特許第6375983号(P6375983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6375983活性エネルギー線硬化型塗料組成物、およびプラスチック成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6375983
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型塗料組成物、およびプラスチック成形体
(51)【国際特許分類】
   C09D 167/00 20060101AFI20180813BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20180813BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   C09D167/00
   C09D4/02
   C08J7/04 ACER
   C08J7/04CEZ
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-26604(P2015-26604)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-147994(P2016-147994A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000224123
【氏名又は名称】藤倉化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆
(72)【発明者】
【氏名】高野 敦俊
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−017285(JP,A)
【文献】 特公昭49−008926(JP,B1)
【文献】 特開平01−261410(JP,A)
【文献】 特開昭47−008191(JP,A)
【文献】 特開2008−094866(JP,A)
【文献】 特開2008−303302(JP,A)
【文献】 特開2009−024104(JP,A)
【文献】 特開2010−229281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
C08J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が1800以上であり、ガラス転移点が0〜70℃であるポリエステル樹脂(A)と、アクリルアミド系単量体(B)と、2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)とを含有し、
前記ポリエステル樹脂(A)とアクリルアミド系単量体(B)との質量比((A)/(B))が30/70〜70/30である、活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項2】
前記ポリエステル樹脂(A)およびアクリルアミド系単量体(B)の含有量の合計100質量部に対して、2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)の含有量が5〜25質量部である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物がプラスチック基材に塗工された、プラスチック成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物、およびプラスチック成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック基材は、光学フィルムやフレキシブルプリント回路基板等に使用される。
一般的に、プラスチック基材は表面が傷つきやすいため、表面の保護やスペーサーとしての機能を付与することを目的として、プラスチック基材の表面には塗膜が形成される場合が多い。
【0003】
プラスチック基材用の塗料としては、従来、溶剤型の塗料が用いられていた。
しかし、溶剤型の塗料は、プラスチック基材に塗工した後に加熱乾燥して溶剤を除去する必要があった。そのため、溶剤の除去に手間や時間がかかり、生産性に劣るものであった。また、加熱することでプラスチック基材が変形する恐れもあった。
【0004】
そこで、紫外線等の活性エネルギー線により硬化が可能な塗料が提案されている。
例えば、特許文献1には、(メタ)アクリル系モノマーと、光重合開始剤と、ポリエステル樹脂とを含有する紫外線硬化性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
ところで、プラスチック基材は塗膜が付着しにくい傾向にある。そこで、付着性に優れた塗膜を形成するために、高分子量のポリエステル樹脂が用いられている。
しかし、高分子量のポリエステル樹脂は、通常、固形であるか粘度が高いため、塗工作業性に劣る。そのため、特許文献1に記載のような紫外線硬化型塗料に高分子量のポリエステル樹脂を用いる場合には溶剤で希釈する必要があり、結局、溶剤の除去に手間や時間がかかり、生産性が低下することとなる。
【0006】
生産性等の問題を解決するためには、塗料を無溶剤とする必要がある。しかし、上述したように高分子量のポリエステル樹脂は固形または高粘度であるため、そのまま使用するには塗工作業性に劣る。
そこで、溶剤の代わる材料として、テトラヒドロキシフルフリルアクリレート(THF−A)や、アクリロイルモルフォリン(ACMO)等のモノマーが着目されている。これらモノマーを溶剤の代わりに用いれば、塗工性を確保しつつ、溶剤を除去する手間を省ける。
【0007】
しかし、THF−AやACMOは、溶剤に比べて高分子量のポリエステル樹脂の溶解力が弱い。そのため、経時変化により塗料中に高分子量のポリエステル樹脂が析出したり、形成される塗膜の透明性が低下したりしやすかった。ポリエステル樹脂の溶解力を上げるためには、THF−AやACMOの配合量を増やせばよいが、これらモノマーの配合量を増やすと形成される塗膜の付着性や耐湿性等の物性が低下しやすかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−155246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、付着性、透明性、耐湿性に優れた塗膜を生産性よく形成でき、貯蔵安定性にも優れた活性エネルギー線硬化型塗料組成物、およびプラスチック成形体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 数平均分子量が1800以上であり、ガラス転移点が0〜70℃であるポリエステル樹脂(A)と、アクリルアミド系単量体(B)と、2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)とを含有し、前記ポリエステル樹脂(A)とアクリルアミド系単量体(B)との質量比((A)/(B))が30/70〜70/30である、活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
[2] 前記ポリエステル樹脂(A)およびアクリルアミド系単量体(B)の含有量の合計100質量部に対して、2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)の含有量が5〜25質量部である、[1]に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
[3] [1]または[2]に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物がプラスチック基材に塗工された、プラスチック成形体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、付着性、透明性、耐湿性に優れた塗膜を生産性よく形成でき、貯蔵安定性にも優れた活性エネルギー線硬化型塗料組成物、およびプラスチック成形体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明において、「塗膜」とは、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物より形成された塗膜のことである。
また、「透明」とは、全光線透過率が80%以上であることを意味し、無色透明であってもよく、有色透明であってもよい。
また、「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、ガンマ線などを意味する。
また、「溶剤」とは、揮発性を有し、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性官能基を持たない化合物のことをいう。
また、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートおよびアクリレートの総称である。
【0013】
[活性エネルギー線硬化型塗料組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物(以下、単に「塗料組成物」ともいう。)は、活性エネルギー線の照射により硬化するものであり、ポリエステル樹脂(A)と、アクリルアミド系単量体(B)と、2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)とを含有する。
【0014】
<ポリエステル樹脂(A)>
ポリエステル樹脂(A)は、ジカルボン酸成分とジオール成分とが縮合重合したものである。
ジカルボン酸成分としては、例えばマイレン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸などや、これらの酸無水物または低級アルコールエステルなどが挙げられる。
ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチロールベンゼン、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0015】
ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は1800以上であり、5000〜30000が好ましく、5000〜25000がより好ましい。ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が1800以上であれば、塗膜の耐湿性が向上し、耐湿性試験を行っても塗膜が白化しにくく、透明性を良好に維持できる。また、塗膜にタックが残りにくい。特に、ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が30000以下であれば、アクリルアミド系単量体(B)に対する溶解性がより高まり、溶け残りが生じにくく、貯蔵安定性に優れた塗料組成物が得られやすくなる。また、塗膜の平滑性も良好となる。
ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定される値である。具体的には、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、流速1.0mL/分の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定し、ポリスチレン換算した値を数平均分子量とする。
【0016】
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移点(Tg)は0〜70℃であり、20〜65℃が好ましく、40〜65℃がより好ましい。ポリエステル樹脂(A)のガラス転移点が0℃以上であれば、塗膜にタックが残りにくい。また、付着性試験を行っても凝集破壊が起こりにくい。一方、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移点が70℃以下であれば、基材(特にプラスチック基材)に対する塗膜の付着性が高まる。また、アクリルアミド系単量体(B)に対する溶解性が高まり、溶け残りが生じにくく、貯蔵安定性に優れた塗料組成物が得られる。
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移点は、JIS K 7121に準拠して測定される。具体的には、示差走査熱量計を用い、予測されるポリエステル樹脂(A)のガラス転移点(予測温度)より約50℃高い温度で10分加熱した後、予測温度より50℃低い温度まで冷却して前処理し、その後、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて昇温して吸熱開始点温度を測定し、これをガラス転移点とする。
【0017】
ポリエステル樹脂(A)の含有量は、塗料組成物100質量%中、20〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。ポリエステル樹脂(A)の含有量が20質量%以上であれば、基材(特にプラスチック基材)に対する塗膜の付着性が高まる。一方、ポリエステル樹脂(A)の含有量が70質量%以下であれば、後述のアクリルアミド系単量体(B)への溶解性がより良好なものとなる。
【0018】
<アクリルアミド系単量体(B)>
アクリルアミド系単量体(B)は、ポリエステル樹脂(A)を溶解させる成分である。
アクリルアミド系単量体(B)としては、アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のN−アルキルアクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のN,N−ジアルキルアクリルアミド;N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド;N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキルアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂(A)の溶解性に特に優れる点でN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドが好ましい。その中でも特に、取扱性にも優れる点でN−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドがより好ましい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
アクリルアミド系単量体(B)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)との質量比((A)/(B))が30/70〜70/30となる量であり、40/60〜60/40となる量が好ましい。ポリエステル樹脂(A)の割合が少ないと基材に対する塗膜の付着性、耐湿性、折り曲げ性が低下する。一方、アクリルアミド系単量体(B)の割合が少ないとポリエステル樹脂(A)が溶け残ってしまい、貯蔵安定性が低下する。
【0020】
<2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)>
2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)は、塗膜のタックを抑えたり、凝集破壊を防止したりする成分である。
2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、1,3ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジメチロールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)およびアクリルアミド系単量体(B)の含有量の合計100質量部に対して、5〜25質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)の含有量が5質量部以上であれば、塗膜にタックが残りにくくなる。また、付着性試験を行っても凝集破壊が起こりにくい。一方、2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)の含有量が25質量部以下であれば、基材に対する塗膜の付着性がより向上する。また、塗膜の折り曲げ性を良好に維持でき、塗膜を折り曲げても折り目に白化が発生したり塗膜が割れたりしにくい。
【0022】
<任意成分>
本発明の塗料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上述した成分以外の成分(他の成分)が含まれていてもよい。
他の成分としては、3官能以上の(メタ)アクリル系単量体、光重合開始剤、添加剤などが挙げられる。
【0023】
3官能以上の(メタ)アクリル系単量体としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
3官能以上の(メタ)アクリル系単量体の含有量は、ポリエステル樹脂(A)およびアクリルアミド系単量体(B)の含有量の合計100質量部に対して、20質量部以下が好ましい。3官能以上の(メタ)アクリル系単量体の含有量が20質量部以下であれば、塗膜の折り曲げ性を低下させることなく、塗膜のタックを抑えることができる。
【0024】
本発明の塗料組成物を紫外線の照射により硬化させる場合、塗料組成物には、通常、光重合開始剤が含まれる。
光重合開始剤としては紫外線照射によりラジカルを発生するものであれば制限されず、例えば、一般に市販されているイルガキュア127、イルガキュア1173、イルガキュア184、イルガキュア149、イルガキュア651、イルガキュア907、イルガキュア754、イルガキュア819、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア1800、イルガキュア754、ルシリンTPO(以上、BASFジャパン社製);カヤキュアDETX−S、カヤキュアEPA、カヤキュアDMBI(以上、日本化薬株式会社製)などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、ポリエステル樹脂(A)およびアクリルアミド系単量体(B)の含有量の合計100質量部に対して、1.0〜20.0質量部が好ましく、1.5〜5.0質量部がより好ましい。光重合開始剤の含有量が1.0質量部以上であれば、紫外線照射によって十分な硬度の塗膜を得ることができる。一方、光重合開始剤の含有量が20.0重量部を超えると硬化性の低下は見られないものの必要以上に用いることになるから経済的に不利となる。
【0025】
また、光重合開始剤を含有させる際には、光増感剤や光促進剤をさらに添加することもできる。
なお、電子線やガンマ線の照射により硬化させる場合、塗料組成物には重合開始剤が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0026】
添加剤としては、例えば充填剤、可塑剤、表面調整剤、分散剤、塗面調製剤、界面活性剤、光安定剤、酸化防止剤、増粘剤、揺変剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光輝剤などが挙げられる。
【0027】
また、本発明の塗料組成物には、アクリルアミド系単量体(B)以外の単官能モノマー(他の単官能モノマー)が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
他の単官能モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロキシフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリンなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の単官能モノマーの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば特に制限されないが、塗膜のタックを抑える観点から、ポリエステル樹脂(A)およびアクリルアミド系単量体(B)の含有量の合計100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、他の単官能モノマーを含まないことが特に好ましい。
【0028】
また、本発明の塗料組成物は、ポリエステル樹脂(A)を溶解させる成分としてアクリルアミド系単量体(B)を含有するので溶剤を含む必要がないが、若干量の溶剤を含んでいてもよい。
溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸メチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールジエチルエーテル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系溶剤;トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール系溶剤などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤の含有量は、塗料組成物を基材に塗工した後に加熱乾燥を必要としない程度の量であり、具体的には塗料組成物100質量%中、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、溶剤を含まないことが特に好ましい。
【0029】
また、本発明の塗料組成物は、顔料成分もしくは染料成分によって着色されていてもよい。ただし、塗料組成物を紫外線の照射により硬化させる場合は、UVA(315〜380nm)、UVB(280〜315nm)、UVC(200〜280nm)の各波長において、塗膜の膜厚1μm当たり10%以上の透過率を有することが好ましい。
【0030】
<作用効果>
以上説明した本発明の塗料組成物は特定のポリエステル樹脂(A)を含有するので、基材(特にプラスチック基材)に対する付着性、耐湿性に優れた塗膜を形成できる。
また、本発明の塗料組成物は特定量のアクリルアミド系単量体(B)を含有する。アクリルアミド系単量体(B)はポリエステル樹脂(A)の溶解力に優れるので、経時変化により塗料中に高分子量のポリエステル樹脂が析出したり、形成される塗膜の透明性が低下したりしにくい。また、アクリルアミド系単量体(B)の配合量を必要以上に増やさなくても優れた溶解力を示すので、塗膜の付着性や耐湿性等の物性を良好に維持できる。
また、本発明の塗料組成物は、アクリルアミド系単量体(B)によってポリエステル樹脂(A)を溶解させるので溶剤を配合する必要がなく、無溶剤型とすることができる。よって、加熱乾燥して溶剤を除去する必要がないため、生産性よく塗膜を形成できる。しかも、加熱によるプラスチック基材の変形も抑制できる。
このように、本発明の塗料組成物は、貯蔵安定性に優れ、付着性、透明性、耐湿性に優れた塗膜を生産性よく形成できる。
【0031】
ところで、アクリルアミド系単量体(B)を用いることでポリエステル樹脂(A)の溶解性が向上する一方で、塗膜にタックが生じたり、付着性試験により塗膜が凝集破壊したりしやすくなる傾向にもある。
そこで、本発明では、塗料組成物に2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)をさらに配合する。これにより、塗膜にタックが生じたり、付着性試験により塗膜が凝集破壊したりすることを抑制できる。
【0032】
<用途>
本発明の塗料組成物は、例えばプラスチック、金属、木材、紙、モルタル、コンクリート、窯業系素材など、種々の対象物(基材)に塗工することが可能であるが、特にプラスチック基材用の塗料として好適である。
【0033】
「プラスチック成形体」
本発明のプラスチック成形体は、上述した本発明の塗料組成物がプラスチック基材に塗工されてなる。
プラスチック基材の材質としては、例えばポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。
【0034】
プラスチック基材の形状については特に限定されず、フィルム状、立体状のいずれでもよい。
また、塗膜との密着性を高める観点から、塗膜が形成されるプラスチック基材の表面は、コロナ放電処理やプラズマ処理など前処理が施されていてもよい。
【0035】
プラスチック成形体は、例えば以下のようにして得られる。
まず、プラスチック基材上に本発明の塗料組成物を塗工する。具体的には、スプレー塗装法、刷毛塗り法、ローラ塗装法、カーテンコート法、フローコート法、浸漬塗り法等などにより、プラスチック基材上に塗料組成物を塗工する。ついで、活性エネルギー線を照射してプラスチック基材上の塗料組成物を硬化させることで、プラスチック基材上に本発明の塗料組成物からなる塗膜が形成されたプラスチック成形体を得る。
塗膜の膜厚は、2〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0036】
活性エネルギー線として、紫外線、電子線、ガンマ線などを使用できる。簡便である点で紫外線が好ましい。紫外線の照射条件は、例えば100〜3000mJ/cm程度(日本電池株式会社製の「UVR−N1」による測定値)の光量で3〜120秒間程度照射することが好ましい。紫外線の照射装置としては、ヒュージョンランプ(HバルブまたはDバルブ)、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を用いることができる。
活性エネルギー線を照射した後の塗膜の厚さは特に限定されないが、2〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0037】
以上説明した本発明のプラスチック成形体は、プラスチック基材上に上述した本発明の塗料組成物からなる塗膜が形成されている。該塗膜は、プラスチック基材に対する付着性、耐湿性、透明性に優れる。
また、本発明のプラスチック成形体は、塗膜の形成に加熱乾燥を必要としないので、生産性よく製造できる。しかも、加熱によるプラスチック基材の変形も抑制できる。
【0038】
プラスチック成形体は、例えば光学フィルム、フレキシブルプリント回路基板などとして、各種用途に用いることができる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
「測定・評価」
<ポリエステル樹脂(A)の物性>
(数平均分子量の測定)
数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により下記条件にて測定した。なお、数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算した値である。
GPCの測定条件:
GPC装置:GPC−101(昭光通商株式会社製)
カラム:Shodex A−806M×2本直列つなぎ(昭和電工株式会社製)
検出器:Shodex RI−71(昭和電工株式会社製)
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1mL/分
【0041】
(ガラス転移点の測定)
ガラス転移点(Tg)は、JIS K 7121に準拠し、以下のようにして測定した。
示差走査熱量計を用い、予測されるポリエステル樹脂(A)のガラス転移点(予測温度)より約50℃高い温度で10分加熱した後、予測温度より50℃低い温度まで冷却して前処理し、その後、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて昇温して吸熱開始点温度を測定し、これをガラス転移点とした。
【0042】
(水酸基価および酸価の測定)
水酸基価(OHV)および酸価(AcV)は、JIS K 0070に準じて測定した。
【0043】
<溶解性の評価>
(初期)
塗料組成物の状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:溶け残りがない。
△:僅かに溶け残りを確認できたが、24時間経過後に溶け残りが消失した。
×:溶け残りが確認され、24時間経過後にも溶け残りが消失しない。
【0044】
(保存後)
塗料組成物を25℃で14日間保存した後の状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:溶け残りがない。
×:ポリエステル樹脂(A)が析出し、白化が認められる。
【0045】
<初期>
(付着性の評価)
試験片の塗膜に1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分にセロハンテープを貼着し、剥がす操作を実施し、プラスチック基材と塗膜との間の付着性について、以下の評価基準にて評価した。
5:碁盤目の残存数が100個。
4:碁盤目の残存数が90〜99個。
3:碁盤目の残存数が80〜89個。
2:碁盤目の残存数が60〜79個。
1:碁盤目の残存数が59個以下。
【0046】
(タック性の評価)
試験片の塗膜に指で触れ、以下の評価基準にて評価した。
○:塗膜表面にタックなし。
△:塗膜表面にタックがあるが、塗膜表面に指を押し付けて引き上げても指に付いてこない。
×:塗膜表面にタックがあり、塗膜表面に指を押し付けて引き上げると試験片ごと持ち上がる。
【0047】
(塗膜外観の評価)
試験片の塗膜外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:均一な塗膜が形成され、白化等の外観以上がない。
△:塗膜に僅かな白化または波模様が認められる。
×:塗膜に明らかな白化または波模様が認められる。
【0048】
(折り曲げ性の評価)
塗膜側が内側になるように試験片を折り曲げ、333g/cm(5kg/15cm)の荷重を5秒間かけた。ついで、塗膜が外側になるように同じ場所で試験片を折り曲げ、333g/cm(5kg/15cm)の荷重を5秒間かけた後の試験片の塗膜外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
◎:折り曲げる前と比べて変化がない。
○:折り目にうっすらと細い筋状の白化が認められる。
△:折り目にやや白化が認められる。
×:折り目に明らかな白化またはヒビが認められる。
【0049】
<耐湿性試験後>
試験片を温度85℃、湿度85%の条件下に14日間放置して耐湿性試験を行った。耐湿性試験後の試験片について、初期と同様にして付着性、タック性、塗膜外観、折り曲げ性を評価した。
【0050】
「実施例1〜22、比較例1〜7」
<塗料組成物の調製>
表1〜3に示す配合組成に従って各成分を混合し、ディソルバを用いて30分間撹拌してポリエステル樹脂(A)をアクリルアミド系単量体(B)に溶解させ、塗料組成物を調製した。
得られた塗料組成物について、溶解性を評価した。結果を表1〜3に示す。
【0051】
<プラスチック成形体の製造>
プラスチック基材としてPETフィルム(東レ株式会社製、「ルミラーS」、厚さ12.5μm)を155℃で1時間アニール処理したものを用いた。
プラスチック基材上に、得られた塗料組成物をNo10のバーコーターにて塗工し、300mJ/cmの光量の紫外線を30秒間照射して硬化させ、プラスチック基材上に塗膜(厚さ15μm)を形成し、プラスチック成形体を得た。
得られたプラスチック成形体を試験片として用い、初期および耐湿性試験後の付着性、タック性、塗膜外観、折り曲げ性を評価した。これらの結果を表1〜3に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
なお、表1〜3中の付着性の評価結果について、「1凝」、「2凝」、「3凝」、「4凝」とは、残存しなかった碁盤目が凝集破壊したことを意味する。すなわち、「1凝」とは59個以下の碁盤目が残存したが、41個以上の碁盤目が凝集破壊したことを意味する。「2凝」とは60〜79個の碁盤目が残存したが、21〜40個の碁盤目が凝集破壊したことを意味する。「3凝」とは80〜89個の碁盤目が残存したが、11〜20個の碁盤目が凝集破壊したことを意味する。「4凝」とは90〜99個の碁盤目が残存したが、1〜10個の碁盤目が凝集破壊したことを意味する。
また、塗膜外観の評価結果について、「△」とは塗膜に僅かな白化が認められたことを意味し、「△波」とは塗膜に僅かな波模様が認められたことを意味し、「×」とは塗膜に明らかな白化が認められたことを意味し、「×波」とは塗膜に明らかな波模様が認められたことを意味する。
また、折り曲げ性の評価結果について、「×」とは折り目に明らかな白化が認められたことを意味し、「×(ヒビ)」とは折り目に明らかなヒビが認められたことを意味する。
【0056】
また、表1〜3中の略号は下記化合物を示す。
「UE3320」:ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製)、Mn=1800、Tg=40℃、OHV=60mgKOH/g、AcV=1mgKOH/g
「UE3350」:ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製)、Mn=5000、Tg=52℃、OHV=25mgKOH/g、AcV=1mgKOH/g
「UE3980」:ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製)、Mn=8000、Tg=63℃、OHV=17mgKOH/g、AcV=3mgKOH/g
「バイロンGK570」:ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製)、Mn=19000、Tg=0℃、OHV=6mgKOH/g、AcV=2mgKOH/g
「UE3216」:ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製)、Mn=18000、Tg=40℃、OHV=5mgKOH/g、AcV=1mgKOH/g
「バイロン200」:ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製)、Mn=17000、Tg=67℃、OHV=6mgKOH/g、AcV=2mgKOH/g
「テスラック2503−63」:ポリエステル樹脂(日立化成製株式会社製)、Mn=10000、Tg=−8℃、OHV=7mgKOH/g、AcV=0mgKOH/g
「UE3600」:ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製)、Mn=20000、Tg=75℃、OHV=4mgKOH/g、AcV=1mgKOH/g
「バイロン103」:ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製)、Mn=23000、Tg=47℃、OHV=5mgKOH/g、AcV=2mgKOH/g
「バイロン670」:ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製)、Mn=30000、Tg=7℃、OHV=2mgKOH/g、AcV=2mgKOH/g
「DEAA」:N,N−ジエチルアクリルアミド
「DMAA」:N,N−ジメチルアクリルアミド
「NIPAM」:N−イソプロピルアクリルアミド
「ACMO」:アクリロイルモルフォリン
「THF−A」:テトラヒドロキシフルフリルアクリレート
「R−684」:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(日本化薬製)
「HDDA」:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
「TPGDA」:トリプロピレングリコールジアクリレート
「DPHA」: ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
「TMPTA」:トリメチロールプロパントリアクリレート
「イルガキュア1173」:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASFジャパン製)、液状
「ルシリンTPO」:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASFジャパン製)、粉末状
「イルガキュア819」:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン製)、粉末状
【0057】
表1、2から明らかなように、各実施例で得られた塗料組成物は、貯蔵安定性に優れていた。また、各実施例の塗料組成物からは、付着性、透明性、耐湿性に優れた塗膜を形成できた。特に、他の単官能モノマーを含まず、2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)の含有量が5〜25質量部である実施例1〜16、21、22の塗料組成物より形成された塗膜は、タック性および折り曲げ性にも優れ、凝集破壊の発生も抑制できた。
【0058】
一方、表3から明らかなように、ポリエステル樹脂(A)とアクリルアミド系単量体(B)との質量比((A)/(B))が20/80である比較例1の塗料組成物より形成された塗膜は、初期および耐湿性試験後の付着性、折り曲げ性に劣っていた。
アクリルアミド系単量体(B)の代わりにACMOまたはTHF−Aを用いた比較例2、3の塗料組成物は、保存後の溶解性に劣っていた。また、比較例2、3の塗料組成物より形成された塗膜は、初期のタック性、および耐湿性試験後のタック性、塗膜外観に劣っていた。また、初期および耐湿性試験後共に付着性試験を行うと塗膜が凝集破壊した。
2官能の(メタ)アクリル系単量体(C)を含有しない比較例4の塗料組成物より形成された塗膜は、初期および耐湿性試験後のタック性に劣り、付着性試験を行うと凝集破壊した。
ガラス転移点が−8℃であるポリエステル樹脂(A)を用いた比較例5の塗料組成物より形成された塗膜は、初期および耐湿性試験後のタック性に劣り、付着性試験を行うと凝集破壊した。
ガラス転移点が75℃であるポリエステル樹脂(A)を用いた比較例6の塗料組成物より形成された塗膜は、初期および耐湿性試験後の付着性、塗膜外観、折り曲げ性に劣っていた。
ポリエステル樹脂(A)とアクリルアミド系単量体(B)との質量比((A)/(B))が80/20である比較例7の塗料組成物は、初期および保存後の溶解性に劣っていた。
なお、比較例7については、塗料組成物の初期の段階での溶解性に劣っていたため、プラスチック成形体の評価(初期および耐湿性試験後の付着性、タック性、塗膜外観、折り曲げ性の評価)は行わなかった。