(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376191
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20180813BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
E02F9/00 D
B60K13/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-173562(P2016-173562)
(22)【出願日】2016年9月6日
(65)【公開番号】特開2018-40122(P2018-40122A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 大徳
(72)【発明者】
【氏名】品村 一輝
(72)【発明者】
【氏名】米田 昌史
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−190317(JP,A)
【文献】
特開2014−066216(JP,A)
【文献】
特開2014−121975(JP,A)
【文献】
特開2013−224542(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0031644(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B60K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載する車体フレームと、前記エンジンの排気系に接続する排気ガス後処理装置を支持する後処理装置用架台とを備える建設機械であって、前記後処理装置用架台が、前記排気ガス後処理装置を連結部材を介して連結固定する架台天板を備えるものにおいて、
前記架台天板は、前記排気ガス後処理装置を載置する載置面部と、該載置面部の両端縁に連設されて互いに対向して平行に延びる一対の縁壁部と、両縁壁部の間に位置して両縁壁部と平行となる方向に延びる凹条部と、前記載置面部に形成されて前記連結部材を取り付ける連結部と、該連結部に対応する位置で前記凹条部と直交する方向に延びる補強部材とを備え、
前記補強部材は、前記連結部と前記連結部材との間で挟持される第1補強部と、前記凹条部に嵌合する形状の第2補強部とを備えることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記架台天板の前記縁壁部と前記凹条部との間に前記連結部を介して前記第1補強部に重合する重合部材を装着したことを特徴とする請求項1記載の建設機械。
【請求項3】
前記架台天板の前記縁壁部に交差する端縁に、枠部材を装着したことを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械。
【請求項4】
前記凹条部に前記第2補強部が嵌合した状態で、前記凹条部の底部と前記第2補強部との間の少なくとも一部に空隙が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、エンジンの排気系に接続する排気ガス後処理装置を支持する後処理装置用架台とを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械として例えば油圧ショベルは、一般に、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に搭載され上部旋回体とにより車体が構成され、上部旋回体の前側には、掘削等を行う作業装置が取り付けられる。
【0003】
上部旋回体は、キャブ、エンジン、油圧ポンプ等を支持する構造体として旋回フレーム(車体フレーム)を備えている。エンジンの排気側には、排気管を介して排気ガス後処理装置が接続される。排気ガス後処理装置は、旋回フレームに設けられた後処理装置用架台に支持される(例えば特許文献1参照)。
【0004】
上記のエンジンとしてディーゼルエンジンが採用されている場合、排気ガス後処理装置としては、尿素SCR(選択的触媒還元)ユニットが挙げられる。この種の排気ガス後処理装置は、近年の排気ガス規制に対応するため、大型化する傾向にあり、その重量も大となっている。そして、後処理装置用架台は、このように重量の大きい排気ガス後処理装置を安定して支持するため、排気ガス後処理装置を載置する鉄製の架台天板の厚み寸法を大きくして、十分な剛性を得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−140641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、架台天板の厚み寸法を大きくすることによって剛性を向上させると、架台天板自体の重量も増加してしまい、これによって、建設機械全体の重量が増加する不都合がある。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、後処理装置用架台の天板の剛性を低下させることなく軽量化を実現した建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、エンジンを搭載する車体フレームと、前記エンジンの排気系に接続する排気ガス後処理装置を支持する後処理装置用架台とを備える建設機械であって、前記後処理装置用架台が、前記排気ガス後処理装置を連結部材を介して連結固定する架台天板を備えるものにおいて、前記架台天板は、前記排気ガス後処理装置を載置する載置面部と、該載置面部の両端縁に連設されて互いに対向して平行に延びる一対の縁壁部と、両縁壁部の間に位置して両縁壁部と平行となる方向に延びる凹条部と、前記載置面部に形成されて前記連結部材を取り付ける連結部と、該連結部に対応する位置で前記凹条部と直交する方向に延びる補強部材とを備え、前記補強部材は、前記連結部と前記連結部材との間で挟持される第1補強部と、前記凹条部に嵌合する形状の第2補強部とを備えることを特徴とする。
【0009】
前記架台天板は、載置面部と縁壁部と凹条部とを平行に延びるようにして備えていることにより梁構造が形成され、載置面部と縁壁部と凹条部とが延びる方向に対して高い強度を有する。更に、連結部材を介して排気ガス後処理装置を連結する連結部においては、補強部材の第1補強部が連結部と連結部材との間で挟持された状態となると共に第2補強部が凹条部に嵌合することで、載置面部と縁壁部と凹条部との延設方向に直交する方向に対する強度が向上する。
【0010】
このように本発明によれば、架台天板の厚み寸法を減少させても十分な剛性が得られるので、架台天板の厚み寸法を削減することができ、容易に軽量化することができる。
【0011】
また、本発明においては、前記架台天板の前記縁壁部と前記凹条部との間に前記連結部を介して前記第1補強部に重合する重合部材を装着することが好ましい。これによれば、連結部の上面に重合する連結部材と、連結部の下面に重合する重合部材とで、連結部の板厚が部分的に大となっているのと同等の強度が得られ、剛性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記架台天板の前記縁壁部に交差する端縁に、枠部材を装着することが好ましい。これによれば、架台天板が縁壁部と枠部材とで箱構造となり、架台天板の重量増加を小として高い剛性を得ることができる。
【0013】
また、本発明においては、前記凹条部に前記第2補強部が嵌合した状態で、前記凹条部の底部と前記第2補強部との間の少なくとも一部に空隙が形成されていることが好ましい。これによれば、万一凹条部内に水が侵入しても、第2補強部によって堰き止められることがなく、凹条部の底部と第2補強部との間の空隙から円滑に排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態の建設機械である油圧ショベルの模式的側面図。
【
図3】排気ガス後処理装置を支持した状態の後処理装置用架台の斜視図。
【
図4】Aは架台天板の上面側を示す斜視図、Bは架台天板の下面側を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る建設機械は、
図1に示すように、油圧ショベル1であり、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えている。上部旋回体3には、土砂の掘削作業等を行うための作業装置4が設けられている。
【0016】
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回可能に取付けられた車体フレームとしての旋回フレーム5を備えている。旋回フレーム5には、
図1及び
図2に示すように、作業装置4との重量バランスをとるためのカウンタウエイト6と、オペレータが搭乗するキャブ7とが搭載されている。更に、カウンタウエイト6の前側に設けられているボンネット8に覆われた機関収容部9の内部には、エンジン(図示しない)や排気ガス後処理装置10(
図3参照)等が収容されている。
【0017】
排気ガス後処理装置10は、例えば尿素SCR(選択的触媒還元)ユニットが挙げられ、エンジンとして採用されているディーゼルエンジンから生じる排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)等を除去するために、図示しないエンジンの排気系に接続されている。
【0018】
図3に示すように、排気ガス後処理装置10は、後処理装置用架台11に支持された状態で旋回フレーム5に搭載されている。後処理装置用架台11は、排気ガス後処理装置10を図示しないマウントラバー等の防振部材(連結部材)を介してボルト等によって連結固定する架台天板12と、架台天板12を水平に支持する複数の脚部材13とによって構成されている。
【0019】
各脚部材13はその下端が旋回フレーム5(
図1参照)に連結されて、
図3に示すように、起立姿勢に設けられる。
【0020】
架台天板12は、
図4A及び
図4Bに示すように、平面視略矩形状に形成されており、
図5に示すように、天板本体14、補強部材15、重合部材16、枠部材(第1枠部材17,第2枠部材18)、及び凹条部閉塞片19を備えている。天板本体14は、一対の平坦な部分が平行に延びる載置面部20と、天板本体14の両側に沿って載置面部20から下方に垂下することにより互いに平行に延びる一対の縁壁部21と、両載置面部20間で両載置面部20に平行に形成された凹条部22とを備えている。載置面部20と縁壁部21と凹条部22とは何れも天板本体14に折り曲げ加工を施すことによって形成されている。
【0021】
載置面部20には、排気ガス後処理装置10の連結位置として連結部23が設定されており、連結部23にはボルト等の締結部材を挿通させる貫通孔24が形成されている。凹条部22は、載置面部20から下方に凹入するように形成され、下方に垂下する一対の凹条部側壁22aと両凹条部側壁22aの下縁を繋ぐ平坦な凹条部底面22b(底部)とを備えている。縁壁部21は、凹条部側壁22aと対向し、凹条部底面22bを仮に基準面とした場合には、載置面部20と縁壁部21と凹条部側壁22aとで凸条形状となる。天板本体14がこのように一方向に延びる凹凸形状であることによって梁構造が形成される。
【0022】
補強部材15は、
図4Aに示すように、載置面部20の連結部23の上面に重合する第1補強部15aと、凹条部22に嵌合する第2補強部15bとを備えている。補強部材15の形状は、全体的に見て一方向に延びる帯板状であるが、
図5に示すように、第1補強部15aは水平方向に延びる板状であるのに対し、第2補強部15bは互いに対向する一対の縦壁を有すると共に両縦壁間に開放部が形成されている。この開放部によって補強部材15が軽量化されるだけでなく、補強部材15の製造時には第1補強部15aに対する第2補強部15bの折り曲げ加工が容易となる。
【0023】
図4Aに示すように、天板本体14に取り付けられた補強部材15は、載置面部20の連結部23に第1補強部15aが重合して連結部23の実質的な板厚を増加させると共に、第2補強部15bが凹条部22内に嵌合して凹条部22の歪みを確実に防止し、これによって天板本体14を補強して剛性を向上させる。なお、図示しないが、凹条部底面22bと第2補強部15bの下縁との間には空隙が形成されている。この空隙により、凹条部底面22bと第2補強部15bの下縁との間を水等の液体が通過できるようになっているので、例えば凹条部22に侵入した水が第2補強部15bによって堰き止められることがなく、円滑に排水が行われて汚染や腐食を防止することができる。
【0024】
また、天板本体14の凹条部22の長手方向一端の開放された側面は第1枠部材17の一部により閉塞され、他端の開放された側面は凹条部閉塞片19によって閉塞される。凹条部閉塞片19は、凹条部22に取り付けることによって凹条部22の不用意な歪みを抑える作用を有し、補強部材15との共働によって天板本体14の剛性を向上させている。
【0025】
重合部材16は、
図4B及び
図5に示すように、載置面部20の連結部23の下面に当接する当接面16aと当接面16aの両端に連設された一対の縦壁部16bとを備えている。重合部材16の当接面16aは、載置面部20の連結部23に裏側から重合するので、第1補強部15aと共に連結部23の実質的な板厚を増加させる。また、重合部材16の一対の縦壁部16bは、凹条部側壁22aと縁壁部21との間に位置して凹条部側壁22aと縁壁部21とが互いに接近する方向への歪みを防止する。
【0026】
第1枠部材17及び第2枠部材18は、夫々
図4Bに示すように、天板本体14の端部に取り付けられる。
図5に示すように、第1枠部材17は、第1基部17aと、第1基部17aの外側端縁の長手方向に沿って起立する第1外枠片17bと、第1外枠片17bに対向して第1基部17aの内側端縁から起立する一対の第1内枠片17cとを備えている。第2枠部材18は、第2基部18aと、第2基部18aの外側端縁で起立する一対の第2外枠片18bと、各第2外枠片18bに対向して第2基部18aの内側端縁から起立する一対の第2内枠片18cとを備えている。
【0027】
図4Bに示すように、第1枠部材17及び第2枠部材18を天板本体14に取り付けることにより、第1枠部材17と第2枠部材18と両縁壁部21とで架台天板12が周壁を備える箱構造となり、架台天板12の重量が殆ど増加することなく剛性が向上する。
【0028】
本実施形態による架台天板12は、以上の構成によって、比較的薄手の板状材料を用いて軽量に形成することができ、しかも、十分な剛性を得ることができる。これにより、
図3に示すように、後処理装置用架台11によって排気ガス後処理装置10の安定した支持状態を得ることができる。
【0029】
なお、上述した実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、ホイールローダ、ダンプトラック、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…油圧ショベル(建設機械)、5…旋回フレーム(車体フレーム)、10…排気ガス後処理装置、
11…後処理装置用架台、12…架台天板、15…補強部材、15a…第1補強部、15b…第2補強部、
16…重合部材、17…第1枠部材(枠部材)、18…第2枠部材(枠部材)、20…載置面部、21…縁壁部、22…凹条部、23…連結部。