(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電圧印加部は、前記所定個数の前記現像部からトナーを供給して前記記録媒体に画像を形成するときに、前記所定個数の前記電圧印加位置のそれぞれに、前記感光体ドラムの電位が前記1次転写ローラーの電位よりも高くなるように電圧を印加する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
前記電圧印加部は、前記所定個数の前記現像部からトナーが強制排出されるときに、前記所定個数の前記電圧印加位置のうち、前記最下流側電圧印加位置には前記1次転写ローラーの電位が前記感光体ドラムの電位よりも高くなるように電圧を印加する、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面(
図1〜
図8)を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0013】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の構成を示す図である。本実施形態において画像形成装置1は、カラー複写機である。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置1は、記録用紙P上に画像を形成する装置であって、筐体10、給紙部2、搬送部L、トナー補給ユニット3、画像形成ユニット4、転写部5、定着部7、及び、排出部8を備える。
【0015】
給紙部2は、筐体10の下部に配置され、記録用紙Pを搬送部Lへ供給する。給紙部2は、複数枚の記録用紙Pを収容可能であって、最上部の記録用紙Pを1枚ずつ搬送部Lへ供給する。以下、記録用紙Pを、便宜上、用紙Pと記載する。
【0016】
搬送部Lは、給紙部2によって供給された用紙Pを、転写部5及び定着部7を経由して排出部8まで搬送する。
【0017】
トナー補給ユニット3は、画像形成ユニット4にトナーを供給する容器であって、4つのトナーカートリッジ3c、3m、3y、及び、3kを備える。トナーカートリッジ3cには、シアン色のトナーが収容される。トナーカートリッジ3mには、マゼンタ色のトナーが収容される。トナーカートリッジ3yには、イエロー色のトナーが収容される。トナーカートリッジ3kには、ブラック色のトナーが収容される。
【0018】
以下、トナーカートリッジ3c、3m、3yをカラートナーカートリッジ31と記載し、トナーカートリッジ3kをブラックトナーカートリッジ32と記載する場合がある。
【0019】
転写部5は、中間転写ベルト54を備える。転写部5は、画像形成ユニット4によって、中間転写ベルト54上に形成されたトナー像を、用紙P上に転写する。転写部5の構成については、
図2を参照して後述する。
【0020】
画像形成ユニット4は、中間転写ベルト54上にトナー像を形成する。画像形成ユニット4には、各カラートナーカートリッジ31とブラックトナーカートリッジ32とから、それぞれ、各カラートナーとブラックトナーとが供給される。詳しくは、画像形成ユニット4は、4つの画像形成部4c、4m、4y、4kを含む。画像形成部4cには、トナーカートリッジ3cからシアントナーが供給される。画像形成部4mには、トナーカートリッジ3mからマゼンタトナーが供給される。画像形成部4yには、トナーカートリッジ3yからイエロートナーが供給される。画像形成部4kには、トナーカートリッジ3kからブラックトナーが供給される。画像形成ユニット4の構成については、
図2を参照して後述する。
【0021】
定着部7は、転写部5によって用紙Pに形成されたトナー像を定着するローラー対であって、加熱ローラー71及び加圧ローラー72を備える。用紙Pは、加熱ローラー71及び加圧ローラー72によって加熱及び加圧される。その結果、定着部7によって、転写部5において用紙Pに転写された未定着のトナー像が定着される。
【0022】
排出部8は、トナー像が定着された用紙Pを装置の外部へ排出する。
【0023】
次に、
図2を参照して画像形成ユニット4及び転写部5の構成について説明する。
図2は、画像形成ユニット4及び転写部5の構成を示す側面図である。
図2に示すように、画像形成ユニット4は、4つの画像形成部4c、4m、4y、4kを備える。
【0024】
画像形成部4c、4m、4y、4kは、それぞれ、露光装置41、感光体ドラム42、現像部43、帯電ローラー44、及び、クリーニングブレード45を備える。4つの画像形成部4c、4m、4y、4kの構成は、供給されるトナーの色が異なるのみでその他の構成は略同一である。したがって、ここでは、シアントナーが供給される画像形成部4cの構成について説明し、画像形成部4c以外の画像形成部4m、4y、4kの構成についての説明は省略する。
【0025】
画像形成部4cは、露光部41c(41)、感光体ドラム42c(42)、現像部43c(43)、帯電ローラー44c(44)、及び、クリーニングブレード45c(45)を有する。
【0026】
帯電ローラー44cは、感光体ドラム42cを所定の電位に帯電させる。露光部41cは、感光体ドラム42cにレーザー光を照射して露光し、感光体ドラム42c上に静電潜像を形成する。現像部43cは、現像ローラー431cを有する。現像ローラー431cは、感光体ドラム42cにシアントナーを供給して上記静電潜像を現像してトナー像を形成する。このようにして、感光体ドラム42cの周面にシアン色のトナー像が形成される。
【0027】
クリーニングブレード45cは、その先端(
図2では上端)が、感光体ドラム42cの周面と摺接する。感光体ドラム42cの周面とクリーニングブレード45cの先端とが摺接することで、感光体ドラム42cの周面に残留するシアントナーが除去される。
【0028】
転写部5は、用紙P(
図1参照)にトナー像を転写する。転写部5は、4つの1次転写ローラー51(51c、51m、51y、51k)、2次転写ローラー52、駆動ローラー53、中間転写ベルト54、及び、従動ローラー55を備える。
【0029】
転写部5は、各画像形成部4c、4m、4y、4kの感光体ドラム42(42c、42m、42y、42k)に形成された各トナー像を重ねて中間転写ベルト54に転写した後、重ねられたトナー像を中間転写ベルト54から用紙P(
図1参照)に転写する。
【0030】
1次転写ローラー51cは、中間転写ベルト54を介して感光体ドラム42cに対向して配置される。1次転写ローラー51cは、不図示の駆動機構によって中間転写ベルト54を介して感光体ドラム42cに圧接したり、感光体ドラム42cから離れたりすることができる。1次転写ローラー51cは、通常、中間転写ベルト54を介して感光体ドラム42cに圧接されている。他の1次転写ローラー51m、51y、51kも1次転写ローラー51cと同様に、それぞれ対応する感光体ドラム42(42m、42y、又は42k)に中間転写ベルト54を介して圧接されている。
【0031】
駆動ローラー53は、2次転写ローラー52に対向して配置され、中間転写ベルト54を駆動する。
【0032】
中間転写ベルト54は、4つの1次転写ローラー51、駆動ローラー53、及び、従動ローラー55に張架された無端ベルトである。中間転写ベルト54は、駆動ローラー53によって、
図2では矢印F1、F2に示す通り、反時計回りに回転駆動される。また、中間転写ベルト54は、その表面側が各感光体ドラム42(42c、42m、42y、42k)の周面に、それぞれ、当接している。中間転写ベルト54の表面には、1次転写ローラー51(51c、51m、51y、51k)によって、感光体ドラム42(42c、42m、42y、42k)からトナー像が転写される。
【0033】
中間転写ベルト54は、具体的には、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、及び、ポリフッ化ビニリデンのような樹脂製のシームレスベルトである。
【0034】
従動ローラー55は、中間転写ベルト54の回転に伴って回転駆動される。従動ローラー55に、中間転写ベルト54を介して対向する位置には、ブレード56が配置されている。ブレード56は、中間転写ベルト54の表面に残留しているトナーを除去する。
【0035】
2次転写ローラー52は、駆動ローラー53に押圧されている。これにより、2次転写ローラー52と駆動ローラー53との間にニップ部Nが形成される。2次転写ローラー52及び駆動ローラー53は、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、中間転写ベルト54上のトナー像を用紙P(
図1参照)に転写する。
【0036】
次に、「トナーの強制排出」について説明する。現像部43(43c、43m、43y、43k)におけるトナーの帯電状態を調整するために(又は、トナーの劣化を防止するために)、所定のタイミングで、現像部43(43c、43m、43y、43k)内のトナーを感光体ドラム42(42c、42m、42y、42k)に強制的に排出して、トナー像を形成する。
【0037】
現像部43(43c、43m、43y、43k)から強制的に排出されたトナー量に相当する未使用トナーを、トナー補給ユニット3(トナーカートリッジ3c、3m、3y、3k)から補充することによって、現像部43(43c、43m、43y、43k)におけるトナーの帯電状態が調整される。このような動作を、「トナーの強制排出」という。上記所定のタイミングは、例えば、所定枚数(例えば、10枚)印刷する度、又は、所定時間(例えば、1分間)経過する度である。
【0038】
また、「トナーの強制排出」を行うときにも、印刷時と同様に、各画像形成部4c、4m、4y、4kの感光体ドラム42(42c、42m、42y、42k)に形成されたパッチの各トナー像を重ねて中間転写ベルト54に転写する。
【0039】
このように、現像部43(43c、43m、43y、43k)内のトナーが、各トナー像を重ねて中間転写ベルト54に転写するタイミングで排出されるため、「トナーの強制排出」に要する時間を短縮することができる。
【0040】
ただし、「トナーの強制排出」を行うときには、2次転写ローラー52及び駆動ローラー53は、中間転写ベルト54上のトナー像を用紙Pに転写しない。具体的には、「トナーの強制排出」を行うときには、2次転写ローラー52及び駆動ローラー53の位置に用紙Pを搬送することはなく、且つ、2次転写ローラー52及び駆動ローラー53において、中間転写ベルト54上のトナーが加熱されることはない。したがって、「トナーの強制排出」を行うときには、感光体ドラム42(42c、42m、42y、42k)から中間転写ベルト54上に付着したトナーは、ブレード56の位置まで搬送され、ブレード56によって除去される。
【0041】
次に、
図3を参照して、1次転写ローラー51と感光体ドラム42との間に電圧を印加する電圧印加部6について説明する。
図3は、
図2に示す1次転写ローラー51に電圧を印加する電圧印加部6の構成を示す側面図である。電圧印加部6は、第1電圧印加部61及び第2電圧印加部62を備えている。
【0042】
第1電圧印加部61は、上流側に配置された3個の1次転写ローラー51(51c、51m、51y)と、それぞれ、対向する感光体ドラム42(42c、42m、42y)との間に印加する電圧を制御する。具体的には、第1電圧印加部61は、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間、及び、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間に印加する電圧を印加する。なお、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間、及び、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間は、「電圧印加位置」の一部に相当する。
【0043】
第2電圧印加部62は、最も下流側に配置された1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間に印加する電圧を制御する。なお、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間は、「電圧印加位置」の一部に相当し、「最下流側電圧印加位置」に相当する。
【0044】
本実施形態では、電圧印加部6が、第1電圧印加部61及び第2電圧印加部62を備える場合について説明しているが、電圧印加部6が第2電圧印加部62を備える形態であればよい。換言すれば、最も下流側に配置された1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間に印加する電圧を、他の1次転写ローラー51と感光体ドラム42との間に印加する電圧とは、独立に制御できる形態であればよい。例えば、電圧印加部6が、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間に印加する電圧、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間に印加する電圧、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間に印加する電圧、及び、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間に印加する電圧を、それぞれ、独立に制御する形態でもよい。
【0045】
次に、用紙Pに画像を形成する場合に、第1電圧印加部61及び第2電圧印加部62が印加する電圧について説明する。
図4は、
図2に示す画像形成ユニット4及び転写部5において用紙Pに画像を形成する場合のトナーの挙動を示す側面図である。本実施形態においては、正に帯電したトナーを用いて用紙Pに画像を形成する場合について説明する。
【0046】
次に、
図4を参照して、トナーの挙動について説明する。なお、
図4〜
図7では、正に帯電したトナーを「TP1〜TP5」と表記し、負に帯電したトナーを「TM1〜TM5」と表記している。また、トナーTP1〜TP5の、それぞれの、帯電量QP1〜QP5は、次の(1)式の関係がある。ここで、「帯電量」とは、帯電している電荷の絶対値を意味している。
QP1<QP2<QP3<QP4<QP5 (1)
同様に、トナーTM1〜TM5の、それぞれの、帯電量QM1〜QM5は、次の(2)式の関係がある。
QM1<QM2<QM3<QM4<QM5 (2)
【0047】
図4に示すように、感光体ドラム42cに形成されたトナー像に含まれるトナーTP1を中間転写ベルト54に付着させるためには、感光体ドラム42cの電位を、1次転写ローラー51cの電位よりも高くする必要がある。換言すれば、第1電圧印加部61は、感光体ドラム42cが1次転写ローラー51cに対して電位が高くなるように、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間に電圧を印加する。
【0048】
このように、感光体ドラム42が1次転写ローラー51に対して電位が高い状態とするために、1次転写ローラー51と感光体ドラム42との間に印加する電圧を「正極性の電圧」という。逆に、感光体ドラム42が1次転写ローラー51に対して電位が低い状態とするために、1次転写ローラー51と感光体ドラム42との間に印加する電圧を「逆極性の電圧」という。
【0049】
図4〜
図7では、感光体ドラム42に+(プラス)マークを記載し、1次転写ローラー51に−(マイナス)マークを記載することで、「正極性の電圧」であることを表記している。また、感光体ドラム42に−(マイナス)マークを記載し、1次転写ローラー51に+(プラス)マークを記載することで、「逆極性の電圧」であることを表記している。
【0050】
また、感光体ドラム42mに形成されたトナー像に含まれるトナーTP1を中間転写ベルト54に付着させるために、第1電圧印加部61は、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間に正極性の電圧を印加する。同様に、感光体ドラム42yに形成されたトナー像に含まれるトナーTP1を中間転写ベルト54に付着させるために、第1電圧印加部61は、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間に正極性の電圧を印加する。また、感光体ドラム42kに形成されたトナー像に含まれるトナーTP1を中間転写ベルト54に付着させるために、第2電圧印加部62は、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間に正極性の電圧を印加する。
【0051】
次に、感光体ドラム42cの表面に付着しているトナーTP1の挙動について説明する。
図4に示すように、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間に正極性の電圧が印加されているため、感光体ドラム42cの表面に付着しているトナーTP1は、中間転写ベルト54に付着する。また、トナーTP1は、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間を通過するときに、正極性の電圧によって少し強く帯電したトナーTP2となる。
【0052】
次に、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間に正極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTP2は、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間を通過するときに、正極性の電圧によって強く帯電したトナーTP3となる。同様に、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間に正極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTP3は、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間を通過するときに、正極性の電圧によって更に強く帯電したトナーTP4となる。同様に、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間に正極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTP4は、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間を通過するときに、正極性の電圧によって非常に強く帯電したトナーTP5となる。
【0053】
なお、感光体ドラム42cの表面に付着しているトナーTP1が中間転写ベルト54に付着するのと同様に、他の感光体ドラム42m、42y、42kの表面に付着しているトナーTP1が中間転写ベルト54に付着する。このように、感光体ドラム42(42c、42m、42y、42k)においてトナーTP1によって形成された各色のトナー像が重ねて、順次、中間転写ベルト54に転写された後、重ねられたトナー像が、2次転写ローラー52によって中間転写ベルト54から用紙P(
図1参照)に転写される。
【0054】
上述のように、トナーの強制排出時に、印刷時と同様に、1次転写ローラー51と感光体ドラム42との間に正極性の電圧を印加する場合には、中間転写ベルト54には、非常に強く帯電したトナーTP5が付着する。よって、トナーTP5と中間転写ベルト54との間の付着力が大きいため、中間転写ベルト54に付着したトナーTP5をブレード56で除去できない恐れがある。
【0055】
<第1実施形態>
次に、
図5を参照して、電圧印加部6の第1実施形態における動作について説明する。
図5は、
図3に示す電圧印加部6の第1実施形態における動作を示す側面図である。
図5に示すように、第1実施形態では、第1電圧印加部61が逆極性の電圧を印加し、第2電圧印加部62が正極性の電圧を印加する。具体的には、第1電圧印加部61が、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに逆極性の電圧を印加し、第2電圧印加部62が最下流側の1次転写ローラー51kに正極性の電圧を印加する。
【0056】
次に、第1実施形態におけるトナーの挙動について説明する。
図5に示すように、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間に逆極性の電圧が印加されているため、感光体ドラム42cの表面に付着しているトナーTP1は、中間転写ベルト54に付着しない。上述のように、本実施形態においては、正に帯電したトナーを用いて用紙Pに画像を形成するが、一部のトナーは負に帯電している。このように、負に帯電したトナーTM1は、感光体ドラム42cの表面から中間転写ベルト54に付着する。また、トナーTM1は、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間を通過するときに、正極性の電圧によって少し強く帯電したトナーTM2となる。
【0057】
次に、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間に逆極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTM2は、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間を通過するときに、逆極性の電圧によって強く帯電したトナーTM3となる。同様に、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間に逆極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTM3は、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間を通過するときに、逆極性の電圧によって更に強く帯電したトナーTM4となる。
【0058】
なお、
図5では表記していないが、感光体ドラム42cの表面に付着しているトナーTM1が中間転写ベルト54に付着するのと同様に、感光体ドラム42m、42yの表面に付着しているトナーTM1も中間転写ベルト54に付着する。
【0059】
次に、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間には、正極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTM4は、感光体ドラム42kに付着する。また、感光体ドラム42kに付着している正に帯電したトナーTP1は、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間には、正極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着する。更に、中間転写ベルト54に付着したトナーTP1は、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間を通過するときに、正極性の電圧によって少し強く帯電したトナーTP2となる。
【0060】
このようにして、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに逆極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに正極性の電圧を印加すると、中間転写ベルト54には、少し強く帯電したトナーTP2が付着する。よって、トナーTP2が強く帯電してはいないため、トナーTP2と中間転写ベルト54との間に作用する付着力(クーロン力)は大きくない。したがって、中間転写ベルト54に付着したトナーTP2をブレード56で容易に除去することができるため、トナー強制排出時における中間転写ベルト54のクリーニング不良の発生を抑制することができる。
【0061】
<第2実施形態>
次に、
図6を参照して、電圧印加部6の第2実施形態における動作について説明する。電圧印加部6の第2実施形態は、第1電圧印加部61及び第2電圧印加部62が印加する電圧の極性が逆である点で第1実施形態と相違している。
【0062】
図6は、
図3に示す電圧印加部6の第2実施形態における動作を示す側面図である。
図6に示すように、第2実施形態では、第1電圧印加部61が正極性の電圧を印加し、第2電圧印加部62が逆極性の電圧を印加する。具体的には、第1電圧印加部61が、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに正極性の電圧を印加し、第2電圧印加部62が最下流側の1次転写ローラー51kに逆極性の電圧を印加する。
【0063】
次に、第2実施形態におけるトナーの挙動について説明する。
図6に示すように、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間に正極性の電圧が印加されているため、感光体ドラム42cの表面に付着しているトナーTP1は、中間転写ベルト54に付着する。また、トナーTP1は、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間を通過するときに、正極性の電圧によって少し強く帯電したトナーTP2となる。
【0064】
次に、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間に正極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTP2は、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間を通過するときに、正極性の電圧によって強く帯電したトナーTP3となる。同様に、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間に正極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTP3は、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間を通過するときに、正極性の電圧によって更に強く帯電したトナーTP4となる。
【0065】
なお、
図6では表記していないが、感光体ドラム42cの表面に付着しているトナーTP1が中間転写ベルト54に付着するのと同様に、感光体ドラム42m、42yの表面に付着しているトナーTP1も中間転写ベルト54に付着する。
【0066】
次に、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間には、逆極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTP4は、感光体ドラム42kに付着する。また、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間には、逆極性の電圧が印加されているため、感光体ドラム42kに付着しているトナーTM1は、中間転写ベルト54に付着する。更に、中間転写ベルト54に付着したトナーTM1は、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間を通過するときに、逆極性の電圧によって少し強く帯電したトナーTM2となる。
【0067】
このようにして、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに正極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに逆極性の電圧を印加すると、中間転写ベルト54には、少し強く帯電したトナーTM2が付着する。よって、トナーTM2が強く帯電してはいないため、トナーTM2と中間転写ベルト54との間に作用する付着力(クーロン力)は大きくない。したがって、中間転写ベルト54に付着したトナーTM2をブレード56で容易に除去することができるため、トナー強制排出時における中間転写ベルト54のクリーニング不良の発生を抑制することができる。
【0068】
<第1比較形態>
次に、
図7を参照して、電圧印加部6の第1比較形態における動作について説明する。
図7は、
図3に示す電圧印加部6の第1比較形態における動作を示す側面図である。
図7に示すように、第1比較形態では、第1電圧印加部61及び第2電圧印加部62が逆極性の電圧を印加する。具体的には、第1電圧印加部61が、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに逆極性の電圧を印加し、第2電圧印加部62が最下流側の1次転写ローラー51kに逆極性の電圧を印加する。
【0069】
図7に示すように、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間に逆極性の電圧が印加されているため、感光体ドラム42cの表面に付着しているトナーTP1は、中間転写ベルト54に付着しない。上述のように、本実施形態においては、正に帯電したトナーを用いて用紙Pに画像を形成するが、一部のトナーは負に帯電している。このように、負に帯電したトナーTM1は、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間に逆極性の電圧が印加されているため、感光体ドラム42cの表面から中間転写ベルト54に付着する。また、トナーTM1は、1次転写ローラー51cと感光体ドラム42cとの間を通過するときに、逆極性の電圧によって少し強く帯電したトナーTM2となる。
【0070】
次に、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間に負極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTM2は、1次転写ローラー51mと感光体ドラム42mとの間を通過するときに、逆極性の電圧によって強く帯電したトナーTM3となる。同様に、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間に逆極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTM3は、1次転写ローラー51yと感光体ドラム42yとの間を通過するときに、逆極性の電圧によって更に強く帯電したトナーTM4となる。同様に、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間に逆極性の電圧が印加されているため、中間転写ベルト54に付着しているトナーTM4は、1次転写ローラー51kと感光体ドラム42kとの間を通過するときに、逆極性の電圧によって非常に強く帯電したトナーTM5となる。
【0071】
このようにして、1次転写ローラー51と感光体ドラム42との間に逆極性の電圧を印加すると、中間転写ベルト54には、非常に強く帯電したトナーTM5が付着する。よって、トナーが強制排出されるときに、1次転写ローラー51と感光体ドラム42との間に逆極性の電圧を印加する場合には、中間転写ベルト54に付着したトナーTM5をブレード56で除去できない恐れがある。
【0072】
次に、
図8を参照して、第1電圧印加部61及び第2電圧印加部62が印加する電圧の極性と、中間転写ベルト54のクリーニング不良の発生との関係について説明する。
図8は、
図5〜
図7の各場合において、それぞれ、ブレード56によるクリーニング結果を評価した図表である。
図8(a)は、第1比較形態のクリーニング結果を示す。
図8(b)は、第2実施形態のクリーニング結果を示す。
図8(c)〜
図8(e)は、
図5に示す第1実施形態のクリーニング結果を示す。
【0073】
図8に示す各図表において、左側の欄では、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに印加する電圧の極性、及び、1次転写ローラー51に流れる電流の電流値(μA)を示す。中央の欄では、最下流側の1次転写ローラー51kに印加する電圧の極性、及び、1次転写ローラー51kに流れる電流の電流値(μA)を示す。なお、1次転写ローラー51に流れる電流は、1次転写ローラー51から感光体ドラム42cに向けて流れる場合を正としている。右側の欄では、ブレード56による中間転写ベルト54のクリーニング不良の発生状況を示す。バツ印「×」は、クリーニング不良が発生したことを示し、丸印「○」は、クリーニング不良が発生なかったことを示している。
【0074】
まず、
図8(a)を用いて、第1比較形態のクリーニング結果について説明する。第1比較形態とは、全ての1次転写ローラー51に逆極性の電圧を印加する場合である。この場合には、
図8(a)に示すように、1次転写ローラー51に流れる電流の電流値が1μA〜5μAの範囲において、中間転写ベルト54のクリーニング不良が発生した。
【0075】
次に、
図8(b)を用いて、第2実施形態のクリーニング結果について説明する。第2実施形態とは、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに正極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに逆極性の電圧を印加する場合である。この場合には、
図8(b)に示すように、1次転写ローラー51に流れる電流の電流値の絶対値が1μA〜5μAの範囲において、中間転写ベルト54のクリーニング不良が発生しなかった。
【0076】
したがって、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに正極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに逆極性の電圧を印加することによって、トナー強制排出時における中間転写ベルト54のクリーニング不良の発生を抑制することができる。
【0077】
また、
図8(b)に示すように、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値の絶対値が1μA〜5μAの範囲となるように、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに正極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに流れる電流の電流値が1μA〜5μAとなるように、最下流側の1次転写ローラー51kに逆極性の電圧を印加することが好ましい。
【0078】
次に、
図8(c)を用いて、第1実施形態のうち、最下流側の1次転写ローラー51kに電圧を印加しない場合のクリーニング結果について説明する。第1実施形態とは、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに逆極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに電圧を印加しない(又は、正極性の電圧を印加する)場合である。この場合には、
図8(c)に示すように、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値が1μA〜5μAの範囲において、中間転写ベルト54のクリーニング不良が発生しなかった。
【0079】
このように、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに逆極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに電圧を印加しないことによって、トナー強制排出時における中間転写ベルト54のクリーニング不良の発生を抑制することができる。
【0080】
また、
図8(c)に示すように、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値が1μA〜5μAの範囲となるように、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに逆極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに電圧を印加しないことが好ましい。
【0081】
次に、
図8(d)及び
図8(e)を用いて、第1実施形態のうち、最下流側の1次転写ローラー51kに正極性の電圧を印加する場合のクリーニング結果について説明する。第1実施形態の場合とは、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに逆極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに正極性の電圧を印加する(又は、電圧を印加しない)場合である。この場合には、
図8(d)に示すように、最下流側の1次転写ローラー51kに流れる電流の電流値が「−3μA」であって、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値が1μA〜5μAの範囲において、中間転写ベルト54のクリーニング不良が発生しなかった。また、
図8(e)に示すように、最下流側の1次転写ローラー51kに流れる電流の電流値が「−5μA」であって、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値が1μA〜5μAの範囲において、中間転写ベルト54のクリーニング不良が発生しなかった。
【0082】
したがって、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに逆極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに正極性の電圧を印加することによって、トナー強制排出時における中間転写ベルト54のクリーニング不良の発生を抑制することができる。
【0083】
また、
図8(d)、
図8(e)に示すように、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値が1μA〜5μAの範囲となるように、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに逆極性の電圧を印加し、最下流側の1次転写ローラー51kに流れる電流の電流値の絶対値が5μA以下となるように、最下流側の1次転写ローラー51kに正極性の電圧を印加することが好ましい。
【0084】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)〜(5))。図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0085】
(1)第1実施形態及び第2実施形態では、画像形成装置1が4個の1次転写ローラー51c、51m、51y、51k及び4個の感光体ドラム42c、42m、42y、42kを備える場合について説明したが、画像形成装置1が2個以上の所定個数の1次転写ローラー及び感光体ドラムを備える形態であればよい。例えば、上記所定個数が、2個、又は、3個である形態でもよいし、5個以上である形態でもよい。
【0086】
(2)第1実施形態では、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値が1μA〜5μAの範囲であり、且つ、最下流側の1次転写ローラー51kに流れる電流の電流値の絶対値が5μA以下である場合について説明したが、上記電流の範囲を超える形態でもよい。例えば、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値が6μAであって、最下流側の1次転写ローラー51kに流れる電流の電流値の絶対値が6μAである形態でもよい。
【0087】
(3)第2実施形態では、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値の絶対値が1μA〜5μAの範囲であり、最下流側の1次転写ローラー51kに流れる電流の電流値が1μA〜5μAである場合について説明したが、上記電流の範囲を超える形態でもよい。例えば、上流側の3個の1次転写ローラー51c、51m、51yに流れる電流の電流値の絶対値が6μAであって、最下流側の1次転写ローラー51kに流れる電流の電流値が0.5μAである形態でもよい。
【0088】
(4)第1実施形態及び第2実施形態では、現像部43(43c、43m、43y、43k)内のトナーが、各トナー像を重ねて中間転写ベルト54に転写するタイミングで排出される場合について説明したが、各トナー像が互いにズレる形態でもよい。この場合には、各トナー像を重ねるための制御が不要となる。
【0089】
(5)第1実施形態及び第2実施形態では、正に帯電したトナーを用いて用紙Pに画像を形成する場合について説明したが、負に帯電したトナーを用いて用紙Pに画像を形成する形態でもよい。