(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376063
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】制御盤および制御盤の更新方法
(51)【国際特許分類】
H02B 3/00 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
H02B3/00 Z
H02B3/00 N
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-140938(P2015-140938)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2017-22946(P2017-22946A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓磨
【審査官】
鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−226017(JP,A)
【文献】
特開平09−247809(JP,A)
【文献】
特開2012−196073(JP,A)
【文献】
特開2007−195368(JP,A)
【文献】
特開2009−022095(JP,A)
【文献】
特開2008−059857(JP,A)
【文献】
特開2009−268232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00− 1/38
H02B 1/46− 7/08
G05B23/00−23/02
F21S 2/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の設備の入力部に接続された既設外線ケーブルに接続され得るように形成されたIOベースと、
前記IOベースに接続された際に前記設備の入力部に電気的に接続されるIOカードと、
既設制御盤の出力部に接続された追加外線ケーブルに接続され得るように形成され、前記追加外線ケーブルに接続された状態において前記IOベースに接続されることにより前記設備の入力部に電気的に接続されるインターフェイス用ベースと、
を備え、
前記インターフェイス用ベースは、前記IOベースに着脱自在に設けられた制御盤。
【請求項2】
第1状態になった際に前記設備と前記既設制御盤とを電気的に接続した状態で前記設備と前記IOカードとの電気的な接続を遮断し、第2状態となった際に前記設備と前記既設制御盤との電気的な接続を遮断した状態で前記設備と前記IOカードとを電気的に接続する切換体、
を備えた請求項1に記載の制御盤。
【請求項3】
制御対象の設備の入力部に接続された既設外線ケーブルを新設制御盤のIOベースに接続する既設外線ケーブル接続工程と、
前記新設制御盤のIOカードを前記IOベースに接続することにより前記IOカードを前記設備の入力部に電気的に接続するIOカード接続工程と、
既設制御盤の出力部に接続された追加外線ケーブルを前記新設制御盤のインターフェイス用ベースに接続する追加外線ケーブル接続工程と、
前記追加外線ケーブルに接続された前記インターフェイス用ベースを前記IOベースに接続することにより前記インターフェイス用ベースを前記設備の入力部に電気的に接続するインターフェイス用ベース接続工程と、
前記既設制御盤による前記設備の制御と前記新設制御盤による前記設備の制御とを行う設備制御工程と、
前記追加外線ケーブルを前記新設制御盤から取り外す追加外線ケーブル取り外し工程と、
を備えた制御盤の更新方法。
【請求項4】
前記設備制御工程は、前記新設制御盤の切換体を第1状態とすることにより前記設備と前記既設制御盤とを電気的に接続した状態で前記設備と前記IOカードとの電気的な接続を遮断し、前記切換体を第2状態とすることにより前記設備と前記既設制御盤との電気的な接続を遮断した状態で前記設備と前記IOカードとを電気的に接続する切換工程を含む請求項3に記載の制御盤の更新方法。
【請求項5】
前記追加外線ケーブル取り外し工程は、前記インターフェイス用ベースを前記IOベースから取り外すことにより前記追加外線ケーブルを前記新設制御盤から取り外すインターフェイス用ベース取り外し工程を含む請求項3または請求項4に記載の制御盤の更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御盤および制御盤の更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、制御盤の更新方法を開示する。当該更新方法において、制御盤の更新は、中継盤等を用いて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3588793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の更新方法においては、中継盤の設置等において、工事期間が長くなる。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、更新の際に中継盤を不要とすることができる制御盤および制御盤の更新方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る制御盤は、制御対象の設備の入力部に接続された既設外線ケーブルに接続され得るように形成されたIOベースと、前記IOベースに接続された際に前記設備の入力部に電気的に接続されるIOカードと、既設制御盤の出力部に接続された追加外線ケーブルに接続され得るように形成され、前記追加外線ケーブルに接続された状態において前記IOベースに接続されることにより前記設備の入力部に電気的に接続されるインターフェイス用ベースと、を備え
、前記インターフェイス用ベースは、前記IOベースに着脱自在に設けられた。
【0007】
この発明に係る制御盤の更新方法は、制御対象の設備の入力部に接続された既設外線ケーブルを新設制御盤のIOベースに接続する既設外線ケーブル接続工程と、前記新設制御盤のIOカードを前記IOベースに接続することにより前記IOカードを前記設備の入力部に電気的に接続するIOカード接続工程と、既設制御盤の出力部に接続された追加外線ケーブルを前記新設制御盤のインターフェイス用ベースに接続する追加外線ケーブル接続工程と、前記追加外線ケーブルに接続された前記インターフェイス用ベースを前記IOベースに接続することにより前記インターフェイス用ベースを前記設備の入力部に電気的に接続するインターフェイス用ベース接続工程と、前記既設制御盤による前記設備の制御と前記新設制御盤による前記設備の制御とを行う設備制御工程と、前記追加外線ケーブルを前記新規制御盤から取り外す追加外線ケーブル取り外し工程と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明によれば、制御盤の更新は、追加外線ケーブルを利用して行われる。このため、更新の際に中継盤を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される設備と既設制御盤との斜視図である。
【
図2】この発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される設備と既設制御盤と新設制御盤との斜視図である。
【
図3】この発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される新設制御盤の新設IOユニットの斜視図である。
【
図4】この発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される新設制御盤の新設IOユニットの分解斜視図である。
【
図5】この発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される際の配線図である。
【
図6】この発明の実施の形態2における制御盤の更新方法が適用される新設制御盤の新設IOユニットの分解斜視図である。
【
図7】この発明の実施の形態2における制御盤の更新方法が適用される際の配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される設備と既設制御盤との斜視図である。
【0012】
図1において、制御対象の設備1と既設制御盤2とは、プラント等に設けられる。
【0013】
既設制御盤2は、既設筐体2aと既設扉2bと一対の既設中柱2cと既設電気用品取付パネル2dと複数の既設IOユニット2eと既設電源取付パネル2fとを備える。
【0014】
既設筐体2aの外形は、直方体状に形成される。既設筐体2aの前面は、開口する。既設扉2bは、既設筐体2aの前面に設けられる。一対の既設中柱2cは、既設筐体2aの内部の奥側に設けられる。一対の既設中柱2cの各々は、鉛直方向を長手方向とする。
【0015】
既設電気用品取付パネル2dは、一対の既設中柱2cの下部に跨って実装される。複数の既設IOユニット2eは、水平方向に並ぶ。複数の既設IOユニット2eは、一対の既設中柱2cの中央部に跨って実装される。既設電源取付パネル2fは、一対の既設中柱2cの上部に跨って実装される。
【0016】
複数の既設外線ケーブル3の各々の一側は、設備1の入力部の各々に接続される。複数の既設外線ケーブル3の各々の他側は、複数の既設IOユニット2eの各々における出力部に接続される。
【0017】
次に、
図2を用いて、制御盤の更新を説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される設備と既設制御盤と新設制御盤との斜視図である。
【0018】
図2に示すように、新設制御盤4は、新設筐体4aと新設扉4bと一対の新設中柱4cと図示しない新設電気用品取付パネルと新設IO4dと図示しない新設電源取付パネルとを備える。
【0019】
新設筐体4aの外形は、直方体状に形成される。新設筐体4aの前面は、開口する。新設扉4bは、新設筐体4aの前面に設けられる。一対の新設中柱4cは、新設筐体4aの内部の奥側に設けられる。一対の新設中柱4cの各々は、鉛直方向を長手方向とする。
【0020】
新設電気用品取付パネルは、一対の新設中柱4cの下部に跨って実装される。新設IO4dは、一対の新設中柱4cの中央部に跨って実装される。新設電源取付パネルは、一対の新設中柱4cの上部に跨って実装される。
【0021】
新設IO4dは、複数の新設IOユニット5を備える。複数の新設IOユニット5は、水平方向に並ぶ。複数の新設IOユニット5の各々は、新設IOベース5aと新設IOカード5bと新設インターフェイス用ベース5cとを備える。
【0022】
新設IOベース5aは、新設IO4dの前面に固定される。新設IOカード5bは、新設IOベース5aの前面に着脱自在に固定される。新設IOカード5bは、新設IOベース5aの前面に固定された際に新設IOベース5aと電気的に接続される。新設インターフェイス用ベース5cは、新設IOベース5aの一側面に着脱自在に固定される。新設インターフェイス用ベース5cは、新設IOベース5aの一側面に固定された際に新設IOベース5aと電気的に接続される。
【0023】
制御盤の更新時においては、複数の既設外線ケーブル3の各々の他側は、複数の新設IOベース5aの各々に接続される。複数の追加外線ケーブル6の各々の一側は、複数の既設IOユニット2eの各々における出力部に接続される。複数の追加外線ケーブル6の各々の他側は、複数の新設インターフェイス用ベース5cの各々に接続される。
【0024】
この状態において、システム試験が行われる。具体的には、既設制御盤2による設備1の制御と新設制御盤4による設備1の制御とが順々に行われる。例えば、既設制御盤2と新設制御盤4とは、予め設定された指令信号を順々に設備1に送信する。この際、新設制御盤4は、既設制御盤2による制御結果と新設制御盤4による制御結果とを比較する。
【0025】
既設制御盤2による制御結果と新設制御盤4による制御結果の比較結果が想定された内容である場合、新設制御盤4は、自らの設定が正しいと判定する。この際、新規制御盤は、自らの設定が正しいことを報知する。例えば、新規制御盤は、図示しない表示部により自らが正しい旨を表示する。
【0026】
この場合、作業員は、複数の追加外線ケーブル6を新規制御盤から取り外す。具体的には、作業員は、複数の新設インターフェイス用ベース5cの各々を複数の新設IOベース5aの各々から取り外す。その後、作業員は、既設制御盤2と複数の新設インターフェイス用ベース5cと複数の追加外線ケーブル6とを撤去する。
【0027】
次に、
図3を用いて、新設IOユニット5の詳細を説明する。
図3はこの発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される新設制御盤の新設IOユニットの斜視図である。
【0028】
図3に示すように、新設IOユニット5において、新設IOベース5aの外形は、直方体状に形成される。新設IOベース5aは、第1外線端子台7aを備える。第1外線端子台7aは、新設IOベース5aの前面の一側に設けられる。第1外線端子台7aは、複数の第1接続部8aを備える。複数の第1接続部8aの各々は、既設外線ケーブル3における複数の第1心線3aの各々に接続される。新設IOカード5bは、新設IOベース5aの前面の他側に着脱自在に接続される。新設インターフェイス用ベース5cは、第2外線端子台7bを備える。第2外線端子台7bは、新設インターフェイス用ベース5cの前面に設けられる。第2外線端子台7bは、複数の第2接続部8bを備える。複数の第2接続部8bの各々は、追加外線ケーブル6における複数の第2心線6aの各々に接続される。
【0029】
次に、
図4を用いて、新設IOユニット5の組立を説明する。
図4はこの発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される新設制御盤の新設IOユニットの分解斜視図である。
【0030】
図4に示すように、新設IOベース5aは、第1カード用コネクタ9aと第1ケーブル用コネクタ10aとを備える。第1カード用コネクタ9aは、新設IOベース5aの前面の他側に設けられる。第1ケーブル用コネクタ10aは、新設IOベース5aの一側面に設けられる。
【0031】
新設IOカード5bは、第2カード用コネクタ9bを備える。第2カード用コネクタ9bは、新設IOカード5bにおける新設IOベース5aの側に設けられる。新設インターフェイス用ベース5cは、第2ケーブル用コネクタ10bを備える。第2ケーブル用コネクタ10bは、新設インターフェイス用ベース5cにおける新設IOベース5aの側に設けられる。
【0032】
新設IOカード5bが新設IOベース5aに取り付けられる際、第1カード用コネクタ9aと第2カード用コネクタ9bとが嵌め合わされる。その結果、新設IOカード5bは、新設IOベース5aに電気的に接続される。
【0033】
新設インターフェイス用ベース5cが新設IOベース5aに取り付けられる際、第1ケーブル用コネクタ10aと第2ケーブル用コネクタ10bとが嵌め合わされる。その結果、新設インターフェイス用ベース5cは、新設IOベース5aに電気的に接続される。
【0034】
次に、
図5を用いて、電気的な接続を説明する。
図5はこの発明の実施の形態1における制御盤の更新方法が適用される際の配線図である。
【0035】
図5に示すように、既設IOユニット2eは、追加外線ケーブル6と第2外線端子台7bと第2ケーブル用コネクタ10bと第1ケーブル用コネクタ10aと第1外線端子台7aと既設外線ケーブル3とを経由して設備1に電気的に接続される。
【0036】
新設IOカード5bは、第2カード用コネクタ9bと第1カード用コネクタ9aと新設第1外線端子台7aと既設外線ケーブル3とを経由して設備1に電気的に接続される。
【0037】
以上で説明した実施の形態1によれば、制御盤の更新は、追加外線ケーブル6を利用して行われる。このため、更新の際に中継盤を不要とすることができる。この際、既設制御盤2から新設制御盤4に更新する際の工事期間が短くなる。その結果、現地でのシステム試験の期間を十分に確保することができる。
【0038】
本更新方法によれば、既設制御盤2による制御を行っている間に新設制御盤4によるシステム試験を行うことができる。その結果、システム試験による設備1の停止期間を短くすることができる。
【0039】
また、新設インターフェイス用ベース5cは、新設IOベース5cに着脱自在に設けられる。このため、新設制御盤4から既設制御盤2を迅速に切り離すことができる。
【0040】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2における制御盤の更新方法が適用される新設制御盤の新設IOユニットの分解斜視図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付される。当該部分の説明は省略される。
【0041】
図6に示すように、切換体11は、第1外線端子台7aの前面の上部に設けられる。例えば、切換体11は、切換スイッチで形成される。切換体11は、第1状態と第2状態とに切り換え得るように形成される。
【0042】
次に、
図7を用いて、電気的な接続を説明する。
図7はこの発明の実施の形態2における制御盤の更新方法が適用される際の配線図である。
【0043】
図7に示すように、切換器12は、新設IOベース5aに設けられる。切換器12は、複数の切換部12aを備える。複数の切換部12aの各々は、既設外線ケーブル3における第1心線3aの各々に対応して設けられる。
【0044】
切換体11が第1状態となった際、切換器12は、設備1と既設IOユニット2eとを電気的に接続した状態で設備1と新設IOカード5bとの電気的な接続を遮断する。切換体11が第2状態となった際、切換器12は、設備1と既設IOユニット2eとの電気的な接続を遮断した状態で設備1と新設IOカード5bとを電気的に接続する。
【0045】
以上で説明した実施の形態2によれば、切換体11の操作により、既設制御盤2による設備1の制御と新設制御盤4による設備1の制御とが切り換えられる。このため、システム試験の効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 設備、 2 既設制御盤、 2a 既設筐体、 2b 既設扉、 2c 既設中柱、 2d 既設電気用品取付パネル、 2e 既設IOユニット、 2f 既設電源取付パネル、 3 既設外線ケーブル、 3a 第1心線、 4 新設制御盤、 4a 新設筐体、 4b 新設扉、 4c 新設中柱、 4d 新設IO、 5 新設IOユニット、 5a 新設IOベース、 5b 新設IOカード、 5c 新設インターフェイス用ベース、 6 追加外線ケーブル、 6a 第2心線、 7a 第1外線端子台、 7b 第2外線端子台、 8a 第1接続部、 8b 第2接続部、 9a 第1カード用コネクタ、 9b 第2カード用コネクタ、 10a 第1ケーブル用コネクタ、 10b 第2ケーブル用コネクタ、 11 切換体、 12 切換器、 12a 切換部