特許第6375889号(P6375889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6375889
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】電子部品内蔵基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20180813BHJP
   H01G 4/12 20060101ALI20180813BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H05K3/46 Q
   H05K3/46 B
   H01G4/12 450
   H01G4/30 541
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-233586(P2014-233586)
(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公開番号】特開2016-100351(P2016-100351A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 優
(72)【発明者】
【氏名】藤居 長一朗
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−41071(JP,A)
【文献】 特開2014−038933(JP,A)
【文献】 特開2014−036190(JP,A)
【文献】 特開2014−086606(JP,A)
【文献】 特開2014−207422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H01G 4/12
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア基板と、
前記コア基板の一方主面に接合部材により実装された、少なくとも1つの電子部品と、
前記コア基板の一方主面に、前記電子部品を埋設して設けられた樹脂層と、を備える電子部品内蔵基板であって、
前記電子部品は、誘電体層が第1の内部電極と第2の内部電極との間に挿入されてなるコンデンサ素子が積層された静電容量発現部と、前記静電容量発現部を挟む第1の保護部および第2の保護部とを含み、互いに対向する2つの端面と、前記2つの端面を接続する側面とを有する積層体と、前記積層体の前記端面上に設けられる端面部を有し、前記端面部において前記第1の内部電極および前記第2の内部電極とそれぞれ接続される第1の外部電極および第2の外部電極と、を備える積層コンデンサであり、
前記樹脂層の、前記第1の外部電極の端面部および該端面部上の接合部材と接している面が第1の非接着面を含み、かつ前記第2の外部電極の端面部および該端面部上の接合部材と接している面が第2の非接着面を含むことを特徴とする、電子部品内蔵基板。
【請求項2】
前記樹脂層の、前記積層体の前記第1の外部電極および前記第2の外部電極により被覆されていない箇所と接している面が、第3の非接着面を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項3】
コア基板と、前記コア基板の一方主面に実装された、少なくとも1つの電子部品と、前記コア基板の一方主面に、前記電子部品を埋設して設けられた樹脂層と、を備える電子部品内蔵基板の製造方法であって、
前記電子部品は、誘電体層が第1の内部電極と第2の内部電極との間に挿入されてなるコンデンサ素子が積層された静電容量発現部と、前記静電容量発現部を挟む第1の保護部および第2の保護部とを含み、互いに対向する2つの端面と、前記2つの端面を接続する側面とを有する積層体と、前記積層体の前記端面上に設けられる端面部を有し、前記端面部において前記第1の内部電極および前記第2の内部電極とそれぞれ接続される第1の外部電極および第2の外部電極と、を備える積層コンデンサであり、
前記コア基板の一方主面に、前記電子部品を実装する実装工程と、
前記コア基板に実装された前記電子部品の前記第1の外部電極の端面部上および該端面部上の接合部材上の少なくとも一部と、前記第2の外部電極の端面部上および該端面部上の接合部材上の少なくとも一部とに、接着阻害材を付与する接着阻害材付与工程と、
前記コア基板の一方主面に、前記接着阻害材を付与した前記電子部品を埋設する未硬化樹脂層を付与する未硬化樹脂層付与工程と、
前記未硬化樹脂層を加熱硬化させると共に、前記接着阻害材により、前記樹脂層の、前記第1の外部電極の端面部および該端面部上の接合部材と接している面の少なくとも一部を第1の非接着面とし、かつ前記樹脂層の、前記第2の外部電極の端面部および該端面部上の接合部材と接している面の少なくとも一部を第2の非接着面とする樹脂層形成工程と、
を備えることを特徴とする、電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項4】
前記接着阻害材付与工程は、前記積層体の前記第1の外部電極および前記第2の外部電極により被覆されていない箇所上の少なくとも一部に、前記接着阻害材をさらに付与し、
前記樹脂層形成工程は、前記未硬化樹脂層の加熱硬化ならびに前記第1の非接着面および前記第2の非接着面の形成に加えて、前記接着阻害材により、前記樹脂層の、前記積層体の前記第1の外部電極および前記第2の外部電極により被覆されていない箇所と接している面の少なくとも一部を、第3の非接着面とすることを特徴とする、請求項3に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コア基板と、コア基板の一方主面に実装された電子部品と、その電子部品を埋設して設けられた樹脂層とを備える電子部品内蔵基板、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型電子機器の薄型化を受けて、国際公開第2011/135926号(特許文献1)のように、基板内部に電子部品を埋設することにより基板の薄型化を図った電子部品内蔵基板が提案されている。
【0003】
図11は、特許文献1に記載されている電子部品内蔵基板100の断面図である。図11に記載の電子部品内蔵基板100では、コア基板108に電子部品101、102が実装され、それらの電子部品101、102が埋設されるように樹脂層109が形成されている。
【0004】
このような電子部品内蔵基板100は、軽量であり、かつセラミック基板のように高温焼成を伴わないため、内蔵する電子部品に制約が少ないという利点がある。
【0005】
ここで、特許文献1に記載の電子部品内蔵基板100の樹脂層109に埋設される電子部品101、102として、積層セラミックコンデンサを考える。図12に、積層セラミックコンデンサ201の断面図を示す。
【0006】
積層セラミックコンデンサ201は、セラミック積層体202と、セラミック積層体202の表面に設けられる第1の外部電極203および第2の外部電極204とを備える。セラミック積層体202は、セラミック誘電体層205が第1の内部電極206と第2の内部電極207との間に挿入されてなるコンデンサ素子が、並列接続されて積層されたものである。そのような積層セラミックコンデンサ201は、信頼性および耐久性に優れ、小型でありながら大容量を実現することができる。
【0007】
小型大容量の積層セラミックコンデンサ201は、セラミック積層体202を構成するセラミック誘電体層205の材料として、チタン酸バリウムを基本材料とする高誘電率のセラミック材料を用いることが多い。そのようなセラミック積層体202を備える積層セラミックコンデンサ201に電圧を印加すると、電歪効果および逆圧電効果により、印加された電圧の大きさに応じた歪みがセラミック積層体202に発生する。それに伴い、セラミック積層体202が、積層方向への膨張、積層方向と直交する面方向への収縮を繰り返す。
【0008】
近年、積層セラミックコンデンサ201の小型化・薄層化の進展に伴い、誘電体に印加される電界強度が高くなったため、上記のセラミック積層体202の歪みの度合いも大きくなっている。
【0009】
ここで、図13(A)に示すように、積層セラミックコンデンサ201が、はんだなどの接合部材Sにより基板Bに実装された場合を考える。積層セラミックコンデンサ201に電圧が印加されると、図13(B)に示すように、セラミック積層体202に発生した歪みが、接合部材Sを介して積層セラミックコンデンサ201に固着されている基板Bを振動させる。
【0010】
このような基板Bの振動は、基板Bに例えばショックセンサなどの加速度センサが実装されていた場合、加速度センサの誤作動を引き起こす可能性がある。
【0011】
また、その振動数が可聴域である20Hz〜20kHzである場合、可聴音として人間の耳に認識される。この現象は「鳴き(acoustic noise)」とも言われ、電子機器の静寂化に伴い、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラなどの様々なアプリケーションの電源回路などにおける設計の課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2011/135926号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
積層セラミックコンデンサ201を上記のように基板Bに接合部材Sにより実装し、さらに特許文献1に記載のように樹脂層に埋設した場合、接合部材Sと樹脂層とが共にセラミック積層体202の歪みを基板Bに伝達することが考えられる。その場合、前述の基板Bの振動が大きくなり、また可聴音が大きくなることが懸念される。
【0014】
そこで、この発明の目的は、樹脂層に埋設されている電子部品に電圧の印加による歪みが発生したとしても、振動が低減され、さらに振動による可聴音の発生が防止または低減された電子部品内蔵基板、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明では、樹脂層に埋設されている電子部品に電圧の印加による歪みが発生したとしても、電子部品内蔵基板の振動を低減し、さらに振動による可聴音の発生を防止または低減するため、樹脂層の形態についての改良が図られる。
【0016】
この発明は、まず電子部品内蔵基板に向けられる。
【0017】
この発明に係る電子部品内蔵基板は、コア基板と、コア基板の一方主面に接合部材により実装された、少なくとも1つの電子部品と、コア基板の一方主面に、電子部品を埋設して設けられた樹脂層と、を備える。
【0018】
上記の電子部品は、積層体と、第1の外部電極および第2の外部電極と、を備える積層コンデンサである。
【0019】
積層体は、誘電体層が第1の内部電極と第2の内部電極との間に挿入されてなるコンデンサ素子が積層された静電容量発現部と、静電容量発現部を挟む第1の保護部および第2の保護部とを含む。また、積層体は、互いに対向する2つの端面と、2つの端面を接続する側面とを有する。
【0020】
第1の外部電極および第2の外部電極は、積層体の端面上に設けられる端面部を有し、その端面部において第1の内部電極および第2の内部電極とそれぞれ接続される。
【0021】
そして、樹脂層の、第1の外部電極の端面部およびその端面部上の接合部材と接している面が第1の非接着面を含み、かつ第2の外部電極の端面部およびその端面部上の接合部材と接している面が第2の非接着面を含む。
【0022】
上記の電子部品内蔵基板では、樹脂層の、第1の外部電極の端面部およびその端面部上の接合部材と接している面が第1の非接着面を含み、かつ第2の外部電極の端面部およびその端面部上の接合部材と接している面が第2の非接着面を含む。そのため、電子部品に電圧印加による歪みが発生したとしても、電子部品の端面が凹面となる歪みが樹脂層に伝達されない(図13(B)参照)。
【0023】
したがって、樹脂層を介した電子部品の端面近傍の歪みがコア基板に半波で断続的にしか伝達されないため、電子部品内蔵基板の振動が低減され、振動による可聴音の発生が防止または低減される。
【0024】
この発明に係る電子部品内蔵基板における好ましい実施形態では、樹脂層の、積層体の第1の外部電極および第2の外部電極により被覆されていない箇所と接している面が、第3の非接着面を含む。
【0025】
上記の電子部品内蔵基板では、第1の非接着面および第2の非接着面に加えて、樹脂層の、積層体の第1の外部電極および第2の外部電極により被覆されていない箇所と接している面が第3の非接着面を含む。そのため、電子部品に電圧印加による歪みが発生したとしても、電子部品の端面が凹面となる歪みに加えて、側面が凹面となる歪みも樹脂層に伝達されない。
【0026】
したがって、樹脂層を介した電子部品の歪みのコア基板への伝達がさらに抑制されることにより、電子部品内蔵基板の振動がさらに低減され、振動による可聴音の発生が効果的に防止または低減される。
【0027】
また、この発明は、電子部品内蔵基板の製造方法にも向けられる。
【0028】
この発明に係る電子部品内蔵基板の製造方法は、コア基板と、コア基板の一方主面に接合部材により実装された、少なくとも1つの電子部品と、コア基板の一方主面に、電子部品を埋設して設けられた樹脂層と、を備える電子部品内蔵基板を対象とする。
【0029】
上記の電子部品は、積層体と、第1の外部電極および第2の外部電極と、を備える積層コンデンサである。
【0030】
積層体は、誘電体層が第1の内部電極と第2の内部電極との間に挿入されてなるコンデンサ素子が積層された静電容量発現部と、静電容量発現部を挟む第1の保護部および第2の保護部とを含む。また、積層体は、互いに対向する2つの端面と、2つの端面を接続する側面とを有する。
【0031】
第1の外部電極および第2の外部電極は、積層体の端面上に設けられる端面部を有し、その端面部において第1の内部電極および第2の内部電極とそれぞれ接続される。
【0032】
そして、この発明に係る電子部品内蔵基板の製造方法は、実装工程と、接着阻害材付与工程と、未硬化樹脂層付与工程と、樹脂層形成工程と、を備える。
【0033】
実装工程は、コア基板の一方主面に、電子部品を実装する工程である。
【0034】
接着阻害材付与工程は、コア基板に実装された電子部品の第1の外部電極の端面部上およびその端面部上の接合部材上の少なくとも一部と、第2の外部電極の端面部上およびその端面部上の接合部材上の少なくとも一部とに、接着阻害材を付与する工程である。
【0035】
未硬化樹脂層付与工程は、コア基板の一方主面に、接着阻害材を付与した電子部品を埋設する未硬化樹脂層を付与する工程である。
【0036】
樹脂層形成工程は、未硬化樹脂層を加熱硬化させると共に、接着阻害材により、樹脂層の、第1の外部電極の端面部およびその端面部上の接合部材と接している面の少なくとも一部を第1の非接着面とし、かつ樹脂層の、第2の外部電極の端面部およびその端面部上の接合部材と接している面の少なくとも一部を第2の非接着面とする工程である。
【0037】
上記の電子部品内蔵基板の製造方法では、これらの工程を備えることにより、電子部品内蔵基板の振動が低減され、振動による可聴音の発生が防止または低減された電子部品内蔵基板を、効率的に製造することができる。
【0038】
この発明に係る電子部品内蔵基板の製造方法の好ましい実施形態では、接着阻害材付与工程は、積層体の第1の外部電極および第2の外部電極により被覆されていない箇所上の少なくとも一部に、接着阻害材をさらに付与する工程である。
【0039】
また、樹脂層形成工程は、未硬化樹脂層の加熱硬化ならびに第1の非接着面および第2の非接着面の形成に加えて、接着阻害材により、樹脂層の、積層体の第1の外部電極および前記第2の外部電極により被覆されていない箇所と接している面の少なくとも一部を、第3の非接着面とする工程である。
【0040】
上記の電子部品内蔵基板の製造方法では、これらの工程を備えることにより、電子部品内蔵基板の振動がさらに低減され、振動による可聴音の発生が効果的に防止または低減された電子部品内蔵基板を、効率的に製造することができる。
【発明の効果】
【0041】
この発明に係る電子部品内蔵基板では、樹脂層の、第1の外部電極の端面部およびその端面部上の接合部材と接している面が第1の非接着面を含み、かつ第2の外部電極の端面部およびその端面部上の接合部材と接している面が第2の非接着面を含む。そのため、電子部品に電圧印加による歪みが発生したとしても、電子部品の端面が凹面となる歪みが樹脂層に伝達されない。
【0042】
したがって、樹脂層を介した電子部品の端面近傍の歪みがコア基板に半波で断続的にしか伝達されないため、電子部品内蔵基板の振動が低減され、振動による可聴音の発生が防止または低減される。
【0043】
また、この発明に係る電子部品内蔵基板の製造方法では、実装工程と、接着阻害材付与工程と、未硬化樹脂層付与工程と、樹脂層形成工程と、を備える。
【0044】
そして、接着阻害材付与工程において、コア基板に実装された電子部品の第1の外部電極の端面部上およびその端面部上の接合部材上と、第2の外部電極の端面部上およびその端面部上の接合部材上とに、接着阻害材を付与する。
【0045】
さらに、樹脂層形成工程において、未硬化樹脂層を加熱硬化させた際に、接着阻害材により、樹脂層の、第1および第2の外部電極の端面部ならびにそれらの端面部上の接合部材と接している面を、それぞれ第1および第2の非接着面とする。
【0046】
したがって、この製造方法により、電子部品内蔵基板の振動が低減されることで、振動による可聴音の発生が防止または低減された電子部品内蔵基板を、効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1の上面図である。
図2】この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1の断面図である。(A)は図1のY1−Y1線を含む面の矢視断面図である。(B)は図1のX1−X1線を含む面の矢視断面図である。
図3図1および図2に示したこの発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1の製造方法の一例を説明するためのもので、(A)および(B)は実装工程、ならびに(C)は接着阻害材付与工程を模式的に示す図である。
図4図1および図2に示したこの発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1の製造方法の一例を説明するためのもので、(A)は未硬化樹脂層付与工程、ならびに(B)および(C)は樹脂層形成工程を模式的に示す図である。
図5】この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板における第1の変形例1Aの、図1に相当する上面図である。
図6】この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板における第1の変形例1Aの、図2に相当する断面図である。
図7】この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板における第2の変形例1Bの、図1に相当する上面図である。
図8】この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板における第2の変形例1Bの、図2に相当する断面図である。
図9】この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板における第3の変形例1Cの、図1に相当する上面図である。
図10】この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板における第3の変形例1Cの、図2に相当する断面図である。
図11】背景技術の電子部品内蔵基板100の断面図である。
図12】この発明が解決しようとする課題を説明するための、積層セラミックコンデンサの断面図である。
図13】この発明が解決しようとする課題を説明するための、積層セラミックコンデンサを基板に実装した状態の断面図である。(A)は電圧が印加されていない状態である。(B)は電圧が印加されたときの歪みの状態を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下にこの発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0049】
−電子部品内蔵基板の実施形態−
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1について、図1および図2を用いて説明する。
【0050】
<電子部品内蔵基板の構造>
図1は、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1の上面図である。図1における点線は、樹脂層Rを透視した場合の電子部品10の各構成要素と、第1の実装ランドL11および第2の実装ランドL12とを表している。また、図2(A)は図1のY1−Y1線を含む面の矢視断面図である。図2(B)は図1のX1−X1線を含む面の矢視断面図である。
【0051】
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1は、コア基板Bと、コア基板Bの一方主面に接合部材Sにより実装された電子部品10と、コア基板Bの一方主面に、電子部品10を埋設して設けられた樹脂層Rと、を備える。
【0052】
なお、コア基板Bは、前述の図11に相当する多層基板であり、内部電極やビアなどを不図示として、簡略化して図示されている。また、この発明の実施形態では、電子部品10を強調するため、コア基板Bと、電子部品10との大きさの関係は、実際のものとは異なっている。
【0053】
電子部品10は、セラミック積層体11と、第1の外部電極12および第2の外部電極13とを備える積層セラミックコンデンサである。セラミック積層体11は、セラミック誘電体層14が第1の内部電極15と第2の内部電極16との間に挿入されてなるコンデンサ素子が積層された静電容量発現部CPが、第1のセラミック保護部P1および第2のセラミック保護部P2で挟まれた構造となっている。また、セラミック積層体11は、互いに対向する2つの端面と、2つの端面を接続する側面とを有する。
【0054】
セラミック誘電体層14が電歪性または逆圧電効果を有することにより、セラミック誘電体層14を含む電子部品10は、電圧印加時に歪みが発生する。代表的な電歪性または逆圧電効果を有するセラミック材料としては、例えばチタン酸バリウムを基本材料とする高誘電率のセラミック材料が挙げられる。
【0055】
この実施形態においては、電子部品10として上記のように積層セラミックコンデンサを例示しているが、この発明は、電子部品10として誘電体層が樹脂材料により構成された積層コンデンサである積層型金属化フィルムコンデンサを用いた場合についても適用できる。
【0056】
第1の外部電極12および第2の外部電極13は、それぞれセラミック積層体11の表面に設けられる。第1の外部電極12は、セラミック積層体11の一方端面上に設けられる端面部TP12と、端面部TP12からセラミック積層体11の側面に延出した側面部SP12を有する。また、第2の外部電極13は、セラミック積層体11の他方端面上に設けられる端面部TP13と、端面部TP13からセラミック積層体11の側面に延出した側面部SP13を有する。なお、第1の外部電極12の端面部TP12および第2の外部電極13の端面部TP13は、セラミック積層体11の各端面全体を被覆していなくてもよい。
【0057】
第1の外部電極12は、端面部TP12において第1の内部電極15と接続され、第2の外部電極13は、端面部TP13において第2の内部電極16と接続されている。
【0058】
この実施形態においては、電子部品10は、セラミック積層体11のコンデンサ素子の積層方向がコア基板Bの一方主面と直交するようにして、コア基板Bに実装されている。そして、積層方向において、セラミック積層体11のうち静電容量発現部CPの下側、すなわち静電容量発現部CPとコア基板Bの一方主面との間に位置する部分が第1の保護部P1となり、静電容量発現部CPの上側が第2の保護部P2となる。
【0059】
なお、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1は、コンデンサ素子の積層方向がコア基板Bの一方主面に沿うようにして、電子部品10をコア基板Bに実装してもよい。
【0060】
図2(A)および(B)において、電子部品10は、第1の実装ランドL11および第2の実装ランドL12上に接合部材Sを用いて接続されている。第1の実装ランドL11および第2の実装ランドL12の材質ならびに接合部材の材質は、既存のものから適宜選択して用いることができる。接合部材Sとしては、例えばはんだ、導電性接着剤、ビア導体などを用いることができる。第1の実装ランドL11および第2の実装ランドL12は、不図示の導電パターンを含んでなる配線上にある。電子部品10には、この配線を通じて電圧が印加されることになる。
【0061】
なお、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1は、複数の電子部品10が実装されていてもよい。また、同様に電子部品内蔵基板1には、積層セラミックコンデンサ以外の電子部品が実装されていてもよい。
【0062】
樹脂層Rは、後述するようにフィラーとしてガラス材料やシリカなどを分散させた樹脂材料を用いて形成される。樹脂層Rは、コア基板Bの一方主面に、電子部品10を埋設するように設けられている。なお、樹脂層Rの表面には、導電材料部を形成するようにしてもよい。
【0063】
積層セラミックコンデンサである電子部品10は、前述のようにチタン酸バリウムを基本材料とする高誘電率のセラミック材料が用いられることが多いため、電圧印加時の歪みにより振動する虞がある。この振動は、接合部材Sを介して電子部品10に固着されている基板Bに伝達されるが、電子部品10が樹脂層Rに埋設されている場合には、樹脂層Rを介しても基板Bに伝達され得る。
【0064】
一方、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1では、樹脂層Rの、第1の外部電極12の端面部TP12および端面部TP12上の接合部材Sと接している面が、第1の非接着面UA1を含む。また、樹脂層Rの、第2の外部電極13の端面部TP13および端面部TP13上の接合部材Sと接している面が、第2の非接着面UA2を含む。
【0065】
第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2は、上面から樹脂層Rを透視した場合を示す図1において、ハッチング部分として表されている。また、Y1−Y1線を含む面の矢視断面図である図2(A)において、樹脂層Rを透視した太い点線部分として表されている。さらに、図2(B)では、太い実線部分として表されている。
【0066】
ここで、樹脂層Rの各非接着面とは、電子部品10に電圧が印加されていない状態において、各外部電極の端面部および各端面部上の接合部材と接してはいるが、接着はしていない面を指す。なお、樹脂層Rと各外部電極の端面部および各端面部上の接合部材との間には、後述する製造方法で用いた接着阻害材などの介在物が残留する可能性もある。しかしながら、この状態も、樹脂層Rと各外部電極の端面部および各端面部上の接合部材とが接している状態と見なす。
【0067】
その結果、樹脂層Rは、各外部電極の端面部および各端面部上の接合部材が樹脂層Rから離れるように歪む際、その歪みに追従しない。この歪みは、図13(B)に図示した、電圧印加時における電子部品10の端面が凹面となる歪みに対応する。
【0068】
すなわち、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1では、電子部品10に電圧印加による歪みが発生したとしても、電子部品10の端面が凹面となる歪みが樹脂層Rに伝達されない。
【0069】
したがって、樹脂層Rを介した電子部品10の端面近傍の歪みがコア基板Bに半波で断続的にしか伝達されないため、電子部品内蔵基板1の振動が低減され、振動による可聴音の発生が防止または低減される。
【0070】
なお、図1および図2では、第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2は同一の形状となっているが、これに限らず、第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2が非対称の形状となっていてもよい。
【0071】
また、接合部材Sが第1の外部電極12の側面部SP12と第1の実装ランドL11とを接続し、端面部TP12にはかかっていない場合、樹脂層Rの、第1の外部電極12の端面部TP12と接している面が、第1の非接着面UA1を含むようにしてもよい。同様に、接合部材Sが第2の外部電極13の側面部SP13と第2の実装ランドL12とを接続し、端面部TP13にはかかっていない場合、樹脂層Rの、第2の外部電極13の端面部TP13と接している面が、第2の非接着面UA2を含むようにしてもよい。
【0072】
さらに、樹脂層Rの、第1の外部電極12の端面部TP12および端面部TP12の上の接合部材Sと接している面のうち、静電容量発現部CPに接している面が第1の非接着面UA1を含むようにしてもよい。同様に、樹脂層Rの、第2の外部電極13の端面部TP13および端面部TP13の上の接合部材Sと接している面のうち、静電容量発現部CPに接している面が第2の非接着面UA2を含むようにしてもよい。
【0073】
電子部品10に電圧を印加すると、電歪効果および逆圧電効果により、印加された電圧の大きさに応じた歪みがセラミック積層体11に発生するが、この歪みは静電容量発現部CPの歪みによるものである。
【0074】
したがって、静電容量発現部CP上の、樹脂層Rの、各外部電極の端面部および各端面部上の接合部材Sと接している面が非接着面を含んでいれば、上記のように電子部品内蔵基板1の振動が低減され、振動による可聴音の発生が防止または低減される。
【0075】
なお、図1および図2に示した実施形態においては、セラミック積層体11の第1の保護部P1の厚みと第2の保護部P2の厚みとが実質的に同じとなっているが、電子部品10の第1の保護部P1の厚みを第2の保護部P2の厚みよりも厚くしてもよい。
【0076】
<電子部品内蔵基板の製造方法>
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1の製造方法の一例について、図3および図4を用いて説明する。図3および図4は、電子部品内蔵基板1の製造方法の一例において順次行なわれる実装工程、接着阻害材付与工程、未硬化樹脂層付与工程、および樹脂層形成工程をそれぞれ模式的に示す図である。なお、図3および図4の各図は、図1のX1−X1線を含む面の矢視断面図(図2(B))に相当する。
【0077】
<実装工程>
図3(A)および(B)は、電子部品内蔵基板1の製造方法の実装工程を模式的に示す図である。実装工程により、電子部品10は、コア基板Bの一方主面に実装された状態となる。
【0078】
図3(A)は、電子部品10と、電子部品10を実装するコア基板Bとを準備する段階を示す。電子部品10は、前述の構造を有し、電圧印加時に歪みが発生する積層セラミックコンデンサである。コア基板10は、電子部品10を接合するための第1の実装ランドL11および第2の実装ランドL12(第2の実装ランドL12は不図示)を一方主面に備えている。
【0079】
図3(B)は、電子部品10を、接合部材Sを用いて第1の実装ランドL11および第2の実装ランドL12に接合することにより、コア基板10の一方主面に実装した段階を示す。図3(B)の場合、電子部品10は、電子部品10は、セラミック積層体11のコンデンサ素子が積層された方向である積層方向がコア基板Bの一方主面と直交するようにして、コア基板Bに実装されている。なお、前述のように、コンデンサ素子の積層方向がコア基板Bの一方主面に沿うようにして、電子部品10をコア基板Bに実装してもよい。
【0080】
<接着阻害材付与工程>
図3(C)は、電子部品内蔵基板1の製造方法の接着阻害材付与工程を模式的に示す図である。接着阻害材付与工程により、第1の外部電極12の端面部TP12上および端面部TP12上の接合部材S上と、第2の外部電極13の端面部TP13上および端面部TP13上の接合部材S上とに、接着阻害材RLが付与された状態となる。接着阻害材RLは、図3(C)において太い実線部分として表されている。
【0081】
接着阻害材RLは、例えばシリコーン系またはフッ素系の離型剤などを用いることができる。接着阻害材RLの各端面部上および各接合部材上への付与は、液状の接着阻害材RLを、不図示のディスペンサやスプレーなどによって行なうことができる。
【0082】
なお、図3(C)は、接着阻害材RLを、同一の材料を用いて、同一の体積となるように、各端面部上および各接合部材上に付与した場合を示す。一方、接着阻害材RLは、第1の外部電極12側と第2の外部電極13側とで異なる材料を用いてもよい。また、第1の外部電極12側と第2の外部電極13側とで異なる面積となるように付与してもよい。さらに、各端面部上および各接合部材上を部分的に覆うように付与してもよい。
【0083】
<未硬化樹脂層付与工程>
図4(A)は、電子部品内蔵基板1の製造方法の未硬化樹脂層付与工程を模式的に示す図である。未硬化樹脂層付与工程により、コア基板Bの一方主面に、未硬化の樹脂層UCRが付与され、その中に接着阻害材RLが付与された電子部品10が埋設された状態となる。
【0084】
図4(A)は、接着阻害材RLが付与された電子部品10が実装されたコア基板Bの一方主面に、例えばディスペンサDにより、一点鎖線で表される所定の厚みとなるように、液状の樹脂LRを塗布する様子を示す。
【0085】
塗布に用いる装置は、上記のディスペンサDに限らず、既存の塗布装置を用いることができる。例えば、カーテンコーターやスピンコーターなどの種々のコーターを用いてもよい。
【0086】
また、液状の樹脂LRは、単一の樹脂材料からなるものに限らず、樹脂材料中にフィラーとしてガラス材料やシリカなどを含むものを用いることができる。
【0087】
なお、未硬化の樹脂層UCRは、図4(A)のような液状の樹脂LRを塗布する方法に限らず、半硬化状態でシート状のプリプレグをコア基板Bの一方主面に載置し、接着阻害材RLが付与された電子部品10が埋設されるように押圧することにより付与してもよい。
【0088】
<樹脂層形成工程>
図4(B)および(C)は、電子部品内蔵基板1の製造方法の樹脂層形成工程を模式的に示す図である。樹脂層形成工程により、未硬化の樹脂層UCRが加熱硬化され、コア基板Bの一方主面に、電子部品10を埋設して樹脂層Rが設けられた状態となる。その際、前述の接着阻害材付与工程により接着阻害材RLが付与された箇所が非接着面となる。
【0089】
図4(B)は、接着阻害材RLが付与された電子部品10が埋設された未硬化の樹脂層UCRを加熱硬化させている段階を示す。なお、この段階で、接着阻害材RLを未硬化の樹脂層UCR中に吸収させるようにしてもよい。一方、接着阻害材RLが介在物として樹脂層Rと外部電極の各端面部上および各接合部材との間に残留するようにしてもよい。
【0090】
その結果、樹脂層Rの、第1の外部電極12の端面部TP12および端面部TP12上の接合部材Sと接している面のうち、接着阻害材RLが付与された箇所が第1の非接着面UA1となる。また、樹脂層Rの、第2の外部電極13の端面部TP13および端面部TP13上の接合部材Sと接している面のうち、接着阻害材RLが付与された箇所が第2の非接着面UA2となる。
【0091】
図4(C)は、以上の工程により、電子部品10を埋設すると共に、第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2を含む樹脂層Rをコア基板Bの一方主面に有する、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板1が完成した段階を示す。
【0092】
樹脂層Rの厚みの調整は、未硬化の樹脂層UCRの硬化時の体積変化を見込んで、液状の樹脂LRをコア基板Bに塗布することが好ましい。また、予め多めに液状の樹脂LRを塗布し、硬化後に余分な樹脂を除去することにより、樹脂層の厚みを所望の値とするようにしてもよい。
【0093】
<実施形態の第1の変形例>
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第1の変形例1Aについて、図5および図6を用いて説明する。
【0094】
なお、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第1の変形例1Aは、樹脂層Rが含む非接着面の態様が、前述の電子部品内蔵基板1と異なるが、それ以外は共通であるため、共通する箇所の説明については省略する。なお、コア基板Bは、前述の実施形態と同様に、簡略化して図示されている。
【0095】
図5は、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第1の変形例1Aの上面図である。図6(A)は図5のY2−Y2線を含む面の矢視断面図である。図6(B)は図5のX2−X2線を含む面の矢視断面図である。
【0096】
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第1の変形例1Aでは、第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2に加えて、樹脂層Rの、セラミック積層体11の第1の外部電極12および第2の外部電極13により被覆されていない箇所と接している面が第3の非接着面UA3を含む。
【0097】
なお、図5および図6は、第3の非接着面UA3がセラミック積層体11の側面を環状に取り囲むと共に、第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2と接続し、一体の非接着面UAとなっている場合を示す。
【0098】
一体の非接着面UAは、上面から樹脂層Rを透視した場合を示す図5において、ハッチング部分として表されている。また、Y2−Y2線を含む面の矢視断面図である図6(A)において、太い実線部分と樹脂層Rを透視した太い点線部分として表されている。さらに、図6(B)では、太い実線部分として表されている。
【0099】
上記の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第1の変形例1Aは、前述の電子部品内蔵基板の製造方法の接着阻害材付与工程において、コア基板Bの一方主面に実装された電子部品10を包むように接着阻害材を付与することにより製造される。
【0100】
すなわち、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第1の変形例1Aでは、電子部品10に電圧印加による歪みが発生したとしても、電子部品10の端面が凹面となる歪みに加えて、側面が凹面となる歪みも樹脂層Rに伝達されない。
【0101】
したがって、樹脂層Rを介した電子部品10の歪みのコア基板Bへの伝達がさらに抑制されることにより、電子部品内蔵基板1Aの振動がさらに低減され、振動による可聴音の発生が効果的に防止または低減される。
【0102】
なお、図6(B)では、第1の非接着面UA1、第2の非接着面UA2および第3の非接着面UA3が接続し、一体の非接着面UAとなっている場合を示したが、図6(C)に示すように、それぞれが独立して形成されてもよい。
【0103】
また、第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2の形成の態様については、前述の実施形態に準じることができる。
【0104】
<実施形態の第2の変形例>
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第2の変形例1Bについて、図7および図8を用いて説明する。
【0105】
なお、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第2の変形例1Bは、電子部品10の態様が前述の電子部品内蔵基板1と異なるが、それ以外は共通であるため、共通する箇所の説明については省略する。なお、コア基板Bは、前述の実施形態と同様に、簡略化して図示されている。
【0106】
図7は、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第2の変形例1Bの上面図である。図8(A)は図7のY3−Y3線を含む面の矢視断面図である。図8(B)は図7のX3−X3線を含む面の矢視断面図である。
【0107】
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第2の変形例1Bでは、電子部品10が、電極端子付き積層コンデンサである。電極端子付き積層コンデンサは、接合部材Sによって一方側が第1の外部電極12に接続された第1の電極端子T11と、一方側が第2の外部電極13に接続された第2の電極端子T12とを備える。
【0108】
そして、この電子部品10は、第1の電極端子T11の他方側が接合部材Sによって第1の実装ランドL11に接続されると共に、第2の電極端子T12の他方側が第2の実装ランドL12に接続されることにより、コア基板Bの一方主面に実装されている。
【0109】
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第2の変形例1Bでは、樹脂層Rの第1の電極端子T11および第1の電極端子T11上の接合部材Sと接している面が、第1の非接着面UA1を含む。また、樹脂層Rの第2の電極端子T12および第2の電極端子T12上の接合部材Sと接している面が、第2の非接着面UA2を含む。
【0110】
第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2は、上面から樹脂層Rを透視した場合を示す図7において、ハッチング部分として表されている。また、Y3−Y3線を含む面の矢視断面図である図8(A)において、樹脂層Rを透視した太い点線部分として表されている。さらに、図8(B)では、太い実線部分として表されている。
【0111】
電子部品内蔵基板1Bにおいては、樹脂層Rが上記の箇所に非接着面を含むため、前述の電子部品内蔵基板1および1Aと同じく、電子部品10の端面が凹面となる歪みが樹脂層に伝達されない。
【0112】
したがって、樹脂層Rを介した電子部品10の端面近傍の歪みがコア基板Bに半波で断続的にしか伝達されないため、電子部品内蔵基板1Bの振動が低減され、振動による可聴音の発生が防止または低減される。
【0113】
なお、図8(B)では、第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2がそれぞれ第1の実装ランドL11および第2の実装ランドL12まで到達している場合を示した。一方、図8(C)に示すように、各非接着面が第1の電極端子T11および第2の電極端子T12のコア基板Bに対して直立している部分の途中で止まるようにしてもよい。
【0114】
<実施形態の第3の変形例>
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第3の変形例1Cについて、図9および図10を用いて説明する。
【0115】
なお、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第3の変形例1Cは、電子部品10の態様が前述の電子部品内蔵基板1、1Aおよび1Bと異なるが、それ以外は共通であるため、共通する箇所の説明については省略する。なお、コア基板Bは、前述の実施形態と同様に、簡略化して図示されている。
【0116】
図9は、この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第3の変形例1Cの上面図である。図10(A)は図9のY4−Y4線を含む面の矢視断面図である。図10(B)は図9のX4−X4線を含む面の矢視断面図である。
【0117】
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第3の変形例1Cでは、電子部品10が、いわゆるインターポーザIを有している。インターポーザIは、実質的に平行な一方主面と他方主面とを有し、一方主面に第3の実装ランドIL11および第4の実装ランドIL12が設けられており、他方主面に第1の実装電極IL21および第2の実装電極IL22が設けられている。第3の実装ランドIL11および第4の実装ランドIL12は、それぞれ第1の実装電極IL21および第2の実装電極IL22と導通している。
【0118】
インターポーザIの第3の実装ランドIL11および第4の実装ランドIL12は、接合部材Sにより、それぞれ第1の外部電極12および第2の外部電極13と接続されている。また、インターポーザIの他方主面に設けられた第1の実装電極IL21および第2の実装電極IL22は、接合部材Sにより、それぞれコア基板B上の第1の実装ランドL11および第2の実装ランドL12と接続されている。
【0119】
この発明の実施形態に係る電子部品内蔵基板の第3の変形例1Cでは、樹脂層Rの、第1の外部電極12の端面部TP12、端面部TP12上の接合部材S、インターポーザI、およびインターポーザIと第1の実装ランドL11とを接続する接合部材Sと接している面が、第1の非接着面UA1を含む。また、樹脂層Rの、第2の外部電極13の端面部TP13、端面部TP13上の接合部材S、インターポーザI、およびインターポーザIと第2の実装ランドL12とを接続する接合部材Sと接している面が、第2の非接着面UA2を含む。
【0120】
第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2は、上面から樹脂層Rを透視した場合を示す図9において、ハッチング部分として表されている。また、Y4−Y4線を含む面の矢視断面図である図10(A)において、樹脂層Rを透視した太い点線部分として表されている。さらに、図10(B)では、太い実線部分として表されている。
【0121】
電子部品内蔵基板1Cにおいては、樹脂層Rが上記の箇所に非接着面を含むため、前述の電子部品内蔵基板1、1Aおよび1Bと同じく、電子部品10の端面が凹面となる歪みが樹脂層に伝達されない。
【0122】
したがって、樹脂層Rを介した電子部品10の端面近傍の歪みがコア基板Bに半波で断続的にしか伝達されないため、電子部品内蔵基板1Cの振動が低減され、振動による可聴音の発生が防止または低減される。
【0123】
なお、図8(B)では、第1の非接着面UA1および第2の非接着面UA2がそれぞれ第1の実装ランドL11および第2の実装ランドL12まで到達している場合を示した。一方、図8(C)に示すように、各非接着面がインターポーザIの上面で止まるようにしてもよい。
【0124】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 電子部品内蔵基板
10 電子部品(積層セラミックコンデンサ)
11 セラミック積層体
12 第1の外部電極
13 第2の外部電極
14 セラミック誘電体層
15 第1の内部電極
16 第2の内部電極
B コア基板
CP 静電容量発現部
P1 第1のセラミック保護部
P2 第2のセラミック保護部
R 樹脂層
S 接合部材
TP12 第1の外部電極の端面部
TP13 第2の外部電極の端面部
UA1 第1の非接着面
UA2 第2の非接着面
UA3 第3の非接着面
UCR 未硬化樹脂層
RL 接着阻害材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13