(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記肌のトリートメントを施す際の前記トリートメント組成物のコントラスト比が、少なくとも0.1であり、かつ前記トリートメント組成物が、前記背景L値よりも、少なくとも1.5%、好ましくは少なくとも1.0%、更により好ましくは少なくとも0.5%大きい明るさ値を有する、請求項1又は2に記載の方法。
前記画像が、グレースケールで撮影されるか、又はグレースケールに変換されるかのいずれかであり、該グレースケールは、約0〜255単位の範囲を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
前記センサが、1秒につき少なくとも4フレーム、好ましくは100フレーム超、更により好ましくは200フレーム超、更により好ましくは600フレーム超の速度で連続的な画像を撮影可能なカメラである、請求項8に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、以下の、例示的かつ好ましい実施形態の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解されるであろう。特許請求の範囲は本明細書に記載されている具体的な組成物、方法、条件、装置、又はパラメータに限定されず、及び本明細書で使用される用語は特許請求される本発明を限定することを意図するものではないということを理解すべきである。また、添付の特許請求の範囲を含めた本明細書において使用されている単数形「a」、「an」、及び「the」は複数形を含むものであり、特定の数値が言及されている場合、その文脈において特に明確に断られていない限り、少なくともその特定の値が包含される。ある値の範囲が述べられている場合、別の実施形態はその一方の特定の値から及び/又は他方の特定の値までを含む。同様に、ある値が、これに先立つ「約」の使用により近似値として述べられている場合、その特定の値は別の実施形態をなすものと理解される。いずれの範囲も端点を含み、組み合わせることが可能である。
【0009】
「フレクセル」という用語は、角質表面の、小さな画素のような領域として定義される。フレクセルは、そばかす又はその他の肌の形質の小さな部位に相当し得るか、又は、特別な形質のない角質表面のエリアに相当し得る。フレクセルという用語は、測定されるものが、平面ではなく3次元の面であることということを示唆するために用いられる。角質表面の領域は、複数のフレクセルからなる。例えば、1mm当たり11.8個のドット「dpmm」(300ドット/インチ)の解像度が用いられる場合、フレクセル1個は約0.085mm(1/300インチ)の幅及び高さを有し得るため、1平方mm当たり約140個のフレクセルが存在することになる(約90,000フレクセル/平方インチ)。人体の表面は、数百万個のフレクセルを有し得る。
【0010】
本明細書で使用されるすべての百分率及び比率は、組成物全体の重量によるものであり、特に指定しない限り、すべての測定は25℃で行われる。
【0011】
本発明の方法、装置、及び組成物は、使用方法を参照することによって最もよく理解される。方法の各工程、その工程で使用される装置及び組成物を、以下に順々に説明する。
【0012】
本発明の方法は、その最もシンプルな形態では、肌の少なくとも10μm
2の、少なくとも1つの背景画像を撮影するステップと、次にグレースケール画像の平均背景L値を計算するステップとを含む、人間の肌の色調の不完全さを解析してトリートメントすることを対象とする。更に、同じ画像から、個別の画素又は画素群に対して、局所的L値が計算される。次に局所的L値を背景L値と比較して、肌の異常を特定する。肌の異常とは、局所的L値と背景L値との差(この差は「ΔL
M」又は「測定されたΔL」として定義されるが、ここで「Δ」は、2つの値の間の差のための記号として一般的に定義されるものである)の絶対値が、所定のΔL
Sよりも大きい肌のエリアである。背景L値はあらかじめ設定することもでき、あるいは、以下に説明する様々な方法によって計算することもできる。こうして、肌の異常が、所定の、又は変動し得るコントラスト比を有するトリートメント組成物でトリートメントされる。
【0013】
背景L値は、画像内のどこでも計算することができる。画像は、ノズルがトリートメント組成物を吐出すると思われる場所で撮影される。背景L値は、複数の局所的L値の、算術平均値、中央値、又は平均であり得るが、それが意味するのは、計算には、画像における局所的L値のすべて、又はそのサブセットを含み得るということである。
【0014】
同様に、人間の肌をトリートメントするための装置が提供される。装置は、多くのアプリケータノズルを含むアプリケータヘッドと、トリートメント組成物を収容するためのリザーバとを有し、そのトリートメント組成物は、肌トリートメント組成物であり得る。センサ及びCPUが更に提供される。センサは肌の少なくとも10μm
2の画像を撮影し、CPUは画像を解析して、平均背景L値を計算する。センサの出力はまた、肌の個別の画素又は画素群に対する局所的L値を計算するためにも用いられる。次にCPUが、局所的L値を背景L値と比較して、2つのL値間の差が所定の値よりも大きい、肌の異常を特定する。センサが読み取るものは、色、明るさ、反射率、屈折率、温度、質感、及びそれらを混合したものからなる群から選択される値を含む。
【0015】
本発明のシステムとともに用いるための例示的なトリートメント組成物には、化粧品、ポリマー物質、ポリマー性有効成分、水性のもの、非水性のもの、粒子を含有するもの、光学的改質剤、充填剤、光学的整合剤、肌への有効成分、爪への有効成分、毛髪への有効成分、口腔ケア有効成分、抗炎症剤、抗バクテリア剤、抗細菌剤、界面活性剤又は界面活性剤含有有効成分、量子ドット、及びそれらを組み合わせたものが挙げられる。本発明の付着システムによりトリートメント組成物を塗布するための例示的な表面及び非印刷面としては、角質表面、織布面、不織布面、多孔質表面、非多孔質表面、木材、歯、舌、金属、タイル、布、及びそれらを組み合わせたものがある。
【0016】
デバイスの中央演算処理装置(「CPU」)は、様々な市販のデバイスの任意のものであってよい。最もシンプルな形態としては、CPUは、例えばラップトップコンピューター、携帯電話、電気カミソリなどの消費者向け電子デバイス中に存在するもののような、単一のプログラム可能なチップである。当業者には、本発明とともに使用するのに好適な様々な市販のチップ、及びその他のプロセッサは周知であろう。CPUには、特定用途向け集積回路(ASIC)、コントローラ、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)、集積回路、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、プロセッサなどを挙げることができる。CPUはまた、メモリ機能を含んでいてよく、その機能はキャッシュメモリとしてCPUに内蔵されていても、CPUにとって外部的なものであってもよいが、前者の例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)などがあり、後者は例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、スタティックRAM、フラッシュメモリ(例えば、コンパクトフラッシュカード又はスマートメディアカード)、ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ(SSD)、又はインターネット上のクラウドストレージとして設けてよい。リモートのCPU(デバイスに有線的につながれたものであっても無線通信するものであってもよい)を、本発明の方法を実現するために用いることが可能であるということが予想されるが、本明細書ではデバイス内のローカルCPUを例として用いる。CPUの大きさと処理速度は、設計上のパラメータとして重要な考慮事項であるが、コスト及びその他の考慮事項も、デバイスの設計者によって斟酌されるであろう。
【0017】
所定のΔL
Sは、局所的L値と背景L値との間の差の絶対値である。この値ΔL
Sは、絶対数として又は百分率として定義され得る。センサは、例えば、モノクロ又はカラー画像を撮影するカメラ、分光光度計、又は同様の、電磁的エネルギー波長を感知するデバイスである。画像は、当該技術分野で知られている標準グレースケールで撮影又はそれに変換される。なお、明暗を計測する任意の数値尺度を、「グレースケール」としてみなすことが可能である。更に、本明細書において用いる場合のように、「グレースケール」は、直線的な目盛り、又は1つの帯状のもの、又は1つの視覚属性であると意図される。例えば、1つの「グレースケール」視覚属性は、ある具体的な視覚色を定義する1つの波長又は、狭い波長であり得る。1つの「グレースケール」視覚属性の他の例は、例えば、RGBミックスから作られたトゥルーブラック、グレー、白色画像のような画像をなしているそれぞれの画素に対して平均化した波長数値をミックスしたものであり得る。
【0018】
なお、背景L値は、このスケールの両方の端部に近すぎるべきではないということも当業者には理解されるであろう。例えば、もしグレースケールが0〜100で、0はピュアブラックであり、100がピュアホワイトであるとすると、背景が0〜10の範囲内又は90〜100の範囲内である場合に、その背景は意味のある差を示すには明るすぎたり暗すぎたりするという場合がある。したがって、背景L値を、スケールの中央に近づけるように動かすために、背景照明を調整するか、又は、画像を撮影するカメラのゲインを調整することが可能である。本例においては、背景L値が50であることが理想的であり、背景L値が10〜90の範囲内であることが好ましく、20〜80の範囲内であることは、更に好ましい。
【0019】
最も一般的なグレースケールは、0〜255(単位なし)のものであり、他の例には、0〜1024のもの、及び0〜4096のものなどが挙げられる。0〜255のグレースケールの場合、グレースケールのステップ間の差は、少なくとも1/255である。本例においては、60〜210の間の背景L値を提供するようにセッティングした、カメラと照明とを用いることが望ましい。0〜255のグレースケールを用いる場合には、肌のトリートメントを開始させるためのΔL
Sは、好ましくは少なくとも0.5であり、より好ましくは少なくとも1であり、更により好ましくは少なくとも1.5である。同様に、ΔL
Sは、百分率として測定することが可能であり、例えば、数値として2.6のΔL
Sは、255のグレースケールの1.0%に略等しい。したがって、ΔL
Sは、同じグレースケールの±0.25%、好ましくは±0.5%、より好ましくは±0.75%であり得る。
【0020】
肌の異常を隠す、あるいはより適切には、カモフラージュするために用いられる肌トリートメント組成物が、以下により詳細に説明され、例示される。本発明の肌トリートメント組成物の重要な特徴の1つは、コントラスト比である。肌をトリートメントする際のトリートメント組成物のコントラスト比は、少なくとも0.1である。肌の色の明るさとトリートメント組成物の色の明るさとは、既知の方法を用いて、較正された分光光度計によって計測することが可能である。較正された分光光度計を用いる場合、人間の肌の平均L値は、通常、約25〜75の範囲に及ぶ。この場合、対応するトリートメント組成物は、少なくとも2単位分、好ましくは少なくとも3単位分、より好ましくは少なくとも5単位分、消費者の肌の色の平均明るさ値より大きな色の明るさ値を有する。
【0021】
画像は、順次撮影するか、又は好ましくは連続的に撮影する。毎秒少なくとも4フレームを撮影するカメラが好ましい。ハイスピードカメラ(毎秒4フレーム超撮影可能なカメラ)もまた望ましく、例えば、毎秒100フレーム超、200フレーム超、及び600フレーム超もの撮影ができるものがある。すべての画像をグレースケールで撮影するか、あるいはグレースケールに変換するが、そのグレースケールは、例えば0〜255(単位なし)のような任意の範囲を有するものであり得る。これは、約0.2秒又はそれよりも速いリフレッシュレートに略相当する。カメラと調和して、CPUは、毎秒100フレーム、200フレーム超、及び600フレーム超もの速度で処理をする。
【0022】
背景L値に用いられる画像と局所的L値に用いられる画像との間には技術的な差異はなく、差異は、画像の解析におけるものである。したがって、画像は連続的にCPU、すなわち処理ユニットに送られて、L値とΔL
M値とが計算される。上の「送られ(る)」によって、1つの画素当たり、好ましくは少なくとも4ビットのデータが、それぞれの画像に対して移動され、好ましくはこの4ビット(又はそれより多くのビット)のパケットのデータが、それぞれの局所的L値の計算に用いられるということが理解される。なお、背景L値は、トリートメント期間において1回計算され得るが、その値は、トリートメント期間を通じて再使用され得るということが理解される。あるいは、背景L値は、トリートメント処理が続く限り連続的に再計算され得る。更に、背景L値の再計算を開始するために、あらかじめプログラムされたトリガーを用意することも可能である。また、背景L値は、CPUのメモリから読み出したものを、現在の背景L値として用いてもよい。例えば、かなり長い時間が経過しても肌の異常が見つからないという場合や、あるいは肌の異常が過度に頻繁に見つかるという場合には、新たな背景L値が自動的に計算されるようになっていてもよい。同様に、ΔL
Sは、トリートメントのサイクル中ずっと一定に留まる設定値であっても、又は、変化するものであってもよい。ΔL
Sは、様々な理由のうちの任意のものにより、トリートメントのサイクル中に再設定されてもよい。過度に多くのノズルが過度に頻繁に吐出を行っている場合には、ΔL
Sを調節して、ノズルからの吐出の集約度を下げてもよい。同様に、ノズルからの吐出があまりに稀にしか行われないという場合には、ΔL
Sを逆方向に調整して、肌の異常を検出する感度を上げてもよい。当業者ならば、トリートメント中にΔL
Sを修正することは、CPUを、望ましいアルゴリズムに、又はそのようなアルゴリズムによってプログラミングすることの問題であるということを認識するであろう。
【0023】
ΔL
Mが所定の値を超える場合には、肌の異常がトリートメント組成物でトリートメントされる。トリートメントを行うには、トリートメント組成物を肌の異常があるエリアの肌上に分注するノズルのうちの、1つ又はそれより多くのものが吐出を行うことが必要である。好ましくは、トリートメント組成物は、それぞれのサイズが、約0.1〜約50μmの間の別々の液滴による不連続な付着パターンで、肌の異常に対して塗布される。肌の異常の85〜95%を超えない部分がトリートメント組成物により覆われるというのもまた好ましい。より具体的には、トリートメント組成物は、ノズルのアレイを介して塗布され、局所的L値は、ノズルのアレイの長さに沿って、かつ吐出範囲内で計算される。「アレイ」とは、ノズルが、直線状に、複数列状に、オフセット状に、正弦波状に、曲線状に、円形状に、又は鋸刃状に配置されたものであり得る。印刷技術の当業者は、本明細書において開示される方法及び装置において用いることが可能な、ノズルアレイの様々な形状を認識するであろう。ノズルの「吐出範囲」は、ノズルのサイズ、タイプ、デバイスの移動する速度、標的からの距離、及びその他のパラメータに基づいて変化するであろう。本発明のデバイスにおいて使用するのに好適な、様々なタイプのノズルの例を、下に示す。しかしながら一般に、「ノズルの近く」と本明細書において用いた場合には、それは、局所的L値を計算するために撮影した画像が、トリートメント組成物をノズルによって付着させる肌のエリア(ノズルの吐出範囲、又は、着弾ゾーン)に近いことを意味するように意図されている。本発明を制限する意図はないが、「ノズルの近く」とは、画像が、ノズルの中心から約2cm、好ましくは約1cm、より好ましくは約0.7cmの半径の範囲で、撮影されるべきであることを意味する。
【0024】
1つの個別のノズルが、トリートメント組成物を吐出して付着させても、あるいは複数のノズルが同時に吐出をしてもよい。ノズルの直線状アレイに沿って並んでいるノズルのうち、吐出を行うノズルの数は、ΔL
Mの値の大きさと、肌の異常のサイズとに基づいて調整され得る。更に、ノズルが吐出を行う頻度は、ΔL
M値に基づいて調整され得るが、より大きいΔL
M値に対しては、より多くの液滴を次々に吐出するとよい。
【0025】
吐出集約度曲線は、ノズルの吐出速度を調整するように、CPUにプログラムされ得る。例えば、ΔL
MがΔL
Sと等しいか、わずかに大きいという場合には、隣接するノズルが、1回吐出を行う。ΔL
MがΔL
Sの2倍まで大きくなった場合には、隣接するノズルが25回の吐出を行う。ΔL
MがΔL
Sの3倍まで大きくなった場合には、隣接するノズルが100回の吐出を行う。この非制限的な例は、ΔL
Mの、ΔL
Sに対する相対的な大きさが、肌の異常に隣接するノズルが吐出する量、すなわち集約度をどのように決定し得るかを示すことを意図している。当業者は、吐出集約度曲線を、2、3個、又はそれより多くのデータ点を用いてプロットし、次にその吐出集約度曲線をCPUにプログラミングすることは既知の技術である、ということを認識するであろう。
【0026】
本発明により用いられる方法及び装置は、次のように短く要約できる。ここで
図1を参照すると、解析ウィンドウ10は、肌12のサンプルと、ノズルアレイ20とを含むエリアである。解析ウィンドウは、例えば、円形、正方形、長方形、三角形、平行四辺形、又は多角形を含む、任意の形状であり得る。ノズルアレイ20は、オフ状態であり吐出を行っていない個別のノズル24と、吐出を行っている個別のノズル22とを含む。肌の異常30及び31は、ノズルアレイセクション32及び33の下方に示されている。背景L値は、肌エリア12上及びその周辺で計算され、肌エリア14は、局所的L
1値が測定されるエリアであり、肌エリア16は、局所的L
2値が測定されるエリアである。肌エリア14は、ノズルアレイ20の下方にあるが、肌の異常があるエリア内にはない。したがって、局所的L
1値−背景L値(ΔL
1M)は、あらかじめ設定された、ノズルの吐出を開始するための閾値よりも小さい。ノズルの吐出を開始させるのに必要なΔL
S閾値は変化し、用いられるスケールに依存する。例えば、0〜255のグレースケールを用いる場合には、ノズルの吐出を開始させるのに必要なΔL
S閾値は、一般に2以上の値であろう。したがって、
図1に示されている例においては、ΔL
1Mの値は、2より小さい。同様に、肌エリア16は、肌の異常30内にあり、局所的L
2値−背景L値の(ΔL
2M)絶対値は、約2よりも大きい。したがって、肌エリア24及び14の周囲のノズルは、一般にオフ状態であり、肌エリア16の周囲のノズルは、一般に吐出している。粒子又は乾燥したトリートメント組成物で詰まらないように確保するためには、いつでも任意のノズルを任意の時に、単にノズルをクリーンに保つ、又はクリアに保つ、すなわち、ブロックされておらず「健康的」に保つためだけに吐出させ得る。また上に論じたように、肌の異常の真上にあり、肌の異常に反応して吐出を行うノズルの数は、ΔL
Sの大きさ、肌の異常のサイズ(例えば、表面積)、又は当業者により考え出されるその他のパラメータに基づいて調整され得る。
【0027】
トリートメント時間は、トリートメントエリアのサイズ、並びにトリートメントの精度及び分量に基づいて変化する。例えば、女性が、食糧品の買い物に行く前に、単に、顔の少数の小さなエリアを拾い塗りしたいという場合がある。この場合のトリートメントは、数分で済むであろう。あるいは、若い花嫁がウェディングドレスを着て式の前及び結婚写真撮影前に美容サロンに行き、サロンのプロフェッショナルが念入りに肌の露出しているエリアすべてをトリートメントする場合がある。この場合の全身トリートメントには、何時間もかかるであろう。したがって、消費者には、本発明のデバイスを使用するために選ぶ時間の長さに対して、非常に大きなコントロールの余地を有するであろう。
【0028】
ここで、
図2を参照すると、本発明による手持ち式の装置40が示されている。装置40は、物理的スペーサ42により隔てられているが、肌18の真上にある。物理的スペーサ42は、設定された所定の高さαを有し、スペーサが肌18に接触すると、肌上の機械的及び電気的要素がすべて、肌から既知の距離だけ離れているようになっている。機械的及び電気的要素は、装置40と関連付けられており、その例としては、ライト44、画像キャプチャデバイス46、及びプリンターカートリッジ52に取り付けられるカートリッジダイ54に内蔵されるノズルアレイ20を含むが、それらだけに限られない場合がある。これらの要素のすべては、任意追加的に設けられる装置ハウジング41に囲まれている。ライト44は、スペーサ42内で肌18のエリアを照らし、画像キャプチャデバイス46が比較的一定の照明を得られるようにする。背景の照明は、スペーサ42の部位が肌18から上がり、背景照明を入れて、ライト44からの照明を逃がすことが可能になっているため、画像のキャプチャに影響を及ぼすが、照明の小さな逸脱については、ライト44が比較的一定の背景照明を提供することで補正され得る。ライト44は、発光ダイオード(LED)、白熱球、ネオン電球ベースの物、又は任意のその他の市販の光源であり得る。ライト44は、一定の明るさのものであっても、明るさ調整可能なものであってもよい。例えば、調光可能な光源は、背景の明るさが明るすぎたりあるいは暗すぎたりする場合に有用であろう。
【0029】
画像キャプチャデバイス46は、様々な市販のデバイスの任意のものであり得るが、例えば、シンプルなカメラ又はデジタルCMOSカメラチップであり得る。画像キャプチャデバイス46は、肌18の写真を撮影し、それを画像キャプチャ線48を介して、プロセッサ50に送り、解析させる。プロセッサ50は、一般に、中央演算処理装置(CPU)と呼ばれるものであり、シンプルな回路基板、より複雑なコンピュータなどを含み、メモリ機能を含んでいる場合もある。当業者であれば、CPUは、非常に多様な、市販のプログラム可能デバイスのうちの任意のものであり得るということを認識するであろう。既に述べたように、画像は、局所的L値、背景L値、又はその両方を求めるために解析され得る。プロセッサ50の分析処理能力内で、グレースケール転換が行われる。ΔL
Mを決定するため、プロセッサ50内で背景L値を局所的L値と比較されるが、このプロセッサ50は、市販のプログラム可能チップ又はその他の市販の処理装置であり得る。
【0030】
画像解析の結果が、プロセッサにあらかじめプログラムされている基準と比較された結果として、望ましい肌のトリートメントが実現し得る。そのような場合に、例えば、計算されたΔL
Mが所定のΔL
Sを超過すると、プロセッサ50からカートリッジ52に、カートリッジ配線51を介して信号が送られ、ノズルアレイ20内の1つ又はそれ以上のノズルに吐出をさせる。カートリッジ52、ライト44、画像キャプチャデバイス46、プロセッサ50、及び存在し得るその他の機械的及び電気的要素に対する電力は、電力要素54により、複数の電力線55を介して供給される。電力要素54は、電力スイッチ56を介して、オンとオフとの切り替えが可能であり、それにより、装置40もオンとオフとを切り替えられるが、この電力スイッチ56は装置40上のどこに配置されてもよいが、この図中では装置カバー58上に示されている。電力要素54は、電池、再充電可能電池、電気化学的キャパシタ、二重層キャパシタ、スーパーキャパシタ、又はハイブリッド電池−キャパシタシステムを介したエネルギーストレージ機能を含み得る。
【0031】
ここで
図3を参照すると、同図は、カートリッジキャップ62とカートリッジ本体64とを備えるカートリッジ52の分解立体図である。本体64は立管66を含み、その立管66は、典型的には本体64に囲まれており、ノズル出口68を画定するようになっている。任意追加的に設けられるフィルター70により、大きすぎる粒子及びその他のゴミが、ノズルアレイ76から締め出される。フィルター70とノズルアレイ76とは、ノズル出口68の互いに反対側に設けられる。トリートメント組成物74は、カートリッジ本体64を部分的に満たす。発泡体コア72は、カートリッジ本体64に充填され、トリートメント組成物74の背圧を調整するのに役立つ。背圧は、ブラダー(不図示)及び当該技術分野で既知のその他の方法を介して調整され得るが、ここで示される発泡体コアは、フィルター70を通って立管66へ入り、更にノズルアレイ76の中に入るトリートメント組成物74の流量を調整するのをどのように助けるかの一例に過ぎない。コネクター78が電力及び信号を、ノズルアレイ76に提供する。トリートメント組成物74は、圧電的手段、熱的手段、機械的ポンプ手段、又はこれらを組み合わせた手段によりカートリッジ52から噴出され得る。カートリッジ本体64内のトリートメント組成物74は、粒子を含む場合があり、トリートメント組成物は、好ましくは、25℃及び0.1MPa(1atm)の圧力で、0.06mm/日未満の粒子沈降速度を有する。トリートメント組成物は、25℃及び1000Hzで約0.1〜約1000Paの弾性率を更に有し得る。固体ワックス系トリートメント組成物は、最大約100MPaの弾性率を有し得る。好ましくは、トリートメント組成物中の粒子は、約1.1〜約5.0の間の屈折率を有する。
【0032】
本明細書においてはインクジェットカートリッジが図示され、例として出されているが、トリートメント組成物は、その他の「流量制御」デバイス又はノンドロップ制御デバイスで塗布されてもよい。流量制御デバイスは典型的には、物質の個々の液滴が制御される「ドロップ制御技術」として特徴づけられる。インクジェットプリンターは、当該技術分野では周知であるが、ドロップオンデマンド式アプリケータの例であり、この技術は、本発明において用いられ得る。圧電式ドロップ制御デバイス及びその他のマイクロ電気機械式システムは、本発明のデバイスとともに使用するのに適切である。スプレーデバイス及び静電スプレーデバイスは、液滴が集合体としてのみ製造され制御されるノンドロップ制御技術である。スプレーデバイスにおいてはしばしば、比較的広いエリアにスムーズに塗布するために、個々の液滴の制御を欠いていること、又は「ランダム性」が望まれる。対照的に、トリートメント組成物の量と配置とを非常に具体的に制御するのが、しばしば望ましいことがある。
【0033】
ドロップ制御の例には、物質の流量が高精度に制御されて液滴が所望のように送達される「ファイン流量制御」、及び「インクジェット技術」が挙げられる。比較的旧式のインクジェット技術には、液滴を通過させるか又は溝にそらすように交互に帯電される静電偏向プレートを通過させて、帯電した液滴の連続的な流れを供給することが含まれる。この技術は、インクジェットプリンターの当初の設計の基本であったものである。他のインクジェット技術としては、「ドロップオンデマンド」が挙げられる。例えば、Hewlett Packard社により提供される熱式デバイス、及びEpson社及びその他のプリンター製造業者により提供されるような圧電式デバイスが挙げられる。本発明の1つの実施形態においては、ドロップオンデマンド技術が、液滴を帯電させることと組み合わされる。
【0034】
本発明の装置を構築するのに有用な装備が、以下の特許出願公開文書に記載されている:2007年2月11日に最初に出願された、「化粧品及びその他の物質を自動的に塗布するための手持ち式の装置及び方法(Handheld Apparatus and Method for the Automated Application of Cosmetics and Other Surfaces)」という題の国際特許出願公開第2008/098234 A2号;2007年2月12日に最初に出願された、「デジタル画像に基づいて、人の外見を変化させるトリートメント組成物を塗布するためのシステム及び方法(System and Method for Applying a Treatment composition to Change a Person's Appearance Based on a Digital Image)」という題の国際特許出願公開第2008/100878 A1号;2007年2月11日に最初に出願された、「美容用のモニタリングを通じてシミュレーションされた画像を提供するためのシステム及び方法(System and Method for Providing Simulated Images Through Cosmetic Monitoring)」という題の国際特許出願公開第2008/098235 A2号;2007年2月12日に最初に出願された、「薬剤を人間の肌に静電的に塗布するためのシステム及び方法(System and Method for Applying Agent Electrostatically to Human Skin)」という題の国際特許出願公開第2008/100880 A1号;2005年8月12日に最初に出願された、「美容用モニタリング及びトリートメントを通じて、医療用モニタリング及びトリートメントをするためのシステム及び方法(System and Method for Medical Monitoring and Treatment Through Cosmetic Monitoring and Treatment)」という題の米国特許出願公開第2007/0049832 A1号;及び、2005年8月12日に最初に出願された、「人間の肌の視覚的魅力を改善するためのトリートメント組成物を塗布するためのシステム及び方法(System and Method for Applying a Treatment composition to Improve the Visual Attractiveness of Human Skin)」という題の米国特許出願公開第2007/0035815 A1号(なお、上の6件の出願は、いずれもEdgarらによるものである)。Edgarらの6つの各出願の開示内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0035】
本発明の装置は、好ましくは手持ち式のものであるが、改変対象の角質表面上を横切って装置を移動させる構造に連結されていてもよい。手持ち式の場合には、消費者は、トリートメント対象の角質表面上を横切って装置を移動させるだけである。場合により、消費者が、改変する対象の角質表面を置くようになっている固定構造体に、複数の装置を構成することが可能で、これらの複数の装置は、同時に又は順々に、複数の読み取りと塗布とを実行することも可能である。
【0036】
複数回角質表面上を通過させながら、スキャンと塗布とを同時に行うことにより、トリートメント組成物を角質表面に塗布することが可能である。複数回の通過をさせることにより塗布する結果、いくつかの利点が得られる。複数回の通過により塗布するプロセスでは、トリートメント組成物を部分的に塗布し、次に再度、先に部分的な塗布を受けた肌のエリアにスキャンを実施する。更にトリートメント組成物の塗布を実施することが可能で、そこで更に複数回のスキャンと塗布を実施して、美的目標に近づけるようにすることが可能である。このように、消費者が、トリートメントの終点、すなわち「美的目標」を選択することが可能であり、このようにして、トリートメント時間を個人個人の必要と好みに合わせてカスタマイズする。1回の通過によるトリートメントですべての補正を行おうとすると、一部のエリアでは補正過剰となってしまうことが分かっている。
【0037】
センサにより読み取られる角質表面の約1.0〜約10%を、装置がトリートメント組成物でトリートメントするのが望ましい場合がある。そして、アプリケータは、最初のトリートメント組成物を、約0.1〜約50μmの平均直径を有する液滴の形で塗布するとよい。
【0038】
処理組成物
本発明は、様々なトリートメント組成物を用いられ得るが、例えば、インク、染料、顔料、粘着剤、硬化性組成物、光学活性化合物(例えば、半導体量子ドット)、金属酸化物(例えば、二酸化チタン)、中空球、漂白剤、テクスチャ低減ポリマー、肌ケア組成物、毛染め料、脱毛用組成物(しばしば、脱毛剤と呼ばれるもの)、育毛刺激剤、及びそれらの混合物が用いられ得る。
【0039】
本発明のトリートメント組成物を、単独で供給することも可能であるが、あるいは、皮膚科学的に許容可能な担体の存在下で供給することも可能である。本明細書で使用するとき、「皮膚科学的に許容可能な担体」という語句は、その担体が角質組織への局所塗布に好適であり、良好な審美特性を有し、肌ケア組成物の任意の追加成分と適合性があり、安全性又は毒性についていかなる不都合な問題も起こさないことを意味する。担体は多様な形態であり得る。非限定的な例には、単純溶液(水系又は油系)、エマルション、及び固体形状(ゲル、粘着性物質、流動性固体、ワックス、無定形物質)が挙げられる。一部の実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、エマルションの形態である。エマルションは、一般的には、連続水相(例えば、水中油型及び水中油中水型)、又は連続油相(例えば、油中水型及び油中水中油型)を有するものとして分類され得る。本発明の油相は、シリコーン油、非シリコーン油(炭化水素油、エステル、エーテル等)、及びこれらの混合物を含んでよい。例えば、エマルション担体には、それらに限定されないものの、例えばシリコーン中水型、油中水型、及び水中油中水型エマルションのような、連続水相エマルション;及び、例えば、水中油型、水中シリコーン型、及び油中水中シリコーン型エマルションのような連続油相エマルション、が挙げられる。トリートメント組成物は、クリーム、ローション、ゲル、フォーム、ペースト、又は血清などの様々な製品形態で供給され得るが、これらに限定されない。また、トリートメント組成物には、適切な配合及び安定化を目的として抗真菌成分及び抗細菌成分を含んでもよい。
【0040】
本発明のトリートメント組成物は、トリートメント組成物の他の成分の担体又はシャシーとして、保湿剤を含んでもよい。保湿剤の代表的なクラスは、多価アルコールである。好適な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びこれらの誘導体を含む、ポリアルキレングリコール及びアルキレンプロピル、並びにこれらの誘導体;ソルビトール;ヒドロキシプロピルソルビトール;エリスリトール;トレイトール;ペンタエリスリトール;キシリトール;グルシトール;マニトール;ブチレングリコール(例えば、1,3−ブチレングリコール);ペンチレングリコール;ヘキサントリオール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール);グリセリン;エトキシ化グリセリン;及びプロポキシル化グリセリンが挙げられる。
【0041】
他の好適な保湿剤としては、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、グアニジン;グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);種々の形態のいずれかのアロエベラ(例えば、アロエベラゲル);ヒアルロン酸及びこれらの誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム等の塩誘導体);ラクトアミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;尿素;ピログルタミン酸ナトリウム、水溶性グリセリルポリ(メタ)アクリレート潤滑剤(例えば、Hispagel(登録商標))、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
インク、染料、金属酸化物及び顔料(以下、「着色料」と総称する)が、角質表面の色又は反射率を改変するために用いられる。これらの組成物は、化粧用の「メークアップ」組成物の色及び反射率を改変するために、一般的に使用されているものである。ファンデーション、リップスティック、アイライナーは、これらの組成物のほんの幾つかの例であるが、これらはいずれも角質表面の広い部分にわたって均一に塗布される。すなわち、これらは広範囲塗布型のものである。これとは極めて対照的に、本発明の改変用組成物は選択された領域に極めて小規模に選択的に塗布される、すなわち、微小範囲塗布型のものである。好適な着色料としては、無機又は有機顔料及び粉末を挙げることができる。有機顔料としては、天然着色料、並びに合成モノマー及びポリマー着色料を挙げることができる。有機顔料には、医薬品及び化粧品用、並びに食品、医薬品及び化粧品用ブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエロー等として指定される、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン染料などの様々な芳香族型が挙げられる。有機顔料は、レーキと呼ばれる法定色添加物の金属塩からなっていてよい。無機顔料としては、酸化鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム着色剤、及びこれらの混合物が挙げられる。顔料は、顔料を疎水性にする1種類以上の成分でコーティングされてもよい。顔料の性質をより親油性とする好適なコーティング材料としては、シリコーン、レシチン、アミノ酸、リン脂質、無機及び有機油、ポリエチレン、並びに他のポリマー材料が挙げられる。好適なシリコーン処理顔料は、米国特許第5,143,722号に開示されている。無機の白色又は無着色の顔料には、TiO
2、ZnO、ZrO
2、中空球、又は半導体量子ドットが挙げられ、これらは多くの供給業者から市販されている。その他の好適な着色料が、米国特許第7,166,279号に特定されている。着色料は、一般に、肌ケア組成物に知覚可能な色を生じさせるような重量パーセントで含まれる。着色料の粒子形状は、典型的には、球形状、多角形状、又はフラクタル形状である。1つの実施形態においては、肌ケア組成物が有する色は、アプリケータの色と、違いがあることが知覚可能である。「違いがあることが知覚可能である」という表現は、色の違いが、通常の感知能力を有する人に、標準的な照明条件(例えば、昼間の時間帯に屋外で感じるような自然の照度、標準的な100ワット白熱白色電球又は同等の明るさのLED白色電球から2mの距離での照明、又は、1964 CIE標準観察者に対する、800ルクスの、CIEのD65標準照明光によって定義される照明)の下で知覚可能であることを意味する。
【0043】
角質表面と適合性を有する粘着剤は既知であり、そのような粘着剤のうちの任意のものが、本発明の装置によって塗布され得る。角質表面と適合性を有する市販の粘着剤は、3M社(ミネソタ州Minneapolis)から入手可能である。例えば、2001年4月23日に出願の、Blatchfordらに対して発行された米国特許第6,461,467号、1994年11月4日に出願の、Delgadoらに対して発行された米国特許第5,614,310号、及び1991年4月5日に出願の、Heineckeらに対して発行された米国特許第5,160,315号を、参照のこと。これらの特許出願の開示内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。粘着剤を角質表面に選択的に塗布した後、第2のトリートメント組成物を角質表面に散布してもよく、その第2のトリートメント組成物は、角質表面上で粘着剤に膠着することになる。次に、その第2の改変用組成物のうち、角質表面に付着しないものを除去すると、第2のトリートメント組成物を選択的かつ微小範囲に塗布された状態で後に残すことができる。特定の波長のエネルギー、例えば、赤外光又は紫外光などに曝露されると硬化する同様の組成物は、当該技術分野において既知であり、本発明の装置によって塗布され得る。上の方法により、硬化性組成物を、角質表面に選択的に塗布し、次に、角質表面を硬化用のエネルギー源にさらすことにより、この塗布した硬化性組成物を硬化させる。角質表面全体をさらすことも可能であり、あるいは、塗布と同時にさらすことも可能である。
【0044】
小皺又はテクスチャ低減ポリマー及び、肌引き締め剤が知られている。例えば、2000年10月31日に、Estrinに対して発行された、米国特許第6,139,829号、2005年3月21日に、Luizziにより出願された、米国特許出願公開第2006/0210513A1号、2005年3月18日に、Cassinらにより出願された、米国特許出願公開第2007/0224158A1号、及び、2005年1月14日に、Omuraらにより出願された、米国特許出願公開第2007/0148120A1号を参照のこと。これらの特許及び特許出願公開文書の全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。より具体的には、小皺の寄った肌の小皺を柔軟化する美容方法は、美容組成物、特に、顔の肌に局所的に塗布するのに好適な、生理学的に許容される媒質中に、組成物の総重量の0.1〜20重量%の、少なくとも1種類の張り付与剤を含む抗小皺組成物を、小皺の寄った肌に塗布することを含みうる。
【0045】
光学活性粒子は、本発明のトリートメント組成物として用いられ得るが、本発明のトリートメント組成物に添加される場合もある。「干渉性顔料」と時に呼ばれる場合もあるが、これらの粒子は、ナイロン、アクリル、ポリエステル、その他の可塑性ポリマー、天然材料、再生セルロース、金属、中空球、半導体量子ドット、及び鉱物からなる群から選択される複数の基質粒子を含み、かつ、複数の種類の基質粒子のそれぞれに化学的に結合し、光を拡散させるための光学活性粒子の形態で一体のユニットを形成する蛍光増白剤を含む。これらの粒子は、セルライト、目の下のくま、肌の変色、及び小皺を含む肌の欠陥が視覚的に知覚されにくくするのに役立つ。光学活性粒子のそれぞれは、光の拡散性を高めて、肌の欠陥が更に視覚的に知覚されにくくするように、紫外線透過性のコーティングで封入される。封入された光学活性粒子は、紫外線を吸収し、可視光線を放出することが可能であり、かつ、封入された光学活性粒子が肌表面に塗布されると、セルライト、小皺、目の下のくま、及び肌の変色を含む肌の欠陥が視覚的に知覚されにくくするために、光の散乱及び吸収の両方を、光を拡散するようにして行うことが、光学活性粒子には可能である。
【0046】
毛髪着色料及び脱毛組成物もまた、本発明の装置とともに用いられるのに好適である。これらの組成物及びその構成成分は、下記の実施例により最も良く説明される。毛髪着色料用に下記に記載される個々の化学組成物のそれぞれは、任意の他の成分と組み合わせて用いられてもよく、同様に、当業者は、脱毛剤用に与えられる個々の組成物は、他の実施例に記載された他の成分とともに用いられ得るということを認識するであろう。
【0047】
肌ケア組成物は、本発明の装置で塗布され得る。肌ケア組成物は、例えば保湿剤、コンディショナー、アンチエイジングトリートメント、美白トリートメント、日焼け止め剤、サンレスタンニング剤、及びこれらの組み合わせとして使用され得る。
【0048】
肌ケア組成物は、肌のコンディションを調整及び/又は改善するために有用な1種類又はそれ以上の肌ケア有効成分(「有効成分」)を、安全かつ効果的な量で含み得る。「安全かつ有効な量」とは、プラスの効果を誘導するには十分であるが、深刻な副作用を避けるには十分に低い(すなわち、当事者の裁量内で危険率に対して妥当な効果を提供する)化合物又は組成物の量を意味する。肌ケア有効成分の安全かつ効果的な量とは、全組成物重量の約1×10
-6〜約25重量%であり得るが、別の実施形態においては、全組成物重量の約0.0001〜約25重量%であり、また別の実施形態においては、全組成物重量の約0.01〜約10重量%であり、更に別の実施形態においては、全組成物重量の約0.1〜約5重量%であり、また更に別の実施形態においては、全組成物重量の約0.2〜約2重量%であり得る。好適な有効成分には、それらに限定されないが、以下のものが挙げられる:ビタミン類(例えば、例えばナイアシンアミド、ナイアシンニコチン酸、ニコチン酸トコフェリルのようなB
3化合物;例えばパンテノールのようなB
5化合物;ビタミンA化合物並びに、例えば、レチノイド、レチノール、酢酸レチニル、レチニルパルミテート、レチノイン酸、レチンアルデヒド、レチニルプロピオネート、及びカロチノイド(プロビタミンA)を含む、天然及び/又は合成のビタミンA類似体;例えば、ソルビン酸トコフェロール及び酢酸トコフェロールを含む、ビタミンE化合物又はトコフェロール;例えば、アスコルビン酸、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、及びアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビン酸リン酸マグネシウム及びアスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸グルコシド、並びにソルビン酸アスコルビル)などのビタミンC化合物)、ペプチド(例えば、10以下のアミノ酸を含むペプチド、それらの誘導体、異性体、及び金属イオンなどの他種との錯体)、糖アミン(例えば、N−アセチルグルコサミン)、日焼け止め剤、油制御剤、日焼け有効成分、抗にきび有効成分、剥離有効成分、抗セルライト有効成分、キレート化剤、肌美白剤、フラボノイド、蛋白質分解酵素抑制剤(例えば、ヘキサミジン及び誘導体)、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、ペプチド、サリチル酸、育毛調整剤、抗小皺有効成分、抗皮膚萎縮剤、鉱物、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、チロシナーゼ阻害剤、N−アシルアミノ酸化合物、保湿剤、植物抽出物、並びに任意の前記有効成分の誘導体。「誘導体」という用語は、本明細書において用いられる場合、図示されてはいない構造体であるが、基本化合物の変異体であると当業者ならば理解する構造体を指す。例えば、ベンゼンから水素原子を脱離して、メチル基で置換するものである。好適な有効成分については、米国特許出願公開第2006/0275237A1号及び米国特許出願公開第2004/0175347A1号に、更に記載されている。
【0049】
コントラスト比
本明細書で、「コントラスト比」は、組成物を不透明度チャート(Form N2A(Leneta Company(Manwah,NJ))又はその同等物)上に伸ばした後、鏡面反射を除外するように選択される設定で、分光光度計を用いることにより、決定される、組成物の不透明度、又は組成物が光透過を低減させる又は妨げる能力を指す。組成物を不透明度チャートの上部に適用し、次いでフィルムアプリケータ(例えば、BYK Gardner社(メリーランド州Columbia)から市販されているもの、又はその同等物)を用いて、厚さ約0.3mm(約0.01インチ)の厚さを有するフィルムになるように伸ばす。フィルムを、22℃±1℃、0.1MPa(1atm)の条件下で2時間乾燥させる。分光光度計を用いて、製品フィルムのY三刺激値(すなわち、フィルムのXYZ色空間)を測定し、記録する。Y三刺激値は、不透明度チャートの黒色セクション上の製品フィルムの3つの異なる領域で測定し、また、不透明度チャートの白色セクション上の製品フィルムの3つの異なる領域で測定する。
【0050】
第1層又は粉末層のコントラスト比である本発明の個々の層のコントラスト比は、約20未満、好ましくは約10未満、更に好ましくは約6未満である。
【0051】
コントラスト比は、黒色領域における3つのY三刺激値の数学的平均を白色領域における3つのY三刺激値の数学的平均で割り、100をかけて計算される。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、実施形態を本発明の範囲内で、更に説明し実証するものである。実施例は、例示の目的でのみ提供され、本発明の精神と範囲とから逸脱することなく多くの変形例が可能であるため、本発明を限定するものとして考えられるべきものではない。
【0054】
以下の9つの実施例はすべて、本発明のトリートメント組成物である。それらの組成物は、本明細書において説明されている方法及び装置の任意のものによって塗布され得るものであるが、好ましくは、サーマルインクジェットプリンターヘッドとカートリッジとを組み合わせたものを介して塗布される。
【0055】
(実施例1)
【0056】
【表1】
【0057】
ホモジナイザーを用いて、相Aの成分を合わせて混ぜ、Veegumをふるいにかけて入れる。水を75℃まで加熱し始める。20分間、75℃で混ぜ続ける。次に加熱を止める。相Aを冷やしている間に、相Bを別の容器内で合わせて、相Aに混ぜながら添加する。相A/Bを冷やし続けながら、相Cの成分を、一度に1種類ずつ、相A/Bに加える。温度が約50℃に到達したら、混ぜ続けながら相Dを添加する。2〜3分間混ぜて、均質性を確保した後、容器に注ぎ入れる。
【0058】
(実施例2)
【0059】
【表2】
【0060】
ホモジナイザーを用いて、相Aの成分を合わせて混ぜ、Veegumをふるいにかけて入れる。水を75℃まで加熱し始める。20分間、75℃で混ぜ続ける。次に加熱を止める。相Aを冷やし続けながら、相Bの成分を、一度に1種類ずつ、相Aに加える。温度が約50℃に到達したら、混ぜ続けながら相Cを添加する。2〜3分間混ぜて、均質性を確保した後、容器に注ぎ入れる。
【0061】
(実施例3)
【0062】
【表3】
【0063】
ホモジナイザーを用いて、相Aの成分を合わせて混ぜ、Veegumをふるいにかけて入れる。水を75℃まで加熱し始める。20分間、75℃で混ぜ続ける。次に加熱を止める。相Aを冷やし続けながら、相Bの成分を、一度に1種類ずつ、相Aに加える。温度が約50℃に到達したら、混ぜ続けながら相Cを添加する。2〜3分間混ぜて、均質性を確保した後、容器に注ぎ入れる。
【0064】
(実施例4)
【0065】
【表4】
【0066】
相Aの成分を、均一になるまで合わせる。相Bの成分をゆっくりと、一度に1種類ずつ、混ぜながら添加する。相A/Bに相Cの成分を、一度に1種類ずつ、ホモジナイザーを用いて添加して、均質性と更には分散性を確保する。2〜3分間混ぜた後、容器に注ぎ入れる。
【0067】
(実施例5)
【0068】
【表5】
【0069】
ホモジナイザーを用いて、相Aの成分を合わせて混ぜ、Veegumをふるいにかけて入れる。水を75℃まで加熱し始める。20分間、75℃で混ぜ続ける。次に加熱を止める。相Aを冷やしている間に、相Bを別の容器内で合わせて、相Aに混ぜながら添加する。相A/Bを冷やし続けながら、相Cの成分を、一度に1種類ずつ、相A/Bに加える。温度が約50℃に到達したら、混ぜ続けながら相Dを添加する。2〜3分間混ぜて、均質性を確保した後、容器に注ぎ入れる。
【0070】
(実施例6)
【0071】
【表6】
【0072】
ホモジナイザーを用いて、相Aの成分を合わせて混ぜ、Veegumをふるいにかけて入れる。水を75℃まで加熱し始める。20分間、75℃で混ぜ続ける。次に加熱を止める。相Aを冷やしている間に、相Bを別の容器内で合わせて、相Aに混ぜながら添加する。相A/Bを冷やし続けながら、相Cの成分を、一度に1種類ずつ、相A/Bに加える。温度が約50℃に到達したら、混ぜ続けながら相Dを添加する。2〜3分間混ぜて、均質性を確保した後、容器に注ぎ入れる。
【0073】
(実施例7)
【0074】
【表7】
【0075】
ホモジナイザーを用いて、相Aの成分を合わせて混ぜ、Veegumをふるいにかけて入れる。水を75℃まで加熱し始める。20分間、75℃で混ぜ続ける。次に加熱を止める。相Aを冷やしている間に、相Bを別の容器内で合わせて、相Aに混ぜながら添加する。相A/Bを冷やし続けながら、相Cの成分を、一度に1種類ずつ、相A/Bに加える。温度が約50℃に到達したら、混ぜ続けながら相Dを添加する。2〜3分間混ぜて、均質性を確保した後、容器に注ぎ入れる。
【0076】
(実施例8)
【0077】
【表8】
【0078】
相Aの成分を、均一になるまで合わせる。相Bの成分をゆっくりと、一度に1種類ずつ、混ぜながら添加する。相A/Bに相Cの成分を、一度に1種類ずつ、ホモジナイザーを用いて添加して、均質性と更には分散性を確保する。2〜3分間混ぜた後、容器に注ぎ入れる。
【0079】
(実施例9)
【0080】
【表9】
【0081】
ホモジナイザーを用いて、相Aの成分を合わせて混ぜ、Veegumをふるいにかけて入れる。水を75℃まで加熱し始める。20分間、75℃で混ぜ続ける。次に加熱を止める。相Aを冷やしている間に、相Bを別の容器内で合わせて、相Aに混ぜながら添加する。相A/Bを冷やし続けながら、相Cの成分を、一度に1種類ずつ、相A/Bに加える。温度が約50℃に到達したら、混ぜ続けながら相Dを添加する。2〜3分間混ぜて、均質性を確保した後、容器に注ぎ入れる。
【0082】
(実施例10)
【0083】
【表10】
【0084】
相Aの成分を合わせ、色が均一になるまで混ぜる。相Bの成分を合わせ、固相のNaOHが完全に溶解するまで混ぜる。オーバーヘッドミキサーを用いて相Cの成分を合わせ、成分を分散させる。ホモジナイザーを用いて、相Cの粉砕を開始し、ゆっくりと相Aを相Cに添加する。相Dを、相Aの容器の洗浄液として用いて、洗浄液を相Cに添加する。10分間にわたり、あるいは成分が均一になるまで粉砕する。合わせた相に、相Bを最終添加物として加える。均一になるまで、合わせた相を粉砕し混ぜる。
【0085】
(実施例11)
次の実施例は、比較的大きな粒子を含み、視覚的な赤みがかなり減少している。
【0086】
【表11】
【0087】
相Aの成分を合わせ、オーバーヘッドミキサーを用いて、すべての成分が均質になるまで混ぜる。別の容器内に相Bの成分を合わせ、オーバーヘッドミキサーを用いて、固相のNaOHが溶解し、すべての成分が均質になるまで混ぜる。相Aを、液体ホイッスルソノレータシステムの1つのインジェクションチャンバに添加し、相Bを第2のインジェクションチャンバに添加する。これらが、最終製品を形成するための物質の2つの流れとして働く。両方の相を同時に、2500PSIの、内部のブレードをハーフターンに設定した液体ホイッスルの中に同時に送り込む。必要な圧力に達した最終製品を回収する。
【0088】
ここで、
図4、5、及び6を参照すると、これらの図は、同じ女性消費者の写真である。
図4は、この女性の洗顔後の、自然な、ノーメークの肌を示す。
図5は、この被験者が、自身の通常のやり方で、自身の顔にメークアップを施した後に撮影されたものである。
図6は、消費者のメークアップを落とし、その顔を、本発明の装置及び方法でトリートメントした後に撮影されたものである。
図4、5、及び6はすべて、同じ日に撮影されており、各々の写真を撮影する間には、認識できるほど日光にさらされることがない状態であった(すなわち、消費者はトリートメント期間全体を通して、室内にいた)。
【0089】
図4には、肌の異常101、102、103、及び104が明らかである。メークアップを施した後でも、肌の異常101、102、103、及び104はすべて、まだ視認可能である。
図5と
図4を比べると、消費者の肌上に、また肌の異常の上にも色調の差がある。
図4及び5から、メークアップは、人間の肌の全体的な色調を変えるが、肌の欠陥をカモフラージュはしないということが明らかである。
【0090】
図5の写真を撮影した後で、消費者は洗顔してメークアップを落として、自身の肌を、本発明の装置及び方法でトリートメントをして、それから
図6の写真を撮影した。
図4及び5に見える肌の異常101、102、及び104は、
図6においては、略視認不可能となっている。本発明の装置及び方法でトリートメントを施した後では、肌の異常103は、辛うじて視認可能という状態になっている。したがって、本発明の装置及び方法は、肌の自然な状態及び肌にメークアップを施した状態に対して、実質的かつ目に見える変化を、人間の肌の外見に提供する。
【0091】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0092】
本明細書で引用されているあらゆる文献は、あらゆる相互参照特許又は関連特許を含め、明示的に除外されたり、別段に限定されたりしている場合を除き、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明すべてを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と競合する程度に、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0093】
以上、本発明の特定の諸実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行いうる点は当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのようなすべての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。