(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)第1導電型の半導体層の第1領域に複数の第1溝を形成し、前記半導体層の前記第1領域を囲む第2領域に前記第1領域をスパイラル状に囲む第2溝を形成する工程、
(b)前記第1溝および第2溝中に、前記第1導電型と逆導電型の第2導電型の半導体を埋め込むことにより、
(b1)前記第1溝中に第1ピラーを形成するとともに、前記第1ピラー間の前記半導体層よりなる第2ピラーを形成し、
(b2)前記第2溝中に第3ピラーを形成するとともに、前記スパイラル状の第3ピラーの間の前記半導体層よりなる第4ピラーを形成する工程、
を有し、
前記(a)工程は、第1側面と第2側面とで構成される角部を有する前記第2溝を形成する工程であり、
前記(b2)工程は、結晶成長により、前記半導体を前記第2溝に埋め込む工程であり、
前記第1側面および前記第2側面は、(100)面または(110)面と対応し、
前記第2溝は、平面視において矩形状の前記第1領域を、矩形状に少なくもとも3周以上スパイラル状に囲み、
第1周目は、前記矩形状の前記第1領域の各辺に沿って配置され、
第2周目は、前記第1周目の各辺に沿って配置され、
第3周目は、前記第2周目の各辺に沿って配置される、半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0014】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0015】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0016】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0017】
また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、断面図と平面図が対応する場合においても、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
[構造説明]
図1は、本実施の形態の半導体装置(半導体チップ)の構成を模式的に示す平面図である。
図2は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図2に示す断面は、例えば、
図1のA−A部と対応する。本実施の形態の半導体装置(半導体素子)は、縦型のパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。MOSFETは、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)と呼ばれることもある。
図3は、本実施の形態の半導体装置のp型カラム領域の構成を示す平面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置(半導体チップ)の上面からの平面視における形状は、矩形状である。そして、本実施の形態の半導体装置は、セル領域CRと、中間領域TRと、周辺領域(ターミネーション部、終端部ともいう)PERとを有している。セル領域CRは、略矩形の半導体装置の中央部に配置され、中間領域TRは、セル領域CRの外側を囲むように配置され、周辺領域PERは、中間領域TRを囲むように配置されている。以下、
図2を参照しながら、各領域における半導体装置の構成を説明する。
【0020】
(1)セル領域CRの構造
図2に示すように、セル領域CRには、パワーMOSFETが形成されている。このパワーMOSFETは、半導体基板1S上のエピタキシャル層EPSの主表面に形成されている。エピタキシャル層EPSは、複数のp型カラム領域(p型ピラー、ピラーともいう)PC1と複数のn型カラム領域(n型ピラー、ピラーともいう)NC1とから成る。p型カラム領域PC1とn型カラム領域NC1とはX方向に交互に配置されている。このようなp型カラム領域PC1とn型カラム領域NC1とが周期的に配置された構造を、スーパージャンクション(Superjunction)構造と言う。
図3に示すように、p型カラム領域PC1の上面からの平面視における形状は、ライン状(Y方向に長辺を有する矩形状)である。
【0021】
例えば、ここでは、p型カラム領域PC1の幅(X方向の寸法)、奥行き(Y方向の寸法)および深さ(Z方向の寸法)と、n型カラム領域NC1の幅(X方向の寸法)、奥行き(Y方向の寸法)および深さ(Z方向の寸法)とがそれぞれ同じになるように設計されている。
【0022】
n型カラム領域NC1は、例えば柱形状をしており、リン(P)または砒素(As)などのn型不純物が導入された半導体領域(エピタキシャル層)から構成されている。n型カラム領域NC1のn型不純物濃度は、例えば3.0×10
15/cm
3である。n型カラム領域NC1と半導体基板1Sによって、パワーMOSFETのドレイン領域が構成されている。n型カラム領域NC1は、2つのp型カラム領域PC1で挟まれている。複数のn型カラム領域NC1は、それぞれp型カラム領域PC1の幅(X方向の寸法)だけ離間して配置されている。
【0023】
p型カラム領域PC1は、例えば柱形状をしており、ボロン(B)などのp型不純物が導入された半導体領域から構成されている。p型カラム領域PC1のp型不純物濃度は、例えば3.0×10
15/cm
3である。p型カラム領域PC1は、2つのn型カラム領域NC1で挟まれている。複数のp型カラム領域PC1は、それぞれn型カラム領域NC1の幅(X方向の寸法)だけ離間して配置されている。
【0024】
このようなp型カラム領域PC1とn型カラム領域NC1とが周期的に配置された構造体(エピタキシャル層EPS)の主表面にパワーMOSFETが形成されている。
【0025】
パワーMOSFETは、n型カラム領域NC1上にゲート絶縁膜GOXを介して配置されたゲート電極GEを有する。ゲート絶縁膜GOXとしては、例えば、酸化シリコン膜を用いることができる。また、ゲート絶縁膜GOXとしては、酸化シリコン膜以外に、例えば、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜などを用いてもよい。また、ゲート電極GEとしては、例えば、多結晶シリコン膜を用いることができる。
【0026】
ゲート電極GEの両側のp型カラム領域PC1の上部にはチャネル領域CHが配置されている。このチャネル領域CHに内包されるようにソース領域SRが配置されている。チャネル領域CHは、例えばボロン(B)などのp型不純物が導入された半導体領域から構成され、ソース領域SRは、例えばリン(P)または砒素(As)などのn型不純物が導入された半導体領域から構成されている。前述したように、n型カラム領域NC1と半導体基板1Sによって、パワーMOSFETのドレイン領域が構成されている。
【0027】
パワーMOSFETのゲート電極GEに電位が印加された場合には、チャネル領域CHに形成された反転層を介して、ソース領域SRからドレイン領域(n型カラム領域NC1、半導体基板1S)に、キャリア(電子)が流れる。言い換えれば、チャネル領域CHに形成された反転層を介して、ドレイン領域(n型カラム領域NC1、半導体基板1S)からソース領域SRに、電流が流れる。
【0028】
Y方向に延在するゲート電極GE、その下方のn型カラム領域NC1、およびその両側のソース領域SRを単位セルとし、これらが繰り返し配置されている。複数の単位セルが、並列に接続され、1つのパワーMOSFETが形成されている。
【0029】
また、ソース領域SRの中央部分には、エピタキシャル層EPSの上面からチャネル領域CHに達するボディコンタクト領域BCが形成されている。このボディコンタクト領域BCは、例えばボロン(B)などのp型不純物が導入された半導体領域から構成されている。このボディコンタクト領域BCの不純物濃度は、チャネル領域CHの不純物濃度よりも高くなっている。
【0030】
ゲート電極GEの上面および両側の側壁は、層間絶縁膜ILにより覆われている。層間絶縁膜ILとしては、例えば、酸化シリコン膜を用いることができる。ボディコンタクト領域BCおよびその両側のソース領域SR上の層間絶縁膜ILは除去されコンタクトホールが形成されている。このコンタクトホールおよび層間絶縁膜IL上には、ソース電極SEが配置されている。ソース電極SEとしては、例えば、チタンタングステン膜からなるバリア導体膜とその上部のアルミニウム膜からなる主導体膜との積層膜を用いることができる。
【0031】
これにより、ソース電極SEは、ソース領域SRと電気的に接続されるとともに、ボディコンタクト領域BCを介してチャネル領域CHとも電気的に接続されることになる。このボディコンタクト領域BCは、ソース電極SEとのオーミック接触を確保する機能を有し、このボディコンタクト領域BCが存在することにより、ソース領域SRとチャネル領域CHとは同電位で電気的に接続されることになる。
【0032】
したがって、ソース領域SRをエミッタ領域とし、チャネル領域CHをベース領域とし、かつn型カラム領域NC1をコレクタ領域とする寄生npnバイポーラトランジスタのオン動作を抑制することができる。すなわち、ソース領域SRとチャネル領域CHとが同電位で電気的に接続されているということは、寄生npnバイポーラトランジスタのエミッタ領域とベース領域との間に電位差が生じていないこと意味し、これによって、寄生npnバイポーラトランジスタのオン動作を抑制することができる。
【0033】
ソース電極SE上には、ソース電極SEを部分的に覆うように、表面保護膜PASが配置されている。表面保護膜PASとしては、例えば、酸化シリコン膜を用いることができる。ソース電極SEの一部領域は、表面保護膜PASから露出している。また、半導体基板1Sの裏面(エピタキシャル層EPSが形成された主面と反対側の面)には、金属膜からなるドレイン電極DEが配置されている。
【0034】
(2)中間領域TRの構造
図2に示すように、中間領域TRには、ゲート引き出し部GPU、ゲート引き出し電極GPE、ソース引き出し領域SPRおよびソース引き出し電極SPEが形成されている。
【0035】
ゲート引き出し部GPUおよびゲート引き出し電極GPEは、半導体基板1S上のエピタキシャル層EPS上に配置されている。ソース引き出し領域SPRは、エピタキシャル層EPSの上部に配置されている。
【0036】
この中間領域TRにおいても、p型カラム領域PC1とn型カラム領域NC1とが周期的に配置されている。別の言い方をすれば、
図3に示すように、ライン状のp型カラム領域PC1とライン状のn型カラム領域NC1とが交互に配置された矩形領域のうち、中央部のセル領域CRの外周領域が中間領域TRとなる。このため、中間領域TRのY方向に延在する辺(
図3の左右の辺)に沿っては、ライン状のp型カラム領域PC1とライン状のn型カラム領域NC1とが交互に配置されている。また、中間領域TRのX方向に延在する辺(
図3の上下の辺)に沿っては、セル領域CRから延在するライン状のp型カラム領域PC1とライン状のn型カラム領域NC1のそれぞれの端部が交互に配置されることとなる。
【0037】
このように、中間領域TRにおけるp型カラム領域PC1とn型カラム領域NC1とが周期的に配置された構造体(エピタキシャル層EPS)は、セル領域CRにおけるp型カラム領域PC1とn型カラム領域NC1とが周期的に配置された構造体(エピタキシャル層EPS)と同様の構成である。
【0038】
ゲート引き出し部GPUは、エピタキシャル層EPSにゲート絶縁膜GOXを介して配置されている。このゲート引き出し部GPUの下方にも、チャネル領域CHが配置されている。そして、このゲート引き出し部GPUの上面および両側の側壁を覆うように層間絶縁膜ILが配置されており、この層間絶縁膜ILの一部にゲート引き出し部GPUの上面の一部を露出する開口部が形成されている。また、ゲート引き出し部GPUとしては、ゲート電極GEと同様に、例えば、多結晶シリコン膜を用いることができる。
【0039】
そして、開口部内を含む層間絶縁膜IL上に、ゲート引き出し電極GPEが配置されている。ゲート引き出し電極GPEとしては、ソース電極SEと同様に、例えば、チタンタングステン膜からなるバリア導体膜とその上部のアルミニウム膜からなる主導体膜との積層膜を用いることができる。
【0040】
ここで、ゲート引き出し部GPUは、複数のゲート電極GEと電気的に接続されており、ゲート引き出し電極GPEに印加されたゲート電圧は、ゲート引き出し部GPUを介して、複数のゲート電極GEのそれぞれに印加される。
【0041】
エピタキシャル層EPSの上部には、セル領域CRから延在するチャネル領域CHが形成されている。このチャネル領域CHに内包されるようにソース引き出し領域SPRが配置されている。ソース引き出し領域SPRは、ソース領域SRと同様に、例えばリン(P)または砒素(As)などのn型不純物が導入された半導体領域から構成されている。
【0042】
上記チャネル領域CH上を覆うように、エピタキシャル層EPSの上面上に層間絶縁膜ILが配置されており、この層間絶縁膜ILには、ソース引き出し領域SPRを露出するように開口部が形成されている。
【0043】
そして、開口部内を含む層間絶縁膜IL上に、ソース引き出し電極SPEが配置されている。ソース引き出し電極SPEとしては、ソース電極SEと同様に、例えば、チタンタングステン膜からなるバリア導体膜とその上部のアルミニウム膜からなる主導体膜との積層膜を用いることができる。
【0044】
中間領域TRにおいても、ゲート引き出し電極GPEおよびソース引き出し電極SPEを部分的に覆うように、酸化シリコン膜からなる表面保護膜PASが配置されており、ゲート引き出し電極GPEの一部領域およびソース引き出し電極SPEの一部領域は、表面保護膜PASから露出している。
【0045】
(3)周辺領域PERの構造
図2に示すように、周辺領域PERには、フィールドプレート電極(電極、ダミー電極とも言う)FFPが形成されている。
【0046】
フィールドプレート電極FFPは、半導体基板1S上のエピタキシャル層EPS上に配置されている。
【0047】
この周辺領域PERにおいても、p型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3とが周期的に配置されている。但し、周辺領域PERにおいては、スパイラル状のp型カラム領域PC3と、スパイラル状のn型カラム領域NC3とが配置されている。スパイラル状は、一筆書き状である。
【0048】
即ち、
図3に示すように、p型カラム領域PC3は、中間領域TRを区画する矩形状の領域の角部(起点、始点)Caから中間領域TRを囲むように、第1周目のp型カラムが配置され、この第1周目のp型カラムと連続して、第1周のp型カラムを囲むように、第2周のp型カラムが配置されている。さらに、この第2周のp型カラムと連続して、第2周のp型カラムを囲むように、第3周のp型カラムが配置されている。このように第n−1周のp型カラムを囲むように、第n周のp型カラムが配置され、中間領域TRが、n周のスパイラル状のp型カラムで囲まれることとなる。
図3においては、第1周から第9周のp型カラムが示されている(n=9)。
【0049】
第n−1周のカラムと第n周のp型カラムとの間隔は、一定であり、例えば、p型カラム領域PC3間の間隔は、n型カラム領域NC3の幅(X方向の寸法)と対応する。p型カラム領域PC3のうち、第n−1周のp型カラムと第n周のp型カラムとの間が、n型カラム領域NC3となる。よって、n型カラム領域NC3も、角部Caと第2周のp型カラムとの間の点Cbを起点として、第1周のp型カラムを囲むように、第1周のp型カラムに沿って、第1周のn型カラムが配置され、この第1周のn型カラムと連続して、第2周のp型カラムを囲むように、第2周のp型カラムに沿って、第2周のn型カラムが配置されている。さらに、この第2周のn型カラムと連続して、第3周のp型カラムを囲むように、第3周のp型カラムに沿って、第3周のn型カラムが配置されている。このように第n周のp型カラムを囲むように、第n周のp型カラムに沿って第n周のn型カラムが配置される。
図3においては、第1周から第8周のn型カラムが示されている(n=8)。
【0050】
例えば、ここでは、p型カラム領域PC3の幅および深さ(Z方向の寸法)と、n型カラム領域NC3の幅および深さ(Z方向の寸法)とは、同じになるように設計されている。また、p型カラム領域PC3の幅および深さ(Z方向の寸法)と、n型カラム領域NC3の幅および深さ(Z方向の寸法)とは、p型カラム領域PC1の幅(X方向の寸法)および深さ(Z方向の寸法)と、n型カラム領域NC1の幅(X方向の寸法)および深さ(Z方向の寸法)と、それぞれ同じになるように設計されている。
【0051】
n型カラム領域NC3は、スパイラル状の柱形状をしており、リン(P)または砒素(As)などのn型不純物が導入された半導体領域(エピタキシャル層)から構成されている。n型カラム領域NC3のn型不純物濃度は、例えば3.0×10
15/cm
3である。
【0052】
p型カラム領域PC3は、スパイラル状の柱形状をしており、ボロン(B)などのp型不純物が導入された半導体領域から構成されている。p型カラム領域PC1のp型不純物濃度は、例えば3.0×10
15/cm
3である。
【0053】
このように、中間領域TRを、スパイラル状のp型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3とで囲んだ構造体(エピタキシャル層EPS)としても、X方向およびY方向においてp型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3とが交互に周期的に配置されることとなる。
【0054】
このような、周辺領域PERを、スパイラル状のp型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3とで囲んだ構造体(エピタキシャル層EPS)上に、フィールドプレート電極FFPが形成されている(
図2)。フィールドプレート電極FFPとしては、ゲート電極GEと同様に、例えば、多結晶シリコン膜を用いることができる。フィールドプレート電極FFP上は、層間絶縁膜ILにより覆われている。層間絶縁膜IL上には、酸化シリコン膜からなる表面保護膜PASが配置されている。このように、フィールドプレート電極FFPを設けることにより、電界集中を緩和し、耐圧を向上させることができる。
【0055】
フィールドプレート電極FFPは、例えば、p型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3の境界の上方に配置され、p型カラム領域PC1とn型カラム領域NC1と同様に、スパイラル状に配置される(
図28参照)。
【0056】
上述したようなp型カラム領域(PC1)とn型カラム領域(NC1)とが周期的に配置された構造体(スーパージャンクション構造)の主表面に、パワーMOSFETを配置することにより、高耐圧を確保しながら、オン抵抗を低減することができる。
【0057】
例えば、スーパージャンクション構造を採用せず、n型のエピタキシャル層の主表面にパワーMOSFETを配置した場合は、エピタキシャル層の不純物濃度を低くし、エピタキシャル層に形成される空乏層を延ばすことにより、耐圧を確保する必要がある。
【0058】
したがって、高耐圧を実現するためには、低不純物濃度のエピタキシャル層の厚さを厚くする必要がある。一方、低不純物濃度のエピタキシャル層を厚くすると、パワーMOSFETのオン抵抗が高くなる。つまり、パワーMOSFETにおいては、耐圧の向上とオン抵抗の低減とはトレードオフの関係にある。
【0059】
これに対し、p型カラム領域(PC1)とn型カラム領域(NC1)とが周期的に配置された構造体(スーパージャンクション構造)の主表面に、パワーMOSFETを配置した場合には、p型カラム領域(PC1)とn型カラム領域(NC1)との境界領域、即ち、縦方向(Z方向)に延びるpn接合から、横方向に空乏層が延びる。このため、スーパージャンクション構造のパワーMOSFETでは、オン抵抗の低減のため、電流通路となるn型カラム領域NC1の不純物濃度を高くしても、縦方向(Z方向)に延びるpn接合から横方向に空乏層が広がるため、耐圧を確保することができる。
【0060】
このように、p型カラム領域(PC1)とn型カラム領域(NC1)とが周期的に配置された構造を採用することにより、高耐圧を確保しながら、オン抵抗を低減することができる。
【0061】
また、セル領域CRだけでなく、中間領域TRおよび周辺領域PERにおいても、p型カラム領域(PC1、PC3)とn型カラム領域(NC1、NC3)とを周期的に配置することで、セル領域CRを囲むように空乏層が広がるため、さらに、耐圧を向上させることができる。
【0062】
そして、本実施の形態においては、周辺領域PERのp型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3をスパイラル状に配置したので、追って詳細に説明するように、電界集中を緩和し、耐圧を向上させることができる。
【0063】
なお、セル領域CR、中間領域TRおよび周辺領域PERに形成される部材は上記のものに限られず、他の部材を配置してもよい。例えば、周辺領域PERのp型カラム領域PC3の他、ガードリングなどを設けてもよい。
【0064】
[製法説明]
次いで、
図4〜
図17を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、本実施の形態の半導体装置の構成をより明確にする。
図4〜
図17は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図または平面図である。本実施の形態の半導体装置は、いわゆる「トレンチフィル法」と呼ばれる方法を用いて製造される。本実施の形態の半導体装置において、セル領域CRおよび中間領域TRのpn接合の耐圧は、例えば、600V〜650V程度、周辺領域PERのpn接合の耐圧は、700V〜750V程度である。
【0065】
まず、
図4に示すように、主面(表面、上面)上にn型半導体層からなるエピタキシャル層EPIを形成した半導体基板1Sを用意する。例えば半導体基板1Sは、リン(P)または砒素(As)などのn型不純物を単結晶シリコンに導入することにより形成されている。また、エピタキシャル層EPIのn型不純物濃度は、例えば3.4×10
15/cm
3程度であり、エピタキシャル層EPIの厚さは、例えば40μm〜50μm程度である。
【0066】
次いで、
図5に示すように、エピタキシャル層EPI上にフォトレジスト膜PRを形成し、露光、現像する。これにより、エピタキシャル層EPI上のn型カラム領域(NC1、NC3)の形成領域にフォトレジスト膜PRが形成される。即ち、セル領域CRおよび中間領域TRには、ライン状のフォトレジスト膜PRが形成され、周辺領域PERには、スパイラル状のフォトレジスト膜PRが形成される。別の言い方をすれば、p型カラム領域(PC1、PC3)の形成領域のエピタキシャル層EPIが露出する。即ち、セル領域CRおよび中間領域TRにおいて、ライン状のエピタキシャル層EPIの露出部が形成され、周辺領域PERには、スパイラル状のエピタキシャル層EPIの露出部が形成される。なお、セル領域CR(中間領域TRを含む)と周辺領域PERの露光(レチクルの転写)は、一度に行ってもよいが、領域毎に個別に行ってもよい。
【0067】
次いで、フォトレジスト膜PRをマスクとしてエピタキシャル層EPIをエッチングする。これにより、p型カラム領域(PC1、PC3)の形成領域のエピタキシャル層EPIが除去され、溝(トレンチともいう、DT1、DT3)が形成される。次いで、
図6に示すように、フォトレジスト膜PRをアッシングなどにより除去する。このように、露光、現像により所望の形状に加工したフォトレジスト膜、または、ハードマスク膜などをマスクとして、エッチングを行うことにより、下層の膜を所望の形状に加工することをパターニングという。
【0068】
ここで、
図6および
図7に示すように、セル領域CRおよび中間領域TRのエピタキシャル層EPIに形成された溝をDT1と、周辺領域PERのエピタキシャル層EPIに形成された溝をDT3とする。溝DT1は、ライン状であり、溝DT3は、スパイラル状である(
図7)。
【0069】
例えば、溝DT1の幅(X方向の寸法)および深さ(Z方向の寸法)は、それぞれ、2〜5μm、40〜60μm程度である。そして、溝DT1間に残存するエピタキシャル層EPIが、ライン状のn型カラム領域NC1となる。例えば、n型カラム領域NC1の幅(X方向の寸法)および深さ(Z方向の寸法)は、それぞれ、2〜5μm、40〜60μm程度である。
【0070】
また、溝DT3の幅および深さ(Z方向の寸法)は、それぞれ、2〜5μm、40〜60μm程度である。そして、溝DT3間に残存するエピタキシャル層EPIが、スパイラル状のn型カラム領域NC3となる。例えば、n型カラム領域NC3の幅および深さ(Z方向の寸法)は、それぞれ、2〜5μm、40〜60μm程度である。
【0071】
次いで、
図8に示すように、埋め込みエピタキシャル成長法により、溝DT1、DT3の内部およびエピタキシャル層EPI上に、p型のエピタキシャル層EPを形成する。即ち、溝DT1、DT3の底面、側壁(側面)からエピタキシャル層EPを成長させ、溝DT1、DT3の内部を埋め込む。この際、溝間に位置するエピタキシャル層EPI上や、溝DT1、DT3が埋め込まれた後の上部にもエピタキシャル層EPが成長する。ここで、溝DT3は、スパイラル状であるため、X方向に延在する側面とY方向に延在する側面との双方からエピタキシャル層EPが成長するが、溝DT3は、角部を有するスパイラル状であるため、精度良くエピタキシャル層EPを埋め込むことができる。詳細は、後述する(
図19、
図20参照)。
【0072】
次いで、
図9に示すように、溝DT1、DT3上部のエピタキシャル層EPを、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などを用いて除去することにより、溝DT1、DT3の内部にエピタキシャル層EPを埋め込む。これにより、ライン状のp型カラム領域PC1と、スパイラル状のp型カラム領域PC3が形成される。また、別の言い方をすれば、複数のp型カラム領域PC1、p型カラム領域PC3、複数のn型カラム領域NC1およびn型カラム領域NC3とから成るエピタキシャル層EPSが形成される。
【0073】
以上の工程により、セル領域CRおよび中間領域TRにおいては、ライン状のp型カラム領域PC1とライン状のn型カラム領域NC1とがX方向に交互に周期的に配置された構造体が形成され、周辺領域PERにおいては、中間領域TRを囲むスパイラル状のp型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3よりなる構造体が形成される(
図10)。
【0074】
次いで、エピタキシャル層EPSの主表面に、パワーMOSFET、ゲート引き出し部GPU、ゲート引き出し電極GPE、ソース引き出し領域SPR、ソース引き出し電極SPEおよびフィールドプレート電極FFPなどを形成する。
【0075】
例えば、
図11に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、チャネル領域CHの形成領域に開口部を有するマスク膜を形成する。次いで、このマスク膜をマスクとして、不純物イオンを注入することにより、チャネル領域CHを形成する。例えば、不純物イオンとして、ボロン(B)などのp型不純物イオンを注入する。これにより、チャネル領域CHとなるp型半導体領域を形成することができる。
【0076】
次いで、上記マスク膜を除去し、エピタキシャル層EPS上にゲート絶縁膜GOXを形成し、さらに、このゲート絶縁膜GOX上に導体膜PF1を形成する。例えば、エピタキシャル層EPSの表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜GOXとして酸化シリコン膜を形成する。次いで、酸化シリコン膜上に、CVD法などを用いて、多結晶シリコン膜を堆積する。ゲート絶縁膜GOXとしては、上記酸化シリコン膜に変えて、酸化ハフニウム膜などの酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜を用いてもよい。また、CVD法などによりゲート絶縁膜GOXを形成してもよい。
【0077】
次いで、
図12に示すように、n型カラム領域NC1上に、ゲート電極GEを形成する。また、中間領域TRに、ゲート引き出し部GPUを形成する。また、スパイラル状のp型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3とのpn接合上に、フィールドプレート電極FFPを形成する。例えば、導体膜PF1上に、ゲート電極GEの形成領域、ゲート引き出し部GPUの形成領域およびフィールドプレート電極FFPの形成領域を覆うフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜をマスクとして、導体膜PF1をエッチングする。これにより、ゲート電極GEおよびフィールドプレート電極FFPを形成することができる。例えば、
図13に示すように、ゲート電極GEは、n型カラム領域NC1と同様にライン状に形成され、ゲート引き出し部GPUは、複数のゲート電極GEと電気的に接続されるように形成される。また、フィールドプレート電極FFPは、スパイラル状に形成される。
【0078】
次いで、
図14に示すように、ソース領域SRおよびソース引き出し領域SPRを形成する。例えば、周辺領域PERおよび中間領域TRのソース引き出し領域SPRの形成領域以外の領域をフォトレジスト膜で覆い、このフォトレジスト膜およびセル領域CRのゲート電極GEをマスクとして、n型不純物イオンを注入する。例えば、不純物イオンとして、リン(P)または砒素(As)などのn型不純物イオンを注入する。これにより、セル領域CRのゲート電極GE間にソース領域SRとなるn型半導体領域を形成することができる。また、中間領域TRにソース引き出し領域SPRとなるn型半導体領域を形成することができる。セル領域CRに形成された複数のソース領域SRは、中間領域TRに形成されたソース引き出し領域SPRと電気的に接続されている。
【0079】
次いで、ゲート電極GE、ゲート引き出し部GPUおよびフィールドプレート電極FFPを覆う層間絶縁膜ILを形成する。例えば、ゲート電極GE等の上に、CVD法により、酸化シリコン膜を堆積する。次いで、層間絶縁膜IL上に、ボディコンタクト領域BCの形成領域、ゲート引き出し部GPU上およびソース引き出し領域SPR上に開口部を有するフォトレジスト膜を形成する。次いで、このフォトレジスト膜をマスクとして、セル領域CRの隣り合うゲート電極GE間に位置するソース領域SR上の層間絶縁膜ILをエッチングすることにより、開口部を形成する。この際、開口部の底部がエピタキシャル層EPSの表面より低くなるようにオーバーエッチングを行う。これにより、開口部の底部の側壁からソース領域SRが露出する。また、中間領域TRのゲート引き出し部GPU上およびソース引き出し領域SPRの層間絶縁膜ILをエッチングすることにより、開口部を形成する。
【0080】
次いで、中間領域TRおよび周辺領域PERを覆うフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜および層間絶縁膜ILをマスクとして不純物イオンを注入することによりボディコンタクト領域BCを形成する。例えば、不純物イオンとして、ボロン(B)などのp型不純物イオンを注入する。これにより、ボディコンタクト領域BCとなるp型半導体領域を形成することができる。ボディコンタクト領域BCは、ソース領域SRの中央部に位置し、その底部はチャネル領域CHに達している。そして、ボディコンタクト領域BCの不純物濃度は、チャネル領域CHの不純物濃度よりも高い。
【0081】
次いで、
図15に示すように、ソース電極SE、ゲート引き出し電極GPEおよびソース引き出し電極SPEを形成する。例えば、ボディコンタクト領域BC、ゲート引き出し部GPUおよびソース引き出し領域SPR上を含む層間絶縁膜IL上に金属膜を形成する。例えば、チタンタングステン膜とその上部のアルミニウム膜との積層膜をスパッタリング法などにより形成する。次いで、金属膜をパターニングすることにより、ソース電極SE、ゲート引き出し電極GPEおよびソース引き出し電極SPEを形成する。セル領域CRのソース電極SEは、ソース領域SRとボディコンタクト領域BCとに電気的に接続される。中間領域TRのゲート引き出し電極GPEは、ゲート引き出し部GPUと電気的に接続される。また、中間領域TRのソース引き出し電極SPEは、ソース引き出し領域SPRと電気的に接続される。
【0082】
次いで、
図16および
図17に示すように、ソース電極SE、ゲート引き出し電極GPEおよびソース引き出し電極SPEを覆うように表面保護膜PASを形成する。そして、表面保護膜PASをパターニングすることにより、ソース電極SEの一部領域と、ゲート引き出し電極GPEの一部領域と、ソース引き出し電極SPEの一部領域とを露出させる。この露出部が、外部接続領域(例えば、ゲートパッド、ソースパッド)となる。
【0083】
次いで、半導体基板1Sの主面と反対側の裏面から半導体基板1Sを研削して、半導体基板1Sを薄膜化した後、半導体基板1Sの裏面に、ドレイン電極DEを形成する(
図17参照)。例えば、半導体基板1Sの裏面側を上面とし、金属膜をスパッタリング法または蒸着法により形成する。これにより、金属膜よりなるドレイン電極DEを形成することができる。
【0084】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置を形成することができる。
【0085】
本実施の形態のように、トレンチフィル法を用いて、p型カラム領域(PC1、PC3)およびn型カラム領域(NC1、NC3)を形成した場合には、p型カラム領域(PC1、PC3)とn型カラム領域(NC1、NC3)の間隔を狭くすることができ、オン抵抗を低減し、耐圧を確保することができる。
【0086】
即ち、オン抵抗を低減するためには、電流通路であるn型カラム領域のn型不純物濃度を高くすることが望ましい。しかしながら、n型カラム領域のn型不純物濃度を高くすると、n型カラム領域への空乏層の延びが小さくなる。このため、n型カラム領域全体を空乏化させるためには、n型カラム領域の幅を狭くする必要がある。トレンチフィル法によれば、p型カラム領域(PC1、PC3)およびn型カラム領域(NC1、NC3)の微細化に容易に対応することができる。特に、アスペクト比が12以上の微細な溝が繰り返し形成されるような場合でも、精度良く、溝を埋め込むことができ、n型またはp型のカラム領域を形成することができる。アスペクト比とは、溝の深さ/幅である。
【0087】
一方、n型またはp型のカラム領域を形成する方法として、マルチエピタキシャル法がある。この方法では、エピタキシャル成長法によるn型層の形成と、イオン注入法によるp型層の形成を繰り返し、多層のn型層よりなるn型カラム領域と、多層のp型層よりなるp型カラム領域を形成する。この場合、イオン注入した不純物イオンが横方向に拡散するため、p型カラム領域とn型カラム領域との間隔を狭く均一にすることは困難である。特に、p型カラム領域のアスペクト比が大きい場合には、深い位置での横方向の拡散が大きくなるため、p型カラム領域とn型カラム領域との間隔を狭く均一にすることはますます困難となる。
【0088】
このように、「トレンチフィル法」によれば、「マルチエピタキシャル法」と比較し、p型カラム領域とn型カラム領域との間隔をより狭くする(例えば、p型のカラム領域のアスペクト比を12以上とする)ことができる。これにより、オン抵抗を低減し、耐圧を向上させることができる。また、「トレンチフィル法」によれば、「マルチエピタキシャル法」よりスループットの点でも有利である。
【0089】
以上、構造説明および製法説明を通じて詳細に説明した本実施の形態の半導体装置によれば、周辺領域PERのp型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3をスパイラル状に配置したので、電界集中を緩和し、耐圧を向上させることができる。
【0090】
図18(A)および(B)は、比較例1および比較例2の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0091】
図18(A)に示す比較例1では、周辺領域PERにおいて、p型カラム領域PC3およびn型カラム領域(NC3)が、X方向に延在するライン状またはY方向に延在するライン状に配置されている。p型カラム領域PC3間がn型カラム領域(NC3)となる。
【0092】
このようなp型カラム領域PC3のレイアウトによれば、X方向に延在するライン状のp型カラム領域PC3とY方向に延在するライン状のp型カラム領域PC3との近接箇所(コーナー部、繋ぎ目)が生じる。このような、箇所には電界が集中し易く、ホットスポットとなりやすいことが確認されている。これは、上記箇所においては、pn接合から、横方向に延びる空乏層が不均一となり易いためと考えられる。特に、設計の段階での不整合や、製造ばらつきによる寸法変動が生じた場合、p型カラム領域PC3間がより広くなり、耐圧マージンの低下を引き起こす可能性がある。
【0093】
図18(B)に示す比較例2では、周辺領域PERにおいて、中間領域TRを囲むp型カラム領域PC3が多重に形成されている。p型カラム領域PC3間がn型カラム領域(NC3)となる。このようなp型カラム領域PC3のレイアウトによれば、p型カラム領域PC3の近接箇所(コーナー部、繋ぎ目)を接続した形状となるため、ホットスポットによる耐圧マージンの低下を回避することができる。しかしながら、中間領域TRを個別のp型カラム領域PC3で囲み、各周のp型カラムが閉じている(n型カラムも同様)ため、各周のカラムの電位差が大きくなる傾向にあり(
図22参照)、局所的に高電位が印加された場合には、例えば、設計値より低い値でブレークダウンが生じるなど、耐圧マージンが低下する恐れがある。
【0094】
また、
図19に示すように、中間領域TRを囲むp型カラム領域PC3において、その角部をラウンド化して配置することも可能である。
図19および
図20は、比較例3の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0095】
図19に示すように、p型カラム領域PC3の角部をラウンド化した場合、ラウンド化した箇所において、エピタキシャル層EPの埋め込み不良が生じ易くなる。即ち、溝DT3は、X方向に延在する側面と、Y方向に延在する側面とを有する。
図20に示すように、この側面は、(100)面または(110)面である。例えば、
図20(A)に示すように、(100)面が露出した側面で構成される角部をラウンド化した場合、ラウンド化した箇所においては、(110)面が露出する。また、
図20(B)に示すように、(110)面が露出した側面で構成される角部をラウンド化した場合、ラウンド化した箇所においては、(100)面が露出する。このように、異なる面方位を有する側面からエピタキシャル成長法(結晶成長法)によりエピタキシャル層EPを成長させた場合、面方位により成長速度が異なる。このため、ラウンド化した箇所において、成長速度が小さくなる場合には、埋め込み不良が生じ、逆に、成長速度が大きくなる場合には、成長面と溝DT3の側壁との接合部において、転位などの欠陥が生じる。
【0096】
これに対し、本実施の形態においては、溝DT3を、角部を有するスパイラル状とし(
図7参照)、X方向に延在する側面と、Y方向に延在する側面とを、例えば(100)面または(110)面で構成したので、エピタキシャル層EPの埋め込み特性を向上させることができる。言い換えれば、X方向に延在する側面および、Y方向に延在する側面は、(100)面または(110)面と対応するため、エピタキシャル層EPの埋め込み特性を向上させることができる。
【0097】
ここで、(100)面または(110)面と対応する側面とは、(100)面または(110)面となるよう描かれたレチクルのパターンを用いて形成された側面をいう。この場合、レチクルのパターンに対応して、X方向に延在する側面およびY方向に延在する側面は、(100)面または(110)面となる。但し、現実には、エッチングずれなどに起因し、エッチング後の溝DT3の側面は、略(100)面または略(110)面で構成され得る。言い換えれば、(100)面または(110)面以外の面を含む場合もある。本実施の形態は、このような、(100)面または(110)面以外の面を含む場合を除外するものではない。
【0098】
図21は、本実施の形態の半導体装置および比較例の耐圧と濃度の関係を示すグラフである。横軸は、p型カラム領域の濃度(Pepi濃度)を示し、縦軸は、耐圧(BVDSS、pn接合の耐圧)を示す。3.4E+15は、3.4×10
15を示す。
【0099】
図21に示すグラフのうち、(a)は、比較例1の半導体装置(
図18(A)参照)、(b)は、本実施の形態の半導体装置(
図2、
図3参照)、(c)は、比較例2の半導体装置(
図18(B)参照)、(d)は、本実施の形態の半導体装置であって、フィールドプレート電極を形成していない半導体装置の場合を示す。
【0100】
(a)〜(d)のグラフについて、耐圧のピーク(最高値)は、グラフ(a)では、660V、グラフ(b)では、680V、グラフ(c)では、670V程度であった。このように、本実施の形態においては、比較例1、2の場合より、耐圧が向上していることが確認できた。特に、低濃度側での耐圧が向上している。
【0101】
また、グラフ(b)は、グラフ(a)やグラフ(c)と比較し、ピーク近傍の曲率が小さい。即ち、耐圧の低下度合いが小さい。これは、p型カラム領域の濃度が製造ばらつきなどにより変化した場合においても、広い濃度領域で高耐圧を維持できることを示している。例えば、グラフ(a)では、耐圧600Vに対し、0.6×10
15cm
−3程度の濃度マージンしか有さないのに対し、グラフ(b)では、0.9×10
15cm
−3程度の濃度マージンを有する。
【0102】
また、グラフ(b)とグラフ(c)の比較から、p型カラム領域について、“複数の環状構造”とするより、“スパイラル構造”とする方が、より特性が良好であることがわかる。即ち、グラフ(b)は、グラフ(c)と比較しても、耐圧のピーク(最高値)が向上し、また、ピーク近傍の曲率が小さくなっている。
【0103】
これは、p型カラム領域PC3(n型カラム領域NC3)をスパイラル状に配置とすることで、p型カラム領域PC3(n型カラム領域NC3)の連続性が維持されるため、外周部に向かって段階的に電界が緩和され、より耐圧が向上したものと考察される。
図22は、周辺領域PERにおける中間領域TR側からの距離Dと、耐圧BVdsとの関係を模式的に示すグラフである。p型カラム領域PC3をスパイラル状に配置した本実施の形態の場合には、実線で示すように直線的なグラフになると考察されるのに対し、複数の環状のp型カラム領域を配置した比較例2の場合には、環状のp型カラム領域毎に電位差が生じ、破線で示すような階段状のグラフになると考察される。このように、スパイラル状にp型カラム領域PC3を配置することで、外周部に向かって段階的に電界が緩和され、より耐圧が向上する。
【0104】
また、p型カラム領域について、“複数の環状構造”とするより、“スパイラル構造”とする方が、エピタキシャル層EPの埋め込み時の内部応力を緩和することができる。例えば、“複数の環状構造”の溝をエピタキシャル層EPにより埋め込む場合、角部において成長層がぶつかり、層中の応力が高くなる恐れがある。これに対し、“スパイラル構造”の溝をエピタキシャル層EPにより埋め込む場合は、溝が連続的に繋がっているため、言い換えれば、溝が閉塞していないため、層中の応力が緩和される。よって、“複数の環状構造”とするより、“スパイラル構造”とする方が、エピタキシャル層EPの埋め込み特性を向上させることができる。
【0105】
また、グラフ(b)とグラフ(d)の比較から、フィールドプレート電極を有していない場合には、耐圧が低下することがわかる。前述したように、フィールドプレート電極は、電界緩和の役割を果たすものであるため、電界緩和により、耐圧が向上することがわかる。また、濃度マージンが向上することがわかる。この点からも、上記考察の正当性が支持される。なお、グラフ(d)以外の、グラフ(a)〜(c)については、いずれもフィールドプレート電極を有している場合のデータである。
【0106】
このように、本実施の形態においては、周辺領域PERのp型カラム領域とn型カラム領域をスパイラル状に配置したので、電界集中を緩和し、耐圧を向上させることができる。また、濃度マージンを向上させることができる。
【0107】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、様々な応用例について説明する。なお、実施の形態1等と同様の部位には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0108】
(応用例1)
実施の形態1(
図3)においては、セル領域CRおよび中間領域TRに、ライン状のp型カラム領域PC1を配置し、周辺領域PERに、スパイラル状のp型カラム領域PC3を配置したが、中間領域TRのp型カラム領域をスパイラル状としてもよい。
【0109】
図23は、本実施の形態の応用例1の半導体装置の構成を示す平面図である。中間領域TRのp型カラム領域およびn型カラム領域の構成以外は、実施の形態1と同様である。
【0110】
図23に示すように、本応用例においては、セル領域CRに、ライン状のp型カラム領域PC1とライン状のn型カラム領域NC1とが交互に配置されている。そして、中間領域TRおよび周辺領域PERにおいては、スパイラル状のp型カラム領域PC3と、スパイラル状のn型カラム領域NC3とが配置されている。
【0111】
具体的には、
図23に示すように、中間領域TRにおいて、セル領域CRを区画する矩形状の領域の角部からセル領域CRを囲むように、第1周目のp型カラムが配置され、この第1周目のp型カラムと連続して、第1周のp型カラムを囲むように、第2周のp型カラムが配置されている。このように、
図23においては、中間領域TRに、第1周および第2周のp型カラムが配置されている。
【0112】
そして、周辺領域PERにおいては、上記第2周のp型カラムと連続して、第2周のp型カラムを囲むように、第3周のp型カラムが配置され、この第3周目のp型カラムと連続して、第3周のp型カラムを囲むように、第4周のp型カラムが配置されている。このように、
図23においては、周辺領域PERに、第3周から第11周のp型カラムが配置されている。なお、p型カラム領域PC3間がn型カラム領域(NC3)となる。
【0113】
また、本応用例の半導体装置は、溝(DT3)を形成する際に用いるレチクルのパターンを、上記p型カラム領域PC1およびp型カラム領域PC3の形状と対応するように変更し、実施の形態1と同様の工程で形成することができる。
【0114】
このように、中間領域TRに、スパイラル状のp型カラム領域PC3(n型カラム領域NC3)を配置しても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0115】
(応用例2)
実施の形態1(
図3)においては、中間領域TRを区画する矩形状の領域の角部(Ca)を起点として、ここから中間領域TRを囲むように、第1周目のp型カラムを配置したが、起点を変更してもよい。本応用例において、スパイラル状のp型カラム領域PC3の起点S以外は、実施の形態1と同様である。
【0116】
図24は、本実施の形態の応用例2の半導体装置の構成を説明するための平面図である。
図24(A)では、実施の形態1と同様に、角部を起点としている。具体的には、セル領域CRを区画する矩形状の領域の角部を起点Sとして、ここからセル領域CRを囲むように、第1周目のp型カラムを配置している。なお、中間領域TRは、セル領域CRの一部としてもよいし、また、周辺領域PERの一部としてもよいため、ここではその表示を省略してある(
図25〜
図29についても同じ)。
【0117】
これに対し、
図24(B)では、角部を起点とせず、起点Sを、矩形状のセル領域CRのY方向に延在する辺(
図24(B)中の上の辺)の途中の位置と対応するように配置している。別の言い方をすれば、起点Sを、セル領域CRの最外部のp型カラム領域PC1の途中の位置と対応するように配置している。
【0118】
このように、セル領域CRの角部から起点Sをずらす(遠ざける)ことにより、ホットスポットが生じる箇所や破壊箇所を、より影響の少ない箇所に誘導することができる。
【0119】
角部においては、直線部と比較して、pn接合から横方向に延びる空乏層が不均一となり易い。このため、直線部より角部の方が、耐圧が低いと考えられる。また、角部においては、現実にホットスポットや破壊が生じた場合に、致命的な不良となり易いと考えられる。
【0120】
このため、スパイラル状のp型カラム領域PC3の起点Sをセル領域CRの角部からずらす(遠ざける)ことにより、想定外の過電圧が印加されたような場合でも、降伏時の破壊箇所をより安定的な箇所に誘導することができ、致命的な不良の発生を低減することができる。もちろん、本応用例においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0121】
なお、本応用例の半導体装置は、溝(DT3)を形成する際に用いるレチクルのパターンを、上記p型カラム領域PC3の形状と対応するように変更し、実施の形態1と同様の工程で形成することができる。
【0122】
また、本実施の形態においては、矩形状のセル領域CRのY方向に延在する第1辺(
図24(B)中の上の辺)の途中の位置を起点Sとしたが、第2辺以降の辺の途中の位置を起点としてもよい。
【0123】
(応用例3)
応用例2(
図24)においては、p型カラム領域PC3の起点Sをセル領域CRの角部からずらしたが、起点Sをずらすことにより形成された領域に、ダミーp型カラム領域DCを形成してもよい。本応用例において、ダミーp型カラム領域DC以外は、応用例2と同様である。
【0124】
図25は、本実施の形態の応用例3の半導体装置の構成を示す平面図である。
図25に示すように、本応用例においても、応用例2の場合と同様に、周辺領域において、セル領域CRを区画する矩形状の領域の角部からずれた位置を起点Sとして、セル領域CRを囲むように、第1周目のp型カラムが配置され、この第1周目のp型カラムと連続して、第1周のp型カラムを囲むように、第2周のp型カラムが配置されている。この場合、第1周目のp型カラムの第1辺は、矩形状のセル領域CRのY方向に延在する辺(
図25中の上の辺)の途中からY方向に延在する。また、第1周目のp型カラムの第2辺は、矩形状のセル領域CRのX方向に延在する辺(
図25中の右の辺)に沿って延在する。また、第1周目のp型カラムの第3辺は、矩形状のセル領域CRのY方向に延在する辺(
図25中の下の辺)に沿って延在する。また、第1周目のp型カラムの第4辺は、矩形状のセル領域CRのY方向に延在する辺(
図25中の左の辺)に沿って延在する。よって、第1周目のp型カラムの第1辺は、第3辺より短い。
【0125】
そして、本応用例においては、矩形状のセル領域CRの角部から、矩形状のセル領域CRのY方向に延在する辺(
図24(A)中の上の辺)の途中に位置するp型カラム領域PC3の起点Sまでの間に、ダミーp型カラム領域DCが設けられている。
【0126】
このように、ダミーp型カラム領域DCを設けることで、ダミーp型カラム領域DCによって形成されるpn接合からも横方向に空乏層が延びる。これにより、ダミーp型カラム領域DCの近傍における耐圧を向上させることができる。もちろん、本応用例においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0127】
なお、本応用例の半導体装置は、溝(DT3)を形成する際に用いるレチクルのパターンを、上記p型カラム領域PC3の形状と対応するように変更し、実施の形態1と同様の工程で形成することができる。
【0128】
(応用例4)
実施の形態1(
図3)においては、周辺領域PERのp型カラム領域PC3をスパイラル状とし、第n−1周のp型カラムと第n周のp型カラムとの間隔を均一としたが、第n−1周のp型カラムと第n周のp型カラムとの間を変更してもよい。本応用例において、p型カラム領域PC3の第n−1周のp型カラムと第n周のp型カラムとの間隔以外は、実施の形態1と同様である。
【0129】
図26(A)は、本実施の形態の応用例4の半導体装置の構成を説明するための平面図である。
図26(B)は、本実施の形態の応用例4の半導体装置の耐圧と濃度の関係を示すグラフである。横軸は、p型カラム領域の濃度(Pepi濃度)を示し、縦軸は、耐圧(BVDSS、pn接合の耐圧)を示す。
【0130】
図26(A)に示すp型カラム領域PC3はスパイラル状であるが、第n−1周のp型カラムと第n周のp型カラムとの間隔(a、e、i)が異なっている。ここでは、a<e<iの関係にある。
【0131】
具体的には、p型カラム領域PC3は、セル領域CRを区画する矩形状の領域の角部(起点)からセル領域CRを囲むように、第1周目のp型カラムが配置され、この第1周目のp型カラムと連続して、第1周のp型カラムを囲むように、第2周のp型カラムが配置されている。そして、第1周のp型カラムと第2周のp型カラムとの間隔は、aであり、均一となっている。なお、
図26(A)において、a=b=c=dの関係がある。
【0132】
さらに、上記第2周のp型カラムと連続して、第2周のp型カラムを囲むように、第3周のp型カラムが配置されている。そして、第2周のp型カラムと第3周のp型カラムとの間隔は、eであり、均一となっている。なお、
図26(A)において、e=f=g=hの関係がある。
【0133】
さらに、上記第3周のp型カラムと連続して、第3周のp型カラムを囲むように、第4周のp型カラムが配置されている。そして、第3周のp型カラムと第4周のp型カラムとの間隔は、iであり、均一となっている。なお、
図26(A)において、i=j=k=lの関係がある。
【0134】
このように第1周〜第n周までのp型カラムについて、カラムの周回毎にカラム間の間隔が大きくなるように配置してもよい。
【0135】
このように、第1周〜第n周までのp型カラム間隔(ピッチ)を可変化することで、周辺領域PERの位置毎に耐圧をバランスよく調整することができる。また、セル領域CRと周辺領域PERの耐圧をバランスよく調整することができる。例えば、セル領域CRの内部や、セル領域CRに近い周辺領域PERの内側においては、p型カラム間を小さくし、セル領域CRから離れるにしたがってp型カラム間を大きくすることで、耐圧をバランスよく調整することができる。
【0136】
なお、本応用例では、第n−1周のp型カラムと第n周のp型カラムとの間隔(a、e、i)について、a<e<iの場合について説明したが、例えば、a=e<iとしたり、a>e>iとしたりしてもよい。
【0137】
また、もちろん、本応用例においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0138】
また、本応用例の半導体装置は、溝(DT3)を形成する際に用いるレチクルのパターンを、上記p型カラム領域の形状と対応するように変更し、実施の形態1と同様の工程で形成することができる。
【0139】
図26(B)に示すように、第n−1周のp型カラムと第n周のp型カラムとの間隔を変えることで、周辺領域PERの耐圧をバランスよく調整することができる。グラフ(a)は、セル領域の耐圧バランスを示す。p型カラム領域とn型カラム領域の幅の比(P/N)は、5/6である。グラフ(b)は、周辺領域の耐圧バランスを示す。p型カラム領域とn型カラム領域の幅の比(P/N)は、5/6である。グラフ(c)は、周辺領域の耐圧バランスを示す。p型カラム領域とn型カラム領域の幅の比(P/N)は、5/6、5.9、5.8、5.7である。
【0140】
(応用例5)
応用例4(
図26(A))においては、第1周〜第n周までのp型カラムについて、カラムの周回毎にカラム間の間隔を変更したが、各周のp型カラムの角部を起点として間隔を変更してもよい。
【0141】
図27は、本実施の形態の応用例5の半導体装置の構成を説明するための平面図である。
図27に示すp型カラム領域PC3はスパイラル状であり、周辺領域において、セル領域CRを区画する矩形状の領域の角部を起点として、セル領域CRを囲むように、第1周目のp型カラムが配置され、この第1周目のp型カラムと連続して、第1周のp型カラムを囲むように、第2周のp型カラムが配置されている。そして、第1周目のp型カラムの第1辺は、矩形状のセル領域CRのY方向に延在する辺(
図27中の上の辺)に沿ってY方向に延在し、第2辺は、矩形状のセル領域CRのX方向に延在する辺(
図27中の右の辺)に沿って延在する。また、第3辺は、矩形状のセル領域CRのY方向に延在する辺(
図27中の下の辺)に沿って延在し、第4辺は、矩形状のセル領域CRのX方向に延在する辺(
図27中の左の辺)に沿って延在する。そして、第2周目のp型カラムの第1辺は、第1周目のp型カラムの第1辺に沿ってY方向に延在している。第2周目のp型カラムの第1辺と第1周目のp型カラムの第1辺との間隔は、aである。また、第2周目のp型カラムの第2辺は、第1周目のp型カラムの第2辺に沿ってX方向に延在している。第2周目のp型カラムの第2辺と第1周目のp型カラムの第2辺との間隔は、bであり、b>aの関係にある。また、第2周目のp型カラムの第3辺は、第1周目のp型カラムの第3辺に沿ってY方向に延在している。第2周目のp型カラムの第3辺と第1周目のp型カラムの第3辺との間隔は、cであり、c>b>aの関係にある。また、第2周目のp型カラムの第4辺は、第1周目のp型カラムの第4辺に沿ってX方向に延在している。第2周目のp型カラムの第4辺と第1周目のp型カラムの第4辺との間隔は、dであり、d>c>b>aの関係にある。
【0142】
このように、各周のp型カラムの角部を起点として各周のp型カラムの対応する辺の間隔を変更してもよい。このようにp型カラム間隔(ピッチ)を可変化することで、周辺領域PERの位置毎に耐圧をバランスよく調整することができる。また、セル領域CRと周辺領域PERの耐圧をバランスよく調整することができる。
【0143】
なお、本応用例では、p型カラム間隔(ピッチ、a〜h)について、順次間隔が大きくなっていく例(a<b<c<d<e<f<g<h)について説明したが、例えば、a=b<c=d<e=f<g=hとしたり、a>b>c>d>e>f>g>hとしたりしてもよい。
【0144】
また、もちろん、本応用例においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0145】
また、本応用例の半導体装置は、溝(DT3)を形成する際に用いるレチクルのパターンを、上記p型カラム領域の形状と対応するように変更し、実施の形態1と同様の工程で形成することができる。
【0146】
(応用例6)
本応用例においては、フィールドプレート電極FFPの形状について説明する。
図28〜
図31は、本実施の形態の応用例6の半導体装置の構成を説明するための平面図または断面図である。実施の形態1においては、フィールドプレート電極FFPを、p型カラム領域PC3とn型カラム領域NC3の境界の上方に配置した。即ち、
図28に示すように、フィールドプレート電極FFPを、p型カラム領域PC3のセル領域CR側と逆側の端部の上方に配置した。この場合、フィールドプレート電極FFPは、p型カラム領域PC3と同様に、スパイラル状に配置される。
【0147】
これに対し、
図29においては、フィールドプレート電極FFPを、p型カラム領域PC3のセル領域CR側と逆側の端部に沿って配置しているが、フィールドプレート電極FFPを、各周のp型カラムの角部(起点)において周回毎に接続し、環状としている。このように、フィールドプレート電極FFPを多重に形成してもよい。
【0148】
また、実施の形態1においては、
図30(A)に示すように、フィールドプレート電極FFPを、p型カラム領域PC3のセル領域CR側と逆側の端部の上方に配置した(
図2も参照)。
【0149】
これに対し、
図30(B)に示すように、フィールドプレート電極FFPを、p型カラム領域PC3のセル領域CR側の端部の上方に配置してもよい。
【0150】
また、
図31に示すように、フィールドプレート電極FFPの配置位置を、各周のp型カラム毎に変えてもよい。例えば、フィールドプレート電極FFPを、第m周目のp型カラムのセル領域CR側と逆側の端部の上方に位置するように配置し、第m+2周目のp型カラムのセル領域CR側の端部との上方に位置するように配置してもよい。また、各周のp型カラム上に必ずしも配置する必要はなく、例えば、1つ置きに、フィールドプレート電極FFPを配置してもよい。
【0151】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0152】
例えば、応用例1〜5の構成を適宜組み合わせて、実施の形態1に適用してもよい。例えば、ダミーp型カラム領域DCを設ける応用例3の構成と、各周毎にp型カラムの間隔を変更する応用例4の構成を組み合わせて、実施の形態1に適用してもよい。