(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
示差走査熱量計法による測定において2つの融解ピークを有し、低温側の融解ピーク熱量Qlと、高温側の融解ピーク熱量Qhから算出した、高温側の融解ピークの比率{Qh/(Ql+Qh)}×100が8%以上25%未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
示差走査熱量計法による測定において2つの融解ピークを有し、低温側の融解ピーク熱量qlと、高温側の融解ピーク熱量qhから算出した、高温側の融解ピークの比率{qh/(ql+qh)}×100が8%以上25%未満であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体。
導電性ポリプロピレン系樹脂粒子、水および発泡剤を耐圧容器中に収容し、攪拌条件下に分散させると共に、前記導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温した後、耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出して導電性ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させる一段発泡工程を含む、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
前記導電性ポリプロピレン系樹脂粒子が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し導電性カーボンブラックを11重量部以上25重量部以下および気泡径肥大化剤含む導電性ポリプロピレン系樹脂組成物であって、気泡径肥大化剤がポリエチレングリコール、グリセリンまたは融点150℃以下かつ沸点150℃以上の化合物であり、荷重5000g、230±0.2℃の条件下で測定したメルトインデックスが0.5g/10分以上4.0g/10分以下である導電性ポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、緩衝性、軽量性、断熱性などの特徴をもつ。また、ポリスチレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体と比較すると、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率に優れており、またポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体と比較すると、寸法精度、耐熱性、圧縮強度が優れている。これらの特徴により、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、緩衝材、通箱、断熱材、自動車部材など様々な用途に用いられている。
【0003】
このような中で、電子機器や精密機器の緩衝材やロボットラインのパーツトレイ、あるいは電波暗室や電子機器の放射ノイズ対策、電波反射防止対策等に用いられる電波吸収体にもポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が用いられており、このような場合には、10重量%以上の導電性カーボンブラックを添加した導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が用いられている(例えば、特許文献1〜6)。
【0004】
しかし、導電性カーボンブラックを10重量%以上含んだ場合、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の難燃性が低下するという問題があり、難燃性を必要とする部材に適用する場合は、多量の難燃剤を添加しなければならなくなる。
【0005】
導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体における難燃性の低下は、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する際の発泡剤としてブタンなどの有機系発泡剤を用いる場合は顕著ではないが、二酸化炭素などの無機系発泡剤を用いた場合に顕著となる。
このように、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体において難燃性が低下する課題、特に無機系発泡剤を用いた場合に難燃性の低下がより顕著となる課題については、前述の特許文献1〜6には明示されていない。
【0006】
一方、カーボンブラックには、前述の導電性カーボンブラックの他に、着色用カーボンブラックが知られており、一般的に、カーボンブラックはポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を着色するために用いられている。そして、着色用カーボンブラックを用いた場合のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の難燃性の低下については、一般的に知られている(例えば、特許文献7〜9)。
【0007】
カーボンブラックにより黒色に着色したポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に対して、特許文献7では、窒素系難燃剤(ヒンダードアミン系難燃剤)の添加により難燃性を向上させ、特許文献8では、平均面積が特定の値のカーボンブラック凝集体の集合体を用いることにより難燃性を向上させ、特許文献9では、特定の多価アルコールを添加することにより難燃性を向上させている。
【0008】
着色用カーボンブラックの添加量は、前記特許文献中では10重量%以上の範囲の記載もあるが、実際には型内発泡成形体の黒色度を満足する上では10重量%以下で十分である。特許文献7の実施例記載の着色用カーボンブラック添加量を見ても、5重量%未満の低添加量であって、導電性カーボンブラックのような10重量%以上の添加においても難燃性が向上することは示されていない。
【0009】
特許文献8には、発泡倍率を上げる為に、親水性ポリマーや、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールを用いることができるとの記載はあるが、これらが難燃性に影響することを示唆する記載はない。また、特許文献8には、カーボンブラックを10重量%以上添加する場合や無機系発泡剤を用いる場合に難燃性の低下が顕著であるという課題についても記載されていない。
【0010】
特許文献9においては、着色用カーボンブラックを10重量%以下添加する場合は特定の多価アルコールを添加することにより難燃性が改善することが記載されているが、比較例に記載のごとく、10重量を超える量、例えば15重量%添加した場合には、特定の多価アルコールを添加しても難燃性が改善しないことが示されている。
【0011】
樹脂に添加して用いられる導電性カーボンブラックと着色用カーボンブラックでは、一般的には、DBP(フタル酸ジブチル)吸収量に違いがある。DBP吸収量がおおむね100cm
3/100g以上であれば、導電性能に優れることから、導電性カーボンブラックとして用いられ、100cm
3/100g未満のものは、黒色度に優れることから、着色用カーボンブラックとして用いられている。
【0012】
着色用カーボンブラックを導電性付与のために用いることは不可能ではないが、優れた導電性(例えば、体積固有抵抗値が5000Ω・cm以下)を発現させるためには、導電性カーボンブラックよりも更に多量の添加量を必要とすることから、発泡成形が困難になるなど実用的でない。
【0013】
特許文献10には、無機物を多量に含有していることにより高導電性等の付加価値を有し、しかも抜き加工性も良好な無機物含有ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を提供することを目的とし、ポリプロピレン系樹脂57〜92重量%、エチレン−αオレフィン共重合体系ゴム3〜30重量%、および無機物5〜40重量%とからなるポリプロピレン系樹脂組成物を基材とする無機物含有ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体が記載されており、導電性を付与する場合は、導電性カーボンを発泡粒子中に10重量%以上含有せしめることにより優れた導電性を発現させることができると記載され、比較例2には、導電性カーボンとして、ケッチェン・ブラック(インターナショナル社製;ケッチェンブラックEC、BET比表面積800m
2/g)14重量%を含有する発泡粒子および発泡成形体が記載されている。
【0014】
しかし、多量の導電性カーボンブラックを含有させたポリプロピレン系樹脂に難燃剤を添加すると、発泡粒子の連続気泡率が上昇しやすくなり、成形体の表面性が低下してしまうという問題もあった。なお、本発明で前記「連続気泡率」とは、発泡粒子における全気泡に対する連続気泡の割合をいう。
【0015】
以上のように、優れた導電性を発現させる為に、多量の導電性カーボンブラックを含有させた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に、優れた難燃性をも付与することは、これまでの技術では十分ではなく、改善が必要とされるものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、導電性カーボンブラックを11重量部以上25重量部以下含む導電性ポリプロピレン系樹脂組成物からなる導電性ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させてなる導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、導電性ポリプロピレン系樹脂組成物の荷重5000g、230±0.2℃の条件下で測定したメルトインデックスが1.0g/10分以上4.0g/10分以下であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明で用いられる、導電性カーボンブラックを含んでなる導電性ポリプロピレン系樹脂組成物は、JIS K7210:1999に記載のMI測定器を用い、オリフィス:2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ:8.000±0.025mm、荷重:5000g、温度:230±0.2℃の条件下で測定したメルトインデックス(以下、「MI」と称する場合がある。)が1.0g/10分以上4.0g/10分以下であることが好ましく、1.5g/10分以上3.9g/10分以下であることがより好ましい。
【0025】
導電性ポリプロピレン系樹脂組成物の、荷重:5000g、温度:230±0.2℃の条件下で測定したMIが1.0g/10分未満であると、発泡倍率を高めることが困難になる傾向がある。導電性ポリプロピレン系樹脂の、荷重:5000g、温度:230±0.2℃の条件下で測定したMIが4.0g/10分を超えると、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の難燃性が低下する傾向となり、UL94 HBF合格を達成することが困難となる。
【0026】
なお、本発明における導電性ポリプロピレン系樹脂組成物を、荷重:2160g、温度:230±0.2℃の条件下で測定した場合、高粘度の為、樹脂組成物がほとんど流動せず、MIの値を測定することは困難である。
【0027】
導電性ポリプロピレン系樹脂組成物の荷重5000g、温度:230±0.2℃の条件下で測定したMIは、特定のフタル酸ジブチル吸収量(DBP吸収量)を有する導電性カーボンブラックの種類や添加量を選択することや、ポリプロピレン系樹脂のMIを選択することにより、制御することができる。
【0028】
例えば、導電性カーボンブラックのDBP吸収量が高くなると、樹脂組成物のMIは低下する傾向となり、DBP吸収量が低くなるとMIは増大する傾向となる。導電性カーボンブラックの添加量を低減させると、MIは増大し、導電性カーボンブラックの添加量を増加させると、樹脂組成物のMIは低下する。また、MIの低いポリプロピレン系樹脂を用いることにより、樹脂組成物のMIは低下する。
【0029】
本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度は、比較的低い値である30g/L以上45g/L以下の範囲であることが好ましい。導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度が30g/L未満である場合には、高度な難燃規格である難燃規格UL94のHBF試験に合格することができない場合があり、一方、嵩密度が45g/Lを超えると、元来、難燃性が発現され易いことから、本発明を採用することによる有効性が低下する傾向がある。
【0030】
一般的に、型内発泡成形体の導電性は、使用する導電性カーボンブラックの種類と、型内発泡成形体の成形体密度に依存するものである。成形体密度が導電性に影響するのは、成形体密度によって型内発泡成形体中のカーボンブラック量が決まることによる。すなわち、成形体密度が小さくなるほど、型内発泡成形体中のカーボンブラック量が減少する為、導電性能は悪くなる傾向になり、成形体密度が大きくなるほど、型内発泡成形体中のカーボンブラック量が増加する為、導電性能は良くなる傾向となる。
【0031】
本発明において、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度が好ましい範囲を採り得る場合、本発明で用いられる導電性カーボンブラックは、フタル酸ジブチル吸収量(DBP吸収量)が150cm
3/100g以上600cm
3/100g以下であり、好ましくは300cm
3/100g以上600cm
3/100g以下である。導電性カーボンブラックのDBP吸収量が150cm
3/100g未満では、優れた導電性を付与する為に多量の導電性カーボンブラックの添加が必要となり、発泡粒子化が困難となったり、発泡粒子化できた場合においても、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が小さくなり、難燃性が著しく低下する傾向がある。DBP吸収量が600cm
3/100gを超えても導電性および難燃性の向上は見られず、性能的には飽和状態になる。
【0032】
ここで、DBP吸収量は、JIS K6217−4:2008に従って測定した値である。
なお、一般的に、着色用カーボンブラックのDBP吸収量は100cm
3/100g未満であり、良好な導電性と難燃性を兼ね合わせることができない。
【0033】
本発明においては、150cm
3/100g以上600cm
3/100g以下のDBP吸収量を有する導電性カーボンブラックであれば、特に制限は無く、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどを用いることができる。
【0034】
本発明で用いられる導電性カーボンブラックのBET比表面積に制限は無いが、良好な導電性が得られる観点から、200m
2/g以上であることが好ましく、300m
2/g以上であることがより好ましい。BET比表面積が200m
2/g以上の場合、優れた導電性を付与する為の導電性カーボンブラックの添加量を減らすことも可能となる。
【0035】
ここで、BET比表面積は、JIS K6217−2:2001に従って測定される、窒素吸着法による値である。
【0036】
本発明に用いられる具体的な導電性カーボンブラックの商品名としては、例えば、ケッチェンブラックEC300J(ライオン(株)製、DBP吸収量365cm
3/100g、BET比表面積800m
2/g)、ケッチェンブラックEC600JD(ライオン(株)製、DBP吸収量495cm
3/100g、BET比表面積1270m
2/g)、エンサコ350G(ティルカム社製、DBP吸収量320cm
3/100g、BET比表面積770m
2/g)、エンサコ260G(ティルカム社製、DBP吸収量190cm
3/100g、BET比表面積70m
2/g)、BlackPearls2000(Cabot社製、DBP吸収量330cm
3/100g、BET比表面積1475m
2/g)、デンカブラックFX−35(電気化学工業(株)製、DBP吸収量220cm
3/100g、BET比表面積133m
2/g)、プリンテックスXE2(デグサ社製、DBP吸収量380cm
3/100g、BET比表面積950m
2/g)、Vulcan XC72(Cabot社製、DBP吸収量174cm
3/100g、BET比表面積254m
2/g)などが挙げられる。
【0037】
本発明における導電性カーボンブラックの添加量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、11重量部以上25重量部以下が好ましく、13重量部以上23重量部以下がより好ましく、17重量部以上22重量部以下がさらに好ましい。導電性カーボンブラックの添加量が11重量部未満では、良好な導電性を発現できない傾向があり、25重量部を超えると、平均気泡径が微細化し、良好な難燃性が得られなくなる傾向がある。
【0038】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、特に制限は無く、ポリプロピレンホモポリマー、エチレン/プロピレンランダム共重合体、ブテン−1/プロピレンランダム共重合体、エチレン/ブテン−1/プロピレンランダム共重合体、エチレン/プロピレンブロック共重合体、ブテン−1/プロピレンブロック共重体、プロピレン−塩素化ビニル共重合体、プロピレン/無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらのなかでも、エチレン/プロピレンランダム共重合体、 エチレン/ブテン−1/プロピレンランダム共重合体が良好な発泡性を有し、良好な成形性を有する点から好適である。
【0039】
エチレン/プロピレンランダム共重合体またはエチレン/ブテン−1/プロピレンランダム共重合体におけるエチレン含有率は、各共重合体100重量%中、0.2重量%以上10重量%以下が好ましい。
【0040】
また、エチレン/ブテン−1/プロピレンランダム共重合体におけるブテン−1含有率は、共重合体100重量%中、0.2重量%以上10重量%以下が好ましい。但し、エチレンとブテン−1の合計含有率としては、0.5重量%以上10重量%以下が好ましい。
【0041】
各共重合体中のエチレンおよびブテン−1の含有率が前記の範囲内にあると、機械的物性の低下を抑制しつつ発泡性や成形性を向上させることができる。
【0042】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂の融点としては、特に制限は無いが、125℃以上150℃以下が好ましく、130℃以上145℃以下がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂の融点が125℃未満では、耐熱性が低下する傾向にあり、150℃を超えると、発泡倍率を高めることが困難になる傾向がある。
【0043】
ここで、ポリプロピレン系樹脂の融点は、示差走査熱量計法(以下、「DSC法」と称する場合がある。)によって熱量測定した値であり、具体的には、該樹脂5〜6mgを10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温して融解させた後、10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温して結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から、二回目の昇温時の融解ピーク温度を融点として求めた値である。
【0044】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂のメルトインデックスは、特に制限されるものではないが、JIS K7210:1999に記載のMI測定器を用い、オリフィス:2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ:8.000±0.025mm、荷重:2160g、温度:230±0.2℃の条件下で測定したMI値が、1g/10分以上30g/10分以下の範囲であることが好ましく、3g/10分以上20g/10分以下の範囲であることがより好ましく、5g/10分以上18g/10分以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0045】
ポリプロピレン系樹脂の、荷重:2160g、温度:230±0.2℃の条件下で測定したMIが1g/10分未満であると、導電性カーボンブラックを添加した後の導電性ポリプロピレン系樹脂組成物のMIが低くなりすぎ、発泡倍率を高めることが困難になる傾向があり、30g/10分を超えると、得られる導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の気泡が連通化し、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の圧縮強度が低下する、または、表面性が低下する傾向がある。
【0046】
ポリプロピレン系樹脂の、荷重:2160g、温度:230±0.2℃の条件下で測定したMIが1g/10分以上30g/10分以下の範囲であると、比較的大きな発泡倍率の導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られ易い。さらに、該導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形して得られる導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、表面の美麗性に優れ、寸法収縮率も小さくなる。
【0047】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂を合成するときのモノマーの重合触媒としては、例えば、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒等を用いることができるが、特に制限されるものではない。
【0048】
本発明の導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径は、0.08mmを超え0.20mm以下であり、好ましくは0.10mm以上0.20mm以下である。導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が0.08mm以下となると、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の表面伸びが低下し、成形体の外観が損なわれる傾向がある。また、本発明においては、0.20mmを超える平均気泡径の導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることは困難である。
【0049】
ここで、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径は、以下の方法により測定される値を指す。
【0050】
先ず、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の気泡膜(セル膜)が破壊されないように充分注意しながら、当該発泡粒子のほぼ中央を切断し、その切断面をマイクロスコープ[(株)キーエンス製:VHXデジタルマイクロスコープ]を用いて観察する(観察写真を撮影する)。マイクロスコープでの観察ディスプレイ上或いは観察写真上において、発泡粒子の表層部を除く部分に長さ1000μmに相当する線分を引き、当該線分が通る気泡数nを測定し、気泡径(=1000/n(μm))を算出する。同様の操作を10個の発泡粒子に対して行い、それぞれ算出した気泡径の平均値を、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径とする。
【0051】
本発明において、セル径粗大化を目的として、気泡径肥大化剤を添加してもよい。
【0052】
気泡径肥大化剤の具体的な例としては、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。また、グリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノエステル、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体などの中の融点150℃以下かつ沸点150℃以上の化合物も挙げられ、具体的には、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸ジエステルなどが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコールがより好ましく、さらに好ましくは、平均分子量200以上6000以下のポリエチレングリコールである。
【0053】
気泡径肥大化剤の添加量に制限は無く、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が肥大化するに必要な添加量を選択すれば良いが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、気泡径肥大化剤を0.01重量部以上10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2重量部以上5重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以上2重量部以下である。気泡径肥大化剤の添加量が0.01重量部未満では、平均気泡径を肥大化させる効果が小さい傾向にあり、10重量部を超えて添加しても、肥大化効果は大きくならず、飽和傾向にある。なお、気泡径肥大化剤の種類により、有効な添加量は変化するものである。
【0054】
本発明において、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、導電性カーボンブラックを11重量部以上25重量部以下の範囲で含み、必要に応じて、気泡径肥大化剤を0.01重量部以上10重量部以下の範囲で含む導電性ポリプロピレン系樹脂組成物は、通常、発泡に利用され易いように、予め押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融混練して、円柱状、楕円球状、球状、立方体状、直方体状等の所望の粒子形状に成形加工されて、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子となる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂粒子の大きさとしては、一粒の重量が0.1mg〜30mgであることが好ましく、0.3mg〜10mgがより好ましい。樹脂粒子の一粒の重量は、ランダムに選んだ100粒の樹脂粒子から得られる平均樹脂粒子重量であり、mg/粒で表示する。
【0055】
このとき、溶融混練されることから、導電性カーボンブラックや気泡径肥大化剤は樹脂粒子中にほぼ均一に分散される。その結果、得られる導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子には、明確な外層と芯層との区別は無く、発泡粒子全体に導電性カーボンブラックや気泡径肥大化剤がほぼ均一に分散されることになる。
【0056】
本発明においては、導電性ポリプロピレン系樹脂組成物に、さらに、必要に応じて、酸化防止剤、耐光性改良剤、帯電防止剤、顔料、難燃剤、気泡核剤等の各種添加剤を加えて、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子としてもよい。このような添加剤は、気泡径肥大化剤と同様に、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の製造過程において、樹脂中に添加することが好ましい。
【0057】
本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、以下に示す製造方法によって製造することができる。
【0058】
例えば、上記導電性ポリプロピレン系樹脂粒子、水、および発泡剤を耐圧容器内に収容し、攪拌条件下で分散させると共に、耐圧容器の内容物を上記導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温する。その後、耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器内の分散液を放出して、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させる(発泡工程を行う)ことにより、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する。耐圧容器の内圧よりも低い圧力域としては、大気圧(1気圧)が好ましい。なお、以下、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させる上記発泡工程を、「一段発泡工程」と称する。
【0059】
ここで、耐圧容器の内容物の温度を導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温するときは、当該導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の「融点−20℃」以上、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の「融点+10℃」以下の範囲の温度に昇温することが、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の発泡性を確保する上で好ましい。
【0060】
本発明で用いられる発泡剤としては、環境負荷および設備の安全性の観点から、二酸化炭素、水、空気、窒素、等の無機系発泡剤が好ましい。これら発泡剤は単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよいが、二酸化炭素を含む発泡剤を用いることが最も好ましい。
【0061】
本発明において、発泡剤の使用量は、特に制限されるものではなく、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の所望の発泡倍率に応じて、適宣使用すればよい。発泡剤の使用量は、具体的には、例えば、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対して、2重量部以上60重量部以下の範囲であることが好適である。
【0062】
但し、発泡剤として水を用いる場合は、耐圧容器内で導電性ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させるために用いる水を用いる(転用する)ことができる。この場合は、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子に親水性化合物や吸水性化合物を予め含有させておくことにより、当該導電性ポリプロピレン系樹脂粒子が耐圧容器内の水を吸収し易くなり、その結果、水を発泡剤として利用し易くなる。
【0063】
上記親水性化合物および吸水性化合物の種類やその使用量は、特に制限されるものではないが、本発明においては前述の気泡径肥大化剤が親水性或いは吸水性の特性を有し、かつ、気泡径を肥大化させることが可能である点から、気泡径肥大化剤を上記親水性化合物や吸水性化合物として用いる(兼用する)ことが好ましい。
【0064】
発泡剤として水を用いる場合における、水の使用量は、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対して、50重量部以上500重量部以下の範囲が好ましく、100重量部以上350重量部以下の範囲がより好ましい。これにより、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子等を耐圧容器内で分散させることができると共に、水を発泡剤として用いることができる。
【0065】
また、二酸化炭素を含む発泡剤を用いる場合には、気泡径肥大化剤としてポリエチレングリコールやグリセリン等を使用することがより好ましい。
【0066】
導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する際に使用する耐圧容器は、特に制限されるものではなく、本発明に係る製造方法における容器内圧力や容器内温度に耐えられるものであればよい。具体的には、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
【0067】
導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する際には、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子、水、および発泡剤と共に、無機分散剤を用いることがより好ましい。無機分散剤としては、例えば、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、アルミノ珪酸塩、カオリン、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0068】
本発明においては、耐圧容器内での導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の分散性を高める為に、分散助剤を更に併用することがより好ましい。分散助剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0069】
本発明における上記無機分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いる導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の種類および使用量に応じて設定すればよく、特に制限されるものではないが、通常、水100重量部に対して、無機分散剤は0.2重量部以上3重量部以下の範囲であることが好ましく、分散助剤は0.001重量部以上0.1重量部以下の範囲であることが好ましい。
【0070】
尚、嵩密度が比較的高い導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、前述の一段発泡工程を行うだけで得ることが可能である。但し、一段発泡工程を行うだけでは嵩密度が比較的低いポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることができない場合がある。このような場合は、一段発泡工程を行って得た導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を更に発泡させる二段発泡工程、さらには、二段発泡工程を行った後、更に発泡させる三段発泡工程を行うことにより、嵩密度が比較的低い導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。
【0071】
二段発泡工程(さらに、三段発泡工程)としては、以下に示す方法を例示することができる。
【0072】
例えば、一段発泡工程を行って得られた導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、耐圧密閉容器内に入れた後、窒素、空気、二酸化炭素等の無機ガスを0.1MPa以上0.6MPa以下(ゲージ圧)の範囲で該容器内に圧入する。次いで、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子に無機ガスを1時間以上48時間以下の範囲で加圧含浸(加圧処理)させて、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子内の圧力を常圧(1気圧)よりも高くした後、当該導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、圧力が0.01MPa以上0.4MPa以下(ゲージ圧)の範囲の水蒸気等で加熱して更に発泡させる。これにより、嵩密度がより低い(発泡倍率がより高い)導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。さらに、二段発泡工程を行って得た導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を上記二段発泡工程と同様にして更に発泡させることにより、嵩密度がさらに低い(発泡倍率がさらに高い)導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。
【0073】
なお、一段発泡工程を行うことによって得た導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、「一段発泡粒子」、二段発泡工程を行うことによって得た導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を「二段発泡粒子」、三段発泡工程を行うことによって得た導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を「三段発泡粒子」と称する。
【0074】
既述の如く、本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径は、0.08mm以上0.20mm未満の範囲であることが好ましい。なお、一段発泡粒子における平均気泡径が0.08mm未満であっても、二段発泡粒子(または三段発泡粒子)とすることによって平均気泡径を大きくすることができるので、0.08mm以上0.20mm未満の範囲の平均気泡径を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることが可能である。
【0075】
本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、示差走査熱量計法による熱量測定を行ったときに得られるDSC曲線において、二つの融解ピークを有し、低温側の融解ピーク熱量Qlと、高温側の融解ピーク熱量Qhから算出した、高温側の融解ピークの比率「{Qh/(Ql+Qh)}×100」(以下、「DSC比」と称する場合がある)が、8%以上25%以下の範囲であることが好ましく、8%以上20%未満の範囲であることがより好ましい。導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC比が当該範囲であると、嵩密度を低くし易く、また、融着性が優れた表面の美麗性が高い導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られ易い。
【0076】
導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC比が8%未満では、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子中の気泡が連通化し易く、型内発泡成形したときの成形体が収縮したり、表面にシワが発生したりし易くなる傾向がある。一方、DSC比が25%を超えると、嵩密度が低くなり難い傾向がある。
【0077】
ここで、
図1に示すように、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を40℃から220℃まで、10℃/分の速度で昇温したときに得られる二つの融解ピークを有するDSC曲線において、Qlは、DSC曲線の低温側ピークと、低温側ピークと高温側ピークとの間の極大点から融解開始ベースラインへ引かれた接線とで囲まれる熱量である低温側の融解ピーク熱量を示す。また、Qhは、DSC曲線の高温側ピークと、低温側ピークと高温側ピークとの間の極大点から融解終了ベースラインへ引かれた接線とで囲まれる熱量である高温側の融解ピーク熱量を示す。
【0078】
また、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子における高温側の融解ピーク熱量Qhは、特に制限されるものではないものの、2J/g以上20J/g以下の範囲が好ましく、3J/g以上15J/g以下の範囲がより好ましく、4J/g以上10J/g以下の範囲がさらに好ましい。導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子における高温側の融解ピーク熱量Qhが2J/g未満では、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子中の気泡が連通化し易く、型内発泡成形したときの成形体が収縮したり、表面にシワが発生したりし易くなる傾向がある。一方、高温側の融解ピーク熱量Qhが20J/gを超えると、発泡倍率を大きくし難い傾向がある。
【0079】
なお、DSC比や高温側の融解ピーク熱量は、例えば、一段発泡工程における昇温後から発泡までの保持時間(概ね発泡温度に達した後から発泡するまでの保持時間)、発泡温度(発泡時の温度)、発泡圧力(発泡時の圧力)等により、適宜調整することができる。一般的には、保持時間を長くする、発泡温度を低くする、発泡圧力を低くすることにより、DSC比或いは高温側の融解ピーク熱量は大きくなる傾向がある。
【0080】
以上のことから、保持時間、発泡温度、発泡圧力を系統的に適宜変化させた実験を何回か試行することにより、所望のDSC比や高温側の融解ピーク熱量となる条件を容易に見出すことができる。尚、発泡圧力は、発泡剤の量によって調節することができる。
【0081】
本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の表面に付着している無機分散剤の量は、2000ppm以下であることが好ましく、1300ppm以下であることがより好ましく、800ppm以下であることがさらに好ましい。表面に付着している無機分散剤の量が2000ppmを超えると、型内発泡成形するときの融着性が低下する傾向がある。
【0082】
本発明において、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体とするには、
イ)導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子をそのまま金型に充填して、型内発泡成形を行う方法、
ロ)導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子中に空気等の無機ガスを予め圧入して、内圧(発泡能)を付与した後、金型に充填して型内発泡成形を行う方法、
ハ)導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を圧縮状態で金型に充填して、型内発泡成形を行う方法、等、従来既知の方法を使用することができる。
【0083】
本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得る方法の具体例としては、下記方法が挙げられる。例えば、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を耐圧容器内に入れた後、無機ガスを用いて予め加圧して、当該導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子中に無機ガスを圧入することにより、内圧(発泡能)を付与する。次いで、二つの金型(雄型および雌型)からなる、閉鎖し得るが密閉し得ない成形空間内に上記導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を充填し、水蒸気(加熱水蒸気)等を加熱媒体として用いて、圧力0.1MPa以上0.4MPa以下(ゲージ圧)の範囲程度、および、加熱時間3秒以上30秒以下の範囲程度で成形することにより、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子同士を発泡させながら融着させる。そして、取り出した後の導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の変形を抑制することができる程度にまで水冷する等して金型を冷却した後、金型を開き、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得る方法等が挙げられる。
【0084】
導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の内圧は、例えば、耐圧容器内にて、1時間以上48時間以下の範囲の加圧時間、および、室温(25℃)以上80℃以下の範囲の加圧温度で、空気、窒素等の無機ガスを用いて0.1MPa(ゲージ圧)以上2.0MPa(ゲージ圧)以下の範囲に加圧することによって調整することができる。
【0085】
本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の体積固有抵抗値は、10Ω・cm以上5000Ω・cm以下の範囲が好ましく、10Ω・cm以上3000Ω・cm以下の範囲がより好ましく、10Ω・cm以上2000Ω・cm以下の範囲がさらに好ましい。導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の体積固有抵抗値が5000Ω・cmを超えると、電子機器や精密機器の緩衝材やロボットラインのパーツトレイ、或いは、電波暗室や電子機器の放射ノイズ対策、電波反射防止対策等に用いられる電波吸収体としての用途には導電性が不充分となる傾向がある。一方、本発明にて規定の成形体密度となる導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を用いる場合、体積固有抵抗値を10Ω・cm未満とすることは困難である。
【0086】
本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、難燃規格UL94のHBF試験に合格していることが好ましい。
【0087】
本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の成形体密度は、比較的低い30g/L以上45g/L以下の範囲であることが好ましく、30g/L以上40g/L以下の範囲であることがより好ましい。導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の成形体密度が30g/L未満では、難燃規格UL94のHBF試験という高度な難燃規格を満たさない場合がある。一方、成形体密度が45g/Lを超えると、難燃性が発現し易いことから、本発明を採用することによる有効性が低下する傾向にある。
【0088】
本発明に係る導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、示差走査熱量計法による熱量測定を行ったときに得られる二つの融解ピークを有するDSC曲線において、低温側の融解ピーク熱量qlと、高温側の融解ピーク熱量qhから算出した、高温側の融解ピークの比率「{qh/(ql+qh)}×100」(以下、「DSC比」と称する場合がある)が8%以上25%以下の範囲であることが好ましく、8%以上20%未満の範囲であることがより好ましい。導電性ポリプロピレン系樹脂型内成形体のDSC比が当該範囲であると、融着性が優れた表面の美麗性が高い導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られ易い。
【0089】
DSC比が上記範囲の導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、DSC比が8%以上25%以下の範囲の導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形することによって得ることができる。ポリプロピレン系樹脂型内成形体のDSC比が8%未満では、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体中の気泡が連通化しやすい傾向があり、一方、25%を超えると、融着性が低下する傾向がある。
【0090】
ここで、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体のDSC曲線は、型内発泡成形時に熱履歴の影響を受けることから、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC曲線とは全く同様にはならない。特に、低温側ピーク(低温側の融解ピーク)における100℃以上140℃以下の領域には、ショルダーピークや浅いピークが見られる場合がある。本発明においては、これらショルダーピークや浅いピークは、低温側ピークの一部であるとして取り扱うこととする。
【0091】
図2に示すように、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を40℃から220℃まで、10℃/分の速度で昇温したときに得られるDSC曲線において、二つの融解ピークを有し、qlは、DSC曲線の低温側ピークと、低温側ピークと高温側ピークとの間の極大点から融解開始ベースラインへ引かれた接線とで囲まれる熱量である低温側の融解ピーク熱量を示す。また、qhは、DSC曲線の高温側ピークと、低温側ピークと高温側ピークとの間の極大点から融解終了ベースラインへ引かれた接線とで囲まれる熱量である高温側の融解ピーク熱量を示す。
【0092】
また、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体における高温側の融解ピーク熱量qhは、特に制限されるものではないものの、2J/g以上20J/g以下の範囲が好ましく、3J/g以上15J/g以下の範囲がより好ましく、4J/g以上10J/g以下の範囲がさらに好ましい。導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体における高温側の融解ピーク熱量qhが2J/g未満では、機械的強度が低下し易い傾向があり、一方、高温側の融解ピーク熱量qhが20J/gを超えると、融着性が低下する傾向がある。
【実施例】
【0093】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
実施例および比較例において用いた化合物(物質)は、以下の通りである。
●ポリプロピレン系樹脂:
・エチレン−プロピレンランダム共重合体A(融点141℃、荷重2160gでのメルトインデックス7g/10分、エチンレン含有率3重量%)
・エチレン−プロピレンランダム共重合体B(融点143℃、荷重2160gでのメルトインデックス0.5g/10分、エチンレン含有率3重量%)
●導電性カーボンブラック:
・エンサコ350G[ティムカル社製、DBP吸収量320cm
3/100g、BET比表面積770m
2/g]
・BlackPearls2000[Cabot社製、DBP吸収量330cm
3/100g、BET比表面積1475m
2/g]
・ケッチェンブラックEC600JD[ライオン(株)製、DBP吸収量495cm
3/100g、BET比表面積1270m
2/g]
・エンサコ260G[ティムカル社製、DBP吸収量190cm
3/100g、BET比表面積70m
2/g]
・デンカブラックFX−35[電気化学工業(株)製、DBP吸収量220cm
3/100g、BET比表面積133m
2/g]
・Vulcan XC72[Cabot社製、DBP吸収量174cm
3/100g、BET比表面積254m
2/g]
●気泡径肥大化剤:
・ポリエチレングリコール[ライオン(株)製PEG#300:平均分子量300、150℃・常圧下で液体]
【0095】
実施例および比較例における物性測定並びに評価は、下記方法によって行った。
【0096】
[ポリプロピレン系樹脂組成物の融点の測定]
示差走査熱量計[セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、基材樹脂となるポリプロピレン系樹脂5〜6mgを10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温して融解させた後、10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温して結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から、二回目の昇温時の融解ピーク温度を融点として求めた。
【0097】
[導電性ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトインデックス]
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂組成物に対して、JIS K7210:1999に記載のMI測定器を用いて、オリフィス直径:2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ:8.000±0.025mm、荷重:5000g、温度:230±0.2℃の条件下で、メルトインデックスを測定した。
【0098】
[導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径]
導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の気泡膜(セル膜)が破壊されないように充分注意しながら、当該発泡粒子のほぼ中央を切断し、その切断面をマイクロスコープ[(株)キーエンス製:VHXデジタルマイクロスコープ]を用いて観察した(観察写真を撮影した)。
マイクロスコープでの観察写真上において、発泡粒子の表層部を除く部分に、長さ1000μmに相当する線分を引き、当該線分が通る気泡数nを測定し、気泡径(=1000/n(μm))を算出した。同様の操作を10個の発泡粒子に対して行い、それぞれ算出した気泡径の平均値を、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径とした。
【0099】
[導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率]
導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の重量w(g)を測定した後、当該導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子をエタノールに浸漬してそのときの増加体積(エタノール浸漬体積)v(cm
3)を求め、発泡前の導電性ポリプロピレン系樹脂の密度d(g/cm
3)を用いて次式により求めた。
発泡倍率=d×v/w(倍)
なお、発泡前の導電性ポリプロピレン系樹脂の密度dは、含まれる添加剤の量や種類等によって厳密には変化するものの、本発明においては「d=0.9g/cm
3」とした。
【0100】
[導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC比の測定]
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子5〜6mgを、示差走査熱量計[セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から、DSC比を算出した。
具体的には、
図1に示すように、二つの融解ピークを有するDSC曲線において、当該DSC曲線の低温側ピークと、低温側ピークと高温側ピークとの間の極大点から融解開始ベースラインへ引かれた接線とで囲まれる熱量である低温側の融解ピーク熱量Qlと、DSC曲線の高温側ピークと、低温側ピークと高温側ピークとの間の極大点から融解終了ベースラインへ引かれた接線とで囲まれる熱量である高温側の融解ピーク熱量Qhとから、高温側の融解ピークの比率「{Qh/(Ql+Qh)}×100」を算出した。
【0101】
[導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体のDSC比の測定]
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体5〜6mgを切り出して試料とした。そして、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の替わりに当該試料を用いた以外は、導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC比の測定と同様にして測定し、高温側の融解ピークの比率「{qh/(ql+qh)}×100」を算出した。
【0102】
[導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の連続気泡率]
空気比較式比重計[ベックマン社製、930型]を用いて、ASTM D2856−87の手順C(PROSEDURE C)に記載の方法に準拠して、予備発泡粒子の真の体積V
0(cm
3)を求め、同一サンプルについて、別途エタノール浸漬体積V
1(cm
3)を求め、次式により算出した。
連続気泡率(%)={(V
1−V
0)/V
1)}×100
【0103】
[導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度]
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、容積約5Lの容器に静かに投入して満たした後、容器内の導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の重量を測定し、これを容器の容量で除して嵩密度(g/L)とした。
【0104】
[導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の成形体密度]
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の厚み方向のほぼ中央付近から、UL94HBF試験用に縦150mm×横50mm×厚み12mmの直方体試験片を5本切り出した(スキン層は無し)。そして、切り出した試験片の重量、並びに縦、横および厚さの寸法を測定した。次いで、縦、横および厚さの寸法の積から試験片の体積を算出し、重量を当該体積で除して、5本の試験片の平均値を成形体密度(g/L)とした。
【0105】
[導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の融着性評価]
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の厚さ方向に、カッターナイフで約3mmの切り込みを入れた後、この切り込み部から導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を手で破断して、破断面を観察した。
破断面を構成する導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子数に対する、破壊された導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子数の割合を融着率(%)として求め、次の基準に従って融着性を評価した。
○:融着率が60%以上。
×:融着率が60%未満。
【0106】
[導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の表面性評価]
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の表面を目視で観察し、次の基準に従って表面性を評価した。評価結果を下記「○」、「△」または「×」で示す。
○:表面にしわ、ヒケやボイドが殆ど見られない。
△:表面にしわ、ヒケ、或いはボイドの少なくとも何れかが、少し見られる。
×:表面にしわ、ヒケ、或いはボイドの少なくとも何れかが、顕著に見られる。
ここで、ボイドとは、型内発泡成形体における、融着している発泡樹脂粒子同士の成形体表面上の間隙を意味する。
【0107】
[導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の導電性の評価]
JIS K7194−1994に従い、抵抗率計[(株)三菱化学アナリテック製、「ロレスターGP」]を用いて、得られた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の体積固有抵抗を測定し、次の基準に従って導電性を評価した。評価結果を下記「○」、「△」または「×」で示す。
○:体積固有抵抗が2000Ω・cm以下。
△:体積固有抵抗が2000Ω・cmを超え、5000Ω・cm以下の範囲。
×:体積固有抵抗が5000Ω・cmを超える。
【0108】
[導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の難燃性の評価]
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の厚さ方向におけるほぼ中央から、難燃規格UL94のHBF試験用試験片として、縦150mm×横50mm×厚さ12mmの直方体試験片を切り出した(スキン層は無し)。
得られた試験片を用いて、難燃規格UL94のHBF試験を行い、次の基準に従って難燃性を評価した。評価結果を下記「○」、「△」または「×」で示す。
◎:HBF判定基準を満足する(100mm標線間の燃焼速度が35mm/分未満)。
○:HBF試験の判定基準を満足する(100mm標線間の燃焼速度が35mm/分以上40mm/分以下、または、燃焼距離が125mm未満)。
×:HBF試験の判定基準を満たさない。
【0109】
次に、本発明の実施例、比較例について具体的に説明する。
【0110】
(実施例1)
[導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]
エチレン−プロピレンランダム共重合体A(融点141℃、荷重2160gでのメルトインデックス7g/10分、エチンレン含有率3重量%)100重量部に対し、導電性カーボンブラックであるエンサコ350G(DBP吸収量320cm
3/100g、BET比表面積770m
2/g)を13重量部配合して、バンバリーミキサーで混合して、導電性ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
次いで、得られた導電性ポリプロピレン系樹脂組成物を口径45mmφの二軸押出機[(株)オーエヌ機械製、TEK45mm押出機]に投入し、樹脂温度220℃で溶融混練し、二軸押出機先端に設置した円形ダイを用いてストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザーで切断して、一粒の重量が約1.8mgの導電性ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。但し、溶融混練時に二軸押出機の途中から、エチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対して、気泡径肥大化剤としてのポリエチレングリコールを0.5重量部の割合となるように添加した。
[導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]
容量10Lの耐圧オートクレーブ中に、得られた導電性ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、水170重量部、無機分散剤として第三リン酸カルシウム2.0重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.075重量部を仕込み、攪拌下、発泡剤として二酸化炭素(炭酸ガス)を5.0重量部添加した。
そして、オートクレーブ内容物を昇温し、147℃の発泡温度まで加熱した後、さらに二酸化炭素(炭酸ガス)を追加してオートクレーブ内圧を3.0MPa(ゲージ圧)とした。その後、30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、3.6mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出することにより、一段発泡粒子を得た。この際、発泡圧力が一定になるように、オートクレーブ上部から二酸化炭素を圧入して背圧をかけた。
得られた一段発泡粒子の平均気泡径は130μm、発泡倍率は14倍、DSC比は12%、連続気泡率は1.4%であった。
さらに、得られた一段発泡粒子内に、空気含浸により0.26MPa(絶対圧)の内圧を付与した後、0.06MPa(ゲージ圧)の水蒸気により加熱し、平均気泡径が150μm、嵩密度30g/L、DSC比12%、連続気泡率1.5%の二段発泡粒子を得た。
[導電性ポリプロピレン系樹脂発泡型内発泡体の作製]
次に、ポリオレフィン発泡成形機[ダイセン株式会社製、KD−345]を用い、縦300mm×横400mm×厚さ50mmの箱状形状の金型内に、内部の空気圧力(発泡粒子内圧)が0.20MPa(絶対圧)になるように予め調整した二段発泡粒子(導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子)を充填し、成形加熱蒸気圧(蒸気圧力)0.30MPa(ゲージ圧)として、厚さ方向に10%圧縮して加熱成形させることにより、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、室温(25℃)で1時間放置した後、75℃の恒温室内で3時間、養生乾燥を行い、恒温室から取り出した後、再び室温で24時間放置した。そして、当該導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の成形体密度およびDSC比を測定すると共に、融着性、表面性、導電性および難燃性の評価を行った。これら測定および評価の結果を、表1に示す。
【0111】
(実施例2〜6)
[導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]
表1に記載したように、導電性カーボンブラック、気泡径肥大化剤の種類・配合量を変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子をそれぞれ得た。
[導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]
得られる予備発泡粒子(二段発泡粒子)の嵩密度を目標とする値(約30g/L、但し、実施例5では約40g/L)とするために二段発泡時の発泡条件(発泡粒子内圧および蒸気圧力)を表1に記載した条件に変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、一段発泡粒子および二段発泡粒子(導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子)を得た。得られた一段発泡粒子および二段発泡粒子に関する測定結果を表1に示す。
[導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の作製]
得られた二段発泡粒子を用いて、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。得られた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に関する測定および評価の結果を、表1に示す。
【0112】
(比較例1〜6)
[導電性ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]
表1に記載したように、ポリプロピレン系樹脂、導電性カーボンブラック、気泡径肥大化剤の種類・配合量を変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、導電性ポリプロピレン系樹脂粒子をそれぞれ得た。
[導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]
比較例1においては、ポリプロピレン系樹脂Bを用い、目標とするDSC比を得るために発泡温度を149℃に変更し、また、比較例1〜6で得られる予備発泡粒子(二段発泡粒子)の嵩密度を目標とする値(約30g/L)とするために二段発泡時の発泡条件(発泡粒子内圧および蒸気圧力)を表1に記載した条件に変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、一段発泡粒子および二段発泡粒子(導電性ポリプロピレン系樹脂発泡粒子)を得た。得られた一段発泡粒子および二段発泡粒子に関する測定結果を、表1に示す。
[導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の作製]
得られた二段発泡粒子を用いて、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。
得られた導電性ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に関する測定および評価の結果を、表1に示す。
【0113】
【表1】