(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
見開き状態の書籍の各ページをめくり元位置からめくり先位置へめくるページめくり装置を使用する前記書籍の電子データ化に向けた撮影作業の内容をユーザーに設定させる設定手段と、
ユーザーに設定された前記撮影作業の内容に応じた撮影手順に関する案内情報として、前記撮影手順を構成する複数の撮影工程の内容をユーザーに提供する提供手段と、
前記複数の撮影工程それぞれに対応する撮影実行の指示操作を受け付ける受付手段と、
を備え、
前記提供手段は、撮影工程の内容と当該撮影工程の撮影実行を指示するための撮影指示ボタンとを1つの組として前記複数の撮影工程に対応する複数の前記組をスクロール可能に表示画面に表示することにより、前記複数の撮影工程の内容をユーザーに提供し、
前記受付手段は、前記撮影指示ボタンを介して撮影実行の指示操作を受け付ける、
ことを特徴とする撮影作業支援装置。
前記提供手段は、前記ページめくり装置のめくり動作に連動して左ページを撮影する工程、及び前記ページめくり装置のめくり動作に連動して右ページを撮影する工程の少なくとも1つを含む前記複数の撮影工程の内容をユーザーに提供することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮影作業支援装置。
見開き状態の書籍の各ページをめくり元位置からめくり先位置へめくるページめくり装置を使用する前記書籍の電子データ化に向けた撮影作業の内容をユーザーに設定させる設定ステップと、
ユーザーに設定された前記撮影作業の内容に応じた撮影手順に関する案内情報として、前記撮影手順を構成する複数の撮影工程の内容をユーザーに提供する提供ステップと、
前記複数の撮影工程それぞれに対応する撮影実行の指示操作を受け付ける受付ステップと、
を含み、
前記提供ステップは、撮影工程の内容と当該撮影工程の撮影実行を指示するための撮影指示ボタンとを1つの組として前記複数の撮影工程に対応する複数の前記組をスクロール可能に表示画面に表示することにより、前記複数の撮影工程の内容をユーザーに提供し、
前記受付ステップは、前記撮影指示ボタンを介して撮影実行の指示操作を受け付ける、
ことを特徴とする撮影作業支援方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態に係る書画カメラシステム1の概略構成を示す斜視図である。この書画カメラシステム1は、タブレット2とページめくり装置3とから構成される。
【0012】
ページめくり装置3は、開かれた書籍Bを保持する保持台5と、保持台5上の書籍Bのめくり元位置にあるページPを保持し、ページPのめくり先位置でページPに対する保持を解除することによってページPをめくる装置本体4と、保持台5に着脱自在なクリップ6と、ページレシーバー7とを備えている。
【0013】
装置本体4には、ページPを機械的にめくるめくり機構41と、めくり機構41の動作中に、めくり元位置にあるページPの上方でめくり先位置に向けて風を送り、既にめくられたページPの戻りを風圧によって防止するための送風部44とが設けられている。
【0014】
めくり機構41は、所定の角度範囲で回転自在なアーム42と、その先端に設けられた粘着ローラー43とを備えている。粘着ローラー43は、アーム42の先端に回転自在に取り付けられたスポンジやゴム等の弾性部材の周面に、仮止め用の粘着テープと同様の弱い粘着力を有する粘着部材が巻き付けられた構成である。
【0015】
ページめくり装置3においては、めくり機構41のアーム42が基端部を中心に反時計方向と時計方向とに回転し、それに伴い粘着ローラー43が開かれた書籍Bの上方で円弧を描いてめくり元位置(
図1で見開きページの左側)とめくり先位置(
図1で見開きページの右側)との間を往復することにより、めくり元位置にあるページPをめくり先位置にめくることができる。
【0016】
めくり機構41によるページめくり動作を具体的に説明すると以下の通りである。図
3は、粘着ローラー43の軌道と書籍Bとの位置関係を示す平面図である。アーム42が反時計方向と時計方向とに回転する間、粘着ローラー43は、図
3に実線で示した位置と破線で示した位置の間を往復する。なお、アーム42が停止しているときの粘着ローラー43の位置、つまり初期位置は実線で示した位置であって、書籍Bの上縁からやや離れた位置である。
【0017】
図4(a)に示したように、アーム42が反時計方向へ回転すると、粘着ローラー43がめくり元位置にあるページPの端部に当接し、その時点でページPの端部が弱い粘着力によって粘着ローラー43に保持される。また、アーム42が時計方向への回転を開始すると、粘着ローラー43がページPの端部を保持したまま初期位置へ向かって移動し、ページPの端部がめくり先位置へ向かって移動される(
図4(b))。
【0018】
さらに、粘着ローラー43が初期位置の近くまで移動すると、粘着ローラー43が書籍Bから離れる(逃げる)ことによって粘着ローラー43からページPが剥離する(
図4(c))。その後、粘着ローラー43が初期位置に戻る一方、粘着ローラー43から剥離したページPがめくり先位置に移動する(
図4(d))。
【0019】
なお、アーム42によってページPがめくられる間には、送風部44から送られる風によってめくり先位置に移動したページPの戻りが防止される。
【0020】
クリップ6とページレシーバー7とは、保持台5に装着される補助具である。クリップ6は、めくり先位置で重なるページを、めくり先位置に固定するものである。ページレシーバー7は、軟質材からなる羽根72が周面に設けられたローラー71を図示しない内蔵モータにより
図1に矢印で示した一方向に回転させ、めくり先位置の近傍で粘着ローラー43から剥離したページPの端部を巻き込み、めくり先位置へ確実に移動させるものである。
【0021】
一方、タブレット2は、カメラ(後述する撮像部)を備えた携帯可能な情報処理端末であって、スタンド20を用いて書籍(例えば本や雑誌)Bの上方に設置されることにより、書籍Bのめくり元位置のページPを撮影対象として撮影する。なお、タブレット2とページめくり装置3とは、それぞれに内蔵されたBluetooth(登録商標)やWi−Fi(登録商標)等の近距離無線通信アダプタを介して通信可能である。
【0022】
図2は、タブレット2とページめくり装置3との電気的構成の要部を示すブロック図である。まず、ページめくり装置3の電気的構成について説明する。
【0023】
ページめくり装置3は、主として制御部31と、記憶部32、第1のモータ駆動回路部33、第2のモータ駆動回路部34、通信部35、操作部36、電源部37から構成される。記憶部32には、各種プログラムが記録されたROM(Read Only Memory)と、当該プログラムが展開されるRAM(Random Access memory)とが含まれる。
【0024】
操作部36には、電源スイッチ等の各種スイッチが含まれる。第1のモータ駆動回路部33には、めくり機構41を駆動するモータや、送風部44に設けられたファンを駆動するモータ、及びそれらのモータを駆動するモータドライバ等が含まれる。第2のモータ駆動回路部34には、ページレシーバー7の内蔵モータを駆動するモータドライバが含まれる。
【0025】
通信部35は、タブレット2との通信インタフェースを司り、Bluetooth(登録商標)やWi−Fi(登録商標)等の通信方式によってタブレット2との接続を行う。電源部37は、各ブロック31〜36に電力を供給する。
【0026】
制御部31は、通信部35を介してタブレット2から受信した動作パラメータを記憶部32に記録し、記憶部32に記憶されているプログラムに従い動作パラメータに基づきタブレット2と協働して第1のモータ駆動回路部33と第2のモータ駆動回路部34とを制御し、アーム42、及び送風部44に設けられたファンやページレシーバー7を駆動する。
【0027】
次に、タブレット2の電気的構成について説明する。タブレット2は、主として撮像部21と、操作部22と、表示部23と、通信部24と、制御部25と、記憶部26とから構成される。
【0028】
撮像部21は、書籍B等のページ画像を撮影可能なカメラであり、レンズを含む光学系の他に、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等で構成された撮像素子等を有する。レンズを介して入射した光像は、この撮像素子でアナログ画像信号に光電変換され、色分離や色成分の毎のゲイン調整が行われた後に、ディジタルデータに変換される。なお、レンズ及び撮像素子は、
図1には表れないタブレット2の裏面側に設けられている。
【0029】
表示部23は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)等の表示モニタを有し、表示モニタの画面上に撮像部21により撮像されたページ画像や各種情報等を表示する。
【0030】
操作部22は、図示しない電源キー等の最小限の操作スイッチと、表示部23が有する表示モニタの表面に一体的に設けられタブレット2の表面を構成するタッチパネルを含み、ユーザーによるタブレット2の操作情報を制御部25へ供給する。
【0031】
通信部24は、ページめくり装置3との通信インタフェースを司り、Bluetooth(登録商標)やWi−Fi(登録商標)等の通信方式によってページめくり装置3との接続を行う。
【0032】
制御部25は、CPU(Central Processing Unit)、及びその周辺回路等や、RAM(Random Access memory)等を含み、タブレット2の各部を制御する。
【0033】
記憶部26には、例えば、半導体メモリが実装され、各種のアプリケーションプログラム、制御部25がプログラム実行の過程で生成する各種データや、アプリケーションプログラムに使用され各種の設定データ等が保存されている。上記アプリケーションプログラムには、ページめくり装置3を用いて書籍等の各ページを撮影し、撮影により取得したページ画像を書籍ファイルとして記憶部26に保存したり、保存した書籍ファイルの閲覧や編集を行うための書籍管理プログラムが含まれる。
【0034】
また、記憶部26には、書籍ファイルを作成する間には、書籍等の各ページを撮影した撮影画像、及び書籍の表紙、見返し(裏表紙側)、裏表紙、見返し(表紙側)をそれぞれ撮影した撮影画像からなる一連のページ画像が記憶される。
【0035】
さらに、記憶部26には、書籍ファイルや、一連のページ画像を書籍毎に管理するための複数の管理テーブル260を記憶する領域が確保されている。管理テーブル260には、書籍ファイルとして統合される以前の一連のページ画像について、各ページ画像と書籍の各ページとの対応関係を示す情報や、書籍のタイトルやページ数や書籍毎のページ画像のデータ量等の基本情報が記憶される。
【0036】
以上の構成からなる書画カメラシステム1においては、ユーザーがタブレット2において書籍管理プログラムを起動させると、タブレット2とページめくり装置3とが無線接続される。その状態で、タブレット2を
図1に示したようにページめくり装置3の上方に設置し、その状態でタブレット2を操作すれば、書籍Bの各ページを撮影することができる。
【0037】
書籍Bの各ページを撮影するときの撮影作業には、表紙、見返し(表紙側)、左ページ、右ページ、裏表紙、見返し(裏表紙側)の各々の撮影作業が含まれる。左ページ及び右ページの撮影作業は、ページめくり装置3のアーム42に
図4(a)〜
図4(d)に示したページめくり動作を繰り返し行わせ、その間に左ページ又は右ページのみを連続して自動撮影する作業である。
【0038】
また、撮影により得られた一連のページ画像は、ユーザーがタブレット2を操作することによってトリミング等の各種の編集作業を行うことができ、さらに、ユーザーがタブレット2を操作することによって、編集後の一連のページ画像を単一のファイルに統合し、決められたフォーマットの書籍ファイルとしてタブレット2に保存することができる。
【0039】
以下、タブレット2の動作について説明する。
図5は、書籍管理プログラムの起動後に、タブレット2に表示された操作メニュー画面からユーザーが書籍ファイルの作成作業の開始を指示したとき、制御部25が書籍管理プログラムに従い実行する撮影準備処理を示したフローチャートである。
【0040】
制御部25は、撮影準備処理を開始すると直ちに
図6に示した撮影準備画面G1を表示部23に表示する(ステップSA1)。撮影準備画面G1は、電子化する書籍、つまり撮影対象の書籍に応じた撮影作業の内容に関する設定や、ページめくり装置3の動作内容の設定を含む撮影に先立つ種々の準備作業を行うための操作画面である。なお、ページめくり装置3の動作内容の設定には、ページレシーバー7及びアーム42の使用の有無の設定や、エアー(送風部44)、ページレシーバー7、アーム42の動作に関する設定が含まれる。
【0041】
撮影準備画面G1は、画面上部に確保された固定領域Gaと、その下方側に確保されたスクロール可能領域Gbとから構成される。固定領域Gaは、書籍ファイルの作成作業における個々の作業に際して表示部23に表示される他の画面に共通して確保される領域であり、固定領域Gaには、個々の作業への移行指示に使用されるとともに、現在の作業内容を明示する第1の作業選択ボタン101a、第2の作業選択ボタン101b、第3の作業選択ボタン101cが配置されている。
【0042】
第1〜第3の作業選択ボタン101a〜101cは、作業内容を示す「撮影準備」、「撮影する」、「編集する」からなる文字と、作業内容を表現するマークとから構成され、それらが作業内容に応じて予め決められている表示色で表示されたものである。そして、撮影準備画面G1においては、第1の作業選択ボタン101aが反転表示されることにより、現在の作業内容が撮影準備である旨が明示されている。
【0043】
一方、スクロール可能領域Gbは、準備作業別に設けられた複数の作業項目エリア201が複数配置されるともに、ユーザーのスクロール操作に応じて表示内容がスクロールされる領域である。つまり表示されていない作業項目エリア201がスクロール操作に応じて適宜表示される領域である。なお、スクロール可能領域Gbは、本実施形態とは異なり特定の作業項目エリア201が配置された複数のページをユーザーのページ替え操作に応じて適宜表示させる領域とすることもできる。
【0044】
図6は、撮影準備処理の開始当初における撮影準備画面G1の状態を示した図であり、撮影準備処理の開始当初においては、作業項目エリア201として、書籍(本)の名称を入力する文字入力ボックス301が設けられた作業項目エリアと、書籍(本)の構成に関する複数項目の情報を設定するための作業項目エリアとが表示される。書籍(本)の構成に関する設定項目は「めくり方向」、「印刷」、「本の大きさ」、「紙の種類」である。
【0045】
「めくり方向」は、書籍の綴じ方向(左綴じ又は右綴じ)に関する情報であり、めくり方向設定ボタン302の操作によって「左めくり」又は「右めくり」が設定可能である。ここで「左めくり」は左綴じの書籍(本文が横書きの書籍等)に対応するめくり方向であり、「右めくり」は右綴じの書籍(本文が縦書きの書籍やマンガ本等)に対応するめくり方向である。
【0046】
「印刷」は、書籍における撮影対象に関する情報であり、切替ボタン303の操作によって撮影対象を「片面」とするか否か、つまり撮影対象を「片面」又は「両面」に設定可能である。ここで、「両面」とは、書籍の各ページと表紙及び裏表紙等の全ての面であり、「片面」とは、それらの片側の面である。
【0047】
また、
図6は、撮影対象が「片面」に設定されていない初期状態、すなわち「両面」に設定されている状態を示した図であり、撮影対象が「片面」に設定されているときには、
図7に示したように、切替ボタン303の直下に、撮影対象を左ページ又は右ページに設定するための撮影ページ指定ボタン304が追加表示される。ここで、左ページ及び右ページは見開き状態における書籍の左側ページ及び右側ページである。
【0048】
「本の大きさ」は、大きさ設定ボタン305の操作によって「小サイズ」(文庫本〜A5に対応)、「中間サイズ」(A5〜B5に対応)、「大サイズ」(B5〜A4に対応)が設定可能である。「紙の種類」は、書籍の本文ページ(前書や後書等を含む本文が印刷されているページ)の紙の厚さ等の種類に関する情報であり、種類設定ボタン306の操作によって「薄紙」、「普通」、「マンガ紙」が設定可能である。
【0049】
そして、
図5に示したように撮影準備画面G1を表示した後、制御部25は、ユーザーにより印刷の設定が変更され(ステップSA2:YES)、その変更内容が「片面」への変更であれば(ステップSA3:YES)、
図7に示したように撮影準備画面G1に撮影ページ指定ボタン304を追加する(ステップSA4)。その際、制御部25は、切替ボタン303をオン状態にする。また、制御部25は、変更内容が「両面」への変更であれば(ステップSA3:NO)、
図6に示したように撮影準備画面G1から撮影ページ指定ボタン304を隠す(ステップSA5)。その際、制御部25は、切替ボタン303をオフ状態にする。
【0050】
また、撮影準備画面G1を表示している間、制御部25は、ユーザーによって印刷の設定変更以外の他の操作があれば(ステップSA6:YES)、操作に応じた処理を実行する。例えば書籍(本)の名称が入力された際には、入力された文字列を文字入力ボックス301に表示させる。また、「印刷」以外の書籍(本)の構成に関する他の設定項目、つまり「めくり方向」、「本の大きさ」、「紙の種類」の何れかの設定内容が変更されたときには、めくり方向設定ボタン302や撮影ページ指定ボタン304、大きさ設定ボタン305、種類設定ボタン306を、変更後の設定内容を示す状態に変更する。また、スクロール操作があれば、それに応じてスクロール可能領域Gbの表示内容をスクロールさせる。さらに、上記以外の撮影に先立つ準備作業に関する操作に応じた各種の処理を行う。
【0051】
以後、制御部25は、ユーザーから他の作業への移行が指示されるまで、すなわち第2の作業選択ボタン101bのタッチ操作による実際の撮影作業への移行、又は第3の作業選択ボタン101cのタッチ操作による編集への移行が指示されるまで(ステップSA8:NO)、ステップS
A2以降の処理を繰り返す。
【0052】
その後、他の作業への移行が指示された時点で(ステップSA5:YES)、制御部25は、撮影準備画面G1において設定されている撮影作業の内容を記憶部26に記憶し(ステップSA9)、撮影準備処理を終了する。
【0053】
図8は、例えばユーザーによる撮影作業への移行指示に従い撮影準備処理を終了した後、制御部25が書籍管理プログラムに従い実行する撮影処理を示したフローチャートである。
【0054】
制御部25は、撮影処理を開始すると、直近の撮影準備処理で記憶部26に記憶した「めくり方向」と「印刷」に関する設定内容を確認した後(ステップSB1)、確認した設定内容に応じて以下の処理を行う。
【0055】
すなわち「めくり方向」の設定が「右めくり」である場合(ステップSB2:YES)、制御部25は、「印刷」の設定が「片面」でなく「両面」であれば(ステップSB3:NO)、右開き両ページ用の撮影操作画面を表示部23に表示する(ステップSB4)。
【0056】
また、「めくり方向」の設定が「右めくり」であるとともに(ステップSB2:YES)、「印刷」の設定が「片面」である場合(ステップSB3:YES)、制御部25は、撮影対象が右ページであれば(ステップSB5:YES)、右開き右ページ用の撮影操作画面を表示部23に表示する(ステップSB6)。逆に、撮影対象が左ページであれば(ステップSB5:NO)、制御部25は、右開き左ページ用の撮影操作画面を表示部23に表示する(ステップSB7)。
【0057】
一方、制御部25は、「めくり方向」の設定が「左めくり」である場合(ステップSB2:NO)、「印刷」の設定が「片面」でなく「両面」であれば(ステップSB8:NO)、左開き両ページ用の撮影操作画面を表示部23に表示する(ステップSB9)。
【0058】
また、「めくり方向」の設定が「左めくり」であるとともに(ステップSB2:NO)、「印刷」の設定が「片面」である場合(ステップSB8:YES)、制御部25は、撮影対象が右ページであれば(ステップSB10:YES)、左開き右ページ用の撮影操作画面を表示部23に表示する(ステップSB11)。逆に、撮影対象が左ページであれば(ステップSB10:NO)、制御部25は、左開き左ページ用の撮影操作画面を表示部23に表示する(ステップSB12)。
【0059】
ここで、以上の処理で表示部23に表示される各々の撮影操作画面(右開き両ページ用、右開き右ページ用、右開き左ページ用、左開き両ページ用、左開き右ページ用、左開き左ページ用)について説明する。各々の撮影操作画面は、「めくり方向」と「印刷」との設定内容に応じた複数の撮影工程からなる撮影手順を一括してユーザーに提供するとともに、ユーザーに各撮影工程での撮影を個別に指示させるための操作画面である。
【0060】
図9及び
図10は、ステップSB4の処理で表示される右開き両ページ用の撮影操作画面G2を示す図である。右開き両ページ用の撮影操作画面G2においては、固定領域Gaの第2の作業選択ボタン101bが反転表示されることにより、現在の作業内容が撮影作業である旨が明示されている。なお、これについては他の撮影操作画面についても同様である。
【0061】
右開き両ページ用の撮影操作画面G2は、右綴じの書籍(本文が縦書きの書籍やマンガ本)の表紙及び裏表紙等を含む全ページを撮影する際の複数の撮影工程からなる撮影手順を一括してユーザーに提供するものである。なお、ユーザーに提供する撮影手順は、撮影作業を効率的に行うための予め決められている標準的な撮影手順である。
【0062】
また、複数の撮影工程は次の第1〜第6の撮影工程である。第1の撮影工程は、左ページ(本文の奇数ページ等)を連続撮影する工程である。第2の撮影工程は、書籍の表紙(表表紙)を撮影する工程である。第3の撮影工程は、書籍の見返し(裏表紙側)を撮影する工程である。第4の撮影工程は、右ページ(本文の偶数ページ等)を連続撮影する工程である。第5の撮影工程は、書籍の表紙(裏表紙)を撮影する工程である。第6の撮影工程は書籍の見返し(表表紙側)を撮影する工程である。
【0063】
そして、右開き両ページ用の撮影操作画面G2においては、ユーザーのスクロール操作に伴い
図9に示した状態や
図10に示した状態に変化することにより撮影手順を一括してユーザーに提供する。すなわち右開き両ページ用の撮影操作画面G2においては、第1〜第6の撮影工程に対応する第1の撮影対象説明エリア401a〜第6の撮影対象説明エリア401fがスクロール可能領域Gbに確保される。また、第1の〜第6の撮影対象説明エリア401a〜401fには、タッチ操作によってユーザーが各撮影工程での撮影の実施を指示するための撮影指示ボタン501と、説明画像502とがそれぞれ配置される。
【0064】
撮影指示ボタン501には、各々の撮影工程の作業内容を示す文字列(「左ページを撮影」等)が表示される。また、説明画像502は、撮影時に書籍Bをページめくり装置3の保持台5に置くときの上下の向き、及び開閉状態を示す画像であり、例えばイラストや、実際の書籍を撮影した見本画像である。なお、
図10に示したように、右綴じの書籍の表紙及び裏表紙等を含む全ページを撮影する際、第4〜第6の撮影工程では上下の向きを反転させた状態で書籍Bを保持台5に置くこととなる。
【0065】
また、ステップSB6の処理で表示される右開き右ページ用の撮影操作画面は、右綴じの書籍の裏表紙等を含む右ページのみを撮影する際の複数の撮影工程からなる撮影手順を一括してユーザーに提供するものである。複数の撮影工程は第1〜第3の撮影工程であり、各々の撮影工程は、先に説明した右綴じの書籍の表紙及び裏表紙等を含む全ページを撮影する際の撮影手順における第4〜第6の撮影工程と同一である。
【0066】
また、図示しないが右開き右ページ用の撮影操作画面は、
図10に示した状態の右開き両ページ用の撮影操作画面G2において確保される第4の撮影対象説明エリア401d〜第6の撮影対象説明エリア401fのみがスクロール可能領域Gbに確保された操作画面である。
【0067】
また、ステップSB7の処理で表示される右開き左ページ用の撮影操作画面は、右綴じの書籍の表表紙等を含む左ページのみを撮影する際の複数の撮影工程からなる撮影手順を一括してユーザーに提供するものである。複数の撮影工程は第1〜第3の撮影工程であり、各々の撮影工程は、先に説明した右綴じの書籍の表紙及び裏表紙等を含む全ページを撮影する際の撮影手順における第1〜第3の撮影工程と同一である。
【0068】
また、図示しないが右開き左ページ用の撮影操作画面は、
図9に示した状態の右開き両ページ用の撮影操作画面G2において確保される第1の撮影対象説明エリア401a〜第3の撮影対象説明エリア401cのみがスクロール可能領域Gbに確保された操作画面である。
【0069】
一方、
図11及び
図12は、ステップSB9の処理で表示される左開き両ページ用の撮影操作画面G3を示す図である。左開き両ページ用の撮影操作画面G3は、左綴じの書籍(本文が横書きの書籍)の表紙及び裏表紙等を含む全ページを撮影する際の複数の撮影工程からなる撮影手順を一括してユーザーに提供するものである。なお、ユーザーに提供する撮影手順は、撮影作業を効率的に行うための予め決められている標準的な撮影手順である。
【0070】
また、複数の撮影工程は次の第1〜第6の撮影工程である。第1の撮影工程は、右ページ(本文の奇数ページ等)を連続撮影する工程である。第2の撮影工程は、書籍の表紙(表表紙)を撮影する工程である。第3の撮影工程は、書籍の見返し(裏表紙側)を撮影する工程である。第4の撮影工程は、左ページ(本文の偶数ページ等)を連続撮影する工程である。第5の撮影工程は、書籍の表紙(裏表紙)を撮影する工程である。第6の撮影工程は書籍の見返し(表表紙側)を撮影する工程である。
【0071】
そして、左開き両ページ用の撮影操作画面G3においては、右開き両ページ用の撮影操作画面G2と同様、ユーザーのスクロール操作に伴い
図11に示した状態や
図12に示した状態に変化することにより撮影手順が一括してユーザーに提供される。すなわち左開き両ページ用の撮影操作画面G3においても、第1〜第6の撮影工程に対応する第1の撮影対象説明エリア401a〜第6の撮影対象説明エリア401fがスクロール可能領域Gbに確保される。また、第1の〜第6の撮影対象説明エリア401a〜401fには、タッチ操作によってユーザーが各撮影工程での撮影の実施を指示するための撮影指示ボタン501と、説明画像502とがそれぞれ配置される。
【0072】
撮影指示ボタン501及び説明画像502の詳細については既説したとおりである。なお、
図11に示したように、左綴じの書籍の表紙及び裏表紙等を含む全ページを撮影する際、第1〜第3の撮影工程では上下の向きを反転させた状態で書籍Bを保持台5に置くこととなる。
【0073】
また、ステップSB11の処理で表示される左開き右ページ用の撮影操作画面は、左綴じの書籍の表表紙等を含む右ページのみを撮影する際の複数の撮影工程からなる撮影手順を一括してユーザーに提供するものである。複数の撮影工程は第1〜第3の撮影工程であり、各々の撮影工程は、先に説明した左綴じの書籍の表紙及び裏表紙等を含む全ページを撮影する際の撮影手順における第1〜第3の撮影工程と同一である。
【0074】
また、図示しないが左開き右ページ用の撮影操作画面は、
図11に示した状態の左開き両ページ用の撮影操作画面G3において確保される第1の撮影対象説明エリア401a〜第3の撮影対象説明エリア401cのみがスクロール可能領域Gbに確保された操作画面である。
【0075】
また、ステップSB12の処理で表示される左開き左ページ用の撮影操作画面は、左綴じの書籍の裏表紙等を含む左ページのみを撮影する際の複数の撮影工程からなる撮影手順を一括してユーザーに提供するものである。複数の撮影工程は第1〜第3の撮影工程であり、各々の撮影工程は、先に説明した左綴じの書籍の表紙及び裏表紙等を含む全ページを撮影する際の撮影手順における第4〜第6の撮影工程と同一である。
【0076】
また、図示しないが左開き左ページ用の撮影操作画面は、
図12に示した状態の左開き両ページ用の撮影操作画面G3において確保される第4の撮影対象説明エリア401d〜第6の撮影対象説明エリア401fのみがスクロール可能領域Gbに確保された操作画面である。
【0077】
そして、上述したいずれかの撮影操作画面を表示部23に表示した後、制御部25は、ユーザーから撮影指示ボタン501のタッチ操作による撮影指示の有無、及び撮影作業の終了指示(第3の作業選択ボタン101cのタッチ操作による編集への移行指示等)の有無を逐次確認する(ステップSB13、ステップSB15)。
【0078】
そして、制御部25は、撮影指示や撮影作業の終了指示があるまで待機し(ステップSB13:NO、ステップSB15:NO)、撮影指示があれば(ステップSB13:YES)、タッチ操作された撮影指示ボタン501に対応する撮影工程でのページ撮影を実行する(ステップSB14)。
【0079】
その際、例えば
図9及び
図10に示した右開き両ページ用の撮影操作画面G2を表示している場合において制御部25は次の処理を行う。すなわち制御部25は、撮影指示が第1の撮影工程における撮影指示であったときには、ページめくり装置3にページめくり動作を繰り返し行わせる一方、それと連動して撮像部21による撮影を繰り返し行う。それにより、右綴じの書籍の左ページの撮影画像(一連のページ画像)を記憶部26に保存する。また、撮影指示が第2の撮影工程における撮影指示であったときには、撮像部21による1回の撮影を行い、右綴じの書籍の表紙(表表紙)の撮影画像を記憶部26に保存する。
【0080】
以後、制御部25はステップSB13へ戻り、以降の処理を繰り返し、撮影作業の終了指示があった時点で(ステップSB15:YES)、撮影処理を終了する。
【0081】
以上説明した撮影処理においては、「めくり方向」と「印刷」に関するユーザーの設定内容に対応する撮影操作画面(右開き両ページ用、右開き右ページ用、右開き左ページ用、左開き両ページ用、左開き右ページ用、左開き左ページ用)を表示部23に表示することにより、上記設定内容に応じた複数の撮影工程からなる撮影手順を一括してユーザーに提供する。
【0082】
したがって、ユーザーにおいては、「めくり方向」と「印刷」に関する設定を事前に行うだけで、効率的な撮影手順に従って撮影作業を行うことができる。また、撮影対象が書籍の「両面」である場合においては、どの作業段階で書籍の上下の向きを反転すればよいかを知ることができる。したがって、複数工程からなる煩雑な撮影作業を効率良く行うことができ、書籍の電子データ化に伴う撮影作業における作業者の作業性を向上させることができる。
【0083】
なお、ここではユーザーの設定内容に応じた複数の撮影工程を、その設定内容に対応する撮影操作画面に一括して表示したが、撮影作業の進捗状況に従い撮影工程毎に個別にユーザーに提供するようにしてもよい。すなわち
図9及び
図10や
図11及び
図12に示した第1から第6の撮影対象説明エリア401a〜401fや、第1から第3の撮影対象説明エリア401a〜401c、第4から第6の撮影対象説明エリア401d〜401fを、撮影指示に応じた処理が終了する毎に、次の撮影工程のみを表示部23に表示するようにしてもよい。
【0084】
また、撮影作業の進捗状況に従い撮影工程毎に個別にユーザーに提供する場合、各撮影工程の提供は表示部23への表示によらず音声によってユーザーに提供するようにしてもよい。その場合の音声は、例えば「次に表紙を撮影します」である。また、その場合における各撮影工程での撮影は、ユーザーによって表示部23の表示画面内の任意の場所がタッチされたら、それを撮影指示と判断して行うようにすればよい。
【0085】
ここで、本実施形態ではタブレット2において書籍管理プログラムを実行した場合について説明したが、これに限らず、一般的なパーソナルコンピュータ等の他の情報機器においても前述した書籍管理プログラムと同様の処理を可能とするプログラムを供給することにより本発明に係る機能を実現することができる。さらに、プログラムの供給方法は任意であり、例えばインターネット上のWebページを介してプログラムをパーソナルコンピュータ等に供給してもよい。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。以下に、本出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
見開き状態の書籍の各ページをめくり元位置からめくり先位置へめくるページめくり装置を使用する前記書籍の電子データ化に向けた撮影作業の内容をユーザーに設定させる設定手段と、
ユーザーに設定された前記撮影作業の内容に応じた撮影手順に関する案内情報をユーザーに提供する提供手段と
を備えたことを特徴とする撮影作業支援装置。
(付記2)
前記撮影作業には、作業途中に前記書籍の上下方向の向きの反転を要する撮影作業が含まれることを特徴とする付記1記載の撮影作業支援装置。
(付記3)
前記撮影作業の内容には、前記書籍における撮影対象と前記書籍の綴じ方向とに関する情報が含まれることを特徴とする付記1又は2記載の撮影作業支援装置。
(付記4)
前記提供手段は、前記案内情報として、前記撮影手順を構成する複数の撮影工程の内容をユーザーに提供することを特徴とする付記1,2又は3記載の撮影作業支援装置。
(付記5)
前記複数の撮影工程の内容を表示する表示手段を備え、
前記提供手段は、前記複数の撮影工程の内容を前記表示手段に表示させることにより、前記撮影手順をユーザーに提供する
ことを特徴とする付記4記載の撮影作業支援装置。
(付記6)
前記提供手段は、前記複数の撮影工程の内容を、前記表示手段に一括して表示させることにより、前記撮影手順をユーザーに提供することを特徴とする付記5記載の撮影作業支援装置。
(付記7)
前記提供手段は、前記複数の撮影工程の内容を、前記撮影作業の進捗状況に従い前記表示手段に個別に表示させることにより、前記撮影手順をユーザーに提供することを特徴とする付記5記載の撮影作業支援装置。
(付記8)
見開き状態の書籍の各ページをめくり元位置からめくり先位置へめくるページめくり装置を使用する前記書籍の電子データ化に向けた撮影作業の内容をユーザーに設定させる設定ステップと、
ユーザーに設定された前記撮影作業の内容に応じた撮影手順に関する案内情報をユーザーに提供する提供ステップと
を含むことを特徴とする撮影作業支援方法。
(付記9)
コンピュータに、
見開き状態の書籍の各ページをめくり元位置からめくり先位置へめくるページめくり装置を使用する前記書籍の電子データ化に向けた撮影作業の内容をユーザーに設定させる設定機能、
ユーザーに設定された前記撮影作業の内容に応じた撮影手順に関する案内情報を、所定の情報出力装置を介しユーザーに提供する提供機能と
を実現させるためのプログラム。