特許第6375053号(P6375053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティーピー ビジョン ホールディング ビー ヴィの特許一覧

特許6375053トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング
<>
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000002
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000003
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000004
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000005
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000006
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000007
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000008
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000009
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000010
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000011
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000012
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000013
  • 特許6375053-トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6375053
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】トリックプレー制限部分を含む音声および/または映像信号のレンダリング
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/462 20110101AFI20180806BHJP
【FI】
   H04N21/462
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-506381(P2017-506381)
(86)(22)【出願日】2015年8月3日
(65)【公表番号】特表2017-528059(P2017-528059A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】EP2015067862
(87)【国際公開番号】WO2016020340
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】14179774.6
(32)【優先日】2014年8月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512146339
【氏名又は名称】ティーピー ビジョン ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マース、ユルゲン ピーテル
【審査官】 冨田 高史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0013557(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/10
H04N 7/14 − 7/173
H04N 7/20 − 7/56
H04N 21/00 − 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリックプレーの最中のスキップが望ましくないトリックプレー制限部分(5、6)を含む、音声および/または映像番組(1)のレンダリングを制御する方法であって、
該音声および/または映像番組(1)はライブ・モードまたはタイムシフト・モードでレンダリングされ、
該ライブ・モードにおいて、該音声および/または映像番組を表す番組情報が、レンダリング装置(11)に直接転送され、
該タイムシフト・モードにおいて、該番組情報はタイムシフト・バッファ(21)を介して該レンダリング装置(11)に転送され、該番組情報は該タイムシフト・バッファ(21)に記憶され、記憶されたより後タイムシフトされて読み出され、
第1のトリックプレー・モードにおいて、該タイムシフト・バッファに記憶された該番組情報と、該タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた番組情報との間のタイムシフトが減少させられ、
第2のトリックプレー・モードにおいて、該タイムシフト・バッファに記憶された該番組情報と、該タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた該番組情報との間の該タイムシフトが増加させられ、
該第1のトリックプレー・モードにおいて、トリックプレー制限部分を表す番組情報が該タイムシフト・バッファ(21)から読み出された場合、該第1のトリックプレー・モードが無効とされ
該第2のトリックプレー・モードにおいて、該ライブ・モードにおいてのレンダリングの場合、まだレンダリングされていない番組部分であってまだレンダリングされていないトリックプレー制限部分の後に続く番組部分を表す番組情報へのアクセスを読み出すことを該第2のトリックプレー・モードがもたらす場合には、該第2のトリックプレー・モードが無効とされる、
レンダリングを制御する方法。
【請求項2】
前記第2のトリックプレー・モードが無効とされる場合には、前記記憶された番組情報によって表されるすべてのトリックプレー制限部分(5、6)に先行する番組部分を表す番組情報への、逆向きのジャンプが実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タイムシフト・バッファから再びトリックプレー制限部分を表す番組情報を読み出す際に前記第1のトリックプレー・モードを可能にするように、トリックプレー制限部分がレンダリングされた後、トリックプレー制限が削除または無視される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記タイムシフト・モードから前記ライブ・モードへの切り替えの際、該切り替えの瞬間に前記タイムシフト・バッファに読み出し位置が登録され、前記逆向きのジャンプが該登録された読み出し位置へと実行される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記タイムシフト・バッファが完全に前記映像番組で満たされた場合、最も古い番組部分が新しく記憶された番組部分によって上書きされ、登録された読み出し位置が最も新しい番組情報によって上書きされた場合、前記タイムシフト・バッファ(21)内でまだ利用可能な音声および/または映像番組の最も古い番組部分へと前記逆向きのジャンプが実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数の音声および/または映像番組を表す番組情報が前記タイムシフト・バッファに記憶され、番組の始まりを表す番組情報への、トリックプレー制限部分を表す番組情報を超えたジャンプが許可される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
トリックプレーの最中のスキップが望ましくないトリックプレー制限部分(5、6)を含む、音声および/または映像番組を表す番組情報に関するタイムシフト装置(10)であって、装置が、
番組情報を受信する入力部(20)、
該番組情報によって示される番組をレンダリングするレンダリング・デバイス(11)に結合される転送出力部(27)、
該番組情報を記憶して、該記憶された番組情報をより後タイムシフトして出力するタイムシフト・バッファ(21)、および、
第1のトリックプレー・モードにおいて、該タイムシフト・バッファに記憶された該番組情報と、該タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた番組情報との間のタイムシフトが減少させられ、第2のトリックプレー・モードにおいて、該タイムシフト・バッファに記憶された該番組情報と、該タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた該番組情報との間のタイムシフトが増加させられるように動作可能な制御部(35)を含み、
該装置(10)は、入力部で受信される番組情報が遅延なしに該転送出力部(27)に転送されるライブ・モード、および、該タイムシフト・バッファ(21)によって出力される番組情報が該転送出力部(27)に転送されるタイムシフト・モードにおいて動作可能であり、
該制御部(35)は
該第1のトリックプレー・モードにおいて、該タイムシフト・バッファ(21)から出力された番組情報がトリックプレー制限部分(5、6)を表す場合、該第1のトリックプレー・モードを無効とし
該第2のトリックプレー・モードにおいて、該タイムシフト・バッファ(21)が、まだ転送出力部(27)で利用可能とされていない番組部分であって、まだ転送出力部(27)でこれも利用可能とされていないトリックプレー制限部分の後に続く番組部分を表す番組情報を出力することをもたらす場合には、該タイムシフト・バッファに記憶された該番組情報と、該タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた該番組情報との間で、該第2のトリックプレー・モードを無効とするように構成される、
タイムシフト装置。
【請求項8】
前記第2のトリックプレー・モードを無効にする場合に、前記記憶された番組情報によって表されるすべてのトリックプレー制限部分に先行する番組部分を表す番組情報への逆向きのジャンプを行うように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記タイムシフト・バッファ(21)からトリックプレー制限部分を表す番組情報を再び読み出す際に前記第1のトリックプレー・モードを可能にするように、トリックプレー制限部分をレンダリングした後にトリックプレー制限を削除または無視するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記タイムシフト・モードから前記ライブ・モードへの切り替えの際に前記タイムシフト・バッファにおいて読み出された現在の位置を登録し、前記逆向きのジャンプが前記登録された位置へのジャンプであるように構成される、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記登録された位置が最も新しい番組情報によって上書きされる場合、前記逆向きのジャンプが、前記タイムシフト・バッファ(21)においてまだ利用可能な番組情報の最も古い部分へのジャンプである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
複数の音声および/または映像番組を表す番組情報が前記タイムシフト・バッファに記憶され、前記制御部(35)が、トリックプレー制限部分を示す番組情報を超えて、番組の始まりを表す番組情報へとジャンプするように構成される、請求項から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか一項に記載の装置、および、前記転送出力部(27)で利用可能な前記音声および/または映像番組によって表される番組情報をレンダリングするように前記装置の前記転送出力部(27)に結合された表示スクリーン(30)を含むテレビジョン(50)システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリックプレーの最中のスキップが望ましくないトリックプレー制限部分を含む、音声および/または映像信号のレンダリングを制御する方法に関する。本発明はさらに、トリックプレーの最中のスキップが望ましくないトリックプレー制限部分を含む、音声および/または映像番組を示す番組情報のタイムシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商業的テレビ番組供給者の収益所得は、主に番組に組み入れられるコマーシャルから得られる。よく知られているように、テレビ番組は一般的に、コマーシャルが放送される最中のコマーシャル・ブレークによって中断される。番組供給者は、コマーシャルを番組に配置する目的で、広告主にコマーシャル・タイムスロットを販売する。コマーシャル・タイムスロットの価格は、関連づけられたテレビ番組の予測される視聴者の規模によって変動し、それは、そのようなタイムスロットに配置された番組とコマーシャルの両方を同一の視聴者が見る前提に起因する。すなわち、番組の人気が高くなれば、番組に関連づけられたコマーシャル・タイムスロットの値段も高くなる。
【0003】
タイムシフト・サービスは、従来の放送スケジュールの制約を取り除き、遅れた時間にユーザが番組を見ることを可能にするため、タイムシフト・サービスは、それらの投資の回収に悪影響を及ぼすかもしれない。タイムシフト・サービスによって利用可能にされた早送りトリック・モード機能は、広告収入に悪影響を及ぼすかもしれない。そのようなトリック・モード機能を用いて、ユーザが番組のコマーシャルをスキップするようにテレビ番組を早送りすることができ、したがってそのようなコマーシャルおよび広告は効果がないものとなる。広告主は効果のないコマーシャルおよび広告に高い料金を支払いそうにない。
【0004】
テレビ番組供給者はコマーシャルのスキップの可能性を低減する解決方法を探求している。
【0005】
コマーシャルのスキップを妨げる方法が米国特許出願第2008193104号に説明される。
【0006】
米国特許出願公開第20090013557号は、パーソナル・ビデオレコーダを開示する。トリック・モード制御データが、コマーシャルに関連づけられたコンピュータファイルから読み出され、コマーシャルに関してトリック・モード再生が禁止されているかどうかが決定される。コマーシャルにトリックプレーが許可されていない場合、コマーシャルの再生の最中、禁止されたトリックプレーは無効にされる。
【0007】
さらに、米国特許出願公開第20080317433号は、記憶媒体上の再生アイテムとして記憶された音声/映像情報を再生する再生装置を開示する。ランダムアクセスフラグが再生アイテムに割り当て可能である。ランダムアクセスフラグの値は、エントリポイントへのジャンプが許可されているかどうかを示す。そのようなジャンプが許可されていない場合、そのようなエントリポイントへのジャンプの要求は、再生アイテムによって指定されたクリップ音声/映像クリップストリームの始まりへのジャンプとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
放送された音声および/または映像情報のマークされた部分のスキップをさらに妨げる、方法および装置を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、本発明の目的は、トリックプレーの最中のスキップが望ましくないトリックプレー制限部分を含む、音声および/または映像番組のレンダリングを制御する方法によって達成され、音声および/または映像番組はライブ・モードまたはタイムシフト・モードでレンダリングされ、ライブ・モードにおいて、音声および/または映像番組を表す番組情報が、レンダリング装置に直接転送され、タイムシフト・モードにおいて、番組情報はタイムシフト・バッファを介してレンダリング装置に転送され、番組情報はタイムシフト・バッファに記憶され、記憶されたより後のタイムシフトを読み出され、第1のトリックプレー・モードにおいて、タイムシフト・バッファに記憶された番組情報と、タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた番組情報との間のタイムシフトが減少させられ、第2のトリックプレーにおいて、タイムシフト・バッファに記憶された番組情報と、タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた番組情報との間のタイムシフトが増加させられ、トリックプレー制限部分を表す番組情報がタイムシフト・バッファから読み出された場合、第1のトリックプレー・モードが無効とされ、ライブ・モードにおいてのレンダリングの場合、このことが、まだレンダリングされていない番組部分であってまだレンダリングされていない番組部分のトリックプレー制限部分の後に続く番組部分を表す番組情報へのアクセスを読み出すことにつながる場合には、第2のトリックプレー・モードが無効とされる。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、本発明の目的は、トリックプレーの最中のスキップが望ましくないトリックプレー制限部分を含む、音声および/または映像番組を表す番組情報に関するタイムシフト装置によって達成され、装置は、番組情報を受信する入力部、番組情報によって示される番組をレンダリングするレンダリング・デバイスに結合される転送出力部、番組情報を記憶して、記憶された番組情報をより後のタイムシフトに出力するタイムシフト・バッファ、および、第1のトリックプレー・モードにおいて、タイムシフト・バッファに記憶された番組情報と、タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた番組情報との間のタイムシフトが減少させられ、第2のトリックプレー・モードにおいて、タイムシフト・バッファに記憶された番組情報と、タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた番組情報との間のタイムシフトが増加させられるように動作可能な制御部を含み、装置は、入力部で受信される番組情報が遅延なしに転送出力部に転送されるライブ・モード、および、タイムシフト・バッファによって出力される番組情報が転送出力部に転送されるタイムシフト・モードにおいて動作可能であり、制御部は、タイムシフト・バッファから出力された番組情報がトリックプレー制限部分を表す場合、第1のトリックプレー・モードを無効とし、このことが、タイムシフト・バッファがまだ出力部で利用可能とされていない番組部分を表す番組情報であってまだ転送出力部でこれも利用可能とされていない番組部分のトリックプレー制限部分の後に続く番組情報を出力することにつながる場合には、タイムシフト・バッファに記憶された番組情報と、タイムシフト・バッファから読み出されたタイムシフトされた番組情報との間で、第2のトリックプレー・モードを無効とするように構成される。
【0011】
本発明は、まず装置をライブ・モードに切り替え、次に第2のトリック・モード、例えば、巻き戻しモード(この巻き戻しモードによってシフトバッファから読み出されたものがトリックプレー制限部分の終端にシフト可能である)を実行することによって、例えばコマーシャルなどのトリックプレー制限を含む部分がスキップ可能であるという知見に、少なくとも部分的に基づく。
【0012】
本発明による手段によって、この迂回はもはや不可能となり、テレビ番組供給者はトリックプレーを使用可能とし続けることができる。
【0013】
方法および装置のさらなる実施形態およびそれらの利点は、図1から図11を参照して以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】番組要素とコマーシャルとを含む映像番組、例えば典型的なテレビ番組を示す図である。
図2】本発明による装置の実施形態を示す図である。
図3】装置がポーズ・モードにされる際に実行されるソフトウェア制御処理の流れ図である。
図4】装置がプレー・モードにされる際に実行されるソフトウェア制御処理の流れ図である。
図5】装置をライブ・モードにする要求コマンドが受信された際に実施される処理の流れ図である。
図6】装置が巻き戻しモードにされる際に実行されるソフトウェア制御処理の流れ図である。
図7】巻き戻しモードを無効にするサブプログラムの第1の実施形態の流れ図である。
図8】装置が早送りモードにされる際に実行されるソフトウェア制御処理の流れ図である。
図9a】異なるトリックプレー状況に関するタイムシフト・バッファに記憶される内容の概略図である。
図9b】異なるトリックプレー状況に関するタイムシフト・バッファに記憶される内容の概略図である。
図9c】異なるトリックプレー状況に関するタイムシフト・バッファに記憶される内容の概略図である。
図10】本発明による装置を用いたシステムの実施形態を示す図である。
図11】本発明による装置を用いたシステムの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、時間tの関数として、番組要素ならびに、トリックプレーの最中のスキップが望ましくないトリックプレー制限部分4、5および6を含む映像番組1、例えば典型的なテレビ番組を概略的に示す。そのような部分は例えばコマーシャルを表してもよい。部分2および3は番組要素を表す。通常は、映像番組を表す映像情報はユーザの受信デバイスに転送される。
【0016】
映像番組内のトリックプレー制限部分は、転送される映像情報に組み込まれたメタデータ内に示されることができる。
【0017】
パケット化されたデジタル映像情報の場合、メタデータはこの型のデータのために用意されたパケット、またはパケットの部分に組み込まれることができる。
【0018】
トリックプレー制限部分は、転送される映像情報内のメタデータによるのとは別の方法で示されることもできることは明らかである。例えば、指定されたアルゴリズムを実行するソフトウェアまたは例えばインターネット上で利用可能なサードパーティのアプリケーションによってである。番組内のトリックプレー制限部分の場所は、トリックプレー制限部分の場所に関する情報が記憶されるデータベースを用いることによっても決定可能である。さらに、トリックプレー制限部分を決定するために利用可能な方法が全く結果を出さない場合には、制限されたトリックプレーについての完全な番組をマークすることも可能である。
【0019】
トリックプレー制限が存在しない部分を示すことも可能である。そのような表示、すなわちトリックプレー制限が存在しない表示が欠けた部分は、トリックプレー制限部分と考えることも可能である。
【0020】
本発明は以下に、テレビ番組の映像部分を示す映像情報を処理するように配置された設備を参照して説明される。本発明が、音声番組、例えばラジオ番組を表す音声情報を処理する装置、または音声と映像との両方の情報を処理する装置にも適用可能であることは明らかである。
【0021】
映像情報はアナログフォーマットまたはデジタルフォーマットであることができる。しばしば用いられるデジタル映像フォーマットはMPEGフォーマットであり、MPEGフォーマットでは画像のシークエンスは映像情報のMPEG標準の1つによって符号化される。しかしながら、本発明はまた、他の符号化スキームまたは標準によって符号化された映像情報にも適用可能である。
【0022】
図2は、レンダリングユニット11に結合された本発明による装置10の実施形態である。装置10は、映像番組の映像部分を表す映像情報を受信する入力部20を備える。装置10はさらに、受信された映像情報を、それが出力される前に一時的に記憶するタイムシフト・バッファ21を含む。タイムシフトのために、記憶された映像情報は、タイムシフト・バッファ21に書かれたよりも遅いシフトタイム期間に、タイムシフト・バッファ21から読み出される。読み出す速度は、出力部23上の映像情報が、通常の速度の入力部20での映像情報の受信に関する遅延で利用可能になるように、書き込み速度と等しく選択される。
【0023】
読み/書き制御部22は、タイムシフト・バッファ21の映像情報の書き処理および読み処理を制御する。
【0024】
タイムシフト・バッファ21は好ましくはいわゆる循環バッファであり、循環バッファでは映像信号がアドレスレンジ内の後続のアドレス位置と共にメモリ位置に記憶される。アドレスレンジ内で最も高いアドレスを有する位置が満たされると直ちに、書き込みはアドレスレンジ内で最も低いアドレスで続行する。最も低いアドレスのポジションは、以下でタイムシフト・バッファ21の始まりBBと呼ばれる。読み出しは同様の方式で行われる。したがって、最も高いアドレスを有する位置が読み出されると直ちに、読み出し処理は最も低いアドレスで続行する。読み/書き制御部22は現実の書き込みアドレスの記録を保つようにポインタWPを用い、現実の読み出し位置の記録を保つようにポインタRPを用いる。
【0025】
当業者には、循環バッファ以外の他のバッファも使用可能であることは明らかである。内容の書き込みとこの内容の読み出しとの間に一定の時間差が保たれることが可能な各メモリが、使用可能である。
【0026】
入力部20で受信された映像情報はマルチプレクサ24の入力部26に供給され、出力部23のタイムシフトされた映像情報はマルチプレクサ24の入力部25に供給される。マルチプレクサ24は装置制御部35によって制御される。
【0027】
装置10はライブ・モードおよびタイムシフト・モードによって動作可能である。ライブ・モードにおいて、入力部26の映像情報は、マルチプレクサ24を介して装置10の転送出力部27に供給される。タイムシフト・モードにおいて、タイムシフト・バッファ21の出力部23のタイムシフトされた映像情報は、転送出力部27に供給される。
【0028】
転送出力部27はレンダリングユニット11の入力部31に結合される。レンダリングユニット11は、入力部31に結合された映像プロセッサ29を備える。映像プロセッサ29は映像表示部30に、映像情報によって表される映像番組のレンダリングを引き起こす表示部駆動信号を投入する。
【0029】
装置10制御部35は、プログラムメモリ28に記憶されたソフトウェア・プログラムを実行するプログラム可能なプロセッサを備える。これらのプログラムは、トリックプレーを引き起こすように読み書き制御部22およびマルチプレクサ24を制御するソフトウェアを含む。トリックプレーは、例えばポーズ・モード、プレー・モード、早送りモード、および巻き戻しモードなどのいくつかのモードで動作可能である。ポーズ・モードにおいて、タイムシフト・バッファ21の読み出しは停止し、映像プロセッサ29は、転送出力部27の映像情報で利用可能な最新の画像に対応する静止画像のレンダリングを引き起こす駆動信号を表示部30に通常の方式で投入するモードで、制御部25の制御下に入る。
【0030】
プレー・モードで、タイムシフト・バッファ21の映像情報はタイムシフト・バッファに記憶されたものより後のタイムシフトで読み出され、読み出し速度は書き込み速度に等しい。タイムシフト・バッファから読み出された映像情報は、通常の速度で入力部31で受信された映像情報によって表される映像番組のレンダリングを引き起こす駆動信号を投入するモードで制御部25によって制御されるようになる転送出力部27を介して、映像プロセッサに投入される。このことは、表示部30に映像番組のタイムシフトされたレンダリングをもたらす。
【0031】
早送りモードにおいて、タイムシフト・バッファの読み出しでは一連の前方ジャンプが行われ、1回ごとに映像情報の一部をスキップする。このことは、映像情報が通常の再生よりも速い速度で表示部にレンダリングされることをもたらす。通常、早送りは異なる速度で実行されることが可能であるが、常に通常の再生速度よりも速い速度で行われる。
【0032】
巻き戻しモードにおいて、映像番組が逆順でレンダリングされることをもたらすように、映像情報は逆順で読み出される。通常、巻き戻しモードは異なる速度で実行されることが可能である。原則として巻き戻しモードの速度は任意の速度であることができ、言い換えれば、巻き戻し速度は通常の再生速度より速くても等しくても遅くてもよい。トリックプレー処理はトリックプレー・コマンドの制御下で初期化され、トリックプレー・コマンドは、例えば異なるモードのそれぞれに関して別々のボタン33であるユーザコマンドボタン33を含むユーザ・インターフェース32を介してユーザによって与えられることが可能な、例えばユーザコマンドであり得る。ユーザコマンドは、通常の通信チャネル、例えば信号バス34を介して、装置制御部35によって受信可能である。
【0033】
メモリ28はさらに、タイムシフト・バッファ21に記憶された内容に関連する制御データを記憶するソフトウェアを含む。これらの制御データはタイムシフト・バッファ21の始まりへのポインタBBを含む。映像情報記憶の新しい記憶サイクルが始まる場合、例えば映像チャネルの変更の後または装置のスイッチがオンになった後に、記憶はこのポインタBBによって示されるアドレスから始まる。
【0034】
制御データはまた、タイムシフト・バッファ21の入力部で受信されるデータが記憶される実際のアドレスを指し示すポインタWP、および、タイムシフト・バッファの読み出しの実際のアドレスを指し示すポインタRPを含む。
【0035】
制御データはまた、タイムシフト・バッファ21内の、すでに読み出されてその結果として表示部30にレンダリングされる映像情報のアドレスレンジを含む。制御データはまた、トリックプレー制限部分が記憶されたタイムシフト・バッファにおける位置のアドレスレンジを含む。これらのアドレスレンジは、例えばトリックプレー制限部分の書き込みの最中に決定される。
【0036】
最後に、制御データは、トリックプレー制限を有する番組部分を示す映像情報部分のアドレスレンジを含む。これらのレンジは映像情報のメタデータから導き出されることもできる。
【0037】
異なるトリックプレー・モードおよびライブ・モードで実行されるトリックプレー処理は、図3から図9を参照して以下に説明される。
【0038】
図3は、装置がポーズ・モードにされた際に実行されるソフトウェア制御処理の流れ図を示す。処理は開始ステップS1から始まる。次にステップS2で、ポーズ・モードが開始した瞬間に装置がライブ・モードで動作していたかどうか判断される。
【0039】
装置がライブ・モードで動作していたのであれば、ステップS3が実行され、ステップS3では読み出しポインタRPが、ポーズ・モードが開始する直前にタイムシフト・バッファに記憶された映像情報部分を指し示す値に設定される。読み出しポインタのこの値は、別のトリックプレー処理によって変更される必要があるまで保たれる。
【0040】
次にステップS4が実行され、ステップS4でライブ・モードが終了する。ステップS4の後にステップS5が続き、ステップS5ではポーズプレーが実行される。
【0041】
S2の実行において、装置がライブ・モードで動作していなかったと決定された場合、すべてのトリックプレー処理はステップS6で停止され、その後にステップS5のポーズプレー処理の実行が続く。
【0042】
図4は、装置がプレー・モード(通常速度)にされた際に実行されるソフトウェア制御処理の流れ図を示す。S10で処理が開始され、ステップS11が続き、ステップS11ではステップS10で処理が開始した瞬間に装置がライブ・モードで動作していたかどうか判断される。装置がライブ・モードで動作していたのであれば、処理はS12で終了し、装置はライブ・モードに保たれる。ライブ・モードで映像信号はすでに通常速度で出力される。したがって、新しい処理を開始する理由はない。しかしながら、ステップS11で装置がライブ・モードで動作していなかったと思われる場合、すべてのトリック・モード処理はS13で停止され、次にステップS14が実行される。ステップS14において、タイムシフト・バッファの読み出し速度は、映像情報がタイムシフト・バッファ21に書き込まれる速度に対応する値に設定される。読み出しポインタRPは、前のトリックプレー・モードの終了時に有していた値を保つ。S14の実行の後、映像信号はタイムシフト方式で出力27に供給される。
【0043】
図5は、装置をライブ・モードにする要求コマンドが受信された際に実行される処理の流れ図を示す。S20で処理が開始される。次にS21で、処理がすでにライブ・モードにあるかどうか判断される。処理がすでにライブ・モードにあるなら、ステップS22で処理は停止され、処理がまだライブ・モードになければ、ステップS21の後にステップS23が続く。S23においてすべてのトリックプレー処理は停止される。S23の実行の後に、トリック・モードでの読み出しが停止されたタイムシフト・バッファ内の場所をマークするように、読み出しポインタの実際の値がS24で登録される。そして、S25でマルチプレクサが、入力部20で受信された映像信号を転送出力部27に供給するモードに設定され、それによってライブ映像情報が転送出力部27で利用可能となる。
【0044】
図6は、装置が巻き戻しモードにされた際に実行されるソフトウェア制御処理の流れ図を示す。S30で処理が開始される。次に、S31で、巻き戻しモードが開始された瞬間に装置がライブ・モードで動作していたかどうか判断される。装置がライブ・モードで動作していないのであれば、ステップS32においてすべてのトリックプレー処理は停止され、次にステップS33において巻き戻し処理が開始される。S34において、制御データに基づいて、タイムシフト・バッファの始まりに到達したかどうかが連続的に判断される。タイムシフト・バッファの始まりに到達したのであれば、ステップS35で巻き戻しモードは停止され、装置は図3で説明された処理を開始することによってポーズ・モードにされる。
【0045】
ステップS31の実行の最中に、装置がライブ・モードで動作していたと決定された場合、ステップS36において、制御データに基づいて、巻き戻しモードが許可されているかどうかが決定される。転送出力部27でまだ利用可能とされていない番組部分を表し、転送出部27でまだ利用可能とされていないトリックプレー制限部分番組部分後に続く番組情報を、タイムシフト・バッファが出力することを巻き戻しモードがもたらさない場合にのみ、巻き戻しは許可される。これは、まだ転送出力部27に出力されていないトリックプレー制限部分を表す映像情報が、タイムシフト・バッファの始まりと実際の書き込みポジションの間のタイムシフト・バッファに存在する場合である。S36の判断は、制御データに含まれるアドレスレンジに基づいて行われる。
【0046】
ステップS36において巻き戻しモードが許可されていないと決定された場合、ステップS37において、巻き戻しモードを無効にするサブプログラムSPへのジャンプが行われる。
【0047】
図7は、サブプログラムSPの第1の実施形態の流れ図を示す。サブプログラムはステップS40の実行で始まる。このステップにおいて、登録された読み出しポインタRPによって示されるタイムシフト・バッファ内のポジションが、実際の書き込みポジションとタイムシフト・バッファ21の最も古い番組情報のポジションとの間にあるかどうか決定される。ポジションがこれらの間にあるなら、このポジションへのジャンプがステップS41において行われ、装置はステップS42のプレー・モードにされ、RPによって示されたポジションに記憶された静止画の出力をもたらし、それは前のトリック・モードにおける読み出しが停止したポジションである。
【0048】
ステップS40において、ポインタRPが最も古い記憶された番組情報の位置の前のアドレスを指し示していることが決定された場合、ステップS43において、この最も古い番組情報が記憶された位置へのジャンプが行われる。ステップS43の後でポーズ・モードはステップS42に入り、タイムシフト・バッファ21に記憶されたプログラム情報によって表される最も古い番組部分の静止画の出力をもたらす。
【0049】
図8は、装置が早送りモードにされた際に実行されるソフトウェア制御処理の流れ図を示す。S70で処理が開始され、ステップS71が後に続き、ステップS71では、早送りモードが開始された瞬間に装置がライブ・モードで動作していたかどうか判断される。装置がライブ・モードで動作していたのであれば、処理はS72で停止され、装置はライブ・モードに保たれる。ライブ・モードにおいて早送りは不可能である。しかしながら、ステップS71で装置がライブ・モードで動作していなかったと思われる場合、すべてのトリック・モード処理はS73で停止され、次にステップS74が実行される。ステップS74で、タイムシフト・バッファの読み出し処理は、映像情報の一部を時間ごとにスキップするジャンプの順列がある状態にされる。このことは、通常の順番であるが高速の、映像情報のレンダリングをもたらす。ステップS74の後にステップS75が続き、ステップS75では読み出しがトリックプレー制限のある映像部分に到達したかどうか判断される。読み出しがトリックプレー制限のある映像部分に到達していないのであれば、ステップS76において、読み出しがタイムシフト・バッファ21に記憶された情報の終端に到達したかどうか判断される。読み出しがタイムシフト・バッファ21に記憶された情報の終端に到達していないのであれば、ステップS75は再び実施される。読み出しがタイムシフト・バッファ21に記憶された情報の終端に到達したのであれば、ステップS77でライブ・モードに入る。ステップS75の実行の最中に、トリックプレー制限のある映像部分に到達したと思われる場合、ステップS78において、この映像情報が、レンダリングされるタイムシフト・バッファからすでに読み出されたかどうか判断される。この判断は、映像情報がまだ読み出されていない箇所に到達するまで続く。そのような読み出されていない映像に到達した場合、ステップS79において、情報が現在まだトリックプレー制限を有しているかどうか判断される。情報が現在まだトリックプレー制限を有しているのであれば、このことは、まだ読み出されておらずレンダリングもされていない情報部分に到達したことを意味する。この部分のスキップは許可されない。トリックプレーは停止され、ステップS77でライブ・モードに入る。代替として、ライブ・モードの代わりにプレー・モードに入ることもできる。トリックプレー制限がステップS79で検出されなかった場合、処理はステップS75に続く。
【0050】
以上に説明した図3から図8の制御処理のトリックプレーの効果は、図9aから図9cを参照してさらに説明される。図9aはタイムシフト・バッファ21に記憶されたコンテンツの概略図を示す。バー70はタイムシフト・バッファ21に記憶することができる番組の最大期間Lmaxを表す。タイムシフト・バッファの入力部で受信されるライブ映像情報は、連続的にタイムシフト・バッファ21に書き込まれる。最新の書き込まれた映像情報のポジションは、ライブ映像情報と対応し、参照符号71で示される。間隔Lは記憶された映像情報の部分の長さを示す。位置72は記憶された期間の始まりを示す。言い換えれば、それは、タイムシフト・バッファ21の最も古い番組部分を表す映像情報の位置を示す。この最大長に到達すると直ちに、タイムシフト・バッファの最も古い情報が最新の受信された映像情報で上書きされる。記憶される内容は3つの部分に分けられる。参照符号73および74で示される部分は、トリックプレー制限を有さない映像情報を含む。部分75はトリックプレー制限を有する映像情報を示す。
【0051】
位置76は、装置10がプレー・モードにある状況においての読み出しポジションを示す。位置72と76との間の部分は、タイムシフト・バッファからすでに読み出されており、表示部30にレンダリングされている。この部分の長さはLpで表される。
【0052】
参照符号77は、現在の番組のいかなる映像情報もまだ書き込まれていない、タイムシフト・バッファ21の空の部分を示す。
【0053】
位置76から始まって、いくつかのトリックプレー・モードが可能である。巻き戻しモードにおいて、映像の逆順のレンダリングをもたらすように、位置76と72の間の部分は逆順で読み出されることができる。巻き戻しモードを制御する処理の流れ図は、図6を参照して以前に説明されている。
【0054】
ステップS34におけるこの処理で、始まり72に到達したかどうか判断される。始まり72に到達したのであれば、プレー・モードに入る。
【0055】
ポジション76から始まって、早送りモードもまた可能である。早送りモードに入った場合、高速でのレンダリングをもたらすように、映像内容は映像情報の部分を正順でスキップするように読み出される。早送りモードを制御する処理の流れ図は、図9を参照して以前に説明されている。ステップS77の実行において検出される、トリックプレー制限を有する部分75の始まりに到達するまで、早送り処理は続く。図10aに示された状態において、この部分はまだ読み出されていない。したがって、ステップS78およびS79の実行の後、ライブ・モードに入り、ライブ映像情報がレンダリングされることをもたらす。ポジション78の後の映像部分75は、トリック・モード制限を有する情報を表し、その理由により、さらなる読み出しをシフトするトリック・モードを用いることが許可されていない。このようにして、トリックプレー制限のない部分74に、トリックプレー・モードによって到達することは阻止される。したがって、トリック・モード制限を有する部分をレンダリングすることなく部分74をレンダリングすることは不可能である。
【0056】
ライブポジションが巻き戻しモードに到達した後、読み出しポジションをポジション78の方向に移動させることは、図6に示された処理におけるステップS36の実行によって無効にされる。
【0057】
このようにして、ユーザがライブレンダリングへとジャンプして次に部分74の始まりへの巻き戻しを行うことによって映像情報部分75をスキップ可能とすることが、阻止される。図7を参照して以前に説明されたように、巻き戻しコマンドが与えられた場合、これは、装置がライブ・モードに設定されている瞬間に読み出された位置へのジャンプをもたらす。
【0058】
図9bは、図9aとは別の開始ポジションを有するタイムシフト・バッファ21に記憶された内容の概略図である。プレー・モードにおいて装置は、トリックプレー制限を有する映像番組部分を表す部分75内に位置する、参照符号80で示される実際の読み出しポジションで動作する。間隔Lpにおける映像情報はプレー・モードで再生される。
【0059】
間隔Lpにおいてすべてのトリック・モードが許可される。位置78と読み出しポジション80の間の部分は、トリックプレー制限を有する映像番組部分を表すが、この情報がすでに読み出されており、この情報によって表される番組部分がレンダリングされているため、この部分に関するトリックプレー・モードは許可される。したがって、これらの番組部分はすでにユーザに示されている。しかしながら、早送りモードは読み出し位置80からは許可されない。早送りコマンドは、図8を参照して説明されたステップS78およびS79におけるライブ・モードへの切り替え、またはプレー・モードへの切り替えをもたらす。
【0060】
図9cは、図9aおよび図9bとは別の開始ポジションを有するタイムシフト・バッファ21に記憶された内容の概略図である。プレー・モードにおいて装置は、トリックプレー制限を有しない映像番組部分を表す部分74内に位置する、参照符号81で示される実際の読み出しポジションで動作する。間隔Lpにおける映像情報はプレー・モードで再生される。
【0061】
この状況において、トリックプレーを制限された映像番組を示すすべての映像情報部分がすでに再生およびレンダリングされているため、すべてのトリックプレー・モードが間隔L内に記憶された映像情報に関して許可される。
【0062】
複数の音声および/または映像番組を表す番組情報がタイムシフト・バッファに記憶される本発明による方法および装置の実施形態において、ユーザが、番組の始まりから始めて、番組全体を見ることを望むことが起こる。しかしながら、この番組は、1つ以上のトリックプレー制限部分を有する番組の後のタイムシフト・バッファに記憶されているかもしれない。記憶されている場合、以前に説明された実施形態によって、ユーザは、望まれる番組を見ることができる前に、望まれる番組の前に記憶された番組のトリックプレー制限部分をまず見ることを強いられる。この迷惑な状況を阻止するように、制御部35は、トリックプレー制限部分を示す番組情報を超えて、タイムシフト・バッファ内の番組情報に先行する情報から独立した番組の始まりを示す前記番組情報へと、ジャンプするように構成されることができる。
【0063】
図10は装置10を用いるシステムの実施形態を示す。示されたシステムはテレビ装置50である。テレビ装置50は、テレビ装置の入力部52で利用可能な複数のテレビ番組からチャネルを選択するチューナ51を含む。チューナ51は符号化された信号、例えばパケット化された搬送ストリームを出力し、搬送ストリームは複数のライブテレビ番組に関する映像情報を含む。デコーダ53において、選択されたテレビ番組の出力が搬送ストリームから分離され復号される。デコーダ53は装置10に映像情報を出力する。映像プロセッサ29および表示部30はテレビ装置の全体部分を形成する。
【0064】
テレビ装置50は、ユーザ・インターフェース32に提供された遠隔制御デバイス55からユーザコマンドを受信する。遠隔制御部55によって、ユーザはテレビ装置50にトリックプレー要求コマンドを送信することができる。遠隔制御信号受信部54は、装置10にトリックプレー要求コマンドを転送する信号バス34に結合される。図9を参照として説明されたテレビ装置において、装置10はネットワークのクライアント側に結合されたテレビに組み込まれる。
【0065】
テレビ放送信号は、しばしばネットワーク、例えばケーブルネットワークまたはインターネットを用いて、ネットワーク・プロバイダによってクライアントに投入される。サーバまたはヘッドエンドは、ネットワークに複数のチャネルを投入するようにネットワークに結合される。また、クライアントはサーバまたはヘッドエンドによって投入されたチャネルを受信するように、ネットワークチャネルに結合される。最近は、ネットワーク・プロバイダはオファーサービスを開始し、クライアントに関するタイムシフト・バッファがヘッドエンド側およびサーバ側で組み込まれる。そのようなタイムシフト・サービスの利用を望む各クライアントに関して、タイムシフト・バッファが存在する。
【0066】
図11は、タイムシフト・バッファがサーバ側で集積されたネットワークシステムの実施形態を示す。この実施形態において、サーバ60はインターネット61の形式のネットワークに結合される。
【0067】
インターネット受信ユニット62もまた、インターネット61に結合される。
【0068】
サーバは、受信ユニット62に送信されなければならない映像情報を記憶するコンテンツユニット64を含む。映像情報は装置10を介して、ストリーミングユニット63に投入され、ストリーミングユニット63は、受信ユニット62にインターネットを介して送信される映像ストリームを生成する。受信ユニット62によって受信された映像情報は、映像情報をレンダリングする表示装置66、例えばモニタまたはテレビ装置に投入される。サーバ60は、インターネット61に結合されてクライアント側の受信ユニット62からユーザコマンドを受信する通信ユニット65を含む。通信ユニットは装置10のバス29にユーザコマンドを転送する。
【0069】
受信機側でユーザコマンドを入力することによって、装置10は、ライブ映像情報を示す映像ストリームが受信ユニット62にストリーミングされるようにコンテンツユニット64に記憶された映像情報が遅延なしで出力部27に供給される、ライブ・モードにされることができる。
【0070】
装置10はまた、図3から図8を参照して説明されるユーザコマンドによって、トリックプレー・モードにされることもできる。以前に説明された本発明による方法および装置の実施形態において、早送りモードはタイムシフトの減少をもたらす第1のトリックプレー・モードである。本発明は、第1のトリック・モードが早送りモードである実施形態に限定されないことに留意すべきである。本発明はまた、タイムシフトの減少が別のトリックプレー・モードによってもたらされる、すべての実施形態にも適用可能である。そのようなトリックオードの例は、いわゆるスクラビング・モードである。スクラビング・モードにおいては、小さなステップまたはいくつかの連続したステップがどちらの方向にも行われる。各ジャンプの後に、映像が通常の速度で正方向にレンダリングされるプレー・モードが起動/再開される。
【0071】
代替として、ポインタまたはインジケータが、バッファ/バッファの一部を表示したものの上をドラッグ(連続的な押および移動)されて、別の再生点を選択してもよく、ポインタが、バッファ/バッファの一部を表示したものの中の別の位置に置かれて(新しい位置での1回クリック)もよい。これらのトリックプレー・モードのすべては、それらのトリックプレー・モードで装置を動作させる結果として、タイムシフトが減少することで共通する。
【0072】
以前に説明された本発明による方法および装置の実施形態において、巻き戻しモードはタイムシフトの減少をもたらす第2のトリックプレー・モードである。本発明は、第2のトリック・モードが巻き戻しモードである実施形態に限定されないことに留意すべきである。本発明はまた、タイムシフトの増加が他のトリックプレー・モード、例えばスクラビング・モード、または、ポインタがドラッグされるか新しい位置に置かれるモードによってもたらされる、すべての実施形態にも適用可能である。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態が添付の図面において示され、上記詳細な説明において説明されたが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、以下の請求の範囲に示されるような本発明の範囲から外れることなく多くの変形例が可能であることを、理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10
図11