特許第6374993号(P6374993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6374993
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】複数の吸着カップの制御
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20180806BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B25J13/08 Z
   B25J15/06 M
【請求項の数】22
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-574126(P2016-574126)
(86)(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公表番号】特表2017-520417(P2017-520417A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】US2015040283
(87)【国際公開番号】WO2016010968
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年2月10日
(31)【優先権主張番号】14/333,288
(32)【優先日】2014年7月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ゼーフェンベルゲン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ルブリー,イーサン
【審査官】 松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−329074(JP,A)
【文献】 特開2000−127073(JP,A)
【文献】 特開2009−072850(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0226711(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着グリッパであって、
真空ポンプと、
前記真空ポンプに結合された複数の吸着カップと、
前記吸着カップに対応する複数のバルブと、
前記吸着カップに対応する複数のセンサであって、センサは、前記真空ポンプと前記吸着カップのうちの対応する吸着カップとの間に位置決めされ、当該対応する吸着カップの真空圧力を測定する、複数のセンサと、
を備える、吸着グリッパと、
制御システムであって、
前記複数の吸着カップから少なくとも2つの吸着カップに対応する少なくとも2つのバルブを開け、
前記真空ポンプを作動させて、前記吸着グリッパに、前記複数の吸着カップから前記少なくとも2つの吸着カップを通じて物体に吸着を適用させ、
前記少なくとも2つの吸着カップに対応する前記少なくとも2つのバルブが開いている間に、前記対応するセンサから、前記少なくとも2つの吸着カップのそれぞれの真空圧力を示すセンサデータを受信し、
前記受信したセンサデータに基づいて、前記少なくとも2つの吸着カップの前記それぞれの真空圧力を互いに比較して、前記少なくとも2つの吸着カップから、当該少なくとも2つの吸着カップのうち最も低い真空圧力をもつ少なくとも1つの吸着カップを特定し、
前記少なくとも1つの特定された吸着カップに対応する、開いているバルブの少なくとも1つを閉じる
ように構成される、制御システムと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記制御システムは、
前記少なくとも2つの吸着カップの前記それぞれの真空圧力を用いて、前記吸着グリッパによって前記物体に適用される把持力の量を予測し、
前記吸着グリッパによって前記物体に適用される前記予測された把持力の量を最大にするために、前記少なくとも1つの吸着カップを特定するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御システムは、
前記少なくとも1つのバルブを閉じた後、前記対応するセンサから、開いている対応するバルブに関連する1つまたは複数の吸着カップのそれぞれの更新された真空圧力を示す追加のセンサデータを受信し、
前記追加のセンサデータに基づいて、前記1つまたは複数の吸着カップから無効化するための少なくとも1つの追加の吸着カップを特定し、
前記少なくとも1つの特定された追加の吸着カップを無効化するために、前記少なくとも1つの特定された追加の吸着カップに対応する少なくとも1つの追加のバルブを閉じる
ように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御システムは、
前記少なくとも1つのバルブを閉じた後、前記対応するセンサから、開いている対応するバルブに関連する1つまたは複数の吸着カップのそれぞれの更新された真空圧力を示す追加のセンサデータを受信し、
前記追加のセンサデータに基づいて、再び開くための少なくとも1つの閉じたバルブを特定し、
前記少なくとも1つの特定された閉じたバルブを再び開く
ように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記受信したセンサデータを用いて、交換のための1つまたは複数の吸着カップを特定するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御システムは、
前記吸着グリッパの各バルブを順番に開くことと、
前記対応するバルブが開いているときに、前記真空ポンプを作動させて、前記吸着グリッパに、各吸着カップを通じて前記物体に吸着を適用させることと、
少なくとも1つの漏れている吸着カップを特定することであって、当該漏れている吸着カップは、これに対応する少なくとも1つのバルブが開いているときに真空圧力が下がっている、少なくとも1つの漏れている吸着カップを特定することと、
前記少なくとも1つの漏れている吸着カップに対応する前記少なくとも1つのバルブを閉じることと、
を行うように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記吸着グリッパに結合されたロボットマニピュレータを更に備え、
前記制御システムは、前記ロボットマニピュレータが前記吸着グリッパを用いて前記物体を動かすようにするために、前記ロボットマニピュレータが、前記吸着グリッパの前記少なくとも2つの吸着カップを、前記物体上に動かすようにするように更に構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの光センサを更に備え、
前記制御システムは、前記物体を示す前記少なくとも1つの光センサからの光センサデータに基づいて、前記少なくとも2つの吸着カップを決定するように更に構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御システムは、
前記光センサデータに基づいて、前記物体の少なくとも1つの表面上の予測される吸着カップ性能を示す少なくとも1つの表面品質基準を決定し、
前記少なくとも1つの表面品質基準を用いて前記少なくとも2つの吸着カップを決定する、
ように更に構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御システムは、
前記受信したセンサデータに基づいて、前記吸着グリッパによって前記物体に加えられる力の総量を決定し、
前記吸着グリッパによって前記物体に加えられる力の前記総量に基づいて、前記ロボットマニピュレータが、前記物体に対し吸着を維持するために推定される方式で前記吸着グリッパを用いて前記物体を動かすようにするための軌道を決定する、
ように更に構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ロボットマニピュレータに結合された力トルクセンサを更に備え、
前記制御システムは、
前記力トルクセンサから、前記吸着グリッパ上の少なくとも1つの力を示すセンサデータを受信し、
前記力トルクセンサから受信した前記センサデータを用いて、前記ロボットマニピュレータが、前記物体に対し吸着を維持するために推定される方式で前記吸着グリッパを用いて前記物体を動かすようにするための軌道を決定する、
ように更に構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御システムは、
前記吸着グリッパが前記物体を把持するための1つ又は複数の開いたバルブの組を決定し、
前記決定した1つ又は複数の開いたバルブの組を用いて、前記物体として同じタイプの第2の物体を前記吸着グリッパが把持するように更に構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
吸着グリッパの少なくとも2つの吸着カップに対応する少なくとも2つのバルブを開け、
真空ポンプを作動させて、前記吸着グリッパに、前記吸着グリッパの前記少なくとも2つの吸着カップを通じて物体に吸着を適用させることと、
前記少なくとも2つの吸着カップに対応する前記少なくとも2つのバルブが開いている間に、前記少なくとも2つの吸着カップに対応する少なくとも2つのセンサから、前記少なくとも2つの吸着カップのそれぞれの真空圧力を示すセンサデータを受信することであって、センサは、前記真空ポンプと前記吸着カップのうちの対応する吸着カップとの間に位置決めされて、当該対応する吸着カップの前記真空圧力を示す、センサデータを受信することと、
前記受信したセンサデータに基づいて、コンピューティングデバイスによって、前記少なくとも2つの吸着カップの前記それぞれの真空圧力を互いに比較して、前記少なくとも2つの吸着カップから、当該少なくとも2つの吸着カップのうち最も低い真空圧力をもつ少なくとも1つの吸着カップを特定することと、
前記少なくとも1つの特定された吸着カップに対応する、開いているバルブの少なくとも1つを閉じることと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つの吸着カップの前記それぞれの真空圧力を用いて、前記吸着グリッパによって前記物体に適用される把持力の量を予測すること、
前記吸着グリッパによって前記物体に適用される前記予測された把持力の量を最大にするために、前記少なくとも1つの吸着カップを特定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
真空圧力の閾値レベル未満の真空圧力を有する1つまたは複数の吸着カップを特定することによって、前記少なくとも1つの吸着カップを特定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
命令が内部に記憶された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、コンピューティングシステムによって実行されると、前記コンピューティングシステムに、
吸着グリッパの少なくとも2つの吸着カップに対応する少なくとも2つのバルブを開け、
真空ポンプを作動させて、前記吸着グリッパに、前記吸着グリッパの前記少なくとも2つの吸着カップを通じて物体に吸着を適用させることと、
前記少なくとも2つの吸着カップに対応する前記少なくとも2つのバルブが開いている間に、前記少なくとも2つの吸着カップに対応する少なくとも2つのセンサから、前記少なくとも2つの吸着カップのそれぞれの真空圧力を示すセンサデータを受信することであって、センサは、前記真空ポンプと前記吸着カップのうちの対応する吸着カップとの間に位置決めされて、当該対応する吸着カップの真空圧力を示す、センサデータを受信することと、
前記吸着グリッパが、開いているバルブの複数のさまざまな組み合わせを有しているとき、前記少なくとも2つの吸着カップの前記それぞれの真空圧力を用いて、前記吸着グリッパによって前記物体に適用される把持力の量を予測することと、
少なくとも1つの開いているバルブを特定することであって、それを閉じると、前記吸着グリッパによって前記物体に適用される前記予測された把持力の量を最大にする、開いているバルブの組み合わせを前記吸着グリッパが有するようにさせることになる、少なくとも1つの開いているバルブを特定することと、
前記少なくとも1つの特定された開いているバルブを閉じることと、
を含む機能を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記制御システムは、前記受信したセンサデータを用いて、前記少なくとも2つの吸着カップのうち最も低い真空圧力をもつ、無効にする所定数の吸着カップを特定するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記無効にする所定数の吸着カップは、2つの吸着カップである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御システムは、
前記少なくとも1つの特定された吸着カップが前記物体の特定表面に接触することを決定し、
前記特定表面に接触している、少なくとも1つの追加の吸着カップに対応する少なくとも1つの追加の開いているバルブを閉じる、
ように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つまたは複数の吸着カップから無効化するための少なくとも1つの追加の吸着カップを特定することは、前記少なくとも1つのバルブを閉じた後に下がった、前記少なくとも1つの追加のバルブの少なくとも1つの真空圧力を決定することを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項21】
前記吸着グリッパの各バルブを順番に開くことは、2つ又はそれ以上のバルブのグループを順番に開いて、これに対応する2つ又はそれ以上の吸着カップのグループを並行して試験することを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項22】
前記機能は、
前記吸着グリッパに結合されたロボットマニピュレータが前記物体を軌道を介して動かすようにすることと、
前記吸着グリッパによって前記物体に前記軌道の複数の点で適用される前記予測された把持力の量を最大にする、開いているバルブの複数のコンビネーションを決定することと、
前記物体を前記軌道を介して動かしている間に、前記吸着グリッパに、前記決定された開いているバルブの複数のコンビネーションを使用させて前記物体を把持させるために、前記軌道の前記複数の点で前記バルブの1つ又は複数を調整することと、をさらに含む、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2014年7月16日に出願された米国特許出願第14/333,288号の優先権を主張し、この米国特許出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書において別段の指示がない限り、このセクションにおいて説明される題材は、本出願における特許請求の範囲に対する従来技術ではなく、このセクションに含めることによって従来技術であると認めるものではない。
【0003】
[0003] 把持コンポーネントを含むロボットアーム等のロボットシステムは、物体を持ち上げるかまたは動かすことを含む用途のために用いられる場合がある。例えば、ロボットデバイスを用いて、コンテナを物体で満たすか、物体のスタックを生成するか、または物体をトラックの荷台から荷降ろしすることができる。いくつかの場合では、物体の全ては同じタイプであり得る。他の場合では、コンテナまたはトラックは、箱詰めされた商品、カン、タイヤ、または他の積み重ね可能な物体等の異なるタイプの物体の混合物を含む場合がある。そのようなロボットシステムは、物体が環境内のどこにあるかの所定の知識に基づいて物体を持ち上げるようにロボットアームに指示することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 本開示は、複数の吸着カップを備える吸着グリッパの制御を提供することができる方法および装置を提供する。真空ポンプは、吸着グリッパに物体を把持させるために、このグリッパの1つまたは複数の有効な吸着カップを通じて物体に吸着を適用するように制御され得る。次に、吸着カップに対応するデジタルセンサまたはアナログセンサを用いて有効な吸着カップのうちの1つまたは複数の真空圧力を測定することができる。デジタルセンサまたはアナログセンサからのセンサデータに基づいて、制御システムは、無効化される有効な吸着カップのうちの1つまたは複数を特定することができる。
【0005】
[0005] 1つの例では、吸着グリッパおよび制御システムを備えるシステムが開示される。吸着グリッパは、真空ポンプと、真空ポンプに結合された複数の吸着カップと、吸着カップに対応する複数のセンサとを備えることができ、ここで、センサは、真空ポンプと吸着カップのうちの対応する吸着カップとの間に位置決めされ、当該対応する吸着カップの真空圧力を測定する。制御システムは、真空ポンプを作動させて、吸着グリッパに、複数の吸着カップから1つまたは複数の有効な吸着カップを通じて物体に吸着を適用させ、対応するセンサから、1つまたは複数の有効な吸着カップの真空圧力を示すセンサデータを受信し、受信したセンサデータに基づいて、1つまたは複数の有効な吸着カップから、無効化する少なくとも1つの吸着カップを特定し、少なくとも1つの特定された吸着カップを無効化するように構成され得る。
【0006】
[0006] 別の例では、真空ポンプを作動させて、吸着グリッパに、吸着グリッパの1つまたは複数の吸着カップを通じて物体に吸着を適用させることを含む方法が提供される。本方法は、1つまたは複数の吸着カップに対応する1つまたは複数のセンサから、1つまたは複数の吸着カップの真空圧力を示すセンサデータを受信することを更に含むことができ、ここで、センサは、真空ポンプと吸着カップのうちの対応する吸着カップとの間に位置決めされ、吸着カップのうちの対応する吸着カップの真空圧力を決定する。本方法は、受信したセンサデータに基づいて、コンピューティングデバイスによって、1つまたは複数の吸着カップから、無効化する少なくとも1つの吸着カップを特定することも含むことができる。本方法は、少なくとも1つの特定された吸着カップを無効化することを更に含むことができる。
【0007】
[0007] 別の例において、コンピューティングシステムによって実行されると、コンピューティングシステムに機能を実行させる命令が内部に記憶された非一時的コンピュータ可読媒体が開示される。機能は、真空ポンプを作動させて、吸着グリッパに、吸着グリッパの1つまたは複数の有効な吸着カップを通じて物体に吸着を適用させることを含むことができる。機能は、1つまたは複数の吸着カップに対応する1つまたは複数のセンサから、1つまたは複数の吸着カップの真空圧力を示すセンサデータを受信することを更に含むことができ、ここで、センサは、真空ポンプと吸着カップのうちの対応する吸着カップとの間に位置決めされ、吸着カップのうちの対応する吸着カップの真空圧力を決定する。機能は、受信したセンサデータに基づいて、1つまたは複数の吸着カップから、無効化する少なくとも1つの吸着カップを特定することも含む。機能は、少なくとも1つの特定された吸着カップを無効化することを更に含むことができる。
【0008】
[0008] 更に別の例では、システムは、真空ポンプを作動させて、吸着グリッパに、吸着グリッパの1つまたは複数の吸着カップを通じて物体に吸着を適用させる手段を備えることができる。システムは、1つまたは複数の吸着カップに対応する1つまたは複数のセンサから、1つまたは複数の吸着カップの真空圧力を示すセンサデータを受信する手段を更に備えることができ、ここで、センサは、真空ポンプと吸着カップのうちの対応する吸着カップとの間に位置決めされ、吸着カップのうちの対応する吸着カップの真空圧力を決定する。システムは、受信したセンサデータに基づいて、1つまたは複数の吸着カップから、無効化する少なくとも1つの吸着カップを特定する手段も備えることができる。システムは、少なくとも1つの特定された吸着カップを無効化する手段も更に備えることができる。
【0009】
[0009] 上記の概要は、単なる例示であり、いかなる形でも限定を意図していない。更に、上記で説明した例示的な態様、実施形態および特徴に加えて、図面および以下の発明を実施するための形態および添付の図面を参照することにより、更なる態様、実施形態および特徴が明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】[0010]例示的な実施形態による、移動可能なカート上に搭載されたロボットアームを示す図である。
図1B】[0011]例示的な実施形態による、ロボットデバイスを示す機能ブロック図である。
図2A】[0012]例示的な実施形態による、ロボットアームおよびボックスのスタックを示す図である。
図2B】[0013]例示的な実施形態による、ロボットアーム上に搭載されたセンサによる、図2Aからのボックスのスタックの走査を示す図である。
図2C】[0014]例示的な実施形態による、ボックスを動かしている、図2Aからのロボットアームを示す図である。
図3】[0015]例示的な実施形態による、方法のブロック図である。
図4A】[0016]例示的な実施形態による、複数の吸着カップを有するグリッパを示す図である。
図4B】[0017]例示的な実施形態による、複数の吸着カップおよび対応するセンサを有するグリッパを示す図である。
図4C】[0018]例示的な実施形態による、図4Bからのセンサからの例示的なセンサデータを示す図である。
図4D】[0019]例示的な実施形態による、異なる有効な吸着カップを有する、図4Aからのグリッパを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0020] 例示的な方法およびシステムが本明細書において説明される。本明細書において説明される任意の例示的な実施形態または特徴は、必ずしも、他の実施形態または特徴よりも好ましいかまたは有利であると解釈されない。本明細書において説明される例示的な実施形態は、限定的であることを意図していない。開示されるシステムおよび方法のいくつかの態様は、広範にわたる様々な構成で配置し組み合わせることができ、それらの全てが本明細書において考慮されることが容易に理解されよう。
【0012】
[0021] 更に、図面に示す特定の構成は、限定とみなされるべきでない。他の実施形態が、所与の図面に示す各要素を多かれ少なかれ含み得ることが理解されるべきである。更に、示される要素のうちのいくつかを組み合わせるかまたは省くことができる。また更に、例示的な実施形態は、図面に示されない要素を含む場合がある。
【0013】
[0022] 例示的な実施形態は、複数の吸着カップを有する吸着グリッパの制御を与えることができる。ロボットマニピュレータ(例えば、ロボットアーム)は、ボックス等の物体を持ち上げ、および/または動かすために、そのようなグリッパを備えることができる。例示的な吸着グリッパは、物体に取り付けることが可能な複数の吸着カップを含むことができる。物体を把持するために、吸着グリッパは、物体の表面に隣接するかまたは接続された1つまたは複数の有効な吸着カップを通じて物体に吸着を適用することができる。いくつかの例では、共通の真空ポンプを用いて、有効な吸着カップを通じて吸着を適用することができる。更なる例において、利用可能な吸着カップの異なるサブセットを有効化して、特定の物体を把持することができ、その間、他の吸着カップは無効化されている。
【0014】
[0023] 例において、アナログセンサまたはデジタルセンサを用いて吸着グリッパの個々の吸着カップの真空圧力を測定することができる。より具体的には、特定の吸着カップの使用レベルを決定するために、アナログセンサまたはデジタルセンサを、その特定の吸着カップと共通の真空ポンプとの間にインラインに配置することができる。更なる例において、制御システムは、インラインセンサからのセンサデータを用いて、(例えば、1つまたは複数のバルブを閉じて、真空ポンプが無効化された吸着カップを通じて吸着を適用することを防ぐことによって)無効化する1つまたは複数の吸着カップを特定することができる。1つまたは複数の吸着カップを無効化することによって、グリッパは、残りの有効な吸着カップを通じて、把持される物体に、より大きな吸着力を適用することができる。
【0015】
[0024] 例示的な実施形態において、制御システムはまず、吸着カップのうちの1つまたは複数が物体と接触するように、物体上に吸着グリッパを位置決めするための向きを決定することができる。例えば、制御システムは、物体のサイズおよび形状を示す1つまたは複数の光センサからの光センサデータを用いて、グリッパをどのように位置決めするかを決定することができる。次に、制御システムは、物体と接触する吸着カップを有効化して、この物体に吸着を適用することができる。次に、インラインセンサは、有効な吸着カップの各々の真空圧力を示すセンサデータを制御システムに提供することができる。制御システムは、個々の吸着カップの真空圧力測定値を用いて、物体を把持するのに用いられる有効な吸着カップの組を変更することができる。
【0016】
[0025] いくつかの例では、制御システムは、有効な吸着カップのグループから、真空圧力が最も低い、ある数の吸着カップを無効化することができる。例えば、物体を把持するために、10個の吸着カップが最初に有効化され、その後、10個のうちの、最も真空圧力が低い2つの吸着カップを無効化することができる。他の例では、真空圧力が、ある閾値レベル未満である(例えば、10水銀柱インチ未満または20水銀柱インチ未満)の任意の有効な吸着カップを無効化することができる。更なる例では、センサは、(例えば、吸着カップが物体を把持するために正しく位置決めされていないとき、または物体の特定の表面が、把持するのが困難であるとき)良好な吸着を達成することに失敗した吸着カップを特定し、無効化するのに役立つことができる。
【0017】
[0026] 更なる例において、制御システムは、吸着グリッパによって物体に適用される把持力全体を最大にしようとして、吸着カップのうちの1つまたは複数を無効化することができる。例えば、制御システムは、個々のカップの真空圧力の現在のレベルに基づいて、吸着カップの異なるサブセットを有効化するときにグリッパによって達成される把持力を予測することができる。更なる例では、1つまたは複数の吸着カップを無効化した後、制御システムは、インラインセンサから、残りの有効な吸着カップの真空圧力を示す追加のセンサデータを受信することができる。いくつかの例では、次に、制御システムは、追加の吸着カップを無効化し、および/または、ある無効化された吸着カップを再度有効化して、吸着グリッパの把持力を更に最適化することができる。
【0018】
[0027] 更なる例において、個々の吸着カップの真空圧力を示すセンサデータを受信し、物体を持ち上げ、および/または動かすために吸着グリッパを複数回使用するために記憶することができる。いくつかの例では、経時的に受信されたこのセンサデータを用いて、交換するための1つまたは複数の吸着カップを特定することができる。例えば、センサデータが、特定の吸着カップ(例えば、左上の吸着カップ)の性能不良を繰返し示し、および/または制御システムが、物体を持ち上げる間、その特定の吸着カップを多くの場合に無効化する場合、その吸着カップに、新たな吸着カップと置き換えるようにフラグを付けることができる。
【0019】
[0028] 例において、吸着グリッパをロボットデバイスに結合し、ロボットデバイスによって、物体を持ち上げ、および/または動かすのに用いることができる。いくつかの例では、(例えば、過度な速度で動かし、および/またはグリッパに対し過度に大きな力を生成することによって)吸着グリッパに物体を落下させることなく物体を動かすための軌道を決定することができる。更なる例において、軌道は、吸着グリッパによって物体に加えられる総把持力の尺度に部分的に基づいて決定することができる。これは、個々の有効な吸着カップの真空圧力に基づいて推定することができる。
【0020】
[0029] いくつかの例において、ロボットデバイスは、グリッパに対する力を測定するための力トルクセンサも備えることができる。更なる例において、力トルクセンサからのデータを用いて、吸着グリッパによって物体に適用される把持力を、所与の軌道を通る動きにより生じるグリッパに対する測定された力と比較することによって、吸着グリッパが物体を落下させることを防ぐための軌道を決定または変更することができる。
【0021】
[0030] 更なる例において、吸着グリッパのインラインセンサからのセンサデータを用いて、未来に物体を動かすための把持戦略を精緻化することができる。例えば、異なるタイプの物体を把持するためのグリッパおよび/または吸着カップの位置決めを、グリッパおよび/または吸着カップの過去の性能に基づいて経時的に改善することができる。更なる例において、同様にまたは代わりに、異なるタイプの物体についていずれの吸着カップが有効化されるかを経時的に調整することができる。いくつかの例では、1つまたは複数の機械学習アルゴリズムを、吸着グリッパのインラインセンサからのデータフィードバックと共に用いて、未来の把持戦略も決定または精緻化することができる。
【0022】
[0031] 次に、様々な実施形態を詳細に参照し、それらの例が添付の図面に示される。以下の詳細な説明において、本開示および説明される実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が示される。一方、本開示は、これらの特定の詳細なしで実施することができる。他の例において、実施形態の態様を不要に曖昧にしないように、よく知られた方法、手順、コンポーネントおよび回路は詳細に示されていない。
【0023】
[0032] 様々な実施形態によれば、例えば、格納コンテナ内への、または車両からの、ボックスおよび/または他の物体の自動化された積荷および/または荷降ろしのための方法およびシステムが本明細書に示される。いくつかの例示的な実施形態では、ボックスまたは物体を自動的に体系化し、パレット上に配置することができる。例において、トラックの積荷/荷降ろしのプロセス、および/またはより容易な格納および輸送のために物体からパレットを生成するプロセスの自動化は、いくつかの産業的利点およびビジネスの利点をもたらすことができる。
【0024】
[0033] 様々な実施形態によれば、トラックの積荷/荷降ろしのプロセス、および/またはパレットを生成するプロセスの自動化は、物体を動かすかまたは他の機能を実行するための1つまたは複数のロボットデバイスを組み込むことを含むことができる。いくつかの実施形態では、ロボットデバイスは、車輪付きの基部、ホロミックな基部(例えば、任意の方向に動くことができる基部)、または天井、壁もしくは床のレールと結合することによって移動式にすることができる。いくつかの実施形態では、基部は、上昇させた基部とすることができる。
【0025】
[0034] いくつかの例において、1つまたは複数のセンサ、1つまたは複数のコンピュータおよび1つまたは複数のロボットアームを備えるシステムが説明される。センサは、視覚データおよび/または3次元(3D)奥行き情報を捕捉するために、1つまたは複数の物体を含む環境を走査することができる。次に、デジタル環境再構成を提供するために、走査からのデータを統合して、より大きなエリアの表現にすることができる。更なる例において、次に、再構成された環境を用いて、持ち上げる物体を特定し、物体のための持ち上げ位置を決定し、ならびに/または1つもしくは複数のロボットアームおよび/もしくは移動式基部のための、衝突のない軌道を計画することができる。
【0026】
[0035] 本明細書において用いられるとき、「ボックス」という用語は、パレット上に配置することができ、またはトラックもしくはコンテナに対し積荷または荷降ろしすることができる任意の物体またはアイテムを指す。例えば、「ボックス」は、直方体であることに加えて、カン、ドラム、タイヤまたは任意の他の「単純な」形状の幾何学アイテムを指すことができる。加えて、「積荷」および「荷降ろし」はそれぞれ、他方を暗に意味するように用いることができる。例えば、ある例が、トラックに積荷するための方法を説明する場合、実質的に、同じ方法を、トラックから荷降ろしするためにも用いることができることが理解されるべきである。本明細書において用いられるとき、「パレットに載せる」とは、ボックスをパレット上に積荷し、パレット上のボックスをパレット上で格納または輸送することができるように、ボックスを積み上げるかまたは配置することを指す。更に、「パレットに載せる」および「パレットから降ろす」は、各々、他方を暗に意味するように用いることができる。
【0027】
[0036] 当然ながら、本明細書における例は、ボックス以外の物体、ならびに様々なサイズおよび形状の物体にも適用することができる。
【0028】
[0037] 様々な実施形態によれば、ロボットマニピュレータを、ホロノミックなカート(例えば、カートが任意の方向に動くことを可能にする車輪を有するカート)の上に搭載することができる。図1Aは、ロボットマニピュレータを含む例示的なホロノミックなカートを示す。いくつかの実施形態では、移動可能なカート112は、カート112上に搭載されるロボットアーム102を備えることができる。ロボットアーム102は、環境内で物体を把持するための把持コンポーネント104を含むことができる。カートは、1つまたは複数の車輪114を含むことができ、これらは、2自由度で動作するホロノミックな車輪とすることができる。更なる実施形態では、ラップアラウンド型の前部ベルトコンベア110をホロミックなカート112上に備えることができる。いくつかの例では、ラップアラウンド型の前部ベルトコンベアは、トラックのコンテナまたはパレットに対しボックスの荷降ろしまたは積荷を行うときに、ロボットがそのグリッパを左または右に回転させる必要がないようにすることができる。
【0029】
[0038] 他の例では、ロボットマニピュレータは、異なるタイプの移動可能な装置上に搭載されてもよく、または移動可能な基部上に全く搭載されなくてもよい。例えば、ロボットマニピュレータは、工場出荷時設定内の固定の位置に搭載される場合がある。他の例示的な実施形態では、1つまたは複数のロボットマニピュレータは、トラックまたはコンテナのレール上に搭載される場合がある。そのような例において、ロボットマニピュレータを用いて、トラックまたはコンテナに対し積荷または荷降ろしを行うことができる。
【0030】
[0039] 図1Bは、例示的な実施形態による、ロボットデバイス100を示す機能ブロック図である。ロボットデバイス100は、機械システム120、検知システム130、制御システム140および電源150等の様々なサブシステムを備えることができる。ロボットデバイス100は、より多くのまたはより少ないサブシステムを備えることができ、各サブシステムは、複数の要素を備えることができる。更に、ロボットデバイス100のサブシステムおよび要素の各々を相互接続することができる。このため、ロボットデバイス100の説明される機能のうちの1つまたは複数を、追加の機能コンポーネントもしくは物理コンポーネントに分割するか、またはより少ない機能コンポーネントもしくは物理コンポーネントに組み合わせることができる。いくつかの更なる例では、追加の機能コンポーネントおよび/または物理コンポーネントを、図1Aおよび図1Bによって示される例に加えることができる。
【0031】
[0040] 機械的システム120は、ロボットアーム102、グリッパ104、ベルトコンベア110、(移動可能なまたはホロミックな)カート112、および1つまたは複数の車輪114を含む、上記で図1Aに関して説明したコンポーネントを備えることができる。機械的システム120は、電力を動力とする電気モータである場合があるか、またはガス系燃料もしくは太陽エネルギー等のいくつかの異なるエネルギー源を動力とする場合があるモータ122を更に備えることができる。更に、モータ122は、電源150から電力を受け取るように構成することができる。電源150は、ロボットデバイス100の様々なコンポーネントに電力を提供することができ、例えば、再充電可能なリチウムイオンバッテリまたは鉛酸バッテリを表すことができる。例示的な実施形態では、そのようなバッテリのうちの1つまたは複数のバンクを、電力を提供するように構成することができる。他の電力供給材料およびタイプも可能である。
【0032】
[0041] 検知システム130は、ロボットアーム102が動くときに環境に関する情報を検知する2Dセンサおよび/または3D奥行きセンサとすることができる、センサ106およびセンサ108等の、ロボットアーム102に取り付けられた1つまたは複数のセンサを用いることができる。検知システムは、制御システム140(例えば、運動計画ソフトウェアを実行しているコンピュータ)によって、効率的にボックスを持ち上げ、動かすために用いることができる、環境に関する情報を決定することができる。制御システム140は、デバイス上に配置することもできるし、デバイスと遠隔通信するように配置することもできる。更なる例では、前部ナビゲーションセンサ116および後部ナビゲーションセンサ118等の移動式基部上に固定されたマウントを有する1つまたは複数の2Dまたは3Dセンサ、およびセンサ106およびセンサ108等の、ロボットアーム上に搭載された1つまたは複数のセンサからの走査を統合して、トラックまたは他のコンテナの側面、床、天井および/または前壁を含む、環境のデジタルモデルを構築することができる。この情報を用いて、制御システム140は、荷降ろしまたは積荷のための位置に移動式基部をナビゲートすることができる。
【0033】
[0042] 追加の例では、3Dセンサから平面情報を抽出して、壁、床および/またはボックス面をモデル化することができる。床をモデル化した後、物体を床面上に投影することにより、障害物、および/またはボックス等の目標物体の分離を可能にすることができる。床面投影を用いて、平面として正確にモデル化されていない場合があるコンテナまたはトラックの波型の側面もモデル化することができる。更なる例において、側壁角、床面のロールおよびピッチ、ならびに/または側壁からの距離を用いて、移動式基部を操作して、衝突なしでコンテナ内に入れることができる。単一線走査ではなく、拡張された3D情報を用いることは、ナビゲーション情報の抽出をロバストにするのに役立つことができる。例えば、側壁は、3Dセンサによって捕捉される垂直方向の延長部を有することができる。単一線の奥行き情報を用いる走査システムは、垂直方向に走査する場合に、より低速になる場合があり、および/またはより少ない情報を取得することに起因して、よりロバストでなくなる場合がある。更なる例において、前面モデル化は、トラックの荷降ろしにおいて持ち上げる物体の次のグループへの距離を決定することができる。
【0034】
[0043] 更なる例において、ロボットアーム102は、デジタル吸着グリッドグリッパ等のグリッパ104を備えていてもよい。そのような実施形態では、グリッパは、遠隔検知または単一点距離測定によって、および/または吸着が達成されたか否かを検出することのいずれかによって、オンまたはオフにすることができる1つまたは複数の吸着バルブを含むことができる。更なる例において、デジタル吸着グリッドグリッパは、関節結合された延長部を備えることができる。いくつかの実施形態では、レオロジー流体またはレオロジー粉末を用いて吸着グリッパを作動させることが潜在的に可能であることにより、高い曲率を有する物体の更なる把持を可能にすることができる。
【0035】
[0044] いくつかの実施形態では、グリッパは、潜在的に、いくつかのボックスまたは物体に広がり、カバーされる物体のうちのいくつかまたは全てについて吸着をオンにすることができる。いくつかの実施形態では、吸着または接着デバイスは、「デジタル」グリッドとすることができ、それによって、ロボットデバイスは、把持のために検知されたボックスに合うように任意の数の吸着デバイスをオンにすることができる。いくつかの実施態様では、システムは、ボックスにおける継ぎ目(隣接するボックス間の隔たり)に気づくことができ、それによって、吸着器を、双方の箱を一度に持ち上げることができるように、その継ぎ目の両側で有効化することができ、これによりスループットが二倍になる。いくつかの実施形態では、吸着器は、ある量の時間後に、表面の把持に成功することができるか否かを検知することができ、その後、自動的にシャットダウンすることができる。更なる実施形態では、吸着器のセクションは、ボックスの上部を把持するように折り曲げることができる。例えば、グリッパは、最初に完全に延びた状態から開始し、その後、把持される表面に一致させることができる。
【0036】
[0045] 更なる例において、ロボットアームは、吸着グリップを改善するように、小刻みな動きを行うことができる。更なる実施形態では、ロボットアームは、ボックスをその周囲のものから分離するのに役立つように、ボックスを左右に小刻みに動かすことができる。他の実施形態では、アームは、他の物体とぶつからないようにするために、ボックスを持ち上げる際に小刻みに動くことができる。そのような実施形態において、吸着を用いて物体を持ち上げるために物体に吸着しようとするとき、ロボットアームは、物体に対し堅固な密封を行うために、小刻みな動きを用いることができる。更なる例において、ボックスがより穏やかに他のアイテムとの摩擦または重なり合いによる接触を解くことができるように、ロボットアームが物体を持ち上げているとき、ロボットアームは物体を小刻みに動かすことができる。これによって、物体を過度に真っ直ぐにまたは過度に迅速に引っ張り上げることにより他のアイテムが空中に投げ上げられる状況を回避するのに役立つことができる。
【0037】
[0046] 様々な実施形態によれば、段ボール箱は、吸着デバイスが接着することを困難にする、凹型、凸型、または他の形で皺になった面を有する可能性がある。このため、デバイスが吸着接触を行うときに吸着デバイスを小刻みに動かすことによって、段ボール箱および他の非平面物体に対し、より信頼性のあるグリップを可能にすることができる。更なる例では、箱を最初に把持するとき、いくつかの中央吸着デバイスをオンにし、アームは、ボックスを外に引き出し始めるときに、前後に小刻みに動くことができる。これによって、他のボックスとの表面接着が解かれ、ボックスを外に引き出し始めるのに役立つことができる。ボックスが少なくとも部分的に引き出されると、このボックスを、他のボックスとより容易に分離することができる。いくつかの実施形態では、クラッタ内のオブジェクトを持ち上げる間に小刻みに動かすことにより、持ち上げられる物体から他の物体を除去し、それによって、周囲の物体の望ましくない持ち上げを阻止することができる。
【0038】
[0047] 様々な実施形態によれば、アイテムの分離が把持の成功に必要である場合がある。いくつかの実施形態では、平滑な表面パッチは、2つの別個の物体に属することができる。そのような例において、マニピュレータと物体との相互作用を用いて、物体を互いににより良好に分離するようにシーンを乱すことができる。運動の分離の場合、コンベア上の、スライド上の、荷物の中で動いている、および/または荷物の中で活発にひしめき合っている物体の自然な動きまたは強制された動きを、オプティカルフロー、視差、または時間遅延ビューによって追跡し、物体の分離を向上させるために立体の奥行きを計算することができる。
【0039】
[0048] 他の例において、検知システムによって用いられるセンサのうちの1つまたは複数は、シーン内にパターンを投影すること等のアクティブビジョン技法を用いて、1つまたは複数のカメラと既知のオフセットパターンプロジェクタとの間の奥行き三角測定を可能にする奥行き検知デバイスに登録された、RGBaD(RGB+有効な奥行き)カラーカメラまたはモノクロカメラとすることができる。このタイプのセンサデータは、ロバストな分離を可能にするのに役立つことができる。様々な実施形態によれば、物体をどこにおよび/またはどのように置く(例えば、物体を作り付けの容器内に収める)かを知るために、バーコード、テクスチャコヒーレンス、色、3D表面特性、または表面上にプリントされたテキスト等のキューを用いて、物体を特定し、および/またはその姿勢を見つけることもできる。いくつかの実施形態では、影またはテクスチャの差異を用いて物体を分離することもできる。
【0040】
[0049] ロボットデバイス100の機能の多くまたは全てを、制御システム140によって制御することができる。制御システム140は、メモリ146等の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令144を実行する少なくとも1つのプロセッサ142(少なくとも1つのマイクロプロセッサを含むことができる)を含む。制御システム140は、分散形式でロボットデバイス100の個々のコンポーネントまたはサブシステムを制御する役割を果たすことができる複数のコンピューティングデバイスを表すこともできる。
【0041】
[0050] いくつかの実施形態において、メモリ146は、図1A図1Bに関連して上記で説明したものを含む、ロボットデバイス100の様々な機能を実行するためにプロセッサ142によって実行可能な命令144(例えば、プログラムロジック)を含むことができる。メモリ146は、機械的システム120、センサシステム130および/または制御システム140のうちの1つまたは複数にデータを送信し、これらからデータを受信し、これらとインタラクトし、および/またはこれらを制御するための命令を含む、追加の命令も含むことができる。
【0042】
[0051] 様々な実施形態によれば、知覚により誘導されるロボットが説明される。例えば、ロボットデバイスは、知覚を、ボックスを持ち上げ、進む必要がある場所に配置するようにロボットアームを誘導する計画と共に組み合わせて利用することができる。図2Aは、例示的な実施形態による、図1Aからのロボットデバイスの一部をボックスのスタックと共に示す。示すように、ロボットデバイスは、上記で説明したような把持コンポーネント104、センサ106および108、ならびにコンベア110を有するロボットアーム102を備えることができる。いくつかの例では、ロボットデバイスは、図1Aに関して説明されるようなホロミックカート上に搭載することができるか、異なるタイプの移動可能装置に搭載することができるか、レールもしくはトラックに搭載することができるか、または固定とすることができる。ロボットデバイスは、ボックスの形状およびサイズの異種の混合を含むボックスのスタック220からボックスを持ち上げるように制御することができる。
【0043】
[0052] 例において、2Dおよび/または3Dにおける物体のモデルを含む仮想環境を決定し、これを用いて、ボックスを持ち上げるための計画または戦略を展開することができる。図2Bに示すように、いくつかの例において、ロボットは、1つまたは複数のセンサを用いて、物体を含む環境を走査することができる。ロボットアーム102が動くとき、アーム上のセンサ106は、個々のボックスの形状および/または位置を決定するために、ボックスのスタック220に関するセンサデータを捕捉することができる。更なる例において、個々の(例えば、3D)走査からの情報を統合することによって、3D環境のより大きな画像を構築することができる。これらの走査を実行するセンサは、固定の位置に、ロボットアーム上に、および/または他のロケーションに配置することができる。様々な実施形態によれば、いくつかの異なる技法のうちの任意のものまたは全てに従って、走査を構築および使用することができる。
【0044】
[0053] いくつかの例において、1つまたは複数の3Dセンサが搭載されるロボットアームを動かすことによって、走査を行うことができる。アーム位置からのフィードバックは、センサが位置決めされている場所に関する姿勢情報を提供することができ、統合に役立つように用いることができる。代替的にまたは更に、走査は、例えば、環境における運動を活用し、キーポイントを追跡することによって、1つまたは複数の2Dセンサを用いて行うことができる。更なる例において、走査は、所与のフィールドの視野(FOV)を有する固定式で搭載されたカメラから行うことができる。更なる例では、走査は、精緻な姿勢推定に役立つように視覚的に登録することができ、潜在的に、より良好な統合結果が得られる。
【0045】
[0054] 更なる例において、3D容積モデルまたは表面モデルを用いて仮想環境を構築し、(例えば、異なるセンサからの)情報を統合することができる。これは、1つのセンサが、大きな環境をカバーするのに不十分である場合等に、より大きな環境内でシステムが動作することを可能にすることができる。そのような技法は、捕捉される詳細のレベルを増大させることもでき、これは、ロボットデバイスが様々なタスクを実行するのに役立つことができる。特に、情報を統合することにより、(例えば、雑音レベルを下げることによって)単一の走査のみからよりも精緻な詳細をもたらすことができる。これは、より良好な物体検出、面ピッキングまたは他の応用形態を可能にすることができる。
【0046】
[0055] 更なる例において、環境を検知し、その情報を、単純な数学的3D幾何学形式の単純化された幾何学モデル(例えば、平面、円柱、円錐、半球等)に抽出することによって、広角環境再構成を実行することができる。いくつかの例において、そのような技法は、動きの計画を容易にすることができ、および/またはモデルの違反(例えば、衝突)の検出をより容易にすることができる。代替的に、または更に、そのような技法は、パラメータ記述が環境を拡張させることを可能にすることができる。例えば、地面を、地面を遮蔽する物体の後ろに延びる平面として扱うことができる。
【0047】
[0056] 更なる例において、環境内の平面または他の数学的表面を3Dで抽出することができる。これらの既知の「理想的な」表面検出は、環境のより正確なモデルに組み合わせることができる。例えば、平面を用いて、壁の全範囲(またはその数学的記述)および他の障害物を決定して、衝突を回避し、対象の物体がある場所を検出することができる。また、物体の数学的表現を用いて、人物が環境内に入るとき等の異常を探すことができる。そのような事象は、理想的なモデルに違反する場合があり、これによってそれらの検出をより容易にすることができる。
【0048】
[0057] 他の例では、ボックス等のいくつかの物体は、単純な平坦な形態を有することができる。例えば、金属は、円柱の幾何学的な形態を有することができ、タイヤは、トーラスの幾何学的な形態を有することができる。例示的なシステムは、ある物体をモデル化し、および/またはこれらの物体のための運動計画をどのように行うかを決定するために、これらの物体のこの特徴を活用することができる。例えば、ある形状の既知のテンプレートを用いて、特定の形状に合致するように見える環境内の物体の検出された特徴を精緻化することができる。
【0049】
[0058] いくつかの例において、2Dおよび3D情報は、少なくとも部分的に、1つまたは複数のファサードにより表すことができる。ファサードは、奥行きマップ(例えば、3次元としての距離の2Dマップ)として表される1組の物体を含むほぼ平面の構造物として定義することができる。ファサードの例は、トラック内のボックスの壁、ボックスまたは他の物体を含むパレットのスタックの上面、または乱雑に混ざった物体のビンの上面を含むことができる。
【0050】
[0059] 更なる例において、ファサードは、例えば、どの順序でボックスが持ち上げられるべきかを計画するために、ボックスから構築することができる。例えば、図2Cに示されているように、ボックス222は、ロボッデバイスによって、持ち上げる次のボックスとして特定することができる。ボックス222は、センサ106および108等の1つまたは複数のセンサによって収集されたセンサデータに基づいて構築されたボックスのスタック220の前壁を表すファサード内で特定することができる。次に、制御システムは、場合によってはその形状およびサイズ、ボックスのスタック220の上部のその位置に基づいて、および/またはボックスのターゲットコンテナまたはロケーションの特性に基づいて、ボックス222が持ち上げる次のボックスであると決定することができる。次に、ロボットアーム102は、グリッパ104を用いてボックス222を持ち上げ、ボックス222をベルトコンベア110上に置く(例えば、ボックス222を格納エリアに輸送するため)ように制御することができる。
【0051】
[0060] 更なる例において、ファサードは、3D表面情報の直交投影として表すことができる。この表現は、ファサードをパースして、特定の用途のための交差エリアを決定することを可能にすることができる。例えば、トラックの荷降ろしにおいて、ファサード表現に基づいて、持ち上げる次のボックスの左上の角を決定することができる。他の例において、用途に関連するタスクを実行するために、広FOVの、容易にパースされる表現を与えるための、統合された3D環境の直交投影を決定することができる。1つのそのようなタスクは、持ち上げるためのボックスの1つまたは複数の角(例えば、左上)を見つけることであり得る。別のそのようなタスクは、ビンから物体を取り出すための良好な面(例えば、比較的平坦で大きい)を見つけることを含み得る。
【0052】
[0061] 更なる例において、ボックスのスタックの3Dモデルは、スタックまたはパレットに対しボックスを積荷/荷降ろしするために計画し、進行を追跡するのに役立つモデルとして構築および使用することができる。ファサードの任意の1つの実際のカメラビューは、視点の遮蔽および視野の歪みを被る場合がある。したがって、ロボットアームの動きによる複数のRGBDビュー、および/またはカートの基部もしくは固定されたロケーションからの異なるビューを組み合わせて、持ち上げられるボックスの単一のファサードを生成することができる。
【0053】
[0062] 他の例において、3Dモデルは、衝突回避のために用いることができる。例において、衝突のない軌道を計画することは、環境内の物体および表面の3Dロケーションを決定することを含むことができる。軌道最適化器は、環境再構築によって提供される3D情報を利用して、障害物の存在下で経路を最適化することができる。更なる例において、最適化器は、リアルタイムで機能することができ、多種の制約を受け入れることができる。そのような制約の例として、最適化器は、軌道全体にわたってエンドエフェクタレベルを保持することを試みることができる。
【0054】
[0063] 更なる例において、環境を、メッシュまたは1組の3D点として捕捉することができる。ロボットアームは、迅速な衝突チェックのための、平面セグメントの凸包として表すことができる。環境の一定のまたは頻繁な更新により、ロボットアームは迅速に変化に応答することができる。更なる例において、最適化器は、その経路全体にわたって、頻繁な連続的衝突チェックを行うことができる。最適化器は、例えば、物体からある距離を保ち、所与の角度から目的の位置に接近するために、コストの形態の任意の制約を受容することができる。更に、最適化器は、共同空間において機能し、巻き上げを追跡し、複数の逆運動学解の中から目的の位置を選ぶことによって、ロボットの失敗条件を回避することができる。運動計画のための1つの戦略は、選択された目的のジョイント位置が次の動きにとって受容可能であるか否かを知るために、いくつか先の動きを見ることを含むことができる。
【0055】
[0064] いくつかの実施形態では、ロボットアーム、カメラ、ケーブルおよび/または他のコンポーネントのための衝突回避等の経路制約を、制約ベースの計画ソルバに入れ、それらについて解いて、知覚に関して、アームを動かす最良の経路をもたらすことができる。更に、いくつかの実施形態において、ソルバは、物体を持ち上げ、動かし、配置するための最良の経路を決定することができる。
【0056】
[0065] 様々な実施形態によれば、3Dおよび/または視覚センサを較正して、作業空間に対するそれらの姿勢を決定することができる。固定センサの場合、較正により、作業空間におけるそれらの固定姿勢を決定することができる。アーム上のセンサの場合、較正により、取り付けられるアームリンクからのセンサのオフセット姿勢を決定することができる。
【0057】
[0066] 例において、較正技法は、作業空間内の任意の数のセンサの較正を可能にすることができる。較正は、多岐にわたるパラメータおよび係数のうちのいくつかまたは全てを決定することを含むことができる。例えば、較正は、焦点距離および画像中心等の1つまたは複数の固有パラメータについて解くことができる。別の例として、較正により、径方向および接線の歪みのモデル等の1つまたは複数の歪み係数を決定することができる。また別の例として、較正により、1つまたは複数の固有パラメータについて、シーン内の同じパターンを特定したパターンまたは他のセンサに対し、物体がシーン内のどこにあるかを解くことができる。
【0058】
[0067] いくつかの例において、2Dまたは3Dにおける特徴の既知の組とすることができる較正パターンを用いることによって、較正を少なくとも部分的に行うことができる。例えば、ドットの既知のパターンを用いることができ、ここで、各ドットと他のドットとの間の距離が既知である。物体の複数の異なるビューを収集することによって、較正を少なくとも部分的に行うことができる。更なる例において、異なる位置における較正パターンの複数のビューを捕捉することによって、(1)カメラの1つまたは複数の係数を較正し、および/または(2)構成パターンが固定された場所によって確立される、座標系に対するカメラの場所を知ることが可能になり得る。特定の実施形態では、シーン内のカメラは、ロボットアームにおける較正パターンを特定することができる一方、アーム上のカメラは、シーン内の較正パターンを同時に特定することができる。
【0059】
[0068] 更なる例において、較正は、シーン内に固定されたカメラを含むことができる。この場合において、較正パターンは、ロボットアーム上に置くことができる。ロボットアームは、ロボットアーム上の較正パターンの複数のビューが収集されるときに、シーンを通って動くように構成することができる。これは、カメラを較正するのに役立つことができ、および/またはカメラの座標系をロボットの座標系に関係付けるのに有用であり得る。更に、ロボットアームが動くときに、各デバイスの、他のデバイスに対する関係を各デバイスによって決定することができる。
【0060】
[0069] いくつかの例において、較正は、ロボットアーム上に位置するカメラを含むことができる。較正パターンは、壁またはテーブル上に搭載することができる。次に、カメラを動き回らせ、異なるロボットまたはロボットアーム位置から較正パターンの複数のビューを収集することができる。異なる3Dまたは2Dビュー(例えば、2、20、200)が収集されるとき、これらのビューを用いて、較正関係について解くことができる。較正後、アーム上のカメラが動くとき、システムは、シーン内の較正パターンのロケーションに基づいて設定された座標系に対する自身の場所を決定することができる。特定の実施形態では、較正パターンおよびカメラの双方が移動可能であり得る。例えば、較正パターンは、ベルトコンベア上の、ロボットアームがボックスを配置ように構成され得る場所に位置することができる。較正後、システムは、ベルトコンベア上のそのスポットに対するカメラの場所を決定することができる。
【0061】
[0070] 更なる例において、3Dセンサ較正のロバストな推定のための2段階プロセスにおいて、非線形最適化を行うことができる。1つの段階において、ターゲットおよびセンサの相対的な姿勢オフセットから、初期化を導出することができる。別の段階において、初期化を所与として、バッチバンドル調整を用いて、ターゲットポイントと共にカメラの最適な姿勢を得ることができる。較正は、ジョイントの長さおよびジョイントの角度オフセット等のロボットパラメータの推定に拡張することができる。
【0062】
[0071] 他の例では、較正パターンにわたるカメラの既知の、精密な、ロボット運動、またはカメラにわたる較正パターンを用いて、較正結果を改善することができる。例えば、カメラが厳密にどのように動くかに関する情報を用いて、より正確なカメラ較正を得ることができる。すなわち、カメラが50mm右側に動かされる場合、較正物体からの対応する(透視投影)動きの量を検出することができる。この情報を用いて、較正および追跡パラメータを共同でまたは別々に最適化することができる。
【0063】
[0072] 更なる例において、ロボットは、その進行中の較正を調べ、より良好な較正のための情報を最大にするように動くことができる。例えば、ロボットは、いくつかのエリアが見られていないことを検出し、これらのビューに進むことができる。
【0064】
[0073] 更なる例において、通常、定義されたビンに対するクラッタ化された収集エリアからの異種の分類別のアイテムの実際の操作のためのシステムが提示される。いくつかの実施形態において、アイテムを含む持ち上げるロケーションは、厳密な物体の向きに敏感でない場合があり、アイテムは共に混合される場合がある。更なる例において、アイテムのための配置ロケーションは、物体の向きに敏感である場合も敏感でない場合もある。いくつかの例では、ピックアンドプレース領域は、物体を持ち上げるか、または配置するために受容可能な、いくらかの許容範囲を有する3D領域として定義することができる。ピックアンドプレース領域は、類似したおよび/または完全に異なる物体で非常に雑然としている場合がある。他の実施形態では、アイテムは、分類されたアイテムを特定の向きで保持する金属またはプラスチックのスナップ等の固定具から到来するかまたは固定具に入れることができる。
【0065】
[0074] 更なる例において、ピックアンドプレースロケーションの双方の環境モデリングを、インテリジェント把持ロケーションおよび運動、ならびに(例えば、配置領域がいっぱいであるか、または持ち上げる領域が空であるときの)イベント報告に用いることができる。いくつかの例では、物体境界体積を計算することができ、および/または物体の際立った特徴を見つけることができる(テクスチャ、色、バーコードまたはOCR等)。いくつかの実施形態では、物体は、物体タイプまたは物体IDによってインデックス付けされたロケーション割り当てのデータベースに対し照合することによって、割り当てられた宛先ロテーションに分類することができる。例えば、物体のロケーションは、バーコードを読み出すことから、物体のサイズを考慮して、および/または特定の種類の物体を認識することによって、導出することができる。
【0066】
[0075] いくつかの例では、物体のためのターゲットロケーション内で物体のある構成を達成するために、ロボットデバイスのための計画を決定することができる。例えば、パレットを積荷/荷降ろしまたは構築/分解することの目標は、1)ボックス間の空隙が最小の密な梱包、および/または、2)容易に崩壊しない安定した梱包を達成することであり得る。いくつかの実施形態では、安定性は、通常、重い物体が底部にあり、軽い物体が上部にあることを必要とし得る。他の例では、絡み合っていない列のスタック、列の傾き、または不良なスタックの他の特徴を回避するようにパレットが生成され得る。
【0067】
[0076] 更なる例では、パレットまたはトラック/コンテナは、後続の荷降ろしプロセスにおける人間の操作者による作業が最小になるように積荷され得る。例えば、いくつかの実施形態では、アイテムは、後入れ先出しの順序で置くことができ、梱包を解く際に、最初に必要とされるアイテムが上部にあり、第2に必要とされるアイテムが1つ下の層にあり、以下同様となるようにされる。他の例では、パレットの積荷は、アイテムが梱包室に向かってどのように流れるかと無関係であり得る。このため、いくつかの実施形態によれば、システムは、ランダムな順序でまたは予め知られた順序で送られるパッケージを処理することができる。更に、いくつかの実施形態では、システムは、アイテムのフローにおける変化にオンザフライで適応することができる。更なる例では、1つまたは複数のボックスは、一時格納エリア内でボックスを保持することによって記録および緩衝することができ、この一時格納エリアにおいて、順序を途中で変更することができる。
【0068】
[0077] 様々な実施形態によれば、2Dシミュレータおよび3Dシミュレータを、トラックもしくはコンテナの積荷/荷降ろしのために、またはパレットの積荷/荷降ろしのために利用することができる。いくつかの例では、ボックスのスタックの状態を物理的世界において捕捉し、シミュレータに入力することができる。いくつかの実施形態では、1つのボックスから全てのボックスへのボックスの可変の大きさのキューを、シミュレータによって、持ち上げる次のボックスを見つけるために用いることができる。例えば、2つのボックスまたは4つのボックスまたは10個のボックスのキューをシミュレータによって検討することができる。
【0069】
[0078] 更なる例において、シミュレータは、発見的アルゴリズムによって、および/またはしらみつぶし検索もしくは多重解像度検索によって、最良のボックス配置を見つけるために、キュー内のボックスに対して検索を行うことができる。いくつかの実施形態では、システムは、以前により粗いレベルにおいて見つかった最良の部位の周りのボックスの配置をますます精緻にしていくことができる。いくつかの実施形態では、特定の次のボックスの配置が決定されると、決定されたロケーションにボックスを効率的に動かすために、物理学計画器を動き計画に用いることができる。更なる例において、物理的スタックかつシミュレートされたスタックを、スタックの品質(例えば、配置の密度、安定性および/または順序)について連続して監視することができる。いくつかの例において、プロセスは、全てのボックスが配置されるまで、または目標コンテナが別のボックスをもはや収められなくなるまで、繰り返すことができる。
【0070】
[0079] 図3は、例示的な実施形態による、複数の吸着カップを用いた吸着グリッパの制御を可能にすることができる方法300を示すフローチャートを示す。方法300は、図1A図1Bに関して示され説明されるように、移動可能なカート上に搭載されたロボットアームを備えるデバイス等の吸着グリッパを装備することができる任意のロボットデバイスを用いて実行することができる。他の例では、方法300は、様々なタイプの移動可能な装置上、レールもしくはトラック上、または静止ロケーション上に搭載されたロボットマニピュレータを用いて実行することができる。更なる例では、方法300の一部または全てを、吸着グリッパ内に位置する、ロボットデバイス上に位置する、および/またはロボットデバイスと遠隔通信する1つまたは複数の制御システムによって実行することができる。更に、単一のロボットアーム上のエンドエフェクタが搭載された吸着グリッパの例が説明される場合があるが、様々な代替的な実施形態は、他のタイプのロボットマニピュレータを含んでもよく、ロボットアームマニピュレータと統合された他の自動システムを含んでもよい。
【0071】
[0080] 更に、本明細書において説明されるフローチャートと関連付けて説明された機能を、図3に示すフローチャートに関連付けて説明された特定の論理機能、決定、および/またはステップを達成するためにプロセッサによって実行される特殊な機能および/または構成された汎用機能ハードウェアモジュール、プログラムコードの一部として実施することができることに留意されたい。用いられる場合、プログラムコードは、例えば、ディスクまたはハードドライブを含むストレージデバイス等の任意のタイプのコンピュータ可読媒体上に記憶することができる。
【0072】
[0081] 更に、図3に示すフローチャートの各ブロックは、プロセスにおける特定の論理機能を実行するように配線された回路部を表すことができる。特に示されない限り、図3に示すフローチャートにおける機能は、別個に説明された機能を実質的に同時に実行することを含めて、示されるかまたは論考されるのと異なる順序で実行されてもよく、更には、説明された方法の機能全体が維持される限り、関与する機能に応じて、いくつかの例では逆の順序で実行されてもよい。
【0073】
[0082] 図3のブロック302に示すように、方法300は、最初に、真空ポンプを作動させて、吸着グリッパに、1つまたは複数の吸着カップを通じて物体に吸着を適用させることを含むことができる。より詳細には、吸着グリッパは、それぞれ物体の表面に取り付けることができる、ある数の吸着カップ(例えば、4個または9個または16個)を備えることができる。制御システムは、真空ポンプに、有効な吸着カップを通じて吸着を適用(例えば、物体を把持)させることによって、吸着カップのうちの1つまたは複数を「有効化」することができる。いくつかの例において、真空ポンプが無効化された吸着カップを通じて吸着を適用しないように、1つまたは複数の吸着カップを無効化することもできる。例えば、各無効化された吸着カップに対応するバルブを閉じて、無効化された吸着カップを真空ポンプから切り離すことができる。
【0074】
[0083] 例において、吸着グリッパは、吸着グリッパを用いて物体を持ち上げ、および/または動かすロボットマニピュレータ(例えば、ロボットアーム)に取り付けることができる。更なる例において、ロボットマニピュレータおよび/または吸着グリッパの制御システムが、最初に吸着グリッパを位置決めすることができ、それによって、グリッパの吸着カップのうちのいくつかまたは全てが物体に隣接し、物体を把持するように有効化され得る。更なる例では、ロボットマニピュレータは、物体の形状および/またはサイズを検出することが可能な1つまたは複数の光センサ(例えば、奥行きおよび/または視覚センサ)を備えることができる。制御システムは、光センサからのデータを用いてグリッパを位置決めし、および/またはグリッパのいずれの吸着カップを最初に有効化するかを決定することができる。
【0075】
[0084] いくつかの例では、吸着カップの全てを物体の表面と接触して位置決めし、物体を把持するように最初に有効化することができる。例えば、吸着グリッパは、16個の吸着カップを含むことができ、16個全ての吸着カップを有効化して、あるタイプの物体を持ち上げることができる。更なる例では、吸着カップは、物体の異なる表面に貼り付けるような向きにすることができる。例えば、1つの例において、吸着カップのうちの8つを、ボックスの上面に貼り付けるような向きにすることができ、吸着カップのうちの別の8つを、ボックスの正面に貼り付けることができる。更なる例では、吸着グリッパは、物体の複数の面を把持するために、異なる向きを有するグリッパの複数の表面上に吸着カップのグループを含むことができる。
【0076】
[0085] 更なる例では、吸着グリッパの吸着カップの、ある部分のみを、物体を把持するために最初に有効化することができる。例えば、吸着グリッパは、16個の吸着カップを含むことができるが、吸着カップのうちの10個のみを、物体を把持するために特定の物体に貼り付けるように位置決めすることができる。更なる例では、物体のいずれの表面を把持することができるかに依拠して物体を持ち上げるために、吸着カップの、あるサブグループを有効化することができる。例えば、システムは、ボックスの上面のみを用いてボックスを把持する「上面での持ち上げ(top pick)」を実行することができ、上面での持ち上げのために、ボックスの上面に吸着を適用するように用いられる吸着カップのみを有効化することができる。
【0077】
[0086] 更なる例では、知覚制御システムは、光センサデータおよび/または他のタイプのデータを活用して、グリッパをどのように位置決めするかおよび/または特定の物体を持ち上げるためにいずれの吸着カップを有効化するかを決定することができる。更なる例では、3次元視覚データを用いて、吸着カップ性能に関して物体表面の表面品質の推定値を決定することができる。表面品質の推定値を用いて、把持が開始する前に、配置および/または真空フローを含めて、吸着カップの状態を初期化することができる。いくつかの例では、この初期化により、真空センサフィードバックに基づいて制御アルゴリズムがより迅速に収束することを可能にすることができる。
【0078】
[0087] 更なる例では、表面品質基準は、表面の曲率(例えば、表面がどの程度平面に近いか)、表面の連続性(例えば、表面が孔または他の変形を有するか否か)、および/または表面のテクスチャ(例えば、表面が粗いかまたは平滑であるか)に基づくことができる。更なる例では、表面品質基準は、エリア(例えば、吸着カップが全体領域をカバーするか、または領域のある部分をカバーするか)にも基づくことができる。特定の表面上の吸着カップ性能を示す他の要因を同様にまたは代わりに用いて、基準の表面品質を決定してもよい。
【0079】
[0088] いくつかの例では、表面品質基準を、把持検索アルゴリズムの一部として用いて、良好な把持配置を見つけることができる。他の例では、表面品質基準を用いて、グリッパが行使し得る確度の高いグリッパ力を推定することもできる。いくつかの場合では、この推定を制御アルゴリズムによって用いて、把持を中止するか、または物体を動かすためのより保守的な軌道を選択することができる。更なる例では、表面品質基準および対応する確度の高いグリッパ力の推定値を、真空吸着カップ制御アルゴリズムに先行して用いることができる。
【0080】
[0089] 図4Aは、例示的な実施形態による複数の吸着カップを有する吸着グリッパを示す。より詳細には、吸着グリッパ400は、ボックス402等の物体を把持するためのいくつかの吸着カップ404〜420を含むことができる。吸着グリッパ400は、物体に吸着を適用するために、吸着カップ404〜420の任意のものまたは全てを通じて吸着を適用することが可能な真空ポンプ430を更に含むことができる。いくつかの例では、吸着グリッパ400は、エンドエフェクタに搭載することができるか、または他の形でロボットマニピュレータに結合し、グリッパによって把持されている物体を動かすことができる。図4Aにおいて、吸着グリッパ400は、9個の吸着カップを有して示されているが、異なる数の吸着カップが用いられてもよい。更に、真空ポンプまたは吸着カップ等の吸着グリッパのコンポーネントは、異なる方法で構成されてもよく、および/またはここで同様に具体的に示されているものと異なる位置に配置されてもよい。
【0081】
[0090] 更なる例において、吸着グリッパ400の吸着カップ404〜420のうちの1つまたは複数を有効化して、物体を把持することができる。例えば、制御システムは、まず、吸着カップを真空ポンプから切り離すバルブを開放することによって、特定の吸着カップを有効化することができ、次に、真空ポンプを作動させて、開いた吸着カップを通じて吸着を適用することができる。いくつかの例では、吸着カップ404〜420のある部分のみを有効化して、特定の物体を把持することができる。例えば、図4Aにおける影付きの円によって示されるように、吸着グリッパ400にボックス402を把持させるために、ボックス402の表面に隣接して位置決めされた吸着カップ406、408、412、414、418および420のうちの6つを有効化することができる。更に、図4Aの開いた円によって示されるように、ボックス402を持ち上げる間、吸着グリッパ400の他の吸着カップ404、410および416を無効化することができる。したがって、吸着グリッパ430は、最初に、ボックス402を把持する間、有効な吸着カップ406、408、412、414、418および420を通じた吸着の適用のみを行うことができる。更なる例では、グリッパ400の制御システムは、光センサデータを用いて、グリッパ400をどのように位置決めするか、および/またはボックス402を把持するためにいずれの吸着カップを最初に有効化するかを決定することができる。
【0082】
[0091] 図3に戻ると、方法300は、ブロック304によって示されるように、1つまたは複数のセンサからの1つまたは複数の有効な吸着カップの真空圧力を示すセンサデータを受信することを更に含むことができる。より詳細には、1つまたは複数のデジタルまたはアナログセンサを、吸着カップと真空ポンプとの間にインラインに位置決めして、個々の吸着カップの真空圧力を測定することができる。センサデータは、物体を把持している間に個々の吸着カップの利用を測定するために、吸着グリッパが吸着カップを有効化して、物体に吸着を適用した後に受信することができる。
【0083】
[0092] いくつかの例では、センサは、個々の吸着カップの真空応答レベル(例えば、0〜30水銀柱インチの真空応答レベル)を測定することができる。他の例では、センサは、同様にまたは代わりに他の方法でセンサデータを報告することができる。例えば、センサは、特定の吸着の真空圧力が閾値レベルを超えている(例えば、10水銀柱インチを超えている)か否かを報告するのみでよい。更なる例では、センサは、物体を把持した後の特定の時点において、特定の時間間隔において、および/または連続的に、センサデータを報告することができる。
【0084】
[0093] 図4Bは、例示的な実施形態に従って、複数の吸着カップおよび対応するセンサを有する吸着グリッパを示す。より詳細には、吸着グリッパ400は、吸着カップ404〜420に対応するデジタルまたはアナログセンサ454〜470を含むことができる。センサ454〜470は、吸着カップ404〜420の真空圧力を測定するために、真空ポンプ430と吸着カップ404〜420との間に位置決めすることができる。
【0085】
[0094] いくつかの例では、センサ454〜470の各々は、特定の対応する吸着カップの真空応答を測定するための吸着カップ404〜420の特定の1つに対応することができる。例えば、センサ456は、吸着カップ406が有効化されるときの吸着カップ406の真空圧力を測定するために、吸着カップ406に対応することができ、センサ462は、吸着カップ412が有効化されるときの吸着カップ412の真空圧力を測定するために、吸着カップ412に対応することができ、以下同様である。更なる例では、センサデータは、有効な吸着カップに対応するセンサからのみ受信することができる。例えば、図4Bを参照すると、センサデータは、吸着グリッパ400によってボックス402を把持するのに用いられる、6つの吸着カップ406、408、412、414、418および420に対応するセンサ456、458、462、464、468および470からのみ受信することができる。
【0086】
[0095] いくつかの例では、1つのセンサは、図4Bに示すような対応する吸着カップの真空圧力を測定するために、各吸着カップに対応することができる。他の例では、吸着グリッパからの、ある吸着カップの真空圧力を測定するためにのみセンサを含めることができる。例えば、センサは、吸着カップのいくつかのサブグループの各々からの1つの吸着カップのために含めることができ、ここで、異なるサブグループを用いて、物体の異なる表面および/または異なるセクションを把持することができる。そのような例では、1つの吸着カップについて受信されるセンサデータを用いて、(例えば、サブグループ内の全ての吸着カップをオフまたはオンにするために)サブグループ全体を制御することができる。別の例では、センサは、代わりに、(例えば、単一のセンサを超えて複数のカップをルーティングさせることによって、)個々の吸着カップではなく、吸着カップのサブグループ全体の真空応答を測定することができる。更なる例では、センサの異なるタイプまたは構成を単一の吸着グリッパにおいて共に用いることもできる。
【0087】
[0096] 図3に戻ると、方法300は、ブロック306によって示されるように、1つまたは複数の有効な吸着カップから無効化するための少なくとも1つの吸着カップを特定することを更に含むことができる。より詳細には、制御システムは、個々の吸着カップの真空圧力を示すインラインセンサから受信したセンサデータを用いて、吸着グリッパの性能を改善させるために無効化する1つまたは複数の吸着カップを特定することができる。
【0088】
[0097] いくつかの例では、制御システムは、有効な吸着カップのグループから、最悪の性能を有する、ある数の吸着カップを無効化することができる。例えば、制御システムは、10個の有効な吸着カップのうちの最も低い真空圧力を有する2つまたは3つの吸着カップを無効化することができる。1つまたは複数の吸着カップを無効化することによって、真空ポンプは、残りの有効な吸着カップを通じて、より大きな吸着力を適用することができる。
【0089】
[0098] 更なる例では、制御システムは、ある閾値レベルを下回る真空応答を用いて吸着カップを無効化することができる。例えば、閾値レベルは、8水銀柱インチに設定することができ、8水銀柱インチ未満のセンサ読み値を有する任意の吸着カップを無効化することができる。更なる例では、閾値レベルは、把持される物体のサイズまたはタイプ、有効な吸着カップの数、および/または様々な閾値レベルを用いたグリッパの過去の性能等の要因に依拠して変動させることができる。
【0090】
[0099] また更なる例は、制御システムは、吸着グリッパの全体把持力を最大にするために、吸着カップを無効化することができる。例えば、制御システムは、個々の吸着カップの真空応答を用いて、有効な吸着カップの様々な組み合わせについて吸着グリッパの把持力を予測することができる。更なる例では、制御システムは、最適化問題を解いて、把持力全体を最大にする吸着カップの組を特定することができる。他の例では、1つまたは複数のヒューリスティックを用いて、無効化する吸着カップを特定することもできる。更なる例では、これらのヒューリスティックは、1つまたは複数の機械学習アルゴリズムを用いて学習することができる。例えば、物体の特定の表面またはセクションを把持する1つまたは複数の吸着カップが不良な真空応答を有する場合、物体の同じ表面またはセクションを把持する1つまたは複数の他の吸着カップも無効化されるべきであると決定することができる。
【0091】
[00100] 更なる例では、制御システムは、1つまたは複数の時点において1つまたは複数の吸着カップを有効化および/または無効化するためにリアルタイムの切替えを用いることができる。例えば、1つまたは複数の吸着カップを無効化した後、制御システムは、依然としてアクティブである1つまたは複数の吸着カップの真空圧力を示す追加のセンサデータを受信することができる。次に、制御システムは、物体を把持するためにいずれの吸着カップを用いるかを再評価することができる。いくつかの場合では、制御システムは、1つまたは複数の追加の吸着カップを無効化し、および/または1つまたは複数の無効化された吸着カップを再有効化して、グリッパの性能を更に精密に調整することができる。更なる例では、有効な吸着カップの組を、制御システムによって経時的に(例えば、ロボットアームが、グリッパを用いて物体を把持しながら物体を動かすときに)周期的に変更することができる。
【0092】
[0100] 図4Cは、例示的な実施形態による、制御システムによって、無効化する1つまたは複数の吸着カップを特定するために用いることができるセンサデータを示す。より詳細には、インラインセンサから受信されるセンサデータは、有効な吸着カップ406、408、412、414、418および420の現在の真空圧力レベルを示すことができる。真空圧力レベルは、図4Cにおいて、バー476、478、482、484、488および490として示され、これは、対応する吸着カップ406、408、412、414、418および420の各々の異なるレベルの真空応答を表すことができる。例えば、バー476はバー488よりも高く、吸着カップ406が吸着カップ418よりも強い真空応答を有することを示すことができる。いくつかの例では、真空応答は、0〜30水銀柱インチで測定することができ、ここで、30はフルスケールの真空である。
【0093】
[0101] 更なる例では、吸着グリッパ400の制御システムは、バー476、478、482、484、488、および490によって示されるセンサデータに基づいて無効化する有効な吸着カップ406、408、412、414、418および420のうちの1つまたは複数を特定することができる。例えば、1つの例において、制御システムは、有効な吸着カップのグループから、最も低い真空圧力を有する2つの吸着カップを無効化することができる。したがって、制御システムは、吸着カップ418および吸着カップ420を無効化することができる。他の例では、代わりにまたは同様に、無効化する吸着カップを特定する異なる方法を用いることができる。例えば、吸着カップ418および420は、バー488および490によって示される対応する真空圧力レベルが真空の閾値レベル未満である場合があるため、無効化されるように特定され得る。別の例では、最適化問題に対する解は、吸着カップ418および420を無効化することによって吸着グリッパ400の全体把持力を改善することができることを示すことができる。更なる例では、同様にまたは代わりに、有効な吸着カップのグループからの1つまたは複数の異なる吸着カップを無効化することができる。
【0094】
[0102] 図3に戻ると、方法300は、ブロック308に示すように、1つまたは複数の特定された吸着カップを無効化することを更に含むことができる。無効化される吸着カップを特定した後、制御システムは、グリッパ性能全体を改善するために、吸着カップを無効化することができる。いくつかの例では、制御システムは、真空ポンプが無効化された吸着カップを通じて吸着を適用することを防ぐことによって、1つまたは複数の吸着カップを無効化することができる。例えば、グリッパは、吸着カップを真空ポンプから切り離す、次に、吸着カップに対応する解放可能かつ閉鎖可能なバルブを含むことができる。特定の吸着カップを無効化するために、制御システムは、対応するバルブを閉鎖させることができる。更なる例では、バルブの代わりに、またはバルブに加えて、真空ポンプが無効化された吸着カップを通じて吸着を適用することを防ぐための他のメカニズムを用いることもできる。
【0095】
[0103] 図4Dは、例示的な実施形態による、吸着カップのうちの1つまたは複数が無効化された後の、複数の吸着カップ有する吸着カップを示す。より詳細には、制御システムは、真空ポンプ430が吸着カップ418および420を通じてボックス402に吸着を適用することを防ぐことによって、吸着グリッパ400の吸着カップ418および420の2つを無効化することができる。いくつかの例では、吸着カップ418および420に対応するバルブは、吸着カップ418および420から真空ポンプ430を切り離して吸着カップを無効化するために、閉鎖することができる。更なる例では、残りの有効な吸着カップ406、408、412および414を通じて真空ポンプ430によって加えられる真空圧力は、吸着カップ418および420を無効化することによって増大させることができる。更なる例では、吸着グリッパ400の把持力全体を、吸着カップ418および420を無効化することによって増大させることもできる。
【0096】
[0104] 更なる例では、制御システムは、吸着カップ418および420が無効化された後に残りの有効な吸着カップ406、408、412および414の真空圧力を示す追加のセンサデータを受信することができる。更なる例では、制御システムは、次に、有効な吸着カップ406、408、412および414からの1つまたは複数の追加の吸着カップを無効化し、ならびに/または無効化された吸着カップ418および420のうちの一方または双方を再有効化し、システム性能全体を更に精緻化することができる。例えば、吸着カップ418および420を無効化することによって、結果として、残りの有効な吸着カップのうちの1つまたは複数の性能が予期せずに下がることになり、それにより、ボックス402を把持するために用いられる有効な吸着カップの組の更なる変更が生じる可能性がある。別の例では、ボックスが、ボックスを動かすために用いられる軌道内にある場所に依拠して、異なる吸着カップを無効化および/または再有効化することができる。
【0097】
[0105] 更なる例では、図4A図4Dからの吸着グリッパ400等の吸着グリッパを、ロボットマニピュレータ(例えば、ロボットアーム)に搭載するかまたは他の形で結合して、吸着グリッパを用いて物体を動かすことができる。例えば、ロボットマニピュレータを制御して、上記で論考したように、ボックスまたは他の物体をパレットまたはファサードに対し積荷または荷降ろしすることができる。いくつかの例では、ロボットマニピュレータは、1つまたは複数の吸着カップが物体に隣接するように、最初に吸着グリッパを位置決めすることができる。次に、隣接する吸着カップは、物体を把持するように最初に有効化することができる。更なる例では、次に、図3の方法300等の例示的な方法を用いて、ロボットマニピュレータによって物体の移動の前および/または移動中に物体を把持するのに用いられる吸着カップの組を精緻化することができる。
【0098】
[0106] 更なる例では、グリッパが物体を落とすことなく把持された物体を動かすためのマニピュレータのための軌道を決定することができる。より詳細には、吸着グリッパの特定の最適化によって、結果として、有効な吸着カップの、あるサブセットが、ある量の把持力を物体に対し生成することができる。いくつかの例では、この総把持力は、個々の吸着カップの真空圧力を示すインラインセンサからのセンサデータを用いて推定することができる。総把持力は、グリッパが物体を落とすことのない軌道を決定するために用いることができるグリッパの現在の最大把持能力を示すことができる。例えば、物体の速度または加速度を制御して、物体に対する現在の把持力を所与として、グリッパが物体を落とし得るレベルに達することを回避することができる。
【0099】
[0107] 更なる例では、ロボットマニピュレータは、グリッパ上の力(例えば、グリッパを用いて物体を動かした結果生じる力)を測定するための力トルクセンサも備えることができる。いくつかの例では、力トルクセンサからのセンサデータを制御システムによって用いて、物体を動かすためのロボットマニピュレータのための軌道を決定することもできる。例えば、制御システムは、物体上の吸着グリッパの把持力、および物体が動かされるときにグリッパ自体が受ける力の双方を考慮して、グリッパが物体を落とすことのない軌道を決定することができる。更なる例では、制御システムは、力トルクセンサから受信したセンサデータに基づいて軌道を周期的に変更し、物体を落とすことなく安全に物体を動かすことができる。また更なる例では、力トルクセンサからのセンサデータを、制御システムによって用いて、いつおよび/またはいずれの吸着カップを無効化および/または有効化するかに影響を与えることもできる。
【0100】
[0108] 更なる例では、ロボットマニピュレータは、吸着グリッパを用いて経時的に異なる物体を動かすように制御することができる。いくつかの例では、インラインセンサからのセンサデータを制御システムによって用いて、吸着グリッパの1つまたは複数の吸着カップに、交換のためにフラグを付けることができる。例えば、吸着グリッパによって用いられる他の吸着カップと比較して一貫して性能が劣る特定の吸着カップを特定することができる。そのような例では、性能の劣る吸着カップを特定し、交換用の吸着カップと交換することができる。
【0101】
[0109] 別の例示的な実施形態では、制御システムは、個々の吸着カップおよび/または吸着カップのグループを連続して循環し、漏れている吸着カップについて試験することができる。例えば、制御アルゴリズムは、最初に、全ての吸着カップがオフ状態にある状態で、持ち上げられる物体の上にグリッパを位置決めすることを含むことができる。次に、各吸着カップを、連続シーケンスでオンにして、吸着カップが漏れているか否かを調べることができる。例えば、制御システムは、各吸着カップを連続して有効化し、均衡するのを待って、吸着カップが漏れているか否かを決定し、次に、漏れている場合、吸着カップを無効化することができる。
【0102】
[0110] 更なる例では、吸着カップを連続して試験するそのような制御アルゴリズムを、本明細書において説明される1つまたは複数の他の制御戦略と共に用いることができる。他の例では、制御アルゴリズムは、よりアグレッシブな戦略が、欠陥のある吸着カップを特定しおよび/または物体上の良好な把持を達成するのに失敗した場合、フォールバックアプローチとして用いられ得る。更なる例では吸着カップを連続して試験することによって、特に、1つまたはいくつかの吸着カップにおける吸着の損失により、全ての吸着カップにおいて圧力が上昇する場合、ポンプが流れについていくことができないことに起因して、グリッパ内でより感度の低いセンサを用いることを可能にすることができる。
【0103】
[0111] 更なる例では、制御アルゴリズムは、2つ以上の吸着カップのグループを連続して試験することができる。いくつかの例では、並列に試験することができる吸着カップの数は、予測される最悪のフローレートを仮定して計算することができる。制御システムが一度に複数の測定されていない吸着カップを有効化することを可能にすることにより、試験プロセスのより高速な完了を可能にすることができる。特に、平衡を待つことは、試験される吸着カップの各グループにわたって償却され得る。他の例では、各吸着カップの性能を予測する事前知識を利用可能とすることができ、これを用いて収束を加速することもできる。
【0104】
[0112] 更なる例では、ロボットマニピュレータおよび/または吸着グリッパによって用いられる把持戦略を、インラインセンサからのセンサデータを用いて経時的に精緻化することができる。例えば、物体を把持するための様々な吸着カップの利用を示すセンサデータを用いて、未来に物体を把持するために、グリッパをどのように位置決めするか、および/またはいずれの吸着カップを最初に有効化するかを決定することができる。更なる例では、有効な吸着カップの組をどのように精緻化するか(例えば、いずれの吸着カップを有効化および/または無効化するか)も、過去の吸着カップ性能データを用いて決定することができる。更なる例では、制御システムは、機械学習プロセスを適用して、吸着グリッパのための未来の制御決定を改善することができる。例えば、制御システムは、人工ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、遺伝的アルゴリズム、ベイズ推論、ベイズネット、強化学習法、回帰解析および/または決定木を含むいくつかの異なる可能な機械学習プロセスのうちの任意のものまたは全てを適用することができる。
【0105】
[0113] 本開示は、様々な態様の説明として意図された、本出願において説明される特定の実施形態の観点に限定されない。当業者には明らかであろうように、その趣旨および範囲から外れることなく、多くの変更および変形を行うことができる。本明細書において列挙されるものに加えて、開示の範囲内の機能的に等価な方法および装置は、上記の説明から当業者には明らかであろう。そのような変更および変形は、添付の特許請求項の範囲内にあると意図される。
【0106】
[0114] 上記で詳述される説明は、添付の図面を参照して、開示されるシステム、デバイスおよび方法の様々な特徴および機能を説明している。図面において、類似したシンボルは、通常、別段の指示がない限り、類似したコンポーネントを特定する。本明細書および図面において説明される例示的な実施形態は、限定であることを意図されない。本明細書において提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。本明細書において概略的に説明され、図面に示されているような本開示の態様は、広範にわたる異なる構成において配置し、置換し、組み合わせ、分離しかつ設計することができ、それらの全てが明示的に本明細書において考慮されることが容易に理解されよう。
【0107】
[0115] 上記で説明した方法300等の情報の処理を表すブロックは、本明細書において説明した方法または技法の特定の論理的機能を実行するように構成することができる回路に対応することができる。代替的にまたは付加的に、情報の処理を表すブロックは、モジュール、セグメント、またはプログラムコードの一部(関連データを含む)に対応することができる。プログラムコードは、プロセッサによって、方法または技法において特定の論理機能または動作を実施するために実行可能な1つまたは複数の命令を含むことができる。プログラムコードおよび/または関連データを、ディスクまたはハードドライブまたは他のストレージ媒体を含むストレージデバイス等の任意のタイプのコンピュータ可読媒体上に記憶することができる。
【0108】
[0116] コンピュータ可読媒体は、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュおよびランダムアクセスメモリ(RAM)のような、短期間にわたってデータを記憶するコンピュータ可読媒体等の非一時的コンピュータ可読媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、光または磁気ディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)のような、二次または永続的長期ストレージ等の、より長い期間にわたってプログラムコードおよび/またはデータを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体は、任意の他の揮発性または不揮発性ストレージシステムであってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読ストレージ媒体、または有形ストレージデバイスとみなされ得る。
【0109】
[0117] 更に、1つまたは複数の情報送信を表すブロックは、同じ物理デバイス内のソフトウェアおよび/またはハードウェアモジュール間の情報伝送に対応することができる。一方、異なる物理デバイスにおいて、ソフトウェアモジュールおよび/またはハードウェアモジュール間の他の情報伝送もあり得る。
【0110】
[0118] 図に示す特定の構成は、限定であるとみなされるべきでない。他の実施形態は、所与の図面に示される各要素をより多くまたはより少なく含むことができることが理解されるべきである。更に、示される要素のうちのいくつかは組み合わせるかまたは省くことができる。また更に、例示的な実施形態は、図面に示されていない要素を含むことができる。
【0111】
[0119] 様々な態様および実施形態が本明細書において開示されたが、他の態様および実施形態は、当業者に明らかであろう。本明細書において開示された様々な態様および実施形態は、説明の目的であり、限定であることを意図しておらず、真の範囲は以下の特許請求の範囲によって示される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D