【実施例】
【0017】
検討1
表1の配合に従いサンプルを調製した。調製方法は、「○ブルーム抑制用油脂サンプルの調製法」に従った。
得られたサンプルの、ブルーム発生抑制効果を評価した。方法は「○ブルーム発生抑制効果評価法」に従った。
得られた結果を表2に示した。また、得られたサンプル(チョコレート様食品)中の、SSU型トリグリセリド及びハイエルシン菜種極度硬化油の量(計算値)を表3に示した。
【0018】
表1配合
・カカオバターには、不二製油社製カカオバター「ココアバター201」を使用した。
・油脂1には、不二製油社製「メラノNT-R」を使用した。この油脂は、パームを主成分とするエステル交換分別油からなるノーテンパーハードバターであって、SSUを多く含む油脂であった。
・油脂2は、ハイオレイックひまわり油90質量%と菜種極度硬化油10質量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換したものであって、SSUを所定量含む油脂であった。
・油脂3には、テンパリング型ハードバターである不二製油社製の「メラノSS−400」を使用した。
・油脂4には、ハイオレイックひまわり油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換したものであって、SSUを所定量含む油脂を使用した。
・油脂1のSSU量は、「○SSU量の測定法1」で測定した。
・油脂2,3、4のSSU量は、「○SSU量の測定法2」で測定した。
【0019】
○ブルーム抑制用油脂サンプルの調製法
1 配合に従い、使用するパーツ油脂及び乳化剤を50〜60℃で融解した。
2 各パーツ油脂を配合に従い混合し、緩やかに攪拌して均一化した。
【0020】
○ブルーム発生抑制効果評価法
1) 不二製油株式会社製チョコレート生地「スイートチョコレートE」、97質量%に、サンプル油脂3質量%を添加し、50〜60℃で融解、混合した。なお、「スイートチョコレートE」には、SSU及びハイエルシン菜種極度硬化油は含まれていなかった。
2) 31℃に温調した。
3) 不二製油株式会社製「チョコシードA」を対チョコレート0.2質量%添加し、テンパリングした。
4) モールドに充填し、10℃、30分間冷却した後、デモールドした。
5) 20℃にて1週間エージング後、1日毎に温度サイクル(17〜30.5℃)下で保管した。
(17℃まで降温2h→17℃で10h→30.5℃まで昇温2h→30.5℃で10h→)
6) 毎日、チョコレート表面のブルーム発生状況を確認し、ブルームの発生が確認されるまでの日数を記録した。ブルームの発生が確認されるまでの日数が、温度サイクル開始後26日以上であったものを合格とした。
【0021】
表2 結果
【0022】
表3 チョコレート様食品中における、SSU型トリグリセリド及びハイエルシン菜種極度硬化油の量
【0023】
○SSU量の測定法1
HPLCを用い、以下の条件で測定した。
装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「アルティメット3000」
カラム:ワイエムシィ社製「Meteoriccore C18」を使用した。
カラムオーブン温度:5℃
検出器:荷電粒子検出器(CAD)
移動相:アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン
流速:0.4mL/分
【0024】
○SSU量の測定法2
HPLCを用い、以下の条件で測定した。
装置:島津製作所社製高速液体クロマトグラフ
カラム:ODS ケムコプラス社製「LICHROSORB RP18-5」を使用した。
カラム温度:25℃
検出器:示差屈折計
溶離液:アセトン/アセトニトリル=80/20、
液量:0.9ml/分
【0025】
考察
・従来、ブルーム発生抑制効果が知られていたSSUを32.6質量%含む比較例2は、ブルームが確認されるまでの日数は比較的長かったが、合格には至らなかった。
・本発明に係る実施例1は、SSUの量は比較例1と同程度であるにもかかわらず、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を併用することで、ブルームの発生が確認されるまでの日数を大きく延長することができた。
・なお、カカオバターにハイエルシン酸菜種極度硬化油を単純に添加したものではブルームの発生が確認されるまでの日数を合格レベルまで延長することはできなかった(比較例4)。
【0026】
検討2
乳化剤の併用効果についての検証を行った。
表4の配合に従いサンプルを調製した。調製方法は、「○ブルーム抑制用油脂サンプルの調製法」に従った。
得られたサンプルの、ブルーム発生抑制効果を評価した。方法は「○ブルーム発生抑制効果評価法2」に従った。
得られた結果を表5に示した。また、得られたサンプル(チョコレート様食品)中の、SSU型トリグリセリド及びハイエルシン菜種極度硬化油の量(計算値)を表6に示した。
【0027】
表4 配合
・カカオバターには、不二製油社製カカオバター「ココアバター201」を使用した。
・油脂2は、ハイオレイックひまわり油90質量%と菜種極度硬化油10質量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換したものであって、SSUを所定量含む油脂であった。
・油脂3には、テンパリング型ハードバターである不二製油社製の「メラノSS−400」を使用した。
・油脂4には、ハイオレイックひまわり油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換したものであって、SSUを所定量含む油脂を使用した。
・ソルビタントリステアレートには、理研ビタミン株式会社製「ポエムS−65V」を使用した。
・ソルビタントリベヘネートには、理研ビタミン株式会社製「ポエムB−150」を使用した。
【0028】
○ブルーム発生抑制効果評価法2
1) 不二製油株式会社製チョコレート生地「スイートチョコレートE」、97質量%に、サンプル油脂3質量%を添加し、50〜60℃で融解、混合した。なお、「スイートチョコレートE」には、SSU及びハイエルシン菜種極度硬化油は含まれていなかった。
2) 31℃に温調した。
3) 不二製油株式会社製「チョコシードA」を対チョコレート0.2質量%添加し、テンパリングした。
4) モールドに充填し、10℃、30分間冷却した後、デモールドした。
5) 20℃にて1週間エージング後、1日毎に温度サイクル(20〜32℃)下で保管した。
(20℃まで降温2h→20℃で10h→32℃まで昇温2h→32℃で10h→)
6) 毎日、チョコレート表面のブルーム発生状況を確認し、ブルームの発生が確認されるまでの日数を記録した。ブルームの発生が確認されるまでの日数が、温度サイクル開始後17日以上であったものを合格とした。
【0029】
表5 結果
【0030】
表6 チョコレート様食品中における、SSU型トリグリセリド、ハイエルシン菜種極度硬化油及びソルビタン脂肪酸エステルの量
【0031】
考察
表5,6に示すとおり、ソルビタン脂肪酸エステルを添加した系では、ブルームが確認されるまでの日数が更に延長され、ブルーム発生抑制効果がより高いことが示された。