(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材と当該基材表面に接着された表皮材とからなり、糸を表皮材の表面側から前記基材の裏面側まで挿通して、当該糸のループ部分を前記基材の裏面側に挿通した糸と隣接して形成した糸掛止部に引っ掛けて前記表皮材の表面にステッチ模様を形成する内装部品の製造方法であって、
前記糸を先端部に係合した縫い針を備え、前記ステッチ模様の縫目の位置で、前記縫い針の先端部を前記基材の裏面側であって前記糸掛止部の先端部を越える位置まで挿通させるとともに、前記縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させた後に、前記縫い針を前記表皮材の表面側へ引き抜くことを特徴とする内装部品の製造方法。
基材と当該基材表面に接着された表皮材とからなり、糸を表皮材の表面側から前記基材の裏面側に挿通して、当該糸のループ部分を前記基材の裏面側に挿通した糸と隣接して形成した糸掛止部に引っ掛けてステッチ模様が形成される内装部品の製造方法であって、
前記糸を先端部に係合した縫い針を備え、前記ステッチ模様の縫目の位置で、前記縫い針の先端部が前記基材の裏面側であって前記糸掛止部の先端部を越える位置まで挿通させた後に、前記縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させながら前記表皮材の表面側へ引き抜くことを特徴とする内装部品の製造方法。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の内装部品においては、硬質の合成樹脂からなる基材表面を柔らかい表皮材で覆い、その表皮材の表面にシボ模様とステッチ模様とを施すことによって、デザイン上の見栄えを向上し、高級感やソフト感を醸す工夫がなされている。
このステッチ模様を糸の縫製によって形成する方法として、例えば、表皮材を基材に接着した上で、表皮材の表面側から縫い付けた上糸を基材の裏側に沿わした下糸に絡ませて縫製(通常のミシン縫い)する方法が、一般に知られている。
しかし、この通常のミシン縫いによる縫製方法では、縫う対象物である基材の裏面側に設け、ボビン等に収納した下糸を保持して上糸に絡ませる下糸供給装置が必要となる。ところが、自動車の内装部品においては、基材の裏面側に突設する補強リブや各種部品を取り付ける取付リブ等が形成されている場合が多い。そのため、ステッチ模様を形成する領域で、基材の裏面側に上記下糸供給装置を配置することは、リブ等による形状的制約が大きく、必ずしも簡単なことではない。
【0003】
この問題に対応するため、下糸を使用せず、上糸だけでステッチ模様を形成した装飾部材及びその製造方法が、特許文献1に開示されている(
図10及び
図11を参照)。
すなわち、特許文献1には、合成樹脂製の基材101に貫通形成された挿通孔102に、該基材の表面側から糸挿通手段103で糸104を挿通して(
図10及び
図11の(a)、(b)を参照)、該基材101の裏面側に前記糸によるループ部分105を形成し(
図10及び
図11の(c)を参照)、前記糸挿通手段103の該挿通孔102からの引き抜きに伴い、前記基材101の裏面における前記挿通孔102の周辺に突設された糸掛止部106に前記ループ部分105を引っ掛けて(
図10及び
図11の(d)を参照)、前記基材101の表面にステッチ模様109を設けること(
図10及び
図11の(e)を参照)を特徴とする装飾部材の製造方法が記載されている。また、特許文献1には、より具体的な製造方法として、ループ部分105に糸引掛手段107を挿通させ(
図10(c)を参照)、前記糸引掛手段107を糸掛止部106の突出端に当接させて、前記ループ部分105を糸掛止部106に引っ掛けるようにした方法(
図10(d)を参照)と、ループ部分105に空気噴出手段108により空気を吹き付け(
図11(c)を参照)、ループ部分105を前記糸掛止部106側へ変形させて該糸掛止部106に引っ掛けるようにした方法(
図11(d)を参照)とが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術には、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1の技術は、基材101に貫通形成された挿通孔102に、該基材101の表面側から糸挿通手段103で糸104を挿通して、該基材101の裏面側に糸によるループ部分105を形成するので、基材101には、レーザー加工機やドリル加工機等によって、予め貫通孔102を形成する必要がある。そのため、レーザー加工機やドリル加工機等の設備費が増加するとともに、それらの加工費用が増大する問題があった。
また、糸のループ部分105は、糸挿通手段103を基材101の表面側へ引き抜くとき、貫通孔102の摩擦力によって糸104の戻りが拘束されるので、糸挿通手段103とともに挿通された糸104が、その挿通方向に対して左右方向へ湾曲することによって形成される。すなわち、糸のループ部分105は、糸挿通手段103の軸心を含む垂直平面上に広がる輪として形成される。したがって、糸のループ部分105は、挿通孔102に隣接した位置に、基材101の裏面から外方へ突出した糸掛止部106と交差する方向には、輪が形成されにくいので、ループ部分105を糸掛止部106に引っ掛けることは容易ではない。
また、ループ部分105に糸引掛手段107を挿通させ、糸引掛手段107を糸掛止部106の突出端に当接させて、ループ部分105を糸掛止部106に引っ掛ける方法においても、糸引掛手段107をループ部分105の輪の中を潜らせてから、糸掛止部106の突出端に当接させるためには、糸引掛手段107を複雑な方向に操作させる必要がある。そのため、基材101の裏側で糸引掛手段107を操作する専用装置(図示せず)を設けなければならず、その専用装置の設置スペース上の問題や、設備費上の問題があった。
また、ループ部分105に空気噴出手段108により空気を吹き付け、ループ部分105を糸掛止部106側へ変形させて該糸掛止部106に引っ掛ける方法においても、基材101の斜め下方から吹き付ける空気の流れが、基材101の裏面側に形成された補強リブ等に邪魔されて安定せず、ループ部分105を糸掛止部106に引っ掛けることは容易ではない。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、基材と当該基材表面に接着された表皮材とからなり、糸を表皮材の表面側から挿通して、糸のループ部分を基材の裏面側に形成した糸掛止部に引っ掛けて表皮材の表面にステッチ模様を形成する内装部品の製造方法であって、簡単な構造で、かつ安定して、糸のループ部分を糸掛止部に引っ掛けることができる内装部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る内装部品の製造方法は、次のような構成を有している。
(1)基材と当該基材表面に接着された表皮材とからなり、糸を表皮材の表面側から前記基材の裏面側まで挿通して、当該糸のループ部分を前記基材の裏面側に挿通した糸と隣接して形成した糸掛止部に引っ掛けて前記表皮材の表面にステッチ模様を形成する内装部品の製造方法であって、
前記糸を先端部に係合した縫い針を備え、前記ステッチ模様の縫目の位置で、前記縫い針の先端部を前記基材の裏面側であって前記糸掛止部の先端部を越える位置まで挿通させるとともに、前記縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させた後に、前記縫い針を前記表皮材の表面側へ引き抜くことを特徴とする。
【0008】
本発明においては、糸を先端部に係合した縫い針を備え、ステッチ模様の縫目の位置で、縫い針の先端部を基材の裏面側であって糸掛止部の先端部を越える位置まで挿通させるとともに、縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させるので、基材の裏面側に挿通された糸は、縫い針の先端部に係合する位置から基材裏面に挿入する位置に向けて、縫い針の軸部に沿って略螺旋状に巻回された螺旋部を形成することができる。また、その後に、縫い針を表皮材の表面側へ引き抜くので、略螺旋状に巻回された螺旋部が、縫い針の外周方向へ水平状に膨出された糸のループ部分を形成することができる。そのため、糸のループ部分が、基材の裏面側で糸掛止部を外周側から包囲して、糸のループ部分を糸掛止部に安定して引っ掛けることができる。その結果、縫い針を軸中心に回転させる簡単な構造で、糸のループ部分を糸掛止部に確実に引っ掛けて、ステッチ模様が形成された内装部品を製造することができる。なお、縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させるタイミングは、縫い針の先端部が基材の裏面側であって糸掛止部の先端部を越える位置まで挿通させる途中でも、縫い針の先端部が基材の裏面側であって糸掛止部の先端部を越える位置まで挿通させた後でも、良い。
よって、本発明によれば、簡単な構造で、かつ安定して、糸のループ部を糸掛止部に引っ掛けることができる内装部品の製造方法を提供することができる。
【0009】
(2)基材と当該基材表面に接着された表皮材とからなり、糸を表皮材の表面側から前記基材の裏面側に挿通して、当該糸のループ部分を前記基材の裏面側に挿通した糸と隣接して形成した糸掛止部に引っ掛けてステッチ模様が形成される内装部品の製造方法であって、
前記糸を先端部に係合した縫い針を備え、前記ステッチ模様の縫目の位置で、前記縫い針の先端部が前記基材の裏面側であって前記糸掛止部の先端部を越える位置まで挿通させた後に、前記縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させながら前記表皮材の表面側へ引き抜くことを特徴とする。
【0010】
本発明においては、糸を先端部に係合した縫い針を備え、ステッチ模様の縫目の位置で、縫い針の先端部が基材の裏面側であって糸掛止部の先端部を越える位置まで挿通させた後に、縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させながら表皮材の表面側へ引き抜くので、基材の裏面側に挿通された糸は、縫い針の先端部が基材裏面に近接するに従って、縫い針の軸部から離間しながら略螺旋状に巻回され、縫い針の外周方向へ略水平状に膨出された糸のループ部分を形成することができる。このループ部分は、徐々に拡径しながら、糸掛止部を外周側から包囲することができる。また、縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させながら表皮材の表面側へ引き抜くので、縫い針の引き抜きに伴う基材からの摩擦抵抗を軽減させることができ、縫い針の折損を抑制させることができる。そのため、縫い針に無理な負担を掛けずに、糸のループ部分の輪が、基材の裏面側で糸掛止部を包囲して、糸のループ部分を糸掛止部に安定して引っ掛けることができる。その結果、縫い針の耐久性を向上させつつ、軸中心に回転させる簡単な構造で、糸のループ部分を糸掛止部に確実に引っ掛けて、ステッチ模様が形成された内装部品を製造することができる。
よって、本発明によれば、簡単な構造で、かつ安定して、糸のループ部を糸掛止部に引っ掛けることができる内装部品の製造方法を提供することができる。
【0011】
(3)(1)又は(2)に記載された内装部品の製造方法において、
前記縫い針を軸中心に回転させる所定角度は、90°〜180°の範囲内であることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、縫い針を軸中心に回転させる所定角度は、90°〜180°の範囲内であるので、縫い針の外周方向へ水平状に膨出された糸のループ部分における、縫い針の外周側への突出量を適正に形成させることができる。すなわち、縫い針を軸中心に回転させる所定角度が90°未満の場合では、縫い針の軸周りに形成される螺旋部の周長が短いので、縫い針を引き抜いたとき縫い針の外周側へ湾曲させるループ部分の突出量が小さくなり、糸のループ部分が糸掛止部を包囲しにくくなる。また、縫い針を軸中心に回転させる所定角度が180°を越える場合では、縫い針の両側に形成される左右のループ部分が糸掛止部を2重に包囲するようになり、糸同士の絡みや無駄が生じやすくなる。その結果、糸同士の絡みや無駄を抑制しつつ、糸のループ部分の輪が、基材の裏面側で糸掛止部を適正に包囲して、糸のループ部分を糸掛止部により安定して引っ掛けることができる。
【0013】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された内装部品の製造方法において、
前記基材には、前記ステッチ模様の縫目の位置で前記表皮材側に向けて拡幅された略円錐状の凹案内部を備え、前記縫い針の先端部が前記凹案内部に案内されて、その底中心部を挿通することを特徴とする。
【0014】
本発明においては、基材には、表皮材側に向けて拡幅された略円錐状の凹案内部を備え、縫い針の先端部が凹案内部に案内されて、その底中心部を挿通するので、縫い針の軸心方向と基材の法線方向とが多少異なっていても、所定のステッチ模様を安定して形成することができる。また、縫い針は、略円錐状の凹案内部の底中心部である薄肉状の基材を挿通するので、挿通時における縫い針の負荷が減り、縫い針の耐久性を向上させることができる。また、表皮材側に向けて拡幅された略円錐状の凹案内部は、基材の射出成形時に負角となり難いので、簡単に形成することができる。その結果、縫い針の耐久性を向上させつつ、簡単な構造で、糸のループ部分の輪が、基材の裏面側で糸掛止部を適正に包囲して、糸のループ部分を糸掛止部により安定して引っ掛けることができる。
なお、略円錐状の凹案内部は、基材の法線方向に対して、対称に形成しても、非対称に形成してもよい。略円錐状の凹案内部を非対称に形成することによって、ステッチ模様の風合いを変更することができる。
【0015】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された内装部品の製造方法において、
前記縫い針は、当該縫い針を前記基材に挿通するとき又は前記基材から引き抜くときに、前記基材から前記縫い針に作用する摩擦力を前記縫い針をその軸中心に回転させる回転力に変換する回転機構を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、縫い針は、当該縫い針を基材に挿通するとき又は基材から引き抜くときに、基材から縫い針に作用する摩擦力を縫い針をその軸中心に回転させる回転力に変換する回転機構を備えているので、縫い針の先端部を基材の裏面側であって糸掛止部の先端部を越える位置まで挿通させるとき、又は上記位置まで挿通した縫い針を表皮材の表面側へ引き抜くときに、回転機構によって縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させることができる。そのため、縫い針をその軸中心に所定角度だけ回転させるために、専用の回転駆動装置を設ける必要がない。その結果、より一層簡単な構造で、かつ安定して、糸のループ部分を糸掛止部に引っ掛けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基材と当該基材表面に接着された表皮材とからなり、糸を表皮材の表面側から挿通して、糸のループ部を基材の裏面側に形成した糸掛止部に引っ掛けてステッチ模様を形成する内装部品の製造方法であって、簡単な構造で、かつ安定して、糸のループ部を糸掛止部に引っ掛けることができる内装部品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る実機形態である内装部品の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係る内装部品の製造方法によって形成するステッチ模様を備えた内装部品の構造について説明する。次に、そのステッチ模様を上糸のみで形成する方法(2つの実施例)を説明する。更に、縫い針の回転機構について説明する。
【0020】
<ステッチ模様を備えた内装部品の構造>
まず、本実施形態に係る内装部品の製造方法によって形成するステッチ模様を備えた内装部品の構造を、
図1〜
図4を用いて説明する。
図1に、本発明に係る実施形態である内装部品の製造方法によって製造した内装部品の部分斜視図を示す。
図2に、
図1に示すA―A断面図を示す。
図3に、
図1に示すB―B断面図を示す。
図4に、
図1に示す基材を射出成形する成形型の部分断面図を示す。
【0021】
図1〜
図3に示すように、本内装部品10は、例えば、車両の運転席及び助手席の前方に配置するインストルメントパネルであって、所要の形状に形成された合成樹脂からなる基材1と、基材表面11に接着された軟質の熱可塑性樹脂からなる表皮材2とから構成されている。表皮材2は、ドット表示で示したように、基材1の表面11に沿って延設されている。表皮材2の表面には、例えば、車両左右方向に延びるステッチ模様3が形成されている。
【0022】
また、表皮材2は、表面側の延性に優れた表皮21と基材側の発泡層22とで構成されている。表皮21には、高級感やソフト感を醸すため、革調のシボ模様が形成されている。なお、基材1は、例えば、射出成形されたポリプロピレン(PP)樹脂製である。表皮21は、例えば、0.5〜0.8mm程度の厚さを有するオレフィン系エラストマ(TPO)製である。発泡層22は、例えば、3〜4mm程度の厚さを有するポリプロピレンフォーム(PPF)製である。
【0023】
また、ステッチ模様3は、例えば、前後2列のアウターステッチ部3A、3Bがインナーステッチ部3Cを間に挟んで形成されたダブルステッチ構造である。車両後方に位置するアウターステッチ部3A及び車両前方に位置するアウターステッチ部3Bには、それぞれ所定ピッチ毎に糸の縫目3A1、3B1が形成され、縫目3A1、3B1同士の間は飾り糸3A2、3B2が表皮21に沿って露出されている。
【0024】
また、ステッチ模様3の縫目3A1、3B1の位置では、飾り糸3A2、3B2を表皮材2の表面側から基材1の裏面側まで挿通して、当該糸のループ部分3A3、3B3が、基材裏面12側に挿通した糸と隣接して形成した糸掛止部16に引っ掛けられている。糸のループ部分3A3、3B3は、糸掛止部16を外周側から包囲するように、引っ掛けられている。なお、糸のループ部分3A3、3B3と糸掛止部16とは、ステッチ模様3の縫製が完了してから、基材1の裏面側から接着剤を塗布して固定させること、又は糸掛止部16を熱変形させて固定させることが可能である。糸のループ部分3A3、3B3を糸掛止部16に引っ掛ける手順は、後で詳述する。
【0025】
基材1には、ステッチ模様3の縫目3A1、3B1の位置で、表皮材2側に向けて拡幅された略円錐状の凹案内部13が形成されている。凹案内部13の底中心部14は、基材1が薄肉状に形成されている。底中心部14には、縫い針5(
図5、
図6を参照)によって穿設された挿通孔15が形成されている。挿通孔15に隣接した位置には、基材裏面12から下方に突設した糸掛止部16が形成されている。糸掛止部16は、基端部が略楕円状に形成され、先端部が先細りとなるように形成されている。
【0026】
また、
図4に示すように、基材1に形成された凹案内部13、底中心部14、及び糸掛止部16は、基材1を射出成形する成形型4によって形成する。具体的には、成形型4には、可動型41と固定型42とを備え、可動型41に凹案内部13の成形面を備え、固定型42に糸掛止部16の成形面を備えている。この場合、凹案内部13の傾斜面131、132を基材表面11の法線P1に対して傾斜角θ3、θ4が非対称となるように形成してもよい。傾斜角θ3、θ4を非対称とすることによって、ステッチ模様3の風合いを変えることができ、また、型抜き方向Xに対する負角を回避することもできる。また、糸掛止部16を下端部が先細りとなるように形成することによって、型抜き方向Xに対する負角を回避することもでき、かつ、糸掛止部16に対する糸のループ部分3A3、3B3の引っ掛けをスムーズに行うことができる。
【0027】
また、
図1、
図2に示すように、各アウターステッチ部3A、3Bには、飾り糸3A2、3B2の長手方向両側に位置し、表皮材2の表皮21が基材側に向けて傾斜するダレ部211、212が真空成形によって形成されている。ダレ部211、212は、飾り糸3A2、3B2の下方の基材表面11における法線P1に対して非対称に傾斜して形成されている。乗員mと近い位置に形成されたダレ部211の上記法線P1に対する傾斜角θ1は、乗員mと遠い位置に形成されたダレ部212の上記法線P1に対する傾斜角θ2より大きく形成することが好ましい。これによって、飾り糸3A2、3B2に向けた乗員mの視線m1が、傾斜角θ1の大きい手前のダレ部211によって遮られるおそれが減少し、ステッチ模様3の見栄えを向上させることができる。
【0028】
<ステッチ模様を形成する方法>
次に、本実施形態に係る内装部品の製造方法において、ステッチ模様を形成する方法を、
図5〜
図9を用いて説明する。
図5に、本発明に係る実施形態である内装部品のステッチ模様を形成する方法(第1実施例)を表す断面図を示す。ここで、(a)は、縫い針を挿通する前の状態を示し、(b)は、縫い針を軸中心に所定角度回転させながら基材に挿通した状態を示し、(c)は、縫い針を表皮材の表面側へ引き抜く途中の状態を示し、(e)は、縫い針を引き抜き、糸のループ部分を糸掛止部に引っ掛けた状態を示す。
図6に、本発明に係る実施形態である内装部品のステッチ模様を形成する方法(第2実施例)を表す断面図を示す。ここで、(a)は、縫い針を挿通する前の状態を示し、(b)は、縫い針をそのまま基材に挿通した状態を示し、(c)は、縫い針を軸中心に所定角度回転させながら表皮材の表面側へ引き抜く途中の状態を示し、(e)は、縫い針を引き抜き、糸のループ部分を糸掛止部に引っ掛けた状態を示す。
【0029】
(第1実施例)
図5に示すように、本内装部品のステッチ模様を形成する方法(第1実施例)は、以下の手順で飾り糸3Sを表皮材2及び基材1に縫製する。
まず、
図5(a)に示すように、縫製前の飾り糸3Sを先端部51に係合した縫い針5を、ステッチ模様の縫目の位置で、表皮材2の上方に配置する。縫い針5は、基材1に対して垂直状に起立させる。また、縫い針5の先端部51は、基材1に形成された凹案内部13の底中心部14に対向させる。
【0030】
次に、
図5(b)に示すように、縫い針5の先端部51を基材1の裏面側であって糸掛止部16の先端部161を越える位置まで、矢印Pの方向へ挿通させるとともに、縫い針5をその軸中心に所定角度だけ、矢印Mの方向へ回転させる。縫い針5の先端部51を基材1の裏面側へ挿通させるときに、基材1の底中心部14には、縫い針5と飾り糸3の断面からなる挿通孔15が形成される。そのため、縫い針5をその軸中心に所定角度だけ回転させた場合、基材1の裏面側に挿通された飾り糸3Sは、縫い針5の先端部51に係合する位置では所定角度だけ回転するが、基材裏面12に挿入された位置では、挿通孔15によって拘束されて軸中心に回転しない。したがって、基材1の裏面側に挿通された飾り糸3Sは、縫い針5の先端部51に係合する位置から基材裏面12に挿入する位置に向けて、縫い針5の軸部52に沿って略螺旋状に巻回された螺旋部3SRを形成する。なお、縫い針5をその軸中心に所定角度だけ回転させるタイミングは、縫い針5の先端部51が基材1の裏面側であって糸掛止部16の先端部を越える位置まで挿通させる途中でも、縫い針5の先端部51が基材1の裏面側であって糸掛止部16の先端部を越える位置まで挿通させた後でも、良い。
【0031】
次に、
図5(c)に示すように、縫い針5を表皮材2の表面側へ引き抜くことによって、縫い針5の先端部51を基材裏面12に近接させる。これによって、縫い針5の軸部52に沿って略螺旋状に巻回された螺旋部3SRが、縫い針5の外周方向へ水平状に膨出された飾り糸3Sのループ部分3Tを形成する。このループ部分3Tは、糸掛止部16を外周側から包囲する。なお、
図5(b)に示す、縫い針5の先端部51に係合した飾り糸3Sから糸掛止部16の先端部161までの距離Hは、上記ループ部分3Tが、ある程度の余裕をもって糸掛止部16を外周側から包囲できるように設定する。
【0032】
そして、
図5(d)に示すように、縫い針5を表皮材2の表面側へ完全に引き抜くと、飾り糸3Sのループ部分3Tが、縮径されて糸掛止部16に係止される。その結果、ステッチ模様における飾り糸3Sのループ部分3B3(3A3)を糸掛止部16に安定して引っ掛けることができる。縫い針5を表皮材2の表面側の所定位置まで引き抜いた後、縫い針5を先程と逆方向(矢印Nの方向)へ回転させて、次の縫目の位置まで移動させ、上述した動作を繰り返す。
【0033】
(第2実施例)
図6に示すように、本内装部品のステッチ模様を形成する方法(第2実施例)は、以下の手順で飾り糸3Sを表皮材2及び基材1に縫製する。
第2実施例の手順は、
図6(b)に示すように、縫い針5の先端部51を基材1の裏面側であって糸掛止部16の先端部161を越える位置まで挿通させた後に、
図6(c)に示すように、縫い針5をその軸中心に所定角度だけ回転させながら表皮材2の表面側へ引き抜くことが、前述した第1実施例の手順と異なる。ここでは、相違点のみを詳述する。
図6(a)及び
図6(d)の手順は、
図5(a)及び
図5(d)の手順と同様であるので、詳細な説明は割愛する。
【0034】
図6(b)に示すように、基材1の裏面側に挿通された飾り糸3Sは、縫い針5の先端部51に係合する位置から基材裏面12に挿入する位置まで、直線状に形成される。したがって、この段階では、基材1の裏面側に挿通された飾り糸3Sは、第1実施例のように、縫い針5の軸部52に沿って略螺旋状に巻回された螺旋部3SRを形成しない。
【0035】
しかし、次に、
図6(c)に示すように、縫い針5をその軸中心に所定角度だけ回転させながら表皮材2の表面側へ引き抜くので、基材1の裏面側に挿通された飾り糸3Sは、縫い針5の先端部51が基材裏面12に近接するに従って、縫い針5の軸部52から離間しながら略螺旋状に巻回され、縫い針5の外周方向へ水平状に膨出された飾り糸3Sのループ部分3Tを形成する。このループ部分3Tは、徐々に拡径しながら、糸掛止部16を外周側から包囲する。糸掛止部16の先端部161は、先細りに形成されているので、飾り糸3Sのループ部分3Tを糸掛止部16にスムーズに包囲することができる。
【0036】
(縫い針の回転角度)
次に、縫い針の回転角度を、
図7を用いて詳細に説明する。
図7に、
図5及び
図6において糸を先端部に係合した縫い針を基材の裏面側に挿通した状態を表す平面図を示す。ここで、(a)は、縫い針を挿通した状態を示し、(b)は、縫い針を軸中心に所定角度だけ回転させて基材裏面まで引き抜き、糸のループ部分を形成した状態を示す。
【0037】
図7(a)に示すように、縫い針5の先端部51に係合した飾り糸3Sを基材1の裏面側に挿通するときには、挿入した箇所の飾り糸3T2と基材1の裏面側に突設された糸掛止部16とが干渉しないように、縫い針5を基材1に挿通する。例えば、縫い針5の軸心に対する先端部51に形成した飾り糸3Sを挿通する糸孔511の方向と、縫い針5の軸心に対する糸掛止部16の方向とがなす内角α1を30°〜40°程度とする。
【0038】
図7(b)に示すように、縫い針5の軸中心に回転させる所定角度α2は、少なくとも上記内角α1より大きく形成する必要がある。また、所定角度α2が90°未満の場合では、縫い針5の軸周りに形成される螺旋部の周長が短いので、縫い針5を引き抜いたとき縫い針5の外周側へ湾曲させるループ部分3Tの突出量が小さくなり、そのループ部分3Tが糸掛止部16を包囲しにくくなる。また、縫い針5を軸中心に回転させる所定角度α2が180°を越える場合では、縫い針5の両側に形成される左右のループ部分3T、3Tが糸掛止部16を2重に包囲するようになり、糸同士の絡みや無駄が生じやすくなる。
その結果、縫い針5を軸中心に回転させる所定角度α2は、90°〜180°の範囲内であることが好ましい。
以上の手順によれば、本内装部品10の表皮材2の表面に、上糸(飾り糸3S)のみによって、ステッチ模様3を形成することができる。
【0039】
(縫い針の回転機構)
次に、本内装部品のステッチ模様を形成する方法(第1実施例、第2実施例)に使用可能な縫い針5の回転機構について、
図8、
図9を用いて説明する。
図8に、
図5に示す第1実施例に使用可能な縫い針を軸中心に所定角度だけ回転させる回転機構の正面図を示す。(a)は、縫い針が回転前の状態を示し、(b)は、縫い針が回転後の状態を示す。
図9に、
図6に示す第2実施例で使用可能な縫い針を軸中心に回転させる回転機構を備の正面図である。(a)は、縫い針が回転前の状態を示し、(b)は、縫い針が回転後の状態を示す。
【0040】
まず、
図8に示す回転機構を説明する。
図8(a)に示すように、縫い針5の軸部52は、円筒状の保持器61Aを有する回転機構6A(6)に装着されている。縫い針5の軸部52には、上端に円盤状の鍔部53が形成され、鍔部53の外周側に突出する凸部54が、対向する位置に2つ形成されている。また、円筒状の保持器61Aには、凸部54が係合するカム溝611Aが形成されている。カム溝611Aは、保持器61Aの側壁に沿って傾斜状に形成されている。保持器61Aを上面から見たとき、カム溝611Aが形成されている円弧の内角が、
図7(b)に示す縫い針5が回転する所定角度α2に相当する。縫い針5の鍔部53と保持器61Aの基盤63との間には、圧縮ばね62Aが装着されている。
【0041】
図8(b)に示すように、縫い針5を基材1の底中心部14に挿通させるとき、縫い針5の軸部52には、基材1の挿通孔15から摩擦力f1が上方へ作用する。この摩擦力f1によって、圧縮ばね62Aが縮むので、縫い針5の凸部54が、カム溝611Aに沿って移動する。その結果、縫い針5の先端部51を基材1の裏面側であって糸掛止部16の先端部161を越える位置まで挿通させるときに、縫い針5をその軸中心に所定角度α2だけ回転させることができる。
【0042】
次に、
図9に示す回転機構を説明する。
図9(a)に示すように、縫い針5の軸部52は、円筒状の保持器61Bを有する回転機構6B(6)に装着されている。縫い針5の軸部52には、上端側に円盤状の鍔部53が形成され、鍔部53の外周側に突出する凸部54が、対向する位置に2つ形成されている。また、円筒状の保持器61Bには、凸部54が係合するカム溝611Bが形成されている。カム溝611Bは、保持器61Bの側壁に沿って傾斜状に形成されている。保持器61Aを上面から見たとき、カム溝611Bが形成されている円弧の内角が、
図7(b)に示す縫い針5が回転する所定角度α2に相当する。縫い針5の鍔部53と保持器61Bの下端との間には、圧縮ばね62Bが装着されている。
【0043】
図9(b)に示すように、縫い針5を表皮材2の上面側へ引き抜くとき、縫い針5の軸部52には、基材1の挿通孔15から摩擦力f2が下方へ作用する。この摩擦力f2によって、圧縮ばね62Bが縮むので、縫い針5の凸部54が、カム溝611Bに沿って移動する。その結果、縫い針5の先端部51を基材1の裏面側であって糸掛止部16の先端部161を越える位置まで挿通させた後に、縫い針5を表皮材2の表面側へ引き抜くときに、縫い針5をその軸中心に所定角度α2だけ回転させることができる。
以上のように、縫い針5を基材1に挿通するとき又は基材1から引き抜くときに、基材1から縫い針5に作用する摩擦力f1、f2を縫い針5をその軸中心に回転させる回転力に変換する回転機構6(6A、6B)を備えることによって、専用の回転駆動装置を不要とすることができる。
【0044】
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態の第1実施例に係る内装部品の製造方法によれば、飾り糸3Sを先端部51に係合した縫い針5を備え、ステッチ模様3の縫目3A1、3B1の位置で、縫い針5の先端部51を基材1の裏面12側であって糸掛止部16の先端部161を越える位置まで挿通させるとともに、縫い針5をその軸中心に所定角度α2だけ回転させるので、基材1の裏面側に挿通された飾り糸3Sは、縫い針5の先端部51に係合する位置から基材裏面12に挿入する位置に向けて、縫い針5の軸部52に沿って略螺旋状に巻回された螺旋部3SRを形成することができる。また、その後に、縫い針5を表皮材2の表面側へ引き抜くので、縫い針5の軸部52に沿って略螺旋状に巻回された螺旋部3SRが、縫い針5の外周方向へ水平状に膨出された飾り糸3Sのループ部分3Tを形成することができる。そのため、飾り糸3Sのループ部分3Tが、基材1の裏面側で糸掛止部16を外周側から包囲して、飾り糸3Sのループ部分3Tを糸掛止部16に安定して引っ掛けることができる。その結果、縫い針5を軸中心に回転させる簡単な構造で、飾り糸3Sのループ部分3Tを糸掛止部16に確実に引っ掛けて、ステッチ模様3が形成された内装部品10を製造することができる。
【0045】
また、実施形態の第2実施例に係る内装部品の製造方法によれば、飾り糸3Sを先端部51に係合した縫い針5を備え、ステッチ模様3の縫目3A1、3B1の位置で、縫い針5の先端部51が基材1の裏面側であって糸掛止部16の先端部161を越える位置まで挿通させた後に、縫い針5をその軸中心に所定角度α2だけ回転させながら表皮材2の表面側へ引き抜くので、基材1の裏面側に挿通された飾り糸3Sは、縫い針5の先端部51が基材裏面12に近接するに従って、縫い針5の軸部52から離間しながら略螺旋状に巻回され、縫い針5の外周方向へ略水平状に膨出された飾り糸3Sのループ部分3Tを形成することができる。このループ部分3Tは、徐々に拡径しながら、糸掛止部16を外周側から包囲することができる。また、縫い針5をその軸中心に所定角度α2だけ回転させながら表皮材2の表面側へ引き抜くので、縫い針5の引き抜きに伴う基材1からの摩擦抵抗を軽減させることができ、縫い針5の折損を抑制させることができる。そのため、縫い針5に無理な負担を掛けずに、飾り糸3Sのループ部分3Tの輪が、基材1の裏面側で糸掛止部16を包囲して、飾り糸3Sのループ部分3Tを糸掛止部16に安定して引っ掛けることができる。その結果、縫い針5の耐久性を向上させつつ、軸中心に回転させる簡単な構造で、飾り糸3Sのループ部分3Tを糸掛止部16に確実に引っ掛けて、ステッチ模様3が形成された内装部品10を製造することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る内装部品の製造方法によれば、縫い針5を軸中心に回転させる角度α2は、90°〜180°の範囲内であるので、縫い針5の外周方向へ水平状に膨出された飾り糸3Sのループ部分3Tにおける、縫い針5の外周側への突出量を適正に形成させることができる。すなわち、縫い針5を軸中心に回転させる角度α2が90°未満の場合では、縫い針5の軸周りに形成される螺旋部の周長が短いので、縫い針5を引き抜いたとき縫い針5の外周側へ湾曲させるループ部分3Tの突出量が小さくなり、飾り糸3Sのループ部分3Tが糸掛止部16を包囲しにくくなる。また、縫い針5を軸中心に回転させる角度α2が180°を越える場合では、縫い針5の両側に形成される左右のループ部分3T、3Tが糸掛止部16を2重に包囲するようになり、糸同士の絡みや無駄が生じやすくなる。その結果、糸同士の絡みや無駄を抑制しつつ、飾り糸3Sのループ部分3Tが、基材1の裏面側で糸掛止部16を適正に包囲して、飾り糸3Sのループ部分3Tを糸掛止部16により安定して引っ掛けることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る内装部品の製造方法によれば、基材1には、表皮材2側に向けて拡幅された略円錐状の凹案内部13を備え、縫い針5の先端部51が凹案内部13に案内されて、その底中心部14を挿通するので、縫い針5の軸心方向と基材1の法線方向とが多少異なっていても、所定のステッチ模様3を安定して形成することができる。また、縫い針5は、略円錐状の凹案内部13の底中心部14である薄肉状の基材1を挿通するので、挿通時における縫い針5の負荷が減り、縫い針5の耐久性を向上させることができる。また、表皮材2側に向けて拡幅された略円錐状の凹案内部13は、基材1の射出成形時に負角となり難いので、簡単に形成することができる。その結果、縫い針5の耐久性を向上させつつ、簡単な構造で、飾り糸3Sのループ部分3Tが、基材1の裏面側で糸掛止部16を適正に包囲して、飾り糸3Sのループ部分3Tを糸掛止部16により安定して引っ掛けることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る内装部品の製造方法によれば、縫い針5は、当該縫い針5を基材1に挿通するとき又は基材1から引き抜くときに、基材1から縫い針5に作用する摩擦力f1、f2を縫い針1をその軸中心に回転させる回転力に変換する回転機構6(6A、6B)を備えているので、縫い針5の先端部51を基材1の裏面側であって糸掛止部16の先端部161を越える位置まで挿通させるとき、又は上記位置まで挿通した縫い針5を表皮材2の表面側へ引き抜くときに、回転機構6(6A、6B)によって縫い針5をその軸中心に所定角度だけ回転させることができる。そのため、縫い針5をその軸中心に所定角度だけ回転させるために、専用の回転駆動装置を設ける必要がない。その結果、より一層簡単な構造で、かつ安定して、飾り糸3Sのループ部分3Tを糸掛止部16に引っ掛けることができる。
【0049】
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。例えば、上記実施形態では、ステッチ加飾部3は、2列のアウターステッチ部3A、3Bがインナーステッチ部3Cを間に挟んで形成されたダブルステッチであるが、これに限ることはない。例えば、1列のアウターステッチ部とインナーステッチ部の組み合わせでも、アウターステッチ部のみでも良い。