(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、1つの室内空間内におけるエリアの温度を、複数の空調機を用いて異ならせているため、空調システムのコストは比較的高い。また、特許文献1では、複数の空調機が互いに同期して動作を行うことにより、各エリアを気流によって区分している。そのため、空調システムの動作は複雑化し、システム構築が容易とは言い難い。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、空気調和装置の室内ユニットが1台であっても、1つの室内空間内に温度の異なる複数のエリアを簡単に作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、室内空間(500)に空気を吹き出す空気調和装置の室内ユニット(10)であって、吹き出し開口(24a〜24d)が形成された室内ケーシング(20)と、上記室内空間(500)を複数のエリア(500A,500B)に区分した区分情報(91a)、を記憶する記憶部(91)と、上記吹き出し開口(24a〜24d)に設けられ、該吹き出し開口(24a〜24d)からの吹き出し空気を上記区分情報(91a)における上記エリア(500A,500B)それぞれに導くことが可能な風向調節羽根(51)と、複数の上記エリア(500A,500B)のうち少なくとも2つの上記エリア(500A,500B)内の温度が互いに異なるように、上記吹き出し開口(24a〜24d)からの吹き出し空気による上記エリア(500A,500B)毎の処理熱量を調節する調節部(92)とを備え、上記吹き出し開口(24a〜24d)は、上記エリア(500A,500B)に対応する位置にある
複数の第1吹き出し開口(24b,24d)と、上記エリア(500A,500B)に跨がるようにして位置する
複数の第2吹き出し開口(24a,24c)とを有し、上記調節部(92)は、
上記第2吹き出し開口(24a,24c)においては、複数の上記第2吹き出し開口(24a,24c)のうちの一部が吹き出し空気を吹き出し且つ残りが吹き出し空気を吹き出さない状態と、残りが吹き出し空気を吹き出し且つ一部が吹き出し空気を吹き出さない状態とを、交互に繰り返させると共に、上記第1吹き出し開口(24b,24d)においては、複数の上記第2吹き出し開口(24b,24d)のうちの一部が吹き出し空気を吹き出し続け且つ残りが吹き出し空気を吹き出さない状態を継続させるように、上記第1吹き出し開口(24b,24d)及び上記第2吹き出し開口(24a,24c)それぞれに設けられた上記風向調節羽根(51)全てを動作させて、複数の上記エリア(500A,500B)のうち少なくとも2つの上記エリア(500A,500B)内の温度が互いに異なる状態を生成することを特徴とする室内ユニットである。
【0008】
ここでは、室内空間(500)内における少なくとも2つのエリア(500A,500B)それぞれには、1台の室内ユニット(10)からの吹き出し空気が供給される。特に、各エリア(500A,500B)の温度が互いに異なるように、吹き出し空気によるエリア(500A,500B)毎の処理熱量が調節される。処理熱量の調節方法としては、各エリア(500A,500B)に届く所定時間あたりの積算風量をエリア(500A,500B)毎に異ならせるように風向調節羽根(51)が吹き出し空気を所定方向に導く時間を調節すること、各エリア(500A,500B)に吹き出される空気の温度自体を異ならせること等が含まれる。これにより、室内ユニット(10)は、たとえ1台であっても、1つの室内空間(500)内に温度の異なる複数のエリア(500A,500B)を簡単に作り出すことができる。
【0009】
第2の発明は、
室内空間(500)に空気を吹き出す空気調和装置の室内ユニット(10)であって、吹き出し開口(24a〜24d)が形成された室内ケーシング(20)と、上記室内空間(500)を複数のエリア(500A,500B)に区分した区分情報(91a)、を記憶する記憶部(91)と、上記吹き出し開口(24a〜24d)に設けられ、該吹き出し開口(24a〜24d)からの吹き出し空気を上記区分情報(91a)における上記エリア(500A,500B)それぞれに導くことが可能な風向調節羽根(51)と、複数の上記エリア(500A,500B)のうち少なくとも2つの上記エリア(500A,500B)内の温度が互いに異なるように、上記吹き出し開口(24a〜24d)からの吹き出し空気による上記エリア(500A,500B)毎の処理熱量を調節する調節部(92)とを備え、上記吹き出し開口(24a〜24d)は、上記エリア(500A,500B)に対応する位置にある複数の第1吹き出し開口(24b,24d)と、上記エリア(500A,500B)に跨がるようにして位置する複数の第2吹き出し開口(24a,24c)とを有し、上記調節部(92)は、上記第1吹き出し開口(24b,24d)においては、複数の上記第1吹き出し開口(24b,24d)のうちの一部が吹き出し空気を吹き出し且つ残りが吹き出し空気を吹き出さない状態と、残りが吹き出し空気を吹き出し且つ一部が吹き出し空気を吹き出さない状態とを、交互に繰り返させると共に、上記第2吹き出し開口(24a,24c)においては、複数の上記第2吹き出し開口(24a,24c)全てが吹き出し空気を吹き出し続ける状態を継続させるように、上記第1吹き出し開口(24b,24d)及び上記第2吹き出し開口(24a,24c)それぞれに設けられた上記風向調節羽根(51)全てを動作させて、複数の上記エリア(500A,500B)のうち少なくとも2つの上記エリア(500A,500B)内の温度が互いに異なる状態を生成することを特徴とする室内ユニットである。
【0010】
第
3の発明は、第1の発明
または第2の発明において、複数の上記エリア(500A,500B)のうち少なくとも1つの上記エリア(500A,500B)内の温度を検知する温度センサ(81a,81b)、を更に備え、上記調節部(92)は、検知された上記エリア(500A,500B)内の温度に基づいて、該エリア(500A,500B)の上記処理熱量を更に調節する。
【0011】
これにより、温度センサ(81a,81b)の検知結果に基づいて処理熱量が調節されるエリア(500A,500B)は、より確実に、他エリア内とは異なる温度となる。
【0012】
第
4の発明は、第1の発明
から第
3の発明
のいずれか1つにおいて、上記調節部(92)は、少なくとも2つの上記エリア(500A,500B)それぞれに供給される吹き出し空気の風量の所定時間あたりの積算量を該エリア(500A,500B)毎に異ならせることにより、該エリア(500A,500B)毎の上記処理熱量を調節する。
【0013】
これにより、温度を異ならせる対象となるエリア(500A,500B)は、少なくとも所定時間経過後には、確実に温度が異なっている状態となる。
【0014】
第
5の発明は、第
4の発明において、上記吹き出し開口(24a〜24d)には、該吹き出し開口(24a〜24d)から吹き出される空気の気流を阻害するための気流阻害機構(50)が設けられ、上記調節部(92)は、上記気流阻害機構(50)が上記気流を阻害する時間の長さを調節することにより、上記所定時間あたりの積算量を上記エリア(500A,500B)毎に異ならせる。
【0015】
ここでは、気流阻害機構(50)が気流を阻害する時間の長さの調節により、各エリア(500A,500B)に届く気流の量が調節される。従って、温度を異ならせる対象となるエリア(500A,500B)は、少なくとも所定時間経過後には、より確実に温度が異なっている状態となる。
【0016】
第
6の発明は、第
5の発明において、風向調節羽根(51)は、上記吹き出し開口(24a〜24d)から吹き出される気流を阻害する姿勢に変位可能に構成され、上記気流阻害機構(50)を兼ねている。
【0017】
これにより、風向調節羽根(51)とは別途気流阻害機構(50)を設けることなく、各エリア(500A,500B)の温度を異ならせることができる。
【0018】
第
7の発明は、第
4の発明から第
6の発明のいずれか1つにおいて、上記室内ケーシング(20)における上記吹き出し開口(24a〜24d)から吹き出される空気の気流を生成する室内ファン(31)を更に備え、上記調節部(92)は、上記室内ファン(31)の回転速度を調節することにより、上記所定時間あたりの積算量を上記エリア(500A,500B)毎に異ならせる。
【0019】
ここでは、室内ファン(31)の回転速度を調節することにより、各エリア(500A,500B)に届く気流の量が調節される。従って、温度を異ならせる対象となるエリア(500A,500B)は、少なくとも所定時間経過後には、より確実に温度が異なっている状態となる。
【0020】
第
8の発明は、第1の発明から第
7の発明のいずれか1つにおいて、冷媒の蒸発器として機能し、上記吹き出し開口(24a〜24d)から吹き出される前の空気を冷却する室内熱交換器(32)、を更に備え、上記調節部(92)は、上記室内熱交換器(32)における冷媒の蒸発温度を少なくとも2つの上記エリア(500A,500B)毎に異ならせることにより、該エリア(500A,500B)毎の上記処理熱量を調節する。
【0021】
これにより、冷房運転時、各エリア(500A,500B)に届いた空気の温度には差が付き易くなる。従って、各エリア(500A,500B)の温度は、より確実に温度が異なっている状態となる。
【0022】
第
9の発明は、第
8の発明において、上記調節部(92)は、少なくとも2つの上記エリア(500A,500B)毎に、異なる上記蒸発温度の目標値を設定する。
【0023】
蒸発温度の目標値がエリア(500A,500B)毎に異なるため、冷房運転時、各エリア(500A,500B)に届いた空気の温度には、より確実に差が付くようになる。
【0024】
第
10の発明は、第1の発明から第
7の発明のいずれか1つにおいて、冷媒の放熱器として機能し、上記吹き出し開口(24a〜24d)から吹き出される前の空気を加熱する室内熱交換器(32)、を更に備え、上記調節部(92)は、上記室内熱交換器(32)における冷媒の凝縮温度を少なくとも2つの上記エリア(500A,500B)毎に異ならせることにより、該エリア(500A,500B)毎の上記処理熱量を調節する。
【0025】
これにより、暖房運転時、各エリア(500A,500B)に届いた空気の温度には差が付き易くなる。従って、各エリア(500A,500B)の温度は、より確実に温度が異なっている状態となる。
【0026】
第
11の発明は、第
10の発明において、調節部(92)は、少なくとも2つの上記エリア(500A,500B)毎に、異なる上記凝縮温度の目標値を設定する。
【0027】
凝縮温度の目標値がエリア(500A,500B)毎に異なるため、暖房運転時、各エリア(500A,500B)に届いた空気の温度には、より確実に差が付くようになる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、室内ユニット(10)は、たとえ1台であっても、1つの室内空間(500)内に温度の異なる複数のエリア(500A,500B)を簡単に作り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0031】
≪実施形態1≫
<概要>
図1に示すように、本実施形態1に係る室内ユニット(10)は、いわゆる天井埋込型に構成されている。室内ユニット(10)は、図示しない室外ユニットと共に空気調和装置を構成する。空気調和装置では、室内ユニット(10)と室外ユニットとが連絡配管で接続されることによって、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路が形成されている。
【0032】
ここで、室内ユニット(10)が設置される室内空間(500)について説明する。室内空間(500)は、一つの居室や部屋である。室内空間(500)の中央の天井に、室内ユニット(10)が埋め込まれて配置されている。
【0033】
特に、室内空間(500)内は、平面視において、複数の領域に区分される。本実施形態1では、
図2に示すように、室内空間(500)が、平面視において、室内ユニット(10)に対して左側のエリア(500A)と右側のエリア(500B)との2つのエリアに区分されている場合を例示する。左側のエリア(500A)と右側のエリア(500B)との各面積は概ね均等である。
【0034】
各エリア(500A,500B)には、温度センサ(81a,81b)が1つずつ設置されている。温度センサ(81a,81b)は、例えば各エリア(500A,500B)内にある机等の上に載置され、設置されたエリア(500A,500B)内の温度を検知する。
【0035】
以下では、上述のように室内空間(500)が複数のエリア(500A,500B)に区分された情報を、“区分情報”と云う。“区分情報”は、空気調和装置の出荷前から予め設定されていてもよいし、空気調和装置を設置した後に、室内ユニット(10)に接続されたリモートコントローラ又は集中管理装置などを介してユーザにより入力され設定されてもよい。
【0036】
また、エリア(500A,500B)のうち、一方が重点エリアで他方が非重点エリアであるとの設定を、図示しないリモートコントローラ又はディップスイッチ等を介して、室内ユニット(10)の設置作業者または保守作業者によって設定されることが好ましい。
【0037】
なお、上記エリアの区分数は2つに限定されない。各エリア(500A,500B)の面積は均等でなくてもよい。
【0038】
<構成>
図1,
図3〜
図6に示すように、室内ユニット(10)は、ケーシング(20)(室内ケーシングに相当)、と、室内ファン(31)と、室内熱交換器(32)と、ドレンパン(33)と、ベルマウス(36)と、風向調節羽根(51)と、室内制御部(90)とを備える。
【0039】
−ケーシング−
ケーシング(20)は、ケーシング本体(21)と化粧パネル(22)とによって構成されている。このケーシング(20)には、室内ファン(31)と、室内熱交換器(32)と、ドレンパン(33)と、ベルマウス(36)とが収容されている。
【0040】
ケーシング本体(21)は、
図3に示すように、室内空間(500)の天井(501)に形成された開口に挿入されて配置されている。ケーシング本体(21)は、下面が開口する概ね直方体状の箱形に形成されている。ケーシング本体(21)は、概ね平板状の天板(21a)と、天板(21a)の周縁部から下方に延びる側板(21b)とを有している。
【0041】
−室内ファン−
図4に示すように、室内ファン(31)は、下から吸い込んだ空気を径方向の外側に向けて吹き出す遠心送風機である。室内ファン(31)は、ケーシング本体(21)の内部中央に配置されている。室内ファン(31)は、室内ファンモータ(31a)によって駆動される。室内ファンモータ(31a)は、天板(21a)の中央部に固定されている。
【0042】
−ベルマウス−
ベルマウス(36)は、室内ファン(31)の下方に配置されており、ケーシング(20)に流入した空気を室内ファン(31)へ案内する。ベルマウス(36)は、ドレンパン(33)と共に、ケーシング(20)の内部空間を、室内ファン(31)の吸い込み側に位置する一次空間(21c)と、室内ファン(31)の吹き出し側に位置する二次空間(21d)とに仕切っている。
【0043】
−室内熱交換器−
室内熱交換器(32)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器である。
図3に示すように、室内熱交換器(32)は、平面視でロ次状に形成され、室内ファン(31)の周囲を囲むように配置されている。つまり、室内熱交換器(32)は、二次空間(21d)に配置されている。室内熱交換器(32)は、その内側から外側へ向かって通過する空気を、冷媒回路の冷媒と熱交換させる。即ち、室内熱交換器(32)は、
図5に示す主吹出し開口(24a〜24d)(吹き出し開口に相当)及び副吹出し開口(25a〜25d)から吹き出される前の空気と熱交換を行う。
【0044】
−ドレンパン−
ドレンパン(33)は、いわゆる発砲スチロール製の部材である。
図4に示すように、ドレンパン(33)は、ケーシング本体(21)の下端を防ぐように配置されている。ドレンパン(33)の上面には、室内熱交換器(32)の下端に沿った水受溝(33b)が形成されている。水受溝(33b)には、室内熱交換器(32)の下端部が入り込んでいる。水受溝(33b)は、室内熱交換器(32)において生成したドレン水を受け止める。
【0045】
図3に示すように、ドレンパン(33)には、主吹出し通路(34a〜34d)と副吹出し通路(35a〜35d)とが四つずつ形成されている。主吹出し通路(34a〜34d)及び副吹出し通路(35a〜35d)は、室内熱交換器(32)を通過した空気が流れる通路であって、ドレンパン(33)を上下方向に貫通している。主吹出し通路(34a〜34d)は、断面が細長い長方形状の貫通孔である。主吹出し通路(34a〜34d)は、ケーシング本体(21)の四つの辺のそれぞれに沿って一つずつ配置されている。副吹出し通路(35a〜35d)は、断面がやや湾曲した矩形状の貫通孔である。副吹出し通路(35a〜35d)は、ケーシング本体(21)の四つの角部のそれぞれに一つずつ配置されている。つまり、ドレンパン(33)では、その周縁に沿って、主吹出し通路(34a〜34d)と副吹出し通路(35a〜35d)とが交互に配置されている。
【0046】
−化粧パネル−
化粧パネル(22)は、四角い厚板状に形成された樹脂製の部材である。
図3及び
図4に示すように、化粧パネル(22)の下部は、ケーシング本体(21)の天板(21a)よりも一回り大きな正方形状に形成されている。この化粧パネル(22)は、ケーシング本体(21)の下面を覆うように配置されている。化粧パネル(22)の下面は、ケーシング(20)の下面を構成し、室内空間(500)に露出している。
【0047】
図5に示すように、化粧パネル(22)の中央部には、正方形状の一つの吸込口(23)が形成されている。
図4に示すように、吸込口(23)は、化粧パネル(22)を上下に貫通し、ケーシング(20)内部の一次空間(21c)に連通する。ケーシング(20)へ吸い込まれる空気は、吸込口(23)を通って一次空間(21c)へ流入する。吸込口(23)には、格子状の吸込グリル(41)が設けられている。また、吸込グリル(41)の上方には、吸込フィルタ(42)が配置されている。
【0048】
図5に示すように、化粧パネル(22)には、概ね四角い輪状の吹出口(26)が、吸込口(23)を囲むように形成されている。吹出口(26)は、四つの主吹出し開口(24a〜24d)と四つの副吹出し開口(25a〜25d)とに区分されている。
【0049】
主吹出し開口(24a〜24d)は、主吹出し通路(34a〜34d)の断面形状に対応した細長い開口である。主吹出し開口(24a〜24d)は、化粧パネル(22)の四つの辺のそれぞれに沿って一つずつ配置されている。
【0050】
化粧パネル(22)の主吹出し開口(24a〜24d)は、ドレンパン(33)の主吹出し通路(34a〜34d)と一対一に対応している。各主吹出し開口(24a〜24d)は、対応する主吹出し通路(34a〜34d)と連通する。つまり、第1主吹出し開口(24a)は第1主吹出し通路(34a)と、第2主吹出し開口(24b)は第2主吹出し通路(34b)と、第3主吹出し開口(24c)は第3主吹出し通路(34c)と、第4主吹出し開口(24d)は第4主吹出し通路(34d)と、それぞれ連通する。
【0051】
副吹出し開口(25a〜25d)は、1/4円弧状の開口である。副吹出し開口(25a〜25d)は、化粧パネル(22)の四つの角部のそれぞれに一つずつ配置されている。化粧パネル(22)の副吹出し開口(25a〜25d)は、ドレンパン(33)の副吹出し通路(35a〜35d)と一対一に対応している。各副吹出し開口(25a〜25d)は、対応する副吹出し通路(35a〜35d)と連通する。つまり、第1副吹出し開口(25a)は第1副吹出し通路(35a)と、第2副吹出し開口(25b)は第2副吹出し通路(35b)と、第3副吹出し開口(25c)は第3副吹出し通路(35c)と、第4副吹出し開口(25d)は第4副吹出し通路(35d)と、それぞれ連通する。
【0052】
−風向調節羽根−
図5に示すように各主吹出し開口(24a〜24d)には、風向調節羽根(51)が設けられている。風向調節羽根(51)は、吹出し気流の方向(主吹出し開口(24a〜24d)から吹き出される空気の風向)を調節するための部材であって、吹出し気流の方向を上下方向に変更することができる。当該吹出し気流はやがて各エリア(500A,500B)に到達することから、風向調節羽根(51)は、主吹出し開口(24a〜24d)から吹き出される空気を各エリア(500A,500B)に導くことが可能な部材と言える。
【0053】
風向調節羽根(51)は、化粧パネル(22)の主吹出し開口(24a〜24d)の長手方向の一端から他端に亘って延びる細長い板状に形成されている。
図4に示すように、風向調節羽根(51)は、その長手方向に延びる中心軸(53)まわりに回動自在となるように、支持部材(52)に支持されている。風向調節羽根(51)は、その横断面(長手方向と直交する断面)の形状が揺動運動の中心軸(53)から遠ざかる方向に凸となるように湾曲している。
【0054】
図5に示すように、各風向調節羽根(51)には、駆動モータ(54)が連結されている。風向調節羽根(51)は、駆動モータ(54)によって駆動され、中心軸(53)まわりに所定の角度範囲で回転移動する。詳しくは後述するが、風向調節羽根(51)は、主吹出し開口(24a〜24d)を通過する空気の流れを妨げる気流ブロック位置に変位可能となっており、主吹出し開口(24a〜24d)の吹出し気流を阻害する気流阻害機構(50)を兼ねている。
【0055】
−室内制御部−
室内制御部(90)は、メモリ(91)及びCPU(92)(調節部に相当)を有し、室内ユニット(10)の動作を制御する。
図6に示すように、室内制御部(90)は、各エリア(500A,500B)の温度センサ(81a,81b)と通信可能に接続され、駆動モータ(54)それぞれ及び室内ファンモータ(31a)等と電気的に接続されている。メモリ(91)に格納されているプログラムをCPU(92)が読み出して実行することにより、室内制御部(90)は、室内ファン(31)の回転速度の制御動作、各主吹出し開口(24a〜24d)から吹き出される空気の風向の制御動作等を行う。
【0056】
更に、本実施形態1に係るメモリ(91)には、上述した区分情報(91a)が記憶されている。メモリ(91)は、区分情報(91a)を記憶するにあたり、各エリア(500A,500B)の目標温度を対応づけて記憶していてもよい。エリア(500A)の目標温度とエリア(500B)の目標温度とは、互いに異なっている。
【0057】
特に、CPU(92)は、ゾーニングモードが選択されている場合、各エリア(500A,500B)内の温度が互いに異なるように各風向調節羽根(51)の位置を個別制御して、各主吹出し開口(24a〜24d)からの吹き出し空気によるエリア(500A,500B)毎の処理熱量を調節する処理を行う。本実施形態1では、ゾーニングモード選択時、気流ローテーション動作を各風向調節羽根(51)に行わせることで、CPU(92)は、上記処理を行う。
【0058】
更に、CPU(92)は、気流ローテーション動作時、各エリア(500A,500B)の温度センサ(81a,81b)それぞれの検知結果に基づいて、各エリア(500A,500B)の処理熱量を更に調節する処理を行う。即ち、CPU(92)は、各温度センサ(81a,81b)の検知結果に基づいて、各エリア(500A,500B)の処理熱量に対しフィードバック制御を行う。
【0059】
なお、標準吹出しモードが選択されている場合、室内ユニット(10)は、全ての主吹出し開口(24a〜24d)から空気が吹き出される動作のみを行う。
【0060】
各風向調節羽根(51)が採る位置、及び、ゾーニングモード時の気流ローテーション動作については、後述する。
【0061】
なお、標準吹出しモード及びゾーニングモードのどちらにおいても、空気調和装置は、暖房運転または冷房運転を行うことができる。暖房運転及び冷房運転には、圧縮機及び室内ファン(31)がともに運転することにより、調和された空気が室内空間(500)に供給される場合の他、室内ファン(31)は運転しているものの圧縮機が一時的に停止する場合(即ちサーキュレーション運転)も含む。
【0062】
−その他の構成−
図示していないが、室内ユニット(10)は、上記以外に、吸い込み温度センサ、熱交換器温度センサを備える。吸い込み温度センサは、吸込口(23)から吸い込まれる空気の温度を検知する。熱交換器温度センサは、室内熱交換器(32)の温度を検知する。
【0063】
<室内ユニット内における空気の流れ>
室内ユニット(10)の運転中には、室内ファン(31)が回転する。室内ファン(31)が回転すると、室内空間(500)の室内空気が、吸込口(23)を通ってケーシング(20)内の一次空間(21c)へ流入する。一次空間(21c)へ流入した空気は、室内ファン(31)に吸い込まれ、二次空間(21d)へ吹き出される。
【0064】
二次空間(21d)へ流入した空気は、室内熱交換器(32)を通過する間に冷却され又は加熱され、その後に四つの主吹出し通路(34a〜34d)と四つの副吹出し通路(35a〜35d)へ分かれて流入する。主吹出し通路(34a〜34d)へ流入した空気は、主吹出し開口(24a〜24d)を通って室内空間(500)へ吹き出される。副吹出し通路(35a〜35d)へ流入した空気は、副吹出し開口(25a〜25d)を通って室内空間(500)へ吹き出される。
【0065】
即ち、室内空間(500)の空気が吸込口(23)からケーシング本体(21)内に流入し、その後吹出口(26)を介して再び室内空間(500)へと吹き出される空気の流れは、室内ファン(31)によって生成される。
【0066】
冷房運転中の室内ユニット(10)では、室内熱交換器(32)が冷媒の蒸発器として機能し、室内空間(500)に吹き出される前の空気は、室内熱交換器(32)を通過する間に冷媒によって冷却される。暖房運転中の室内ユニット(10)では、室内熱交換器(32)が冷媒の放熱器として機能し、室内空間(500)に吹き出される前の空気は、室内熱交換器(32)を通過する間に冷媒によって加熱される。
【0067】
<風向調節羽根が採り得る位置について>
ここで、各風向調節羽根(51)が採り得る位置について説明する。
【0068】
上述したように、風向調節羽根(51)は、中心軸(53)まわりに回転移動することによって、吹出し気流の方向を変更する。風向調節羽根(51)は、
図7に示す水平吹き位置と、
図8に示す下吹き位置との間を移動可能となっている。また、風向調節羽根(51)は、
図8に示す下吹き位置から更に回転移動することによって、
図9に示す気流ブロック位置にも移動可能となっている。
【0069】
風向調節羽根(51)の位置が
図7に示す水平吹き位置になっている場合は、主吹出し通路(34a〜34d)を下向きに流れてきた空気の流れの方向が横方向に変更され、主吹出し開口(24a〜24d)の吹出し気流が水平吹き状態となる。この場合、主吹出し開口(24a〜24d)の吹出し気流の方向(即ち、主吹出し開口(24a〜24d)から吹き出される空気の風向)は、水平方向に対して例えば25°程度に設定される。厳密に言えば吹出し気流の方向は水平方向よりも僅かに下向きとなるが、気流の方向は実質的に水平方向であると言って差し支えない。このように、吹出し気流が水平吹き状態となることで、主吹出し開口(24a〜24d)から吹き出される空気は、室内空間(500)の壁に到達可能となる。
【0070】
なお、上記水平吹き状態は、水平方向に対し下方に約25°に限定されない。
【0071】
風向調節羽根(51)の位置が
図8に示す下吹き位置になっている場合は、主吹出し通路(34a〜34d)を下向きに流れてきた空気の流れの方向が概ねそのまま維持され、主吹出し開口(24a〜24d)の吹出し気流が下吹き状態となる。この場合、吹出し気流の方向は、厳密に言えば、真下よりも吸込口(23)から離れる方向に若干傾いた斜め下方向となる。
【0072】
風向調節羽根(51)の位置が
図9に示す気流ブロック位置になっている場合は、主吹出し開口(24a〜24d)の大半が風向調節羽根(51)によって塞がれた状態になると共に、主吹出し通路(34a〜34d)を下向きに流れてきた空気の流れの方向が吸込口(23)側に変更される。また、気流ブロック位置では、空気は、主吹出し開口(24a〜24d)から吸込口(23)側へ向かって吹き出される。このため、主吹出し開口(24a〜24d)から吹き出された空気は、すぐに吸込口(23)へ吸い込まれることとなる。つまり、風向調節羽根(51)が気流ブロック位置となっている主吹出し開口(24a〜24d)からは、空気が室内空間(500)へ実質的に供給されない。
【0073】
<ゾーニングモード時の気流ローテーション動作>
ゾーニングモードでの気流ローテーション動作では、室内ユニット(10)は、気流ローテーション開始から所定時間(例えば2分)の間のみ全部吹出し動作を行い、その後は第1一部吹出し動作と第2一部吹出し動作とを交互に行いつつ、空気が吹き出される主吹出し開口(24a〜24d)を変更してゆく。説明の便宜上、本実施形態1では、気流ローテーション動作時の室内ファン(31)の回転速度が実質的に最大値に保たれたままであるとする。
【0074】
以下、
図10を用いて、ゾーニングモードでの気流ローテーション動作を詳述する。
【0075】
全部吹出し動作では、CPU(92)は、全ての主吹出し開口(24a〜24d)の風向調節羽根(51)を、気流ブロック位置以外の位置に設定する。即ち、全部吹出し動作では、4つの主吹出し開口(24a〜24d)から空気が室内空間(500)に供給される。
【0076】
第1一部吹出し動作では、CPU(92)は、副吹出し開口(25a)を介して隣接する主吹出し開口(24a,24b)の各風向調節羽根(51)を、気流ブロック位置以外の位置に設定し、副吹出し開口(25c)を介して隣接する主吹出し開口(24c,24d)の各風向調節羽根(51)を、気流ブロック位置に設定する。
【0077】
第2一部吹出し動作では、CPU(92)は、副吹出し開口(25b)を介して隣接する主吹出し開口(24b,24c)の各風向調節羽根(51)を、気流ブロック位置以外の位置に設定し、副吹出し開口(25d)を介して隣接する主吹出し開口(24d,24a)の各風向調節羽根(51)を、気流ブロック位置に設定する。
【0078】
−暖房運転時の気流ローテーション−
より詳細には、暖房運転時、全部吹出し動作では、CPU(92)は、全ての主吹出し開口(24a〜24d)の風向調節羽根(51)を下吹き位置に設定する。これにより、全ての主吹出し開口(24a〜24d)からは、暖かい空気が下方向へと吹き出される。
【0079】
第1一部吹出し動作では、CPU(92)は、主吹出し開口(24a,24b)の各風向調節羽根(51)を、水平吹き位置に設定する。すると、主吹出し開口(24a,24b)からは、温かい空気が概ね水平方向に吹き出されるが、主吹出し開口(24c,24d)からは、空気は実質的には吹き出されない。
【0080】
第2一部吹出し動作では、CPU(92)は、主吹出し開口(24b,24c)の各風向調節羽根(51)を、水平吹き位置に設定する。すると、主吹出し開口(24b,24c)からは、温かい空気が概ね水平方向に吹き出されるが、主吹出し開口(24d,24a)からは、空気は実質的には吹き出されない。
【0081】
なお、暖房運転時の気流ローテーション中、副吹出し開口(25a〜25d)からは、常に温かい空気が吹き出される。
【0082】
上記全部吹出し動作、第1一部吹出し動作、第2一部吹出し動作それぞれの継続時間は、本実施形態1では同じとするが(例えば120秒)、異なっていても良い。
【0083】
−冷房運転時の気流ローテーション−
より詳細には、冷房運転時、全部吹出し動作では、CPU(92)は、全ての主吹出し開口(24a〜24d)の風向調節羽根(51)を水平吹き位置と下吹き位置との間で往復移動させる。すると、4つの主吹出し開口(24a〜24d)からは、冷たい空気が室内空間(500)に向かって吹き出され、且つその吹出し気流の方向は変動する。
【0084】
吹き出される空気の温度が異なることを除き、冷房運転時の第1一部吹出し動作は、上述した暖房運転時の第1一部吹出し動作と同様であり、冷房運転時の第2一部吹出し動作は、上述した暖房運転時の第2一部吹出し動作と同様である。
【0085】
また、冷房運転時の気流ローテーション中、副吹出し開口(25a〜25d)からは、常に冷たい空気が吹き出される。
【0086】
全部吹出し動作、第1一部吹出し動作、第2一部吹出し動作それぞれの継続時間は、本実施形態1では同じとするが(例えば120秒)、異なっていても良い。
【0087】
<上記気流ローテーション動作による各エリアの積算風量について>
上記気流ローテーション動作は、暖房運転及び冷房運転のいずれの場合においても、1つの室内ユニット(10)から各エリア(500A,500B)に届く吹き出し空気の積算風量を互いに異ならせるために行われる動作である。つまり、本実施形態1では、上記気流ローテーション動作により、各エリア(500A,500B)それぞれに供給される吹き出し空気の風量の所定時間あたりの積算量をエリア(500A,500B)毎に異ならせることにより、エリア(500A,500B)毎の処理熱量を調節している。
【0088】
以下、
図11及び
図12を用いて、気流ローテーション動作における積算風量について詳述する。
【0089】
図11は、第1一部吹き出し動作と第2一部吹き出し動作とが順に一回ずつ行われる場合において(1サイクル)、主吹出し開口(24a〜24c)それぞれが吹き出す空気の風量の、所定時間における経時的変化を表している。
【0090】
既に述べているが、
図11では、室内ファン(31)の回転速度が最大で一定であり、第1一部吹出し動作の継続時間と第2一部吹出し動作の継続時間とが等しいことが前提となっている。この前提と気流ローテーション動作とに基づくと、
図11に示すように、第1一部吹出し動作の間の主吹出し開口(24a)の積算風量と、第2一部吹出し動作の間の主吹出し開口(24c)の積算風量とは等しいと言える。第1一部吹出し動作から第2一部吹出し動作において、主吹出し開口(24b)は一定風量の空気を所定時間の間継続して吹き続け、所定時間の間気流ブロック位置をとり続ける主吹出し開口(24d)は、所定時間の間、空気を吹き出さない。
【0091】
すると、主吹出し開口(24a,24c)の所定時間あたりの各積算風量は、主吹出し開口(24b)の所定時間あたりの積算風量の約半分であり、主吹出し開口(24d)の所定時間あたりの積算風量はゼロと言える。
【0092】
次に、
図11の主吹出し開口(24a〜24d)の積算風量を、
図2の各主吹出し開口(24a〜24d)と各エリア(500A,500B)との位置関係に照らし合わせて考える。
【0093】
エリア(500A,500B)を跨いで位置する主吹出し開口(24a,24c)それぞれから吹き出された空気は、エリア(500A)とエリア(500B)とに半分の積算風量ずつ供給される。主吹出し開口(24b)から吹き出された空気は、エリア(500B)に全積算風量が供給される。
【0094】
特に、主吹出し開口(24a)は、第1一部吹出し動作時のみ空気を吹き出し、第2一部吹出し動作では気流ブロック位置を取る。主吹出し開口(24c)は、第2一部吹出し動作時のみ空気を吹き出し、第1一部吹出し動作では気流ブロック位置を取る。それ故、主吹出し開口(24b)からエリア(500B)に供給される積算風量を100%とした場合、主吹出し開口(24a)から各エリア(500A,500B)へは、第1一部吹出し動作時に25%ずつの積算風量が供給され、主吹出し開口(24c)から各エリア(500A,500B)へは、第2一部吹出し動作時に25%ずつの積算風量が供給される。
【0095】
なお、主吹出し開口(24c)からエリア(500B)に供給される積算風量の各一部吹出し動作での内訳は、第1一部吹出し動作時に50%、第2一部吹出し動作時に50%である。
【0096】
すると、
図12に示すように、エリア(500A)に供給される所定時間あたりの積算風量の総合計値は、主吹出し開口(24a)からの25%の積算風量と、主吹出し開口(24c)からの25%の積算風量との合計値、即ち50%となる。エリア(500B)に供給される所定時間あたりの積算風量の総合計値は、主吹出し開口(24a)からの25%の積算風量と、主吹出し開口(24b)からの100%の積算風量と、主吹出し開口(24c)からの25%の積算風量と、の合計値である150%となる。このように、エリア(500B)にはエリア(500A)よりも空調空気が供給されるため、エリア(500B)内は、エリア(500A)よりも、積極的に冷やされたり暖められたりする。
【0097】
つまり、
図11の気流ローテーション動作は、温度の調節を積極的に行うべき重点エリアであるエリア(500B)には、重点エリアよりは温度の調節をさほど行わない非重点エリアであるエリア(500A)よりも風量を供給するような2方吹きを繰り返している。上記2方吹きでは、風向調節羽根(51)が気流ブロック位置である時間の長さが各主吹出し開口(24a〜24d)毎に調節されることで実現されていると言える。これにより、
図12に示すように、エリア(500A,500B)毎に、所定時間あたりの風量の積算量を異ならせることが実現できている。
【0098】
なお、各エリア(500A,500B)の積算風量を異ならせるにあたり、風向調節羽根(51)が気流ブロック位置である時間の長さをより調節することにより、非重点エリアであるエリア(500A)に空気が供給される時間そのものを、重点エリアであるエリア(500B)よりも短くしてもよい。
【0099】
また、各エリア(500A,500B)の積算風量を異ならせるにあたり、室内ファン(31)の回転速度を一定ではなく調節することにより、非重点エリアであるエリア(500A)には重点エリアであるエリア(500B)よりも風速の小さい空気が供給されるようにしてもよい。更に、上記室内ファン(31)の回転速度の調節と共に、上述した気流ブロック位置である時間の長さの更なる調節が行われても良い。
【0100】
なお、
図11の各主吹出し開口(24a〜24d)の積算風量、及び、
図12の各エリア(500A,500B)の積算風量は、各エリア(500A,500B)の目標温度に基づいて目標値が決定されてもよい。
【0101】
また、決定された積算風量の目標値に従って気流ローテーション動作が行われたとしても、各エリア(500A,500B)の実際の環境等(温度及び湿度等)が起因して、各エリア(500A,500B)の実際の温度が目標温度に達しない虞がある。そこで、CPU(92)は、気流ローテーション動作の際、各温度センサ(81a,81b)の検知結果と各エリア(500A,500B)の目標温度との差に応じて、風向調節羽根(51)の採り得る位置と該位置を採る時間、室内ファン(31)の回転速度を微調整することが好ましい。
【0102】
<効果>
本実施形態1では、室内空間(500)内の各エリア(500A,500B)には、1台の室内ユニット(10)からの吹き出し空気が供給される。特に、各エリア(500A,500B)の温度が互いに異なるように、吹き出し空気によるエリア(500A,500B)毎の処理熱量が調節される。具体的には、各エリア(500A,500B)に届く所定時間あたりの積算風量をエリア(500A,500B)毎に異ならせるように、個々の風向調節羽根(51)が吹き出し空気を所定方向に導く時間、特に個々の風向調節羽根(51)が気流ブロック位置を採る時間の長さを調節することで、エリア(500A,500B)毎の処理熱量が調節される。これにより、室内ユニット(10)は、たとえ1台であっても、1つの室内空間(500)内に所定時間経過後には温度の異なる複数のエリア(500A,500B)を、簡単かつ確実に作り出すことができる。
【0103】
また、本実施形態1では、各エリア(500A,500B)に温度センサ(81a,81b)が1つずつ設けられており、各温度センサ(81a,81b)によって検知されたエリア(500A,500B)内の温度に基づいて、該エリア(500A,500B)の処理熱量が更に調節される。これにより、各エリア(500A,500B)は、より確実に、他エリア内とは異なる温度となる。
【0104】
また、風向調節羽根(51)は、吹き出し開口(24a〜24d)から吹き出される気流を阻害する気流ブロック位置を採ることができ、気流阻害機構(50)を兼ねている。これにより、風向調節羽根(51)とは別途気流阻害機構(50)を設けることなく、各エリア(500A,500B)の温度を異ならせることができる。
【0105】
更に、室内ファン(31)の回転速度の調節も行われれば、各エリア(500A,500B)に届く気流の量が更に調節されるため、各エリア(500A,500B)は、少なくとも所定時間経過後には確実に温度が異なっている状態となる。
【0106】
≪実施形態2≫
本実施形態2では、エリア(500A,500B)毎の処理熱量を調節する具体的手段が上記実施形態1とは異なっている。
【0107】
なお、本実施形態2に係る室内ユニット(10)の構成、室内ユニット(10)内における空気の流れ、風向調節羽根(51)が採り得る位置は、上記実施形態1と同様である。
【0108】
<ゾーニングモード時の気流ローテーション動作>
図13を用いて、実施形態2に係る気流ローテーション動作について説明する。
図13の気流ローテーション動作は、ゾーニングモードが設定されている時に行われる。また、気流ローテーション動作の開始時には、上記実施形態1と同様、全部吹き出し動作が行われ、その後に
図13の第1一部吹出し動作及び第2一部吹出し動作が交互に行われる。
【0109】
第1一部吹き出し動作では、CPU(92)は、副吹出し開口(25a,25b)を介して隣接する主吹出し開口(24a,24b,24c)の各風向調節羽根(51)を、気流ブロック位置以外の位置に設定し、主吹出し開口(24d)の風向調節羽根(51)を、気流ブロック位置に設定する。
【0110】
第2一部吹出し動作では、CPU(92)は、副吹出し開口(25c,25d)を介して隣接する主吹出し開口(24c,24d,24a)の各風向調節羽根(51)を、気流ブロック位置以外の位置に設定し、主吹出し開口(24b)の風向調節羽根(51)を、気流ブロック位置に設定する。
【0111】
−暖房運転時の気流ローテーション−
より詳細には、暖房運転時、第1一部吹出し動作では、CPU(92)は、主吹出し開口(24a,24b,24c)の各風向調節羽根(51)を、水平吹き位置に設定する。すると、主吹出し開口(24a,24b,24c)からは、温かい空気が概ね水平方向に吹き出されるが、主吹出し開口(24d)からは、空気は実質的には吹き出されない。
【0112】
第2一部吹出し動作では、CPU(92)は、主吹出し開口(24c,24d,24a)の各風向調節羽根(51)を、水平吹き位置に設定する。すると、主吹出し開口(24c,24d,24a)からは、温かい空気が概ね水平方向に吹き出されるが、主吹出し開口(24b)からは、空気は実質的には吹き出されない。
【0113】
なお、暖房運転時の気流ローテーション中、副吹出し開口(25a〜25d)からは、常に温かい空気が吹き出される。
【0114】
第1一部吹出し動作、第2一部吹出し動作それぞれの継続時間は、ここでは同じとするが(例えば120秒)、異なっていても良い。
【0115】
−冷房運転時の気流ローテーション−
冷房運転時の第1一部吹出し動作及び第2一部吹出し動作の各詳細は、吹き出される空気の温度が異なることを除き、暖房運転時と同様である。
【0116】
冷房運転時の気流ローテーション中、副吹出し開口(25a〜25d)からは、常に冷たい空気が吹き出される。
【0117】
第1一部吹出し動作、第2一部吹出し動作それぞれの継続時間は、ここでは同じとするが(例えば120秒)、異なっていても良い。
【0118】
<気流ローテーション動作による冷媒温度の制御について>
上記気流ローテーション動作により、エリア(500B)に供給される風量がエリア(500A)よりも多くなるパターンと、エリア(500A)に供給される風量がエリア(500B)よりも多くなるパターンとが、交互に実行されることとなる。
図13の気流ローテーション動作を
図14に照らし合わせると、第1一部吹出し動作では、空気はエリア(500B)に主に供給され、第2一部吹出し動作では、空気はエリア(500A)に主に供給される。
【0119】
更に、上記気流ローテーション動作が行われている際、本実施形態2のCPU(92)は、どちらのエリア(500A,500B)に空気が主に供給されるのか、即ち一部吹出し動作の種類に従って冷媒の温度を変化させる制御を行うことにより、各エリア(500A,500B)内の処理熱量を調節する。
【0120】
具体的に、室内熱交換器(32)が冷媒の蒸発器として機能する冷房運転時、CPU(92)は、室内熱交換器(32)における冷媒の蒸発温度を、主な吹出し先となるエリア(500A,500B)毎に異ならせることにより、エリア(500A,500B)毎に処理熱量を調節する。詳細には、
図14に示すように、主な吹出し先がエリア(500B)(即ち、重点エリア)である第1一部吹出し動作の場合の冷媒の蒸発温度は、主な吹出し先がエリア(500A)(即ち、非重点エリア)である第2一部吹出し動作の場合の冷媒の蒸発温度よりも低めとなるように調節される。この場合、CPU(92)は、上述した調節が確実に実現するように、エリア(500A,500B)毎に、異なる蒸発温度の目標値を設定してもよい。
【0121】
これにより、冷房運転時、主な吹出し先がエリア(500B)である第1一部吹出し動作の場合、室内ユニット(10)の冷房能力は強まり、各主吹出し開口(24a,24b,24c)それぞれから吹き出される空気は、より冷却されたものとなっている。逆に、主な吹出し先がエリア(500A)である第2一部吹出し動作の場合、室内ユニット(10)の冷房能力は弱まり、各主吹出し開口(24c,24d,24a)それぞれから吹き出される空気は、第1一部吹出し動作時よりは冷却されないものとなっている。
【0122】
室内熱交換器(32)が冷媒の放熱器として機能する暖房運転時、CPU(92)は、室内熱交換器(32)における冷媒の凝縮温度を、主な吹出し先となるエリア(500A,500B)毎に異ならせることにより、エリア(500A,500B)毎に処理熱量を調節する。詳細には、
図14に示すように、主な吹出し先がエリア(500B)である第1一部吹出し動作の場合の冷媒の凝縮温度は、主な吹出し先がエリア(500A)である第2一部吹出し動作の場合の冷媒の凝縮温度よりも高めとなるように調節される。この場合、CPU(92)は、上述した調節が確実に実現するように、エリア(500A,500B)毎に、異なる凝縮温度の目標値を設定してもよい。
【0123】
これにより、暖房運転時、主な吹出し先がエリア(500B)である第1一部吹出し動作の場合、室内ユニット(10)の暖房能力は強まり、各主吹出し開口(24a,24b,24c)それぞれから吹き出される空気は、より暖められたものとなっている。逆に、主な吹出し先がエリア(500A)である第2一部吹出し動作の場合、室内ユニット(10)の暖房能力は弱まり、各主吹出し開口(24c,24d,24a)それぞれから吹き出される空気は、第1一部吹出し動作時よりは暖められていないものとなっている。
【0124】
なお、各エリア(500A,500B)を跨いで位置する主吹出し開口(24a,24c)からは、常に空気が吹き出される。そのため、より冷却された空気(またはより暖められた空気)と、さほど冷却されていない空気(またはさほど暖房されていない空気)とが、交互に主吹出し開口(24a,24b)から吹き出される。そのため、各エリア(500A,500B)には、主吹出し開口(24a,24c)から、より冷却された空気(またはより暖められた空気)と、さほど冷却されていない空気(またはさほど暖房されていない空気)とが交互に供給される。しかし、個々のエリア(500A,500B)に供給される所定時間あたりの積算風量の内訳からすると、エリア(500B)では、より冷却された空気(またはより暖められた空気)の積算風量の方が、さほど冷却されていない空気(またはさほど暖房されていない空気)よりも多く、エリア(500A)では、さほど冷却されていない空気(またはさほど暖房されていない空気)の積算風量の方が、より冷却された空気(またはより暖められた空気)よりも多くなる。従って、1つのエリア(500A,00B)に、より冷却された空気(またはより暖められた空気)とさほど冷却されていない空気(またはさほど暖房されていない空気)との両方が供給されても、重点エリアであるエリア(500B)の処理熱量と非重点エリアであるエリア(500A)の処理熱量とを異ならせることができ、各エリア(500A,500B)内の温度を互いに異ならせることができる。
【0125】
<効果>
本実施形態2では、室内空間(500)内の各エリア(500A,500B)には、1台の室内ユニット(10)からの吹き出し空気が供給される。特に、各エリア(500A,500B)の温度が互いに異なるように、吹き出し空気によるエリア(500A,500B)毎の処理熱量が調節される。具体的には、各エリア(500A,500B)に吹き出される空気の温度自体を異ならせることにより、エリア(500A,500B)毎の処理熱量が調節される。これにより、室内ユニット(10)は、たとえ1台であっても、1つの室内空間(500)内に温度の異なる複数のエリア(500A,500B)を簡単に作り出すことができる。
【0126】
特に、本実施形態2では、室内熱交換器(32)における冷媒の蒸発温度(または凝縮温度)を、空気の主な供給先となるエリア(500A,500B)毎に異ならせる制御が行われる。これにより、各エリア(500A,500B)に届いた空気の温度には差が付き易くなり、各エリア(500A,500B)の温度は、より確実に温度が異なっている状態となる。
【0127】
そして、上記制御では、エリア(500A,500B)毎に、異なる蒸発温度(または凝縮温度)の目標値が設定されるため、各エリア(500A,500B)に届いた空気の温度には、より確実に差が付くようになる。
【0128】
また、本実施形態2でも、上記実施形態1と同様、各温度センサ(81a,81b)によって検知されたエリア(500A,500B)内の温度に基づいて、該エリア(500A,500B)の処理熱量が更に調節される。これにより、各エリア(500A,500B)は、より確実に、他エリア内とは異なる温度となる。
【0129】
≪変形例≫
−変形例1−
室内空間(500)が3つ以上のエリアに区分されている場合、3つ以上のエリアのうち少なくとも2つのエリア内の温度が異なるように、エリア毎に処理熱量が調節されてもよい。
【0130】
−変形例2−
温度センサ(81a,81b)に基づきエリア(500A,500B)の処理熱量を更に調節する制御は、必須ではない。
【0131】
また、温度センサを用いた上記制御が行われる場合、該制御の対象となるエリアは、全てのエリアでなくてもよく、少なくとも1つのエリアが対象であってもよい。
【0132】
また、温度センサは、室内ユニット(10)の化粧パネル(22)に設けられていても良い。この場合、温度センサは、少なくとも1つのエリアの温度を検知可能なものであることが好ましい。
【0133】
−変形例3−
上記実施形態2において、更に、上記実施形態1に係る積算風量をエリア(500A,500B)毎に異ならせる制御が行われても良い。
【0134】
−変形例4−
上記実施形態1では、風向調節羽根(51)が気流ブロック位置を採る時間の長さの調節は行われずに、室内ファン(31)の回転速度の調節が行われることにより、所定時間あたりの風量の積算量をエリア(500A,500B)毎に異ならせても良い。
【0135】
−変形例5−
気流ローテーション動作は、
図10、
図13に限定されない。
【0136】
−変形例6−
標準吹出しモードまたはゾーニングモードの設定は、手動であってもよいし、自動であってもよい。
【0137】
−変形例7−
水平吹き位置である風向調節羽根(51)の水平方向に対する角度は、主吹出し開口(24a〜24d)から吹き出される空気が室内空間(500)の壁付近に確実に到達できる程度に、室内ユニット(10)の位置から室内空間(500)の壁面までの距離に応じて適宜微調整されていてもよい。室内ユニット(10)の位置から室内空間(500)の壁面までの距離は、室内ユニット(10)を室内空間(500)に据え付ける際に据付作業者によって測定され室内制御部(90)に入力されてもよいし、当該距離を測定するためのセンサが予め室内ユニット(10)に取り付けられていても良い。
【0138】
−変形例8−
室内ユニット(10)は、天井埋め込みタイプに限定されない。室内ユニット(10)は、天井吊り下げタイプまたは壁掛けタイプであってもよい。
【0139】
また、室内ユニット(10)は、天井埋め込みタイプや天井吊り下げタイプの場合、副吹出し開口(25a〜25d)を有さない仕様のものであってもよい。
【0140】
−変形例9−
主吹出し開口(24a〜24d)の数は、複数であれば良く、4つに限定されることはない。
【0141】
−変形例10−
室内ユニット(10)は、風向調節羽根(51)とは別途、主吹出し開口(24a〜24d)から吹き出される空気の気流を阻害するためのシャッタを、気流阻害機構として備えていてもよい。この場合、気流阻害機構は、主吹出し開口(24a〜24d)に対応して設けられることが好ましく、例えば開閉式のシャッタで構成されることができる。
【0142】
−変形例11−
風向調節羽根(51)は、第1及び第2一部吹出し動作の際、気流ブロック位置を採るのではなく、主吹出し開口(24a〜24d)を閉塞してもよい。これにより、第1及び第2一部吹出し動作の際、閉塞された主吹出し開口(24a〜24d)からの気流の吹き出しは、風向調節羽根(51)が気流ブロック位置を採る場合よりも、より確実に停止される。