(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載のジョイントコネクタであって、前記第1及び第2挟持部は、前記挟持位置において前記挟持方向に互いに対向する挟持面を有するとともに、前記短絡部材挟持部は前記拘束挟持部の挟持面から相手方の挟持部に向かって突出する拘束用突出部を含む、ジョイントコネクタ。
請求項2記載のジョイントコネクタであって、前記拘束用突出部は、前記複数の短絡側端子部のうち互いに隣接する短絡側端子部同士の間でかつ前記基部の際に位置することにより当該基部を前記端子突出方向と平行な方向に拘束するとともに前記短絡側端子部を前記端子突出方向と直交する方向に拘束するものを含む、ジョイントコネクタ。
請求項2または3記載のジョイントコネクタであって、前記短絡部材はその基部を前記挟持方向と平行な方向に貫通する貫通穴を有し、前記拘束用突出部は、前記挟持位置において前記貫通穴に前記挟持方向と平行な方向に挿入される貫通穴挿入突出部を含む、ジョイントコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1〜
図16は、本発明の実施の形態に係るジョイントコネクタを示す。このジョイントコネクタは、複数の電線10の端末にそれぞれ装着される複数の電線側端子20同士を接続するものであって、複数の短絡部材30と、これらの短絡部材30を保持する絶縁ハウジングHGと、を備える。
【0019】
この実施の形態において、前記複数の電線側端子20は、いわゆる雌型端子であり、電線圧着部22と、電気接触部24と、を有し、これらが単一の金属板により形成されている。前記電線圧着部22は、前記電線10の端末に圧着される部分であり、当該圧着により前記電線側端子と前記電線10の導体部分との間の電気的導通を可能にする。前記電気接触部24は、前記短絡部材30と嵌合することにより当該短絡部材30と電気的に接触する、つまり電気的導通を形成するように接触する、部位である。この実施の形態に係る電気接触部24は、雌型のもので、当該電気接触部24への前記短絡部材30の嵌入を受け入れる。
【0020】
前記複数の短絡部材30は、それぞれ、導体からなり、基部32と、複数の第1短絡側端子部34と、複数の第2短絡側端子部36と、を一体に有する。この実施の形態に係る各短絡部材30は、単一の平坦な金属板からなる。
【0021】
前記基部32は、一定の幅で特定の短絡方向、この実施の形態ではコネクタ左右方向、に延びる形状を有する。また、当該基部32には、短絡部材30の成形の際に移送操作を受けるための複数のパイロット用貫通穴32hが形成され、これらのパイロット用貫通穴32hは前記コネクタ左右方向に配列されている。
【0022】
前記複数の第1短絡側端子部34は、前記コネクタ左右方向に間隔(図例では等間隔)をおいて並び、かつ、当該特定方向と直交する端子突出方向である第1突出方向に突出する。各第1短絡側端子部34は、いわゆる雄型端子(タブ)として前記雌型の電気接触部24に嵌入され、これにより当該電気接触部24と電気的に接触することが可能である。
【0023】
前記複数の第2短絡側端子部36は、前記特定方向に間隔(図例では第1短絡側端子部34と同じく等間隔)をおいて並び、かつ、前記基部から前記第1突出方向とは反対の端子突出方向である第2突出方向に突出する。前記各第2短絡側端子部36は、前記複数の電線10とは別の電線束の端末に設けられたコネクタであって
図1及び
図2に二点鎖線で示される相手方コネクタCCに含まれる複数のコネクタ端子とそれぞれ嵌合可能な形状を有する。
【0024】
このジョイントコネクタにおける前記絶縁ハウジングHGは、前記各電線側端子20を保持する部分を含む外側部40と、前記短絡部材30を保持する短絡部材保持部50と、を有する。
【0025】
前記外側部40は、合成樹脂等の絶縁材料により成形されたもので、端子保持部43と、ケーシング部44と、フード部46と、リテーナ47と、を有する。このうち、前記端子保持部43、ケーシング部44及びフード部46は単一の部材からなる部本体として一体に成形され、前記リテーナ47は当該部本体とは別の部材として当該部本体に装着される。
【0026】
前記端子保持部43は、複数の端子収容室41を画定するとともに、当該複数の端子収容室41についてそれぞれ設けられた複数のランス42を有する。
【0027】
前記端子収容室41は、前記複数の電線側端子20がそれぞれ当該電線側端子20の軸方向に沿って挿入されるのを受け入れる形状を有する。具体的に、前記複数の端子収容室41は、縦横に並ぶように、すなわち上下複数段にわたって前記各短絡部材30の基部32が延びる方向である前記コネクタ左右方向に並ぶように、形成され、各端子収容室41は前記軸方向の一方の側(
図1及び
図2では右側)に開口する端子挿入口41aを有する。前記各
電線側端子20は、前記電気接触部24を先頭にして前記端子挿入口41aから対応する前記端子収容室41内に挿入されることが可能である。
【0028】
前記複数のランス42は、それぞれ、前記各端子収容室41に挿入される電線側端子20を係止(一次係止)する端子係止部を構成する。当該ランス42は、いわゆる片持ち梁状をなす。具体的に、当該ランス42は、図
1及び図
4に示されるように、前記端子収容室41を画定する壁の一部とつながる基部42aと、その反対側の端部である先端部42bと、を有し、先端部42bが前記電線側端子20の軸方向と直交する方向(
図1では下方向)に撓み変位するように、ランス42が弾性変形することが可能である。当該ランス42は、前記先端部42bが前記電線側端子20から退避する向き(
図1では上向き)に撓み変位することにより、前記端子収容室41内に前記電線側端子20が挿入されるのを許容する一方、前記電線側端子20が当該端子収容室41内に完全に挿入された状態で一部弾性復帰することにより、当該電線側端子20を前記端子収容室41内に係止(一次係止)する。具体的には、当該ランス42の前記先端部42bがその挿入された電線側端子20の適当な部位(図
1及び図
4の例では電気接触部24の中間部位)と係合して当該電線側端子20の離脱を阻止する。
【0029】
前記リテーナ47は、前記端子保持部43における各端子収容室41に挿入された電線側端子20を前記ランス42による係止とは別に係止(二次係止)するため、前記部本体における前記端子保持部43に装着される。具体的に、当該リテーナ47は、前記各端子収容室41のうち前記各ランス42よりも後ろ側の特定部分を構成する窓47aを画定する形状を有するとともに、各端子収容室41に挿入される前記電線側端子20の特定部位(
図1では電線圧着部22の後端)を係止する係止突起47bを有する。当該リテーナ47は、
図1及び
図4に示される係止位置であって前記係止突起47bが前記電線側端子20を係止する位置と、当該係止位置から前記電線側端子20の軸方向と直交する方向(
図1では下方向)にずれた退避位置と、の間で移動可能である。前記退避位置では、前記窓47aが前記端子収容室41の他の部分と合致することにより、当該窓47aを通じて前記電線側端子20が当該リテーナ47を貫通しながら前記端子収容室41内に挿入されることを許容する。
【0030】
このリテーナ47は、本発明では適宜省略されることが可能である。
【0031】
前記ケーシング部44は、前記端子保持部43に対して前記各端子挿入口41aと反対の側(
図1及び
図2では左側)に隣接し、前記短絡部材保持部50を相対変位可能に保持しながら収容する部分である。また、前記フード部46は、前記ケーシング部44から前記端子保持部43と反対の側(
図1及び
図2では左側)に延長された部位である。これらのケーシング部44及びフード部46の詳細については後述する。
【0032】
前記短絡部材保持部50は、前記外側部40とは別の部材として合成樹脂等の絶縁材料により成形された部材であり、この実施の形態では略直方体の全体形状を有する。当該短絡部材保持部50は、前記複数の短絡部材30をそれぞれ保持する。具体的に、この実施の形態に係る短絡部材保持部50は、前記各短絡部材30の板厚方向が上下方向と平行である姿勢で当該上下方向に並ぶ複数の段に亘って配列され、かつ、各短絡部材30が前記電線側端子20の軸方向と平行な方向に短絡部材保持部50を貫通する状態で当該短絡部材30を保持する。
【0033】
この短絡部材保持部50は、前記外側部40のケーシング部44内に収容され、保持される。この短絡部材保持部50が保持される位置は、前記各短絡部材30の第1短絡側端子部34がそれぞれ前記各端子収容室41内に前記端子挿入口41aと反対の側(
図1及び
図2では左側)から突出する位置であって、当該各端子収容室41に挿入される電線側端子20の電気接触部24がそれぞれ当該第1短絡側端子部34と嵌合する(詳しくは当該電気接触部24内に前記第1短絡側端子部34が嵌入される)ことを可能にする位置である。
【0034】
前記短絡部材保持部50は、前記複数の短絡部材30をそれぞれ上下方向の両側から挟み込むことにより、当該短絡部材保持部50への前記各短絡部材30のタイトな圧入を不要にしながら当該短絡部材30を保持することが可能な構造を有する。具体的に、この実施の形態に係る短絡部材保持部50は、
図8及び
図9に示すように、下側挟持部52と、第1中間挟持部54と、第2中間挟持部56と、上側挟持部58と、に分割されており、これらの挟持部52,54,56及び58が下から順に並んで積層されることにより、前記各短絡部材30を上下方向の両側から挟持する。詳しくは、前記複数の短絡部材30のうち、
i)最下段の短絡部材30について、前記下側挟持部52及び前記第1中間挟持部54は当該最下段の短絡部材30を上下両側から挟持する第1及び第2挟持部を構成し、
ii)中段の短絡部材30について、前記第1中間挟持部54及び前記第2中間挟持部56は当該中段の短絡部材30を上下両側から挟持する第1及び第2挟持部を構成し、
iii)最上段の短絡部材30について、前記第2中間挟持部56及び前記上側挟持部58は当該最上段の短絡部材30を上下両側から挟持する第1及び第2挟持部を構成する。
【0035】
つまり、前記第1中間挟持部54は、前記最下段の短絡部材30に係る第2挟持部と前記中段の短絡部材30に係る第1挟持部とに共用される共用挟持部に相当し、前記第2中間挟持部56は、前記中段の短絡部材30に係る第2挟持部と前記最上段の短絡部材30に係る第1挟持部とに共用される共用挟持部に相当する。また、前記下側挟持部52及び前記上側挟持部58は、前記各短絡部材30の挟持方向と平行な方向である上下方向の両外側に位置する両外側挟持部に相当する。
【0036】
前記下側挟持部52は、
図10及び
図11にも示すように、挟持面52aと、複数の第1拘束用突出部52bと、複数の第2拘束用突出部52cと、一対の位置決め用孔52eと、を有する。
【0037】
前記挟持面52aは、前記下側挟持部52の上面により構成され、前記最下段の短絡部材30の下面に対向する。つまり、この挟持面52aは、上を向きかつ
図4に示されるように前記最下段の短絡部材30の下側に配置される。
【0038】
前記複数の第1拘束用突出部52bは、前記最下段の短絡部材30のうち互いに隣接する第1短絡側端子部34同士の間でかつ基部32のすぐ際の位置において前記挟持面52aよりも上向きに突出し、これにより、当該最下段の短絡部材30の下側挟持部52に対する前記第1突出方向への相対変位を規制するように前記基部32を拘束するとともに、当該最下段の短絡部材30の下側挟持部52に対するコネクタ左右方向への相対変位を規制するように前記両第1短絡側端子部34を拘束する。同様に、前記複数の第2拘束用突出部52cは、前記最下段の短絡部材30のうち互いに隣接する第2短絡側端子部36同士の間でかつ基部32のすぐ際の位置において前記挟持面52aよりも上向きに突出し、これにより、当該最下段の短絡部材30の下側挟持部52に対する前記第2突出方向への相対変位を規制するように前記基部32を拘束するとともに、当該最下段の短絡部材30の下側挟持部52に対するコネクタ左右方向への相対変位を規制するように前記両第2短絡側端子部36を拘束する。換言すれば、前記複数の第1及び第2拘束用突出部52b,52cは、前記最下段の短絡部材30の基部32及び各第1及び第2短絡側
端子部34,36の根元部分が嵌まり込むことが可能な凹部であって前記挟持面52aを底面とする凹部52dを囲むように配置されている。
【0039】
前記一対の位置決め用孔52eは、前記下側挟持部52と前記第1中間挟持部54との相対位置を固定するための孔であり、前記下側挟持部52のコネクタ左右方向両端部において上向きに開口(すなわち前記第1中間挟持部54に向かって開口)している。
【0040】
前記下側挟持部52には、さらに、前記最下段の短絡部材30の各第1短絡側端子部34に対応した複数の電線側端子受入れ凹部52tが形成されている。当該各電線側端子受入れ凹部52tは、当該電線側端子受入れ凹部52tに対応した前記第1短絡側端子部34に嵌合されるべき電線側端子20の電気接触部24を受け入れる形状を有する。
【0041】
前記第1中間挟持部54は、
図12〜
図14にも示すように、上側挟持面54aと、複数の第1拘束用突出部54bと、複数の第2拘束用突出部54cと、一対の位置決め用孔54eと、下側挟持面54fと、一対の位置決め用突起54gと、複数の第3拘束用突出部54hと、一対の被係止用突起54kと、を有する。
【0042】
前記上側挟持面54aは、前記第1中間挟持部54の上面により構成され、前記中段の短絡部材30の下面に対向する。つまり、この上側挟持面54aは、上を向きかつ
図4に示されるように前記中段の短絡部材30の下側に配置される。
【0043】
前記複数の第1拘束用突出部54bは、前記中段の短絡部材30のうち互いに隣接する第1短絡側端子部34同士の間でかつ基部32のすぐ際の位置において前記上側挟持面54aよりも上向きに突出し、これにより、当該中段の短絡部材30の第1中間挟持部54に対する前記第1突出方向への相対変位を規制するように前記基部32を拘束するとともに、当該中段の短絡部材30の第1中間挟持部54に対するコネクタ左右方向への相対変位を規制するように前記両第1短絡側端子部34を拘束する。同様に、前記複数の第2拘束用突出部54cは、前記中段の短絡部材30のうち互いに隣接する第2短絡側端子部36同士の間でかつ基部32のすぐ際の位置において前記上側挟持面54aよりも上向きに突出し、これにより、当該中段の短絡部材30の第1中間挟持部54に対する前記第2突出方向への相対変位を規制するように前記基部32を拘束するとともに、当該中段の短絡部材30の第1中間挟持部54に対するコネクタ左右方向への相対変位を規制するように前記両第2短絡側端子部36を拘束する。換言すれば、前記複数の第1及び第2拘束用突出部54b,54cは、前記最下段の短絡部材30の基部32及び各第1及び第2短絡側
端子部34,36の根元部分が嵌まり込むことが可能な凹部であって前記上側挟持面54aを底面とする凹部54dを囲むように配置されている。
【0044】
前記一対の位置決め用孔54eは、前記第1中間挟持部54と前記第2中間挟持部56との相対位置を固定するための孔であり、上向きに開口(すなわち前記第2中間挟持部56に向かって開口)している。
【0045】
前記下側挟持面54fは、前記第1中間挟持部54の下面により構成され、前記最下段の短絡部材30の上面に対向する。つまり、この下側挟持面54fは、下を向きかつ
図4に示されるように前記最下段の短絡部材30の上側に配置される。換言すれば、当該下側挟持面54fは、前記下側挟持部52の挟持面52aと互いに上下方向に対向するように配置され、当該挟持面52aとともに前記最下段の短絡部材30の挟持に寄与する。
【0046】
前記一対の位置決め用突起54gは、前記下側挟持部52における一対の位置決め用孔52eにそれぞれ対応する位置において、前記下側挟持面54fよりも下向きに突出する。当該一対の位置決め用突起54gは、前記下側挟持部52上への前記第1中間挟持部54の積層の際に前記一対の位置決め用孔52eにそれぞれ嵌まり込むことにより、当該下側挟持部52と当該第1中間挟持部54との相対位置を固定する。
【0047】
前記複数の第3拘束用突出部54hは、前記最下段の短絡部材30における基部32に形成された前記複数のパイロット用貫通穴32hにそれぞれ対応する位置において、前記下側挟持面54fよりも下向きに突出する。当該複数の第3拘束用突出部54hは、前記各パイロット用貫通穴32h内に嵌まり込むことにより、前記第1中間挟持部54に対する前記最下段の短絡部材30の相対変位(当該短絡部材30の厚み方向と直交する方向すなわち第1及び第2突出方向並びにコネクタ左右方向の相対変位)を規制するように、前記基部32を拘束する。すなわち、前記各第3拘束用突出部54hは、挟持位置において基部32のパイロット用貫通穴32hに挟持方向と平行な方向に挿入される貫通穴挿入突出部に相当する。
【0048】
前記一対の被係止用突起54kは、短絡部材保持部50全体が前記外側部40内に係止されることを可能にするための突起である。当該一対の被係止用突起54kは、前記第1中間挟持部54のコネクタ左右方向の両側面に形成され、当該コネクタ左右方向の外向きにそれぞれ突出する。
【0049】
前記第1中間挟持部54には、さらに、前記最下段の短絡部材30の各第1短絡側端子部34に対応した複数の下側電線側端子受入れ凹部54u及び前記中段の短絡部材30の各第1短絡側端子部34に対応した複数の上側電線側端子受入れ凹部54tが形成されている。前記下側電線側端子受入れ凹部54uは、それぞれ、前記下側挟持部52に形成された電線側端子受入れ凹部52tとともに前記最下段の短絡部材30における各第1短絡側端子部34に嵌合されるべき電線側端子20の電気接触部24をそれぞれ受け入れる形状を、有する。前記上側電線側端子受入れ凹部54tは、それぞれ、前記中段の短絡部材30における各第1短絡側端子部34に嵌合されるべき電線側端子20の電気接触部24をそれぞれ受け入れる形状を有する。
【0050】
前記第2中間挟持部56は、前記第1中間挟持部54における被係止用突起54kに相当する突起を有しない点を除き、当該第1中間挟持部54と同一の形状を有する。つまり、当該第2中間挟持部56は、上側挟持面56a(
図4)と、前記複数の第1及び第2拘束用突出部56b,56cと、一対の位置決め用孔56eと、下側挟持面56f(
図4)と、一対の位置決め用突起56gと、図示されない複数の第3拘束用突出部と、を有する。
【0051】
前記上側挟持面56aは、前記第2中間挟持部56の上面により構成され、前記最上段の短絡部材30の下面に対向する。つまり、この上側挟持面56aは、上を向きかつ
図4に示されるように前記最上段の短絡部材30の下側に配置される。
【0052】
前記複数の第1拘束用突出部56bは、前記最上段の短絡部材30のうち互いに隣接する第1短絡側端子部34同士の間でかつ基部32のすぐ際の位置において前記上側挟持面56aよりも上向きに突出し、これにより、当該最上段の短絡部材30の第2中間挟持部56に対する前記第1突出方向への相対変位を規制するように前記基部32を拘束するとともに、当該最上段の短絡部材30の第2中間挟持部56に対するコネクタ左右方向への相対変位を規制するように前記両第1短絡側端子部34を拘束する。同様に、前記複数の第2拘束用突出部56cは、前記最上段の短絡部材30のうち互いに隣接する第2短絡側端子部36同士の間でかつ基部32のすぐ際の位置において前記上側挟持面56aよりも上向きに突出し、これにより、当該最上段の短絡部材30の第2中間挟持部56に対する前記第2突出方向への相対変位を規制するように前記基部32を拘束するとともに、当該最上段の短絡部材30の第2中間挟持部56に対するコネクタ左右方向への相対変位を規制するように前記両第2短絡側端子部36を拘束する。換言すれば、前記複数の第1及び第2拘束用突出部56b,56cは、前記最上段の短絡部材30の基部32及び各第1及び第2短絡側
端子部34,36の根元部分が嵌まり込むことが可能な凹部であって前記上側挟持面56aを底面とする凹部56dを囲むように配置されている。
【0053】
前記一対の位置決め用孔56eは、前記第2中間挟持部56と前記上側挟持部58との相対位置を固定するための孔であり、上向きに開口(すなわち前記上側挟持部58に向かって開口)している。
【0054】
前記下側挟持面56fは、前記第2中間挟持部56の下面により構成され、前記中段の短絡部材30の上面に対向する。つまり、この下側挟持面56fは、下を向きかつ
図4に示されるように前記中段の短絡部材30の上側に配置される。換言すれば、当該下側挟持面56fは、前記第1中間挟持部54の上側挟持面54aと互いに上下方向に対向するように配置され、当該上側挟持面54aとともに前記中段の短絡部材30の挟持に寄与する。
【0055】
前記一対の位置決め用突起56gは、前記第1中間挟持部54における一対の位置決め用孔54eにそれぞれ対応する位置において、前記下側挟持面56fよりも下向きに突出する。当該一対の位置決め用突起56gは、前記第1中間挟持部54上への前記第2中間挟持部56の積層の際に前記一対の位置決め用孔54eにそれぞれ嵌まり込むことにより、当該第1及び第2中間挟持部54,56の相対位置を固定する。
【0056】
前記複数の第3拘束用突出部は、前記第1中間挟持部54における前記第3拘束用突出部54hと同様に、挟持位置において中段の短絡部材30の基部32のパイロット用貫通穴32hに挟持方向と平行な方向に挿入される貫通穴挿入突出部に相当する。具体的に、前記第2中間挟持部56の複数の第3拘束用突出部は、前記中段の短絡部材30における基部32に形成された前記複数のパイロット用貫通穴32hにそれぞれ対応する位置において、前記下側挟持面56fよりも下向きに突出し、当該各パイロット用貫通穴32h内に嵌まり込むことにより、前記第2中間挟持部56に対する前記中段の短絡部材30の相対変位(当該短絡部材30の厚み方向と直交する方向すなわち第1及び第2突出方向並びにコネクタ左右方向の相対変位)を規制するように、前記基部32を拘束する。
【0057】
前記第2中間挟持部56には、さらに、
図4に示されるように前記中段の短絡部材30の各第1短絡側端子部34に対応した複数の下側電線側端子受入れ凹部56u及び前記最上段の短絡部材30の各第1短絡側端子部34に対応した複数の上側電線側端子受入れ凹部56tが形成されている。前記下側電線側端子受入れ凹部56uは、それぞれ、前記第1中間挟持部54に形成された電線側端子受入れ凹部54tとともに前記中段の短絡部材30における各第1短絡側端子部34に嵌合されるべき電線側端子20の電気接触部24をそれぞれ受け入れる形状を、有する。前記上側電線側端子受入れ凹部56tは、それぞれ、前記最上段の短絡部材30における各第1短絡側端子部34に嵌合されるべき電線側端子20の電気接触部24をそれぞれ受け入れる形状を有する。
【0058】
前記上側挟持部58は、
図15及び
図16にも示すように、一対の被係止用突起58cと、挟持面58fと、一対の位置決め用突起58gと、複数の拘束用突出部58hと、を有する。
【0059】
前記一対の被係止用突起58cは、前記一対の被係止用突起54kと同様、短絡部材保持部50全体が前記外側部40内に係止されることを可能にするための突起である。当該一対の被係止用突起58cは
、本体部58bの上面に形成されてそれぞれ上向きに突出する。
【0060】
前記挟持面58fは、前記本体部58bの下面により構成され、前記最上段の短絡部材30の上面に対向する。つまり、この挟持面58fは、下を向きかつ
図4に示されるように前記最上段の短絡部材30の上側に配置される。換言すれば、当該挟持面58fは、前記第2中間挟持部56の上側挟持面56aと互いに上下方向に対向するように配置され、当該上側挟持面56aとともに前記最上段の短絡部材30の挟持に寄与する。
【0061】
前記一対の位置決め用突起58gは、前記第2中間挟持部56における一対の位置決め用孔56eにそれぞれ対応する位置において、前記挟持面58fよりも下向きに突出する。当該一対の位置決め用突起58gは、前記第2中間挟持部56上への前記上側挟持部58の積層の際に前記一対の位置決め用孔
56eにそれぞれ嵌まり込むことにより、当該第2中間挟持部56と当該上側挟持部58との相対位置を固定する。
【0062】
前記複数の第3拘束用突出部58hは、前記最上段の短絡部材30における基部32に形成された前記複数のパイロット用貫通穴32hにそれぞれ対応する位置において、前記挟持面58fよりも下向きに突出する。当該複数の第3拘束用突出部58hは、前記各パイロット用貫通穴32h内に嵌まり込むことにより、前記上側挟持部58に対する前記最上段の短絡部材30の相対変位(当該短絡部材30の厚み方向と直交する方向すなわち第1及び第2突出方向並びにコネクタ左右方向の相対変位)を規制するように、前記基部32を拘束する。すなわち、前記各第3拘束用突出部58hは、挟持位置において基部32のパイロット用貫通穴32hに挟持方向と平行な方向に挿入される貫通穴挿入突出部に相当する。
【0063】
前記上側挟持部58には、さらに、前記最上段の短絡部材30の各第1短絡側端子部34に対応した複数の電線側端子受入れ凹部58uが形成されている。前記電線側端子受入れ凹部58uは、それぞれ、前記第2中間挟持部56に形成された上側電線側端子受入れ凹部56tとともに前記最上段の短絡部材30における各第1短絡側端子部34に嵌合されるべき電線側端子20の電気接触部24をそれぞれ受け入れる形状を、有する。
【0064】
前記短絡部材保持部50は、さらに、挟持固定部に相当する挟持固定用アーム59を含む。この挟持固定用アーム59は、両外側挟持部である下側挟持部52と上側挟持部58を相互に連結することにより前記挟持部52,54,56及び58の相対位置を一括して挟持位置、つまり前記各短絡部材30を挟持することが可能な位置、に固定する。
【0065】
この実施の形態に係る前記挟持固定用アーム59は、前記両外側挟持部の一方である前記上側挟持部58と一体につながるように形成されている。具体的に、当該挟持固定用アーム59は、前記上側挟持部58のコネクタ左右方向の両端部から下方に延び、前記両外側挟持部の他方である前記下側挟持部52に至っている。各挟持固定用アーム59の下端部の内側面には、当該内側面よりも内側に突出する係止用突起59jが形成されている。これに対し、前記下側挟持部52並びに第1及び第2中間挟持部54,56のコネクタ左右方向の両側面には、前記挟持固定用アーム59が嵌まり込むことが可能な凹部52i,54i及び56iが形成され、さらに下側挟持部52の凹部52iの底面には前記係止用突起59と係合することにより前記挟持固定用アーム59に係止される被係止用突起52jが形成されている。
【0066】
前記外側部40のケーシング部44は、前記のように構成された短絡部材保持部50全体を収容し、保持する。前記ケーシング部44と前記端子保持部43との境界には
図4及び
図5に示すような段部45が形成され、この段部45が前記短絡部材保持部50の端子保持部43側の端を拘束する。さらに、前記ケーシング部44は前記短絡部材保持部50に含まれる前記一対の被係止用突起54k及び前記一対の被係止用突起58cとそれぞれ当接することにより前記短絡部材保持部50を前記段部45と反対の側から拘束する拘束面44k(
図3)及び拘束面44c(
図1及び
図3)を含む。
【0067】
前記フード部46は、前記短絡部材保持部50から突出する前記各第2短絡側端子部36を包囲するとともに、前記相手方コネクタCCのハウジングの挿入を受け入れる形状を有する。このように、このフード部46は、前記各第2短絡側端子部36とともに、前記相手方コネクタCCと結合可能なコネクタ部分を構成する。
【0068】
以上説明したジョイントコネクタでは、前記下側挟持部52、第1中間挟持部54及び第2中間挟持部56のそれぞれの凹部52d,54d及び56dに短絡部材30を嵌め込むことと、前記挟持部52,54,56及び58をその順に積層して挟持固定用アーム59により下側挟持部52と上側挟持部58とを拘束することと、このようにして構築された短絡部材保持部50を外側部40内に格納し固定することと、により、絶縁ハウジングHG内に各短絡部材30を保持することができる。そして、この状態で各短絡側端子部34,36に電線側端子20及び相手方コネクタCCの端子を嵌合することにより、良好な短絡回路を形成することができる。
【0069】
ここで、前記短絡部材保持部50を構成する各挟持部52,54,56,58が前記各短絡部材30を上下方向から挟持するとともに、そのうちの下側挟持部52並びに第1及び第2中間挟持部54,56が前記短絡部材30を前記第1及び第2突出方向について拘束する第1及び第2拘束用突出部52b,52c,54b,54c,56b,56外側をそれぞれ有するので、当該短絡部材保持部50へのタイトな圧入を要することなく短絡部材保持部50が前記各短絡部材30をこれに作用する嵌合力に対抗するのに十分な保持力で保持することが可能である。
【0070】
なお、本発明は以上説明した実施の形態に限定されない。本発明は例えば次のような形態を含むことが可能である。
【0071】
(1)短絡部材の形状及びこれに対応する短絡部材拘束部について
本発明に係る短絡部材は、前記短絡部材30のように、基部32から第1及び第2突出方向の両方向に短絡側端子部34,36がそれぞれ突出するものに限定されない。例えば、本発明に係る短絡部材は、基部からその長手方向である短絡方向に対して交差する一方向にのみ短絡側端子部が突出するものでもよい。
【0072】
挟持部に設けられる短絡部材拘束部の形状も、前記短絡部材の具体的な形状に応じて適宜設定されることが可能である。前記第1中間挟持部54を例にとると、本発明に係る挟持部は当該第1中間挟持部54の第1〜第3拘束用突出部54b,54c,54hのうちの一部の拘束用突出部のみを含むものであってもよい。要は、短絡部材に対して作用する嵌合力(端子突出方向と平行な方向の外力)に対抗して当該短絡部材を保持できるだけの保持力を発揮できるものであればよい。
【0073】
(2)短絡部材の圧入について
本発明は、短絡部材保持部への短絡部材の圧入を完全に排除する趣旨ではない。例えば、前記実施の形態に係る凹部52d,54d,56dに対して短絡部材30が軽い圧入状態で嵌め込まれるものは除外されない。当該圧入は短絡部材30の保持に直接は寄与しないので、当該圧入の抵抗を減らして挟持部52,54,56や短絡部材30の破損を回避することが可能である。
【0074】
(3)短絡部材の個数について
本発明に係るジョイントコネクタの短絡部材保持部は、単一の短絡部材のみを保持するものであってもよい。ただし、前記のように複数の短絡部材を備えることにより、さらに多くの電線同士の短絡を行うことが可能になる。そして、この場合に、前記複数の短絡部材が前記挟持方向と平行な方向に配列されるとともに、前記短絡部材保持部が特定の短絡部材の第2挟持部とこれに隣接する短絡部材の第1挟持部として共用される共用挟持部を含むことにより、部品点数の少ない構造で効率よく各短絡部材を保持することが可能になる。
【0075】
(4)挟持固定部について
本発明に係る挟持固定部は、第1挟持部及び第2挟持部の相対位置を固定するものであればよい。例えば前記実施の形態に係る下側挟持部52と第1中間挟持部54との間、第1中間挟持部54と第2中間挟持部56との間、第2中間挟持部56と上側挟持部58との間、のそれぞれに挟持固定部が設けられてもよい。ただし、前記実施の形態に係る挟持固定用アーム59のように、両外側挟持部(当該実施の形態では下側挟持部52と上側挟持部58)を相互連結するものは、簡素な構造で全挟持部の相対位置を固定できる利点がある。
【0076】
また、当該挟持固定部は、前記挟持固定用アーム59のように一部の挟持部と一体に形成されるものに限定されず、例えば各挟持部とは別の部材として構成されたものでもよい。
【0077】
(5)絶縁ハウジングについて
本発明では、絶縁ハウジングの具体的な構造を問わない。例えば、前記実施の形態に係る外側部40の一部または全部を省略することも可能である。