(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車室を構成するフレームとされ、前端部に車体正面側から見て枠状とされた前側枠部を備えると共に、後端部に車体正面側から見て枠状とされた後側枠部を備え、前記前側枠部の下辺部と前記後側枠部の下辺部とが車体前後方向に連結された第一モジュールと、
前記第一モジュールよりも車体前後方向の荷重に対する剛性が低く設定され、車体前後方向に延在して前記前側枠部及び前記後側枠部を貫通すると共に、車体前後方向の中間部が前記前側枠部及び前記後側枠部の各下辺部の上面に固定された第二モジュールと、
を有する車体構造。
前記第一モジュールにおける前記前側枠部の上辺部及び前記後側枠部の上辺部の少なくとも一方と、前記第二モジュールと、を連結する連結部材が設けられている、請求項1に記載の車体構造。
前記前側枠部の下辺部の前面及び前記後側枠部の下辺部の後面の少なくとも一方には、サスペンションの取り付け用とされたブラケットが固定されている、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車体構造。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る車体構造について
図1〜
図10を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車体前方側を示しており、矢印UPは車体上方側を示しており、矢印Wは車体幅方向を示している。
【0024】
図1には、本実施形態に係る車体構造10を車体斜め上方側から見た状態の斜視図が示されている。また、
図2(A)には、車体構造10を車体上方側から見た状態の平面図が示され、
図2(B)には、車体構造10を車体左側から見た状態の側面図が示され、
図2(C)には、車体構造10を車体正面側から見た状態の正面図が示されている。
【0025】
図1及び
図2に示されるように、車体構造10は、車室を構成するフレームとされた第一モジュールとしての高剛性モジュール12を備えている。高剛性モジュール12は、乗員空間の保護(衝突時における変形抑制)及び操縦安定性等の観点から剛性性能を確保するように設計されたモジュールであり、本実施形態では剛性を上げやすい鉄鋼系材料で構成されている。また、車体構造10は、高剛性モジュール12を車体前後方向に貫通して(いわば串刺しにして)配置された第二モジュールとしての衝突緩和モジュール70を備えている。衝突緩和モジュール70は、前面衝突時対応の観点から衝突緩和性能を確保する(つまり前面衝突時に塑性変形して衝撃エネルギを吸収する)ように設計されたモジュールであり、本実施形態では鉄鋼系材料よりもヤング率が小さく比重の小さいアルミニウム合金系材料で構成されている。
【0026】
(高剛性モジュール12の構成)
図3には、高剛性モジュール12を車体斜め上方側から見た状態の斜視図が示されている。また、
図4(A)には、高剛性モジュール12を車体上方側から見た状態の平面図が示され、
図4(B)には、高剛性モジュール12を車体左側から見た状態の側面図が示され、
図4(C)には、高剛性モジュール12を車体正面側から見た状態の正面図が示されている。
【0027】
図3及び
図4に示される高剛性モジュール12は、複数のパイプ部材によって構成されている。
図3及び
図4(C)に示されるように、高剛性モジュール12は、その前端部に車体正面側から見て枠状とされた前側枠部14を備えている。前側枠部14は、その上端を構成して車体幅方向に延在する上辺部16を備えると共に、上辺部16の下方側に配置されて車体幅方向に延在する下辺部18を備えている。下辺部18の車体幅方向外側の端末位置は、上辺部16の車体幅方向外側の端末位置よりも、若干車体幅方向外側に設定されている。
図3に示される下辺部18の車体幅方向中間部の上面18Xは、衝突緩和モジュール70(
図1参照)が固定される部位とされている。
【0028】
また、
図3及び
図4(C)に示されるように、前側枠部14は、上辺部16の車体幅方向外側の端部と下辺部18の車体幅方向の端部とを連結する左右一対の側辺部20を備えている。左右一対の側辺部20は、車体上方側へ向けて車体幅方向内側に若干傾斜している。また、前側枠部14において左右一対の側辺部20よりも若干車体幅方向内側には、左右一対の縦辺部22が設けられている。左右一対の縦辺部22は、上辺部16の車体幅方向外側の部位と下辺部18の車体幅方向外側の部位とを連結して車体上下方向に延在しており、上辺部16と下辺部18と共に開口部24を形成している。
【0029】
また、
図3に示されるように、高剛性モジュール12は、その後端部に車体正面側から見て枠状とされた後側枠部26を備えている。後側枠部26は、その上端を構成して車体幅方向に延在する上辺部28を備えると共に、上辺部28の下方側に配置されて車体幅方向に延在する下辺部30を備えている。下辺部30の車体幅方向中間部の上面30Xは、衝突緩和モジュール70(
図1参照)が固定される部位とされている。後側枠部26の両サイドには、左右一対の側辺部32が設けられており、側辺部32は、車体上下方向に延在している。
【0030】
また、後側枠部26において左右一対の側辺部32よりも若干車体幅方向内側には、左右一対の縦辺部34が設けられている。左右一対の縦辺部34は、上辺部28の車体幅方向外側の部位と下辺部30の車体幅方向外側の部位とを連結して車体上下方向に延在しており、上辺部28と下辺部30と共に開口部36を形成している。また、後側枠部26の両サイドにおいては側辺部32の下部と縦辺部34の下部とが連結部38によって車体幅方向に連結されている。
【0031】
高剛性モジュール12は、前側枠部14の下辺部18の車体幅方向外側の端部と後側枠部26の下辺部30の車体幅方向外側の端部とを車体前後方向に連結する左右一対のロッカ部40(「サイドシル部」ともいう。)を備えている。
図4(A)に示されるように、左右一対のロッカ部40同士は、複数のクロスメンバ42A、42B、42Cによって車体幅方向に連結されている。複数のクロスメンバ42A、42B、42Cの各上面の車体幅方向中央部42a、42b、42cは、衝突緩和モジュール70(
図1参照)が対向配置される部位とされている。
【0032】
図3に示されるように、前側枠部14の下辺部18、後側枠部26の下辺部30及び複数のクロスメンバ42A、42B、42Cは、複数の縦メンバ44A、44B、44Cによって車体前後方向に連結されている。また、複数のクロスメンバ42A、42B、42Cのうち最も車体前方側に配置されたクロスメンバ42Aと、前側枠部14内の縦辺部22の下部とは、斜めメンバ46Aによって連結されている。斜めメンバ46Aは、車体前方側へ向けて車体上方側に傾斜している。さらに、複数のクロスメンバ42A、42B、42Cのうち最も車体後方側に配置されるクロスメンバ42Cと、後側枠部26内の縦辺部34の上下方向中間部とは、斜めメンバ46Bによって連結されている。斜めメンバ46Bは、車体後方側へ向けて車体上方側に傾斜している。
【0033】
また、
図3及び
図4(A)に示されるように、高剛性モジュール12は、車体上方側から見て前側枠部14の上辺部16を前辺部とする矩形枠状の上枠部48が形成されている。上枠部48は、前側枠部14の上辺部16の車体後方側に配置された後辺部50を備えている。後辺部50は、車体幅方向に延在して前側枠部14の上辺部16と平行に配置されている。また、上枠部48は、前側枠部14の上辺部16の車体幅方向外側の端部と後辺部50の車体幅方向外側の端部とを車体前後方向に連結する左右一対の側辺部52を備えている。さらに、前側枠部14の上辺部16と後辺部50とは、左右一対の連結部54によって車体前後方向に連結されている。
【0034】
図3及び
図4(B)に示されるように、上枠部48の左右両サイドの後端部とロッカ部40とは、傾斜連結部56によって連結されている。傾斜連結部56は、車体下方側へ向けて車体幅方向外側に傾斜する(
図3参照)と共に車体下方側へ向けて車体後方側に傾斜している(
図4(B)参照)。
図3に示されるように、傾斜連結部56の下部と縦辺部22の下部とは連結部58Aによって連結されている。連結部58Aは、車体側面視で水平に延びる(
図4(B)参照)と共に、車体後方側へ向けて車体幅方向外側に傾斜している。
【0035】
図3及び
図4(B)に示されるように、左右一対のロッカ部40の後部には、フレーム側部の一部を構成するピラー60が立設されている。ピラー60は、車体上下方向に延在しており、側面衝突時における乗員空間の確保にも寄与し得る構成要素である。ピラー60の上端位置は、一例として後側枠部26の上端位置よりも低い位置に設定されている。ピラー60の上端側にはロールオーバーバー62が設けられている。
図3及び
図4(C)に示されるように、ロールオーバーバー62は、車体正面視で略逆U字状に形成され、左右一対のピラー60同士を連結している。ロールオーバーバー62のサイド部は、車体上方側へ向けて車体幅方向内側に若干傾斜する(
図4(C)参照)と共に、
図4(B)に示されるように、車体上方側へ向けて車体後方側に若干傾斜している。
【0036】
図3に示されるように、ロールオーバーバー62の上部両サイドと後側枠部26の上辺部28の両サイドとは、傾斜連結部64によって連結されている。傾斜連結部64は、車体下方側へ向けて車体幅方向外側に傾斜する(
図4(C)参照)と共に車体下方側へ向けて車体後方側に傾斜している(
図4(B)参照)。
【0037】
また、
図3に示されるように、ピラー60の上下方向中間部と、後側枠部26の側辺部32の下部とは、連結部58Bによって車体前後方向に連結され、ピラー60の上下方向中間部と、後側枠部26内の縦辺部34とは、連結部58Cによって連結されている。連結部58B、58C、38は、同等の車体上下方向位置に設定されており、車体上方側から見て三角形状を構成している。
【0038】
また、ピラー60の上部と後側枠部26の上側コーナ部(側辺部32の上端部)とは、斜め連結部58Dによって連結され、ピラー60の上部とロッカ部40の車体前後方向中間部とは、斜め連結部58Eによって連結されている。斜め連結部58D、58Eは、いずれも車体後方側へ向けて車体上方側に傾斜しており、斜め連結部58Eの延長線上に斜め連結部58Dが設定されている。
【0039】
斜め連結部58Eの長手方向中間部とピラー60の上下方向中間部とは、連結部58Fによって車体前後方向に連結されている。連結部58Fは、その車体後方側に設定された連結部58Bの延長線上に設定されている。また、斜め連結部58Eの長手方向中間部と、その車体前方側の傾斜連結部56の下部とは、連結部58Gによって連結されている。
図4(B)に示されるように、連結部58Gは、その車体後方側に設定された連結部58F、58Bと同等の車体上下方向位置に設定されると共に、連結部58Gの車体前方側に設定された連結部58Aと同等の車体上下方向位置に設定されている。また、
図3に示されるように、ピラー60の下部とクロスメンバ42Cの車体幅方向の外側部分とは、斜め連結部58Hによって連結されている。斜め連結部58Hは、車体幅方向内側へ向けて車体下方側に傾斜している。
【0040】
一方、前側枠部14の下辺部18の前面18Fには、サスペンション98(
図10(B)参照)の取り付け用とされた左右一対のブラケット66が固定されている。
図10(A)に示されるように、ブラケット66は、前側枠部14内の縦辺部22の下部前面22Fにも固定されている。また、
図10(B)に示されるように、ブラケット66の前面側にはサスペンション98が取り付けられる。また、
図3に示されるように、後側枠部26の下辺部30の後面30Rには、サスペンションの取り付け用とされた左右一対のブラケット68が固定されている。ブラケット68は、後側枠部26内の縦辺部34の下部後面34Rにも固定されている。なお、ブラケット68へのサスペンションの取り付け形態は、
図10(B)に示される形態を車体前後方向の前後に反転させたものと実質的に同様とされる。
【0041】
(衝突緩和モジュール70の構成)
図5には、衝突緩和モジュール70を車体斜め上方側から見た状態の斜視図が示され、
図6には、衝突緩和モジュール70のうち前後端以外の部分(以下、便宜上この部分を「衝突緩和モジュール主部70S」という。)を車体斜め下方側から見た状態の斜視図が示されている。また、
図7(A)には、衝突緩和モジュール70を車体上方側から見た状態の平面図が示され、
図7(B)には、衝突緩和モジュール70を車体左側から見た状態の側面図が示されている。さらに、
図7(C)には、衝突緩和モジュール70を車体下方側から見た状態の底面図が示され、
図7(D)には、衝突緩和モジュール70を車体正面側から見た状態の正面図が示されている。
【0042】
図5〜
図7に示される衝突緩和モジュール70は、高剛性モジュール12(
図3参照)よりも車体前後方向の荷重に対する剛性が低く設定されている。衝突緩和モジュール70は、複数のパイプ部材を含んで構成されて所定方向に延びると共に、車体前後方向に沿って配置される。この衝突緩和モジュール70は、本実施形態では一例として上面視で全体として略X字形とされた要部を備え、車体前後方向において前後対称であってかつ車体幅方向において左右対称に形成されている。また、
図5及び
図7(B)に示されるように、衝突緩和モジュール70は、その長手方向の両端部以外の部分が上下二段の構成になっている。
【0043】
衝突緩和モジュール70の長手方向中間部は、直線状に延びる上下二段の角パイプが連結された直線部72を備えている。
図6に示される直線部72の下段72Lの下面72Yには、
図4(A)に示される高剛性モジュール12のクロスメンバ42A、42B、42Cの各上面の車体幅方向中央部42a、42b、42cに対向配置される部位とされた
図6に示される対面部72A、72B、72Cが設けられている。
【0044】
図6に示されるように、直線部72の長手方向の両端部には、直線部72の幅方向に短く延びた幅方向延在部74F、74Rが設けられ、一対の幅方向延在部74F、74Rの延在方向の中間部に直線部72の長手方向の端部が突き当てられて固定されている。一方の幅方向延在部74Fの下段74LFの下面74YF側には、
図3に示される高剛性モジュール12における前側枠部14の下辺部18の上面18X側に固定される部位として、
図6に示される被固定部74AFが設けられている。同様に、他方の幅方向延在部74Rの下段74LRの下面74YR側には、
図3に示される高剛性モジュール12における後側枠部26の下辺部30の上面30X側に固定される部位として、
図6に示される被固定部74ARが設けられている。
【0045】
図5及び
図6に示される衝突緩和モジュール70は、前後一対の幅方向延在部74F、74R及び直線部72を含む車体前後方向の範囲が車体平面視で
図3に示される高剛性モジュール12と重なるように配置されるキャビン重合部70Mとされている。言い換えれば、衝突緩和モジュール70においてキャビン重合部70Mよりも車体前方側(組付け状態では高剛性モジュール12(
図1参照)よりも車体前方側)に配置される部位がフロント部70Fとされ、衝突緩和モジュール70においてキャビン重合部70Mよりも車体後方側(組付け状態では高剛性モジュール12(
図1参照)よりも車体後方側)に配置される部位がリヤ部70Rとされる。
【0046】
図5及び
図7(A)に示されるように、衝突緩和モジュール70のフロント部70Fは、その車体幅方向外側の端部に左右対のフロントサイドメンバ78Fを備えており、フロントサイドメンバ78Fは、フロント部70Fの上段を構成している。同様に、衝突緩和モジュール70のリヤ部70Rは、その車体幅方向外側の端部に左右対のリヤサイドメンバ78Rを備えており、リヤサイドメンバ78Rは、リヤ部70Rの上段を構成している。
【0047】
左右対のフロントサイドメンバ78Fは、車体前後方向においてキャビン重合部70Mの側(組付け状態では高剛性モジュール12(
図1参照)の側)とは反対側つまり車体前方側からキャビン重合部70Mの側(組付け状態では高剛性モジュール12(
図1参照)の側)へ向けて車体幅方向内側に斜めに延びている。また、左右対のリヤサイドメンバ78Rは、車体前後方向においてキャビン重合部70Mの側(組付け状態では高剛性モジュール12(
図1参照)の側)とは反対側つまり車体後方側からキャビン重合部70Mの側(組付け状態では高剛性モジュール12(
図1参照)の側)へ向けて車体幅方向内側に斜めに延びている。
【0048】
ところで、本実施形態の衝突緩和モジュール70は、前述したように前後対称に形成されており、フロントサイドメンバ78F及びリヤサイドメンバ78Rについても前後対称に形成されている。以下における衝突緩和モジュール70のフロント部70F及びリヤ部70R並びにそれらの近傍の説明においては、フロント部70F及びその近傍の構成を代表して説明し、リヤ部70R及びその近傍の構成要素については、フロント部70F及びその近傍における対応する構成要素の符号の末尾の「F」を「R」に変えた符号を付して説明を省略する。
【0049】
フロントサイドメンバ78Fの後端側に連続する部位は、キャビン重合部70Mにおいて幅方向延在部74Fの上段74UFの側面及び直線部72の前部側面に接合されている。なお、以下の説明では、フロントサイドメンバ78Fの後端側に連続する部位でかつ幅方向延在部74Fの上段74UFに対して車体幅方向外側に隣接する部位を、便宜上、交差部76Fという。フロントサイドメンバ78Fの前端には連結体80Fが嵌められて固定されており、連結体80Fには、クラッシュボックス82Fを介してバンパリインフォースメント84Fが取り付けられている。バンパリインフォースメント84Fは、車体前端部において略車体幅方向を長手方向として配置され、その両サイド側の後面にクラッシュボックス82Fが取り付けられている。
【0050】
左右対のフロントサイドメンバ78Fの間には、車体平面視でクロス状の第一連結部86Fが配置され、この第一連結部86Fの各端部は左右対のフロントサイドメンバ78Fの内面側にそれぞれ固定されている。なお、第一連結部86Fの前端部は連結体80Fを介してフロントサイドメンバ78Fの前端部に固定されている。第一連結部86Fにおいて車体平面視でV字状とされた前側部分同士は、車体幅方向に延在する第二連結部88Fによって連結されている。また、
図5に示されるように、左右対のフロントサイドメンバ78Fの前端に嵌められた連結体80Fの互いに対向する内面同士は、屈曲連結部90Fによって連結されている。屈曲連結部90Fは、車体正面側から見て車体上方側に向けて開放するハット形状に形成されている。
【0051】
図6及び
図7(C)に示されるように、屈曲連結部90Fの車体幅方向中間部の両サイドには、フロント部70Fの両サイド側の下段を構成するフロントサイド部92Fの前端が突き当てられた状態で固定されている。左右対のフロントサイド部92Fは、その前部及び前後方向中間部が車体前後方向に沿って延在すると共に、後部が車体後方側へ向けて互いに若干接近する側に傾斜している。フロントサイド部92Fの後部は、フロントサイドメンバ78Fの後部の直下に配置され、フロントサイドメンバ78Fの延在方向と同じ方向に延在している。左右対のフロントサイド部92Fの後端は幅方向延在部74Fの下段74LFの両サイドに結合されている。
【0052】
(車体構造10について)
次に、
図1及び
図2に示される高剛性モジュール12に衝突緩和モジュール70が組み付けられた車体構造10について説明する。
【0053】
図1に示されるように、衝突緩和モジュール70は、車体前後方向に延在して高剛性モジュール12の前側枠部14及び後側枠部26を貫通している。衝突緩和モジュール70の車体前後方向の中間部は、高剛性モジュール12における前側枠部14の下辺部18の上面18X及び後側枠部26の下辺部30の上面30Xに固定されている。より具体的には、
図6に示される衝突緩和モジュール70における前側の幅方向延在部74Fの下面74YF側の被固定部74AFが、
図3に示される前側枠部14の下辺部18の上面18X側にボルト締結され、
図6に示される衝突緩和モジュール70における後側の幅方向延在部74Rの下面74YR側の被固定部74ARが、
図3に示される後側枠部26の下辺部30の上面30X側にボルト締結されている。また、
図6に示される衝突緩和モジュール70における直線部72の下面72Y側の対面部72A、72B、72Cは、
図4(A)に示される高剛性モジュール12のクロスメンバ42A、42B、42Cの各上面の車体幅方向中央部42a、42b、42cに対向配置されている。
【0054】
さらに、
図1に示されるように、高剛性モジュール12の前側枠部14の上辺部16と、衝突緩和モジュール70においてフロントサイドメンバ78Fの後端側に連続する交差部76Fとは、左右対の前寄り連結部材94Fによって連結されている。衝突緩和モジュール70の交差部76Fは、車体上方側から見て前側枠部14の下辺部18と重なる部位とされている。また、左右対の前寄り連結部材94Fは、車体下方側へ向けて車体幅方向内側に若干傾斜している。
【0055】
図1及び
図2に示されるように、高剛性モジュール12の前側枠部14の上辺部16と、衝突緩和モジュール70の前端部側の屈曲連結部90Fにおけるサイド側上部とは、左右対の前側連結部材96Fによって連結されている。左右対の前側連結部材96Fは、車体前方側へ向けて車体下方側に傾斜すると共に、
図2(A)に示されるように車体平面視で車体前方側へ向けて車体幅方向内側に若干傾斜している。
【0056】
図1に示されるように、高剛性モジュール12の後側枠部26の上辺部28と、衝突緩和モジュール70においてリヤサイドメンバ78Rの前端側に連続する交差部76Rとは、左右対の後寄り連結部材94Rによって連結されている。衝突緩和モジュール70の交差部76Rは、車体上方側から見て後側枠部26の下辺部30と重なる部位とされている。また、左右対の後寄り連結部材94Rは、車体下方側へ向けて車体幅方向内側に若干傾斜している。
【0057】
図1及び
図2に示されるように、高剛性モジュール12の後側枠部26の上辺部28と、衝突緩和モジュール70の後端部側の屈曲連結部90Rにおけるサイド側上部とは、左右対の後側連結部材96Rによって連結されている。左右対の後側連結部材96Rは、車体後方側へ向けて車体下方側に傾斜すると共に、
図2(A)に示されるように車体平面視で車体後方側へ向けて車体幅方向内側に若干傾斜している。
【0058】
(組付け手順)
次に、衝突緩和モジュール70を高剛性モジュール12に組み付ける手順について
図8及び
図9を参照しながら概説する。
図8には、衝突緩和モジュール主部70Sを高剛性モジュール12に組み付けようとしている状態の斜視図が示されている。
図9(A)には、衝突緩和モジュール主部70Sを高剛性モジュール12に貫通させた状態を車体上方側から見た状態の平面図が示されている。
図9(B)には、
図9(A)と同様の状態を車体左側から見た状態の側面図が示され、
図9(C)には、
図9(A)と同様の状態を車体正面側から見た状態の正面図が示されている。
【0059】
衝突緩和モジュール70(
図5参照)を高剛性モジュール12に組み付ける際には、まず、
図8に示されるように、高剛性モジュール12の前側枠部14内の開口部24と後側枠部26内の開口部36とを貫通する方向(矢印S方向参照)に、衝突緩和モジュール主部70Sの長手方向を合わせる。次に、衝突緩和モジュール主部70Sの一端側(後端側)が高剛性モジュール12の前側枠部14内の開口部24及び後側枠部26内の開口部36を貫通するように、衝突緩和モジュール主部70Sを移動させ、
図9(A)〜
図9(C)に示される状態にする。
【0060】
次に、
図6に示される衝突緩和モジュール主部70Sにおける前側の幅方向延在部74Fの下面74YF側の被固定部74AFを、
図3に示される高剛性モジュール12における前側枠部14の下辺部18の上面18X側にボルト締結し、
図6に示される衝突緩和モジュール主部70Sにおける後側の幅方向延在部74Rの下面74YR側の被固定部74ARを、
図3に示される高剛性モジュール12における後側枠部26の下辺部30の上面30X側にボルト締結する。このとき、
図6に示される衝突緩和モジュール70における直線部72の下面72Y側の対面部72A、72B、72Cは、
図4(A)に示される高剛性モジュール12におけるクロスメンバ42A、42B、42Cの各上面の車体幅方向中央部42a、42b、42cに対向配置されている。
【0061】
次に、
図1に示される前寄り連結部材94Fの一端側を高剛性モジュール12の前側枠部14の上辺部16の下面側にボルト締結すると共に、前寄り連結部材94Fの他端側を衝突緩和モジュール70においてフロントサイドメンバ78Fの後端側に連続する交差部76Fにボルト締結する。また、後寄り連結部材94Rの一端側を高剛性モジュール12の後側枠部26の上辺部28の下面側にボルト締結すると共に、後寄り連結部材94Rの他端側を衝突緩和モジュール70においてリヤサイドメンバ78Rの前端側に連続する交差部76Rにボルト締結する。
【0062】
さらに、前側連結部材96Fの一端側を高剛性モジュール12の前側枠部14の上辺部16の前面側にボルト締結すると共に、前側連結部材96Fの他端側を衝突緩和モジュール70の前端部側の屈曲連結部90Fにおけるサイド側上部にボルト締結する。また、後側連結部材96Rの一端側を高剛性モジュール12の後側枠部26の上辺部28の後面側にボルト締結すると共に、後側連結部材96Rの他端側を衝突緩和モジュール70の後端部側の屈曲連結部90Rにおけるサイド側上部にボルト締結する。
【0063】
そして、衝突緩和モジュール主部70Sの前後端側にクラッシュボックス82F、82R及びバンパリインフォースメント84F、84Rを取り付けることで、
図1に示される車体構造10とする。このように、本実施形態では
図1に示される車体構造10を製作し易い。
【0064】
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0065】
本実施形態では、衝突緩和モジュール70は、車体前後方向に延在して高剛性モジュール12における前側枠部14及び後側枠部26を貫通すると共に、車体前後方向の中間部が前側枠部14の下辺部18の上面18X及び後側枠部26の下辺部30の上面30Xに固定されている。ここで、高剛性モジュール12の前側枠部14への衝突緩和モジュール70の固定は、衝突緩和モジュール70において高剛性モジュール12よりも車体前方側に配置されたフロント部70Fが高剛性モジュール12に保持されるのに寄与するのみならず、衝突緩和モジュール70において高剛性モジュール12よりも車体後方側に配置されたリヤ部70Rが高剛性モジュール12に保持されるのにも寄与している。
【0066】
同様に、高剛性モジュール12の後側枠部26への衝突緩和モジュール70の固定は、衝突緩和モジュール70において高剛性モジュール12よりも車体後方側に配置されたリヤ部70Rが高剛性モジュール12に保持されるのに寄与するのみならず、衝突緩和モジュール70において高剛性モジュール12よりも車体前方側に配置されたフロント部70Fが高剛性モジュール12に保持されるのにも寄与している。
【0067】
よって、本実施形態においては、高剛性モジュール12への衝突緩和モジュール70の固定箇所の数が抑えられても、衝突緩和モジュール70のフロント部70F及びリヤ部70Rを高剛性モジュール12に強固に保持させることができる。
【0068】
また、衝突緩和モジュール70は、前側枠部14の下辺部18の上面18X及び後側枠部26の下辺部30の上面30Xに載せられて支持された状態で固定されているので、衝突緩和モジュール70を下方側へ変位させないための固定構造を最小限に抑えることができる。したがって、この点からも、本実施形態の構成では、衝突緩和モジュール70のフロント部70F及びリヤ部70Rを高剛性モジュール12へ簡易な構造で保持させることができるといえる。
【0069】
また、衝突緩和モジュール70は、高剛性モジュール12よりも車体前後方向の荷重に対する剛性が低く設定されている。このため、車室を構成するフレームとされた高剛性モジュール12の剛性を確保しつつ、前面衝突時には、衝突緩和モジュール70において高剛性モジュール12よりも車体前方側に配置されたフロント部70Fを衝撃吸収部として機能させることができ、後面衝突時には、衝突緩和モジュール70において高剛性モジュール12よりも車体後方側に配置されたリヤ部70Rを衝撃吸収部として機能させることができる。
【0070】
補足説明すると、例えば、剛性性能の確保のために活用可能な鉄鋼材料と、衝突緩和性能の確保のために活用可能なアルミニウム合金と、の両方の材料を含むマルチマテリアルを用いて車体を設計して剛性性能と衝突緩和性能とを両立させることは難しい。しかしながら、本実施形態では、性能毎にモジュールを分けてモジュール単位で異なる材料を採用することで、材料の特性を最も発揮できる構造を独立に設計することができるので、一般的に背反関係にある剛性性能と衝突緩和性能とを比較的容易に両立させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、高剛性モジュール12の前側枠部14の上辺部16と、衝突緩和モジュール70とが、前寄り連結部材94F及び前側連結部材96Fによって連結されると共に、高剛性モジュール12の後側枠部26の上辺部28と、衝突緩和モジュール70とが、後寄り連結部材94R及び後側連結部材96Rによって連結されている。このため、前側枠部14及び後側枠部26を貫通する衝突緩和モジュール70は上側からも支持される。したがって、衝突緩和モジュール70のフロント部70F及びリヤ部70Rを高剛性モジュール12へ一層安定的に保持させることができる。
【0072】
より具体的に説明すると、高剛性モジュール12の前側枠部14の上辺部16と、衝突緩和モジュール70において車体上方側から見て前側枠部14の下辺部18と重なる交差部76Fとが、左右対の前寄り連結部材94Fによって連結されている。また、高剛性モジュール12の後側枠部26の上辺部28と、衝突緩和モジュール70において車体上方側から見て後側枠部26の下辺部30と重なる交差部76Rとが、左右対の後寄り連結部材94Rによって連結されている。これらにより、衝突緩和モジュール70は、高剛性モジュール12における前側枠部14及び後側枠部26に一層安定的に保持される。
【0073】
さらに、高剛性モジュール12の前側枠部14の上辺部16と衝突緩和モジュール70の前端部側の屈曲連結部90Fとが左右対の前側連結部材96Fによって連結されると共に、高剛性モジュール12の後側枠部26の上辺部28と衝突緩和モジュール70の後端部側の屈曲連結部90Rとが左右対の後側連結部材96Rによって連結されている。したがって、衝突緩和モジュール70が高剛性モジュール12に一層安定的に保持されるうえ、衝突緩和モジュール70の前端部側及び後端部側の所謂自重垂れも一層効果的に抑えられる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の車体構造10によれば、車室を構成するフレームとされた高剛性モジュール12に衝撃吸収用のフロント部70F及びリヤ部70Rを簡易な構成で強固に保持させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、高剛性モジュール12における前側枠部14の下辺部18の前面18Fにサスペンション取り付け用のブラケット66が固定され、高剛性モジュール12における後側枠部26の下辺部30の後面30Rにサスペンション取り付け用のブラケット68が固定されている。これにより、サスペンション取付部においては、前側枠部14の下辺部18に加えてブラケット66の剛性も付加され、後側枠部26の下辺部30に加えてブラケット68の剛性も付加されるため、サスペンション取付部の剛性が高められる。
【0076】
また、本実施形態では、左右対のフロントサイドメンバ78F及び左右対のリヤサイドメンバ78Rは、いずれも車体前後方向において高剛性モジュール12の側とは反対側から高剛性モジュール12の側へ向けて車体幅方向内側に斜めに延びているので、サスペンション98(
図10(B)参照)の配置スペースを確保するうえで有利となっている。
【0077】
また、本実施形態では、高剛性モジュール12の前側枠部14の上辺部16と、衝突緩和モジュール70とが、前寄り連結部材94F及び前側連結部材96Fによって連結されていることで、前面衝突時におけるフロント部70Fの変形モードのコントロールに有利となっている。同様に、本実施形態では、高剛性モジュール12の後側枠部26の上辺部28と、衝突緩和モジュール70とが、後寄り連結部材94R及び後側連結部材96Rによって連結されていることで、後面衝突時におけるリヤ部70Rの変形モードのコントロールに有利となっている。
【0078】
さらに、本実施形態では、衝突緩和モジュール70が車体前後方向において前後対称に構成されることにより、前面衝突時の性能を設計できれば、同時に後面衝突時の性能も確保することができる。したがって、前面衝突時の性能と後面衝突時の性能とを個別に設計する場合に比べてコストを削減することができる。
【0079】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態の変形例として、前寄り連結部材94Fが配置されない構成も採り得るし、後寄り連結部材94Rが配置されない構成も採り得る。また、上記実施形態の変形例として、前側連結部材96Fが配置されない構成も採り得るし、後側連結部材96Rが配置されない構成も採り得る。さらに、上記実施形態の変形例として、第一モジュール(高剛性モジュール12)における前側枠部(14)の上辺部(16)及び後側枠部(26)の上辺部(28)の一方のみと、第二モジュール(衝突緩和モジュール70)と、が連結部材によって連結される構成も採り得る。
【0080】
また、上記実施形態の変形例として、衝突緩和モジュール70における直線部72が、高剛性モジュール12のクロスメンバ42A、42B、42Cに固定(連結)されている構成も採り得る。
【0081】
また、上記実施形態の変形例として、前側枠部14の下辺部18の前面18Fに固定されたサスペンション取り付け用のブラケット66と、後側枠部26の下辺部30の後面30Rに固定されたサスペンション取り付け用のブラケット68と、のうちの一方又は両方が配置されず、ブラケットに代えて他の手段によってサスペンションの取付部の剛性が高められるような構成も採り得る。
【0082】
また、上記実施形態の変形例として、左右対のフロントサイドメンバ(78F)が車体前後方向に沿って延在するような構成も採り得るし、左右対のリヤサイドメンバ(78R)が車体前後方向に沿って延在するような構成も採り得る。
【0083】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0084】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。