(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記衝撃緩和部は、前記枠部に形成された一対の前記スリットを備え、前記撓み変形部は、一対の前記スリットにおける両空間の間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の読取装置。
前記接続部は、前記枠部における前記スリットの形成領域から外れた部分と、前記基板保持部とを接続する構成で設けられていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の読取装置。
前記スリットは、所定幅の溝として形成され、前記回路基板の板面の方向と平行な平面方向に沿って延びていることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の読取装置。
前記回路基板の板面と直交する方向を上下方向とした場合、前記結合体の上端部と前記ケースの上壁部における内側の板面との間の上下方向の最小間隔、及び前記結合体の下端部と前記ケースの下壁部における内側の板面との間の上下方向の最小間隔が、いずれも前記スリットの幅よりも大きくなっていることを特徴とする請求項7に記載の読取装置。
前記衝撃緩和部は、弾性変形可能なバネ部を備え、前記ケースから前記枠部又は前記基板保持部の少なくともいずれかに伝わる衝撃を前記バネ部の弾性変形によって緩和することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の読取装置。
前記衝撃緩和部は、前記枠部において前記ケース側に突出して形成されると共に前記ケースによって保持される部位となる保持対象部と、前記枠部において前記保持対象部に連結された形で設けられるバネ部とを備え、
前記ケースは、当該ケースの外殻をなすケース本体部と、前記ケース本体部の内側に連結されると共に前記結合体を保持する部位となる保持部と、を備えており、
前記回路基板の板面と直交する方向を上下方向とした場合、前記保持部は、前記保持対象部の一部を上下に挟み込んで保持することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の読取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、読み取り性能の向上や高機能化の進展に伴い、読取装置内の内部機器が大型化する傾向にあり、意図しない落下等によって大きな加速度や大きな衝撃が生じやすくなっている。このように大きな加速度変化や大きな衝撃が生じると、ケースにおいて意図しない大きな変形が生じたり、或いはケース内において意図しない部品同士の干渉が生じたりすることがより一層懸念される。このような事態が生じると、内部部品の破壊や特性変化を招き易いといった問題があり、特に、電子部品が搭載された回路基板は破壊や特性変化の影響が顕著に表れやすく、このような問題がより深刻になりやすい。このような事情があるため、この種の読取装置では、落下等によってケースに急激な加速度変化や大きな衝撃が加わった場合でも、できるだけ回路基板に影響が及ばないような対策が求められる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、回路基板をケース内に収容してなる読取装置において、ケースに急激な加速度変化や大きな衝撃が加わった場合でも、その影響が回路基板に及びにくい構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、
回路基板と、
前記回路基板を保持するホルダと、
前記回路基板が前記ホルダに保持された結合体を収容するケースと、
を備え、
前記ホルダは、
前記回路基板が固定される基板保持部と、
前記基板保持部の周囲において前記基板保持部と前記ケースとの間に介在して配置される枠部と、
前記基板保持部と前記枠部とを接続する接続部と、
前記ケース側から前記結合体側に伝わる衝撃を緩和可能な衝撃緩和部と、
を有
し、
前記枠部は、前記基板保持部の周囲を環状に囲う構成で配置され、当該枠部の内周面と前記基板保持部の外周面との間に空間が構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、回路基板がホルダに保持された結合体がケースに収容された構成となっており、ホルダには、回路基板が固定される基板保持部と、基板保持部の周囲において基板保持部とケースとの間に介在して配置される枠部と、基板保持部と枠部とを接続する接続部と、ケース側から結合体側に伝わる衝撃を緩和可能な衝撃緩和部とが設けられている。
このように、回路基板を基板保持部によって保持し、その基板保持部の周囲に枠部を配置した構成とすれば、振動や衝撃などが生じた場合に、枠部の外側の部品が回路基板付近に干渉しにくくなる。例えば、装置外部からの衝撃などによってケースに変形が生じた場合に、その変形部位が基板保持部側に及ぶ前に枠部に当てて守りやすいため、基板保持部に保持される回路基板等を効果的に保護することができる。更に、ホルダにおいて衝撃緩和部が設けられ、ケース側から結合体側に伝わろうとする衝撃が緩和されやすくなっているため、枠部外の部品の直接的な干渉(接触等)だけでなく、結合体を介して伝搬する衝撃や振動などについても抑えやすくなる。
特に、枠部が、基板保持部の周囲を環状に囲う構成で配置されており、当該枠部の内周面と基板保持部の外周面との間に空間が構成されている。このように、基板保持部の周囲を囲うように環状に枠部を配置すれば、基板保持部の周囲にわたって基板保持部を守るように機能するため、より万遍なく基板保持部を保護することができる。しかも、環状に構成された枠部と基板保持部との間に空間が構成されているため、仮にケースの一部が枠部に衝突し、枠部が撓んだとしても、空間内で撓む限りは枠部が基板保持部と干渉しにくくなる。また、ケースの一部が枠部に衝突し、枠部が撓んだ場合、この枠部が空間内で変位している間に衝撃力を吸収する効果が確実に生じるため、万が一、撓んだ枠部が基板保持部にまで達して接触したとしても、その接触時に基板保持部が強い力で押されにくくなる。
【0008】
請求項
9の発明では、衝撃緩和部が、弾性変形可能なバネ部を備えており、ケースから枠部又は基板保持部の少なくともいずれかに伝わる衝撃をバネ部の弾性変形によって緩和する構成となっている。この構成によれば、ケースから伝わる衝撃や振動をバネ部による弾性変形によってより効果的に吸収することができる。
【0010】
請求項
10の発明では、枠部における基板保持部側とは反対側の外壁部において、基板保持部側とは反対側に突出する凸部が設けられており、この凸部がケースの内壁部と対向して配置されている。このように枠部の外壁部に凸部を設け、この凸部をケースの内壁部と対向させた構成とすれば、外部衝撃などによってケースに変形が生じた際に、ケースが凸部付近に当たりやすくなり、凸部以外への干渉を抑制しやすくなる。
【0011】
請求項
2の発明では、衝撃緩和部が、枠部に形成されると共にケースによって支持される部位となる支持対象部と、枠部において支持対象部に連結された形で設けられるバネ部とを備えている。そして、接続部は、枠部における支持対象部及びバネ部から離れた部位と、基板保持部とを接続する構成で配置されている。
この構成では、少なくとも枠部がケースに支持された構成となるため、基板保持部のみがケースに支持される構成と比較して、ケースから基板保持部に伝わる振動や衝撃などを抑えやすくなる。しかも、支持対象部に連結された形でバネ部が設けられ、支持対象部及びバネ部から離れた部位を接続する形で接続部が設けられているため、ケースから支持対象部に伝わった衝撃や振動が接続部に至る前に緩和されやすくなり、接続部やこれに連結された基板保持部に対する振動や衝撃等をより一層抑えやすくなる。
【0012】
請求項
3の発明では、衝撃緩和部は、枠部において切欠き形状で構成されたスリットと、枠部においてスリットの空間に隣接して配置されると共に弾性変形可能に構成された撓み変形部と、を備えている。そして、ケースから枠部に伝わる衝撃を撓み変形部の弾性変形によって緩和する。
この構成によれば、切欠き形状のスリットとそれに隣接する撓み変形部という簡易な構成で、衝撃や振動等を効果的に緩和し得る構造を実現できる。しかも、切欠き形状のスリットが基板保持部ではなく枠部に形成されているため、このスリットによっては基板保持部の剛性が低下しにくく、回路基板付近の剛性を高く保ちやすくなる。
特に、枠部において、異なる方向にそれぞれ延びる2つの板状部が連結されてなる角部が複数設けられており、各々の角部には、各々の角部を構成する一方の板状部からそれに隣接する他方の板状部に連続的に続く構成で折れ曲がり状にスリットが構成されている。そして、各々の角部に設けられた撓み変形部は、各々の角部を構成する一方の板状部の一部と他方の板状部の一部とが連結された構成をなし、且つ折れ曲がり状のスリットの空間に隣接する位置に折れ曲がり状に配置されている。
この構成によれば、衝撃が加わりやすい角部付近の衝撃緩和効果を簡易な構成によって確実に高めることができる。しかも、スリットが折れ曲がり状に構成され、撓み変形部が折れ曲がり状に配置されているため、一方の板状部が延びる方向に力が加わった場合でも、他方の板状部が延びる方向に力が加わった場合でも、両板状部が延びる方向に対して斜めに力が加わった場合でも、撓み変形部が弾性変形しやすくなる。従って、様々な方向の衝撃を効果的に吸収することが可能となり、対応しきれない衝撃の向きがより少なくなる。
【0013】
請求項
4の発明では、衝撃緩和部が、枠部に形成された一対のスリットを備えており、撓み変形部は、一対のスリットにおける両空間の間に配置されている。この構成によれば、一対のスリットの間に撓み変形部を設けるという簡易な構成によって、より撓み変形が生じやすく、衝撃緩和効果が高い構造を実現できる。
【0015】
請求項
5の発明では、枠部は、角部を4つ備えた矩形枠状に構成され、回路基板の板面と直交する方向を上下方向とした場合、各々の角部には、各々の角部を構成する一方の板状部からそれに隣接する他方の板状部に連続的に続く構成且つ上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で2つのスリットが対をなして形成されている。そして、各々の角部に設けられた撓み変形部は、各々の角部を構成する一方の板状部の一部と他方の板状部の一部とが連結された構成をなし、且つ一対のスリット間の位置において上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で配置されている。更に、4つの角部にそれぞれ設けられた各々の撓み変形部には、各々の撓み変形部をそれぞれ構成する2つの板状部の向きに対して傾斜した方向且つケースの内壁面側に延びる突出部がそれぞれ形成されており、各々の突出部がケースに保持される構成となっている。
この構成によれば、矩形枠状に構成された枠部において、衝撃が加わり易く応力が集中しやすい4つの角部のいずれについても、簡易な構成によって衝撃を効果的に緩和しうる構造とすることができる。
また、いずれの角部においても、スリットが折れ曲がり状に構成され、撓み変形部が折れ曲がり状に構成されているため、一方の板状部が延びる方向に力が加わった場合でも、他方の板状部が延びる方向に力が加わった場合でも、両板状部が延びる方向に対して斜めに力が加わった場合でも、撓み変形部が弾性変形しやすくなる。つまり、いずれの角部においても、様々な方向の衝撃を効果的に吸収することが可能となり、枠部全体として対応しきれない衝撃の種類がより一層少なくなる。
更に、折れ曲がり状に構成される各々の撓み変形部には板状部の向きに対して傾斜した向きの突出部がケース内壁面側に延びる構成で配置されているため、外部衝撃などによってケースに変形が生じた際に、ケースが突出部に当たりやすくなり、ケースの変形をより撓み変形部で受けやすくなる。しかも、突出部は、2つの板状部に対して傾斜した向きに突出しているため、ケースの変形により、突出部の先端部付近に対していずれの板状部の向きに力が加わった場合でも、突出部を回転させようとする作用が生じやすく、この作用によって、折れ曲がり状に構成された撓み変形部の各延出部位を曲げようとする力が加わりやすくなる。つまり、突出部の先端付近に対し、ケースから当該突出部に近いいずれの板状部の向きに力が加わった場合でも、突出部の回転作用によって、撓み変形部で衝撃を吸収しやすい向きの力に変換されやすいため、より効果的に衝撃を吸収することができる。
【0016】
請求項
6の発明では、接続部は、枠部におけるスリットの形成領域から外れた部分と、基板保持部とを接続する構成で設けられている。この構成によれば、簡易な構成で衝撃緩和効果を高めつつ、衝撃緩和に大きく寄与する部分(撓み変形部)の変位や振動を、接続部や基板保持部により伝わりにくくすることができる。
【0017】
請求項
7の発明では、スリットが、所定幅の溝として形成され、回路基板の板面の方向と平行な平面方向に沿って延びている。この構成によれば、少なくともスリット間隔を大きくさせたり、小さくさせたりするような変形や復帰が生じやすく、少なくとも回路基板の板面と直交する向きの力がスリット付近で吸収されやすくなるため、特に回路基板に撓みを生じさせる向きの力が抑制されやすくなる。
【0018】
請求項
8の発明では、回路基板の板面と直交する方向を上下方向とした場合、結合体の上端部とケースの上壁部における内側の板面との間の上下方向の最小間隔、及び結合体の下端部とケースの下壁部における内側の板面との間の上下方向の最小間隔が、いずれもスリットの幅よりも大きくなっている。この構成では、結合体全体がスリットの幅程度に上方に相対移動したり、下方に相対移動したとしても、結合体がケースの上壁部や下壁部に接触しにくいため、相対移動に起因するケースとの接触を防ぎやすく、回路基板などがより一層保護されやすくなる。
【0019】
請求項
11の発明では、衝撃緩和部は、枠部においてケース側に突出して形成されると共にケースによって保持される部位となる保持対象部と、枠部において保持対象部に連結された形で設けられるバネ部とを備えている。そして、ケースは、当該ケースの外殻をなすケース本体部と、ケース本体部の内側に連結されると共に結合体を保持する部位となる保持部と、を備えており、回路基板の板面と直交する方向を上下方向とした場合、保持部は、保持対象部の一部を上下に挟み込んで保持する構成となっている。
このように、枠部において突出構造で設けられた部分をケースの一部によって挟み込むような保持構造とすれば、ケースに変形等が生じた場合に、保持部に対して保持対象部が揺動しやすく、このような相対変位によって力を逃がしやすくなるため、衝撃吸収効果が一層高まる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
第1実施形態に係る読取装置1は、ICカードやその他のRFIDタグなどの非接触通信媒体を読み取る非接触通信装置として構成されるものであり、RFIDタグ等の非接触通信媒体との間で非接触通信を行うものである。
【0022】
(全体構成)
図1に示すように、読取装置1は、略直方形状に構成されたケース3を備え、このケース3によって外郭が構成されており、載置面上(例えばテーブルの上など)に載置して使用することもでき、手などで把持して使用することもできるものである。この読取装置1は、ケース3の内部に各種部品(後述するホルダ30や回路基板5など)が収容されている。
【0023】
図2に示すように、読取装置1は、全体的制御を司る制御部10を備えており、この制御部10に、通信処理部20、表示部12、発音部13、外部インターフェース14、キー操作部15、メモリ16、電源部17などが接続されている。制御部10は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有し、情報処理装置として機能している。また、通信処理部20、表示部12、発音部13、外部IF14、キー操作部15、メモリ16、電源部17は、いずれも制御部10によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部10からの指令を受けて動作する。また、キー操作部15は、1又は複数のボタンなどによって構成され、例えば、使用者の操作に応じて制御部10に対して操作信号を与える構成となっている。なお、表示部12、発音部13、キー操作部15などの構成はあくまで一例であり、公知の様々な表示手段、発音手段、操作手段を用いることができる。また、これらの内のいずれかが省略された構成であってもよく、これら以外の部品が備えられた構成であってもよい。
【0024】
外部インターフェース14は、外部装置との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部10と協働して通信処理(有線通信処理や無線通信処理など)を行う構成となっている。また、読取装置1には、電源となるバッテリ18が設けられており、バッテリ18や電源部17によって制御部10や各種電気部品に電力が供給されている。なお、
図2の例では、バッテリ18が設けられた例を示しているが、商用電源から電力供給を受ける構成であってもよい。メモリ16は、ROM,RAM,その他の不揮発性メモリ等の各種記憶手段などによって構成されており、例えば、制御プログラムや非接触通信媒体βを識別するための識別情報(IDなど)などが記憶されている。
【0025】
通信処理部20は、アンテナ7及び制御部10と協働して非接触通信媒体(例えば非接触通信媒体β)との間で電磁波による通信を行ない、非接触通信媒体βに記憶されるデータの読取り、或いは非接触通信媒体βへのデータの書込みなどを行なうように機能する。なお、非接触通信媒体βは、ハードウェア的には公知の非接触ICカード、或いはその他のRFIDタグなどとして構成されており、公知の方式で無線通信を行い得る構成となっている。なお、非接触通信媒体βは、パッシブタイプの構成であってもよく、アクティブタイプの構成であってもよい。この通信処理部20は、例えば公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、
図2(B)に示すように、送信回路22、変調回路21、受信回路23、復調回路24などを有している。
【0026】
変調回路21は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力されるものであり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、送信回路22に出力している。また、送信回路22は、増幅器、送信部フィルタなどを備えており、増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号をアンテナ7に出力している。このようにしてアンテナ7に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該アンテナ7より外部に放射される。一方、アンテナ7によって受信された電波信号(非接触通信媒体βからの電波信号)は、受信回路23に入力される。この受信回路23は、受信部フィルタ、増幅器などによって構成されており、アンテナ7を介して受信された信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調回路24に出力する。復調回路24は、復調部、二値化処理部、複号化部などを備えており、増幅信号が入力されると、復調部が当該増幅信号を復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部10に出力している。なお、ここで説明したハードウェア構成はあくまで一例であり、非接触通信媒体βと非接触通信が可能であれば公知の様々な構成を採用することができる。
【0027】
(特徴的構成)
次に、特徴的構成について詳述する。読取装置1は、
図5で示すように、回路基板5と、回路基板5を保持するホルダ30とを備えており、これら回路基板5及びホルダ30によって結合体2が構成されている。なお、
図3〜
図6、
図14、
図15等では、ホルダ30の上部側に保持される回路基板5を二点鎖線にて概念的に示している。また、
図4、
図7等では、ホルダ30の下部側に保持されるアンテナ7を二点鎖線にて概念的に示している。
【0028】
図1、
図5、
図12のように、読取装置1では、回路基板5がホルダ30に保持されてなる結合体2が、箱状に構成されたケース3の内部に収容されている。
図1等で示すケース3は、主に樹脂材料によって構成され、全体として直方体状の箱状形態をなしており、下方側が開放した上側ケース3aと、上方側が開放した下側ケース3bとが連結した構成となっている。
【0029】
本構成では、後述する回路基板5の厚さ方向(回路基板5の板面5a,5b(
図15)と直交する方向)を上下方向とし、この回路基板5の一方の板面5aが面する側を上方とし、他方の板面5bが面する側を下方としている。なお、板面5bは、ホルダ30の上端部側によって支持される板面である。
【0030】
回路基板5は、公知の方法で製造された電子回路基板として構成されており、樹脂材料やセラミック材料などによって構成された板状の基板部に、配線パターンが形成されたり、各種電子部品などが実装されたりしている。なお、板面5aはその基板部の一方の板面であり、板面5bは、その基板部の他方の板面である。
図3、
図5、
図6等で示す例では、回路基板5は、ホルダ30の上端部付近に取り付けられ、ケース3の上面部と対向するように配置される。
【0031】
アンテナ7は、例えば、金属材料等によって構成され、例えば板状の形態をなしており、
図4、
図7等で示す例では、ホルダ30の下端部付近に取り付けられ、ケース3の下面部と対向するように配置される。
【0032】
ホルダ30は、主として、基板保持部32と、枠部34と、接続部36とによって構成されている。基板保持部32は、ホルダ30の中心付近に配置され、重要部品が保持されるコア部として機能しており、少なくとも回路基板5やアンテナ7が固定される構成となっている。枠部34は、衝撃を吸収するダンパ部としての機能を有しており、基板保持部32の周囲において基板保持部32とケース3との間に介在して配置されている。そして、接続部36は、基板保持部32と枠部34とを連結して接続するように機能している。なお、本構成では、基板保持部32と、枠部34と、接続部36とが同一の樹脂材料によって構成されており、例えば、公知の一体成型などによって一体的に形成されている。
【0033】
基板保持部32は、
図3、
図6のように、平面視矩形状に構成されており、
図3のように、多数の開口部が形成された板状の底部34aの上面部からリブ状の立ち上がり壁32bが立ち上がるように形成されている。そして、底部34bの周縁部から立ち上がるように環状の周壁部32cが形成されている。そして、周壁部32及び他と上がり壁32bの上端部側に保持されるように回路基板5が取り付けられている。
【0034】
枠部34は、
図3、
図6のように、基板保持部32の周囲を環状に囲う構成で配置されている。この枠部34は、角部αを4つ備えた形で矩形枠状に構成されており、
図6のように、平面視したときの全体が四角形状の枠体となっている。この枠体34は、基板保持部32の外側に距離を隔てて配置されており、ホルダ30において、枠部34の内周面と基板保持部32の外周面との間には空間が構成されるようになっている。
【0035】
図6で示すように、枠部34は、異なる方向にそれぞれ延びる2つの板状部40が連結されてなる角部αが複数設けられており、枠部34における基板保持部32側とは反対側の外壁部には、基板保持部32側とは反対側に突出する構成で凸部80が設けられている。そして、
図5のように、これら凸部80がケース3の内壁部と対向するように配置されている。
【0036】
より具体的には、
図3、
図6のように、4つの板状部40として、板状部41、42、43、44がそれぞれ上下方向に立ち上がるように設けられている。板状部41、42は、横方向(Z軸方向)に延びており、板状部43、44は、前後方向(X軸方向)に延びており、これら4つの板状部41、42、43、44が枠状に連結された形で枠部34が構成されている。そして、板状部41と板状部44の間の角部αには、凸部80としての、凸部81a,81bが形成されており、板状部44と板状部42の間の角部αには、凸部80としての、凸部82a,82bが形成されており、板状部42と板状部43の間の角部αには、凸部80としての、凸部83a,83bが形成されており、板状部43と板状部41の間の角部αには、凸部80としての、凸部84a,84bが形成されている。
【0037】
図3〜
図7で示すように、このように構成される枠部34には、複数の衝撃緩和部38が設けられている。これらの衝撃緩和部38は、ケース3側から結合体2側に伝わる衝撃を緩和するように機能し得る部分である。なお、
図3等の例では、複数の衝撃緩和部38として、4つの衝撃緩和部61、62、63、64が各々の角部αにそれぞれ設けられている。各々の衝撃緩和部38(4つの衝撃緩和部61、62、63、64)はいずれも、ケース3によって支持される部位(支持対象部)としての凸部80と、枠部34において切欠き形状で構成されたスリット90と、枠部34においてスリット90の空間に隣接して配置されると共に弾性変形可能に構成された撓み変形部70(弾性変形可能なバネ部)とを備えている。そして、いずれの衝撃緩和部38においても、ケース3から枠部34に伝わる衝撃を撓み変形部70(バネ部)の弾性変形によって緩和する構成となっている。具体的には、枠部34に形成された各々の衝撃緩和部38は、凸部80(支持対象部)と一体的に連結された形で撓み変形部70(バネ部)が設けられており、例えば、ケース3から凸部80に加えられた衝撃がこれに連結された撓み変形部70の弾性変形によって吸収されるようになっている。
【0038】
各々の衝撃緩和部38(4つの衝撃緩和部61、62、63、64)はいずれも、一対のスリット90を備えており、これらの一対のスリット90における両空間の間に配置された形で撓み変形部70が設けられている。より具体的には、各々の角部αにおいて、各々の角部αを構成する一方の板状部40からそれに隣接する他方の板状部40に連続的に続く構成且つ上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で2つのスリット90が対をなして形成されている。そして、各々の角部αに設けられた撓み変形部70は、各々の角部αを構成する一方の板状部40の一部と他方の板状部40の一部とが連結された構成をなし、且つ一対のスリット90間の位置において上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で配置されている。
【0039】
例えば、
図3、
図8〜
図11等で示すように、衝撃緩和部61において、一対のスリット90としてのスリット91a,91bが形成されており、これらの一対のスリット91a,91bにおける両空間の間に配置された形で撓み変形部71が設けられている。そして、一方の板状部41からそれに隣接する他方の板状部44に連続的に続く構成且つ上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で2つのスリット91a,91bが対をなして形成されている。そして、撓み変形部71は、一方の板状部41の一部と他方の板状部44の一部とが連結された構成をなし、且つ一対のスリット91a,91b間の位置において上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で配置されている。
【0040】
同様に、衝撃緩和部62において、一対のスリット90としてのスリット92a,92bが形成されており、これらの一対のスリット92a,92bにおける両空間の間に配置された形で撓み変形部72が設けられている。そして、一方の板状部44からそれに隣接する他方の板状部42に連続的に続く構成且つ上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で2つのスリット92a,92bが対をなして形成されている。そして、撓み変形部72は、一方の板状部44の一部と他方の板状部42の一部とが連結された構成をなし、且つ一対のスリット92a,92b間の位置において上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で配置されている。
【0041】
更に、衝撃緩和部63において、一対のスリット90としてのスリット93a,93bが形成されており、これらの一対のスリット93a,93bにおける両空間の間に配置された形で撓み変形部73が設けられている。そして、一方の板状部42からそれに隣接する他方の板状部43に連続的に続く構成且つ上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で2つのスリット93a,93bが対をなして形成されている。そして、撓み変形部73は、一方の板状部42の一部と他方の板状部43の一部とが連結された構成をなし、且つ一対のスリット93a,93b間の位置において上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で配置されている。
【0042】
また、衝撃緩和部64において、一対のスリット90としてのスリット94a,94bが形成されており、これらの一対のスリット94a,94bにおける両空間の間に配置された形で撓み変形部74が設けられている。そして、一方の板状部43からそれに隣接する他方の板状部41に連続的に続く構成且つ上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で2つのスリット94a,94bが対をなして形成されている。そして、撓み変形部74は、一方の板状部43の一部と他方の板状部41の一部とが連結された構成をなし、且つ一対のスリット94a,94b間の位置において上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で配置されている。
【0043】
なお、
図8〜
図11等で示すように、いずれのスリット90も、所定幅の溝として形成され、回路基板5の板面の方向と平行な平面方向に沿って延びている。そして、結合体2の上端部とケース3の上壁部における内側の板面との間の上下方向の最小間隔、及び結合体2の下端部とケース3の下壁部における内側の板面との間の上下方向の最小間隔は、いずれもスリット90の幅よりも大きくなっている。
【0044】
上述したように、4つの角部αにそれぞれ設けられた各々の撓み変形部70(撓み変形部71、72、73、74)には、各々の撓み変形部70をそれぞれ構成する2つの板状部40の向きに対して傾斜した方向且つケース3の内壁面側に延びる突出部(凸部80)がそれぞれ形成されており、これらの突出部(凸部80)がケース3に保持される構成となっている。
【0045】
例えば、
図5、
図12、
図13等で示すように、撓み変形部71には、板状部41、44の延びる方向に対して傾斜した形で延びる凸部81a、81bが形成されており、これら凸部81a、81bがケース3に形成された溝部101a,101b(リブ状部の一部を切り欠いてなる溝部)内に嵌り込み(
図5)、これにより、凸部81a、81bの下端側がケース3の下側ケース3bによって支持される。一方、凸部81a、81bの上端側は、上側ケース3aの一部によって抑え込まれ、このようにして、凸部81a、81bの突出方向の一部がケース3によって上下に挟み込まれた状態となる。なお、
図16では、凸部81aを挟み込む部分の断面構造を概念的に示しており、上側ケース3aに形成された押圧壁111aと下側ケース3bに形成された溝部101aとの挟み込みによって凸部81aがケース3に保持され、このような挟み込み構造がいずれの凸部80に対してもなされている。
【0046】
同様に、撓み変形部72には、板状部44、42の延びる方向に対して傾斜した形で延びる凸部82a、82bが形成され、これら凸部82a、82bがケース3に形成された溝部102a,102b(リブ状部の一部を切り欠いてなる溝部)内に嵌り込み(
図5)、これにより、凸部82a、82bの下端側がケース3の下側ケース3bによって支持される。そして、凸部82a、82bの上端側は、上側ケース3aの一部によって抑え込まれ、凸部82a、82bの突出方向の一部がケース3によって上下に挟み込まれた状態となる。更に、撓み変形部73には、板状部42、43の延びる方向に対して傾斜した形で延びる凸部83a、83bが形成され、これら凸部83a、83bがケース3に形成された溝部103a,103b(リブ状部の一部を切り欠いてなる溝部)内に嵌り込み(
図5)、これにより、凸部83a、83bの下端側がケース3の下側ケース3bによって支持される。そして、凸部83a、83bの上端側は、上側ケース3aの一部によって抑え込まれ、凸部83a、83bの突出方向の一部がケース3によって上下に挟み込まれた状態となる。また、撓み変形部74には、板状部43、41の延びる方向に対して傾斜した形で延びる凸部84a、84bが形成され、これら凸部84a、84bがケース3に形成された溝部104a,104b(リブ状部の一部を切り欠いてなる溝部)内に嵌り込み(
図5)、これにより、凸部84a、85bの下端側がケース3の下側ケース3bによって支持される。そして、凸部84a、84bの上端側は、上側ケース3aの一部によって抑え込まれ、凸部84a、84bの突出方向の一部がケース3によって上下に挟み込まれた状態となる。
【0047】
衝撃緩和部38は、枠部34においてケース3側に突出して形成されると共にケース3によって保持される部位となる保持対象部と、枠部34において保持対象部に連結された形で設けられるバネ部(撓み変形部70)とを備えている。そして、ケース3は、当該ケース3の外殻をなすケース本体部3cと、ケース本体部3cの内側に連結されると共に結合体2を保持する部位となる保持部3dと、を備えており、回路基板5の板面と直交する方向を上下方向とした場合、保持部3dは、保持対象部の一部を上下に挟み込んで保持する構成となっている。
【0048】
そして、このように枠部34に形成されたスリット90、撓み変形部70、凸部80に対し、各々の接続部36は、凸部80(支持対象部)及び撓み変形部70(バネ部)から離れた部位と、基板保持部32とを接続する構成で配置されている。具体的には、
図8〜
図11等で示すように、枠部34におけるスリット90(スリット91a,91b、92a,92b、93a,93b、94a,94b)の形成領域から外れた部分と、基板保持部32とを接続する構成で各々の接続部36が設けられている。
【0049】
(本構成の効果の例)
上述した読取装置1では、回路基板5がホルダ30に保持されてなる結合体2がケース3に収容された構成となっている。そして、ホルダ30には、回路基板5が固定される基板保持部32と、基板保持部32の周囲において基板保持部32とケース3との間に介在して配置される枠部34と、基板保持部32と枠部34とを接続する接続部36と、ケース3側から結合体2側に伝わる衝撃を緩和可能な衝撃緩和部38とが設けられている。このように、回路基板5を基板保持部32によって保持し、その基板保持部32の周囲に枠部34を配置した構成とすれば、振動や衝撃などが生じた場合に、枠部34の外側の部品が回路基板5付近に干渉しにくくなる。例えば、装置の外部からの衝撃などによってケース3に変形が生じた場合に、その変形部位が基板保持部32側に及ぶ前に枠部34に当てて守りやすいため、基板保持部32に保持される回路基板5等を効果的に保護することができる。更に、ホルダ30において衝撃緩和部38が設けられ、ケース3側から結合体2側に伝わろうとする衝撃や振動などが緩和されやすくなっているため、枠部34の外側部品の直接的な干渉(接触等)だけでなく、結合体2を介して伝搬する衝撃や振動などについても抑えやすくなる。
【0050】
また、本構成では、衝撃緩和部38が、弾性変形可能なバネ部(撓み変形部70)を備えており、ケース3から枠部34に伝わる衝撃をバネ部(撓み変形部70)の弾性変形によって緩和する構成となっている。この構成によれば、ケース3から伝わる衝撃や振動をバネ部(撓み変形部70)による弾性変形によってより効果的に吸収することができ、基板保持部32付近への影響をより小さくすることができる。
【0051】
また、本構成では、
図3〜
図5等で示すように、枠部34が、基板保持部32の周囲を環状に囲う構成で配置されており、当該枠部34の内周面と基板保持部32の外周面との間に空間が構成されている。このように、基板保持部32の周囲を囲うように環状に枠部34を配置すれば、基板保持部32の周囲にわたって基板保持部32を守るように機能するため、より万遍なく基板保持部32を保護することができる。しかも、環状に構成された枠部34と基板保持部32との間に空間が構成されているため、仮に、外部衝撃等によってケース3が変形した際にケース3の一部が枠部34に衝突し、枠部34が撓んだとしても、空間内で撓む限りは枠部34が基板保持部32と干渉しにくくなる。また、ケース3の一部が枠部34に衝突し、枠部34が撓んだ場合、この枠部34が空間内で変位している間に衝撃力を吸収する効果が確実に生じるため、万が一、撓んだ枠部34が基板保持部32にまで達して接触したとしても、その接触時に基板保持部32が強い力で押されにくくなる。
【0052】
また、本構成では、
図5等で示すように、枠部34における基板保持部32側とは反対側の外壁部において、基板保持部32側とは反対側に突出する凸部80が設けられており、この凸部80がケース3の内壁部と対向して配置されている。このように枠部34の外壁部に凸部80を設け、この凸部80をケース3の内壁部と対向させた構成とすれば、外部衝撃などによってケース3に変形が生じた際に、ケース3が凸部80付近に当たりやすくなり、凸部80以外への干渉を抑制しやすくなる。
【0053】
また、本構成では、衝撃緩和部38が、枠部34に形成されると共にケース3によって支持される部位となる支持対象部(凸部80)と、枠部34において支持対象部(凸部80)に連結された形で設けられるバネ部(撓み変形部70)とを備えている。そして、接続部36は、枠部34における支持対象部(凸部80)及びバネ部(撓み変形部70)から離れた部位と、基板保持部32とを接続する構成で配置されている。この構成では、少なくとも枠部34がケース3に支持された構成となるため、基板保持部32のみがケース3に支持される構成と比較して、ケース3から基板保持部32に伝わる振動や衝撃などを抑えやすくなる。しかも、支持対象部(凸部80)に連結された形でバネ部(撓み変形部70)が設けられ、支持対象部(凸部80)及びバネ部(撓み変形部70)から離れた部位を接続する形で接続部36が設けられているため、ケース3から支持対象部(凸部80)に伝わった衝撃や振動が接続部36に至る前に緩和されやすくなり、接続部36やこれに連結された基板保持部32に対する振動や衝撃等をより一層抑えやすくなる。
【0054】
また、衝撃緩和部38は、枠部34において切欠き形状で構成されたスリット90と、枠部34においてスリット90の空間に隣接して配置されると共に弾性変形可能に構成された撓み変形部70と、を備えている。そして、ケース3から枠部34に伝わる衝撃を撓み変形部70の弾性変形によって緩和する。この構成によれば、切欠き形状のスリット90とそれに隣接する撓み変形部70という簡易な構成で、衝撃や振動等を効果的に緩和し得る構造を実現できる。しかも、切欠き形状のスリット90が基板保持部32ではなく枠部34に形成されているため、このスリット90によっては基板保持部32の剛性が低下しにくく、回路基板5付近の剛性を高く保ちやすくなる。
【0055】
また、衝撃緩和部38が、枠部34に形成された一対のスリット90を備えており、撓み変形部70は、一対のスリット90における両空間の間に配置されている。この構成によれば、一対のスリット90の間に撓み変形部70を設けるという簡易な構成によって、より撓み変形が生じやすく、衝撃緩和効果が高い構造を実現できる。
【0056】
また、
図3等で示すように、枠部34において、異なる方向にそれぞれ延びる2つの板状部40が連結されてなる角部αが複数設けられており、各々の角部αには、各々の角部αを構成する一方の板状部40からそれに隣接する他方の板状部40に連続的に続く構成で折れ曲がり状にスリット90が構成されている。そして、各々の角部αに設けられた撓み変形部70は、各々の角部αを構成する一方の板状部40の一部と他方の板状部40の一部とが連結された構成をなし、且つ折れ曲がり状のスリット90の空間に隣接する位置に折れ曲がり状に配置されている。この構成によれば、衝撃が加わりやすい角部α付近の衝撃緩和効果を簡易な構成によって確実に高めることができる。しかも、スリット90が折れ曲がり状に構成され、撓み変形部70が折れ曲がり状に配置されているため、このスリット90及び撓み変形部70を構成する一方の板状部40が延びる方向に力が加わった場合でも、他方の板状部40が延びる方向に力が加わった場合でも、両板状部40が延びる方向に対して斜めに力が加わった場合でも、撓み変形部70が弾性変形しやすくなる。従って、様々な方向の衝撃を効果的に吸収することが可能となり、対応しきれない衝撃の向きがより少なくなる。
【0057】
より具体的には、
図3等で示すように、枠部34は、角部αを4つ備えた矩形枠状に構成され、回路基板5の板面と直交する方向を上下方向とした場合、各々の角部αには、各々の角部αを構成する一方の板状部40からそれに隣接する他方の板状部40に連続的に続く構成且つ上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で2つのスリット90が対をなして形成されている。そして、各々の角部αに設けられた撓み変形部70は、各々の角部αを構成する一方の板状部40の一部と他方の板状部40の一部とが連結された構成をなし、且つ一対のスリット90間の位置において上下方向と直交する平面方向に沿って折れ曲がり状に延びる構成で配置されている。更に、4つの角部αにそれぞれ設けられた各々の撓み変形部70には、各々の撓み変形部70をそれぞれ構成する2つの板状部40の向きに対して傾斜した方向且つケース3の内壁面側に延びる突出部がそれぞれ形成されており、各々の突出部がケース3に保持される構成となっている。この構成によれば、矩形枠状に構成された枠部34において、衝撃が加わり易く応力が集中しやすい4つの角部αのいずれについても、簡易な構成によって衝撃を効果的に緩和しうる構造とすることができる。
【0058】
また、いずれの角部αにおいても、スリット90が折れ曲がり状に構成され、撓み変形部70が折れ曲がり状に構成されている。このため、いずれの角部αにおいても、一方の板状部40が延びる方向に力が加わった場合でも、他方の板状部40が延びる方向に力が加わった場合でも、両板状部40が延びる方向に対して斜めに力が加わった場合でも、撓み変形部70が弾性変形しやすくなる。つまり、いずれの角部αにおいても、様々な方向の衝撃を効果的に吸収することが可能となり、枠部34全体として対応しきれない衝撃の種類がより一層少なくなる。
【0059】
更に、各々の角部α付近で折れ曲がり状に構成された各々の撓み変形部70には、板状部40の向きに対して傾斜した向きの突出部(凸部80)がケース3の内壁面側に延びる構成で配置されているため、外部衝撃などによってケース3に変形が生じた際に、ケース3が突出部(凸部80)に当たりやすくなり、ケース3の変形をより撓み変形部70で受けやすくなる。しかも、突出部(凸部80)は、2つの板状部40に対して傾斜した向きに突出しているため、ケース3の変形により、突出部(凸部80)の先端部付近に対していずれの板状部40の向きに力が加わった場合でも、突出部(凸部80)を回転させようとする作用が生じやすく、この作用によって、折れ曲がり状に構成された撓み変形部70の各延出部位を曲げようとする力が加わりやすくなる。つまり、突出部(凸部80)の先端付近に対し、ケース3から当該突出部(凸部80)に近いいずれの板状部40の向きに力が加わった場合でも、撓み変形部70側を基端部とする突出部(凸部80)の回転作用によって、撓み変形部70で衝撃を吸収しやすい向きの力に変換されやすいため、より効果的に衝撃を吸収することができる。
【0060】
例えば、
図14のように、凸部81a、81b(突出部)は、2つの板状部41、44に対して傾斜した向きに突出しているため、ケース3の変形により、凸部81a、81b(突出部)の先端部付近に対して板状部41、44のいずれの向きに力が加わった場合でも、突出部(凸部80)を回転させようとする作用が生じやすくなる。例えば、ケース3の変形によって板状部41の向きに沿った方向の力Fz1が凸部81aに加わった場合、この凸部81aが時計回りに回転しやすく、これにより、折れ曲がり状に構成された撓み変形部70がZ1,Z2のように変形しやすくなる。また、ケース3の変形によって板状部44の向きに沿った方向の力Fx1が凸部81aに加わった場合、この凸部81aが反時計回りに回転しやすく、これにより、折れ曲がり状に構成された撓み変形部70がX1,X2のように変形しやすくなる。また、凸部81aの先端部に対して凸部81aの突出方向とは反対向きの力Faが加わった場合、この力の向きに対して斜めに配置された撓み変形部71の延出部分が変形しやすくなる。このように、撓み変形部71で衝撃を吸収しやすい向きの力に変換されやすいため、より効果的に衝撃を吸収することができる。
【0061】
また、接続部36は、枠部34におけるスリット90の形成領域から外れた部分と、基板保持部32とを接続する構成で設けられている。この構成によれば、簡易な構成で衝撃緩和効果を高めつつ、衝撃緩和に大きく寄与する部分(撓み変形部70)の変位や振動を、接続部36や基板保持部32により伝わりにくくすることができる。
【0062】
また、スリット90が、所定幅の溝として形成され、回路基板5の板面の方向と平行な平面方向に沿って延びている(特に、
図15を参照)。この構成によれば、少なくともスリット90間隔を大きくさせたり、小さくさせたりするような変形や復帰が生じやすく、少なくとも回路基板5の板面5a、5bと直交する向きの力がスリット90付近で吸収されやすくなるため、特に回路基板5に撓みを生じさせる向きの力が抑制されやすくなる。
【0063】
また、回路基板5の板面と直交する方向を上下方向とした場合、結合体2の上端部とケース3の上壁部における内側の板面との間の上下方向の最小間隔、及び結合体2の下端部とケース3の下壁部における内側の板面との間の上下方向の最小間隔が、いずれもスリット90の幅よりも大きくなっている。この構成では、結合体2全体がスリット90の幅程度に上方に相対移動したり、下方に相対移動したとしても、結合体2がケース3の上壁部や下壁部に接触しにくいため、相対移動に起因するケース3との接触を防ぎやすく、回路基板5などがより一層保護されやすくなる。
【0064】
また、衝撃緩和部38は、枠部34においてケース3側に突出して形成されると共にケース3によって保持される部位となる保持対象部(凸部80)と、枠部34において保持対象部に連結された形で設けられるバネ部(撓み変形部70)とを備えている。そして、ケース3は、当該ケース3の外殻をなすケース本体部3cと、ケース本体部3cの内側に連結されると共に結合体2を保持する部位となる保持部3dと、を備えており、回路基板5の板面と直交する方向を上下方向とした場合、保持部3dは、保持対象部(凸部80)の一部を上下に挟み込んで保持する構成となっている。このように、枠部34において突出構造で設けられた部分をケース3の一部によって挟み込むような保持構造とすれば、ケース3に変形等が生じた場合に、保持部3bに対して保持対象部が揺動しやすく、このような相対変位によって力を逃がしやすくなるため、衝撃吸収効果が一層高まる。
【0065】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0066】
上記実施形態では、非接触通信装置として構成される読取装置1を例示したが、このような例に限られない。例えば、読取装置1は、情報コード読取装置などとして構成されていてもよく、情報コードの読み取り機能と、非接触通信媒体の読み取り機能とを共に有している装置であってもよい。
【0067】
上記実施形態では、据置方式としても携帯方式としても使用できる読取装置1を例示したが、このような例に限られない。例えば、読取装置1が据置方式としてのみ使用されるものであってもよく、携帯方式としてのみ使用されるものであってもよい。
【0068】
上記実施形態では、衝撃緩和部が枠部にのみ設けられた例を示したが、衝撃緩和部が基板保持部にのみ設けられていてもよい。例えば、基板保持部の上端部付近や下端部付近に弾性変形可能なバネ部を設け、ケースの変形時等において、ケースから基板保持部に伝わる衝撃をバネ部の弾性変形によって緩和する構成としてもよい。この場合、上述した衝撃緩和部38と同様のバネ構造を基板保持部の上端部付近や下端部付近に設けて凸部80をケース内壁面に接触或いは近接させたりしてもよく、その他の公知のバネ構造を基板保持部の上端部付近や下端部付近に設けてース内壁面に接触或いは近接させてもよい。また、これらの例に限られず、例えば、枠部と基板保持部の両方に衝撃緩和部が設けられていてもよい。