(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
<実施形態1>
図1に充電制御装置の構成を示す。
図1は、充電制御装置の一実施例を示す図である。
図1に示すオーバーシュート充電を用いてCCCV充電を行う充電制御装置1は、例えば、電池パックである。本例において充電制御装置1は、一つ以上の電池4を有する組電池2、充電制御装置1を制御する制御部3、電池4の電圧を計測する電圧計5、組電池2に流れる電流を計測する電流計6、組電池2又は電池4の温度又は周辺温度などを計測する温度計7、を有している。電池4はリチウムイオン電池などの二次電池又は蓄電素子などである。
【0013】
制御部3は、オーバーシュート充電を用いたCCCV充電のCV充電中に、計測した電池4の温度を取得し、電池4の温度と、CCCV充電においてCV充電を終了する終止電流と、を関連付けた電池特性情報を参照して、終止電流を決定する制御を行う。制御部3は、CV充電中に計測した電池4の温度が下がると、終止電流を下げる制御を行う。なお、電池特性情報は、予め実験又はシミュレーションなどにより求める。また、制御部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)など)を用いた回路である。なお、本例においては制御部3を用いて説明をするが、制御部3が実行する制御を、例えば車両に搭載されている一つ以上のECU(Electronic Control Unit)などに行わせてもよい。記憶部8は電池特性情報を記憶する。なお、記憶部8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリで、制御部3と別に設けてもよい。
【0014】
充電制御装置の動作について説明する。
CC充電中において、電池4は大電流で充電されるため、電池4の発熱(電流I
2×内部抵抗R)が大きくなる。また、CC充電中においては、電池4の発熱により、電池4の温度は上がり、内部抵抗は下がる。
【0015】
図2は、オーバーシュート充電をした場合の電流、電圧、温度、内部抵抗の関係を示す図で、縦軸には電流、電圧、温度、内部抵抗を示し、横軸には時間を示している。
図2に示す時間t0からt1(CC充電中)においては、従来のオーバーシュート充電の電流曲線201(破線)も、本発明のオーバーシュート充電の電流曲線202(実線)も、同じように定電流I1で充電をしているため、電流曲線201に対応する電圧曲線204(破線)も、電流曲線201に対応する電圧曲線203(実線)も、同じように電圧が目標電圧V2より高い閾値電圧V1になるまで上がる。このとき電池4は発熱し、電池4の温度は
図2の温度曲線205に示すように上がり、内部抵抗は
図2の抵抗曲線206に示すように下がる。なお、目標電圧V2は、例えば、満充電に対応する電圧であるが、それに限定されない。
【0016】
続いて、電圧が閾値電圧V1(初期の閾値電圧)に到達して、時間t1においてCC充電からCV充電に切り替わりCV充電に移行すると、従来のオーバーシュート充電では、
図2の電流曲線201と電圧曲線204に示すように時間t1から定電圧V1でCV充電を開始し、終止電流がI2になるまで、すなわち時間t2までCV充電をする。充電終了後、時間t2からt4にかけて内部抵抗による電圧降下(IRドロップ)と分極などが解消し、目標電圧V2に近づくはずである。しかし、従来のオーバーシュート充電では、CV充電中には急激に電流が絞られ発熱も小さくなり、温度曲線205に示すように電池4の温度が下がり、抵抗曲線206に示すように内部抵抗は上がるため、CV充電が終了する時間t2の頃にはCV充電前に決定した閾値電圧V1が最適値ではなくなる。そのため、時間t4において、電池4の電圧が目標電圧に至らない可能性がある。
【0017】
そこで、本発明のオーバーシュート充電では、(1)CV充電中に温度に応じて終止電流を変える(第一の処理)、又は、(2)CV充電中に温度に応じて閾値電圧を変える(第二の処理)。又は、(3)計測した温度と、計測した温度に応じた閾値電圧と、に基づいて終止電流を変える(第三の処理)。
(1)第一の処理では、CV充電に移行した後も、温度計7を用いて電池4の温度を計測し、計測した電池4の温度に応じてCV充電中も終止電流を変える。
図2の電流曲線202に示すように、時間t1から電池4の温度が下がるのに伴い終止電流をI2からI3まで引下げていく。なお、第一の処理の場合には閾値電圧を変えないで、閾値電圧V1のままにする。また、第一の処理におけるCV充電中の終止電流の決定は、例えば、CV充電前に決定した終止電流(初期の終止電流)ごとに、CV充電中に計測した電池4の温度と、CV充電前に決定した閾値電圧と、に関連付けられている終止電流を有する第一の電池特性情報を参照して、終止電流を決定する。なお、第一の電池特性情報は、予め実験又はシミュレーションなどにより求める。
【0018】
図3は、第一電池特性情報のデータ構造の一例を示す図である。
図3の例では、三種類の初期の終止電流に対応する第一の電池特性情報300aから300cを有している。例えば、第一の電池特性情報300aは初期の終止電流Ibに対応している。また、第一の電池特性情報300aは、初期の終止電流を示す「Ib」を記憶する「初期の終止電流」301と、CV充電中の終止電流を決定する表302と、を有する。表302には、電池4の温度を示す情報(「Tem0」から「Tem7」など)と、閾値電圧を示す情報(「Vl0」から「Vl8」など)と、に関連付けられたCV充電中に変える終止電流がそれぞれ記憶されている。例えば、CV充電中の温度が「Tem0」で、CV充電前に決定した閾値電圧が「Vl0」である場合、「Tem0」と「Vl0」に関連付けられている終止電流が選択される。なお、表302に示したようなテーブルでなく、計算式などを用いて求めてもよい。
(2)第二の処理では、CV充電に移行した後も、温度計7を用いて電池4の温度を計測し、計測した電池4の温度を用いて、CV充電中の温度に応じてCV充電中も閾値電圧を変える。
図2の電圧曲線203に示すように、時間t1から電池4の温度が下がるのに伴い閾値電圧をV1からV3まで引上げていく。なお、第二の処理の場合には終止電流は変えないで、終止電流I2のままにする。また、第二の処理におけるCV充電中の閾値電圧の決定は、初期の終止電流ごとに、電池4の温度と、温度に応じて変える閾値電圧と、を関連付けた第二の電池特性情報を参照して、閾値電圧を決定する。例えば、初期の終止電流と、電池4の温度と、温度に応じて変える閾値電圧と、を関連付けた第二の電池特性情報を、記憶部8に記憶し、制御部3が、CV充電の前に決定した初期の終止電流に基づいて初期の閾値電圧を決定し、CV充電中に、計測した電池4の温度を取得し、第二の電池特性情報を参照して、閾値電圧を決定する。
【0019】
なお、第二の電池特性情報は、予め実験又はシミュレーションなどにより求める。また、第二の電池特性情報における温度と閾値電圧の関係は、テーブルを用いて表してもよいし、計算式などを用いて表してもよい。
(3)第三の処理では、CV充電に移行した後も、温度計7を用いて電池4の温度を計測し、計測した電池4の温度と、計測した温度に応じて変えられた閾値電圧と、に基づいて、CV充電中に終止電流を変える。
図2の電圧曲線203に示すように、時間t1からt3において、電池4の温度が下がるのに伴い閾値電圧V1をV3まで引上げ、それに基づいて終止電流もI2からI3まで引下げていく。また、第三の処理におけるCV充電中の閾値電圧と終止電流の決定は、例えば、第二の電池特性情報を参照して、閾値電圧を決定し、続いて、第一の電池特性情報を参照して、終止電流を決定する。
【0020】
制御部の動作について説明する。
図4は、実施形態1の充電制御装置の動作の一実施例を示すフロー図である。
ステップS1では、制御部3が初期の終止電流を取得する。すなわち、CV充電に切り替わる前に決定した終止電流を取得する。
図2の時間t0からt1において、初期の終止電流I2を取得する。
【0021】
ステップS2で制御部3はCV充電に移行する。すなわち、電池4の電圧が閾値電圧V1に到達すると、CC充電からCV充電に切り替わる。
図2の時間t1において、CV充電に切り替わる。
【0022】
ステップS3では、制御部3が電池4の温度を取得する。温度計7を用いて電池4の温度を計測する。
ステップS4では、制御部3がCV充電中の閾値電圧を決定する。ステップS5では、制御部3がCV充電中の終止電流を決定する。
【0023】
ただし、第一の処理を実施する場合、ステップS4の処理は実行しなくてもよい。ステップS3の処理を実行した後、ステップS5に移行して、第一の電池特性情報を参照して、終止電流を決定する。
【0024】
また、第二の処理を実施する場合、ステップS5の処理は実行しなくてもよい。ステップS3の処理を実行した後、ステップS4に移行して、第二の電池特性情報を参照して、閾値電圧を決定する。
【0025】
また、第三の処理を実施する場合、ステップS4、S5の処理を実行する。ステップS3の処理を実行した後、ステップS4に移行して閾値電圧を決定し、続いて、ステップS5に移行して終止電流を決定する。
【0026】
ステップS6では、電流計6が計測した電流を取得し、取得した電流が終止電流であるか否かを制御部3が判定し、終止電流である場合(Yes)にはCV充電を終了する。終止電流でない場合(No)にはステップS3に移行する。
【0027】
実施形態1によれば、CV充電中の温度に応じた閾値電圧又は終止電流を決定できる。その結果、CV充電中も閾値電圧又は終止電流を最適値にできるため、充電終了後、内部抵抗による電圧降下と分極などが解消した後、従来のオーバーシュート充電が終了したときよりも、電池4の電圧を目標電圧に近づける精度を向上させることができる。
<実施形態2>
実施形態2では、実施形態1で説明した処理を実行する際に、閾値電圧が、電池4が劣化する限界電圧に達した場合、限界電圧を超えないように閾値電圧を決める。また、その閾値電圧に応じて終止電流を変える処理を実行する。
【0028】
実施形態2の構成について説明する。
実施形態2の構成は実施形態1の構成と同じであるので、実施形態1と異なる構成についてのみ説明をする。実施形態2における記憶部8は、電池4の温度と、CV充電に用いる仮閾値電圧と、終止電流と、を関連付けた仮閾値特性情報、及び、電池4の温度と、電池4が劣化する限界を示す限界電圧と、を関連付けた劣化限界情報、を記憶している。ここで、仮閾値電圧は、実際にCV充電中に用いる閾値電圧を決定する前に仮に用いる閾値電圧で、限界電圧との比較に用いる。また、仮閾値電圧は電池4の温度と終止電流とにより決まる。
【0029】
また、実施形態2における制御部3は、計測した電池4の温度と終止電流とを取得し、仮閾値特性情報と劣化限界情報とを参照して、仮閾値電圧が限界電圧以上である場合に、終止電流を下げる。
【0030】
充電制御装置の動作について説明する。
図5は、実施形態2のオーバーシュート充電をした場合の電流、電圧、温度、内部抵抗の関係を示す図である。縦軸には電流、電圧、温度、内部抵抗を示し、横軸には時間を示している。また、
図5に示す電流曲線201(破線)、電圧曲線204(破線)、温度曲線205、抵抗曲線206は、
図2で説明したものと同じである。
【0031】
図5に示す時間t0からt1(CC充電中)において、定電流I1で充電をしているため、実施形態2のオーバーシュート充電の電流曲線501に対応する電圧曲線502(実線)は、電圧曲線204と同じように電圧が目標電圧V2より高い閾値電圧V1になるまで上げる。
【0032】
続いて、電池4の電圧が閾値電圧V1(初期の閾値電圧)に到達して、時間t1においてCC充電からCV充電に切り替わりCV充電に移行すると、第一の処理から第三の処理のいずれか一つの処理を開始する。その際に、電池4が劣化する限界電圧に閾値電圧が達した場合、
図5では時間t2で閾値電圧が限界電圧に達すると、時間t2から限界電圧を超えないように閾値電圧又は終止電流を決める。
【0033】
閾値電圧を決める方法について説明する。
図6は、温度と終止電流と閾値電圧との関係を示した図である。
図6に示すグラフは、縦軸に閾値電圧を示し、横軸に温度[℃]を示している。
図6の劣化限界線601は、温度と、電池4が劣化しはじめる電圧と、の関係を示している。また、劣化限界線601は電池4が低温になるほど低電圧でも劣化することが示されている。
図6の閾値電圧線602から604は、終止電流ごとの温度と閾値電圧との関係を示している。なお、閾値電圧線604の終止電流<閾値電圧線603の終止電流<閾値電圧線602の終止電流である。
【0034】
CV充電前に決定した初期の終止電流によって、終止電流に対応する閾値電圧線602から604のいずれかを選択する。以降、閾値電圧線603を選択したとして説明する。続いて、計測した温度に応じて、選択された閾値電圧線上の閾値電圧、すなわち仮閾値電圧を選択する。また、計測した温度に応じて、劣化限界線601上の限界電圧を選択する。続いて、仮閾値電圧と限界電圧とを比較し、実際にCV充電中に用いる閾値電圧を決定する。
【0035】
閾値の決定は、例えば、仮閾値電圧≧限界電圧であるか否かを判定し、仮閾値電圧が限界電圧以上である場合、制御部3は限界電圧をCV充電で用いる閾値電圧に決定する。
図6においては、温度15[℃]を取得すると、温度と仮閾値電圧に関する情報が記憶されている仮閾値特性情報を参照して、温度15[℃]のときの仮閾値電圧Vs15を求める。また、温度と限界電圧に関する情報が記憶されている劣化限界情報を参照して、温度15℃のときの限界電圧Vl15を求める。
図6において仮閾値電圧Vs15≧限界電圧Vl15であるので、制御部3は限界電圧Vl15をCV充電で用いる閾値電圧に決定する。
【0036】
また、仮閾値電圧が限界電圧未満である場合、制御部3は仮閾値電圧をCV充電で用いる閾値電圧に決定する。
図6において、温度30[℃]を取得すると、温度と仮閾値電圧に関する情報が記憶されている仮閾値特性情報を参照して、温度30[℃]のときの仮閾値電圧Vs30を求める。また、温度と限界電圧に関する情報が記憶されている劣化限界情報を参照して、温度30℃のときの限界電圧Vl30を求める。
図6において仮閾値電圧Vs30<限界電圧Vl30であるので、制御部3は仮閾値電圧Vs30をCV充電で用いる閾値電圧に決定する。
【0037】
なお、閾値電圧線603において、CV充電中に温度が30[℃]から15[℃]に下がる場合に、温度が20[℃]になると、閾値電圧線603と劣化限界線601とが交差する。すなわち、
図5における時間t2のタイミングである。
【0038】
図7は、仮閾値特性情報と劣化限界情報のデータ構造の一実施例を示した図である。
図7の仮閾値特性情報703には、終止電流ごとに、温度と仮閾値電圧とを関連付けた情報が示されている。すなわち、仮閾値電圧は、電池4の温度と終止電流とにより決まる。
図7の例では、終止電流Ibに対応する閾値電圧線上の電圧を仮閾値電圧として用いている。
図7の劣化限界情報704には、温度と限界電圧とを関連付けた情報が示されている。
図7の例では、
図6に示した劣化限界線601上の限界電圧を用いている。また
図7の終止電流に関する情報を記憶する「初期の終止電流」702には、終止電流が
図6の閾値電圧線603に対応する「Ib」が記憶されている。「温度」「仮閾値電圧」に関する情報が記憶される仮閾値特性情報703には、温度を示す情報(「tem0」から「tem8」など)と、仮閾値電圧を示す情報(「Vs0」から「Vs8」など)と、が関連付けられ記憶されている。「温度」「限界電圧」に関する情報が記憶される劣化限界情報704には、温度を示す情報(「tem0」から「tem8」など」と、限界電圧を示す情報(「Vl0」から「Vl8」など)と、が関連付けられ記憶されている。なお、仮閾値特性情報703及び劣化限界情報704に示したようなテーブルを用いなくてもよく、計算式などを用いて求めてもよい。
【0039】
続いて、
図5における時間t2から、終止電流、温度、決定した閾値電圧を用いて、第一の処理では閾値電圧を変えずに終止電流を下げる。
図5と
図6を使って説明する。
図5の電流曲線501は時間t1から温度が下がるため、実施形態1と同様に終止電流を下げる。閾値電圧線603と劣化限界線601とが交差する時間t2までは仮閾値電圧<限界電圧であるので、閾値電圧603に沿って閾値電圧を上げる代わりに終止電流をI2からI2より低い値まで下げる。そして、時間t2以降も温度が下がるが、閾値電圧線603と劣化限界線601とが交差する点よりも低い温度では仮閾値電圧≧限界電圧であるので、時間t2以降は劣化限界線601に沿って閾値電圧を下げる代わりに終止電流をI2より低い値からさらに低いI4まで下げる。
【0040】
つまり、仮閾値電圧が限界電圧以上である場合、終止電流を下げる。より好ましくは、仮閾値電圧が限界電圧以上である場合、温度が下がるにつれ、終止電流も下げる。
ただし、第一の処理の場合、CV充電中に閾値電圧を変えないで終止電流を下げるため、CV充電の前、すなわち時間t1の前で既に閾値電圧が限界電圧に達している場合、限界電圧を超えないように閾値電圧は決められる。その場合には、決められた閾値電圧を用いて、第一の処理を開始する。
【0041】
また、第二の処理では終止電流を変えずに閾値電圧を下げる。
図5と
図6を使って説明する。
図5の電圧曲線502は時間t1から温度が下がるため、実施形態1と同様に閾値電圧を上げる。閾値電圧線603と劣化限界線601とが交差する時間t2までは仮閾値電圧<限界電圧であるので、閾値電圧603に沿って閾値電圧をV1からV4まで上げる。そして、時間t2以降も温度が下がるが、閾値電圧線603と劣化限界線601とが交差する点よりも低い温度では仮閾値電圧≧限界電圧であるので、時間t2以降は劣化限界線601に沿って閾値電圧をV4から下げる。
【0042】
つまり、仮閾値電圧が限界電圧以上である場合、閾値電圧を下げる。より好ましくは、仮閾値電圧が限界電圧以上である場合、温度が下がるにつれ、閾値電圧も下げる。
ただし、第二の処理の場合、CV充電中に終止電流を変えないで閾値電圧を下げるため、CV充電の前、すなわち時間t1の前で既に閾値電圧が限界電圧に達し、限界電圧を超えないように閾値電圧が決められているときには、その閾値電圧を用いて第二の処理を開始するので、時間t1から閾値電圧を下げることになる。
【0043】
また、第三の処理では閾値電圧と終止電流を下げる。第三の処理の場合、CV充電の前、すなわち時間t1の前で既に閾値電圧が限界電圧に達し、限界電圧を超えないように閾値電圧が決められているとき、決められた閾値電圧を用いて、第三の処理を開始する。
【0044】
制御部の動作について説明する。
図8は、実施形態2の充電制御装置の動作の一実施例を示すフロー図である。
図8のステップS1からS3及びS6の処理は、実施形態1で説明した制御部3の処理と同じであるので、簡単に説明をする。ステップS1では、制御部3が初期の終止電流を取得する。
図5の時間t0からt1において、初期の終止電流I2を取得する。ステップS2で制御部3はCV充電に移行する。
図5の時間t1において、CV充電に切り替わる。ステップS3では、制御部3が電池4の温度を取得する。
【0045】
ステップS801では、制御部3が電池4の温度と終止電流とを用いて、仮閾値特性情報と劣化限界情報とを参照し、仮閾値電圧と限界電圧とを求める。
ステップS802では、制御部3が仮閾値電圧≧限界電圧であるか否かを判定し、仮閾値電圧≧限界電圧である場合(Yes)にはステップS803に移行し、仮閾値電圧<限界電圧である場合(No)にはステップS804に移行する。
【0046】
ステップS803では、仮閾値電圧が限界電圧以上であるので、制御部3はCV充電で用いる閾値電圧を、ステップS801で求めた限界電圧にする。
ステップS804では、仮閾値電圧が限界電圧未満であるので、制御部3はCV充電で用いる閾値電圧を、ステップS801で求めた仮閾値電圧にする。
【0047】
ステップS805では、制御部3がCV充電中の終止電流を決定する。
ただし、第一の処理を実施する場合、電池4の温度と決定した閾値電圧を用いて、終止電流を変える。また、第二の処理を実施する場合、ステップS805の処理を実行しなくてもよい。また、第三の処理を実施する場合、ステップS803からステップS805に移行した場合には、電池4の温度と決定した閾値電圧(限界電圧)に基づいて、終止電流を変える。また、ステップS804からステップS805に移行した場合には、電池4の温度と閾値電圧(仮閾値電圧)に基づいて、終止電流を変える。
【0048】
ステップS6では、電流計6が計測した電流を取得し、取得した電流が終止電流であるか否かを制御部3が判定し、終止電流である場合(Yes)にはCV充電を終了する。終止電流でない場合(No)にはステップS3に移行する。
【0049】
実施形態2によれば、電池4の仮閾値電圧が限界電圧に達した場合に、電池を劣化させない閾値電圧を決定し、電池4の温度と決定した閾値電圧を用いて、CV充電中の温度に応じた閾値電圧又は終止電流を決定できる。その結果、CV充電中も閾値電圧又は終止電流を最適値にできるため、充電終了後、内部抵抗による電圧降下と分極などが解消した後、従来のオーバーシュート充電が終了したときよりも、充電終了後に電池4の電圧を目標電圧に近づける精度を向上させることができる。
【0050】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。