特許第6376107号(P6376107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6376107シール部材、及び多芯ケーブルのシール構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376107
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】シール部材、及び多芯ケーブルのシール構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/04 20060101AFI20180813BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20180813BHJP
   H01B 7/282 20060101ALI20180813BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H02G15/04 060
   H02G3/22
   H01B7/282
   H01R13/52 301E
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-223129(P2015-223129)
(22)【出願日】2015年11月13日
(62)【分割の表示】特願2014-131700(P2014-131700)の分割
【原出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-77143(P2016-77143A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2016年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森 洋和
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】坂田 知之
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】筒木 正人
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−097898(JP,A)
【文献】 特開2002−325341(JP,A)
【文献】 特開2002−374610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/04
H01B 7/282
H01R 13/52
H02G 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出される多芯ケーブルと、
前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓と、を備え、
前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、
前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられており、
前記シース外嵌部は円筒形状に形成されており、
前記電線貫通部の断面形状は略台形状に形成されている、多芯ケーブルのシール構造。
【請求項2】
複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出される多芯ケーブルと、
前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓と、を備え、
前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、
前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられており、
前記電線貫通部の断面形状は略台形状に形成されており、
前記複数の電線は、外径寸法の大きい電線と、外径寸法の小さい電線と、を含み、
前記複数の貫通孔のうち、前記外径寸法の大きい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔は前記略台形状における長辺側に配置され、
前記貫通孔のうち、前記外径寸法の小さい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔は前記略台形状における短辺側に配置される多芯ケーブルのシール構造。
【請求項3】
複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出された多芯ケーブルに取り付けられるシール部材であって、
前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓、を備え、
前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、
前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられており、
前記シース外嵌部は円筒形状に形成されており、
前記電線貫通部の断面形状は略台形状に形成されている、シール部材。
【請求項4】
複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出された多芯ケーブルに取り付けられるシール部材であって、
前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓、を備え、
前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、
前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられており、
前記電線貫通部の断面形状は略台形状に形成されており、
前記ゴム栓の前記複数の貫通孔は、外径寸法の大きい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔と、外径寸法の小さい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔と、を備えており、
前記外径寸法の大きい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔は前記略台形状における長辺側に配置され、
前記外径寸法の小さい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔は前記略台形状における短辺側に配置されるシール部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール部材、及び多芯ケーブルのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多芯シースケーブルの端末部の防水構造として特開2003−17476号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。このものは、複数の電線が引き出される多芯シースケーブルのシースの先端に筒体が取り付けられており、この筒体内にシリコーン系の接着剤等のシール材が充填されている。
【0003】
上記の多芯シースケーブルにおいては、まず、ノズルの先端をシースと筒体との間の隙間に差し込み、ノズルの先端からシール剤を注入した後に、ノズルの先端を複数の電線の間に差し込み、このノズルの先端から、複数の電線の相互間にシール材を注入するようになっている。これにより、電線とシースとの間、及び、複数の電線の相互間がシールされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−174716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の構成によると、複数の電線の間のそれぞれについてノズルが差し込まれ、一つ一つの隙間にシール材が充填されるようになっている。このため、筒体内に接着剤を充填するためには相当の時間を要する。更に、シール材を硬化させるための時間も必要となる。このため、作業効率が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る多芯ケーブルのシール構造は、複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出される多芯ケーブルと、前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓と、を備え、前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられており、前記シース外嵌部は円筒形状に形成されており、前記電線貫通部の断面形状は略台形状に形成されている。
また、本発明に係る多芯ケーブルのシール構造は、複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出される多芯ケーブルと、前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓と、を備え、前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられており、前記電線貫通部の断面形状は略台形状に形成されており、前記複数の電線は、外径寸法の大きい電線と、外径寸法の小さい電線と、を含み、前記複数の貫通孔のうち、前記外径寸法の大きい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔は前記略台形状における長辺側に配置され、
前記貫通孔のうち、前記外径寸法の小さい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔は前記略台形状における短辺側に配置される。
【0007】
また、本発明は、複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出された多芯ケーブルに取り付けられるシール部材であって、前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓、を備え、前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられており、前記シース外嵌部は円筒形状に形成されており、前記電線貫通部の断面形状は略台形状に形成されている。
また、本発明は、複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出された多芯ケーブルに取り付けられるシール部材であって、前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓、を備え、前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられており、前記電線貫通部の断面形状は略台形状に形成されており、前記ゴム栓の前記複数の貫通孔は、外径寸法の大きい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔と、外径寸法の小さい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔と、を備えており、前記外径寸法の大きい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔は前記略台形状における長辺側に配置され、前記外径寸法の小さい電線に対応する内径寸法を有する貫通孔は前記略台形状における短辺側に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多芯ケーブルから導出される複数の電線の分岐部分をシールする作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る多芯ケーブルのシール構造を示す斜視図
図2】多芯ケーブルのシール構造を示す平面図
図3図5におけるIII−III線断面図
図4図5におけるIV−IV線断面図
図5】シール部材を示す正面図
図6図2におけるVI−VI線断面図
図7図2におけるVII−VII線断面図
図8】ゴム栓を示す背面図
図9】ゴム栓を示す正面図
図10】ゴム栓を示す斜視図
図11】ゴム栓を示す平面図
図12】キャップを示す背面図
図13】キャップを示す斜視図
図14】ガイド部材を示す斜視図
図15】ガイド部材を示す正面図
図16】ガイド部材を示す平面図
図17】ガイド部材を示す背面図
図18】シースを皮剥ぎされた多芯ケーブルにおいて、複数の電線にガイド部材を取り付けた状態を示す斜視図
図19】多芯ケーブルのシースの端部にゴム栓を外嵌させた状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明を、シール部材10、及び、多芯ケーブル11のシール構造12に適用した実施形態1を、図1ないし図19を参照しつつ説明する。本実施形態は、例えば、車両(図示せず)に搭載された、電気パーキングブレーキ用のワイヤーハーネスに使用することができる。
【0011】
(多芯ケーブル11)
図1図4に示すように、本実施形態に係る多芯ケーブル11は、複数の電線13A,13B,13C,13D(本実施形態では4つ)が絶縁性の合成樹脂製のシース14で包囲された構成となっている。電線13A,13B,13C,13Dは、金属製の芯線(図示せず)の外周が合成樹脂製の絶縁被覆(図示せず)で覆われた構成となっている。多芯ケーブル11の断面形状は円形状をなしている。
【0012】
図6図7に示すように、4本の電線13A,13B,13C,13Dは、異なる外径寸法を有する2種の電線13A,13B,13C,13Dを含む。本実施形態においては、電気パーキングブレーキ用のモータに接続される第1電線13A、及び第2電線13Bと、アンチロックブレーキシステムのセンサ用の第3電線13C、及び第4電線13Dが含まれる。第1電線13A、第2電線13B、第3電線13C、及び第4電線13Dの断面形状は円形状をなしている。
【0013】
第1電線13Aと第2電線13Bの外径寸法は、第3電線13Cと第4電線13Dの外径寸法よりも大きく設定されている。第1電線13Aの外径寸法と、第2電線13Bの外径寸法とは同じに設定されている。また、第3電線13Cの外径寸法と、第4電線13Dの外径寸法とは同じに設定されている。多芯ケーブル11のシース14の端部14Aからは第1電線13A、第2電線13B、第3電線13C、及び第4電線13Dが導出されて、それぞれ分岐されている。
【0014】
(シール部材10)
図1図4に示すように、多芯ケーブル11のシース14の端部14Aにおいて、第1電線13A、第2電線13B、第3電線13C、及び第4電線13Dが分岐された領域には、シール部材10が取り付けられている。シール部材10によって、シース14の端部14Aから水、油等の液体がシース14内に浸入することが抑制されるようになっている。シール部材10は、シース14の端部14Aに外嵌されるゴム栓15と、ゴム栓15の内部に取り付けられるガイド部材16と、ゴム栓15に外嵌されるキャップ17と、を備える。
【0015】
(ゴム栓15)
図3及び図4に示すように、シース14の端部14Aには、ゴム栓15が外嵌されている。ゴム栓15は、シース14の端部14Aに外嵌されるシース外嵌部18を有する。シース外嵌部18は、シース14の端部14Aと反対側(図3における左側)に延びて、シース14の端部14Aと反対方向(図3における左方)に開口するフード状に形成されている。シース外嵌部18の端縁部には、シース外嵌部18の径方向の外方に突出するフランジ部19が形成されている。シース外嵌部18は、自然状態において実質的に円筒形状に形成されている。
【0016】
(シース側リップ20)
図3図4及び図8に示すように、シース外嵌部18の内周には、内方に突出する複数のシース側リップ20が、シース外嵌部18の周方向に沿って環状に形成されている。シース外嵌部18がシース14の端部14Aに外嵌された状態で、シース側リップ20は、シース14の外周に密着するようになっている。これにより、ゴム栓15と、シース14との間がシールされる。
【0017】
(電線貫通部21)
図3図4及び図9に示すように、ゴム栓15には、シース外嵌部18と反対側の端部に、第1電線13A、第2電線13B、第3電線13C、及び第4電線13Dのそれぞれが貫通される、複数(本実施形態では4つ)の貫通孔22A,22B,22C,22Dを有する電線貫通部21が設けられている。複数の貫通孔22A,22B,22C,22Dは、第1電線13Aが貫通される第1貫通孔22Aと、第2電線13Bが貫通される第2貫通孔22Bと、第3電線13Cが貫通される第3貫通孔22Cと、第4電線13Dが貫通される第4貫通孔22Dと、を含む。
【0018】
図9に示すように、電線貫通部21の断面形状は、角の丸められた台形状に形成されている。電線貫通部21の断面形状は、長辺23と、この長辺23に平行であって長辺23よりも短い短辺24と、長辺23の端部と短辺24の端部とを連結する2つの斜辺25と、を備える。
【0019】
電線貫通部21には、長辺23寄りの位置に、第1貫通孔22A及び第2貫通孔22Bが、長辺23の延びる方向(図9における上下方向)に沿って並んで形成されている。また、電線貫通部21には、短辺24寄りの位置に、第3貫通孔22C及び第4貫通孔22Dが、短辺24の延びる方向(図9における上下方向)に沿って並んで形成されている。
【0020】
第1貫通孔22Aの内径寸法は、第1電線13Aの外径寸法よりもやや大きく形成されている。図9及び図10に示すように、第1貫通孔22Aの内周には、第1電線13Aの外周に密着する第1電線側リップ26A(電線側リップの一例)が、第1貫通孔22Aの周方向に沿って環状に形成されている。第1電線側リップ26Aは、第1貫通孔22Aの内部に第1電線13Aが貫通された状態で、第1電線13Aの外周に密着するようになっている。これより、第1電線13Aとゴム栓15との間がシールされる。
【0021】
第2貫通孔22Bの内径寸法は、第2電線13Bの外径寸法よりもやや大きく形成されている。図9及び図10に示すように、第2貫通孔22Bの内周には、第2電線13Bの外周に密着する第2電線側リップ26B(電線側リップの一例)が、第2貫通孔22Bの周方向に沿って環状に形成されている。第2電線側リップ26Bは、第2貫通孔22Bの内部に第2電線13Bが貫通された状態で、第2電線13Bの外周に密着するようになっている。これにより、第2電線13Bとゴム栓15との間がシールされる。
【0022】
第3貫通孔22Cの内径寸法は、第3電線13Cの外径寸法よりもやや大きく形成されている。図9及び図10に示すように、第3貫通孔22Cの内周には、第3電線13Cの外周に密着する第3電線側リップ26C(電線側リップの一例)が、第3貫通孔22Cの周方向に沿って環状に形成されている。第3電線側リップ26Cは、第3貫通孔22Cの内部に第3電線13Cが貫通された状態で、第3電線13Cの外周に密着するようになっている。これにより、第3電線13Cとゴム栓15との間がシールされる。
【0023】
第4貫通孔22Dの内径寸法は、第4電線13Dの外径寸法よりもやや大きく形成されている。図9及び図10に示すように、第4貫通孔22Dの内周には、第4電線13Dの外周に密着する第4電線側リップ26D(電線側リップの一例)が、第4貫通孔22Dの周方向に沿って環状に形成されている。第4電線側リップ26Dは、第4貫通孔22Dの内部に第4電線13Dが貫通された状態で、第4電線13Dの外周に密着するようになっている。これにより、第4電線13Dとゴム栓15との間がシールされる。
【0024】
図3及び図4に示すように、ゴム栓15には、シース外嵌部18の内部であって、シース側リップ20と、電線貫通部21との間の位置に、第1電線13A、第2電線13B、第3電線13C、及び第4電線13Dがそれぞれ挿通される複数(本実施形態では4つ)のガイド孔38A,38B,38C,38Dを有するガイド部材16が保持される保持部28が形成されている。
【0025】
(キャップ17)
図3及び図4に示すように、ゴム栓15には合成樹脂製のキャップ17が外嵌されている。キャップ17は、シース14の端部14Aから、第1電線13A、第2電線13B、第3電線13C、及び第4電線13Dが導出された側(図3における右側)からゴム栓15に外嵌されている。キャップ17は、第1電線13A、第2電線13B、第3電線13C、及び第4電線13Dが導出された側からシース14側に向かって(図3における左方)に開口されている。キャップ17の開口端縁は、ゴム栓15のフランジ部19に当接している。
【0026】
キャップ17には、キャップ17の開口端縁側(図3における左側)の位置に、ゴム栓15のシース外嵌部18に外嵌される大径部30(シース側押圧部の一例)が形成されている。図12に示すように、大径部30の断面形状は、シース外嵌部18の外形状に倣って、円形状に形成されている。大径部30の内周は、シース外嵌部18の外周に形成された複数(本実施形態では3つ)の大径部側リップ31と密着するようになっている。図10及び図11に示すように、大径部側リップ31は、シース外嵌部18の外周面に、外方に突出すると共に、シース外嵌部18の周方向に沿って形成されている。大径部側リップ31と、キャップ17の大径部30の内周とが密着することにより、キャップ17の大径部30と、ゴム栓15のシース外嵌部18との間がシールされる。
【0027】
図6及び図12に示すように、キャップ17の大径部30の内部には、キャップ17の開口方向に沿って延びるリブ状をなす複数(本実施形態では2つ)のゴム栓用係止部32が形成されている。2つのゴム栓用係止部32は、大径部30の内周において、互いに対向する位置に形成されている。
【0028】
図6及び図10に示すように、ゴム栓15のシース外嵌部18及び保持部28の外周には、複数(本実施形態では2つ)のゴム栓用係止部32が嵌入される2つのゴム栓用被係止部33が、シース外嵌部18の延びる方向に沿って溝状に陥没して形成されている。2つのゴム栓用被係止部33のそれぞれは、大径部30に形成された2つのゴム栓用係止部32のそれぞれに対応する位置に形成されている。
【0029】
大径部30のゴム栓用係止部32と、シース外嵌部18のゴム栓用被係止部33とが係止することにより、ゴム栓15が、キャップ17に対して、ゴム栓15の周方向について回転することが抑制されるようになっている。
【0030】
図3及び図4に示すように、キャップ17の大径部30が、ゴム栓15のシース外嵌部18に外嵌された状態で、大径部30はシース外嵌部18を、シース外嵌部18の径方向の内方に押圧するようになっている。これにより、シース外嵌部18は、シース14の外周に外方から押圧されるようになっている。これにより、シース外嵌部18のシース側リップ20は、シース14の外周に確実に密着されるようになっている。
【0031】
図3及び図4に示すように、キャップ17の内部には、大径部30よりも、キャップ17の開口方向と反対側(図3における右側)の位置に、ゴム栓15の電線貫通部21に外嵌される小径部34(電線側押圧部の一例)が形成されている。小径部34の外径寸法は、大径部30の外径寸法よりも小さく設定されている。図12に示すように、小径部34の断面形状は、電線貫通部21の外形状に倣って、角の丸められた台形状に形成されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、小径部34の内周は、電線貫通部21の外周に形成された複数(本実施形態では3つ)の小径部側リップ35と密着するようになっている。図10及び図11に示すように、小径部側リップ35は、電線貫通部21の外周面に、外方に突出すると共に、電線貫通部21の周方向に沿って形成されている。小径部側リップ35と、キャップ17の小径部34の内周とが密着することにより、キャップ17の小径部34と、ゴム栓15の電線貫通部21との間がシールされる。
【0033】
図3及び図4に示すように、キャップ17の小径部34が、ゴム栓15の電線貫通部21に外嵌された状態で、小径部34は電線貫通部21を、電線貫通部21の径方向の内方に押圧するようになっている。これにより、電線貫通部21は外方から圧縮される。これにより、第1〜第4貫通孔22Dの内周に形成された第1〜第4電線側リップ26Dは、第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれの外周に確実に密着されるようになっている。
【0034】
図3及び図4に示すように、キャップ17は、キャップ17の開口方向と反対側の位置に、奥壁36が形成されている。図13に示すように、奥壁36には、第1電線13A、第2電線13B、第3電線13C、及び第4電線13Dのそれぞれがキャップ17から導出される、第1導出孔37A、第2導出孔37B、第3導出孔37C、及び第4導出孔37Dが、奥壁36を貫通して形成されている。
【0035】
図6に示すように、キャップ17の大径部30に形成されたゴム栓用係止部32と、ゴム栓15のシース外嵌部18に形成されたゴム栓用被係止部33とが係止することにより、キャップ17に対するゴム栓15の相対的な位置決めがなされる。これにより、図3及び図4に示すように、ゴム栓15に形成された第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれと、キャップ17に形成された第1〜第4導出孔37A,37B,37C,37Dのそれぞれとが、整合するようになっている。詳細に説明すると、第1貫通孔22Aと第1導出孔37Aとが整合し、第2貫通孔22Bと第2導出孔37Bとが整合し、第3貫通孔22Cと第3導出孔37Cとが整合し、第4貫通孔22Dと第4導出孔37Dとが整合するようになっている。
【0036】
(ガイド部材16)
図14図17に示すように、ガイド部材16は合成樹脂製であって、第1電線13Aが挿通される第1ガイド孔38Aと、第2電線13Bが挿通される第2ガイド孔38Bと、第3電線13Cが挿通される第3ガイド孔38Cと、第4電線13Dが挿通される第4ガイド孔38Dと、が貫通されている。
【0037】
図6及び図8に示すように、ゴム栓15の保持部28の内周には、内方に突出する複数(本実施形態では4つ)のガイド部材用係止部39が形成されている。
【0038】
ガイド部材16には、4つのガイド部材用係止部39のそれぞれが嵌入される複数(本実施形態では4つ)のガイド部材用被係止部40が、ガイド部材16の外周から陥没して形成されている。ガイド部材16に形成された4つのガイド部材用被係止部40のそれぞれは、ゴム栓15に形成された4つのガイド部材用係止部39のそれぞれと対応する位置に形成されている。
【0039】
ゴム栓15の保持部28に形成された4つのガイド部材用係止部39のそれぞれと、ガイド部材16に形成された4つのガイド部材用被係止部40のそれぞれとが、係合する。これにより、ガイド部材16は、ゴム栓15に対してガイド部材16の周方向に回転することが抑制された状態で保持されるようになっている。これにより、ゴム栓15とガイド部材16との相対的な位置決めがなされる。この結果、図3及び図4に示すように、ゴム栓15の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれと、ガイド部材16の第1〜第4ガイド孔38A,38B,38C,38Dのそれぞれとが、整合するようになっている。詳細に説明すると、第1貫通孔22Aと第1ガイド孔38Aとが整合し、第2貫通孔22Bと第2ガイド孔38Bとが整合し、第3貫通孔22Cと第3ガイド孔38Cとが整合し、第4貫通孔22Dと第4ガイド孔38Dとが整合するようになっている。
【0040】
(製造工程)
続いて、本実施形態の製造工程の一例について説明する。なお、本実施形態の製造工程は、以下の記載に限定されない。
【0041】
まず、多芯ケーブル11のシース14を、公知の手法により、皮剥ぎする。これより、シース14の端部14Aから第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dが導出された状態にする。
【0042】
次に、図18に示すように、ガイド部材16の第1〜第4ガイド孔38A,38B,38C,38Dのそれぞれに、第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれを挿通される。詳細には、第1ガイド孔38Aに第1電線13Aを挿通させ、第2ガイド孔38Bに第2電線13Bを挿通させ、第3ガイド孔38Cに第3電線13Cを挿通させ、第4ガイド孔38Dに第4電線13Dを挿通させる。
【0043】
次に、ゴム栓15の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれに、第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれを挿通させる。詳細には、第1貫通孔22Aに第1電線13Aを挿通させ、第2貫通孔22Bに第2電線13Bを挿通させ、第3貫通孔22Cに第3電線13Cを挿通させ、第4貫通孔22Dに第4電線13Dを挿通させる。その後、ゴム栓15をガイド部材16の位置にまで移動させる。
【0044】
次に、ゴム栓15の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれと、ガイド部材16の第1〜第4ガイド孔38A,38B,38C,38Dのそれぞれとが、整合した配置になるように、ゴム栓15とガイド部材16との相対的な位置を調整する。上記の状態で、ゴム栓15のガイド部材16側係止部と、ガイド部材16のガイド部材16側被係止部と、を係止させる。これにより、ゴム栓15の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれと、ガイド部材16の第1〜第4ガイド孔38A,38B,38C,38Dのそれぞれとが整合した状態で、ガイド部材16がゴム栓15の保持部28に保持される。その後、図19に示すように、ゴム栓15をシース14の端部14Aにまで移動させ、シース14の端部14Aに、ゴム栓15のシース外嵌部18を外嵌させる。
【0045】
次に、キャップ17の第1〜第4導出孔37A,37B,37C,37Dのそれぞれに、第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれを挿通させる。詳細には、第1導出孔37Aに第1電線13Aを挿通させ、第2導出孔37Bに第2電線13Bを挿通させ、第3導出孔37Cに第3電線13Cを挿通させ、第4導出孔37Dに第4電線13Dを挿通させる。その後、キャップ17を、シース14の端部14Aに外嵌されたゴム栓15の位置にまで移動させる。
【0046】
次に、ゴム栓15の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれと、キャップ17の第1〜第4導出孔37A,37B,37C,37Dのそれぞれとが、整合した配置になるように、ゴム栓15とキャップ17との相対的な位置を調整する。上記の状態で、キャップ17のゴム栓15側係止部と、ゴム栓15のゴム栓15側被係止部、を係止させる。これにより、ゴム栓15の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれと、キャップ17の第1〜第4導出孔37A,37B,37C,37Dのそれぞれとが整合した状態で、キャップ17がゴム栓15に外嵌される。その後、キャップ17を、ゴム栓15のフランジ部19に当接するまで押し込む。これにより、本実施形態に係るシール部材10が完成すると共に、多芯ケーブル11のシール構造12が完成する(図1参照)。
【0047】
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、シース14とゴム栓15との間は、ゴム栓15側リップに設けられたシース側リップ20によってシールされている。また、第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれとゴム栓15との間は、第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれが貫通される第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれに形成された第1〜第4電線側リップ26A,26B,26C,26Dによってシールされている。このように本実施形態によれば、多芯ケーブル11のシース14の端部14Aにゴム栓15を取り付けることにより、シース14とゴム栓15との間をシールするとともに、多芯ケーブル11から分岐される複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれの間をシールすることができる。この結果、多芯ケーブル11において、シース14の端部14A、及び複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dの分岐部分から、液体がシース14内に浸入することを抑制するための作業効率を向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、ゴム栓15にはキャップ17が外嵌されており、キャップ17は、ゴム栓15のシース外嵌部18を外方から押圧することによってシース14の外周とシース側リップ20との間を密着させてシールする大径部30と、電線貫通部21を外方から押圧することによって複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれの外周と複数の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれに形成された第1〜第4電線側リップ26A,26B,26C,26Dとの間を密着させてシールする小径部34と、を備える。これにより、シース14とゴム栓15との間が確実にシールされると共に、第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれと第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれとの間が確実にシールされる。この結果、シース14の端部14A、及び複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dの分岐部分から、シース14の内部に液体が浸入することを確実に抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態によればゴム栓15には、シース外嵌部18と電線貫通部21との間の位置に、シース14の端部14Aから導出された複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dがそれぞれ挿通される複数の第1〜第4ガイド孔27A,27B,27C,27Dを有するガイド部材16が保持される保持部28が形成されており、ガイド部材16が保持部28に保持された状態において、複数の第1〜第4ガイド孔27A,27B,27C,27Dのそれぞれと、複数の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれとが、対応するようになっている。これにより、ゴム栓15に設けられた複数の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれに、複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれを、確実に貫通させることができる。これにより、第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれの外周と、第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれに形成された第1〜第4電線側リップ26A,26B,26C,26Dとを確実に密着させることができる。この結果、複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dの分岐部分からシース14の内部に液体が浸入することを確実に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dは、異なる外径寸法を有する2種以上の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dを含み、ゴム栓15の複数の第1〜第4貫通孔22A,22B,22C,22Dのそれぞれは、複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれの外径寸法に対応する内径寸法を有する。これにより、複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dの外径寸法が異なる場合であっても、複数の第1〜第4電線13A,13B,13C,13Dのそれぞれの間を確実にシールすることができる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0052】
多芯ケーブル11に配された複数の電線は、2本〜3本、又は5本以上であってもよい。
【0053】
複数の電線は、2種類の外径寸法を有する電線を含む構成であったが、これに限られず、3種類以上の外径寸法を有する電線を含む構成としてもよい。
【0054】
複数の電線の外径寸法は全て同じであってもよい。
【0055】
ガイド部材16は省略することができる。
【0056】
キャップ17は省略することができる。
【0057】
電線はシールド電線でもよい。また、電線は、複数の金属細線が撚り合わされた芯線を備えた撚線であってもよく、また、金属棒材を芯線とするいわゆる単芯線であってもよい。このように電線としては、必要に応じて任意の電線を適宜に選択することができる。
【0058】
多芯ケーブル11は、いわゆるキャブタイヤケーブルであってもよく、また、複数の電線の外周がシールド層で包囲された多芯のシールド電線であってもよい。このように多芯ケーブル11としては、必要に応じて任意の多芯ケーブル11を適宜に選択することができる。
【0059】
本実施形態に係るシール部材10又はシール構造12によれば、水、油、有機溶媒等、必要に応じて任意の液体をシールすることができる。
【0060】
本実施形態においては、シース14を皮剥ぎされた多芯ケーブル11に対して、ガイド部材16、ゴム栓15、キャップ17を、この順に組み付けることにより、シール部材10を組み立て、且つ、多芯ケーブル11のシール構造12を形成する構成としたが、これに限られず、予め組み付けられたシール部材10に、シース14を皮剥ぎされた多芯ケーブル11の複数の電線を挿通させることにより、多芯ケーブル11とシール部材10とを組み付けてもよい。
【0061】
<参考例>
以下に、参考例に係る技術を示す。
【0062】
本参考例に係る多芯ケーブルのシール構造は、複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出される多芯ケーブルと、前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓と、を備え、前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられている。
【0063】
また、本参考例は、複数の電線がシースで包囲されると共に、前記シースの端部から前記複数の電線が導出された多芯ケーブルに取り付けられるシール部材であって、前記シースの前記端部に外嵌されるシース外嵌部を有すると共に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線のそれぞれが貫通される複数の貫通孔を有する電線貫通部を有するゴム栓、を備え、前記シース外嵌部の内周には前記シースの外周に密着するシース側リップが設けられており、前記複数の貫通孔のそれぞれの内周には前記複数の電線のそれぞれの外周に密着する電線側リップが設けられている。
【0064】
上記の構成によれば、シースとゴム栓との間は、ゴム栓側リップに設けられたシース側リップによってシールされている。また、各電線とゴム栓との間は、各電線が貫通される各貫通孔に形成された電線側リップによってシールされている。このように本発明によれば、多芯ケーブルのシースの端部にゴム栓を取り付けることにより、シースとゴム栓との間をシールするとともに、多芯ケーブルから分岐される複数の電線のそれぞれの間をシールすることができる。この結果、多芯ケーブルにおいて、シースの端部、及び複数の電線の分岐部分から、液体がシース内に浸入することを抑制するための作業効率を向上させることができる。
【0065】
本参考例としては以下の態様が好ましい。
【0066】
前記ゴム栓にはキャップが外嵌されており、前記キャップは、前記ゴム栓の前記シース外嵌部を外方から押圧することによって前記シースの外周と前記シース側リップとの間を密着させてシールするシース側押圧部と、前記電線貫通部を外方から押圧することによって前記複数の電線のそれぞれの外周と前記複数の貫通孔のそれぞれに形成された前記電線側リップとの間を密着させてシールする電線側押圧部と、を備える。
【0067】
上記の態様によれば、シースとゴム栓との間が確実にシールされると共に、各電線と各貫通孔との間が確実にシールされる。これにより、シースの端部、及び複数の電線の分岐部分から、シースの内部に液体が浸入することを確実に抑制することができる。
【0068】
前記ゴム栓には、前記シース外嵌部と前記電線貫通部との間の位置に、前記シースの前記端部から導出された前記複数の電線がそれぞれ挿通される複数のガイド孔を有するガイド部材が保持される保持部が形成されており、前記ガイド部材が前記保持部に保持された状態において、前記複数のガイド孔のそれぞれと、前記複数の貫通孔のそれぞれとが対応するようになっている。
【0069】
上記の態様によれば、ゴム栓に設けられた複数の貫通孔のそれぞれに、複数の電線のそれぞれを、確実に貫通させることができる。これにより、各電線の外周と各貫通孔の電線側リップとを確実に密着させることができる。この結果、複数の電線の分岐部分からシースの内部に液体が浸入することを確実に抑制することができる。
【0070】
前記複数の電線は、異なる外径寸法を有する2種以上の電線を含み、前記ゴム栓の前記複数の貫通孔のそれぞれは、前記複数の電線のそれぞれの外径寸法に対応する内径寸法を有する。
【0071】
上記の態様によれば、複数の電線の外径寸法が異なる場合であっても、複数の電線のそれぞれの間を確実にシールすることができる。
【符号の説明】
【0072】
10:シール部材10
11:多芯ケーブル
12:シール構造
13A:第1電線
13B:第2電線
13C:第3電線
13D:第4電線
14:シース
15:ゴム栓
16:ガイド部材
17:キャップ
18:シース外嵌部
20:シース側リップ
21:電線貫通部
22A:第1貫通孔
22B:第2貫通孔
22C:第3貫通孔
22D:第4貫通孔
26A:第1電線側リップ
26B:第2電線側リップ
26C:第3電線側リップ
26D:第4電線側リップ
28:保持部
30:大径部
34:小径部
38A:第1ガイド孔
38B:第2ガイド孔
38C:第3ガイド孔
38D:第4ガイド孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19