(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376195
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】壁補修方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20180813BHJP
E04F 13/12 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
E04G23/02 H
E04F13/12 F
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-190948(P2016-190948)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-53564(P2018-53564A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2016年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】中松 保二
(72)【発明者】
【氏名】原山 幸治
【審査官】
前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−349043(JP,A)
【文献】
特開平04−024367(JP,A)
【文献】
特開平05−331960(JP,A)
【文献】
特開昭60−098061(JP,A)
【文献】
特開昭62−260934(JP,A)
【文献】
特開平10−331385(JP,A)
【文献】
特開平01−287357(JP,A)
【文献】
特開昭48−023114(JP,A)
【文献】
特開2003−027587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
E04F 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁本体と、前記壁本体の外側に取り付けられたアルミニウムないしアルミニウム合金からなる既設アルミ板と、前記壁本体の端部及び前記既設アルミ板の端部を覆うカバーと、を有する壁を補修する方法であって、
アルミニウムないしアルミニウム合金からなり、前記既設アルミ板のうち前記壁本体から浮き上がった浮き上がり部を覆う形状を有する補修用アルミ板を準備する準備工程と、
前記浮き上がり部を覆いかつ前記補修用アルミ板の端部が前記カバーに沿うように前記既設アルミ板の外側に前記補修用アルミ板を位置決めする位置決め工程と、
前記補修用アルミ板及び前記既設アルミ板を貫通した状態で前記補修用アルミ板を前記既設アルミ板の外側に固定可能な固定具によって前記補修用アルミ板を前記既設アルミ板の外側に固定する補修用アルミ板固定工程と、
前記補修用アルミ板と前記カバーとの隙間が閉塞されるように前記補修用アルミ板と前記カバーとの境界にシーリングを設けるシーリング工程と、
前記補修用アルミ板の外面及び前記固定具の外面のうち少なくとも前記補修用アルミ板の外面に塗装する塗装工程と、を含む、壁補修方法。
【請求項2】
請求項1に記載の壁補修方法において、
前記準備工程では、前記補修用アルミ板として、前記既設アルミ板の全域を覆う形状を有するものを準備し、
前記位置決め工程では、前記既設アルミ板の外面の全域を覆うように前記補修用アルミ板を位置決めする、壁補修方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の壁補修方法において、
前記位置決め工程の前に、前記補修用アルミ板を取り外し可能な状態で仮保持することが可能な仮保持部材を前記既設アルミ板の外面に取り付ける仮保持部材取付工程をさらに含む、壁補修方法。
【請求項4】
請求項3に記載の壁補修方法において、
前記準備工程では、前記補修用アルミ板として、互いに対向する縁部を有し、これら縁部同士が互いに接触した状態で前記浮き上がり部を覆う形状を有する第1アルミ板及び第2アルミ板を準備し、
前記位置決め工程では、前記第1アルミ板の縁部の端面と前記第2アルミ板の縁部の端面とが互いに接触する状態で前記第1アルミ板及び前記第2アルミ板を前記仮保持部材に保持させる、壁補修方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の壁補修方法において、
前記位置決め工程の前に、前記既設アルミ板のうち前記浮き上がり部を含む部位を除去する除去工程をさらに含む、壁補修方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の壁補修方法において、
前記位置決め工程の後でかつ前記補修用アルミ板固定工程の前に、前記固定具を取り付けるための穴を前記補修用アルミ板、前記既設アルミ板及び前記壁本体に形成する穴形成工程をさらに含み、
前記補修用アルミ板固定工程では、前記固定具として、前記穴の直径よりも小さな外径を有する筒部と、前記筒部の基端部から当該筒部の径方向の外向きに張り出すとともに前記穴の直径よりも大きな外形を有する押付部と、を有するブラインドリベットを用い、前記押付部によって前記補修用アルミ板が前記既設アルミ板に押し付けられかつ前記筒部が前記穴に挿入された状態で前記筒部の先端部が前記穴の直径よりも大きな外形となるように前記筒部の先端部を塑性変形させることによって前記補修用アルミ板を前記既設アルミ板の外側に固定する、壁補修方法。
【請求項7】
請求項6に記載の壁補修方法において、
前記壁は、前記壁本体の内側に前記壁本体から空間を置いて配置された内側壁本体と、前記内側壁本体の内側に取り付けられたアルミニウムないしアルミニウム合金からなる内側既設アルミ板と、をさらに有し、
前記穴形成工程では、前記補修用アルミ板から前記壁本体までの範囲にのみ前記穴を形成する、壁補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁の補修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に見られるように、建物の外壁やバルコニー壁等の壁として、アルミ板(アルミニウムないしアルミニウム合金からなる平板状の部材)を備えるものが知られている。アルミ板の外面には、塗装が施されている。このような壁は、アルミ板の内側に壁本体が設けられており、壁本体とアルミ板とが接着剤によって接着されていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−216676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような壁では、経年劣化により接着剤の接着力が低下し、アルミ板が熱膨張したときにアルミ板が部分的に壁本体から浮き上がる場合がある。この場合、壁の外観が悪化する懸念がある。
【0005】
そこで、壁本体から浮き上がった部位を含むアルミ板を除去し、新しいアルミ板を接着剤によって壁本体の外側に取り付けることが考えられるが、壁自体が複雑な組立てにより構成されている場合や、壁内に配管や配線等が設けられている場合には、この作業は非常に煩雑なものとなる。
【0006】
本発明の目的は、煩雑な作業を伴うことなく、壁の外観を改善することが可能な壁補修方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、壁本体と、前記壁本体の外側に取り付けられたアルミニウムないしアルミニウム合金からなる既設アルミ板と、を有する壁を補修する方法であって、アルミニウムないしアルミニウム合金からなり、前記既設アルミ板のうち前記壁本体から浮き上がった浮き上がり部を覆う形状を有する補修用アルミ板を準備する準備工程と、前記浮き上がり部を覆うように前記既設アルミ板の外側に前記補修用アルミ板を位置決めする位置決め工程と、前記補修用アルミ板及び前記既設アルミ板を貫通した状態で前記補修用アルミ板を前記既設アルミ板の外側に固定可能な固定具によって前記補修用アルミ板を前記既設アルミ板の外側に固定する補修用アルミ板固定工程と、前記補修用アルミ板の外面及び前記固定具の外面のうち少なくとも前記補修用アルミ板の外面に塗装する塗装工程と、を含む、壁補修方法を提供する。
【0008】
本外壁補修方法では、既設アルミ板の浮き上がり部を覆うように補修用アルミ板が取り付けられ、少なくともその補修用アルミ板の外面に塗装が施されるという簡単な作業で壁の外観が改善される。
【0009】
この場合において、前記準備工程では、前記補修用アルミ板として、前記既設アルミ板の全域を覆う形状を有するものを準備し、前記位置決め工程では、前記既設アルミ板の外面の全域を覆うように前記補修用アルミ板を位置決めすることが好ましい。
【0010】
このようにすれば、既設アルミ板の外面の全域が補修用アルミ板によって覆われるので、既設アルミ板のうち浮き上がり部を含む部位が部分的に補修用アルミ板によって覆われる場合(既設アルミ板と補修用アルミ板との境界が外観に表れる場合)に比べ、壁の外観が向上する。
【0011】
また、前記壁補修方法において、前記位置決め工程の前に、前記補修用アルミ板を取り外し可能な状態で仮保持することが可能な仮保持部材を前記既設アルミ板の外面に取り付ける仮保持部材取付工程をさらに含むことが好ましい。
【0012】
このようにすれば、位置決め工程において補修用アルミ板が既設アルミ板の外面に仮保持されるので、補修用アルミ板固定工程での補修用アルミ板の固定が容易になる。
【0013】
さらに、前記壁補修方法において、前記準備工程では、前記補修用アルミ板として、互いに対向する縁部を有し、これら縁部同士が互いに接触した状態で前記浮き上がり部を覆う形状を有する第1アルミ板及び第2アルミ板を準備し、前記位置決め工程では、前記第1アルミ板の縁部と前記第2アルミ板の縁部とが互いに接触する状態で前記第1アルミ板及び前記第2アルミ板を前記仮保持部材に保持させることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、既設アルミ板のうち浮き上がり部を含む部位の面積が比較的大きな場合や、補修のための作業スペースが限られた状況であっても、効率的に補修を行うことができる。また、第1アルミ板の縁部と第2アルミ板の縁部とが互いに接触しているので、これら縁部同士の境界へのシーリングが不要となる。
【0015】
また、前記壁補修方法において、前記位置決め工程の前に、前記既設アルミ板のうち前記浮き上がり部を含む部位を除去する除去工程をさらに含むことが好ましい。
【0016】
このようにすれば、特に既設アルミ板の損傷が激しい場合(浮き上がりが大きい場合)においても、位置決め工程において既設アルミ板の外側に補修用アルミ板を位置決めした際の既設アルミ板の補修用アルミ板への接触が回避されるので、補修用アルミ板の位置決めが容易になり、さらに、壁の外観が向上する。
【0017】
また、前記壁補修方法において、前記位置決め工程の後でかつ前記補修用アルミ板固定工程の前に、前記固定具を取り付けるための穴を前記補修用アルミ板、前記既設アルミ板及び前記壁本体に形成する穴形成工程をさらに含み、前記補修用アルミ板固定工程では、前記固定具として、前記穴の直径よりも小さな外径を有する筒部と、前記筒部の基端部から当該筒部の径方向の外向きに張り出すとともに前記穴の直径よりも大きな外形を有する押付部と、を有するブラインドリベットを用い、前記押付部によって前記補修用アルミ板が前記既設アルミ板に押し付けられかつ前記筒部が前記穴に挿入された状態で前記筒部の先端部が前記穴の直径よりも大きな外形となるように前記筒部の先端部を塑性変形させることによって前記補修用アルミ板を前記既設アルミ板の外側に固定することが好ましい。
【0018】
このようにすれば、補修用アルミ板の既設アルミ板への接続強度を確保しながら壁の外観を向上させることができる。具体的に、ブラインドリベットの筒部の先端部は、壁本体に形成された穴の直径よりも大きな外形となるまで塑性変形するので、補修用アルミ板、既設アルミ板及び壁本体に形成する穴の直径を小さくすることができ、これにより外観上目立ちにくい固定具(比較的小さな外形を有する押付部を有する固定具)を選択することが可能となる。
【0019】
また、前記壁補修方法において、前記壁は、前記壁本体の内側に前記壁本体から空間を置いて配置された内側壁本体と、前記内側壁本体の内側に取り付けられたアルミニウムないしアルミニウム合金からなる内側既設アルミ板と、をさらに有し、前記穴形成工程では、前記補修用アルミ板から前記壁本体までの範囲にのみ前記穴を形成することが好ましい。
【0020】
このようにすれば、内側壁本体及び内側既設アルミ板を有する壁(バルコニー壁等)において、内側壁本体及び内側既設アルミ板を損傷させることなく壁の外観を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、煩雑な作業を伴うことなく、壁の外観を改善することが可能な壁補修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】補修前の壁の平面視における部分断面図である。
【
図2】壁本体から既設アルミ板の一部が浮き上がった状態の壁を示す断面図である。
【
図3】仮保持部材取付工程後の状態を示す壁の斜視図である。
【
図5】
図4に示す壁の平面視における部分断面図である。
【
図9】補修後の壁の固定具の近傍を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態の壁補修方法について、
図1〜
図9を参照しながら説明する。なお、「壁」には、建物の外壁や、バルコニー壁や、互いに隣接するバルコニー間を区切るパーティション壁や、庇先端面のような内部閉鎖仕切壁等が含まれる。本実施形態では、バルコニー壁を例に説明する。
【0024】
図1は、補修前の壁1を示している。この
図1に示されるように、壁1は、壁本体10と、壁本体10の外側に取り付けられた既設アルミ板30と、壁本体10の内側に配置された内側壁本体11と、内側壁本体11の内側に取り付けられた内側既設アルミ板31と、を有している。
【0025】
本実施形態では、壁本体10及び内側壁本体11は、ポリエステル系の樹脂材料で構成されている。壁本体10は、平坦な前壁部10fと、平坦な側壁部10sと、を有している。前壁部10f及び側壁部10sは、一枚の板材が折り曲げられることにより形成されている。前壁部10fの内側に内側壁本体11が配置されている。前壁部10f及び内側壁本体11は、ビスやリベット等の締結具4により保持支柱3に固定されている。換言すれば、保持支柱3により、前壁部10fと内側壁本体11との間の空間が規定されている。
【0026】
既設アルミ板30及び内側既設アルミ板31は、アルミニウムないしアルミニウム合金からなる。既設アルミ板30は、壁本体10の外面に固定(接着)されている。内側既設アルミ板31は、内側壁本体11の内面に固定(接着)されている。既設アルミ板30は、前壁部10fの外面に固定された平坦な前板部30fと、側壁部10sの外面に固定された平坦な側板部30sと、を有している。前板部30f及び側板部30sは、一枚の板材が折り曲げられることにより形成されている。
図2に示されるように、既設アルミ板30は、接着剤20によって壁本体10の外面に固定(接着)されている。また、既設アルミ板30の外面には、塗装によって塗膜40が形成されている。なお、図示省略するが、内側既設アルミ板31も接着剤によって内側壁本体11の内面に固定されており、内側既設アルミ板31の内面にも、塗装によって塗膜が形成されている。各壁本体10,11及び各既設アルミ板30,31は、締結具4により保持支柱3に固定されている。また、
図1に示されるように、各壁本体10,11及び各既設アルミ板30,31のうち側壁部10s及び側板部30s側と反対側の端部(締結部4により保持支柱3に固定されている部位)は、カバー2により覆われている。
【0027】
ここで、
図2には、既設アルミ板30の一部が壁本体10から浮き上がった状態が示されている。以下、既設アルミ板30のうち壁本体10から浮き上がった部位を「浮き上がり部32」と称する。この浮き上がり部32は、経年劣化による接着剤20の接着力の低下等が原因で既設アルミ板30が熱膨張したときに生じる。本実施形態の壁補修方法は、浮き上がり部32に起因する壁1の外観の悪化を改善するものである。具体的に、本壁補修方法は、アルミニウムないしアルミニウム合金からなる補修用アルミ板50を
図4及び
図5に示される固定具70で既設アルミ板30の外側に固定することによって、既設アルミ板30の浮き上がり部32を覆う(隠す)ものである。より詳細には、壁補修方法は、準備工程と、仮保持部材取付工程と、位置決め工程と、穴形成工程と、補修用アルミ板固定工程と、シーリング工程と、塗装工程と、を備えている。なお、この補修方法を採用する理由は、締結部4により保持支柱3に固定された各壁本体10,11及び各既設アルミ板30,31の取外しが困難であるからである。
【0028】
準備工程は、補修用アルミ板50を準備する工程である。補修用アルミ板50は、浮き上がり部32を覆う形状、より具体的には、既設アルミ板30の全域を覆う形状を有する。本実施形態では、準備工程において、補修用アルミ板50として、第1アルミ板51及び第2アルミ板52(
図4及び
図5を参照)が準備される。
図4及び
図5に示されるように、第1アルミ板51及び第2アルミ板52は、互いに対向する縁部51a,52aを有し、これら縁部51a,52aの端面同士が互いに接触した状態で浮き上がり部32を含む既設アルミ板30の全域を覆う形状を有する。第1アルミ板51は、前板部30fの一部を覆う形状を有する。具体的に、第1アルミ板51は、平坦でかつ矩形状を有する板材である。第2アルミ板52は、前板部30fの残部及び側板部30sを覆う形状を有する。具体的に、第2アルミ板52は、既設アルミ板30の前板部30f及び側板部30sに沿うように折り曲げられた板材である。なお、
図4では、後述の塗膜90の図示は省略されている。
【0029】
仮保持部材取付工程は、補修用アルミ板50を取り外し可能な状態で仮保持することが可能な仮保持部材60を既設アルミ板30の外面に取り付ける工程である。この仮保持部材60は、前板部30fに取り付けられる。なお、
図3は、仮保持部材取付工程後の壁1の斜視図である。本実施形態では、仮保持部材60として、両面テープが用いられている。両面テープは、止水効果をも有する。なお、仮保持部材取付工程の前に、既設アルミ板30の外面が清掃されることが好ましい。
【0030】
位置決め工程は、浮き上がり部32を覆うように既設アルミ板30の外側に補修用アルミ板50を位置決めする工程である。この工程では、
図4及び
図5に示されるように、第1アルミ板51の縁部51aの端面と第2アルミ板52の縁部52aの端面とが互いに接触する状態(各アルミ板51,52間に隙間がほとんど形成されない状態)で第1アルミ板51及び第2アルミ板52が仮保持部材60に保持させる。
【0031】
穴形成工程は、キリ等によって補修用アルミ板50、既設アルミ板30及び壁本体10に固定具70を取り付けるための穴を形成する工程である。具体的に、この穴形成工程では、補修用アルミ板50の外側から壁本体10を貫通する深さの穴が形成される。なお、本工程では、内側壁本体11に穴は形成されない。なお、
図5は、穴形成工程、補修用アルミ板固定工程及び塗装工程が終了した後(補修後)の壁1の断面図である。
【0032】
補修用アルミ板固定工程は、補修用アルミ板50を既設アルミ板30の外側に固定可能な固定具70によって補修用アルミ板50を既設アルミ板30の外側に固定する工程である。本実施形態では、固定具70として、いわゆるブラインドリベットが用いられる。具体的に、
図6及び
図7に示されるように、固定具70は、リベット本体71と、シャフト75と、を有している。
【0033】
リベット本体71は、穴の直径よりも小さな外径を有する円筒状の筒部72と、筒部72の基端部72aから当該筒部72の径方向の外向きに張り出すとともに穴の直径よりも大きな外形を有する押付部73と、を有する。
【0034】
シャフト75は、筒部72の内径よりも小さな外径を有する軸部76と、軸部76の先端に接続された玉部77と、を有する。玉部77は、穴の直径よりも小さくかつ筒部72の内径よりも大きな外形を有するとともに、軸部76の筒部72からの引き抜き時に筒部72の先端部72bを塑性変形させることが可能な剛性を有する。
【0035】
補修用アルミ板固定工程では、
図8に示される取付工具Tによって固定具70(ブラインドリベット)が取り付けられる。なお、
図8は、取付工具Tの例を示すものであり、取付工具Tはこれに限られない。具体的に、補修用アルミ板固定工程では、まず、玉部77を先頭にして固定具70が穴に挿入される。そして、筒部72の先端部72bが壁本体10の内面よりも内側に位置する状態で取付工具Tによって軸部76が外側に引き抜かれる。そうすると、玉部77がリベット本体71に対して外向きに相対変位し、これにより筒部72の先端部72bが穴の直径よりも大きな外形となるように塑性変形する(
図9を参照)。筒部72のうち塑性変形した部位は、壁本体10の内面に当接している。この状態で、押付部73が補修用アルミ板50を既設アルミ板30の外面に押し付ける。換言すれば、固定具70は、前記塑性変形した部位と押付部73とによって補修用アルミ板50、既設アルミ板30及び壁本体10を壁本体10の厚さ方向の両側から挟持している。その後、取付工具Tによって軸部76の引き抜きを継続することにより、軸部76が破断する。軸部76の破断面は、筒部72内に形成される。
【0036】
シーリング工程は、
図4及び
図5に示されるように、第1アルミ板51とカバー2との境界や、第2アルミ板52の他の縁部52bと他の補修用アルミ板50との境界に、シーリング80を設ける工程である。なお、第1アルミ板51と第2アルミ板52とは互いに接触しており、しかも、第1アルミ板51の縁部51a及び第2アルミ板52の縁部52aの内側には、止水機能を有する仮保持部材60が設けられているので、第1アルミ板51と第2アルミ板52との境界には、シーリングは設けられない。
【0037】
塗装工程は、補修用アルミ板50の外面及び固定具70の外面に塗装によって塗膜90(
図5及び
図9を参照)を形成する工程である。
【0038】
これらの工程を経ることにより、壁1の補修が完了する。
【0039】
以上に説明したように、本実施形態の壁補修方法では、既設アルミ板30の浮き上がり部32を覆うように補修用アルミ板50が取り付けられ、その補修用アルミ板50の外面に塗装が施されるという簡単な作業で壁1の外観が改善される。
【0040】
また、上記実施形態では、準備工程において、補修用アルミ板50として、既設アルミ板30の全域を覆う形状を有するものが準備され、位置決め工程において、既設アルミ板30の外面の全域を覆うように補修用アルミ板50が位置決めされるので、既設アルミ板30のうち浮き上がり部32を含む部位が部分的に補修用アルミ板50によって覆われる場合(既設アルミ板30と補修用アルミ板50との境界が外観に表れる場合)に比べ、壁1の外観が向上する。
【0041】
また、上記実施形態では、位置決め工程の前に、仮保持部材60を既設アルミ板30の外面に取り付ける仮保持部材取付工程を含むので、位置決め工程において補修用アルミ板50が既設アルミ板30の外面に仮保持される。よって、補修用アルミ板固定工程での補修用アルミ板50の固定が容易になる。
【0042】
ここで、既設アルミ板30の壁本体10からの浮き上がりが著しい部位が存在する場合等には、仮保持部材取付工程の前に、当該部位を除去する除去工程を含むことが好ましい。このようにすれば、位置決め工程において既設アルミ板30の外側に補修用アルミ板50を位置決めした際の既設アルミ板30の補修用アルミ板50への接触が回避されるので、補修用アルミ板50の位置決めが容易になり、さらに、壁1の外観が向上する。なお、既設アルミ板30の壁本体10からの浮き上がりが著しい部位は、前板部30f及び側板部30sの境界である角部近傍に比較的生じやすい。
【0043】
さらに、上記実施形態では、補修用アルミ板50として第1アルミ板51及び第2アルミ板52を準備し、位置決め工程において、第1アルミ板51の縁部51aの端面と第2アルミ板52の縁部52aの端面とが互いに接触する状態で第1アルミ板51及び第2アルミ板52を仮保持部材60に保持させる。このため、既設アルミ板30のうち浮き上がり部32を含む部位の面積が比較的大きな場合や、補修のための作業スペースが限られた状況であっても、効率的に補修を行うことができる。また、第1アルミ板51の縁部51aの端面と第2アルミ板52の縁部52aの端面とが互いに接触しているので、これら縁部51a,52a同士の境界へのシーリングが不要となる。
【0044】
また、上記実施形態では、穴形成工程を有し、補修用アルミ板固定工程では、固定具70としてブラインドリベットが用いられるので、補修用アルミ板50の既設アルミ板30への接続強度を確保しながら、壁1の外観を向上させること、すなわち、比較的小さな外形を有する押付部73を有する固定具70を選択することができる。
【0045】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0046】
例えば、補修用アルミ板固定工程では、固定具70としては、ブラインドリベットでなく、ねじが用いられてもよい。この場合であっても、既設アルミ板30の外側に補修用アルミ板50が取り付けられる。ただし、上記実施形態のように、固定具70としてブラインドリベットが用いられることにより、固定具70としてねじが用いられる場合に比べ、壁本体10に形成する穴の直径を小さくしつつ固定具70の接続強度を有効に確保することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 壁(外壁)
10 壁本体
11 内側壁本体
20 接着剤
30 既設アルミ板
31 内側既設アルミ板
32 浮き上がり部
40 塗膜
50 補修用アルミ板
51 第1アルミ板
51a 縁部
52 第2アルミ板
52a 縁部
60 仮保持部材(両面テープ)
70 固定具(ブラインドリベット)
71 リベット本体
72 筒部
73 押付部
75 シャフト
76 軸部
77 玉部
80 シーリング
T 取付工具