(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6376197
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】歯車ポンプ又は歯車モータ
(51)【国際特許分類】
F04C 2/18 20060101AFI20180813BHJP
F04C 11/00 20060101ALI20180813BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20180813BHJP
F03C 2/08 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
F04C2/18 311D
F04C2/18 B
F04C11/00 C
F04C15/00 G
F03C2/08 A
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-192812(P2016-192812)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-53851(P2018-53851A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2017年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都築 克成
【審査官】
井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−070210(JP,A)
【文献】
実開昭63−186985(JP,U)
【文献】
特開平09−264270(JP,A)
【文献】
実開平02−076186(JP,U)
【文献】
特開2015−063893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03C 2/08
F04C 2/18
F04C 11/00
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源に接続される主ポンプ又は主モータと、
前記駆動源との間に前記主ポンプ又は前記主モータを挟み、前記主ポンプ又は前記主モータと直列に連結された副ポンプ又は副モータと、を備え、
前記主ポンプ又は前記主モータは、
それぞれはすば歯車である主駆動歯車および主従動歯車と、
前記主駆動歯車における前記副ポンプ又は前記副モータと対向する端面から、前記副ポンプ又は前記副モータに近づく方向に延びる主駆動軸であって、その先端面に主接続部が形成された主駆動軸と、を有し、
前記副ポンプ又は前記副モータは、
前記主駆動軸に向かって延びる副駆動軸であって、その先端面に副接続部が形成された副駆動軸を有し、
前記主接続部と前記副接続部とを連結し、前記主駆動軸の前記先端面における外縁部に当接する連結部材と、
前記連結部材における前記副ポンプ又は前記副モータ側を向いた受け面と対向し、高圧の作動流体を供給可能な空間と、
をさらに備えたことを特徴とする歯車ポンプ又は歯車モータ。
【請求項2】
前記受け面と当接し且つ前記空間と対向した押圧部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の歯車ポンプ又は歯車モータ。
【請求項3】
前記連結部材は、前記主駆動歯車の軸方向に延び、前記主接続部および前記副接続部と対向する内面と、前記軸方向に延び、前記主接続部および前記副接続部と対向しない外面と、を有し、
前記押圧部材が、前記外面と対向していることを特徴とする請求項2に記載の歯車ポンプ又は歯車モータ。
【請求項4】
前記連結部材が、前記外面から突出する突出部を有し、
前記受け面は、前記突出部における前記副ポンプ又は前記副モータを向いた面であることを特徴とする請求項3に記載の歯車ポンプ又は歯車モータ。
【請求項5】
前記主駆動歯車および前記主従動歯車を収容する主ケーシングであって、前記主駆動歯車および前記主従動歯車が配置される主貫通孔を有し、前記駆動源に近い方の一端面および前記駆動源から遠い方の他端面のそれぞれに前記主貫通孔と連通する開口が形成された主本体と、前記一端面に形成された前記開口を閉蓋するマウンティングと、前記他端面に形成された前記開口を閉蓋する主フランジであって、前記主接続部および前記連結部材が配置される主挿通孔が形成された主フランジとを有する主ケーシングをさらに備え、
前記押圧部材が、前記主挿通孔内に配置され、
前記主フランジに、前記主貫通孔から前記空間に前記作動流体を導入するための導入路であって、一端が前記主貫通孔の高圧領域と連通し且つ他端が前記空間と連通した導入路が形成されたことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の歯車ポンプ又は歯車モータ。
【請求項6】
前記主駆動歯車および前記主従動歯車を収容する主ケーシングであって、前記主駆動歯車、前記主従動歯車、および、前記主駆動軸を回転可能に支持する軸受けが配置される主貫通孔を有し、前記駆動源に近い方の一端面および前記駆動源から遠い方の他端面のそれぞれに前記主貫通孔と連通する開口が形成された主本体と、前記一端面に形成された前記開口を閉蓋するマウンティングと、前記他端面に形成された前記開口を閉蓋する主フランジであって、前記主接続部および前記連結部材が配置される主挿通孔が形成された主フランジとを有する主ケーシングと、
前記副ポンプ又は前記副モータの副駆動歯車および副従動歯車を収容する副ケーシングであって、前記副駆動歯車および前記副従動歯車が配置される副貫通孔を有し、前記駆動源に近い方の一端面および前記駆動源から遠い方の他端面のそれぞれに前記副貫通孔と連通する開口が形成された副本体と、前記一端面に形成された前記開口を閉蓋する副フランジであって、前記副接続部および前記連結部材が配置される副挿通孔が形成された副フランジと、前記他端面に形成された前記開口を閉蓋するカバーとを有する副ケーシングと、をさらに備え、
前記押圧部材が、前記副挿通孔内に配置され、
前記主フランジと前記副フランジとに、前記主貫通孔から前記空間に前記作動流体を導入するための導入路であって、一端が前記主貫通孔の高圧領域と連通し且つ他端が前記空間と連通した導入路が形成されたことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の歯車ポンプ又は歯車モータ。
【請求項7】
前記駆動源に直列に連結された3つ以上のポンプ又はモータであって、前記主ポンプ又は前記主モータおよび前記副ポンプ又は前記副モータを含む3つ以上のポンプ又はモータを備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の歯車ポンプ又は歯車モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
駆動源に接続される主ポンプ又は主モータと、駆動源との間に主ポンプ又は主モータを挟み、主ポンプ又は主モータと直列に連結
された副ポンプ又は副モータと、を備えた歯車ポンプ又は歯車モータに関する。
【背景技術】
【0002】
歯車ポンプ又は歯車モータの駆動歯車および従動歯車が
それぞれはすば歯車
である場合、歯の噛み合いによるスラスト力や歯面に作用する油圧力によるスラスト力によって、駆動歯車および従動歯車
それぞれの
軸方向の各端
面が側板に押圧される。従って、駆動歯車
および従動歯車
それぞれの
各端
面が摩耗
し、さらには当該摩擦によって
歯車ポンプ又は歯車モータの機械効率が低下する。
【0003】
そこで特許文献1では、
駆動歯車の駆動軸および
従動歯車の従動軸
それぞれの
先端面
の中心部に
当接するピストンを配置し
、ピストンによって駆動軸および従動軸を押圧することにより、スラスト力を打ち消すように構成された歯車ポンプが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6887055号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の歯車ポンプに他のポンプを直列に
連結し、特許文献1に記載の歯車ポンプの駆動軸
と他のポンプの駆動軸とを互いに連結
した場合、駆動軸の
先端面
の中心部
に当接するピストンを配置
するスペースが無く、駆動歯車に生じるスラスト力を打ち消すことができな
い。
【0006】
本発明は
、駆動軸の
先端面
の中心部
に当接するピストンを配置するスペースが無くても、駆動歯車に生じるスラスト力を打ち消すことができる歯車ポンプ又は歯車モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る歯車ポンプ又は歯車モータは、
駆動源に接続される主ポンプ又は主モータと、前記駆動源との間に前記主ポンプ又は前記主モータを挟み、前記主ポンプ又は前記主モータと直列に連結された副ポンプ又は副モータと、を備え、前記主ポンプ又は前記主モータは、それぞれはすば歯車
である主駆動歯車および主従動歯車と
、前記主駆動歯車
における前記副ポンプ又は前記副モータと対向する端面から
、前記副ポンプ又は前記副モータに近づく方向に延び
る主駆動軸であって、その先端
面に
主接続部
が形成された主駆動軸と、
を有し、前記副ポンプ又は前記副モータは、前記
主駆動軸に向かって延び
る副駆動軸であって、
その先端
面に副接続部が形成された
副駆動軸を有
し、前記主接続部と前記副接続部とを連結し、前記
主駆動軸
の前記先端面における外縁部に当接する連結部材と、
前記連結部材にお
ける前記副ポンプ又は
前記副モー
タを向いた受け面と対向し
、高圧の作動流体
を供給可能な空間と
、をさらに備えた
ことを特徴とする。
【0008】
本発明では、高圧の作動流体
が空間に供給され
ると、主駆動軸の先端面における外縁部に当接する連結部材が
、主駆動軸を駆動源
に近づく方向に押圧する
。これにより、主駆動軸の
先端面
の中心部
に当接するピストンを配置するスペースが無くても
、主駆動歯車に生じるスラスト力を打ち消すことができる。
【0009】
本発明に係る歯車ポンプ又は歯車モータは
、前記受け面と当接し且つ前
記空間と対向した押圧部材を
さらに備え
てよい。
【0010】
この
構成では
、押圧部材を備え
たことで、連結部材が配置された空間内での連結部材の位置や傾きなどの自由度を高めることができる。これにより、
主駆動軸と副駆動軸とのずれによって生じる主接続部
、副接続部
および連結部
材の摩耗
を抑制し、ひいては当該摩擦による機械損失を抑制
することができる。また
、押圧部材
がない場合、主駆動軸と
副駆動軸とのずれに起因する力
により連結部材
が傾くことによって、連結部材の周りに配置された部材と連結部材とが
互いに接触して摩耗し
、作動流体の漏れが増加
し得る。上記構成によれば、押圧部材を備えたことで、当該問題を防止できる。
【0011】
本発明に係る歯車ポンプ又は歯車モータ
では、
前記連結部材は、前記主駆動歯車の軸方向に延び、前記主接続部および前記副接続部と対向する内面と、前記軸方向に延び、前記主接続部および前記副接続部と対向しない外面と、を有し、前記押圧部材が、前記
外面と対向してよい。
【0012】
この
構成では、
押圧部材が、連結部材における軸方向の端面と対向する場合に比べ、連結部材と押圧部材とを含
む要素の軸方向
の長さを
短くすることができ
、ひいては歯車ポンプ又は歯車モータを小型化できる。
【0013】
本発明に係る歯車ポンプ又は歯車モータ
では
、前記連結部材が、
前記外面から突出する突出部を有し、
前記受け面は、前記突出部
における前記副ポンプ又は
前記副モータ
を向いた面であ
ってよい。
【0014】
この
構成では
、高圧の作動流体
が空間に供給されたときに、押圧部材が
、突出部に設けられた受け面を介して
、確実に連結部材を駆動源
に近づく方向に押圧できる。
【0015】
本発明に係る歯車ポンプ又は歯車モータは、
前記主駆動歯車および前記主従動歯車を収容する主ケーシングであって、前記主駆動歯車および
前記主従動歯車
が配置される主貫通孔を有し、前記駆動源に近い方の一端面および前記駆動源から遠い方の他端面のそれぞれに前記主貫通孔と連通する開口が形成された主本体と、前
記一端面に形成された
前記開口を閉蓋するマウンティングと、前
記他端面に形成された
前記開口を閉蓋する
主フランジ
であって、前記主接続部および前記連結部材が配置される主挿通孔が形成された主フランジとを有する主ケーシン
グをさらに備え
、前記押圧部材が、前記
主挿通孔内に配置され
、前記主フランジに、前記主貫通孔から前記空間に前記作動流体を導入するための導入路であって、一端が前記主貫通孔の高圧領域と連通し且つ他端が前記空間と連通した導入路が形成されてよい。
【0016】
この
構成では
、導入路を短くできる
。このため、歯車ポンプ又は歯車モータの加工
が容易になる。
【0017】
本発明に係る歯車ポンプ又は歯車モータは
、前記主駆動歯車および
前記主従動歯車を収容する主ケーシング
であって、前記主駆動歯車、前記主従動歯車、および、前記主駆動軸を回転可能に支持する軸受けが配置される主貫通孔を有し、前記駆動源に近い方の一端面および前記駆動源から遠い方の他端面のそれぞれに前記主貫通孔と連通する開口が形成された主本体と、前記一端面に形成された前記開口を閉蓋するマウンティングと、前記他端面に形成された前記開口を閉蓋する主フランジであって、前記主接続部および前記連結部材が配置される主挿通孔が形成された主フランジとを有する主ケーシングと
、前記副ポンプ又は
前記副モータ
の副駆動歯車および副従動歯車を収容する副ケーシングであって、前記副駆動歯車および前記副従動歯車が配置される副貫通孔を有し、前記駆動源に近い方の一端面および前記駆動源から遠い方の他端面のそれぞれに前記副貫通孔と連通する開口が形成された副本体と、前
記一端面に形成された
前記開口を閉蓋する
副フランジ
であって、前記副接続部および前記連結部材が配置される副挿通孔が形成された副フランジと、前
記他端面に形成された
前記開口を閉蓋するカバーとを有する副ケーシングと
、を
さらに備え、
前記押圧部材が、前記
副挿通孔内に配置され
、前記主フランジと前記副フランジとに、前記主貫通孔から前記空間に前記作動流体を導入するための導入路であって、一端が前記主貫通孔の高圧領域と連通し且つ他端が前記空間と連通した導入路が形成されてよい。
【0018】
この
構成では、
軸受けと主
フランジとの接触面積を大きくできる。これにより、軸受けと主
フランジとの間から
作動流体が漏れ
難くなり、ポンプの容積効率
が向上
する。
【0019】
本発明に係る歯車ポンプ又は歯車モータは、
前記駆動源に直列に
連結された3
つ以上
のポンプ又はモータであって、前記主ポンプ又は前記主モータおよび前記副ポンプ又は前記副モータを含む3つ以上のポンプ又はモータを備えてよい。
【0020】
この
構成では、用途に応じ
た設計の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、高圧の作動流体が
空間に供給され
ると、主駆動軸の先端面における外縁部に当接する連結部材が
、主駆動軸を駆動源
に近づく方向に押圧する
。これにより、主駆動軸の
先端面
の中心部
に当接するピストンを配置するスペースが無くても
、主駆動歯車に生じるスラスト力を打ち消すことができる。
【0022】
また、受け面と当接し且つ
空間と対向した押圧部材を備え
た場合、連結部材が配置された空間内での連結部材の位置や傾きなどの自由度を高めることができる。これにより、
主駆動軸と副駆動軸
とのずれ
によって生じる主接続部
、副接続部
および連結部材
の摩耗
を抑制し、
ひいては当該摩擦による機械損失を抑制
することができる。また
、押圧部材
がない場合、主駆動軸と
副駆動軸とのずれに起因する力
により連結部材
が傾くことによって、連結部材の周りに配置された部材と連結部材とが
互いに接触して摩耗し
、作動流体の漏れが増加
し得る。上記構成によれば、押圧部材を備えたことで、当該問題を防止できる。
【0023】
また、押圧部材
が、連結部材
における主接続部および副接続部と対向しない外面と対向する
場合、押圧部材が、連結部材における軸方向の端面と対向する場合に比べ、連結部材と押圧部材とを含
む要素の軸方向
の長さを
短くすることができ
、ひいては歯車ポンプ又は歯車モータを小型化できる。
【0024】
また、受け面が、
連結部材に形成された突出部
における副ポンプ又は副モータ
を向いた面である
場合、高圧の作動流体
が空間に供給されたときに、押圧部材が
、突出部に設けられた受け面を介して
、確実に連結部材を駆動源
に近づく方向に押圧できる。
【0025】
また、押圧部材が
主挿通孔内に配置され
、主フランジに導入路が形成された
場合、導入路を短くできる
。このため、歯車ポンプ又は歯車モータの加工
が容易になる。
【0026】
また、押圧部材
が副挿通孔内に配置
され、主フランジおよび副フランジに導入路が形成された場合、主貫通孔に配置された軸受けと主
フランジとの接触面積を大きくできる。これにより、軸受けと主
フランジとの間から
作動流体が漏れ
難くなり、ポンプの容積効率
が向上
する。
【0027】
また、駆動源に直列に連結された3つ以上のポンプ又はモータであって、主ポンプ又は主モータおよび副ポンプ又は副モータを含む3つ以上のポンプ又はモータを備えた場合、用途に応じ
た設計の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の
一実施形態に係る歯車ポンプの
断面図である。
【
図2】
図1の歯車ポンプに含まれる主駆動歯車および
主従動歯車の
斜視図である。
【
図3】
図1の
歯車ポンプに含まれる主
ポンプと副ポンプとの連結
部分を示す部分拡大断面図である。
【
図5】
図3の連結
部分をさらに詳細に示す部分拡大断面図である。
【
図6】
本発明の変形例1に係る
歯車ポンプの
断面図である。
【
図7】
図6の
歯車ポンプに含まれる主
ポンプと副ポンプとの連結
部分を示す部分拡大断面図である。
【
図8】
本発明の変形例2に係る
歯車ポンプの
断面図である。
【
図9】
図8の
歯車ポンプに含まれる主
ポンプと副ポンプとの連結
部分を示す部分拡大断面図である。
【
図10】
本発明の変形例3に係る
歯車ポンプの
断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の
一実施形態を添付図面に従って説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の
歯車ポンプ1は、
駆動源
(図示略)に
直接的に接続される主ポンプ2と、主
ポンプ2と直列に連結された副ポンプ3とを備えている。
副ポンプ3は、主ポンプ2に対して駆動源と反対側(すなわち、駆動源との間に主ポンプ2を挟む位置)にある。歯車ポンプ1は、
作動流体(例えば作動油)を貯留するタンクから供給される作動流体を吸い込んで昇圧した後、その作動流体を吐出して液圧機器に供給する。
【0031】
歯車ポンプ1のケーシング5は、
主ポンプ2の主駆動歯車20および主従動歯車21を収容する主ケーシング10と、主ケーシング10にボルト6を介して固定され、
副ポンプ3の副駆動歯車50および副従動歯車51を収容する副ケーシング40とを備えている。
副駆動歯車50および副従動歯車51は、主駆動歯車20および主従動歯車21に対し駆動源と反対側
(すなわち、駆動源との間に主駆動歯車20および主従動歯車21を挟む位置)に配置されている。
【0032】
主
ポンプ2は、主ケーシング10と、互いに噛み合う主駆動歯車20および主従動歯車21と、主駆動歯車20を軸支する
主駆動軸24
,27と、主従動歯車21を軸支する主従動軸32a,32bとを有する。
【0033】
主ケーシング10は、主駆動歯車20および主従動歯車21の外周
を覆う主本体11と、主本体11
における、主駆動歯車20の軸方向(図1における左右方向。以下、単に「軸方向」という。)の2つの端面に
それぞれ螺着して固定されたマウンティング12
および主
フランジ13とを有している。
【0034】
主本体11は、
図4に示すように、断面形状が略8の字状
(メガネのような形状)である内部空間(主
貫通孔14)を有する。
主貫通孔14に、主駆動歯車20および主従動歯車21が配置されている。主貫通孔14は、図1に示すように、主本体11を軸方向に貫通している。したがって、主本体11における軸方向の2つの端面には、それぞれ、主貫通孔14と連通する開口が形成されている。マウンティング12
は、主本体11の
2つの端面のうち、駆動源に近い方の一端面に形成された開口を
、閉蓋し
ている。主フランジ13
は、主本体11の
2つの端面のうち、駆動源から遠い方の他端面に形成された開口を
、閉蓋している。
主本体11の一端面は、駆動源と対向している。主本体11の他端面は、副ポンプ3と対向している。
【0035】
マウンティング12
には、マウンティング12を
軸方向に貫通する
挿通孔15が形成されている。
挿通孔15は、軸方向に主駆動軸24と対向している。
【0036】
主
フランジ13
には、
主挿通孔16
と、導入路95の一部とが形成されている。
主挿通孔16と、導入路95の一部とは、それぞれ、主フランジ13を軸方向に貫通している。主挿通孔16は、軸方向に主駆動軸27と対向している。導入路95の一部は、軸方向に主従動軸32bと対向している。導入路95の
一部における主従動歯車21
に近い方の一端は、
主貫通孔14の高圧空間と連通している。
【0037】
図2に示すように、主駆動歯車20および主従動歯車21は、それぞれ、はすば歯車
である。主駆動歯車20および主従動歯車21は、主
貫通孔14
内で相互に噛合した状態で
、共に回転する。このとき、主駆動歯車20および主従動歯車21の歯先が
、主本体11における主
貫通孔14
を画定する内周面に摺接する
。
【0038】
主駆動歯車20および主従動歯車21の
軸方向の両
端面に、主側板22a、22bが
それぞれ対向して配置されている。主側板22aは、
主駆動軸24および主従動軸32aが挿通された
2つの貫通孔を有する。主側板22aは
、主駆動歯車20および主従動歯車21の
軸方向の2つの端面のうち駆動源に近い方の一端面に当接
している。
主側板22bは、
主駆動軸27および主従動軸32bが挿通された
2つの貫通孔を有する。主側板22bは
、主駆動歯車20および主従動歯車21の
軸方向の2つの端面のうち駆動源から遠い方の他端面に当接
している。
主駆動歯車20および主従動歯車21の一端面は、駆動源と対向している。主駆動歯車20および主従動歯車21の他端面は、副ポンプ3と対向している。
【0039】
主駆動軸24は、主駆動歯車20の一端面から
、軸方向に沿って、駆動源
に近づく方向に延びている。
主駆動軸24は
、マウンティング12の挿通孔15に挿通されて
いる。主駆動軸24の
先端部25には、
駆動源
(図示略)が連結されている。
主駆動軸24は、主
貫通孔14
に配置された軸受け26に回転可能に支持されている。
軸受け26は、ベアリングとベアリングケースとから構成されて
いる。以下の軸受けも
、同様
に、ベアリングとベアリングケースとから構成されている。
【0040】
主駆動軸27は、主駆動歯車20の他端面から
、軸方向に沿って、副ポンプ3に
近づく方向に延び
ている。図3に示すように、主駆動軸27の先端
面27aに
は、主接続部30
が形成されている。主駆動軸27は、主
貫通孔14
に配置された軸受け28に回転可能に支持されている。
【0041】
主接続部30は
、主駆動軸27より小径の円柱形状であり、
主駆動軸27と一体に
形成されている。主接続部30は、
主駆動軸27の先端
面27aから
、軸方向に沿って、副駆動歯車50に向かって
延びている。主接続部30は、
主挿通孔16
に配置されている。
【0042】
主従動軸32aは、
図1に示すように、主従動歯車21の一端面から
、軸方向に沿って、駆動源
に近づく方向に延び
ている。主従動軸32aは、主
貫通孔14
に配置された軸受け33aに回転可能に支持されている。主従動軸32bは、主従動歯車21の他端面から
、軸方向に沿って、副ポンプ3に
近づく方向に延びている。主従動軸32bは、主
貫通孔14
に配置された軸受け33bに回転可能に支持されている。
主従動軸32bの
先端面には
、ピストン34が
当接して
いる。ピストン34は、軸方向に沿って駆動源
に近づく方向に
主従動軸32bを押圧
することにより、主従動歯車21に生じるスラスト力を打ち消
す機能を有する。
【0043】
副ポンプ3は、副ケーシング40と、互いに噛み合う副駆動歯車50および副従動歯車51と、副駆動歯車50を軸支する
副駆動軸54
,57と、副従動歯車51を軸支する副従動軸62a,62bとを有する。
【0044】
副ケーシング40は、副駆動歯車50および副従動歯車51の外周
を覆う副本体41と、副本体41
における軸方向の2つの端面に
それぞれ螺着して固定された副
フランジ42
およびカバー43とを有している。
【0045】
副本体41は、
図4に示す主貫通孔14と同様、断面形状が略8の字状
(メガネのような形状)である内部空間(副
貫通孔44)を有する。
副貫通孔44に、副駆動歯車50および副従動歯車51が配置されている。副貫通孔44は、図1に示すように、副本体41を軸方向に貫通している。したがって、副本体41における軸方向の2つの端面には、それぞれ、副貫通孔44と連通する開口が形成されている。副フランジ42
は、副本体41の
2つの端面のうち、駆動源に近い方の一端面に形成された開口を
、閉蓋し
ている。カバー43
は、副本体41の
2つの端面のうち、駆動源から遠い方の他端面に形成された開口を
、閉蓋している。
副本体41の一端面は、主ポンプ2と対向している。
【0046】
副
フランジ42
には、副
フランジ42を
軸方向に貫通する副
挿通孔45が形成されている。
副挿通孔45は、軸方向に副駆動歯車50と対向している。図3に示すように
、副
挿通孔45は、
内周面46と、
内周面46より小径の
内周面47とから画定されている。
内周面46
,47
は、段部48を介して連続している。
内周面46は、内周面47よりも、主ポンプ2の近くに位置する。
【0047】
カバー43
には
、図1に示すように、ピストン49a
,49bが配置されている。
ピストン49aは
、軸方向に副駆動歯車50と対向し、副駆動軸57と当接して
いる。ピストン49aは、軸方向に沿って主
ポンプ2
に近づく方向に副駆動軸57を押圧
することにより、副駆動歯車50に生じるスラスト力を打ち消
す機能を有する。ピストン49bは
、軸方向に副従動歯車51と対向し、副従動軸62bと当接して
いる。ピストン49bは、軸方向に沿って主
ポンプ2
に近づく方向に副従動軸62bを押圧
することにより、副従動歯車51に生じるスラスト力を打ち消
す機能を有する。
【0048】
主駆動歯車20および主従動歯車21と同様に、副駆動歯車50および副従動歯車51は、それぞれ、はすば歯車
である。副駆動歯車50および副従動歯車51は、副
貫通孔44
内で相互に噛合した状態で
、共に回転する。このとき、
副駆動歯車50および副従動歯車51の歯先が
、副本体41における副
貫通孔44
を画定する内周面に摺接する
。なお、副ポンプ3は、駆動軸を持つものである限り、種類は限定されず、はすば歯車を有さないものであってもよい。
【0049】
副駆動歯車50および副従動歯車51の
軸方向の両
端面に、副側板52a、52bが
それぞれ対向して配置されている。副側板52aは、
副駆動軸54および副従動軸62aが挿通された
2つの貫通孔を有する。副側板52aは
、副駆動歯車50および副従動歯車51の
軸方向の2つの端面のうち駆動源に近い方の一端面に当接
している。
副側板52bは、
副駆動軸57および副従動軸62bが挿通された
2つの貫通孔を有する。副側板52bは
、副駆動歯車50および副従動歯車51の
軸方向の2つの端面のうち駆動軸から遠い方の他端面に当接
している。
副駆動歯車50および副従動歯車51の一端面は、主ポンプ2と対向している。
【0050】
副駆動
軸54は、副駆動歯車50の一端面から
、軸方向に沿って、主駆動軸27に向かって延び
ている。副駆動軸54の先端
面に
は、副接続部60
が形成されている。副駆動軸54は、副
貫通孔44
に配置された軸受け55に回転可能に支持されている。
【0051】
副接続部60は
、副駆動軸54より小径の円柱形状であり、
副駆動軸54と一体に
形成されている。副接続部60は、
副駆動軸54の先端
面から
、軸方向に沿って、主
ポンプ2に向かって
延びている。副接続部60は
、副
挿通孔45
に配置されて
いる。副接続部60の先端と主接続部30の先端と
は、僅かな隙間を介して
、軸方向に対向
している。副接続部60は、
連結部材70によって
、主接続部30と連結されている。
【0052】
副駆動軸57は、副駆動歯車50の他端面から
、軸方向に沿って、主ポンプ2から離れる方向に延びている。
副駆動軸57は、副
貫通孔44
に配置された軸受け58に回転可能に支持されている。
【0053】
副従動軸62aは、副従動歯車51の一端面から
、軸方向に沿って、主
ポンプ2
に近づく方向に延び
ている。副従動軸62aは、副
貫通孔44
に配置された軸受け63aに回転可能に支持されている。副従動軸62bは、副従動歯車51の他端面から
、軸方向に沿って、主ポンプ2から離れる方向に延び
ている。副従動軸62bは、副
貫通孔44
に配置された軸受け63bに回転可能に支持されている。
【0054】
図4に示すように
、主本体11
には
、吸込み孔36
および吐出し孔37が形成されて
いる。吸込み孔36および吐出し孔37は、主貫通孔14を挟み、軸方向と直交する方向にそれぞれ延びている。吸込み孔36は、主貫通孔14の低圧空間に通じている。吐出し孔37は、主貫通孔14の高圧空間に通じている。吸込み孔36に
は、
タンクからの配管が接続され
ている。
吐出し孔37に
は、液圧機器へ向かう配管が接続されている。
【0055】
主駆動歯車20の
主駆動軸24を駆動源
の駆動により回転させると、主駆動歯車20に噛み合った主従動歯車21が回転する。これにより、
主本体11における主
貫通孔14
を画定する内周面と、主駆動歯車20および主従動歯車21の歯面とによって囲まれた空間
にある作動流体が
、歯車の回転によって
、吐出し孔37
に移送され
る。このとき、
主貫通孔14の空間は、主駆動歯車20および主従動歯車21の噛み合い部
よりも吐出し孔37
に近い部分が高圧
空間、上記噛み合い部よりも吸込み孔36
に近い部分が低圧
空間になる。
【0056】
作動流体が吐出し孔37
に移送されることによって
低圧空間が負圧になると、タンク内の作動流体が
、配管
および吸込み孔36を介して低圧
空間に吸引される。
主本体11における主
貫通孔14
を画定する内周面と
、主駆動歯車20および主従動歯車21の歯面とによって囲まれた空間
にある作動流体
は、歯車の回転によって
、吐出し孔37
に移送され
る。このとき作動流体は、高圧に加圧されて
、吐出し孔37および配管を介して
、液圧機器に送られる。
【0057】
なお、ここでは主
ポンプ2の吸込み孔36および吐出し孔37について説明したが、副ポンプ3
も同様の構成および作用を有するので説明を省略する。ただし、
副ポンプ3は
、駆動源からの駆動力伝達動作
が、主ポンプ2と異なる。具体的には、主駆動歯車20の
主駆動軸24を駆動源
の駆動により回転させると、主駆動歯車20と一体
となった主接続部30も回転する。主接続部30が回転する
と、連結部材70を介して
主接続部30と連結された副接続部60も回転
する。これにより
、副駆動歯車50および副従動歯車51が回転する。
【0058】
以下、
主駆動歯車20と副駆動歯車50との連結
部分の構造
(すなわち
、主接続部30と副接続部60との連結
部分の構造
)について説明する。
【0059】
図5に示すように、主接続部30と副接続部60と
は、連結部材70によって連結されている。連結部材70は、
空間90に供給された高圧の作動流体に
よって押圧される押圧部材80により、
軸方向に沿って駆動源
に近づく方向(すなわち、主駆動歯車20
に近づく方向)に押圧されている。
【0060】
連結部材70は、
図3に示すように、軸方向に沿った貫通孔を有する略円筒形状のカップリング(軸継手)である。連結部材70は、主
挿通孔16と副
挿通孔45と
に配置され
ている。連結部材70は、軸方向に延び、主接続部30および副接続部60と対向する内面と、軸方向に延び、主接続部30および副接続部60と対向しない外面とを有する。連結部材70は、主接続部30および副接続部60の外周
と噛み合って
おり、主接続部30および副接続部60と共に回転
可能である。
連結部材70
における主ポンプ2
と軸方向に対向する端面71は、
主駆動軸27の
先端面27a
における外縁部と当接している。
【0061】
連結部材70の軸方向中央部には、
連結部材70の外
面から連結部材70の径方向
(図3における上下方向。以下、単に「径方向」という。)の外方に向かって突出する突出部72が形成されている。
軸方向に沿った突出部72の断面形状は
、台形であ
る。図5に示すように、突出部72は、軸方向において主駆動歯車20
に近い方に配置された傾斜面73と、
軸方向において主駆動歯車20から遠い方(すなわち、副駆動歯車50
に近い方)に配置された受け面74と、
傾斜面73と受け面74とを接続し、突出部72の
先端面をなす周面75と
を含む。
【0062】
傾斜面73は、
連結部材70の外面から、軸方向
および径方向
のそれぞれに対して
交差した方向に立ち上がり、主駆動歯車20
と対向している。受け面74は、
連結部材70の外面から、径方向の外方に
立ち上がり、副駆動歯車50
と対向している。周面75は、
軸方向に沿って延びている。
【0063】
押圧部材80は、
図3に示すように、リング形状の部材であり、
連結部材70の外面と対向している。押圧部材80は、突出部72よりも副駆動歯車50に近い位置にあり、副
挿通孔45
に配置されている。
軸方向に沿った押圧部材80の断面形状は
、L字形であ
る。押圧部材80は、図5に示すように、軸方向において主駆動歯車20
に近い方に形成された厚肉部81と、
軸方向において主駆動歯車20から遠い方(すなわち、副駆動歯車50
に近い方)に形成され、厚肉部81より薄い径方向寸法を有する薄肉部82と
を含む。
【0064】
厚肉部81は、
受け面74と当接する第1面83と、
空間90と対向する第2面84とを有する。第1面83と第2面84とは
、それぞれ、
径方向に延びている。
【0065】
空間90は、副
挿通孔45
に形成され、押圧部材80と
内周面46と段部48とで画定された密閉空間である。具体的には、厚肉部81と
内周面46とが摺接し、
且つ薄肉部82と
内周面47とが摺接することで
、空間90
が密閉
されている。
空間90は
、段部48と、段部48と対向する厚肉部81の第2面84との間
の隙間
である。
【0066】
空間90は
、図3に示すように、導入路95と連通し
ている。空間90には、主
貫通孔14から
導入路95を介して高圧の作動流体が供給される。
導入路95は、主
フランジ13
と副フランジ42
とに
形成され
ている。前述したように、
導入路95
における主従動歯車21
に近い方の一端は、高圧となった作動流体が充填された主
貫通孔14の高圧空間と連通している。
導入路95
における副従動歯車51
に近い方の他端は、
空間90と連通している。
【0067】
空間90に高圧の作動流体が供給されると、
図5に示すように、押圧部材80
の第2面84が
、作動流体により
軸方向に沿って主駆動歯車20に向か
う方向に押圧される。すると、押圧部材80の第1面83が
、受け面74を介し、連結部材70を
軸方向に沿って主駆動歯車20に向か
う方向に押圧する。これにより、連結部材70
が、
主駆動軸27の
先端面27aを
軸方向に沿って主駆動歯車20に向か
う方向に押圧する。
【0068】
<本実施形態の歯車ポンプの特徴
>
本実施形態の歯車ポンプ1には以下の特徴がある。
【0069】
本実施形態の歯車ポンプ1では、高圧の作動流体が
空間90に供給され
ると、主駆動軸27
の先端面27aにおける外縁部に当接する連結部材70が
、主駆動軸27を駆動源
に近づく方向に押圧する
。これにより、主駆動軸27の
先端面
27aの中心部
に当接するピストンを配置するスペースが無くても
、主駆動歯車20に生じるスラスト力を打ち消すことができる。
【0070】
本実施形態の歯車ポンプ1
は、
受け面74と当接し且つ
空間90と対向した押圧部材80を備え
ている
。押圧部材80を備えたことで、連結部材70が配置された空間内での連結部材70の位置や傾きなどの自由度を高めることができる。これにより、
主駆動軸27
と副駆動軸
54とのずれ
によって生じる主接続部30
、副接続部60
および連結部材70
の摩耗
を抑制し、
ひいては当該摩擦による機械損失を抑制
することができる。また
、押圧部材80
が無い場合、主駆動軸27と
副駆動軸54とのずれに起因する力
により連結部材70
が傾くことによって、副
フランジ
42と連結部材70とが
互いに接触して摩耗し
、作動流体の漏れが増加
し得る。上記構成によれば、押圧部材80を備えたことで、当該問題を防止できる。
【0071】
本実施形態の歯車ポンプ1では、
押圧部材80
が、連結部材70の外
面と対向している。この場合、
押圧部材80が連結部材70における軸方向の端面と対向する場合に比べ、連結部材70と押圧部材80とを含
む要素の軸方向
の長さを
短くすることができ
、ひいては歯車ポンプ
1を小型化できる。
【0072】
本実施形態の歯車ポンプ1では、受け面74が、突出部72
における副ポンプ3を向いた面である。従って、高圧の作動流体
が空間90に供給されたときに、押圧部材80が
、突出部72に設けられた受け面74を介して
、確実に連結部材70を駆動源
に近づく方向に押圧できる。
【0073】
本実施形態の歯車ポンプ1では、押圧部材80
が副
フランジ42
の副挿通孔45内に配置
され、主フランジ13および副フランジ42に導入路95が形成されている。この場合、主貫通孔14に配置された軸受け28と主
フランジ13との接触面積を大きくできる。これにより、
軸受け28と主
フランジ13との間から
作動流体が漏れ
難くなり、歯車ポンプ1の容積効率
が向上
する。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0075】
次に、前記実施形態の歯車ポンプ1に係る変形例について説明する。なお、以下において前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付してその説明を適宜省略する。
【0076】
<変形例1>
前記実施形態
に係る押圧部材80
は、副フランジ42内に配置され
ている。これに対し
、変形例1に係る押圧部材80は、
図6に示すように
、主
フランジ13
内に配置されている
。
【0077】
以下、変形例1に係る主駆動歯車20と副駆動歯車50との連結
部分の構造
(すなわち
、主接続部30と副接続部60との連結
部分の構造
)について説明する。
【0078】
図7に示すように、主接続部30と副接続部60と
は、連結部材70によって連結されている。連結部材70は、
空間90に供給された高圧の作動流体に
よって押圧される押圧部材80により、
軸方向に沿って駆動源
に近づく方向(すなわち、主駆動歯車20
に近づく方向)に押圧されている。
【0079】
連結部材70は、
図6に示すように、軸方向に沿った貫通孔を有する略円筒形状のカップリング(軸継手)である。連結部材70は、主
挿通孔16と副
挿通孔45と
に配置され
ている。連結部材70は、軸方向に延び、主接続部30および副接続部60と対向する内面と、軸方向に延び、主接続部30および副接続部60と対向しない外面とを有する。連結部材70は、主接続部30および副接続部60の外周
と噛み合って
おり、主接続部30および副接続部60と共に回転
可能である。
図7に示すように、連結部材70
における主ポンプ2
と軸方向に対向する端面71は、
主駆動軸27の
先端面27a
における外縁部と当接している。
【0080】
連結部材70の
軸方向一端(主駆動歯車20
に近い方の一端)には、
連結部材70の外
面から径方向の外方に向かって突出する突出部72が形成されている。
軸方向に沿った突出部72の断面形状は
、台形であ
る。突出部72は、軸方向において主駆動歯車20
に近い方に配置された傾斜面73と、
軸方向において主駆動歯車20から遠い方(すなわち、副駆動歯車50
に近い方)に配置された受け面74と、
傾斜面73と受け面74とを接続し、突出部72の
先端面をなす周面75と
を含む。
【0081】
傾斜面73は、
連結部材70の外面から、軸方向
および径方向
のそれぞれに対して
交差した方向に立ち上がり、主駆動歯車20
と対向している。
傾斜面73は、端面71と繋がっている。受け面74は、
連結部材70の外面から、径方向の外方に
立ち上がり、副駆動歯車50
と対向している。周面75は、
軸方向に沿って延びている。
【0082】
押圧部材80は、
図6に示すように、リング形状の部材であり、
連結部材70の外面と対向している。押圧部材80は、図7に示すように、突出部72よりも副駆動歯車50に近い位置にあり、主
挿通孔16
に配置されている。
軸方向に沿った押圧部材80の断面形状は
、L字形であ
る。押圧部材80は、軸方向において主駆動歯車20
に近い方に形成された厚肉部81と、
軸方向において主駆動歯車20から遠い方(すなわち、副駆動歯車50
に近い方)に形成され、厚肉部81より薄い径方向寸法を有する薄肉部82と
を含む。
【0083】
厚肉部81は、
受け面74と当接する第1面83と、
空間90と対向する第2面84とを有する。第1面83と第2面84とは
、それぞれ、
径方向に延びている。
【0084】
主挿通孔16は、
内周面100と、
内周面100より小径の
内周面101とから画定されている。
内周面100
,101
は、段部102を介して連続している。
内周面100は、内周面101よりも、主ポンプ2の近くに位置する。
【0085】
空間90は、主挿通孔16に形成され、押圧部材80と内周面100と段部102とで画定された密閉空間である。具体的には、厚肉部81と
内周面100とが摺接し、
且つ薄肉部82と
内周面101とが摺接することで
、空間90が密閉されている。
空間90は
、段部102と、段部102と対向する厚肉部81の第2面84との間
の隙間
である。
【0086】
空間90は
、図6に示すように、導入路95と連通し
ている。空間90には、主
貫通孔14から
導入路95を介して高圧の作動流体が供給される。
導入路95は、主
フランジ13に形成され
ている。導入路95
における主従動歯車21
に近い方の一端は、高圧となった作動流体が充填された主
貫通孔14の高圧空間と連通している。
導入路95
における副従動歯車51
に近い方の他端は、
空間90と連通している。
【0087】
空間90に高圧の作動流体が供給されると、
図7に示すように、押圧部材80
の第2面84が
、作動流体により
軸方向に沿って主駆動歯車20に向か
う方向に押圧される。すると、押圧部材80の第1面83が
、受け面74を介し、連結部材70を
軸方向に沿って主駆動歯車20に向か
う方向に押圧する。これにより、連結部材70
が、
主駆動軸27の
先端面27aを
軸方向に沿って主駆動歯車20に向か
う方向に押圧する。
【0088】
変形例1では、押圧部材80が主
フランジ13
の主挿通孔16内に配置され
、主フランジ13に導入路95が形成されている
。こ
れにより、導入路95を短くできるため、歯車ポンプ1
の加工
が容易になる。
【0089】
<変形例2>
前記実施形態では、
押圧部材80
が連結部材70と別
の部材(即ち、押圧部材80と連結部材70とは互いに分離可能な独立した部材)である。これに対し
、変形例2では、
図8に示すように
、押圧部材
が連結部材110と一体に形成され
ている。
【0090】
以下、変形例2に係る主駆動歯車20と副駆動歯車50との連結
部分の構造
(すなわち
、主接続部30と副接続部60との連結
部分の構造
)について説明する。
【0091】
図9に示すように、主接続部30と副接続部60と
は、連結部材70によって連結されている。連結部材110は、
空間90に供給された高圧の作動流体により、
軸方向に沿って駆動源
に近づく方向(すなわち、主駆動歯車20
に近づく方向)に押圧されている。
【0092】
連結部材110は、
図8に示すように、軸方向に沿った貫通孔を有する略円筒形状のカップリング(軸継手)である。連結部材110は、主
挿通孔16と副
挿通孔45と
に配置され
ている。連結部材110は、軸方向に延び、主接続部30および副接続部60と対向する内面と、軸方向に延び、主接続部30および副接続部60と対向しない外面とを有する。連結部材70は、主接続部30および副接続部60の外周
と噛み合って
おり、主接続部30および副接続部60と共に回転
可能である。
図9に示すように、連結部材110
における主ポンプ2
と対向する端面71は、
主駆動軸27の
先端面27a
における外縁部と当接している。
【0093】
連結部材110の
軸方向一端(主駆動歯車20
に近い方の一端)には、外
面から径方向の外方に向かって突出する突出部111が形成されている。
軸方向に沿った突出部111の断面形状は
、長方形であ
る。突出部111は、軸方向において主駆動歯車20
に近い方に配置された立上り面112と、
軸方向において主駆動歯車20から遠い方(すなわち、副駆動歯車50
に近い方)に配置された受け面113と、
立上り面112と受け面113とを接続し、突出部111の
先端面をなす周面114とからなる。
【0094】
立上り面112は
、連結部材110の外面から、径方向の外方に立ち上がり、主駆動歯車20
と対向している。受け面113は、
連結部材110の外面から、
径方向の外方に
立ち上がり、副駆動歯車50
と対向している。周面114は、
軸方向に沿って延びている。
【0095】
主挿通孔16は、変形例1と同様に
、内周面100と、
内周面100より小径の
内周面101とから画定されている。
内周面100
,101
は、段部102を介して連続している。
内周面100は、内周面101よりも、主ポンプ2の近くに位置する。
【0096】
空間90は、主挿通孔16に形成され、連結部材110と内周面100と段部102とで画定された密閉空間である。具体的には、周面114と
内周面100とが摺接し、
且つ連結部材110の外面115と
内周面101とが摺接することで
、空間90が密閉されている。
外面115は、突出部111よりも、軸方向において副駆動歯車50に近い位置にある。空間90は
、段部102と受け面113との間
の隙間
である。
【0097】
空間90は
、図8に示すように、導入路95と連通し
ている。空間90には、主
貫通孔14から
導入路95を介して高圧の作動流体が供給される。
導入路95は、主
フランジ13に形成され
ている。導入路95
における主従動歯車21
に近い方の一端は、高圧となった作動流体が充填された主
貫通孔14の高圧空間と連通している。
導入路95
における副従動歯車51
に近い方の他端は、
空間90と連通している。
【0098】
空間90に高圧の作動流体が供給されると、
図9に示すように、受け面113が
、作動流体により
軸方向に沿って主駆動歯車20に向か
う方向に押圧される。これにより、連結部材110
が、
主駆動軸27の
先端面27aを
軸方向に沿って主駆動歯車20に向か
う方向に押圧する。
【0099】
変形例2では、押圧部材
が連結部材110
と一体に形成されたことで、
押圧部材および連結部材
を含む要素の製造コストを低減できる。
【0100】
<変形例3>
図10に示すように、変形例3に係る
歯車ポンプ1は、
駆動源
(図示略)に
直接的に接続される主ポンプ2と、主
ポンプ2に
直列に連結された副ポンプ3と、副ポンプ3
と直列に連結された追加ポンプ120とを備えている。
追加ポンプ120は、副ポンプ3に対して主ポンプ2と反対側(すなわち、駆動源との間に主ポンプ2および副ポンプ3を挟む位置)にある。
【0101】
変形例3に係る
歯車ポンプ1は、
副ポンプ3
に追加ポンプ120を連結した点で
、前記実施形態の
歯車ポンプ1と異なる。追加ポンプ120は
、副ポンプ3の構成と同じである
。
【0102】
変形例3では、駆動源に直列に3つのポンプが連結されたことで、用途に応じた設計の自由度を向上させることができる。
【0103】
変形例3
では、駆動源に
主ポンプ2
が接続され、副ポンプ3
が主ポンプ2に連結され、追加ポンプ120
が副ポンプ3に連結
されている。しかしこれに限定されず、駆動源に
追加ポンプ120
が接続され、
追加ポンプ120に主
ポンプ2
が連結され、
主ポンプ2に副ポンプ3
が連結
されても
よい。この場合も、変形例3と同様の効果を得ることができる。
【0104】
変形例3
では、主ポンプ2、副ポンプ3および追加ポンプ120の各ポンプがはすば歯車
を有する。しかしこれに限定されず、例えば駆動源に
、は
すば歯車
を有する第1ポンプ
が接続され、
第1ポンプに、はすば歯車
を有する第2ポンプ
が連結され、
第2ポンプに、はすば歯車を有しない(例えば、平歯車
を有する)第3ポンプ
が連結
されてもよい。
【0105】
駆動源に直列に3
つ以上
のポンプが連結された
場合、駆動源から最も離れたポンプ
を除
く2つ以上のポンプのうち
、少なくとも1つ
のポンプが
、はすば歯車
を有すればよい。はすば歯車を有しないポンプ
は、
例えば、平歯車ポンプ
、ピストンポンプ、ベーンポンプなど
であってよい。
【0106】
以上、
本発明が歯車ポンプに適用される場合について説明した。しかしながら、本発明は、歯車モータにも適用可能である。すなわち、液圧ポンプと液圧モータ
とは構造がほぼ同様であるため、
はすば歯車
を含む主モータ
と、主モータと直列に連結された副モータとを含む歯車モータにも
、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0107】
1
歯車ポン
プ
2
主ポンプ
3 副ポンプ
10 主ケーシング
11 主本体
12 マウンティング
13
主フランジ
14 主貫通孔
16 主挿通孔
20 主駆動歯車
21 主従動歯車
27
主駆動軸
27a 先端面
28 軸受け
30 主接続部
40 副ケーシング
41 副本体
42
副フランジ
43 カバー
44 副貫通孔
45 副挿通孔
50 副駆動歯車
51 副従動歯車
54
副駆動
軸
60 副接続部
70 連結部材
72 突出部
74 受け面
80 押圧部材
90
空間
95 導入路
110 連結部
材
113 受け面