンプ、すなわち1掃引期間あたり2回のジャンプを除けば、時間的に一定になる。
【0035】
本発明による方法の実施形態では、局所発振器光信号は、掃引インテロゲーション光信号の一部である。この実施形態ではLO光も掃引されるので、反射信号とLO光との間のビート周波数は、新しいLO掃引が開始される時、および反射信号がある掃引から次の掃引に進行する時を除いて、時間的に一定になる。
【0036】
本発明による方法の実施形態では、掃引持続時間tswが、Ntより大きくなるように選択され、ここで、Ntは、最初のセンサから最後のセンサまでの戻り時間であり、Nは、アレイ内の反射器の個数であり、tは、2つの隣接する反射器の間の平均ラウンドトリップ時間の隔たりである。このようにすると、別々の掃引および別々の反射器からの反射信号の間の受信器での光周波数領域内のオーバーラップが、回避される。
【0037】
この方法の一実施形態では、掃引持続時間tswは、3Ntより大きくなるように選択される。このようにすると、LOと反射器からの直接の一次反射との間の干渉によって引き起こされる所望の信号周波数と、異なる一次反射の間(すなわち、LOを伴わない)の干渉によって引き起こされる望まれないビート周波数との間のRF周波数領域内のオーバーラップを回避することができる。
【0038】
一実施形態では、センサアレイの反射器は、整数の戻り時間遅れ期間tに対応する間隔を有するアレイに沿って配置され、第1の反射器と最後の反射器との間の戻り遅延は、Ntである。したがって、反射器は、必ずしも整数値の遅延tごとに見つかるのではなく、存在する任意の反射器が、そのような整数点に配置される(製造公差以内で)。そのようにすると、アレイ内の複数の反射器から生じる漏話が、たとえば、少なくとも層剥離を説明するために引用により組み込まれている、本願と同一の出願人によるUS7206075 B2号に記載の層剥離を使用することによって補正され得る。
【0039】
一実施形態では、センサアレイの反射器は、±10cmさらには±1cmなど、整数の戻り時間遅れ期間tに対応する間隔±50cmでアレイに沿って配置される。
【0040】
本発明による方法の実施形態では、掃引帯域幅SBWは、約100MHz未満または約20MHz未満など、約200MHz未満になるように選択される。
【0041】
本発明による方法の実施形態では、掃引速度rは、約0.5−50GHz/msまたは約1.0−10GHz/msなど、約0.1−100GHz/msの範囲内になるように選択される。
【0042】
本発明による方法の実施形態では、電気無線周波数信号を多重分離するステップは、正の周波数帯と負の周波数帯とを分離するために、電気無線周波数信号をフィルタリングすることをさらに含む。この実施形態では、この方法は、正の周波数帯および負の周波数帯を周波数においてオーバーラップさせるように計算された一定の複素周波数を有するミキサ信号と混合することによって、正の周波数帯および/または負の周波数帯を周波数シフトすることをさらに含む。最後に、この実施形態の方法は、周波数シフトされた周波数帯を合計して、復調のための組み合わされた信号にすることを含む。このようにして、正負の周波数帯を組み合わせて、センサ位相応答の連続的な検出を可能にすることができる。
【0043】
本発明による方法の実施形態では、フィルタリングは、正の周波数帯または負の周波数帯内にそれぞれ信号がない時間間隔内の雑音を抑制するように構成された時間依存応答を有するフィルタを使用する。したがって、ある帯域からの雑音寄与は、その帯域内に信号が存在せず、他方の帯域が監視されている時に、フィルタリングによって除去され得る。
【0044】
本発明による方法の実施形態では、フィルタリングは、正の周波数帯および負の周波数帯が合計によって組み合わされる前に、正の周波数帯および/または負の周波数帯に時間および周波数に依存する位相シフトを適用するように構成された、時間および周波数応答を有するフィルタを使用する。このようにして、負の周波数帯の間の位相のマッチングを、組み合わされた帯域内で達成することができる。
【0045】
本発明による方法の実施形態では、掃引インテロゲーション光信号の光場振幅は、周波数帯が組み合わされる時の周波数帯の間の漏話を減らすために、アポディゼーションの始めからアポディゼーションの終りまでのアポディゼーション持続時間Tapodにわたり、一方の周波数帯に関する完了する掃引の終りおよび他方の周波数帯に関する後続の掃引の始めに、アポダイズされる。これは、ある掃引から次の掃引へのほぼ瞬間的な周波数ジャンプによって生成されるはずの、そうでなければ非常に広帯域になるビート信号を抑制することによって達成される。
【0046】
本発明による方法の実施形態では、アポディゼーション持続時間Tapodは、0.9・1/SBWから5・1/SBWなど、0.8・1/SBWから10・1/SBWまでの範囲であるか、または1/SBWより大きい。
【0047】
本発明による方法の実施形態では、完了する掃引の終了アポディゼーションおよび後続の掃引の開始アポディゼーションが、時間的にオーバーラップする。したがって、両方の掃引からのインテロゲーション光信号は、オーバーラップに関する遷移中にセンサシステムに同時に発射される。
【0048】
本発明による方法の実施形態では、アポディゼーションは、完了する掃引および後続の掃引の光場振幅の合計がアポディゼーション持続時間全体を通じて実質的に一定になるように構成される。
【0049】
一実施形態では、終了掃引の掃引インテロゲーション光信号は、第1のレーザ源によって提供され、後続掃引の掃引インテロゲーション光信号は、第2のレーザ源によって提供される。このようにして、2つの掃引の単純なアポディゼーションが、たとえば、単に第1のレーザ源および第2のレーザ源からの出力を別々に強度変調することによって、達成され得る。
【0050】
一実施形態では、両方の信号の強度変調は、2つの同時掃引信号を形成する2つの制御信号の和が供給される単一のAOMによって達成される。
【0051】
別の実施形態では、両方の信号の強度変調は、2つの同時掃引信号を形成する2つの制御信号の和が供給される、1つの単側波帯ニオブ酸リチウム変調器によって達成される。代替法では、各光信号を、別々の変調器を用いて強度変調することができる。
【0052】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、実質的に連続するデータ獲得のための干渉計型光ファイバセンサシステムを得るためにさらに有利である。このシステムは、周波数νでインテロゲーション光を放つレーザ源を含む。このシステムは、掃引帯域幅SBW内で掃引持続時間tswにわたって、実質的に一定の掃引速度r=SBW/tswで、周波数ν=ν+fを有するようにインテロゲーション光を連続的に繰り返して周波数掃引するように動作可能な少なくとも第1の光変調器をさらに含む。このシステムは、入力端、遠端を有し、少なくとも第1の反射器および第2の反射器を含むセンサアレイであって、入力端を介して少なくとも第1の光変調器から光出力を受け取るように配置され、入力端で戻り信号をアウトカップル(out−couple)するようにさらに配置されるセンサアレイをさらに含む。コヒーレント受信器が、電気無線周波数信号を作るために、センサアレイからの戻り信号と局所発振器(LO)信号を混合するように配置される。最後に、このシステムは、電気無線周波数信号を、それぞれ第1の反射器および第2の反射器に対応する第1の信号チャネルおよび第2の信号チャネルへと多重分離し、第1の信号チャネルおよび第2の信号チャネルのそれぞれを、第1の反射器からの第1の位相応答および第2の反射器からの第2の位相応答に連続的に復調し、センサ位相信号を得るために、第2の位相応答から第1の位相応答を減算するように構成されたプロセッサを含む。このように、干渉計型光ファイバセンサシステムは、センサシステムにインテロゲートする上述の方法に従って動作するように構成される。したがって、その方法に関して上で説明した利点が、このシステムにもあてはまる。
【0053】
プロセッサは、アナログ処理を使用する、またはソフトウェアとして実装されるなど、異なる形で実装され得る。1つまたは複数のステップがアナログ処理を使用して行われ、残りのステップがソフトウェアで実行されるなど、組合せを使用することもできる。
【0054】
本発明によるシステムの実施形態では、システムは、周波数ν=ν+fを有するように、レーザから放たれた光を線形周波数掃引する第2の光変調器であって、第1の光変調器と並列に接続される第2の光変調器をさらに含む。このシステムは、第1の光変調器または第2の光変調器からセンサファイバ内に光を選択的に発射するように構成された光空間スイッチをさらに含む。このシステムは、さらに、コヒーレント受信器に結合される変調された基準信号をもたらすために、第1の光変調器からの出力光を第2の光変調器からの光と結合する基準光カプラを含む。
【0055】
本発明によるシステムの実施形態では、レーザ源は、連続波(CW)レーザである。
【0056】
本発明によるシステムの実施形態では、レーザ源は、高度にコヒーレントな単一周波数レーザである。このようにして、特に低い周波数雑音のレーザ信号を達成することができ、これは、測定範囲を拡大し、測定分解能を改善するのに有利である。
【0057】
一実施形態では、レーザ源は、ファイバレーザを含む。好ましい実施形態では、レーザ源は、ファイバ分布帰還(DFB)レーザを含む。
【0058】
本発明によるシステムの実施形態では、レーザは、WDM源であるか、または異なるWDMチャネルで放つように配置された複数のレーザである。この文脈では、WDM源は、異なるWDMチャネルに対応する異なる波長の複数のレーザ信号を同時に発する源と理解されなければならない。
【0059】
本発明によるシステムの実施形態では、第1の反射器および/または第2の反射器は、別個の反射器である。
【0060】
本発明によるシステムの実施形態では、別個の反射器のうちの1つまたは複数は、ファイバブラッググレーティング(FBG)であるか、またはFBGを含む。
【0061】
本発明によるシステムの実施形態では、センサアレイは、第1の波長範囲内の光を反射するように構成され、第2の波長範囲内の光に関して実質的に無反射である1つまたは複数の第1の反射器を含む、第1の波長分割多重(WDM)反射器グループを含み、センサアレイは、第2の波長帯域内の光を反射するように構成され、第1の波長範囲内の光に関して実質的に無反射である1つまたは複数の第2の反射器を含む、第2のWDM反射器グループをさらに含む。このようにして、拡大された測定範囲および/または増加された個数のセンサにインテロゲートすることができる。3つ以上のWDM反射器グループを、センサアレイに沿って含めることができ、WDM反射器グループの各個数が、複数の反射器を含むことができることに留意されたい。各WDM反射器グループ内の反射器の個数が、異なるグループにまたがって同一である必要はないことにさらに留意されたい。
【0062】
本発明によるシステムの実施形態では、変調器は、音響光学変調器(AOM)である。センサシステムの別の実施形態では、レーザ源は、掃引インテロゲーション光信号を生成するために直接に変調され得る。
【0063】
一実施形態では、レーザ源は、異なる波長の光を放つように配置された複数のレーザ源のアセンブリである。
【0064】
本発明によるシステムの実施形態では、LO信号は、第1の光変調器によって変調される。
【0065】
本発明によるシステムの実施形態では、LO信号は、第1の光変調器と第2の光変調器との両方によって変調される。
【0066】
本発明によるシステムの実施形態では、光ファイバセンサシステムは、地震センサシステムである。
【0067】
本発明によるシステムの実施形態では、光ファイバセンサシステムは、海底地震センサシステムである。
【0068】
本発明によるシステムの実施形態では、光ファイバセンサシステムは、擬似分布型音響センサ(DAS)システムである。
【0069】
本発明によるシステムの実施形態では、変調器は、位相変調器、たとえば、法2πまたは2πの整数倍の離散時間の二次関数に従う離散時間間隔に光位相を切り替える電気―光学ニオブ酸リチウム位相変調器を含む。これは、離散時間に対する連続的に繰り返される線形周波数掃引をもたらす。位相切替間隔は、通常はτと等しい。強度変調器を追加して、各切替の瞬間の近くの短い時間間隔(通常は<0.5τ)の間に光強度をオフに切り替えて、位相遷移の理想的ではない効果を抑制することができる。
【0070】
第3の態様によれば、本発明は、実質的に連続するデータ獲得のための別の干渉計型光ファイバセンサシステムを得るためにさらに有利である。第2の態様によるシステムと比較すると、このシステムは、直接に変調されるレーザを含み、したがって、掃引インテロゲーション光信号を生成するための第1の光変調器に関する必要性を軽減する。このシステムのいくつかの実施形態では、たとえばレーザからの掃引インテロゲーション光信号をアポダイズし、かつ/または、一般にセンサインテロゲーションおよび局所発振器のための異なる信号を作成するために、1つまたは複数の変調器を含むことができる。
【0071】
本発明の第1の態様、第2の態様、および第3の態様を組み合わせることができる。本発明の上記および他の態様は、以下で説明される実施形態から明白になり、これを参照することによって解明される。
【0072】
次いで、本発明によるインテロゲーションの方法および干渉計型光ファイバセンサシステムを、添付図面に関してより詳細に説明する。図面は、本発明を実施する1つの方式を示し、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる他の可能な実施形態を限定するものとは解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】本発明による方法を示す流れ図である。
図2】本発明によるセンサシステムの実施形態の構成と、センサシステムにインテロゲートする、本発明による方法の実施形態の詳細とを示す図である。
図3】本発明によるセンサシステムの実施形態の構成と、センサシステムにインテロゲートする、本発明による方法の実施形態の詳細とを示す図である。
図4】インテロゲーションの方法の実施形態の詳細を示す図である。
図5】インテロゲーションの方法の実施形態の詳細を示す図である。
図6】インテロゲーション光信号に関する光場のアポディゼーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1に、本発明による干渉計型光ファイバセンサシステムにインテロゲートする方法1を示す。まず、インテロゲーション光2が、ソースのレーザを用いて生成される。レーザは、連続波(CW)タイプのレーザとすることができる。インテロゲーション光は、掃引インテロゲーション光信号を作るために、上で定義されたように、連続し繰り返される形で周波数変調4される。周波数変調4のステップは、レーザ源の直接変調またはレーザ源の外部の変調など、種々の形で実行され得る。外部変調は、好ましくは音響光学変調器(AOM)を用いて実行され得る。掃引インテロゲーション光信号は、その後、少なくとも2つの反射器を含む光ファイバセンサアレイに発射6される。したがって、発射される光は、掃引に起因して発射時刻に依存する周波数を有する。したがって、センサアレイに沿った異なる位置の反射器から反射された光は、反射器が異なるラウンドトリップ遅延を有するので、異なる周波数を有する。個々の反射器からの戻り光を区別するために、全戻り光信号が、局所発振器(LO)信号と混合8されて、受信器に含まれる検波器へ入れられる。このようにして、戻り光信号と局所発振器との間のビート周波数の周波数成分を有する無線周波数信号10が作られる。LO信号に応じて、ある信号反射器のビート周波数が時間に伴って変化する(たとえば、LOが掃引にわたって一定の周波数を有する場合)か、または、LOがインテロゲーション光信号と同一の掃引速度で掃引される場合の一定のビート周波数になるかのいずれかになる可能性があることに注意されたい。したがって、検出された信号のさらなる処理は、光領域ではなく電気領域で実行され得る。これは、たとえば、この図に示された最後の2つのステップ、すなわち、個々のセンサ信号を多重分離すること11、およびRF信号からセンサ応答を得るために各センサ信号を復調すること12において行われる。
【0075】
図2aに、本発明による、本発明の方法の実施形態を実行するように構成されたセンサシステム100の実施形態を示す。レーザ光が、レーザ102内で周波数νを有して生成され、その後スプリッタが光を分割して、AOM2 105に進む局所発振器信号とし、分割の残りの部分は、AOM1 104を用いて周波数掃引されるインテロゲーション光となる。スプリッタの分割比は、好ましくは、ショット雑音が制限された検出をもたらすために、範囲0.1mW−10mW内の光強度を有するLO信号を生じるように選択または調整される。したがって、分割比は、50%の分割に制限されるのではなく、たとえば用途に関連する光強度レベルに基づいて選択され得る。AOM1 104は、デジタルコントローラ(図示せず)によって制御されて、デジタル−アナログ(DA)変換され、RF信号ジェネレータを駆動するのに使用される信号を生成する。このようにして、AOM1は、インテロゲーション光に線形周波数シフトを適用するように動作させられる。センサアレイ110の両方の直交偏光状態をプローブするために、偏光インターリーバ106が配備される。ここで、光は、偏光ビームスプリッタ(PBS)を用いて両方の偏光に等しく結合され、Y偏光は、2つの偏光内でインテロゲーション周波数を分離するように遅延され、X偏光とY偏光は、センサアレイ110への発射前にもう一度組み合わされる。ここに示される実施形態では、システムは、センサアレイ内に、すなわち偏光インターリーバ106の第2のPBSから受信器側のPBS112までに、標準的な単一モードファイバ(SMF)を含む。対照的に、レーザと偏光インターリーバ106との間、LO経路全体、およびPBS112から受信器までに使用されるファイバは、偏光保持ファイバ(PMF)である。計器とセンサアレイ110の反射器との間の長さの光ファイバケーブルは、「引き込みケーブル」として一般に知られている。アレイは、任意の2つの隣接する反射器の間の遅延τを有する、長さに沿って実質的に等間隔の複数の反射器を有する。ここで、図では、最初の2つの反射器R1およびR2は、これらの反射器の間の知られている実質的に一定の長さまたは隔たりを有する基準センサREFを形成するように示されている。このようにして、基準センサからの検出信号を使用して、他のセンサからの検出信号を、レーザ源および変調器からの掃引周波数信号内の周波数変動から生じる同相変動または引き込みファイバ経路もしくはLOファイバ経路内の環境によって誘起される位相変動に起因するドップラ誘起周波数雑音に関して補正することができる。後方反射された信号すなわち戻り光は、サーキュレータ108を介して1つまたは複数の検波器を含む受信器116に向かって導かれる。偏光ビームスプリッタ(PBS)112および2つの2x2カプラ114の組合せを使用することによって、戻り光が、受信器116に達する前にLO信号と混合される。戻り光の2つの偏光状態は、偏光ビームスプリッタ112によって2つの直交受信器偏光チャネルSxおよびSyに射影される。偏光インターリーバ106によって課せられる遅延の差は、入力偏光xおよびyからの応答が、LO信号との混合の後に受信器チャネル上でRF周波数において分離されることを保証する。Sx受信器では、入力xおよび入力yからの応答が、それぞれSx.xおよびSx.yと命名され、Sy受信器では、Sy.xおよびSy.yと命名される。この4つの成分の複素振幅のセットは、偏光インターリーバ106からPBS112までの伝送経路の複素ジョーンズ行列を表し、したがって、センサアレイの偏光状態の完全偏光分解された特性評価を可能にする。したがって、様々な検出された周波数の複素振幅によって与えられるジョーンズ行列を分析することによって、センサ位相の変化とセンサ複屈折の変化との両方を検出することができる。さらに、完全なジョーンズ行列が、時間ステップごとに知られているので、センサアレイ内の複数の反射器から生じる漏話を、たとえば上でも言及したUS7206075 B2号で本願と同一の出願人によって説明される層剥離法によって、除去することができる。光強度雑音および反射信号間の望まれない直接干渉を抑制するために、このシステムは、ここでは、偏光ごとに、2つの検波器からの信号が減算される平衡型レシーバ(balanced receiver)を使用するものと図示されている。最後に、受信器116からの無線周波数電気信号は、アナログ−デジタル変換器(ADC)のセット内でデジタル信号に変換され、アレイ110の各反射器からの信号を分離するために多重分離120され、位相に復調される。図2cに、各反射器の検出されたビート信号を示す。図2cに示されているように、掃引インテロゲーション信号と同一のrを有するが反対の符号を有する合成されたLOと電気信号を混合することによって、ビート周波数の時間依存性を除去することができ、複素振幅を抽出することができる。
【0076】
センサアレイの反射器は、一般に、アレイに沿った任意の位置に配置され得る。しかし、上で言及した層剥離などのデータ処理は、すべての反射器が、整数の選択された周期になる位置にある場合に、単純化される。
【0077】
一例として、周期が10mに選択されると仮定する。この場合は、各位置に、たとえば10mおきに反射器を有する必要はないが、アレイ内に存在する反射器は、周期の整数倍(たとえば、15m、25m、…ではなく10m、20m、…100m、110m、…)に配置されなければならない。当業者は、システム仕様に応じて、周期の他の値を選択できることを理解されよう。
【0078】
図2bに、掃引インテロゲーション信号fおよびLO信号fを示す。インテロゲーション信号は、掃引速度r=SBW/tswを用いて掃引され、SBWは掃引帯域幅であり、tswは掃引持続時間である。一般に、高い同調速度r=dν/dt(インテロゲーション光周波数νの時間導関数)を有することが望ましい。センサチャネル周波数分離または帯域幅は、B=rtと定義され、tは、単一センサのセンサ遅延である。本発明人は、大きい帯域幅B(たとえば、500kHzまで)が、i)高いダイナミックレンジ、ii)大きい復調帯域幅、およびiii)チャネル分離周波数に近いレーザ位相雑音に対する下げられた感度を可能にすることを見出した。B=500kHzおよびt=100nsは、r=50GHz/msに対応する。
【0079】
遅延分解能は、tres>2/SBWによって制限される(係数2は、偏光インターリーバに起因する)。100nsセンサ遅延(10mセンサファイバ)に関して、わずかに20MHzのSBWが必要である。これは、ミリメートルの分解能を得るために焦点を合わされた通常のOFDRシステムで要求されるものよりはるかに小さい。
【0080】
本発明人は、AOM高速掃引周波数シフタと組み合わされたファイバレーザの使用が、要求される高いr、必要なSBW、および極端に低い周波数雑音を可能にすることを見出した。したがって、通常のセンサ長さ(約10m)を用いて、高いダイナミックレンジと低い雑音(高いS/N比)の両方を得ることが可能である。ファイバレーザの直接歪み同調(direct strain tuning)を用いて、同様のrを得ることが可能であることがわかっている(増大させたSBWおよびtrepを用い、trepは、掃引繰返し時間すなわち、ある掃引の始めから次の掃引の始めまでの時間である)。代替法では、抑圧搬送波単側波帯変調器など、他のタイプの周波数変調器を使用することができる。適切な抑圧搬送波単側波帯変調器の一例は、ニオブ酸リチウム(LiNb)変調器である。
【0081】
異なるセンサからの反射(一次)信号の間の光時間周波数領域でのオーバーラップを回避するために、掃引繰返し時間は、最初のセンサから最後のセンサまでの戻り時間N*tより長くしなければならない(反射器の間のtの一定の間隔またはその倍数を仮定する。一次反射信号と前の掃引からの三次(または五次)の反射との間のオーバーラップを回避するために、掃引繰返し時間は、2*N*t(または、それぞれ3*N*t)より長くしなければならない。掃引繰返し時間>3*N*tを保つことによって、検波器での一次センサ周波数と、一次光反射の間の直接干渉(局所発振器を含まない干渉)から生じる周波数との間のオーバーラップを回避することも可能である。これを、図4にさらに詳細に示す。
【0082】
代替実施形態(図示せず)では、AOM1 104とAOM2 105との両方が、インテロゲーション光信号を掃引するのに使用され、両方の掃引信号は、LO信号として使用される。掃引は、AOM1 104で開始され、単にスイッチを第1入力から第2入力に切り替えることによって掃引がAOM2 105からの変調された光を用いて再開始されるまで、掃引は、ファイバアレイ内に発射される。しかし、切替後も、第1の掃引からの戻り光はしばらくの間戻る。したがって、AOM1からの掃引は、その掃引からのすべての戻り光が戻り終えるまで、LOとして使用するために維持される。このようにして、最も離れた反射器についての対応する長いセンサ遅延がある長いアレイに関しても、連続的な測定を達成することができる。センサファイバが、単一の受信器を用いてインテロゲートされる反射器アレイより長い(すなわち、同一のファイバ上で異なる波長帯域をカバーするFBGのWDM多重化を活用する)場合には、増大された掃引繰返し時間が、別の中心波長を用いてインテロゲートされるセンサファイバの部分からのレイリー散乱およびFBG側波帯反射との干渉の除去に寄与する。この場合は、LO信号がインテロゲーション光信号と同一の掃引速度で掃引されるので、受信器信号が、固定された周波数になることに留意されたい。
【0083】
図3に、センサシステムの別の実施形態を示す。この実施形態は、図2に関して上で議論した実施形態に関係する。したがって、ここでは、これらの実施形態に関する相違だけを議論する。前のAOM2が省略されていることがわかる。LO信号を戻り光と混合するのに2つの2x3カプラを使用することによって、120度の位相差を有する3つの複素成分を検出することができる。この3つの成分に基づいて、平衡をとられたIチャネルおよびQチャネルが、線形の加算および減算によって生成される。この実施態様の利点は、AOMは1つのみ必要であることである。ADCの必要な個数は2倍になるが、各ADCの要求される帯域幅は、2分の1に減らされる。さらに、一定の周波数応答が反射器から入手され、受信器からの時間領域漏話が除去される。この実施形態には、ファイバ遅延111(通常は、ファイバコイルの形の)が、光路内でサーキュレータ108とPBS112との間に導入されることも示されている。このようにして、アレイからの反射信号が、LO信号と比較して遅延され、これもやはり増大された周波数差をもたらし、したがって、2つの信号の間の増大されたビート周波数をもたらす。ファイバ遅延111は、LOアーム内またはインターリーバ106とサーキュレータ108との間にも導入され得る。好ましくは、アレイ内の第1の反射器のラウンドトリップ遅延は、掃引繰返し時間が>3Ntに保たれる一方で、LOアームの伝搬時間とオプションの掃引繰返し時間期間の整数倍との和より約Ntだけ長くなるように選択される。これは、図4に示された場合に対応し、下でさらに説明される。このようにして、ビート周波数が、望まれない干渉から分離される。ファイバ遅延111が、同一の理由から、図2に示された実施形態にも含められ得ることに留意されたい。
【0084】
図4に、センサアレイから生じる検出された干渉タイプを示す。図4aには、LO信号が示されている。右側に一次(望まれる)反射が見られ、それらがどの反射器から発するかを示すために、1…Nのラベルが付けられている。見られる信号の次のグループは、最も低次の複数の反射すなわち三次の反射であり、これは、≦2Ntのラウンドトリップ遅延を有する。最後に、複数の反射の次のグループすなわち五次の反射が、≦3Ntの遅延を伴って見られる。図4bは、掃引LO信号との混合の後に観察されるビート周波数を示す。異なるタイプのビート信号が、望まれない干渉、すなわち反射器1からの信号と反射器Nからの信号(LOなし)との間の直接の干渉、または三次もしくは五次の反射とLOとの間の干渉から生じることがわかる。LOと反射器1からの反射との間にNtの遅延を導入することによって、所望の一次ビート周波数が、SBW/3と2SBW/3との間の帯域および−SBW/3と−2SBW/3との間の帯域内に発生する。望まれないビート周波数成分は、図4bに示されるように、これらの範囲の外に含まれる。
【0085】
図4bでは、各センサチャネルからの信号が、正の周波数帯と負の周波数帯との間で交番する。図5に、正の帯域131および負の帯域132内の信号が、連続センサチャネル周波数信号を有する単一の帯域にどのように組み合わされ得るのかを示す。これは、フィルタリングによって周波数領域内の正の周波数帯および負の周波数帯を分離することと、その後、2つの周波数シフトされた帯域を最終的に合計する前に、周波数においてオーバーラップする帯域を作るために一定の周波数を有する複素ミキサ信号と混合することによって帯域のうちの少なくとも1つを周波数においてシフトすることとによって、行うことができる。使用されるフィルタは、それぞれの帯域内に信号がない時間間隔内の雑音を抑制するために、時間依存の応答を有することができる。フィルタリングは、電気無線周波数信号に対して電気的に実行され得、あるいは、AD変換の後にデジタルに実行され得る。
【0086】
組み合わされた帯域の間の遷移時の正しい位相一致を保証するために、帯域の周波数シフトを引き起こす、最後の段落の複素ミキサ信号の位相ならびに組み合わされた信号のバイアス周波数を注意深く調整しなければならない。位相マッチングは、掃引繰返し速度が1/SBWの倍数である場合により簡単になるが、すべての反射器遅延は、やはり1/SBWの倍数である公称センサ遅延τの倍数だけ分離される。しかし、これらの条件が満足されない場合に、周波数帯が組み合わされる前に、周波数帯のそれぞれに時間および周波数に依存する位相シフトを適用することによって、正しい位相一致をそれでも達成することができる。
【0087】
センサアレイにインテロゲートする掃引信号またはLOの最高周波数から最低周波数への遷移が、ほぼ瞬間的である場合には、図5の上側部分内の帯域131および132のうちの1つ内の各センサチャネル周波数信号の開始および停止が、非常に広帯域になる。ある帯域、たとえば正の周波数帯でのオン−オフ遷移またはオフ−オン遷移の時に生成される周波数成分は、反対の帯域、たとえば負の周波数帯とオーバーラップし、帯域が組み合わされる前にフィルタによって除去することのできない望まれない漏話をもたらす可能性がある。そのような漏話を回避するために、AOM 104によって生成される掃引信号は、掃引の開始時および停止時にアポダイズされ得る。アポディゼーションの始めからアポディゼーションの終りまでのアポディゼーション持続時間Tapod>1/SBWが、通常、帯域の間の漏話を回避するために必要である。負の帯域132の最上部および正の帯域131の最上部がすぐ近くにある場合、すなわち、掃引繰返し時間が3*N*tより大幅に短い場合には、Tapodをさらにより長く、1/SBWの数倍などにすることが望ましい可能性がある。
【0088】
アポディゼーションは、完成する掃引の振幅が、次の掃引がそのアポディゼーションの開始時に0を超えて増加し始める前に、アポディゼーションの終了時に0にされる形で行われ得る。しかし、これは、チャネルスペクトルを広げ、望ましくないチャネル漏話に寄与する可能性がある、組み合わされた帯域133の個々のチャネル振幅内の時間に対する狭いディップをもたらす。
【0089】
この問題を回避するために、AOMからの後続の掃引のアポディゼーションは、図6に示されているようにオーバーラップするように設計され得る。終了する掃引の光場の光場振幅(絶対値)134は、ここでは、アポディゼーション持続時間Tapod中に最大振幅から0にされ、後続の掃引の振幅135は、0から最大振幅にされる。アポディゼーションは、好ましくは(この図に示されているように)、2つの振幅の和が本質的に時間に対して一定になるように設計され得る。周波数掃引速度は、好ましくは、両方の掃引のアポディゼーション期間中にrで一定に保たれなければならない。その結果、掃引遷移に起因する個々のチャネル周波数信号振幅における時間に対するディップがなくなり、したがって、チャネル漏話が回避される。したがって、漏話ペナルティを伴わない連続位相復調が、オーバーラップする掃引を使用する、上で説明したアポディゼーション技法を介して可能にされる。
【0090】
一実施形態では、終了する掃引の掃引インテロゲーション光信号は、第1のレーザ源によって提供され、後続の掃引の掃引インテロゲーション光信号は、第2のレーザ源によって提供される。このように、2つの掃引の単純なアポディゼーションを、たとえば単純に第1のレーザ源および第2のレーザ源からの出力を別々に強度変調することによって、達成することができる。一実施形態では、両方の信号の強度変調は、2つの同時掃引信号を形成する2つの制御信号の和が供給される単一のAOMによって達成される。
【0091】
別の実施形態では、両方の信号の強度変調は、2つの同時掃引信号を形成する2つの制御信号の和が供給される1つの単側波帯ニオブ酸リチウム変調器によって達成される。代替法では、各光信号を、別々の変調器を用いて強度変調することができる。
【0092】
本発明を、指定された実施形態に関連して説明したが、これを、いかなる形であれ、提示された例に限定されると解釈してはならない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示される。請求項の文脈では、用語「comprising(含む)」または「comprises(含む)」は、他の可能な要素またはステップを除外しない。また、「a」または「an」その他などの指示の言及を、複数を除外するものと解釈してはならない。図に示された要素に関する請求項内の符号の使用も、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。さらに、異なる請求項で言及される個々の要素は、おそらくは有利に組み合わされ得、異なる請求項でのこれらの特徴の言及は、特徴の組合せが可能でも有利でもないことを除外しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6