特許第6375300号(P6375300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6375300
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】抗RSVウイルス化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/06 20060101AFI20180806BHJP
   C07D 471/20 20060101ALI20180806BHJP
   C07D 487/10 20060101ALI20180806BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20180806BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20180806BHJP
   C07D 491/20 20060101ALI20180806BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20180806BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20180806BHJP
   C07D 495/20 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/502 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/664 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20180806BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20180806BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20180806BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20180806BHJP
   C07F 9/6561 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   C07D403/06
   C07D471/20CSP
   C07D487/10
   C07D491/107
   C07D471/10 101
   C07D491/20
   C07D403/14
   C07D519/00 301
   C07D519/00 311
   C07D495/20
   A61K31/438
   A61K31/4184
   A61K31/444
   A61K31/498
   A61K31/502
   A61K31/664
   A61K31/5377
   A61K31/4439
   A61K31/407
   A61P31/12
   A61P31/14
   C07F9/6561 Z
【請求項の数】18
【全頁数】127
(21)【出願番号】特願2015-537225(P2015-537225)
(86)(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公表番号】特表2015-534966(P2015-534966A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2013071525
(87)【国際公開番号】WO2014060411
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年10月12日
(31)【優先権主張番号】12188694.9
(32)【優先日】2012年10月16日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13159431.9
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・ユーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】タリ,アブデラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンドヴィーユ,サンドリーヌ マリィ エレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンケレス,ティム ユゴ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ラボワッソン,ピエール,ジャン−マリー,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】フー,リリ
(72)【発明者】
【氏名】デーミン,サミュエル ドミニーク
(72)【発明者】
【氏名】クーイマンズ,ルートビック ポール
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/080451(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/080446(WO,A1)
【文献】 特表2006−519207(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/068769(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−521/00
C07F 9/00− 19/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(RI)で表される化合物、
【化1】

またはその立体異性体の形態(式中、
Hetは次式(a)、(b)、(c)、(d)のいずれかのヘテロ環であり:
【化2】


各Xは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのXはCであり;
1a、R1b、R1cまたはR1dはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、N(R、CO(R)、CHNH、CHOH、CN、C(=NOH)NH2、C(=NOCH)NH2、C(=NH)NH2、CFおよびOCFからなる群から選択され;
1bまたはR1dは、それが結合するXがNであるときは存在せず;
各Rは−(CR−R10であり;
mは0〜6の整数であり;
各Rは独立にH、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基およびCO(R)からなる群から選択され;
各Rは独立にH、C〜Cアルキル基、COOCHおよびCONHSOCHからなる群から選択され;
各Rは独立にH、C〜Cアルキル基、OH、C〜Cアルキルオキシ基、NH、NHSON(C〜Cアルキル)、NHSONHCH、NHSO(C〜Cアルキル)、NHSO(C〜Cシクロアルキル)、ならびにN(C〜C−アルキル)NRおよびNR10からなる群から選択され、
各RおよびRは独立にH、C〜C10アルキル基およびC〜Cシクロアルキル基からなる群から選択されるか;またはRおよびRは、任意選択により、N、SおよびOからなる群から選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む飽和4〜6員環を共に形成し;
各R10は独立にH、ハロゲン、OH、CN、CFH、CF、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、C(=O)NR、C(=O)OR、SO、C(=O)N(R)SO、C(=O)N(R)SON(R)、NR、NRC(=O)OR、OC(=O)R、O−ベンジル基、NRSO、SONR、SO、OC(=O)NR、OC(=O)NR12、N(R)C(=O)N(R)、R11、N(R)C(=O)OR12、OR11、C(=O)R11、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され;
11はフェニル基、ピリジニル基またはピラゾリル基であり;これらのそれぞれは、任意選択により、CF、CH、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
12はC〜Cアルキル基またはC〜Cシクロアルキル基であり;それぞれは、
CF、CH、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており;
各Zは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのZはCであり;
QおよびVは、それぞれ独立にC=O、SOまたはCR2021を表し;
pおよびsは独立に0〜3の整数を表し(ここで、pとsの合計は最小で2であるべきであり、かつp=0またはs=0のとき、*が付された炭素原子は直接Wと結合する);
20およびR21は独立に水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
22は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
WはSO、SO、S、C、OおよびNからなる群から選択され(ここで、そのようなCまたはNは任意選択により1つ以上のR23で置換される);
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24、C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R242、P(=O)−(O−C〜C−アルキル)、N(R242、NR25C(=O)OR24、NR25C(=O)N(R24、NR25SO24、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は、水素原子、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCH、OC(=O)CH)、および少なくとも1つのCNで置換されたC〜Cアルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
25は水素原子およびC〜Cアルキル基からなる群から選択され;
アリール基は、フェニル基またはナフタレニル基を表し;
ヘテロアリール基は、O、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む単環の5〜6員環芳香族ヘテロ環、または、O、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む2環の8〜12員環芳香族ヘテロ環を表し;
ただし、Hetは式d(x)を満たさず、
【化3】



ただし、Hetが式(a)のものであるとき、R1a置換基のうちの少なくとも1つはハロであるか、またはHetが式(b)のものであるとき、R1b置換基のうちの少なくとも1つはハロである)
または、その医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(RI)で表される化合物、または、その任意の立体異性体形態(式中、
Hetは次の式(a)、(b)、(c)、(d)のいずれかのヘテロ環であり:
【化4】


各Xは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのXはCであり;
1a、R1b、R1cまたはR1dはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、CFおよびOCFからなる群から選択され;
1bまたはR1dは、それが結合するXがNであるときは存在せず;
各Rは−(CR−R10であり;
mは2〜6の整数であり;
各RはH、ハロゲンまたはC〜Cアルキル基であり;
各RおよびRは独立にHおよびC〜C10アルキル基からなる群から選択され;
各R10は独立にH、ハロゲン、OH、CN、CFH、CF、C〜Cアルキル基、C〜Cシキロアルキル基、C(=O)NR、C(=O)ORおよびSOからなる群から選択され;
各Zは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのZはCであり;
QおよびVはそれぞれ独立にCR2021を表し;
pおよびsは独立に0〜3の整数を表し(ここで、pとsの合計は最小で2であるべきであり、かつp=0またはs=0のとき、*が付された炭素原子は直接Wと結合する);
20およびR21は水素原子であり;
22は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
WはSO、C、OおよびNからなる群から選択され(ここで、そのようなCまたはNは、任意選択により1つ以上のR23で置換される);
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24、C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R242、P(=O)−(O−C〜C−アルキル)、N(R242、NR25C(=O)OR24、NR25C(=O)N(R24、NR25SO24、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は、水素原子、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCH、OC(=O)CH)、および少なくとも1つのCNで置換されたC〜Cアルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
25は水素原子およびC〜Cアルキル基からなる群から選択され;
アリール基は、フェニル基またはナフタレニル基を表し;
ヘテロアリール基は、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、キノキサリニル基またはベンズイミダゾリル基である)
または、その医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項3】
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24、C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R24および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は水素原子、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択される(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCHおよびOC(=O)CH)からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される)請求項2に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項4】
請求項1に記載の式(RI)の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物であって、Hetが式(a’)、(b’)、(c’)または(d’)
【化5】


(式中、少なくとも1つのXはNであり;
かつR1a、R1b1c、R1dおよびRは請求項1と同様に定義される)
で表される化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項5】
式(b’)および(d’)において、1つのXがNである請求項4に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項6】
1a、R1b1cまたはR1dはそれぞれ独立にHおよびハロゲンからなる群から選択される請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項7】
1a、R1b1cまたはR1dはそれぞれ独立にクロロ、ブロモおよびフルオロからなる群から選択される請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項8】
1a、R1b1cまたはR1dはそれぞれクロロである請求項4に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項9】
は−(CR−R10(ここで、mは1〜4の整数であり、RおよびRはそれぞれ独立にHまたはC〜Cアルキル基から選択される)である請求項1に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項10】
はC〜Cアルキル−R10である請求項1に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項11】
10は、C〜Cアルキル基、H、OH、CN、F、CFH、CF、SO−C〜Cアルキル基およびSO〜Cシクロアルキル基からなる群から選択される請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項12】
式RII、RIII、RIV、RV、RVIもしくはRVII、
【化6】


またはその立体異性体の形態を有する(式中、Het、XおよびR23は請求項1〜11のいずれか一項と同様に定義される)請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項13】
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、O−R24、フェニル基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、C(=O)OR24、C(=O)R24からなる群から選択される(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、フェニル基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラゾリル基はいずれも、任意選択により、次の置換基;OCH、ハロゲン、OHまたはCNの1つ以上で置換される)請求項12に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項14】
前記化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩もしくは溶媒和物が、
【化7】


または、その医薬用として許容される付加塩もしくは溶媒和物である請求項1に定義される化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩もしくは溶媒和物。
【請求項15】
医薬として使用するための請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
【請求項16】
医薬用として許容される担体、および活性成分として、治療上有効な量の請求項1〜14のいずれか一項に定義された化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項17】
呼吸系発疹ウイルス感染の治療に使用するための請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
治療を必要としている被験体のRSVウイルス感染を治療するための医薬組成物であって、請求項1〜14のいずれか一項に定義された化合物もしくはその立体異性体形態、またはその医薬用として許容される付加塩または溶媒和物の有効量を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗ウイルス活性を有する新規のスピロ化合物、より詳しくは呼吸系発疹ウイルス(RSV)の複製に対して阻害活性を有する新規のスピロ化合物に関する。本発明はさらに、そのような新規の化合物の調製、それらの化合物を含む組成物、および呼吸系発疹ウイルスの感染治療に使用するための化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトRSV、すなわち呼吸系発疹ウイルスは、ウシ呼吸系発疹ウイルスと共に、大きなRNAウイルスであり、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、ニューモウイルス亜科(pneumoviridae)のメンバーである。ヒトRSVは、世界中のあらゆる年齢の人々の、広範な呼吸器疾患の原因である。それは、乳幼児期の下気道疾患の主な原因である。全乳児の半数を超える乳児が1歳のうちにRSVに感染し、2歳までにほぼ全員が感染する。小児への感染は、何年も続き、後に慢性肺疾患(慢性喘鳴、喘息)に移行し得る肺障害を引き起こすことがある。比較的高い年齢の子供と成人は、RSVに感染すると、(悪性の)感冒に罹ることが多い。高齢になると罹患性は再び増加し、RSVは高齢者の肺炎の多発と関係して、高い死亡率をもたらしている。
【0003】
あるサブグループのウイルスに感染しても、翌年の冬に、同じサブグループのRSV分離株に対するその後の感染が防御されることにはならない。したがって、AとBのたった2つのサブタイプしか存在しないにもかかわらず、RSVに再感染することは珍しくない。
【0004】
現在、RSV感染に対し、僅かに3種の薬剤の使用が認可されているだけである。第1のものは、入院中の子供の重篤なRSV感染に対してエアゾール療法を提供するリバビリン、すなわちヌクレオシド同族体である。エアゾールでの投与経路、毒性(催奇形性のリスク)、価格、および効能の大きな変動により、その使用は限定されている。他の2種の薬剤のRespiGam(登録商標)(RSV−IG)およびSynagis(登録商標)(パリビズマブ)、すなわちポリクローナルおよびモノクローナル抗体免疫賦活薬は、予防的に使用することを意図している。両者とも非常に高価であり、非経口投与する必要がある。
【0005】
安全かつ有効なRSVワクチンを開発しようとする他の試みは、これまでのところ全て失敗に終わっている。不活性化ワクチンは病気を防御することができず、むしろ、その後の感染時に病気を悪化させることもあった。弱毒化ワクチンが試されたが、あまり成功しなかった。有効な非毒性の、投与が容易な抗RSV複製薬が求められていることは明らかである。経口投与が可能な抗RSV複製薬を提供することが特に好ましいであろう。
【0006】
RSV阻害について、5−置換ベンズイミダゾール化合物の構造と活性の関係に関する参考文献には、X.A.Wang et al.,Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 17(2007)4592−4598がある。
【0007】
抗−RSV活性を示す化合物は、国際公開第2012/080446号パンフレット、同第2012/080447号パンフレット、同第2012/080449号パンフレット、同第2012/080450号パンフレット、および同第2012/080451号パンフレットに開示されている。
【0008】
各種疼痛障害の治療に有用なカテプシンKまたはS阻害剤として、国際公開第2004/069256号パンフレットには、2−シアノピロロピリミジンが開示されており、同第2004/076455号パンフレットには、スピロ置換2−シアノピロロピリミジンが開示されている。Teno N.et al.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,vol.17,6096−6100(2007)、およびTeno N.et al.J.Med.Chem.,vol.51,5459−5462(2008)には、カプテシンK阻害剤として、2−シアノピロロピリミジンが開示されている。
【0009】
抗RSVウイルス剤の潜在的な問題は、毒性、突然変異原性、選択性の欠如、低効能、低生物学的利用能、および合成の困難性である。
【0010】
抗ウイルス活性を有する新規の化合物の提供が望まれている。特に、RSVの複製に対して阻害活性を有する新規薬剤の提供が望まれている。さらに、先行技術の比較的強力な領域と同程度の、好ましくは最も高い活性に近いレベルの、より好ましくは先行技術で開示された化合物より高い活性レベルの抗ウイルス生物学的活性を得ることができる化合物構造を探し出すことが望まれている。さらに、経口抗ウイルス活性を有する化合物を見出すことが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの欠点の少なくとも1つを解消し得るか、または所望の効果の1つを有する新たなRSV阻害剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記要求の1つ以上によりよく対処するために、本発明の一態様においては、式(RI)で表される抗ウイルス化合物
【化1】

またはその任意の立体異性体の形態(式中、
Hetは次式(a)、(b)、(c)、(d)のいずれかのヘテロ環であり:
【化2】

各Xは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのXはCであり;
1a、R1b、R1cまたはR1dはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、N(R、CO(R)、CHNH、CHOH、CN、C(=NOH)NH、C(=NOCH)NH、C(=NH)NH、CFおよびOCFからなる群から選択され;
1bまたはR1dは、それが結合するXがNであるときは存在せず;
各Rは−(CR−R10であり;
mは0〜6の整数であり;
各Rは独立にH、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基およびCO(R)からなる群から選択され;
各Rは独立にH、C〜Cアルキル基、COOCHおよびCONHSOCHからなる群から選択され;
各Rは独立にH、C〜Cアルキル基、OH、C〜Cアルキルオキシ基、NH、NHSON(C〜Cアルキル)、NHSONHCH、NHSO(C〜Cアルキル)、NHSO(C〜Cシクロアルキル)、ならびにN(C〜Cアルキル)NRおよびNR10からなる群から選択され;
各RおよびRH、Cは独立に〜C10アルキル基およびC〜Cシクロアルキル基からなる群から選択されるか、またはRおよびRは、任意選択により、N、SおよびOからなる群から選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む飽和4〜6員環を共に形成し;
各R10は独立にH、ハロゲン、OH、CN、CFH、CF、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、C(=O)NR、C(=O)OR、SO、C(=O)N(R)SO、C(=O)N(R)SON(R)、NR、NRC(=O)OR、OC(=O)R、O−ベンジル基、NRSO、SONR、SO、OC(=O)NR、OC(=O)NR12、N(R)C(=O)N(R)、R11、N(R)C(=O)OR12、OR11、C(=O)R11および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され;
11はフェニル基、ピリジニル基またはピラゾリル基であり、これらのそれぞれは、任意選択により、CF、CH、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
12はC〜Cアルキル基またはC〜Cシクロアルキル基であり、それぞれは、CF、CH、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており;
各Zは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのZはCであり;
QおよびVは、それぞれ独立にC=O、SOまたはCR2021を表し;
pおよびsは独立に0〜3の整数を表し(ここで、pとsの合計は最小で2であるべきであり、かつp=0またはs=0のとき、*が付された炭素原子は直接Wと結合する);
20およびR21は独立に水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
22は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
WはSO、SO、S、C、OおよびNからなる群から選択され(ここで、そのようなCまたはNは任意選択により1つ以上のR23で置換される);
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R242、P(=O)−(O−C〜Cアルキル)、N(R242、NR25C(=O)OR24、NR25C(=O)N(R24、NR25SO24および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は、水素原子、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCH、OC(=O)CH)、および少なくとも1つのCNで置換されたC〜Cアルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
25は水素原子およびC〜Cアルキル基からなる群から選択され;
アリール基は、フェニル基またはナフタレニル基を表し;
ヘテロアリール基は、O、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む単環の5〜6員環芳香族ヘテロ環、または、O、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む2環の8〜12員環芳香族ヘテロ環を表し;
ただし、Hetは式d(x)を満たさない)
【化3】

または、その医薬用として許容される付加塩または溶媒和物を提供する。
【0013】
好ましくは、R23は、水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24、C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R24および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は水素原子、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択される(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCHおよびOC(=O)CHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される)。
【0014】
他の態様においては、本発明は、温血動物、好ましくはヒトのRSV感染治療に使用するための上記化合物に関する。さらに他の態様においては、本発明は、治療を必要としている被験体のRSVウィルス感染の治療法であって、前記被験体に上で定義した化合物の有効量を投与することを含む治療法を提供する。さらに他の態様においては、本発明は、RSV感染治療用薬剤を製造するための、上で定義した化合物の使用に関する。
【0015】
さらに他の態様では、本発明は、上で定義した化合物、および医薬用として許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0016】
さらに他の態様では、本発明は上で定義した化合物の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、広義には、式(RI)の化合物は一般に興味深いRSV阻害活性を有するという確かな認識に基づいている。
【0018】
特定の実施形態について、またいくつかの実施例を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。本明細書および特許請求の範囲で、「含む(comprising)」という用語が使用される場合、それは他の構成要素または工程を排除しない。単数名詞を言う際、不定冠詞または定冠詞、例えば「a」または「an」、「the」が使用される場合、特に断らない限り、これはその名詞の複数形を含む。
【0019】
本発明において「置換される」という用語が使用されるときは常に、他に示されない限り、または文脈から明らかでない限り、「置換される」を使用する表現で示される原子または基の1個以上の水素、特に1〜4個の水素、好ましくは1〜3個の水素、より好ましくは1個の水素が、示されている群から選択されるもので置き換えられることを意味するが、ただし、通常の原子価を超えず、置換により化学的に安定な化合物、すなわち反応混合物から有用な程度の純度への単離、および治療薬への製剤化に耐える十分に堅牢な化合物が得られるものとする。
【0020】
本明細書で使用されるとき、基または基の一部としての「C1〜アルキル基」は、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−メチルブチル基などの、1〜6(1、2、3、4、5または6)個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基を定義する。
【0021】
基または基の一部としての「C1〜10アルキル基」は、C1〜アルキル基に対して定義した基、およびヘプチル基、オクチル基、ノニル基、2−メチルヘキシル基、2−メチルヘプチル基、デシル基、2−メチルノニル基などの、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基を定義する。
【0022】
基もしくは基の一部としての「C〜Cアルキルオキシ基」または「C〜Cアルコキシ基」は、O−C1〜アルキル基(ここで、C1〜アルキル基は独立して上で与えられた意味を有する)を定義する。
【0023】
基または基の一部としての「C〜Cアルキルオキシ基」または「C〜Cアルコキシ基」は、O−C1〜アルキル基(ここで、C1〜アルキル基は独立して上で与えられた意味を有する)を定義する。
【0024】
用語「C〜Cシクロアルキル基」は、単独でも組み合わされても、3〜7個の炭素原子を有する環状飽和炭化水素基を意味する。適切なC〜Cシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用される用語「−(CR−」はCRサブグループのm個の繰り返しを定義する(ここで、これらサブグループのそれぞれは独立して定義される)。
【0026】
基または基の一部としての「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、他に示されない限り、または内容から明らかでない限り、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードの総称である。
【0027】
NRCOORの形式の用語はN(R)COORと同じである。
【0028】
N、SおよびOからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択により含む、4〜6員環の脂肪族環の好ましい例としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ピペリジニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基、アゼチジニル基、チオールアニル基、ピペラジニル基およびピロリジニル基が挙げられる。
【0029】
ヘテロアリール基は、O、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む、単環の5〜6員環芳香族ヘテロ環、またはO、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む、2環の8〜12員環芳香族ヘテロ環を表す。そのようなヘテロアリール基の例としては、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、キノキサリニル基およびベンズイミダゾリル基が挙げられる。
【0030】
定義に使用されている任意の分子部分上の基の位置は、化学的に安定である限り、それらの部分上のどこでもよいことに留意すべきである。
【0031】
変数の定義に使用される基は、他に示されない限り、全ての可能な異性体を含む。例えば、ペンチル基は、1−ペンチル基、2−ペンチル基および3−ペンチル基を含む。
【0032】
ある構成要素に変数が2回以上起こる場合、各定義は独立である。
【0033】
本明細書の上記および下記において、「式(RI)の化合物」という用語は、その互変異性体およびその立体異性体の形態、ならびにその医薬用として許容される付加塩、およびその溶媒和物を含むものとする。
【0034】
本明細書の上記および下記における「立体異性体」、「立体異性体の形態」、または「立体化学的な異性体の形態」という用語は、互換的に使用される。
【0035】
「立体化学的な異性体の形態」という前述の用語は、同一の結合の連続によって結合された同一の原子結合から構成されているが、式(RI)の化合物が有し得る、交換可能ではない異なる三次元構造を有する全ての可能な化合物を定義する。
【0036】
式(RI)の化合物のいくつかは、1つ以上のキラル中心を含有し、立体化学的な異性体の形態で存在し得ることは理解されるであろう。
【0037】
本発明は、式(RI)の化合物の全ての立体異性体、およびその互変異性体を、純粋な立体異性体、または2種以上の立体異性体の混合物として含む。
【0038】
エナンチオマーは、重ね合わせることができない互いの鏡像となっている立体異性体である。1対のエナンチオマーの1:1混合物は、ラセミ体またはラセミ混合物である。ジアステレオマー(またはジアステレオ異性体)は、エナンチオマーではない立体異性体であり、すなわち、それらは鏡像の関係にない。化合物が二重結合を含有する場合、置換基は、E配置またはZ配置となり得る。2価の環状(部分的)飽和基への置換基は、シスまたはトランスの配置をとり得る。例えば、化合物が2置換のシクロアルキル基を含むならば、置換基はシス配置またはトランス配置となり得る。したがって、本発明は、化学的に可能な場合はいつでも、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、E異性体、Z異性体、シス異性体、トランス異性体、およびこれらの混合物を含む。
【0039】
絶対配置は、カーン・インゴルド・プレローグ表示法にしたがって明記される。不斉原子における配置は、RまたはSのいずれかによって特定される。その絶対配置が未知である溶解された化合物は、これらが平面偏光を回転させる方向に応じて(+)または(−)によって指定することができる。
【0040】
特定の立体異性体が同定されるとき、これは、前記立体異性体が他の異性体を実質的に含まないこと、すなわち、共存する他の異性体が50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、より一層好ましくは5%未満、特に2%未満、最も好ましくは1%未満であることを意味する。したがって、式(RI)の化合物が、例えば(R)と明記されるとき、これは、化合物が(S)異性体を実質的に含まないことを意味し、式(RI)の化合物が、例えばEと明記されるとき、これは、化合物がZ異性体を実質的に含まないことを意味し、式(RI)の化合物が、例えばEと明記されるとき、これは、化合物がZ異性体を実質的に含まないことを意味し、式(RI)の化合物が、例えばシスと明記されるとき、これは、化合物がトランス異性体を実質的に含まないことを意味する。
【0041】
式(RI)の化合物のいくつかは、その互変異性体の形態でも存在し得る。そのような形態は上の式中には明示されないが、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0042】
他-に言及または指示されない限り、化合物の化学名は、前記化合物が有し得る全ての可能な立体化学的異性体形態の混合物を包含する。前記混合物は、前記化合物の基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび/またはエナンチオ-マーを含み得る。純粋な形態または互いの混合物の両方の状態にある本発明の化合物の全ての立体化学的異性体形態は、本発明の範囲に包含されるものとする。
【0043】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体形態は、当技術分野における既知の手順を適用することにより得ることができる。式(RI)のジアステレオマーラセミ体は、従来の方法によって別々に得ることができる。
【0044】
式(RI)の化合物のいくつか、その互変異性体および立体異性体形態、医薬用として許容されるその付加塩および溶媒和物、ならびにその調製に使用される中間体は、立体化学的絶対配置を実験的に決定しなかった。当業者であれば、例えばX線回折などの当技術分野で既知の方法を使用して、そのような化合物の絶対配置を決定することができる。
【0045】
本発明はまた、本化合物上に生じる原子の全ての同位体を含むものとする。同位体は、同一の原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例として、および非限定的に、水素の同位体には、トリチウムおよび重水素が挙げられる。炭素の同位体には、C−13およびC−14が含まれる。
【0046】
したがって、本発明の化合物は、本質的に、1つ以上の元素の、1つ以上の同位体を有する化合物、およびそれらの混合物を含み、それらには、1つ以上の非放射性原子がその放射性同位体の1つで置換されている、放射標識化合物とも呼ばれる放射性化合物が含まれる。「放射標識化合物」という用語は、少なくとも1個の放射性原子を含有する式(RI)の任意の化合物を意味する。例えば、化合物は、陽電子により、またはガンマ線を放出する放射性同位体により標識することができる。放射性リガンド結合法では、H−原子または125I−原子が置換され得る最適な原子である。画像化では、最も一般的に使用される陽電子放出(PET)放射性同位体は、11C、18F、15Oおよび13Nであり、これらは全て加速器で生成され、それぞれ20、100、2および10分(min)の半減期を有する。これらの放射性同位体の半減期は極めて短いので、現場にそれらを生成するための加速器を有する施設でのみそれらを使用することが可能であり、したがって、それらの使用には制限がある。これらのうち最も広く使用されているのは、18F、99mTc、201Tlおよび123Iである。これらの放射性同位体の取り扱い、それらの製造、単離、および分子への取り込みは、当業者には知られている。
【0047】
放射性原子は、特に、水素、炭素、窒素、イオウ、酸素、およびハロゲンの群から選択される。特に放射性同位体はH、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選択される。
【0048】
治療用途には、式(RI)の化合物の塩は、対イオンが医薬用として許容されるものである。しかし、医薬用として許容されていない酸および塩基の塩も、例えば、医薬用として許容される化合物の調製または精製に使用し得る。医薬-用として許容され得るか否かにかかわらず、全ての塩は、本発明の範囲に含まれる。
【0049】
前述の医薬用として許容される酸付加塩および塩基付加塩は、式(RI)の化合物を生成できる、治療活性を有する毒性のない酸付加塩および塩基付加塩の形態を含むものとする。医薬用として許容される酸付加塩は、塩基形態をそのような適切な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、および同様の酸などの無機酸、または、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン-二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわちヒドロキシルブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸、および同様の酸などの有機酸を含む。
【0050】
逆に、前記塩形態は、適切な塩基で処理することにより遊離塩基形態に変換することができる。
【0051】
酸性プロトンを含む式(RI)の化合物はまた、適切な有機および無機塩基を用いた処理によって、それらの非毒性金属またはアミン付加塩形態に変換し得る。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩を含む。
【0052】
溶媒和物という用語は、式(RI)の化合物が形成できる水和物および溶媒付加形態、ならびにその塩を含む。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0053】
本発明の全体の範囲から逸脱することなく、いくつかの実施形態について以下でより詳しく説明する。
【0054】
前述の用語および本明細中で使用する他の用語は、当業者には十分に理解される。
【0055】
ここで、本発明の化合物の好ましい特徴を述べることとする。
【0056】
本発明は、式(RI)の
【化4】

の新規化合物、またはその任意の立体異性体の形態(式中:
Hetは次式(a)、(b)、(c)、(d)のいずれかのヘテロ環である:
【化5】

各Xは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのXはCであり;
1a、R1b、R1cまたはR1dはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、N(R、CO(R)、CHNH、CHOH、CN、C(=NOH)NH、C(=NOCH)NH、C(=NH)NH、CFおよびOCFからなる群から選択され;
1bまたはR1dは、それが結合するXがNであるときは存在せず;
各Rは、−(CR−R10であり;
mは0〜6の整数であり;
各Rは独立にH、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基およびCO(R)からなる群から選択され;
各Rは独立にH、C〜Cアルキル基、COOCHおよびCONHSOCHからなる群から選択され;
各Rは独立にH、C〜Cアルキル基、OH、C〜Cアルキルオキシ基、NH、NHSON(C〜Cアルキル)、NHSONHCH、NHSO(C〜Cアルキル)、NHSO(C〜Cシクロアルキル)、ならびにN(C〜Cアルキル)NRおよびNR10からなる群から選択され;
各RおよびRは独立にH、C〜C10アルキル基およびC〜Cシクロアルキル基からなる群から選択されるか、またはRおよびRは、任意選択により、N、SおよびOからなる群から選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む飽和4〜6員環を共に形成し;
各R10は独立にH、ハロゲン、OH、CN、CFH、CF、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、C(=O)NR、C(=O)OR、SO、C(=O)N(R)SO、C(=O)N(R)SON(R)、NR、NRC(=O)OR、OC(=O)R、O−ベンジル基、NRSO、SONR、SO、OC(=O)NR、OC(=O)NR12、N(R)C(=O)N(R)、R11、N(R)C(=O)OR12、OR11、C(=O)R11および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され;
11はフェニル基、ピリジニル基またはピラゾリル基であり、これらのそれぞれは、任意選択により、CF、CH、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
12は、C〜Cアルキル基またはC〜Cシクロアルキル基であり、それぞれは、CF、CH、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており;
各Zは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのZはCであり;
QおよびVは、それぞれ独立にC=O、SOまたはCR2021を表し;
pおよびsは独立に0〜3の整数を表し(ここで、pとsの合計は最小で2であるべきであり、かつp=0またはs=0のとき、*が付された炭素原子は直接Wと結合する);
20およびR21は独立に水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
22は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され、R22-はNでない1つのZに結合しており;
WはSO、SO、S、C、OおよびNからなる群から選択され(ここで、そのようなCまたはNは任意選択により1つ以上のR23で置換される);
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24、C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R242、P(=O)−(O−C−Cアルキル)、N(R242、NR25C(=O)OR24、NR25C(=O)N(R24 NR25SO24、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は水素、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCH、OC(=O)CH)、および少なくとも1つのCNで置換されたC〜Cアルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
25は水素原子およびC〜Cアルキル基からなる群から選択され;
アリール基は、フェニル基またはナフタレニル基を表し;
ヘテロアリール基は、O、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む単環の5〜6員環芳香族ヘテロ環、または、O、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む2環の8〜12員環芳香族ヘテロ環を表し;
ただし、Hetは式d(x)を満たさない)
【化6】

または、その医薬用として許容される付加塩または溶媒和物に関する。
【0057】
一実施形態では、本発明は、式(RI)で表される化合物、
【化7】

または、その任意の立体異性体の形態(式中、
Hetは次の式(a)、(b)、(c)、(d)のいずれかのヘテロ環である:
【化8】

各Xは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのXはCであり;
1a、R1b、R1cまたはR1dはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、CFおよびOCFからなる群から選択され;
1bまたはR1dは、それが結合するXがNであるときは存在せず;
各Rは−(CR−R10であり;
mは2〜6の整数であり;
各RはH、ハロゲンまたはC〜Cアルキル基であり;
各RおよびRは独立にHおよびC〜C10アルキル基からなる群から選択され;
各R10は独立にH、ハロゲン、OH、CN、CFH、CF、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)NR、C(=O)ORおよびSOからなる群から選択され;
各Zは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのZはCであり;
QおよびVは、それぞれ独立にCR2021を表し;
pおよびsは独立に0〜3の整数を表し(ここで、pとsの合計は最小で2であるべきであり、かつp=0またはs=0のとき、*が付された炭素原子は直接Wと結合する);
20およびR21は水素原子であり;
22は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
WはSO、C、OおよびNからなる群から選択され(ここで、そのようなCまたはNは、任意選択により1つ以上のR23で置換される);
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24、C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R242、P(=O)−(O−C〜C−アルキル)、N(R242、NR25C(=O)OR24、NR25C(=O)N(R24NR25SO24および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCH)からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は、水素、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCH、OC(=O)CH)、および少なくとも1個のCNで置換されたC〜Cアルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
25は水素原子およびC〜Cアルキル基からなる群から選択され;
アリール基は、フェニル基またはナフタレニル基を表し;
ヘテロアリール基は、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、キノキサリニル基またはベンズイミダゾリル基である)
または、医薬用として許容されるその付加塩または溶媒和物に関する。
【0058】
本発明の化合物RIの実施形態は、それぞれ式Ia、Ib、IcおよびIdにより表される。
【化9】
【0059】
一実施形態では、R1dは独立にH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、N(R、CO(R)、CHNH、CHOH、C(=NOH)NH、C(=NOCH)NH、C(=NH)NH、CFおよびOCFからなる群から選択される。
【0060】
本明細書で定義された実施形態のいずれにおいても、Hetは式d(x)を満たさないことが好ましい。
【化10】

(式中、Rは、本明細書中、いずれかの実施形態において定義されているものである)
【0061】
より一層好ましい実施形態では、Hetは式d(y)を満たさない。
【化11】

(式中、R1dおよびRは、本明細書中、いずれかの実施形態において定義されているものである)
【0062】
他の実施形態では、Hetは式(a’)、(b’)、(c’)または(d’)で表される。
【化12】

(式中、少なくとも1つのXはNである。)式(b’)および(d’)では1つのXのみがNであることがより好ましい。
【0063】
1a、R1b1cまたはR1dは独立にHおよびハロゲン、より好ましくはクロロ、ブロモおよびフルオロからなる群から選択される。最も好ましいのはクロロである。
【0064】
本発明の化合物は、−(CR−R10である基Rを有する(ここで、mは0〜6、1〜4または3もしくは4の整数である)。
およびRはそれぞれ独立にHまたはC〜Cアルキル基から選択されることが好ましい。特定の実施形態では、RはC〜Cアルキル−R10である。ある特定の下位の実施形態では、RはC〜Cアルキル−R10である。
【0065】
各R10は独立にH、ハロゲン、OH、CN、CFH、CF、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、C(=O)NR、C(=O)OR、SO、C(=O)N(R)SO、C(=O)N(R)SON(R)、NR、NRC(=O)OR、OC(=O)R、O−ベンジル基、NRSO、SONR、SO、OC(=O)NR、OC(=O)NR12、N(R)C(=O)N(R)、R11、N(R)C(=O)OR12、OR11、C(=O)R11および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択される。
【0066】
特定の実施形態では、R10は、C〜Cアルキル基、H、OH、CN、F、CFH、CF、SO−C〜Cアルキル基、SO〜Cシクロアルキル基からなる群から選択される。
【0067】
本発明の特別の実施形態は、式RII、RIII、RIV、RV、RVIまたはRVIIで表される化合物
【化13】

または、その任意の立体異性体形態に関する(式中、Het、XおよびR23は記載したいずれかの実施形態で定義されているものである)。
【0068】
式RI、RII、RIII、RIV、RVまたはRVIで表される化合物の他の実施形態では、R23は、水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、O−R24、フェニル基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、C(=O)OR24、C(=O)R24からなる群から選択される(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、フェニル基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラゾリル基はいずれも、任意選択により次の置換基、OCH、ハロゲン、OHおよびCNの1つ以上により置換されている)。
【0069】
一般的な合成スキーム
式RIの化合物、またはそれらの医薬用として許容される塩は、本明細書の以下に記載する反応スキームにしたがって、有機化学の技術分野で知られている合成法、または当業者に知られている修飾法および誘導体化法を用いて調製することができる。ここで使用する出発物質は、商業的に入手可能であるか、または標準の参考書籍に開示されている方法などの、当技術分野で知られているルーチン的方法により調製し得る。好ましい方法として、以下に記載するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
以下の一連の合成の間、いずれも、関係する任意の分子上の感受性が高い基、すなわち活性な基を保護することが必要であり、かつ/または望ましい。これは、従来の保護基、例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,John Wiley & Sons,1999(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものなどによって達成することができる。
【0071】
他に示されない限り、このスキームの置換基は上で定義したものである。生成物の分離および精製は、通常の技能を有する化学者に知られている標準的な手順で行うことができる。
【0072】
以下のスキームは、式RIの化合物の製造方法の例示である。下記のスキームでは、数字I〜XXVIIIを含む、使用する数字は、スキームの中の式を示すために便宜的に使用するものである。
【0073】
式(Ia)の化合物は、例えば、スキーム1で示す方法の1つを用いて合成することができる。一般に、フラグメントAまたはBはフラグメントCとカップリングして、式(Ia)の誘導体を生成する。
【化14】

スキーム1.式(Ia)の化合物の一般的な合成
【0074】
方法1において、フラグメントAをフラグメントCと反応させて式(Ia)タイプの化合物を生成するための、適切な「カップリング条件」の例は、光延反応である。このタイプの反応に適切な溶媒はTHF(テトラヒドロフラン)である。
【0075】
あるいは、フラグメントBタイプの化合物(ここで、LGはハロゲン化物、好ましくは塩素、またはスルホン酸塩などの脱離基である)は、塩基媒介カップリング反応によって、フラグメントCタイプの化合物と反応させることができる(これに限定されない)。(方法2)この反応を起こさせることができる塩基は、KCO、CsCO、トリエチルアミン、水素化ナトリウムである(これらに限定されない)。このタイプの塩基媒介カップリングに適した溶媒は、DMF(ジメチルホルムアミド)またはTHF(テトラヒドロフラン)であるが、これらに限定されない。
【0076】
フラグメントAタイプの化合物は、一般に、スキーム2に示すように調製することができる。
【化15】

スキーム2.フラグメントAタイプの化合物の一般的な合成
【0077】
一般に、フラグメントBタイプの化合物は、SOCl、PBr、p−TsCl、MsClのような(これらに限定されない)試薬との反応により、フラグメントAタイプの化合物から調製することができる。
【化16】

スキーム3.フラグメントBタイプの化合物の一般的な合成
【0078】
式(VI)のフラグメントCタイプの中間体は、スキーム4に示すように調製することができる。
【化17】

スキーム4.フラグメントC(VI)タイプの化合物の一般的な合成
【0079】
スピロ−2−オキソ−インドール誘導体およびスピロ−2−オキソ−アザインドール誘導体の合成をスキーム4に示す。式VIの中間体は、スキーム4に示す手順を用いて合成することができる。THFまたはDMFなどの適切な溶媒中、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基の存在下、式Iのニトロピリジンまたはニトロアリール基の(U)(ハロゲン化物、好ましくはフッ素、またはアルキルオキシ基、好ましくはメトキシ基である)を、tert−ブチルエチルマロネートにより置換することにより、式(II)の中間体が得られる。中間体IIをトリフルオロ酢酸または乾燥塩酸などの酸で処理することにより、中間体IIIが得られる。後者は、DMF、THFなどの適切な溶媒中、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウムなどの適切な塩基の存在下、ビスハロ化合物IV、好ましくは臭化物と縮合させることにより、中間体Vに変換することができる。中間体Vのニトロ基の還元を、塩化アンモニウムの存在下に鉄を、または濃塩酸の存在下に塩化スズを用いて化学量論的に行うと、化合物VIが直接得られる。あるいは、式IIIの中間体を、最初に、メタノールなどの適切な溶媒中で、パラジウムまたは白金などの触媒の存在下に、水素を用いた触媒的方法で還元すると、中間体VIIを得ることができる。後者は、アルコール、例えばイソプロパノールなどの適切な溶媒中で、塩酸などを用いた酸性条件で、中間体VIIIに変換することができる。中間体VIIIのビスハロ化合物IV、好ましくは塩化物または臭化物との縮合を、DMF、THFなどの適切な溶媒中で、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウムなどの適切な無機塩基の存在下に行うか、またはナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)もしくはアルキルリチウム塩基、例えばnBuLiなどの有機塩基を用い、THFまたはエーテルなどの適切な溶媒中で行うことにより、中間体VIが得られる。
【化18】

スキーム5.フラグメントC(VI)タイプの化合物の一般的な合成
【0080】
あるいは、式VIの化合物は、スキーム5に示す一般的手順により調製することができるが、これに限定されない。
【0081】
出発物質IXは商業的に入手可能であるか、当技術分野で知られている手順を用いて調製することができる。酸Xは、標準のペプチドカップリング手順、例えば、EDCI/HOBT、HATU、DCCなどを用い、ワインレブアミドとして活性化させることができる。この酸をエステルまたはワインレブアミドとして活性化させれば、アニリンIXを加えることにより、それを中間体XIに変換することができる。
【0082】
DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中で、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたは水素化ナトリウムなどの適切な塩基の存在下に、中間体XIをPG(ここで、PGはパラ−メトキシベンジル基、ベンジル基、tert−ブトキシカルボニル基、メシル基またはトシル基などの保護基である)と反応させることにより、中間体XIIIが得られる。中間体XIVは、Lee,S.and J.F.Hartwig(2001),J.Org.Chem,66(10):3402−3415に報告された手順にしたがって調製した。1,4−ジオキサンなどの溶媒中、カリウムtert−ブトキシドなどの塩基およびトリシクロヘキシルホスフィンなどの配位子の存在下、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基の存在下、触媒として酢酸パラジウム(II)を使用して、ハロ、好ましくは臭素である(U)を置換することにより、中間体XIVが得られる。中間体XIVの保護基の除去は、Green and Wurts,Protecting groups in Organic Synthesis 3rd Editionに記載の条件を用いて行うことができ、中間体VIが得られる。
【0083】
スキーム6は式Ib(式中、R1b、R、R22、Q、V、W、XおよびZは上記と同様に定義される)の化合物の調製方法を示す。
【0084】
スキーム6に関し、式Ibの化合物は、光延反応(DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中で、例えばアザジイソプロピルジカルボキシレートおよびトリフェニルホスフィンを使用する)などの当技術分野で知られた方法で、2−ヒドロキシメチレンイミダゾピリジンXV−aにスピロオキソ−インドールまたはスピロオキソ−アザインドールVIをカップリングさせることにより、合成することができる。あるいは、式Ibの化合物は、DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下に、(LG)(ここで、(LG)は脱離基であり、ハロゲン化物、好ましくは塩素XV−b、またはメシレートXV−cなどのスルホネートである)を置換することにより調製し得る。
スキーム6
【化19】

化合物XV−bおよびXV−cの調製
【0085】
アルコールXV−aを塩化チオニルにより処理すると、2−クロロメチルイミダゾピリジンXV−bが得られる。あるいは、アルコールXV−aを、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩の存在下に、塩化メタンスルホニルと反応させることにより、中間体XV−cに変換し得る(スキーム7)。
スキーム7
【化20】

化合物XV−aの調製
【0086】
式XV−aの化合物は、商業的に入手可能であるか、スキーム8(式中、R1b、R、Xは上記と同様に定義される)に示す一般的手順により調製することができるが、これに限定されない。下記スキーム8に関し、ハロヘテロアリールXVI(式中、(U)はハロゲン化物、好ましくはフッ素である)を、エタノールまたはジクロロメタンなどの適切な溶媒中、炭酸カリウムなどの適切な塩基の存在下に、室温〜100℃の範囲の反応温度で、式XVIIの第一級アミンで処理することにより、式XVIIIの化合物を得ることができる。水素下のPd/Cもしくは他の触媒、またはFe/EtOH/CaClなどの、十分に効果的な条件を使用して、ニトロ基を水素化することにより、式XIXのジアミンを得ることができる。あるいは、水素雰囲気下のPd/Cもしくは他の触媒、またはFe/EtOH/CaClなどの、十分に効果的な条件を使用して、化合物XXのニトロ基を水素化することにより、式XXIのジアミンが得られる。これを、塩化メチレン、DMFまたはTHFなどの溶媒中、NaBH(OAc)またはNa(CN)BHなどの適切な還元剤の存在下に、ほぼ室温で、式XXIIのアルデヒドで処理することにより、式XIXの化合物を得ることができる。塩酸水溶液などの強酸条件下、還流などの高い温度で、ジアミンXIXをグリコール酸またはXXVのようなエステルで処理することにより、イミダゾール環を生成することができ、式XV−aのアルコールを得ることができる。
【0087】
あるいは、メタノールなどの適切な溶媒中で、酢酸の存在下に、ジアミンXIXを式XXIVのジアルコキシアセテートと縮合することにより、アセタールXV−eを得ることができる。化合物XV−eのアセタールを、塩酸などの酸で除去することにより、式XV−fのアルデヒドを得ることができる。得られた式XV−fのアルデヒドは、エタノールまたはTHFなどの適切な溶媒中、NaBHまたはLiAlHなどの適切な還元剤を用いてアルコールに還元することができ、所望の式XV−aのアルコールを得ることができる。さらに、ジアミンXIXを、エタノールなどの適切な溶媒中、マイクロ波加熱または非加熱の高い温度で、式XXIIIのシュウ酸ジアルキルにより環化して、式XV−dのイミダゾールを生成することができる。あるいは、式XV−dの化合物は、ジアミンXIXから出発し、2工程の合成で調製し得る。最初に、酸性媒体、好ましくは酢酸中、25〜50℃の範囲の温度で、ジアミンXIXをアルキルトリハロアセトイミデート、好ましくはメチル2,2,2−トリクロロアセトイミデートと反応させ、式XV−gの化合物を得る。第2に、メタノールなどの適切な溶媒中、式XV−gの化合物を金属炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウムと反応させて、式XV−dの化合物を導く。その後、化合物XV−dを、エタノールまたはTHFなどの適切な溶媒中、NaBHまたはLiAlHなどの適切な還元剤を用いて、所望の式XV−aのアルコールに還元することができる。
スキーム8
【化21】
【0088】
XV−aタイプの化合物を調製する代替経路をスキーム9に示す。まず、ジアミンXXIを、塩酸水溶液などの強酸条件下、還流などの高い温度で、アルキルグリコール酸またはXXVのようなエステルにカップリングさせ、式XXVIのアルコールを得る。このアルコールをPG(ここで、PGは、限定されないが、トリチルなどの保護基である)により保護し、その結果として化合物XXVIIが生成される。このタイプの反応に適した溶媒は、限定されないが、ジクロロメタンとすることができる。DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下に、化合物XXVIIを化合物XXVIII(式中、LGはハロゲン化物、好ましくは臭素、またはスルホネートなどの脱離基である)により処理することにより、化合物XV−hが得られる。化合物XV−h中のPGの除去を、塩酸などの酸の存在下、限定されないが、ジオキサンなどの溶媒の存在下に行うことにより、化合物XV−aを得ることができる。
スキーム9
【化22】
【0089】
式Icの化合物、またはそれらの医薬用として許容される塩は、本明細書の下記に記載する反応スキームにしたがって調製することができる。他に示されない限り、スキーム中の置換基は上記と同様に定義される。生成物の分離および精製は、通常の技能を有する化学者に知られている標準的な手順によりなされる。
【0090】
スキーム10に関し、式Ic(式中、R1c、R、R、R22、Q、V、WおよびZは上記と同様に定義される)の化合物は、光延反応(DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中で、例えばアザジイソプロピルジカルボキシレートおよびトリフェニルホスフィンを使用する)などの当技術分野で知られた方法で、2−ヒドロキシメチレンインドール(XV−i)を(VI)とカップリングさせることにより、合成することができる。あるいは、式Icの化合物は、DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、または炭酸セシウムなどの塩基の存在下に、LG(脱離基)(ハロゲン化物、好ましくは塩素(XV−j)、またはメシレート(XV−k)などのスルホネートである)を置換することにより調製することができる。
スキーム10
【化23】

化合物XV−iの調製
【0091】
本発明で使用する出発物質XXIXは、商業的に入手可能であるか、限定されないが、ライセルト合成またはフィッシャー合成などの、当技術分野で知られている方法により合成することができ、そのようなインドールをR−LG(式中、LGはハロゲン化物、好ましくは臭素、またはスルホネートなどの脱離基である)と、DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、または炭酸セシウムなどの塩基の存在下に反応させることにより、化合物XXXが得られる(スキーム11)。アルキルエステル化合物XXXのアルコールXV−iへの変換は、THF、メタノールまたはエタノールなどの適切な溶媒中で、水素化リチウムアルミニウムまたは水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物を用いて行うことができる。
スキーム11
【化24】
【0092】
アルコールXV−iを塩化チオニルにより処理することにより、2−クロロメチルインドールXV−jが得られる。あるいは、アルコールXV−iを、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下、塩化メタンスルホニルと反応させることにより、中間体XV−kに変換し得る(スキーム12)。
スキーム12
【化25】
【0093】
スキーム13は式(Id)(式中、R1d、R、R、R22、Q、V、W、XおよびZは上記と同様に定義される)の化合物の調製方法を示している。
【化26】

スキーム13:式(Id)の化合物の一般的な合成
【0094】
式Idの化合物は、光延反応(これは、DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中で、アザジイソプロピルジカルボキシレート(DIAD)およびトリフェニル-ホスフィンを使用する)などの当技術分野で知られた方法により、2−ヒドロキシメチレンアザインドールXV−lをスピロオキソインドールまたはスピロオキソアザインドールVIにカップリングさせることにより、合成することができる。あるいは、式Idの化合物は、DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中、限定されないが、水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下、LG(ここで、(LG)は脱離基であり、ハロゲン化物、好ましくは塩素XV−m、またはメシレートXV−nなどのスルホネートである)を置換することにより調製し得る。
【化27】

スキーム14:XV−lタイプの化合物の一般的な合成
【0095】
化合物XV−lは、スキーム14に記載の方法にしたがって調製される。
【0096】
方法1における本発明で使用する出発物質XXXIは、商業的に入手可能であるか、限定されないが、ライセルト合成またはフィッシャー合成などの、当技術分野で知られた方法(これらに限定されない)により合成することができる。そのような化合物を、DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下、R−LG(式中、LGはハロゲン化物、好ましくは臭素、またはスルホネートなどの脱離基である)と反応させることにより、化合物XXXIIが得られる。アルキルエステル化合物XXXIIのアルコールXV−lへの変換は、THFまたはメタノールなどの適切な溶媒中で、水素化リチウムアルミニウムまたは水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物を用いて行うことができる。
【0097】
あるいは、XV−lタイプの化合物はまた、スキーム14、方法2に示すように合成することができる。商業的に入手可能な出発物質XXXIIIを、PG(ここで、PGは、限定されないが、トシルなどの保護基である)により保護し、その結果として化合物XXXIVが生成される。この種の反応に適した溶媒は、限定されないが、トルエンとすることができる。化合物XXXIVをメタル化し、その後、化合物XXXV(ここで、ハロゲン化物は好ましくは塩素である)と、限定されないがTHFなどの適切な溶媒中で処理することにより、化合物XXXVIが得られる。化合物XXXVI中のPGの除去は、THFおよびメタノールなどの適切な溶媒中、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下に行うことができ、インドールXXXVIIが得られる。インドールXXXVIIをR−LG(ここで、LGはハロゲン化物、好ましくは臭素、またはスルホネートなどの脱離基である)と、DMFまたはTHFなどの適切な溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下に反応させることにより、化合物XXXVIIIが得られる。アルキルエステル化合物XXXVIIIのアルコールXV−lへの変換は、THFまたはエタノールなどの適切な溶媒中、水素化リチウムアルミニウムまたは水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物を用いて行うことができる。
【化28】

スキーム15:XV−mおよびXV−nタイプの化合物の一般的な合成
【0098】
SOCl、PBr、p−TsCl、MsCl(これらに限定されない)のような試薬でアルコールXV−lを処理することにより、2−クロロメチルインドールXV−m、またはXV−nのような化合物が得られる。
【0099】
式(RI)の化合物は、三価窒素をそのN−酸化物形態に変換するための当技術分野において知られている手順にしたがって、対応するN−酸化物形態に変換し得る。前記N−酸化反応は、一般的に、式(RI)の出発物質を、適切な有機または無機過酸化物と反応させることにより行い得る。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過酸化物(例えば、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム)を含み、適切な有機過酸化物は、ペルオキシ酸(例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸(例えば、3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸)、ペルオキソアルカン酸(例えば、ペルオキソ酢酸)、アルキルヒドロペルオキシド(例えば、t.ブチルヒドロ−ペルオキシド)など)を含み得る。適切な溶媒は、例えば、水、低級アルコール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、およびこのような溶媒の混合物である。
【0100】
出発物質は全て、商業的に入手できるか、または当業者により調製することができる。
【0101】
式(RI)の化合物の、純粋な立体化学的異性体形態は、当技術分野で知られている手順を適用することにより得ることができる。ジアステレオマーは、選択的結晶化およびクロマトグラフ法、例えば向流分配、液体クロマトグラフィーなどの物理的方法により分離し得る。有利に使用し得る適切な物理的分離方法は、例えば、選択的結晶化およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0102】
前述の方法で製造される式(RI)の化合物は、一般に、エナンチオマーのラセミ混合物であり、それらは当技術分野で知られている分離手順にしたがって互いに分離することができる。十分に塩基性の、または酸性の、式(RI)のラセミ化合物は、それぞれ適切なキラル酸およびキラル塩基と反応させることにより、対応するジアステレオマー塩の形態に変換し得る。その後、前記ジアステレオマー塩の形態は、例えば、選択的または分別結晶化により分離され、それからアルカリまたは酸によりエナンチオマーが遊離される。式(RI)の化合物のエナンチオマー形態を分離する代替法には、液体クロマトグラフィー、特にキラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーが含まれる。前記純粋な立体化学的異性体形態は、反応が立体特異的に起こることを条件として、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体形態から誘導することもできる。特定の立体異性体を所望する場合、前記化合物は立体特異的な調製方法によって合成されることが好ましいであろう。これらの方法は、エナンチオマー的に純粋な出発物質を使用することが有利であろう。
【0103】
さらに他の態様では、本発明は、治療に有効な量の、本明細書に明示した式(RI)の化合物、または本明細書に明示した式(RI)の化合物の任意の実施形態の化合物、および医薬用として許容される担体を含む医薬組成物に関する。この文脈における治療に有効な量とは、感染した被験体、または感染の危険がある被験体において、ウイルス感染、特にRSVウイルス感染を予防するのに、またはその感染を安定化もしくは減少させるのに十分な量である。さらに他の態様では、本発明は、本明細書で明示した医薬組成物の調製方法であって、医薬品として許容される担体を、治療に有効な量の、本明細書で明示した式(RI)の化合物、または本明細書で明示した式(RI)の化合物の任意の実施形態の化合物と十分に混合することを含む調製方法に関する。
【0104】
したがって、本発明の化合物またはその任意の実施形態は、投与目的のために様々な医薬品形態に処方し得る。適切な組成物としては、全身投与薬として通常使用される全ての組成物を引用し得る。
【0105】
本発明の医薬組成物を調製するには、活性成分としての特定の化合物(任意選択により付加塩の形態のもの)の有効量を、医薬品として許容される担体(これは、投与に求められる調製形態に応じて、多様な形態をとり得る)と緊密な混合物に混合する。これらの医薬組成物は、特に経口、直腸内、経皮投与、または非経口注射による投与に適した一体型剤形が望ましい。経口投与が好ましい。例えば、組成物を経口剤形に調製する際、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤などの経口液体調製物の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどの任意の通常の医薬媒体を使用することができ、あるいは、散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、澱粉、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、錠剤崩壊剤などの固体担体を使用することができる。投与の容易さにより、錠剤およびカプセル剤は最も有利な経口投与一体化剤形となり、その場合、当然、固体の医薬担体が使用される。非経口組成物の場合、担体は、通常、少なくとも大部分において無菌水を含むが、例えば溶解性を補助する他の成分を含み得る。例えば、担体が生理食塩水溶液、ブドウ糖溶液、または生理食塩水とブドウ糖溶液の混合物を含む注射用溶液を調製し得る。注射用縣濁液も調製することができ、その場合、適切な液体担体、懸濁剤などを使用し得る。さらに、使用直前に液体形態調製物に変換することを意図した固体形態調製物も含まれる。経皮投与に適した組成物では、担体は任意選択により、浸透促進剤および/または適切な湿潤剤を含-むが、これらは任意選択により少ない割合の任意の性質の適切な添加剤(これは、有意な有害効果を皮膚に与えない)と組み-合わされる。
【0106】
本発明の化合物はまた、吸入または吹送経路の投与のために当技術分野において用いられる方法および製剤によって、その経路で投与し得る。したがって、一般に、本発明の化合物は、溶液、懸濁液または乾燥粉末の形態で肺に投与し得るが、溶液が好ましい。溶液、懸濁液または乾燥粉末を、経口吸入または吹送で送達するために開発されたいかなるシステムも、本化合物の投与に適している。
【0107】
したがって、本発明はまた、経口吸入または吹送による投与に適合させた、式(RI)の化合物および医薬用として許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明の化合物は、噴霧化またはエアロゾル化した投与量で、溶液の吸入により投与することが好ましい。
【0108】
前述した医薬組成物を、投与の容易さ、投与量の均一性のために、単位剤形に処方することが特に有利である。本明細書で使用される単位剤形は、単位投与量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同して所望の治療効果を生じるよう計算された所定の量の活性成分を含む。そのような単位剤形の例は、錠剤(分割錠剤または被覆錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、坐薬、粉末小包、オブラート剤(wafers)、注射用溶液または縣濁液など、および分離されたそれらの集まりである。
【0109】
式(RI)の化合物は抗ウイルス特性を示す。本発明の化合物および方法を用いて治療できるウイルス感染には、オルトおよびパラミクソウイルス、特にヒトおよびウシ呼吸系発疹ウイル(RSV)によってもたらされる感染が含まれる。本発明の多くの化合物は、さらに、RSVの突然変異株に対して活性である。さらに、本発明の化合物の多くは、好ましい薬物動態プロファイルを示し、許容可能な半減期、AUCおよびピーク値、ならびに、発病があまり迅速でないことや組織での保持などの好ましくない現象がないことを含む、生物学的利用能に関する魅力的な特性を有している。
【0110】
本化合物の、RSVに対する生体外抗ウイルス活性は、本明細書の実験部分に記載した試験により試験したが、この活性はウイルス産生抑制試験でも実証し得る。本化合物のRSVに対する生体内抗ウイルス活性は、Wyde et al.(Antiviral Research(1998),38,31−42)に記載のコットンラットを使用する試験モデルで実証し得る。
【0111】
それらの抗ウイルス特性、特にそれらの抗RSV特性のために、式(RI)の化合物またはそれらの任意の実施形態、それらの互変異性体および立体異性体形態、ならびに医薬用として許容されるそれらの付加塩および溶媒和物は、ウイルスに感染している、特にRSVに感染している個体の治療、およびこれらの感染の予防に有用である。一般に、本発明の化合物は、ウイルス、特に呼吸系発疹ウイルスに感染した温血動物の治療に有用であり得る。
【0112】
したがって、本発明の化合物、またはこれらの任意の実施形態は医薬として使用し得る。前記医薬としての使用または治療法は、ウイルスに感染した被験体またはウイルスの感染が疑われる被験体に、ウイルス感染、特にRSV感染に伴う容態と戦うのに有効な量を全身投与することを含む。
【0113】
本発明はまた、ウイルス感染、特にRSV感染の治療または予防用薬剤の製造における、本化合物またはその任意の実施形態の使用に関する。
【0114】
本発明はさらに、ウイルス、特にRSVに感染した、または感染する危険がある温血動物の治療法であって、本明細書に明示されている式(RI)の化合物、または、本明細書に明示されている式(RI)の化合物の任意の実施形態の化合物の、抗ウイルス有効量を投与することを含む方法に関する。
【0115】
正確な投与量および投与頻度は、当業者には周知のように、使用する式(RI)の特定の化合物、治療する特定の症状、治療する症状の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、障害の程度および全身健康状態、ならびにその個体が摂取している可能性がある他の医薬に依存する。さらに、前記有効な1日量が、治療される被験体の応答に応じて、かつ/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、減少または増加し得ることは明らかである。したがって、前述の有効1日量の範囲は、ガイドラインに過ぎない。
【0116】
また、他の抗ウイルス剤と式(RI)の化合物とを組み合わせたものも、医薬として使用することができる。したがって、本発明はまた、抗ウイルス治療において同時に、別個に、または連続して使用する組み合わせ調製物として、(a)式(RI)の化合物および(b)他の抗ウイルス化合物を含む製品に関する。単一の調製物中で、医薬用として許容される担体とともに、異なる薬剤を組み合わせることができる。例えば、本発明の化合物は、RSV感染を治療または予防するために、インターフェロン−ベータ、または腫瘍壊死因子−アルファと組み合わせることができる。
【0117】
以下、次の限定されない実施例を参照しながら本発明を説明する。
【実施例】
【0118】
実験部分
中間体の合成
中間体1b:2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[インドリン−3,4’−ピラン]−2−オンの合成
方法1
【化29】

n−BuLi(108ml、216mmol、THF中2M濃度)をオキシインドール1a(CAS番号:59−48−3、11g、82.6mmol)のTHF(1000ml)溶液に−78℃で加えた。完全に加えた後、内部温度を<−70℃に維持しながら、TMEDA(25g、214.76mmol)を加えた。1時間後、−78℃で、ビス(2−ブロモメチル)エーテル(CAS番号:5414−19−7、57.5g、247.8mmol)を加え、反応系を周囲温度まで加熱した。48時間後、HOで反応を停止させ、混合物をEtOAcとHOに分離した。水溶液をEtOAcで抽出し、有機層を一緒にして塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより、CHClMeOH=100:0〜97:3勾配で溶離し、8%の2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[インドリン−3,4’−ピラン]−2−オン1bを得た。
【0119】
方法2
【化30】

オキシインドール1a(CAS番号:59−48−3、40g、264.659mmol)を、−78℃でLiHMDS(800ml、800mmol)溶液に加えた。混合物を−78℃で1時間、撹拌した。その後、ビス(2−ブロモメチル)エーテル(CAS番号:5414−19−7、61.378g、264.659mmol)を、内部温度を<−50℃に維持しながら加えた。反応系を周囲温度にまで加熱した。18時間後、HOで反応を停止させ、混合物をEtOAcとHOに分離した。水溶液をEtOAcで抽出し、有機層を一緒にして塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーにより、石油エーテル:酢酸エチル=3:1の勾配で溶離し、残渣を精製して、10.187g(17%)の2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[インドリン−3,4’−ピラン]−2−オン1bを得た。
【0120】
中間体2c:tert−ブチル2−オキソスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレートの合成
【化31】

ステップ1
2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[インドリン−3,4’−ピラン]−2−オン1bの合成に用いた方法2にしたがい、ビス(2−ブロモメチル)エーテルに代えてN,N−ビス(2−クロロエチル)ベンゼンメタンアミン(CAS番号:55−51−6、70g、302mmol)を用い、1’−ベンジルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−2−オン2aを、収率59%(52g)で合成した。
【0121】
ステップ2
10%Pd/C(0.18g)を触媒として用い、1’−ベンジルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−2−オン2a(5g、17.10mmol、1当量)のメタノール(100ml)溶液を室温で15時間水素化した。触媒を濾別し、真空下で溶媒を蒸発させた。その後、DIPE/アセトニトリルから残渣を再結晶化させ、2.7g(収率78%)のスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−2−オン2bを得た。
【0122】
ステップ3
スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−2−オン2b(2.73g、11.42mmol、1当量)のTHF(100ml)溶液に、室温で、BocO(2.74g、12.57mmol)およびトリエチルアミン(2.38mL、17.135mmol)を加えた。その混合物を室温で4時間撹拌した。その後、溶剤を真空下で蒸発させ、残渣を水およびDCMの混合物で処理した。水の層をDCM(3×)で抽出し、有機層を一緒にしてNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色泡状物質としてtert−ブチル−2−オキソスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート2c(4.02g、定量的収率)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δppm 1.44(s,9H)1.56−1.73(m,4H)3.55−3.79(m,4H)6.86(dd,J=7.70,0.40Hz,1H)6.95(td,J=7.59,1.10Hz,1H)7.19(td,J=7.70,1.10Hz,1H)7.43(dd,J=6.80,0.70Hz,1H)10.41(br.s.,1H);m/z=303.05(M+H)
【0123】
中間体3f:tert−ブチル2’−オキソスピロ[アゼチジン−3,3’−インドリン]−1−カルボキシレートの合成
【化32】

ステップ1
撹拌した2−ブロモアニリン(150g、872mmol、1当量)およびDMAP(138.5g、1133mmol、1.3当量)のCHCl(2500ml)溶液に、室温で、N−(tert−ブトキシカルボニル)アゼチジン−3−カルボン酸(CAS番号:142253−55−2、176g、872mmol、1当量)を1度に加え、続いてEDCI(217g、1133mmol、1.3当量)を1度に加えた。得られた混合物を、室温で終夜撹拌した。その後、これを10%クエン酸水溶液、水、飽和NaCO水溶液および塩水で順次洗浄し、NaSO上で乾燥させた。濾過後、溶媒を真空下で除去し、tert−ブチル3−((2−ブロモフェニル)カルバモイル)アゼチジン−1−カルボキシレート3b(328g、収率85%)を得た。
【0124】
ステップ2
CHCN(3000ml)中の、tert−ブチル3−((2−ブロモフェニル)カルバモイル)アゼチジン−1−カルボキシレート3b(307g、864mmol、1当量)、4−メトキシベンジルクロリド(203g、1296mmol、1.5当量)およびKCO(358g、2593mmol、3当量)の混合物を終夜還流した。その後、溶液を濾過し、固形分をCHCN(1000ml)で洗浄した。真空下で濾液を濃縮し、粗生成物を石油エーテル/酢酸エチル(30:1)中で粉砕し、tert−ブチル3−((2−ブロモフェニル)(4−メトキシベンジル)カルバモイル)アゼチジン−1−カルボキシ-レート3c(380g、収率90%)を得た。
【0125】
ステップ3
Pd(OAc)(2.25g、10mmol、0.025当量)およびPCy(2.8g、10mmol、0.025当量)を、tert−ブチル3−((2−ブロモフェニル)(4−メトキシベンジル)カルバモイル)アゼチジン−1−カルボキシレート3c(190g、400mmol、1当量)およびt−BuONa(57.6g、600mmol、1.5当量)のジオキサン(960ml)溶液にN雰囲気下で加えた。N雰囲気下、90℃で反応系を終夜撹拌した。その後、溶液を濾過し、真空下で濃縮した。CHClに残渣を溶解し、NHCl、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。真空下で溶媒を除去し、158g(定量的収率)のtert−ブチル1’−(4−メトキシベンジル)−2’−オキソスピロ[アゼチジン−3,3’−インドリン]−1−カルボキシレート3dを得た。
【0126】
ステップ4
CFSOH(119ml、1350mmol、3当量)を、TFA(750ml)中のtert−ブチル1’−(4−メトキシベンジル)−2’−オキソスピロ[アゼチジン−3,3’−インドリン]−1−カルボキシレート3d(178g、450mmol、1当量、粗生成物)の混合物に加えた。25℃で混合物を終夜撹拌した。その後、真空下で溶媒を除去し、残渣(78.4g)を次のステップでそのまま使用した。
【0127】
ステップ5:
スピロ[アゼチジン−3,3’−インドリン]−2’−オン3e(78.4g、450mmol、1当量、粗生成物)のCHCl(1500ml)溶液を氷水(1500ml)中のKCO(186.6g、1350mmol、3当量)混合物に注いだ。水の層を分離し、CHCl(3*500mL)で洗浄した。水の層をTHF(1500ml)中で希釈し、(Boc)O(98.2g、450mmol、1当量)を加えた。溶液を終夜撹拌した。その後、アンモニアのMeOH(7M)溶液500mLを上記溶液に滴下した。真空下で有機溶媒を蒸発させた。水溶液をCHCl(800ml*3)で抽出し、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮した。得られた残渣をt−ブチルメチルエーテルで洗浄し、tert−ブチル2’−オキソスピロ[アゼチジン−3,3’−インドリン]−1−カルボキシレート3f(44g、収率37%)の純粋な生成物を得た。
【0128】
中間体4cおよび4d:(3S)および(3R)−ヒドロキシスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オンの合成
【化33】

ステップ1
凝縮器を備えたフラスコ中で、ベンジルブロマイド(62.43g、365.03mmol、1当量)、2−(ブロモメチル)オキシラン(50g、365.03mmol、1当量)およびHgCl(100mg)からなる混合物を、撹拌しながら155℃で16時間加熱した。30cmのビグリューコンデンサー(110−115、0.5mmHg)により、生成物を真空蒸留で分離し、無色の液体を得た。カラムクロマトグラフィーにより、シリカゲル上(溶離液:ジクロロメタン)で残渣を精製し、65gの(((1,3−ジブロモプロパン−2−イル)オキシ)メチル)ベンゼン4aを得た。
【0129】
ステップ2
オキシインドール1a(20g、150.210mmol、1当量)をTHF(400ml)およびHMPA(40ml)に溶解した。反応混合物を−78℃に冷却し、その後、n−BuLi(132.185ml、330.462mmol、2.2当量)を加えた。反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。その後、(((1,3−ジブロモプロパン−2−イル)オキシ)メチル)ベンゼン4a(46.27g、150.210mmol、1当量)を加えた。引き続き、混合物を室温で14時間撹拌し、水で混合物の反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出した。残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=10:1)で精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、15gの目的生成物3−(ベンジルオキシ)スピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オン4bを得た。
【0130】
ステップ3:
メタノール(150ml)中の3−(ベンジルオキシ)スピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オン4b(15g、53.699mmol、1当量)およびPd/C(1.5g)の混合物を、圧力30psiで15時間水素化した。セライトパッド上で反応混合物を濾過し、CHOHでパッドを数回洗浄した。濾液を一緒にして乾燥するまで蒸発させた。カラムクロマトグラフィーにより、残渣をシリカゲル上(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=3:1)で精製し、(3)−ヒドロキシスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オンのラセミ混合物を得、高性能液体クロマトグラフィーにより、このエナンチオマー4cおよび4dを分離した(HPLC条件:カラム:SYNERGI 250*50 10um、流量:80ml/min、移動相A:精製水(0.075%TFAを含有)、移動相B:アセトニトリル、勾配:5−30%(%B))。目的の画分を回収し、真空中で蒸発させてCHCNを除去し、飽和NaHCO溶液により塩基性にした。水溶液をCHClで抽出した。有機層を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、4.59gの(3S)−ヒドロキシスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オン4cおよび0.89gの(3R)−ヒドロキシスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オン4dを得た。
【0131】
中間体5c:tert−ブチル 5−フルオロ−2−オキソスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレートの合成
【化34】

−78℃で、5−フルオロインドリン−2−オン5a(35g、231.576mmol、1当量)をLiHMDS(700ml、700mmol、3当量)溶液に加えた。−78℃で、混合物を1時間撹拌し、その後、内部温度を<−50℃に維持しながら、tert−ブチルビス(2−クロロエチル)カルバメート5b(56.075g、231.576mmol、1当量)を加えた。その後、反応系を周囲温度にまで加熱し、その温度に2時間維持し、反応系を終夜還流した。HOで混合物の反応を停止させ、混合物をEtOAcとHOに分離した。水溶液をEtOAcで抽出し、有機層を一緒にして塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。得られた残渣を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC条件:カラム:Synergi−10μm、250×50mm内径、流量:80ml/min、移動相A:精製水(0.1%のTFAを含有)、移動相B:アセトニトリル、勾配:35−65%(%B))により精製し、5.003g(収率7%)のtert−ブチル5−フルオロ−2−オキソスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート5cを得た。
【0132】
中間体6a:5−フルオロ−2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[インドリン−3,4’−ピラン]−2−オンの合成
【化35】

−78℃で、5−フルオロインドリン−2−オン5a(30g、198.49mmol、1.0当量)をLiHMDS(THF中1M、595.48ml、595.48mmol、3.0当量)に加えた。−78℃で10分間、混合物を撹拌し、0℃にまで加熱した。0℃で30分間、混合物を撹拌し、その後、ビス(2−ブロモメチル)エーテル(CAS番号:5414−19−7、46.03g、198.49mmol、1.0当量)を加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。水(300ml)を反応混合物に加えた。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄して、5−フルオロ−2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[インドリン−3,4’−ピラン]−2−オン6a(12g、収率13%)を得た。
【0133】
中間体7b:4−フルオロ−2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[インドリン−3,4’−ピラン]−2−オンの合成
【化36】

−78℃で4−フルオロインドリン−2−オン7a(9.5g、62.856mmol、1.0当量)をLiHMDS(THF中1M、188.568ml、188.568mmol、3.0当量)に加えた。−78℃で10分間、混合物を撹拌し、0℃に加熱した。0℃で30分間混合物を撹拌し、その後、ビス(2−ブロモメチル)エーテル(14.577g、62.856mmol、1.0当量)を加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物に水(300ml)を加えた。得られた固体を濾別し、水で洗浄して、4−フルオロ−2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[インドリン−3,4’−ピラン]−2−オン7b(1.61g、収率12%)を得た。
【0134】
中間体8d:スピロ[シクロペンタン−1,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オンの合成
【化37】

ステップ1:
0℃で、tert−ブチルエチルマロネート(160g、850mmol)のTHF(1600ml)溶液にNaH(80g、2118mmol)を少しずつ加えた。15℃で1時間、混合物を撹拌し、その後、0℃で4−クロロ−3−ニトロピリジン(112g、706mmol)を少しずつ加えた。15℃で1時間、混合物を撹拌した。水で反応を停止させ、pH=5になるまで1NのHClを加えた。この混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で蒸発させて1−(tert−ブチル)3−エチル2−(3−ニトロピリジン−4−イル)マロネート8a(250g)を得、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0135】
ステップ2
1−(tert−ブチル)3−エチル2−(3−ニトロピリジン−4−イル)マロネート8a(粗生成物、250g、706mmol)のCHCl(1500ml)溶液に、TFA(250mL)を加えた。60℃で14時間撹拌した後、混合物を蒸発させた。その後、10%NaHCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で蒸発させてエチル2−(3−ニトロピリジン−4−イル)アセテート8b(180g)を得、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0136】
ステップ3:
80℃で14時間、エチル2−(3−ニトロピリジン−4−イル)アセテート8b(50g、238mmol)、1,4−ジブロモブタン(50g、238mmol)、KCO(100g、714mmol)および4Aモレキュラーシーブ(50g)を、DMF(500ml)中で撹拌した。その後、1NのHClを加え、混合物をCHClで2回抽出した。有機層を10%NaHCO(2×)、塩水(2×)で洗浄し、乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより、シリカゲル上(溶離液:CHCl/酢酸エチル=10/1)で精製し、8.4g(3つのステップ全体で収率15%)のエチル1−(3−ニトロピリジン−4−イル)シクロペンタン−1−カルボキシレート8cを得た。
【0137】
ステップ4:
エチル1−(3−ニトロピリジン−4−イル)シクロペンタン−1−カルボキシレート8c(8.4g、31.8mmol)、Fe(7g、127mmol)およびNHCl(7g、127mmol)を、CHOH(80ml)、THF(80ml)およびHO(80ml)中で撹拌し、3時間還流した。その後、混合物を濾別し、真空下で溶媒を蒸発させた。10%NaHCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。有機層を一緒にして塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣をCHCN(2×)洗浄し、固形分を回収し、乾燥させて4g(収率67%)のスピロ[シクロペンタン−1,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン8dを得た。
【0138】
中間体9c:2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オンの合成
【化38】

ステップ1:エチル2−(3−アミノピリジン−4−イル)アセテート(中間体9a)の合成
メタノール(1500ml)中のエチル2−(3−ニトロピリジン−4−イル)アセテート8b(65g、309mmol、純度90%、1当量)混合物を、10%Pd/C(6.5 g)を触媒として20℃(大気圧)で16時間水素化した。H(3当量)の取り込みが終わってから、触媒を濾別し、真空下で濾液を蒸発させて50g(収率:90%)のエチル2−(3−アミノピリジン−4−イル)アセテート9aを得、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0139】
ステップ2:1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−オン(中間体9b)の合成
エチル2−(3−アミノピリジン−4−イル)アセテート9a(34g、189mmol、1当量)を1.4NのHCl(1000ml)およびジイソプロピルエーテル(1000ml)に溶解した。混合物を室温で終夜撹拌した。分離した有機層を分離し、HOで洗浄した。水層を一緒にしてCHClで洗浄し、ほぼ乾燥するまで蒸発させた。得られた沈殿物を濾別し、乾燥させて(真空、60℃、2時間)、26g(収率:94%)の1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−オン9bを塩酸塩として得た。
【0140】
ステップ3:2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン(中間体9c)の合成
−78℃で、1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−オン9b(12g,70.34mmol、1.05当量)を1MのLiHMDSのTHF(281ml、281mmol、4当量)溶液に加えた。混合物を−78℃で10分間撹拌し、0℃まで自然に加温した。0℃で0.5時間の撹拌後、1−ブロモ−2−(2−ブロモエチル)エタン(15.54g、66.99mmol、1当量)を加えた。混合物を20℃に加熱し、20℃で0.5時間撹拌し、その後、終夜還流した。室温にまで冷却した後、引き続き10%NHCl溶液(300ml)により反応混合物の反応を停止させ、酢酸エチル(2*300ml)で抽出した。有機層を一緒にして塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより、シリカゲル上(溶離液:CHCl:メタノール1:0〜20:1)で精製し、1.735g(収率12%)の2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン9cを得た。
【0141】
中間体10c:tert−ブチル2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−1−カルボキシレートの合成
【化39】

ステップ1:1−ベンジルスピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン(中間体10a)の合成
−78℃で、塩酸塩1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−オン9b(160g、938mmol、1当量)を1MのLiHMDSのTHF(3751ml、3751mmol、4当量)溶液に加えた。0℃にまで加熱した後、N−ベンジル−2−クロロ−N−(2−クロロエチル)エタン−1−アミン塩酸塩(218g、938mmol、1当量)を加えた。混合物を20℃に加熱し、その後、終夜還流した。室温に冷却した後、引き続き10%NHCl溶液(300ml)により、反応混合物の反応を停止させ、酢酸エチル(2*300ml)で抽出した。有機層を一緒にして塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより、シリカゲル上(溶離液:CHCl:メタノール1:0〜10:1)で精製し、70g(収率23%)の1−ベンジルスピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン10aを得た。
【0142】
ステップ2:スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン(中間体10b)の合成
10%Pd/C(50g)を触媒とし、50℃(50psi)で15時間、メタノール(1000ml)中で、1−ベンジルスピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン10a(70g、238.61mmol、1当量)の混合物を水素化した。触媒を濾別し、真空下で溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上(溶離液:CHCl/酢酸エチル1/0〜0/1)で精製し、50g(収率93%)のスピロ[ピペリジン−4、3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン10bを得た。
【0143】
ステップ3:tert−ブチル2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−1−カルボキシレート(中間体10c)の合成
スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン10b(50g、246.05mmol、1当量)のMeOH(1000ml)溶液にBocO(64.43g、295.22mmol、1.2当量)を加えた。混合物を室温で終夜撹拌し、その後、乾燥するまで蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上(溶離液:ジクロロメタン:酢酸エチルが1:0〜0:1)で精製し、43.32g(収率58%)のtert−ブチル 2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−1−カルボキシレート10cを得た。
【0144】
中間体11c:2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[3,2−c]ピリジン]−2’(1’H)−オンの合成
【化40】

ステップ1:3,3,7−トリブロモ−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−オン(中間体11a)の合成
室温で、Br(26ml、507mmol、4当量)を、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン(15g,127mmol、1当量)のHO(500ml)およびt−BuOH(500ml)溶液に20分かけて滴下した。Brの添加後、混合物のpHは約1となった。飽和NaHCO溶液(800ml)を30分かけて徐々に、注意しながら加え、混合物のpHを6.5〜7に調節した。混合物を1時間撹拌し、その後、濾過した。さらに、得られた固形分を水で洗浄し、エタノールと共蒸発させて、28.5g(収率61%)の3,3,7−トリブロモ−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−オン11aを得た。
【0145】
ステップ2:1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−オン臭化水素酸塩(中間体11b)の合成
3つの反応器を同時使用して反応を実施した。Pd/C(14g)を触媒とし、30℃(50psi)で3時間、エタノール(2850ml)中の、3,3,7−トリブロモ−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−オン11a(28.5g、76.9mmol、1当量)混合物を水素化した。H(3当量)の取り込みが終わってから、触媒を濾別し、真空下で濾液を蒸発させ、14g(収率85%)の1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−オン臭化水素酸塩11bを得た。
【0146】
ステップ3:2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[3,2−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン(中間体11c)の合成
−78℃で、1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−オン臭化水素酸塩11b(11.7g、54.4mmol、1.04当量)を1MのLiHMDSのTHF(210ml、210mmol、4当量)溶液に加えた。混合物を−78℃で10間撹拌し、0℃まで自然に加温した。0℃で0.5時間撹拌した後、1−ブロモ−2−(2−ブロモエトキシ)エタン(12.1g、52.2mmol、1当量)を加えた。混合物を20℃に加熱し、その後、終夜還流した。その後、混合物を室温にまで冷却し、飽和NHCl溶液(200ml)により混合物の反応を停止させ、セライトパッド上で濾過し、濾液を酢酸エチル(2*200ml)で抽出した。有機層を一緒にして塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空下で濾液を蒸発させた。残渣を、CHCl:メタノール(5:1)に溶解し、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上(溶離液:CHCl:メタノール1:0〜10:1)で精製して残渣を得、これをさらにCHCNで洗浄して812mg(収率7%)の2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[3,2−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン11cを得た。
【0147】
中間体12d:2,6−ジメチル−2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オンの合成
【化41】

ステップ1:オキシビス(プロパン−2,1−ジイル)ジメタンスルホネート(中間体12b)の合成
2,2’−オキシビス(プロパン−1−オール)12a(Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1:Organic and Bio−Organic Chemistry(1972−1999),(3),245−50;1975に記載のように、LiAlHによりジエチル2,2’−オキシジプロピオネートを還元して得られる)を、メシルクロリドおよびトリエチルアミンを用い、イソプロピルエーテル中でメシル化し、オキシビス(プロパン−2,1−ジイル)ジメタンスルホネート12bを得た。Supramolecular Chemistry,22(11 & 12),827−837;2010で報告されている手順にしたがい、商業的に入手可能なエチル2−ヒドロキシプロパノエートとエチル2−ブロモプロパノエートをTHF中のNaHの存在下に混合することにより、ジエチル2,2’−オキシジプロピオネートを得た。
【0148】
ステップ2:1−ブロモ−2−((1−ブロモプロパン−2−イル)オキシ)プロパン(中間体12c)の合成
オキシビス(プロパン−2,1−ジイル)ジメタンスルホネート12bのアセトン溶液にLiBrを加え、還流下、反応が完結するまで反応混合物を撹拌し、1−ブロモ−2−((1−ブロモプロパン−2−イル)オキシ)プロパン12cを得た。
【0149】
ステップ3:2,6−ジメチル−2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン(中間体12d)の合成
2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン9cの合成に使用した手順にしたがって、1−ブロモ−2−(2−ブロモエトキシ)エタンに代えて1−ブロモ−2−((1−ブロモプロパン−2−イル)オキシ)プロパン12cを、またLiHMDSに代えてDMF中のNaHを使用し、2,6−ジメチル−2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン12dを合成した。
【0150】
中間体13c:2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[ピロロ[2,3−c]ピリジン−3,4’−チオピラン]−2(1H)−オン1’,1’−ジオキサイドの合成
【化42】

ステップ1:ビス(2−ブロモエチル)スルファン(中間体13a)の合成
2,2’−チオジエタノール(5g、40.9mmol)の乾燥THF溶液に、N下、−15℃で3臭化リン(7.75g、0.7当量)を加えた。−15℃で30分間撹拌した後、反応混合物を加熱し、室温で12時間撹拌した。その後、これを0℃でNaHCO水溶液により希釈した。有機層を分離し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル=10/1、体積/体積)で精製し、2.5g(収率22%)のビス(2−ブロモエチル)スルファン13aを得た。
【0151】
ステップ2:2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[ピロロ[2,3−c]ピリジン−3,4’−チオピラン]−2(1H)−オン(中間体13b)の合成
2,3,5,6−テトラヒドロスピロ[ピラン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン9cの合成で使用した手順にしたがって、1−ブロモ−2−(2−ブロモエトキシ)エタンに代えてビス(2−ブロモエチル)スルファン13aを、またLiHMDSに代えて0℃のDMF中のNaH(4当量)を使用し、2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[ピロロ[2,3−c]ピリジン−3,4’−チオピラン]−2(1H)−オン13bを合成した。
【0152】
ステップ3:2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[ピロロ[2,3−c]ピリジン−3,4’−チオピラン]−2(1H)−オン(中間体13c)の合成
2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[ピロロ[2,3−c]ピリジン−3,4’−チオピラン]−2(1H)−オン13bのMeOH/HO溶液をオキソンで酸化し、2’,3’,5’,6’−テトラヒドロスピロ[ピロロ[2,3−c]ピリジン−3,4’−チオピラン]−2(1H)−オン13cを得た。
【0153】
中間体14d 3−(メチルスルホニル)プロパン−1−アミン塩酸塩の合成
【化43】

ステップ1:3−(メチルスルホニル)プロパン−1−オール(中間体14a)の合成
3−(メチルチオ)プロパン−1−オール(200g、1900mmol、CAS505−10−2)をCHCl(2000mL)に溶解した。混合物を0℃に冷却し、その後、温度を0〜5℃に維持しながら、水中85%のm−CPBA(970g、5700mmol、CAS 937−14−4)を少しずつ加えた。添加後、混合物を25℃に加熱し、15時間撹拌した。セライトパッドを通して混合物を濾過し、濾液をフラッシュカラム(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=3:1、その後、酢酸エチル:メタノール=10:1)により精製し、中間体14a(75g、29%)を得た。
【0154】
ステップ2:1−ブロモ−3−(メチルスルホニル)プロパン(中間体14b)の合成
0℃の、中間体14a(75g、543mmol)のCHCl(750mL)溶液に、温度を0〜5℃に維持しながら3臭化リン(53.6mL、570mmol)を滴下により加えた。添加後、混合物を25℃に加熱し、15時間撹拌した。混合物を氷水に注ぎ、その後、有機層を分離し、塩水(2×500mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させ、標記の化合物14b(77g、71%)を得た。H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm 2.25−2.40(m,2H)2.91(s,3H)3.1−3.2(m,2H)3.5−3.6(m,2H).
【0155】
ステップ3:N−(ジフェニルメチレン)−3−(メチルスルホニル)プロパン−アミン(中間体14c)の合成
中間体14b(27g、134mmol)のCHCN(60mL)溶液にジフェニルメタンイミン(27g、148mmol)およびDIEA(19.6g、152mmol)を加えた。混合物を4時間還流し、その後、室温にまで冷却した。その後、50%酢酸水溶液により混合物を25℃で中和した。水(80mL)を加え、酢酸エチル(2×300mL)で混合物を抽出した。有機層を一緒にして塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させた。残渣を石油エーテル(4×100mL)で洗浄した。メチルtert−ブチルエーテルにより混合物を処理した。固形分を回収し、石油エーテルで洗浄した。濾液を真空下で乾燥させ、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl:酢酸エチル1:0〜10:1)により精製し、標記の化合物14c(34g、85%)を白色固形物として得た。
【0156】
ステップ4:3−(メチルスルホニル)プロパン−1−アミン塩酸塩(中間体14d)の合成
中間体14c(34g、113mmol)のジオキサン(600mL)溶液に4NのHCl/ジオキサン(120mL、480mmol)溶液を0℃で滴下により加えた。添加後、混合物を25℃に加熱し、15時間撹拌した。混合物を濾過した。固形分を回収し、ジオキサンで洗浄し、標記の生成物14d(11.5g、50%)を黄色粉末として得た。
【0157】
中間体15e 5−クロロ−2−(クロロメチル)−1−(3−(メチルスルホニル)-プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール塩酸塩の合成
【化44】

ステップ1:4−クロロ−N−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−2−ニトロアニリンの合成
1−クロロ−4−クロロ−3−ニトロベンゼン(7.6g、35mmol)、3−(メチルスルホニル)プロパン−1−アミン塩酸塩14d(6g、35mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(13.5g、105mmol)のエタノール(70mL)溶液を14時間還流した。その後、混合物を20℃に冷却し、得られた沈殿物を濾過し、エタノールで洗浄した。11g(94%)の中間体15aをオレンジ色の粉末として得た。
【0158】
ステップ2:4−クロロ−N1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)ベンゼン−1,2−ジアミンの合成
触媒としてラネーNi(10g)を使用し、20℃(1atm)で3時間、メタノール(200mL)、EtOAc(200mL)およびTHF(200mL)中で、中間体15a(10g、29.7mmol)を水素化した。H(3当量)の取り込みが終わってから、触媒を濾別し、濾液を蒸発させた。10g(90%)の中間体15bを黒色固形物として得た。
【0159】
ステップ3:5−クロロ−2−(ジエトキシメチル)−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールの合成
中間体15b(10g、29.7mmol)およびメチルジメトキシ-アセテート(9.2g、68.31mmol)を24重量%のKOEtを含むエタノール(13.5g、38.5mmol)中で撹拌し、終夜還流した。真空下で混合物を蒸発させた。その後、水(200mL)を加え、続いて酢酸を加えて混合物を中和した。この混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を一緒にして飽和NaHCO、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。真空下に溶媒を除去して、12.3g(90%)の中間体15cを暗色の油として得た。
【0160】
ステップ4:(5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノールの合成
20℃で0.5時間、THF(100mL)中の中間体15c(12.3g、29.3mmol)が完全に溶解するまで撹拌した。濃HCl(21mL)およびHO(42mL)をその後加えた。混合物を6時間還流し、その後−10℃に冷却した。CHOH(50mL)を加え、続いてNaBH(24g、629mmol)を注意しながら加えた。10℃で0.5時間、混合物を撹拌し、真空下で濃縮した。水(200mL)を加えた。この混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を一緒にして塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。真空下で溶媒を除去した。得られた固形分を酢酸エチル(2×5mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。6.8g(60%)の中間体15dをオフホワイト色の固形物として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 2.20(dq,J=7.8,7.5Hz,2H),2.98(s,3H),3.16−3.24(m,2H),4.42(t,J=7.4Hz,2H),4.73(d,J=6.0Hz,2H),5.73(t,J=5.8Hz,1H),7.42(dd,J=8.7,1.9Hz,1H),7.63(d,J=8.5Hz,1H),7.79−7.83(m,1H)。
【0161】
ステップ5:
アルコール15d(363mg、1.414mmol)の30mLジクロロメタン溶液に、塩化チオニル(336mg、2当量)の10mLジクロロメタン溶液を滴下した。45℃で1時間、反応混合物を撹拌した。その後それを真空下で濃縮し、目的の中間体15e(440mg、99%)をHCl塩として得、次のステップでそれをそのまま使用した。
【0162】
中間体16a (5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノールの合成
【化45】

(5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノール15dの合成に使用した化学経路を辿って、第1ステップの1−クロロ−4−フルオロ−3−ニトロベンゼンに代えて1−ブロモ−4−フルオロ−3−ニトロベンゼン(7.6g、35mmol)を使用し、(5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノール16aを合成した。6.8gの目的生成物16aをオフホワイト色の固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 2.20(dq,J=7.8,7.5Hz,2H),2.98(s,3H),3.16−3.24(m,2H),4.42(t,J=7.4Hz,2H),4.73(d,J=6.0Hz,2H),5.73(t,J=5.8Hz,1H),7.42(dd,J=8.7,1.9Hz,1H),7.63(d,J=8.5Hz,1H),7.79−7.83(m,1H);m/z=347 & 349(M+H)+Brパターン。
【0163】
中間体17b (5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メタノールの合成
【化46】

ステップ1:エチル5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−カルボキシレート(中間体17a)の合成
エチル5−ブロモ−1H−インドール−2−カルボキシレート(2.3g、8.6mmol)をDMF(50mL)に溶解した。混合物を室温で撹拌し、その後、鉱油中水素化ナトリウム60%の懸濁液(0.52g、12.8mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で1時間撹拌し、その後1−ブロモ−3−(メチルスルホニル)プロパン14b(2.6g、12.8mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で終夜撹拌した。混合物を氷/水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濃縮して茶色の粗油を得た。ジクロロ-メタン/メタノールを使用したカラムクロマトグラフィーにより、粗油を精製し、標記化合物エチル5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−カルボキシレート17a(3.2g、96%)を白色固形物として得た。m/z=344(M+H)
【0164】
ステップ2:(5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メタノール(中間体17b)の合成
室温で、中間体17a(3.2g、8.24mmol)のTHF(100mL)溶液に、水素化リチウムアルミニウム(THF中、2M溶液、5.2mL、10.4mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で終夜撹拌した。酢酸エチルとエタノールを加えて反応混合物の反応を停止させた。得られた混合物を氷/水溶液に注ぎ、その後セライト上で濾過した。水層を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。有機抽出物を一緒にして塩水(100mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。溶離液としてジクロロメタン/メタノールを用い、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の生成物(5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メタノール17b(2.5g、88%)を白色固形物として得た。m/z=302(M+H)
【0165】
中間体18c:4−(5−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−1H−インドール−1−イル)ブタンニトリルの合成
【化47】

ステップ1:エチル5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−インドール−2−カルボキシレート(中間体18a)の合成
エチル−5−クロロインドール−2−カルボキシレート(33.55g、150mmol)をアセトニトリル(600mL)に溶解し、室温で撹拌した。その後、炭酸セシウム(73.31g、225mmol)を加え、30分間、撹拌を続けた。4−ブロモブチロニトリル(18.83mL、180mmol)を1時間かけて少しずつ加え、周囲温度で終夜、撹拌を続けた。この反応混合物を濾過し、濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて43.5g(収率99%)のエチル5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−インドール−2−カルボキシレート18aを得、これをそのまま次のステップで使用した。m/z=290(M+H)
【0166】
ステップ2:5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−インドール−2−カルボン酸(中間体18b)の合成
エチル5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)インドール−2−カルボキシレート18a(43.61g、149.97mmol)を1,4−ジオキサン(850mL)に溶解し、室温で撹拌した。その後、水酸化リチウム(10.78g、450mmol)の蒸留水(150mL)溶液を加えた。室温で終夜撹拌した後、反応混合物を乾燥するまで蒸発させた。残渣を500mLの水に溶解させ、1Nの塩酸水溶液(450mL)で中和した。白色の沈殿物を濾別し、真空下に乾燥させて39.8g(量論的収率)の5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−インドール−2−カルボン酸18bを得た。m/z=262(M+H)
【0167】
ステップ3:4−(5−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−1H−インドール−1−イル)ブタンニトリル(中間体18c)の合成
5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)インドール−2−cカルボン酸18b(39.4g、149.98mmol)およびヒューニッヒ塩基(51.69mL、300mmol)をテトラヒドロフラン(550mL)に溶解させ、窒素雰囲気中、−10℃で撹拌した。その後、イソブチルクロロホルメートのテトラヒドロ-フラン(50ml)溶液を滴下し、−10℃で1時間、および周囲温度で1時間、撹拌を続けた。その後、水素化ホウ素ナトリウム(17.02g、450mmol)を−10℃で少しずつ加え、1時間撹拌し、その後、蒸留水(200mL)を注意しながら反応混合物に加え、室温でさらに1時間、窒素雰囲気で撹拌を続けた。混合物を10%クエン酸水溶液で中和し、その後、酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をシリカ上、ヘプタン/ジクロロメタン/メタノール50/50/0−>0/100/0−>0/99/1の勾配で精製した。対応する画分を蒸発させ、23.9g(収率64%)の4−(5−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−1H−インドール−1−イル)ブタンニトリル18cを白色粉末として得た。m/z=248(M+H)
【0168】
中間体19b (5−クロロ−1−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メタノールの合成
【化48】

ステップ1:6−クロロ−N−(4,4,4−トリフルオロブチル)−ピリジン−2,3−ジアミン(中間体19a)
6−クロロピリジン−2,3−ジアミン(5g、34.82mmol)をジクロロメタン(200mL)、酢酸(20滴)に溶解し、4,4,4−トリフルオロブタナール(4.38g、34.8mmol)を加えた。得られた混合物を30分間撹拌し、その後、ナトリウムトリアセトキシヒドロボレート(22.14g、104.5mmol)を加えた。室温で終夜、反応混合物を撹拌し、ガスの発生がなくなるまで、50%NaCO溶液を滴下した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、乾燥するまで蒸発させた。ヘプタン/EtOAcを7/3〜純EtOAcとして用い、カラムクロマトグラフィーにより残渣を精製した。中間体6−クロロ−N−(4,4,4−トリフルオロブチル)−ピリジン−2,3−ジアミン19aを白色固形物として回収し、真空下で終夜乾燥させた(6.16g、70%)。m/z=254(M+H)
【0169】
ステップ2:(5−クロロ−1−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メタノール(中間体19b)の合成
中間体19a(5.68g、22.46mmol)と2−ヒドロキシ酢酸(4.27g、56.2mmol)の混合物を150℃で4時間撹拌した。混合物を室温にまで冷却し、注意しながら3Nの塩酸で処理した。アンモニア水により、得られた混合物を塩基性にし、CHCl(300mL)で抽出した。有機層をMgSO上で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。CHClに続けてEtOAcを用い、カラムクロマトグラフィーによりシリカ上で残渣を精製し、4.27g(65%)の(5−クロロ−1−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メタノール19bを茶色の固形物として得た。m/z=294(M+H)H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δppm1.00(s,2H),1.12−1.23(m,2H),1.83−1.99(m,2H),2.12−2.31(m,2H),2.91(spt,J=3.50Hz,1H),4.38−4.54(m,2H),5.38(s,2H),7.13(dd,J=5.27,0.50Hz,1H),7.27(d,J=8.28Hz,1H),7.61(d,J=8.53Hz,1H),8.36(d,J=5.27Hz,1H),8.77(s,1H)。
【0170】
中間体20e (5−クロロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2−イル)メタノールの合成
【化49】

ステップ1:2−ブロモ−6−クロロピリジン−3−アミン(中間体20a)の合成
臭素(24.86g、155.57mmol)を6−クロロピリジン−3−アミン(20.00g、155.57mmol)および酢酸ナトリウム(25.52g、311.14mmol)の酢酸(383ml)溶液に加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。その後、酢酸を蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解し、NaCO飽和水溶液、水および塩水で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて32.20gの目的生成物20a(99.8%)を得た。m/z=206.96(M+H)、Cl+Brパターン。
【0171】
ステップ2:5−クロロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2−カルボン酸(中間体20b)の合成
2−オキソプロパン酸(36.22g、411.31mmol)、酢酸パラジウム(II)(7.74g、34.15mmol)およびEtN(69.11g、682.94mmol)を、2−ブロモ−6−クロロピリジン−3−アミン20a(32.20g、155.21mmol)およびTPP(35.83g、136.59mmol)の乾燥DMF(300ml)溶液に加えた。反応混合物を100℃で終夜撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、水を加え、水層をEtOAcで洗浄した。濃HClで水層を酸性にした。沈殿を濾別して乾燥させ、25.21gの目的生成物20b(82.6%)を得た。m/z=197.1(M+H)、Clパターン。
【0172】
ステップ3:メチル5−クロロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート(中間体20c)の合成
5−クロロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2−カルボン酸20b(25.20g、128.18mmol)を、硫酸(20ml)とメタノール(400ml)の還流混合物に加えた。混合物を終夜還流した。その後、混合物を蒸発させ、pHが塩基性になるまで冷NaHCO溶液を加えた。沈殿を濾別し、乾燥させて16.15gの目的生成物20c(59.8%)を得た。m/z=211.17(M+H)、Clパターン。
【0173】
ステップ4:メチル5−クロロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート(中間体20d)の合成
メチル5−クロロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート20c(2.9g、12.2mmol)のDMF(50L)溶液に、炭酸セシウム(4g、12.2mmol)と1−ブロモ−4−フルオロブタン(1.3mL、12.2mmol)を続けて加えた。得られた混合物を60℃で終夜加熱した。反応混合物を室温にまで冷却し、その後、氷水に注ぎ、DCMで生成物を3回抽出した。有機層を一緒にしてNaSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させ、目的生成物20dを黄色味を帯びた固形物として得た。生成物は次のステップでそのまま使用した。m/z=313(M+H)、Clパターン。
【0174】
ステップ5:(5−クロロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2−イル)メタノール(中間体20e)の合成
メチル5−クロロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート20d(3.82g、10.8mmol)の乾燥THF(100mL)溶液に、−75℃で1Mの水素化リチウムアルミニウム(11.96mL、11.96mmol)の溶液を加えた。その後、冷却浴を取り除き、3時間、混合物を室温に維持した。EtOAcを加え、続いて飽和NHCl溶液を加えた。混合物を30分間撹拌した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて黄色の油を得、これをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的生成物(5−クロロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2−イル)メタノール20e(2.8g、98%)を得た。m/z=257(M+H)、Clパターン。
【0175】
中間体21 bおよび21c:4−(5−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)ブタンニトリル(中間体21b)および4−(6−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)ブタンニトリル(中間体21c)の合成
【化50】

ステップ1:(5−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノール(中間体21a)の合成
4−クロロベンゼン−1,2−ジアミン(105g、736mmol、1当量)およびヒドロキシ酢酸(112g、2当量)のキシレン(1500mL)中混合物を150℃で4時間撹拌した。その後、混合物を60℃に冷却し、3NのHCl(480ml)で処理し、その後、アンモニア水を加えてpH=7〜8の塩基性にした。混合物を濾過し、固形分を回収し、HOおよびtert−ブチルメチルエーテルで洗浄して123g(収率82%)の(5−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノール21aを得た。
【0176】
ステップ2:4−(5−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)ブタンニトリル(中間体21b)および4−(6−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)ブタンニトリル(中間体21c)の合成
(5−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノール21a(500mg、2.738mmol、1当量)、4−ブロモブチロニトリル(466mg、1.15当量)、炭酸セシウム(1.338g、1.5当量)およびヨウ化カリウム(45mg、0.1当量)のアセトニトリル(5mL)中混合物を終夜還流した。その後、混合物を冷却し、濾過した。真空下で濾液を蒸発させ、残渣を酢酸エチル(30ml)および塩水(20ml)で処理した。分離した有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空下で溶媒を蒸発させた。残渣を、カラムクロマトグラフィーにより(溶離液:CHCl:メタノール1:0〜15:1)精製し、2つの位置異性体21bおよび21cを1/1の割合で含む、732mg(54%)の混合物を得た。混合物をSFCでさらに分離し、純粋の位置異性体21bを得た。
【0177】
中間体22c 3−アミノスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オンの合成
【化51】

ステップ1:
DCM中のアルコール4cまたは4d(5g、26.425mmol)に0℃でデス・マーチン・ペルヨージナン(16.8g、1.5当量)を加えた。室温で16時間経過後、RMを濾別し、飽和NaHCO(50mL)溶液およびNaS溶液(50mL)を加えた。30分間の撹拌後、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、真空下で濃縮し、目的のスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’,3−ジオン22aをラセミ混合物として得、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0178】
ステップ2
ケトン22a(2g、10.68mmol)、炭酸ナトリウム(3.397g、3当量)および塩酸ヒドロキシルアミン(1.485g、2当量)のEtOH/HO(1/1、100mL)中混合物を100℃に1時間加熱した。その後、RMを真空下で濃縮し、得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、真空オーブン中で乾燥させて3−(ヒドロキシイミノ)スピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オン22b(1.5g、収率69%)を得た。
【0179】
ステップ3
オキシム22bをMeOH(50mL)中7NのNHRaNi(435mg、1当量)上で終夜水素化した。その後、溶液をダイカライト上で濾過し、真空下で濃縮した。その後、粗生成物をEtO中で粉砕し、得られた固形分を濾別し、オーブン中で乾燥させ、アミノスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オン22c(1.3g、収率85%)を2つの異性体の混合物として得た。
【0180】
最終化合物の合成
化合物1 tert−ブチル1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−インドール−2−イル}メチル)−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−1−カルボキシレートの合成
【化52】

乾燥THF(92ml)中の、{5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−インドール−2−イル}メタノール17b(4000mg、13.25mmol)、tert−ブチル2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−1−カルボキシレート10c(4423mg、14.58mmol)およびTPP(4172mg、15.91mmol)の懸濁液に、DIAD(3.869ml、19.88mmol)を室温で加え、反応混合物を終夜撹拌した。THFを蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。関係する画分を蒸発させた後、残渣を水中で再結晶化させた。生成した結晶を濾別し、いくらかの水およびヘプタンで洗浄して、標記の生成物1をベージュ色の粉末として得た(1231mg、Y=15.8%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.45(s,9H)1.80(t,J=5.50Hz,4H)2.03−2.16(m,2H)3.01(s,3H)3.14−3.25(m,2H)3.60−3.83(m,4H)4.37(t,J=7.48Hz,2H)5.20(s,2H)6.37(s,1H)7.16(dd,J=8.69,2.09Hz,1H)7.53(d,J=1.98Hz,1H)7.55(d,J=8.80Hz,1H)7.69(d,J=4.62Hz,1H)8.33(d,J=4.84Hz,1H)8.39(s,1H);m/z=587.23(M+H)+Clパターン。
【0181】
化合物2 1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−インドール−2−イル}メチル)スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オンの合成
【化53】

tert−ブチル1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−インドール−2−イル}メチル)2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−1−カルボキシレート1(3.39g,3.75mmol)のDCM(20ml)溶液に、TFA(2.872ml、37.53mmol)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。その後、水を加え、反応混合物をNaCO溶液で塩基性にした。DCMを蒸発させ、残った水性懸濁液を3時間撹拌した。固形分を濾別し、水で洗浄し、その後、カラムクロマトグラフィーで精製してピンク色のガラス状の油を得た。生成物をジエチルエーテル中で粉砕して、目的の生成物2をピンク色の粉末として得、真空オーブン中で乾燥させた(466mg、23.7%);H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.62−1.88(m,4H)2.02−2.18(m,2H)2.93−3.07(m,5H)3.11−3.24(m,4H)4.38(t,J=7.48Hz,2H)5.19(s,2H)6.33(s,1H)7.16(dd,J=8.69,2.09Hz,1H)7.50−7.58(m,2H)7.64(d,J=4.84Hz,1H)8.29−8.42(m,2H);m/z=487.27(M+H)+Clパターン。
【0182】
化合物3 1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−インドール−2−イル}メチル)−1−(メチルスルホニル)スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オンの合成
【化54】

1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−インドール−2−イル}メチル)スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−2’(1’H)−オン2(500mg、0.72mmol)をDCM(5ml)に溶解し、その後、メタンスルホニルクロリド(0.11ml、1.44mmol)およびEtN(0.30ml、2.16mmol)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。水を加え、反応混合物をNaHCO溶液で塩基性にした。生成物をDCMで抽出した(2回)。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を分取カラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の生成物3を得た(172mg、Y=42.4%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.88−2.16(m,6H)3.00(s,3H)3.01(s,3H)3.17−3.26(m,2H)3.41−3.51(m,2H)3.52−3.64(m,2H)4.38(t,J=7.48Hz,2H)5.20(s,2H)6.38(s,1H)7.16(dd,J=8.69,2.09Hz,1H)7.53(d,J=1.98Hz,1H)7.56(d,J=8.80Hz,1H)7.70(d,J=4.84Hz,1H)8.36(d,J=4.84Hz,1H)8.41(s,1H);m/z=565.03(M+H)+Clパターン。
【0183】
化合物4 tert−ブチル1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−1−カルボキシレートの合成
【化55】

Tert−ブチル2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−1−カルボキシレート3f(1000mg、3.65mmol)を乾燥DMF(23ml)に溶解し、その後、5−クロロ−2−(クロロメチル)−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール塩酸塩15e(1304mg、3.64mmol)および炭酸セシウム(3563mg、3.56mmol)を加えた。この反応混合物を、室温で終夜撹拌した。氷水を加え、混合物を終夜撹拌した。生成した固形分を濾別し、水と微量のエーテルで洗浄した。真空オーブンで乾燥後、目的生成物4をピンク色の固体として得た(1695mg、Y=81.5%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.44(s,9H)2.10−2.21(m,2H)3.00(s,3H)3.19−3.25(m,2H)4.03−4.19(m,4H)4.47(t,J=7.48Hz,2H)5.22(s,2H)7.13(td,J=7.48,0.88Hz,1H)7.19(d,J=7.70Hz,1H)7.27−7.34(m,2H)7.65−7.69(m,3H);m/z=559.21(M+H)+Clパターン。
【0184】
化合物5 1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−2’(1’H)−オンの合成
【化56】

tert−ブチル1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−1−カルボキシレート4(1.5g、2.63mmol)のDCM(20mL)溶液に、室温でTFA(1mL、5当量)を加えた。12時間後、TFA(2mL)をさらに添加し、混合物を24時間撹拌した。その後、反応系をNaCO溶液で中和した。DCMを蒸発させ、生成した固形分を濾別し、水およびエーテルで洗浄して、目的生成物のTFA塩を灰色の粉末として得た(1.303g、Y=86.5%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 2.11−2.26(m,2H)3.01(s,3H)3.19−3.28(m,2H)4.16−4.35(m,4H)4.48(t,J=7.48Hz,2H)5.22(s,2H)7.18−7.28(m,2H)7.32(dd,J=8.80,1.98Hz,1H)7.36(td,J=7.90,0.88Hz,1H)7.66(d,J=1.98Hz,1H)7.69(d,J=8.80Hz,1H)7.85(d,J=6.82Hz,1H)9.27(br.s.,2H);m/z=459.18(M+H)++Clパターン。
【0185】
化合物6 1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)−1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−2’(1’H)−オンの合成
【化57】

DECP(0.188ml、1.12mmol)を滴下により加えながら、乾燥DMF(4ml)中、室温で1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−2’(1’H)−オン5(300mg、0.50mmol)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(117mg、1.12mmol)およびEtN(0.482ml、2.80mmol)を、激しく撹拌した。密閉容器中、周囲温度で、1時間撹拌を続けた。いくらかの氷を加え、続いて、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えた。得られた懸濁液を2時間撹拌し、固形物を濾過し、さらにDCMとMeOHの勾配を用いたカラムクロマトグラフィーにより溶出させて精製した。純粋な全ての画分を蒸発させ、黄色味がかった泡状物質を得、それをエーテル中でさらに粉砕し、濾別して標記の生成物6を得た(121mg、Y=42.0%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.31(s,3H)1.33(s,3H)2.11−2.24(m,2H)3.00(s,3H)3.18−3.27(m,2H)4.02−4.20(m,2H)4.47(t,J=7.37Hz,2H)4.55−4.75(m,2H)5.23(s,2H)5.25(s,1H)7.11−7.23(m,2H)7.27−7.35(m,2H)7.60−7.65(m,1H)7.65−7.71(m,2H);m/z=545.41(M+H)+Clパターン。
【0186】
化合物7 1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)−1−(ピリジン−3−イル)スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−2’(1’H)−オンの合成
【化58】

トルエン(1.5ml)中の1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−2’(1’H)−オン5(259mg、0.43mmol)および3−ブロモピリジン(0.084ml、0.87mmol)の混合物を窒素ガス中で5分間脱気した。その後、Pd(dba)(10mg、0.01mmol)、NaOtBu(52mg、0.54mmol)およびBINAP(20mg、0.03mmol)を加えた。混合物を再び脱気し、その後、電子レンジ中、125℃で2時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、水に取り、DCMで抽出した。不溶物を濾別した。2相を分離し、有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾燥させた。粗生成物を分取カラムクロマトグラフィーによって精製し、標記の生成物7を得た(35mg、Y=15.0%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 2.09−2.21(m,2H)3.00(s,3H)3.19−3.27(m,2H)4.13−4.27(m,4H)4.47(t,J=7.48Hz,2H)5.26(s,2H)6.99(ddd,J=8.25,2.75,1.32Hz,1H)7.12−7.17(m,1H)7.20(d,J=7.70Hz,1H)7.25(dd,J=8.14,4.62Hz,1H)7.28−7.36(m,2H)7.64−7.71(m,3H)7.98(d,J=2.64Hz,1H)8.02(dd,J=4.62,1.32Hz,1H);m/z=536.07(M+H)+Clパターン。
【0187】
化合物8 1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)−1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−2’(1’H)−オンの合成
【化59】

1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−2’(1’H)−オン5(150mg、0.33mmol)のEtOH(20ml)およびDMF(5ml)溶液に、EtN(0.227ml、1.63mmol)および2,2−ジメチルオキシラン(0.087ml、0.98mmol)を添加した。反応混合物を60℃で40時間加熱した。加熱を停止し、氷水を加えた。EtOHを蒸発させた。生成した固形物を濾過し、水およびエーテルで洗浄して、灰色粉末を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空オーブンで乾燥して、標記の生成物8を白色固体として得た(74mg、Y=39.2%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.12(s,6H)2.06−2.17(m,2H)2.46(s,2H)2.99(s,3H)3.17−3.25(m,2H)3.54(q,J=7.04Hz,4H)4.12(s,1H)4.45(t,J=7.37Hz,2H)5.21(s,2H)7.10−7.17(m,2H)7.23−7.28(m,1H)7.30(dd,J=8.58,1.98Hz,1H)7.64−7.68(m,2H)7.73−7.77(m,1H);m/z=531.09(M+H)+Clパターン。
【0188】
化合物9 1’−[[5−クロロ−1−(3−メチルスルホニルプロピル)ベンズイミダゾール−2−イル]メチル]−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)スピロ[アゼチジン−3,3’−インドリン]−2’−オンの合成
【化60】

1’−[[5−クロロ−1−(3−メチルスルホニルプロピル)ベンズイミダゾール−2−イル]メチル]スピロ[アゼチジン−3,3’−インドリン]−2’−オン5(573mg、1mmol)、2,2,2−トリフルオロエチル1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホネート(382mg、1mmol)およびN−エチル−N−イソプロピル−プロパン−2−アミン(0.52mL、3mmol)溶液を、ジオキサン(10mL)中、50℃で週末を通して撹拌した。その後、反応混合物を周囲温度に冷却させた。混合物を蒸発乾燥させ、残渣をエタノール/アセトニトリル100/1中で結晶化させた。濾過によりオフホワイト色の結晶を回収し、真空中で乾燥させて、標記の生成物9(420mg、77%)を得た。H NMR(360MHz,DMSO−d)δppm 2.13(m,J=8.1Hz,2H),3.00(s,3H),3.22(m,J=15.4Hz,2H),3.42(q,J=10.0Hz,2H),3.64(d,J=7.0Hz,2H),3.75(d,J=7.0Hz,2H),4.46(t,J=7.1Hz,2H),5.22(s,2H),7.07−7.22(m,2H),7.31(d,J=8.8Hz,1H),7.27(d,J=7.3Hz,1H),7.62−7.79(m,3H);m/z=540.99(M+H)+Clパターン;融点:200.68℃。
【0189】
化合物12 (1R,3R)−1’−((5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−3−ヒドロキシスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オンの合成
【化61】

tert−ブチル2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−1−カルボキシレート3fの替りに、(3R)−ヒドロキシスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−2’−オン4dを用い、化合物4の合成に使用した反応条件にしたがい、(3R)−1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)−3−ヒドロキシスピロ[シクロブタン−1,3’−インドール]−2’(1’H)−オン12を合成し、わずかにピンク色がかった固形物を、収率82%で得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 2.08−2.21(m,2H)2.27−2.38(m,2H)2.60−2.72(m,2H)2.99(s,3H)3.19−3.27(m,2H)4.46(t,J=7.48Hz,2H)4.50−4.62(m,1H)5.20(s,2H)5.45(d,J=6.82Hz,1H)7.05−7.14(m,2H)7.18−7.25(m,1H)7.30(dd,J=8.80,1.98Hz,1H)7.45−7.55(m,1H)7.63−7.71(m,2H);m/z=474.05(M+H)+;MP=209.84℃。
【0190】
化合物104 (1R,3R)−1’−((5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−2’−オキソスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−3−イルメチルカルバメートの合成
【化62】

(3R)−1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)−3−ヒドロキシスピロ[シクロブタン−1,3’−インドール]−2’(1’H)−オン12(100mg、0.205mmol)、トリエチルアミン(0.142mL、1.023mmol)およびN,N’−ジスクシンイミジルカーボネート(210mg、0.82mmol)のDCM(1.5mL)溶液を室温で2時間撹拌した。その後、2Mのメチルアミン溶液(1.54mL、3.07mmol)を加え、反応混合物をさらに30分間撹拌した。その後、それを濃縮し、残渣をクロマトグラフィーにより、シリカゲル上、DCM中のMeOH(0〜5%)勾配を用いて精製し、110mg(収率99%)の1’−({5−クロロ−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メチル)−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロスピロ[シクロブタン−1,3’−インドール]−3−イルメチルカルバメート104を、わずかにピンク色をした固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)ppm 2.16(quin,J=7.59Hz,2H)2.45−2.52(m,2H)2.59(d,J=4.62Hz,3H)2.73−2.82(m,2H)3.00(s,3H)3.20−3.27(m,2H)4.47(t,J=7.37Hz,2H)5.22(s,2H)5.25−5.35(m,1H)7.07−7.16(m,3H)7.22−7.28(m,1H)7.28−7.33(m,1H)7.48−7.54(m,1H)7.64−7.70(m,2H);m/z=531.15(M+H)+。
【0191】
化合物117 N−[(1’−{[5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−インドール−2−イル]メチル}−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−1−イル)スルホニル]アセトアミドの合成
【化63】

ジオキサン(20mL)中の4−{5−クロロ−2−[(2’−オキソスピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−1’(2’H)−イル)メチル]−1H−インドール−1−イル}ブタンニトリル59(588mg、1.133mmol)およびスルファミド(326mg、3.4mmol)の混合物を電子レンジにより160℃で40分間加熱した。冷却後、反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をメタノールから再結晶化させた。この粗生成物(212mg、0.438mmol)を、その後、DCM(30mL)に再び溶解し、無水酢酸(82μL、0.876mmol)、N−メチルモルホリン(96μL、0.876mmol)およびDMAP(3.7mg、0.03mmol)を加えた。3時間後、室温で、2当量の無水酢酸およびN−メチルモルホリンをさらに加え、反応混合物を終夜撹拌した。その後、その反応をMeOH(1mL)で停止させ、真空中で濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィーにより、シリカゲル上、DCM中のMeOH(0〜5%)勾配を用いて精製し、140mg(収率58%)のN−[(1’−{[5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−インドール−2−イル]メチル}−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[アゼチジン−3,3’−インドール]−1−イル)スルホニル]アセトアミド117を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)ppm 1.93−2.04(m,1H),2.16(s,3H),2.58(t,J=7.4Hz,2H),4.25(d,J=8.1Hz,2H),4.27−4.35(m,2H),4.40(d,J=8.4Hz,2H),5.12(s,2H),6.38(s,1H),7.08(d,J=7.9Hz,1H),7.11−7.21(m,2H),7.26−7.35(m,1H),7.48−7.55(m,2H),7.58(d,J=7.0Hz,1H),10.84−10.85(m,0H),11.75(br.s.,2H);m/z=524(M−H);MP=182.85℃。
【0192】
化合物115 ジエチル(1’−{[5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]メチル}−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−1−イル)ホスホネート
【化64】

DMF(10mL)中の4−(5−クロロ−2−((2’−オキソスピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−1’(2’H)−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)ブタンニトリル塩酸塩84(500mg、0.985mmol)、ジエトキシシアノホスホネート(0.448mL、3当量)およびトリエチルアミン(0.411mL、3当量)の混合物を室温で2時間撹拌した。その後、混合物をDCMで抽出し、水で洗浄した。その後、有機物をMgSO上で乾燥させ、真空下で濃縮し、クロマトグラフィーにより、シリカゲル上、DCM中のMeOH(0〜10%)勾配を用いて精製し、続いて、分取HPLC(固定相:RP Vydac Denali C18−10μm、200g、5cm)、移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN)により精製して、320mg(収率56%)のジエチル(1’−{[5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−メチル}−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−c]ピリジン]−1−イル)ホスホネート115を得た。m/z=571(M+H)
【0193】
化合物148および149 4−(2−(((1r,3r)−3−アミノ−2’−オキソスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−1’−イル)メチル)−5−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)ブタンニトリルおよび4−(2−(((1s,3s)−3−アミノ−2’−オキソスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−1’−イル)メチル)−5−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)ブタンニトリルの合成
【化65】

乾燥DMF(10mL)のアミン22c(194mg、1.035mmol)溶液に、水素化ナトリウム(79mg、2当量)を室温で加えた。30分後、4−(5−クロロ−2−(クロロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)ブタンニトリル塩酸塩(332mg、1当量)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。その後、粗生成物を濾別し、濾液を真空中で濃縮した。得られた粗生成物を、さらに分取SFC(固定相:Chiralcel Diacel OJ 20×250mm、移動相:CO,0.2%iPrNHを含むiPrOH)により精製して、純粋な異性体148(85mg、収率19%)および149(158mg、収率35%)を得た。
148:H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.91−2.10(m,2H)2.13−2.27(m,2H)2.55−2.71(m,4H)3.78(quin,J=8.03Hz,1H)4.38(t,J=7.59Hz,2H)5.20(s,2H)7.08(td,J=8.10,1.54Hz,2H)7.20(td,J=7.70,1.32Hz,1H)7.29(dd,J=8.58,1.98Hz,1H)7.53−7.70(m,3H);m/z=420[M+H]
149:H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.80−2.20(m,4H)2.20−2.34(m,2H)2.36−2.47(m,2H)2.59(t,J=7.48Hz,2H)3.77−3.95(m,1H)4.36(t,J=7.50Hz,2H)5.21(s,2H)7.00−7.14(m,2H)7.16−7.25(m,1H)7.29(dd,J=8.58,1.98Hz,1H)7.55(d,J=6.82Hz,1H)7.64(d,J=8.80Hz,1H)7.66(d,J=1.76Hz,1H)。
【0194】
化合物143および144 1−((1s,3s)−1’−((5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−2’−オキソスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−3−イル)−3−イソプロピル尿素、および1−((1r,3r)−1’−((5−クロロ−1−(3−シアノプロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−2’−オキソスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−3−イル)−3−イソプロピル尿素の合成。
【化66】
【0195】
4−(2−(3−アミノ−2’−オキソスピロ[シクロブタン−1,3’−インドリン]−1’−イル)メチル)−5−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)ブタンニトリル(ラセミ混合物、500mg、1.191mmol)、2−イソシアネートプロパン(0.14mL、1.2当量)およびDIPEA(3.175mL、2当量)の混合物を室温で1時間撹拌した。その後、反応混合物を真空中で濃縮し、分取HPLC(固定相:RP Vydac Denali C18−10μm、200g、5cm)、移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN)により精製して、純粋なエナンチオマー混合物を得、その後、それを分取SFC(固定相:Chiralpak Diacel AD 30×250mm)、移動相:CO、iPrNHを0.2%含有するMeOH)により分離して、240mg(収率40%)の143および122mg(収率20%)の144を得た。
【0196】
上記の手順、および当技術分野の熟練した化学者に知られた方法にしたがって、次表に示す化合物を合成した。
【0197】
【表1】
【0198】
【表2】
【0199】
【表3】
【0200】
【表4】
【0201】
【表5】
【0202】
【表6】
【0203】
【表7】
【0204】
【表8】
【0205】
【表9】
【0206】
【表10】
【0207】
【表11】
【0208】
【表12】
【0209】
【表13】
【0210】
【表14】
【0211】
【表15】
【0212】
【表16】
【0213】
【表17】
【0214】
【表18】
【0215】
【表19】
【0216】
【表20】
【0217】
【表21】
【0218】
【表22】
【0219】
【表23】
【0220】
【表24】
【0221】
【表25】
【0222】
【表26】
【0223】
【表27】
【0224】
【表28】
【0225】
【表29】
【0226】
【表30】
【0227】
【表31】
【0228】
【表32】
【0229】
【表33】
【0230】
【表34】
【0231】
【表35】
【0232】
【表36】
【0233】
【表37】
【0234】
【表38】
【0235】
【表39】
【0236】
【表40】
【0237】
【表41】
【0238】
【表42】
【0239】
【表43】
【0240】
【表44】
【0241】
【表45】
【0242】
【表46】
【0243】
【表47】
【0244】
【表48】
【0245】
【表49】
【0246】
【表50】
【0247】
抗ウイルス活性
黒96ウェル・クリアボトム・マイクロタイタープレート(Corning、Amsterdam、The Netherlands)に、最終体積が50μlとなる培地[フェノールレッドを含有しないRPMI培地、10%FBS、0.04%ゲンタマイシン(50mg/ml)および0.5%DMSO]に段階的に4倍に希釈した化合物を、特製のロボットシステムにより2ウェルずつ満たした。その後、HeLa細胞の培地懸濁液100μl(5×104個/ml)を各ウェルに加え、続いて、培地に入れたrgRSV224ウイルス(MOI=0.02)50μlをマルチドロップディスペンサ(Thermo Scientific,Erembodegem,Belgium)を用いて加えた。rgRSV224ウイルスは、遺伝子操作によりGFP遺伝子を導入したウイルスであり(Hallakら、2000)、NIH(Bethesda,MD,USA)から導入した。各試験には、培地、ウイルスおよびモック感染コントロールが含まれる。細胞を5%CO雰囲気中、37℃でインキュベートした。ウイルスに暴露して3日後、細胞中のGFP発現をMSMレーザ顕微鏡(Tibotec、Beerse、Belgium)により測定して、ウイルスの複製を定量化した。EC50をGFP発現に対する50%阻害濃度と定義した。並行して、化合物を、1組の白色96ウェルマイクロタイタープレート(Corning)に入れて、3日間インキュベートし、ATPliteキット(PerkinElmer,Zaventem,Belgium)を使用し、製造会社の使用説明書にしたがって、細胞のATP含有量を測定することにより、HeLa細胞における化合物の細胞障害を決定した。CC50を細胞障害に対する50%濃度と定義した。SIはCC50/EC50で算出される。
【0248】
参照文献
Hallak LK,Spillmann D,Collins PL,Peeples ME.Glycosaminoglycan sulfation requirements for respiratory syncytial virus infection.J.Virol.740,10508−10513(2000).
【0249】
【表51】
【0250】
【表52】
【0251】
【表53】
【0252】
【表54】
【0253】
【表55】
【0254】
【表56】

本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
式(RI)で表される化合物、
【化67】


またはその立体異性体の形態(式中、
Hetは次式(a)、(b)、(c)、(d)のいずれかのヘテロ環であり:
【化68】


各Xは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのXはCであり;
1a、R1b、R1cまたはR1dはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、N(R、CO(R)、CHNH、CHOH、CN、C(=NOH)NH2、C(=NOCH)NH2、C(=NH)NH2、CFおよびOCFからなる群から選択され;
1bまたはR1dは、それが結合するXがNであるときは存在せず;
各Rは−(CR−R10であり;
mは0〜6の整数であり;
各Rは独立にH、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基およびCO(R)からなる群から選択され;
各Rは独立にH、C〜Cアルキル基、COOCHおよびCONHSOCHからなる群から選択され;
各Rは独立にH、C〜Cアルキル基、OH、C〜Cアルキルオキシ基、NH、NHSON(C〜Cアルキル)、NHSONHCH、NHSO(C〜Cアルキル)、NHSO(C〜Cシクロアルキル)、ならびにN(C〜C−アルキル)NRおよびNR10からなる群から選択され、
各RおよびRは独立にH、C〜C10アルキル基およびC〜Cシクロアルキル基からなる群から選択されるか;またはRおよびRは、任意選択により、N、SおよびOからなる群から選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む飽和4〜6員環を共に形成し;
各R10は独立にH、ハロゲン、OH、CN、CFH、CF、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、C(=O)NR、C(=O)OR、SO、C(=O)N(R)SO、C(=O)N(R)SON(R)、NR、NRC(=O)OR、OC(=O)R、O−ベンジル基、NRSO、SONR、SO、OC(=O)NR、OC(=O)NR12、N(R)C(=O)N(R)、R11、N(R)C(=O)OR12、OR11、C(=O)R11、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され;
11はフェニル基、ピリジニル基またはピラゾリル基であり;これらのそれぞれは、任意選択により、CF、CH、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
12はC〜Cアルキル基またはC〜Cシクロアルキル基であり;それぞれは、
CF、CH、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており;
各Zは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのZはCであり;
QおよびVは、それぞれ独立にC=O、SOまたはCR2021を表し;
pおよびsは独立に0〜3の整数を表し(ここで、pとsの合計は最小で2であるべきであり、かつp=0またはs=0のとき、*が付された炭素原子は直接Wと結合する);
20およびR21は独立に水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
22は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
WはSO、SO、S、C、OおよびNからなる群から選択され(ここで、そのようなCまたはNは任意選択により1つ以上のR23で置換される);
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24、C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R242、P(=O)−(O−C〜C−アルキル)、N(R242、NR25C(=O)OR24、NR25C(=O)N(R24、NR25SO24、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は、水素原子、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCH、OC(=O)CH)、および少なくとも1つのCNで置換されたC〜Cアルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
25は水素原子およびC〜Cアルキル基からなる群から選択され;
アリール基は、フェニル基またはナフタレニル基を表し;
ヘテロアリール基は、O、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む単環の5〜6員環芳香族ヘテロ環、または、O、SおよびNからなる群からそれぞれ独立に選択される、1つ以上のヘテロ原子を含む2環の8〜12員環芳香族ヘテロ環を表し;
ただし、Hetは式d(x)を満たさない)
【化69】

または、その医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
[2]
上記[1]に記載の式(RI)で表される化合物、または、その任意の立体異性体形態(式中、
Hetは次の式(a)、(b)、(c)、(d)のいずれかのヘテロ環であり:
【化70】
各Xは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのXはCであり;
1a、R1b、R1cまたはR1dはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、CFおよびOCFからなる群から選択され;
1bまたはR1dは、それが結合するXがNであるときは存在せず;
各Rは−(CR−R10であり;
mは2〜6の整数であり;
各RはH、ハロゲンまたはC〜Cアルキル基であり;
各RおよびRは独立にHおよびC〜C10アルキル基からなる群から選択され;
各R10は独立にH、ハロゲン、OH、CN、CFH、CF、C〜Cアルキル基、C〜Cシキロアルキル基、C(=O)NR、C(=O)ORおよびSOからなる群から選択され;
各Zは独立にCまたはNであり、ただし、少なくとも2つのZはCであり;
QおよびVはそれぞれ独立にCR2021を表し;
pおよびsは独立に0〜3の整数を表し(ここで、pとsの合計は最小で2であるべきであり、かつp=0またはs=0のとき、*が付された炭素原子は直接Wと結合する);
20およびR21は水素原子であり;
22は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群から選択され;
WはSO、C、OおよびNからなる群から選択され(ここで、そのようなCまたはNは、任意選択により1つ以上のR23で置換される);
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24、C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R242、P(=O)−(O−C〜C−アルキル)、N(R242、NR25C(=O)OR24、NR25C(=O)N(R24NR25SO24、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は、水素原子、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロ-アルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCH、OC(=O)CH)、および少なくとも1つのCNで置換されたC〜Cアルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
25は水素原子およびC〜Cアルキル基からなる群から選択され;
アリール基は、フェニル基またはナフタレニル基を表し;
ヘテロアリール基は、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、キノキサリニル基またはベンズイミダゾリル基である)
または、その医薬用として許容される付加塩または溶媒和物。
[3]
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、SON(R24、アリール基、ヘテロアリール基、C(=O)OR24、OR24、C(=O)R24、C(=O)N(R24、OC(=O)N(R24および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環からなる群から選択され(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、OH、CN、OCHからなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される);
24は水素原子、OH、ハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基、および1個の酸素原子を含む飽和4〜6員環の群から選択される(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C(=O)C〜Cアルキル基、C(=O)C〜Cシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ベンジル基はいずれも、任意選択により、ハロゲン、CF、OH、CN、OCHおよびOC(=O)CH)からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換される)上記[2]に記載の化合物。
[4]
上記[1]に記載の式(RI)の化合物であって、Hetが式(a’)、(b’)、(c’)または(d’)
【化71】
(式中、少なくとも1つのXはNであり;
かつR1a、R1b1c、R1dおよびRは上記[1]と同様に定義される)
で表される化合物。
[5]
式(b’)および(d’)において、1つのXがNである上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の化合物。
[6]
1a、R1b1cまたはR1dはそれぞれ独立にHおよびハロゲンからなる群から選択される上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物。
[7]
1a、R1b1cまたはR1dはそれぞれ独立にクロロ、ブロモおよびフルオロからなる群から選択される上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物。
[8]
1a、R1b1cまたはR1dはそれぞれクロロである上記[4]に記載の化合物。
[9]
は−(CR−R10(ここで、mは1〜4の整数であり、RおよびRはそれぞれ独立にHまたはC〜Cアルキル基から選択される)である上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の化合物。
[10]
はC〜Cアルキル−R10である上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の化合物。
[11]
10は、C〜Cアルキル基、H、OH、CN、F、CFH、CF、SO−C〜Cアルキル基およびSO〜Cシクロアルキル基からなる群から選択される上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の化合物。
[12]
式RII、RIII、RIV、RV、RVIもしくはRVII、
【化72】
またはその立体異性体の形態を有する(式中、Het、XおよびR23は上記[1]〜[11]のいずれか一項と同様に定義される)上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の化合物。
[13]
23は水素原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキル−R24、SO24、O−R24、フェニル基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、C(=O)OR24、C(=O)R24からなる群から選択される(ここで、そのようなC〜Cアルキル基、フェニル基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラゾリル基はいずれも、任意選択により、次の置換基;OCH、ハロゲン、OHまたはCNの1つ以上で置換される)上記[12]に記載の化合物。
[14]
【化73】
または、その医薬用として許容される付加塩もしくは溶媒和物である上記[1]に定義される化合物。
[15]
医薬として使用するための上記[1]〜[14]のいずれか一項に記載の化合物。
[16]
医薬用として許容される担体、および活性成分として、治療上有効な量の上記[1]〜[14]のいずれか一項に定義された化合物を含む医薬組成物。
[17]
呼吸系発疹ウイルス感染の治療に使用するための上記[1]〜[14]のいずれか一項に記載の化合物、または上記[15]に記載の医薬組成物。
[18]
治療を必要としている被験体のRSVウイルス感染の治療方法であって、前記被験体に、上記[1]〜[14]のいずれか一項に定義された化合物の有効量を投与することを含む方法。